脚本は猪又憲吾.監督は松野宏軌.
隠し売女が牢屋敷へ連行されてきた.
その一人根津権現町のおしげは体の調子が悪かった.
それを見た忠助はおしげを医者へ運んでいった.
隠し売女は吉原へ送られ,3年勤めることになっていた.
そこへ銀次がやってきた.
(小指を立てて)これがいるので女牢へ移してくれと言うのだ.
主水は厠のそばなら空いていると言った.
銀次「え,臭い飯食わされた上に臭いところですか?
頑張ります.」
一方,やいと屋は客に呼ばれていた.娘のおみつを診てくれというのだ.
だがおみつはもう死んでいた.父親はこう言って嘆いた.
おみつは父親の薬代を稼ぐため,隠し売女をしていた.
おみつがこうなったのもおたか(中原早苗)のせいに違いない.
やいと屋「おたか?」
何かあると睨んだやいと屋は捨三におたかの様子を探ってくれと頼んでいた. 捨三はしっかり金を要求した.おたかには見張りがついていた. おたかはお針子の看板を上げていた.やいと屋が睨んだ通り, 彼女が元締のようなことをしていた.その晩. おたかは手間賃を黒幕(早川保)に渡していた. 黒幕は死んだおみつの後釜を探せと命じていた. さらに黒幕はおたかが隠し売女の足抜けを許していることをなじり, 上納金の値上げをした.500文から600文にしろというのだ. 渋るおたかだったが,黒幕は激しく迫った. 黒幕は旗本で元々は彼の屋敷が隠し売女のアジトだった. 一方,捨三は隠し売女達から話を聞いていた. 皆生活が苦しく,夫が死んだり,夫が罪人だったりして苦労していたのだ.
主水が戻ると玄覚が祈祷をしているところだった.
猫が御本尊のメザシを咥えていったというのだ.
そのうち追い払おうという主水に玄覚が言った.
玄覚「あんたは本当の顔を見せたことがない.妻や母の前でも.
私の心眼は何もかも見抜いておる.」
一瞬,主水の顔に緊張が走った.裏稼業を知られたのか.
だが玄覚が言いたかったのは御本尊のメザシを大切に思っていないことだった.
玄覚が去った後,せんは主水が左足から入ったかどうかを主水に尋ねた.
そして主水が右足から門の中に入ったと知って大騒ぎした.
おみつの死は黒幕の秋葉の仕業だということを捨三が調べ上げていた.
やいと屋は剣之介と主水には黙っていろと頼み込んでいた.
だが秋葉の屋敷の前で捨三は主水に見つかってしまった.
主水と剣之介に捨三は締め上げられた.やいと屋に聞けという捨三に
主水「俺達に気づかれたことはやいと屋には内緒だぞ.」
そこへやいと屋がやってきた.仕方なくやいと屋は経緯を話した.
頼み料は無尽講の掛け金.あまりにも金額が安いので剣之介は降りた.
秋葉兵庫は一声掛ければ旗本八万騎が集まるほど顔が利く.だから主水も降りた.
やいと屋は相手が旗本だということをおみつの父与平に話した. その後,やいと屋はおたかに会った.おたかの元には5人の娘がいたが, 皆夢を持っていた.その夢を叶えるのをおたかは手助けしようと思っていたのだ. おたかは一度自殺を考えたこともあったが,今では生きるのが幸せだという. 一方,昔おたかの元にいたが, 今は足を洗っていたおよう(柴田美保子)が秋葉の手の者に連れ出された. おようは無理矢理秋葉の屋敷に連れ込まれた.ちょうどその頃, やいと屋が秋葉の屋敷に乗り込んで秋葉に灸を据えていた. そしておようが連れ込まれたことを知って出て行った. その門前でやいと屋は主水と出会った.主水はやいと屋同様, 秋葉のことが気になっていたのだ. さておようは秋葉から以前のように隠し売女をしろと迫られていた. おようは拒んだ.おようがさらわれたことをおたかが知った時は後の祭だった.
主水が帰ってくると,せんが足を痛めていた. 厄除けのメザシを咥えた猫を追いかけて転んだのだ. 遂に玄覚は追い出されることになった.
おようは秋葉の屋敷に閉じ込められ,隠し売女をするように強要されていた. 秋葉は力づくでおようの言うことを聞かせようとしたが, おようは舌を噛んで死んでしまった.そこへおたかが乗り込んできた. おようが来ている筈だと言うのだ.秋葉は知らぬ存ぜぬを通し, お屋敷を探すとおたかが言い出すと,お前を斬る,と言い放った. 翌日.川原で死体となったおようが発見された.
おようの死体にすがって泣くおようの夫を見るおたかに,
やいと屋はおようが秋葉の屋敷に連れ込まれていたことを話した.
それを聞いたおたかは配下の隠し売女達に,みんなで足を洗おう,と言い出した.
骨までしゃぶる秋葉のやり方にもう我慢できなくなったのだ.皆賛同した.
おたかは皆の境遇を心配したが,皆いざと言うときは夜鷹でもする,と言った.
だがそこへ秋葉の手下がやってきた.足抜けは許さないと言うのだ.
意を決したおたかはやいと屋のところへやってきた.
おたか「お願いを聞いていただけますか?」
やいと屋はうなずいた.
主水「秋葉が女達から金を吸い上げてるという話を聞いた時,
俺はいつかこんなことになるんじゃねえかと思ってたんだ.
だが頼み人がおたかとはなあ.」
剣之介「やいと屋.男相手に稼ぎまくった女だ.頼み料の方は?」
やいと屋「ところがねえ,三年かかって貯めたお金がたったの5両.」
捨三「ふーん.」
沈黙が流れた後
剣之介「それにしてもいつも一両ずつってのは安過ぎるなあ.
物価も上がってるし.」
主水「まあ,こう考えてみればいいんじゃねえか? 秋葉みてえな,ふてえ野郎を,
お金を頂戴して仕置ができる.ありがてえことだとな.」
兎に角,皆仕事に取り掛かった.
やいと屋は占い帖を見て水難の相があると知った.
そこで自分で井戸の水を被った.
さあ,仕事開始だ.主水は秋葉配下の者を叩き斬った. やいと屋は秋葉の屋敷に乗り込んだ. 秋葉の用人を「今門前に使いの者が見えておりましたが.」と言って外へ出した. 用人は捨三から身を売りたいという女がいると聞かされた.その女はお歌. 用人はお歌と捨三に誘い出され,剣之介に仕置された. そして秋葉はやいと屋に仕置された.秋葉は「おーーーーーーー」と叫んで絶命. 芸が細かいぞ,早川保さん.
牢屋敷では
主水「おめえ達は,これから真面目に働けよ.盗みだからいいが,
隠し売女なんかすると,三年間吉原でただ働きだ.わかったな.」
忠助「もう二度と戻ってくるな.な.」
そのとき
銀次「おい,おい,おい,おい,おい,おい.尼あとすぐだからな.
思いっきり不真面目なことして戻って来いよ.」
主水「銀次,おめえも出てえんなら,すぐに出してやろうか?」
銀次「いやあ滅相もない.当分,頑張ります.」