第二十三回

金融詐欺のからくりを暴く.
美女をエサにする国際サラ金

脚本:中村勝行 監督:児玉進

ホテルの部屋の中で女(水島美奈子)がシャワーを浴び, 男は女のお陰で商談がまとまったと礼を言っていた.男は創信工業の社長だった. 男は取締役会で退陣を求められていた. 創信工業の経営状況が良好ではなかったからだ. だが社長は思い切った再建計画をぶち上げ,退陣を拒否した. 社長の再建計画とは現在の工場を閉鎖して千葉に新工場を作ることだった. そしてコンピュータや産業ロボットを導入して人員整理をしようと言うのだ. 専務達は資金繰りを懸念したが,社長は20億円得る目処が立っていると答えた.

取締役会終了後,社長の三津田は城南銀行に電話し,自分の口座に, インターナショナルエコノミーコンサルタントから, 20億円の振込みがあるかどうか,確認した.しかし,思惑とは違い, 20億円は振り込まれていなかった.泡食った三津田は, インターナショナルエコノミーコンサルタントの事務所へ向かった. それを一人の男が車の中から見届けた. 三津田は事務所のあった場所に着くと,そこは空き部屋になっていた.
三津田「ま,まさか.」
落胆した三津田は膝をつき,腰を抜かしてしまった.
三津田「やられた.まんまとやられた.」
そして,三津田は非常階段から飛び降りて投身自殺した.

今週のギャラ交渉

「駒沢オリンピック公園」で園山がチャンプに指令を伝えた.
園山「警察は三津田社長が資金繰りに失敗して自殺したと, そう判断しとるようだが,この事件はそんなに単純なものではないんだ.」
チャンプ「というと?」
園山「陰で大規模な金融詐欺グループが暗躍しとる可能性が強い.」
チャンプ「詐欺グループ?」
チャンプと園山は階段に腰をおろして話し始めた.
園山「以前から経済界の裏でひそかに囁かれてるA資金のことだ.」
チャンプ「あれかいな.しかし,あら眉唾やで. いつも騒がれる割にはケツはいつも尻切れトンボや. あんなもん噂だけで実態はないんちゃうか?」
園山「ゴッドはその存在を認めておられる. だから君達の手を借りて実態を暴こうと.」
チャンプの答えは
チャンプ「も一つ乗れん仕事やな.え.ギャラはいくら出すね.」
園山「400.」
チャンプ「乗れんな.」
園山「じゃ,もう100万,上乗せしよう.」
チャンプ「うん.(首のところに右手をやって)この辺まで乗ってきたけどな, もうちょっとな,(頭のてっぺんを指差して)この辺まで乗らんとな.」
園山は無言だ.
チャンプ「は.もう一声出したれえな.」
園山はアタッシュケースを開け,資料とギャラを渡しながら答えた.
園山「せっかくだけどな,ゴッドから預かってきたのは500万こっきりだ.」
チャンプ「え?」
チャンプはアタッシュケースの中を覗こうとしたが 園山はアタッシュケースを素早くどけてしまった.
園山「君がいくら粘っても無い袖は振れんよ.」
園山はアタッシュケースを開けたまま下に向けたが, 確かに何も落ちてこなかった.
園山「それじゃ,頼んだよ.」
園山を見送りながら
チャンプ「ゴッドのおっさんも考えやがったな.しゃあない. あいつらには450万と言うといたろ.」
それを聞いた園山は思わず振り返った.
園山「何?」
チャンプ「ジョーク,ジョーク.ジャスト,ジョーク.」
園山が立ち去るのを見届けてチャンプも去った.

アジトでチャンプが指令を説明した.A資金とはいわば国際的な闇金融だった. 十年前,中東のある産油国でクーデターが勃発した. そのとき国王は私有財産を国外へ持ち出し, ヨーロッパやアメリカの地下銀行に隠匿した.国王の死後, 隠匿された財産は側近たちの手で管理されているらしい. E・Tもこのことを知っていた. ゴッドはA資金の存在自体を認めているわけではなく, A資金を騙る詐欺グループが存在すると睨んでいたのだ.ゴッドの資料によると, この半年で三津田社長と同じような事件が4件発生していた. いずれも会社の社長や経営責任者が自殺もしくは不審な死に方をしていたのだ. 彼らは経営不振の会社に融資話を持ちかけ,保証金をふんだくり, 逃げてしまうという手口で金を騙し取っていたのだ. 自殺した三津田社長も家屋敷を抵当に入れて7千万円を借りていた. マリアは企業のトップがそんな夢物語に引っかかることが信じられなかった. よっぽど巧妙なからくりになっているに違いない.

