レギュラー
- 赤井剣之介(中村敦夫)
本名は真野森之助.上州沼木藩士だったが,
愛した女(お歌)を守るために殺人を犯してしまい,脱藩逃亡(#1).逃亡先で市松と知合い,
主水を紹介された.お尋ね者であるため普段は顔を白く塗ったり,
お面をかつけたりして大動芸をしているが金はほとんど入らない.
よって殺し以外に生活の糧を稼ぐ手段がない.
鋭い刃のついた指輪で元結を切り,
乱れた髪の毛で首を絞めるのが殺し技.隣藩の立石藩家老から仕事を取ってきたり
,殿様の奥方になった,
女の許婚であったことから,
脱藩前は身分が高かった上士だと推測できる.
その身分を捨てて芸人になったことを時々悔やむ事があるようだ.
最終回,
たまたまやいと屋の家にいたところを柴山藩の土屋小十郎に捕まり,
拷問を受けた末にお歌ともにどぶ川の中で斬り殺された.
剣之介の死は主水に大きなショックを与えた.なお中村敦夫さんは
「必殺仕掛人」の裏番組「木枯らし紋次郎」の主役だった.
視聴率競争で「木枯らし紋次郎」は「必殺仕掛人」に敗れた訳だが,
中村さんは「いい勝負だった」と山内久司さんに言ったという.
脚本家の中村勝行さんは中村敦夫さんの実弟.この頃から,
定番ギャグを面白く活用,難関突破編と言った作風を確立している.
- やいと屋又右衛門(大出俊)
表稼業は鍼灸師.上方で天満流のやいとを修行した.
懐中の火種で赤く焼いた針を額のツボに刺すのが殺し技.
喧嘩は滅法弱い.縁起をかつぐため殺しの前には必ず占いをし,
良い卦が出ないと安心できない.#10で彼の過去が語られる.
彼の両親も仕業人だったが,仲間を裏切った為に元締に始末された.
だが元締は幼かったやいと屋を引き取って育て上げた.
幼かったやいと屋に子守唄を歌いながらノミを手に彫刻していた元締は,
やいと屋と再会した時はそのノミで子供を手に掛ける外道に陥っていた.
過去と決別する為にやいと屋は元締を仕置した.最終回,
会津屋の前でくしゃくしゃに丸めて捨てた凶のおみくじが元で足がつき,
仕業人組織は崩壊することになる.
やいと屋本人は土屋小十郎と主水との決闘を捨三とともに見届けた後,
上方へ逃亡した.なお#26では全く登場せず,#27では代役のみ出演した.ちなみに#27は
「必殺からくり人」の脚本執筆遅れのあおりを食らい,
急遽制作された話で,大出俊さんの契約が切れていた.
そのための代役出演となったのだろう.#26で出演していないのも,
その関係かもしれない.
- 捨三(渡辺篤史)
密偵役.風呂屋の釜たきから洗濯屋に転職.
その洗濯屋がアジトを兼ねている.主水に忠誠を誓っているが,
主水はそんな捨三さえも信用していないと#1で言い放っている.
なぜか#13には登場していない.
- お歌(中尾ミエ)
赤井剣之介の愛人.殺し自体をすることはないが,
現場にはいつも着いて行く.殺しの手伝いをすることもある.
最終回,柴山藩に捕らわれた剣之介を救出するために柴山藩邸に乗り込み,
剣之介と一緒に逃げたが追手に斬られ,どぶ川の中で死んだ.
- 島忠助(美川陽一郎)
主水の同僚の老役人.段々主水と打ち解けていき,
昼間から一緒に酒を飲んだりしていた.主水にとっては心温まる存在.
残念ながら放送途中で美川さんがお亡くなりになったため,
#12,#14,#17以降の登場はない.
- 出戻り銀次郎(鶴田忍)
牢の中が天国と考え、釈放されては微罪でまた戻ってくる小悪党.
口癖は「がんばりま〜す!」なお,
最初は「出戻り銀次郎」とテロップが出ていたが,
主水や忠助からは「銀次」としか呼ばれたことがなく,いつのまにか,
テロップの方も「出戻り銀次」になってしまった.
