「必殺仕業人」第11話「あんたこの根性をどう思う」

脚本は中村勝行.監督は大熊邦也.

主水は宴会で野球拳をしていた.野球拳終了後, 宴席で主水は女郎屋銀猫の主人惣五郎(桑山正一)から, 翌日主水が立ち会う予定になっていた粂八の百叩きの刑に関して, 手心を加えて欲しいと頼まれていた.今回はここでタイトル表示.

翌日.粂八(阿藤快)に対して「百叩きの刑」が行なわれた.刑終了後, 忠助から,近頃商人から賂を受けて手心を加えているものがいる, 近々怪しい者を一名公表する,と奉行所から通達があったと聞き,青ざめた. そのため,銀次が,解き放ちを延ばしてくれ,と言う頼みも邪険に扱った.

その晩.銀猫でおさと(吉田日出子)ら女郎達が, 入れ替わり立ち代り一人の男の相手をしていた.分け前はいやに細かく,文単位. おさとは使用人の宇之吉(南州太郎)にやいと屋を呼んでくれと頼んでいた.

主水が帰ってくると千勢が模範役人になるための必須心得について教えていた.
主水「馬鹿馬鹿しい.」
せんもりつも聞いていた.生徒は皆与力の息子ばかり. それを聞いて主水は肩身が狭い思いをした.心得とは「頭脳明晰, 人の応対は公平であること,好き嫌いは顔に出さず,人に信用されることです.」 なんと,牢屋見回りは一生上役の目に止まらない立場の者です, こうなってはいけませんよ,と千勢は言った.
主水「好きでなったんじゃないやい.」
せんとりつは,今からでも勉強を,と主水に指南しようとした.だが
千勢「良き伴侶を娶ること.」
主水「良き伴侶を娶ることか.本日は勉強になりました.」

その頃,剣之介にお歌は新しい芸を教え込もうとしていた. だが剣之介は怒ってしまい,お歌をぶん殴ってしまった. 怒ったお歌は外へ出て行った.外へ出たお歌は粂八(阿藤快)に捕まり, 無理矢理女郎にされてしまった.そこの女郎屋はおさとがいた銀猫だった. おさとは宇之吉と話をしていた.おさとはお金を貯め, 銀猫を買い取ろうと思っていた.惣五郎が高利貸しから借りている金は150両. その証文を買い取れば,銀猫を買ったも同然だ.そんなにうまくいくのかね, という宇之吉に,おさとはいった.5年間かけて貯めた金額はその倍だった. あと20人客をとれば,いよいよだ.そして宇之吉はやいと屋が来た件を話した. おさとはやいと屋のお灸をちょっとだけ受け,お灸代が20文だと聞くと, 「半分だけね.」と言って4文しか払わなかった.

お歌はごねたが,何なら番屋へ出てもいいんだよ,という惣五郎の言葉を聞き, 黙った.剣之介の件があるからだ.お歌へおさとが話を持ちかけた. さてその晩,嫌がるお歌のとことへおさとがやってきた. お歌の客の相手を自分がやろうというのだ.その代わり, 金は自分が全部取るという.
お歌「そりゃかまわないけど,そんなにお金稼いでどうするの?」
おさと「この店買い取るの.」
驚くお歌.そりゃそうだろう.
おさと「いずれあたしがこの店の主人になるんだから,しばらく辛抱してな. そのうち楽させてあげるよ.」
そのとき,廊下をやいと屋が通りかかった.

剣之介はやいと屋から銀猫にお歌がいることを聞き出した. 剣之介は主水に金を貸してくれとねだったが, 主水はすかんぴんで少ししか出せなかった.剣之介はやいと屋からも金を借りた. だが捨三は「洗濯物届けなくちゃ.」と言って逃げてしまった. その晩.剣之介は銀猫へ現れ,お歌を買った. 客を取らされると聞いたお歌は散々嫌がった.
宇之吉「お邪魔しまーす.」
これは南州太郎さんの持ちネタ.宇之吉が障子を開け, お歌が部屋に入ると剣之介がいるのが見えた.お歌は態度が変わり, 相手をすることにした.剣之介にお歌は事情を話した. 騙されて女郎にさせられたこと.見張りがいるので逃げられないこと.翌朝. 剣之介は高鼾をかいて寝ていた.金を工面するのに疲れてしまい, 剣之介はお歌の相手をすることが出来なかったのだ.

さておさとは宇之吉に金を渡していた.だがおさとは騙されていた. 結局おさとは金を騙し取られ,銀猫から追い出されてしまった. おさとを騙した宇之吉の姿は消えていた. 銀猫の主人はおさとから騙し取った金を元手に隣の店を買い, 金猫と言う名前にしよう,と言い出した.そして金猫開店の日. おさとが「この店はあたしのもんだよー.あたしの金で買い取ったんだよー.」と, 文句を言いに乗り込んできた.だがたたき出されてしまった. そこへやいと屋が現れた.おさとはまた女郎をやって金を稼ぐんだと言っていた. やいと屋は言葉巧みに仕業人のことをほのめかし, おさとから5両で仕事を請け負うことに成功した.

剣之介は乗り気だった.主水は賂の件で銀猫が相手と言うのはと渋ったが, 結局やることにした.捨三は宇之吉が戻っていることを突き止めた. さあ,仕事だ.やいと屋は花札で縁起担ぎ. 並べた札は「8,1,10,8.やいとや.こいつは縁起がいいや.」 やいと屋と剣之介は銀猫に乗り込んだ.なぜか銀猫には銀次もいた. 銀次は枕探しに入ったのだ.そのため岡引の手入れが. お尋ね者の剣之介の身が危ない.銀猫の主人は岡引に賂を渡し, 大目に見てもらった.岡引は下引に好きな女を買っていいぞ,と言って去った. 何と女郎達の中には女装したやいと屋と女装した剣之介もいた. 下引は剣之介ややいと屋に手を出した.外では銀次が岡引に自首. というわけで危機は去った.仕事再開だ.剣之介とやいと屋は下引きをぶん殴り, 気絶させた.主水は粂八を誘い出した.百叩きの数が足りないと言うのだ. しょうがないなあ,軽く頼みますよ,といって粂八は後ろを向いた. そして粂八は主水に叩き斬られた.やいと屋は宇之吉を仕置. 剣之介は銀猫の主人を女装したまま仕置した. そしてお歌を連れて逃げるのであった.

さて主水が仕置を終えて帰る途中, 夜鷹になったおさとが「16文でいい.」と声を掛けてきた. あんたこの根性をどう思う?

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東平 洋史 E-Mail: hangman@basil.freemail.ne.jp