「必殺仕業人」第13話「あんたこの神隠しどう思う」

脚本は野上龍雄.監督は工藤栄一.

牢では囚人達が布団を干し,忠助が盆栽の世話をしていた. そのとき,女牢で病人が出たとの報せが.主水は仮病だと思っていたが, 重病だった.その女お久(志乃原良子)は「かみ,かみ.」と言った. そこで主水がお久の髪を解くと,小判が.お久は「せんかい.」 「殺して.」と繰り返していた.

主水が帰るとちょうど寺子屋が終わったところ.生徒達が外へ出るところだ.
主水「しっかり勉強しな.怠けてるとおじさんみたいになるぞ.」
そこで主水が風呂場を覗いてみると千勢が入っていた. 千勢は主水が覗いているのに気がついたが,気にもとめない様子. ずっと覗いているとりつが声をかけて主水を部屋の中へ連れ込んだ. 部屋の中ではせんは仏頂面で黙り込んだまんま. 生徒達が中村家には古い物ばかりと言ったので,箪笥でも何でもいいから, 新しいものを買って欲しいとりつは言い出した.だが主水は金がないと渋った. 怒り心頭に達したせんは「馬の耳に念仏とはまさにこのことです」と言い出した.

さてお歌に昔馴染みのお眉(荒砂ゆき)が声を掛けてきた. お眉は剣之介によろしくといい,お歌と再会したことを喜んだ. だがお歌は連れなかった.お歌はお眉の調子のよさが嫌いだった. そしてお眉が昔から鼻つまみ者だったというと
剣之介「鼻つまみ者か.俺達みたいなもんだ.」

その頃,やいと屋はある長屋を訪れていた.皆来なくなったので心配したのだ. やいと屋はお六(三戸部スヱ)の家に上がりこみ,話を聞いた. 玄拓と言う行者から,やいとをやってもその場しのぎに過ぎない, 死ななければ治らない,と聞かされたので, 長屋の連中はやいとをするのをやめにしたのだ. ちなみにお六の娘おとよはやくざと駆け落ちしていた. そしてやいと屋は剣之介の所へやってきて, 玄拓が広めた「死のう教」のことをこぼした. この世の中苦しいことばかりなのでいっそ死んでしまった方がマシだ, というのが「死のう教」の教えだったのだ.

その夜.玄拓(山田吾一)のところから信者が帰った後, 玄拓の情婦お眉はいい鴨がいないのかね,とほざいていた. そして玄拓とお眉は情事を開始.
玄拓「楽しいことも生きていればこそだ.」
言っていることとやっていることが全然違うぞ. 一方,やいと屋は酔っ払ってすっかりできあがってしまい, お歌に「このクソ婆.」と絡んでいた.

さておとよ(和田幾子)が長屋に戻ってきた. 駆け落ちしたやくざ伊佐治に死なれたのだ.お六は「父無し子を生みやがって. 出て行っておしまい.」と追い返そうとした.おとよは今更会える義理ではない, とわかってはいたが,赤ん坊に六太郎とつけていた.勿論,お六からとったのだ. それを聞き,お六は六太郎を可愛がった.長屋の連中は皆やいと屋にやってきた. 六太郎を連れたおとよも一緒だ.一方,玄拓は暇を持て余していた. お眉は玄拓にお六が百両持っていることを吹き込んだ. 伊佐治は親分の罪を被って死んだが,香典代わりに百両お六にやったのだ. それを聞いた玄拓は何やら考えるのであった.

玄拓の情婦は長治という男に話を持ちかけた. 何も知らないお六,おとよは幼い六太郎を可愛がっていた. お六とおとよが井戸端で話をしている隙に, 長治は六太郎をさらってお眉に渡した. お眉は六太郎を自分の息子だと言って,お歌に預かって欲しいと頼んだ. 江戸に母親が来るのでしばらく預かって欲しいと言うのだ.

長屋では六太郎が神隠しに遭ったと騒ぎが起きていた.号泣するお六. 目を離したおとよが悪い,とお六はおとよをなじった.そこへ玄拓がやってきた.
玄拓「罰じゃ.罰が当たったのだ.」
そして
玄拓「探しても無駄だ.子供は二度と帰らん.おそらく死んでいようが, 父無し子として一生苦しみ続けるよりも,むしろその方が幸せと言う物じゃ.」
玄拓はこの騒ぎを利用して自分の教えを広めようとしたのだ. 一方,おとよは六太郎が見つかるように一生懸命神に祈った. そしてその晩もおとよは泣いていた.お六も「いっそ死んでしまいたいよ.」と, 泣き出した.外ではお眉と玄拓が見張っていた.お眉の予想した通り, おとよが外へ出てきた.そしておとよは玄拓に首を絞められた. お眉は「じれったいよ.」とほざき,玄拓に石を渡した. 玄拓は石でおとよを殴り殺した.そしてお六のところへ玄拓とお眉は入り, お六も絞殺.百両を物色し,糠床の中から百両を発見した. さらに玄拓はお六を吊るし,首をつって自殺したと見せかけてから, 去って行った.

女牢ではあの病人の様子を主水と忠助が見ていた. 女は夜鷹になる前は下谷の小間物屋の妻だったが,一粒種の息子が神隠しに遭い, 夫が首をくくって「自殺.」しかも夫は「死のう教」を信仰していた. 女はせんかいの仕業だと訴えたが,取り上げられなかったのだ. その足で主水は剣之介のところへやってきた. お歌は「乳を貰い」に外へ出ていた.それを聞き, 主水は遂にお歌に子供が出来たと勘違い.すると寝ていたやいと屋が暴れ, 剣之介の藁葺きのテントは崩れてしまった. やいと屋は夕べ酔っ払って盛んに「死のう教」とわめいていたという. ピンと来た主水は玄拓のところに忍び込み,「せんかいさん」と呼んでみた. 玄拓は思わず声に反応した.そしてお眉に「俺を呼んだか?」と聞いた. 牢屋敷に戻った主水は,忠助から女が苦しんでいることを聞かされた.

主水達は玄拓をやることにした.あれ,今回は捨三が登場しないぞ. それは兎に角,やいと屋は鏡で自分の顔を見て, 鏡に写った顔に紅で大吉と書いた.勝手にやってくれ. さて玄拓のところに現れたお歌はお眉を呼び出した.剣之介はお眉を仕置. そして玄拓はやいと屋の鍼で絶命した…と思ったら, 鍼を抜いた腕をやいと屋の方へ押し,逆にやいと屋を刺そうとした. やいと屋ピンチ…と思ったら,絶命した.芸が細かいぞ,山田吾一さん.

さて長屋の連中は「火事だ」という声を聞いて外へ出た. だが火事など起きていなかった.そのとき,お六の家の灯りがついていることに, 長屋の連中が気がついた.皆が入ってみると六太郎が戻っていた.驚く一同. 長屋の連中は自分達が親代わりになって六太郎を育てると宣言. 「暗闇仕留人」の時に作られた曲に乗せ,主水はその様子を見た. そして主水は安心して帰った.翌朝.また銀次が牢に帰って来た.

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東平 洋史 E-Mail: hangman@basil.freemail.ne.jp