- お澄(二本柳俊衣)
中村家の初代間借り人.回船問屋の妾.#6で追い出された.
- 玄覚(田淵岩夫)
二代目間借り人.メザシの頭を信仰対象とする山伏.彼も#9で追い出された.
- 千勢(岸じゅんこ)
三代目間借り人.離れを利用して寺子屋を開く.趣味は好色本の収集で,
その点では主水と意気投合している.最終回まで間借りしていた.
- 中村せん(菅井きん)
主水の姑でりつの母.困窮を極めた中村家の財政を少しでも良くする為,
りつと一緒に傘貼りの内職にせいを出している.
- 中村りつ(白木万理)
主水の妻でせんの娘.
- 中村主水(藤田まこと)
牢屋見回りに格下げされた後も,捨三とやいと屋とともに,
殺し屋稼業を続けていた.
が殺し屋が二人だけでは大きな仕事を行なうこともできなかったため,
#1で赤井剣之助を仲間に加えた.
生活は苦しく「残業手当」を稼ぐために裏稼業を続けている.
故印玄さんが
70's テレビ時代劇グラフィティー 印玄のホームページで,
「必殺仕置屋稼業」での主水を
今回の主水は元締兼仕置人って役どころ。
組織が貧弱なので、なんか中小企業の経営者という感じもする。
と評していたが「必殺仕業人」ではよりその傾向が色濃くなる.
会社が傾きかけ,金策に四苦八苦している町工場の社長という感じだ.
ただし「経営者」と言うのは強いて言えばの話.実際の4人は対等な立場.
#1での発言や#10での言動にもあるように,
主水は仲間なんか全く信用していない.それはやいと屋も剣之介も同じ.
また表の顔を利用して仕事を取ってきたり,
作戦立案のみを担当する事も多い.#10,#13,#24では殺しをしていないし,
最終回の冒頭でも殺しをしていない.
印象的なゲスト
最強の悪役は,やいと屋又右衛門の育ての親でもある外道仕業人元締,
大滝秀治(#10)だろう.
意外に思われるかもしれないが,彼は当時は悪役が多く,
「必殺仕置人」と「必殺仕置屋稼業」でも悪役を演じた.
最多出演悪役は2号ライダーこと佐々木剛と深江章喜と今井健二.佐々木剛は#5では,
SMに興じているところをやいと屋に刺された.#17では,
ミラーマンこと石田信之の恋人を二度も凌すなどやりたい放題で,
最期はお歌に興味を奪われているところを剣之介に仕置された.
深江章喜は2回(#7,#17)とも主水に斬られた.
今井健二も2回(#2,#20)とも主水に斬られた.
南原宏治(#6),戸浦六宏(#8),早川保(#9),ウルトラマンAこと高峰圭二(#15),
ウルトラマンAでストーカーを演じた清水紘治(#15),浜田寅彦(#19),安倍徹(#20),神田隆(#22),天津敏(#22),峰岸徹(#23)の悪役は順当なところか.
津川雅彦(#2)と中尾彬(#14)は他のシリーズの悪役の方が面白い.
川合伸旺と宇都宮雅代夫妻の愛情(#23)は「下郎には窺い知れぬ」ものだろう.
被害者役では犬のために体を売るテレサ野田(#3),
盲目になりながらも女仇を討とうとして返り討ちにあった村井国夫(#7),
500両が用意できず切腹してお詫びする織本順吉(#8),
金を騙し取られてもまた稼ぐんだと根性を見せる吉田日出子(#11),
連れ合いが大店乗っ取りに利用された市原悦子(#15),
悪党に利用される陰陽師を演じた坂本スミ子(#19),
悪女と二役を演じた夏純子(#24)が印象深い.
身代わりになって島送りになった大木実(#5),
大店乗っ取りに利用された菅貫太郎(#15),
心眼を持ってしまったために殺された吉田義男(#26)は意外な役どころか.
敵役の浜畑賢吉(#28)は,
悪役とは言うよりは,被害者役と言うべき役どころだろう.
また小便が漏れそうなのに主水に首輪をつけさせられた長谷川明男(#24)は本当に可哀想だった.
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