脚本は田上雄.監督は松本明.メインゲストは津川雅彦.
冒頭,牢を出るのを嫌がる銀次と一緒に一人の男(石山雄大)がお解放しになった. その男喜久三は元は浅草の芸人で手裏剣を投げる芸を見せていたが, ある時にその芸が失敗して芸人の鑑札を取られ, 挙句の果てには盗みを働いてお縄になったのだ. 喜久三が家に戻ってくると女房のお光が, 借金の片に連れ出されるところに出くわした. 女房を返して欲しければ10両払えという.
やいと屋は田島屋(津川雅彦)の祝言に呼ばれていた. 田島屋の奥方がやいと屋の常連客だったからだ.そこにはお光がいた. そこへ田島屋の大旦那大和屋(有馬昌彦)がやって来た. 田島屋は大和屋から娘をもらって暖簾分けしていた油問屋だが, 大和屋と田島屋は公儀御用達の座を巡って争っていた. 大和屋が帰った後,田島屋が与力大村(今井健二)と話していると, 喜久三が田島屋を狙って手裏剣を投げた.だが狙いは外れ, 手裏剣は田島屋の女房おまつに当たってしまった.
せんとりつが街を歩いていると田島屋の葬儀に出くわした. 葬式饅頭を投げるかもしれない,と聞いたせんとりつは, 「近頃甘いものも食べておりませんし.」と葬儀に顔を出すことにした. せんとりつは号泣する田島屋にもらい泣き. 家でも主水に田島屋が妻を思って泣く様子をせんとりつから話され, 怪訝な顔.とりあえず主水は部屋の借主が見つかったことをせんに報告. 借主はある回船問屋の妾お澄(二本柳敏衣)だった.世間体がと渋るせんだったが, 回船問屋なので船に乗ると二,三ヶ月は帰ってこないことや,家賃をもらい, さらに敷金ももらってあると聞くと態度が一変. 世間様では礼金をもらうのが相場と言って主水にもらってくるように言った. 主水が出た隙にせんとりつは葬式饅頭をほおばるのであった.
喜久三は与力の手によって捕まってしまった.主水は与力大村に呼び出され, 喜久三を牢屋敷へ護送することを命じられた. さらに与力は大和屋を奉行所に呼び出し, 喜久三を雇ったのはお前だろうと言った. 公儀御用達を義理の親子同士で争っているので喜久三を雇ったと与力は言った. 大和屋は否定.だが「証人」がいた.
喜久三は入牢してたった三日で死罪になった.大村の差し金だ. さらに大和屋は閉門になった.首を斬られる前, 喜久三は「約束が違う!」と大村に向かって叫んだ. 田島屋も死罪になると喜久三は約束していたのだ.
お光が遺書を残し,首を吊っているところへ主水がやってきた. 間一髪,主水はお光を助け出した.大村は喜久三を逃がす約束になっていたのだ. 主水はこれを仕事にすることにした.
剣之介が皿回しの芸を見せているところへ, 岡引が真野森之助の手配書を貼りにやってきた. 動揺した剣之介は皿を落として割ってしまったが, 顔を白く塗っていた為岡引は剣之介が森之助だと気がつかず,大笑い. 剣之介はなおも皿を回そうとしたが全く回せず,客も大笑い. 怒った剣之介は竹光を抜いて威嚇した.
主水は喜久三の事件のことを仲間に話した.喜久三の本当の雇い主は田島屋で, 裏には南町奉行所の吟味方与力大村がついていた. 証人がいるという話だろうという剣之介.早速, やいと屋が「証人」の女に近づき,田島屋に雇われて証言したことを聞き出した.
田島屋が空手の稽古をしているところへ大村がやってきた. 田島屋は瓦を割り,動くサンドバッグ(にしか見えない)を避けながら, 大村に金を渡した.大村と田島屋はぐるだった. 田島屋は公儀御用達になるために大村と組んで今度の事件を仕組んだのだ. それを捨三が見ていた.裏は取れた.早速仕事だ.
主水の屋敷にお澄が引っ越してきた.人足が荷物を運び込むのを見ながら, 主水は偉いことになるぞと嫌な予感がしていた. やいと屋は無料でお灸の治療をした.
剣之介が酒を買って帰ってきた.仕事が入ったからだ. 一緒について行くとお歌は言った.剣之介は拒んだが,邪魔はしないから, とお歌は言うのであった.
相変わらずやいと屋は占い帖を見て女難の卦があることを気にしていた.
田島屋が新しい妻を迎えた.妻になったのは偽証をしたおゆうだ.
主水達は床入りの時を狙うことにした.お歌が現れたのを見て主水達は呆れた.
だが
剣之介「死ぬ時は一緒だ.」
しかも剣之介は刀を使わないという.やいと屋は呆れたが,
主水はやらせてみることにした.
やいと屋は風呂場でおゆうを始末した.胸に鍼を刺すやいと屋.
おゆうはぶるぶると震えて息絶えた.
田島屋は布団で腕立て伏せをしながらおゆうを待っていた.
だが剣之介に髻を切られた.田島屋の叫び声を聞いた大村は,
「始まったな.」と覗こうとした.空手の猛者の田島屋に剣之介は劣勢だ.
覗こうとする大村に主水が声を掛けた.
主水「大村さん.田島屋も好きですな.」
大村は呆気なく主水に刺し殺された.剣之介は田島屋に持ち上げられた.
そこへお歌が現れた.田島屋がお歌に気を取られた隙をつき,
剣之介は田島屋を絞殺.部屋に入って来たのに,ただ黙ってみていた主水に,
お歌は文句を言ったが
主水「銭払ってるんだ.やるだけのことはやってもらう.」
翌日.島忠助から主水は大村,田島屋,田島屋の新妻が殺された事件を聞いた. そして銀次も牢に帰ってくるのであった.