E・T達は自殺した三津田社長の身辺を徹底的に洗うことにした. E・Tは東京日報の記者と称して三津田の娘に会った. 三津田の家も家財道具も全て銀行に差し押さえられていた. お茶も出せないことを詫びる程,三津田の娘の生活は苦しかった. しかも三津田の未亡人は持病の心臓病が悪化して入院してしまった. E・Tは20億円もの大金を三津田がどこから得るつもりだったのかと聞いたが, 三津田の娘には全く心当たりが無かった. そこでE・Tは交友関係を娘に聞いてみたが, 三津田は家の中では仕事の話を一切しなかったので, 娘には全く心当たりが無かった. 三津田の娘はE・Tがしつこく聞くので理由を聞いた.
E・T「三津田社長を自殺に追いやった詐欺グループの正体を暴くためにです.」
三津田の娘「詐欺グループ?」

クラブロイヤルではある男(北原義郎)に, 冒頭で三津田が会っていた女が近づいていた.男と女は情事をし, ベッドの中でその女みさは社長にある話を持ちかけていた. 政界に顔の聞く客の話だという.

さてアロハツーリストでは
チャンプ「な,なあ,奥さん.」
加代子「はい.」
チャンプ「野川さん,温泉団体旅行ツアーのパンフありますか?」
加代子「はい.それでは取ってきてあげます.」
加代子はパンフレットを取ろうとした.
チャンプ「ある?」
加代子「えーと.はい.」
加代子はチャンプにパンフレットを渡してやった.
チャンプ「へい,へい,へい,へい.えーと, 奥日光紅葉ツアーのパンフあるかなあ.」
加代子「それもあります.」
チャンプ「ああ,ありましたか.」
加代子「紅葉ツアーです.」
チャンプ「これはまあ,えらい手際がようて.えーとね,まだあるかなあ.」
チャンプはいろいろ考えて
チャンプ「佐渡の金鉱発掘ツアー,タライ舟ツアーてのありますか?」
加代子はパンフレットを探そうとして,ふと気がついた.
加代子「佐渡の金鉱発掘タライ舟?」
チャンプ「はあ.」
加代子「そんなツアーあるんですか?」
チャンプ「そんなもん,あるますかいな.そやから,そのう, 調べてもらえますかなあ,言うてますがなあ.」
加代子「はい.」
チャンプ「な.」
加代子「あのう,私がここにいては何か都合の悪いことでも?」
図星だったためかチャンプは慌ててこうごまかした.
チャンプ「いえ.滅相も無い.はい,実は非常に都合の悪いことがあるんですよ.」
加代子「と言いますと?」
チャンプ「実はわい,奥さんがあんまり色っぽいもんやから, ついムラムラっと.」
加代子「ああん.そんな.」
チャンプ「奥さん.」
チャンプは加代子を抱きしめた.
チャンプ「わいが過ちを犯さんうちに,しばらくわいの前から姿消してえな.」
これは効いた.
加代子「いけません.いけません.私には夫が…」
チャンプ「それで奥さん.」
加代子「あーん.」
チャンプ「もう我慢…」
加代子「お願い.」
加代子はチャンプの手を振り解き,こう言って去っていった.
加代子「佐渡の金鉱発掘タライ舟ツアーのパンフ取って参ります.」
加代子が去るのを見送って
チャンプ「あー,疲れるおばはんやなあ.」
入れ替わりにE・T達3人が入ってきた.
E・T「チャンプ,またなんかやったな.」
チャンプ「アホ.苦労しとるんやないかい.」
4人はアジトへ入っていった.アジトで4人は調査結果を報告したが, 4人とも手がかりなし.チャンプはキャンセルしようかと言い出す始末だったが, E・Tは粘り強く三津田の身辺を洗おうと言うのであった.

さて例の女は先程話を持ちかけていた男, すなわち帝都物産の長峰社長が会いたがっていることを電話で報せていた. 帝都物産は香港支店のドル投機で10億円近く穴をあけてしまったのだ. ボス(田口計)はわかったと答えていた.そして長峰はボス, すなわち久松と名乗る男と会った.久松はA資金の代理人と称していた. はじめ長峰は信じなかったが民友党の狩野洋三の名刺を久松が出し, 狩野が自分の身分を保障していると久松が言ったのですっかり信用してしまった. さらに久松は本店がロンドンにある, IEC(International Economy Consultant)の東京支店が担当していると答えた.

その頃,三津田の娘が三津田の手帳を発見し,E・Tに手帳を預けた. チャンプとE・Tは手帳を調べてみたが,別に怪しい点はなかった. ただロイヤルという名前が頻繁に出てくることをE・Tは気にしていた. ロイヤルという名前は1日おきくらいの割合で手帳に出てきていた. E・Tはクラブかバーではないかというと, チャンプが銀座にある店のことを思い出した.
チャンプ「E・T,これは女や.こいつは女絡みやで.」
E・T「さすが.」

その晩,チャンプはさっそくクラブロイヤルを訪れた.
店員「いらっしゃいませ.」
チャンプ「まあ.」
店員「お一人様ですか?」
チャンプ「二人に見えるか?」
チャンプは席に着き,いい酒と女を注文した. やってきたホステスのルミにチャンプは穀物の商品取引業, すなわち相場師と名乗って聞き込みをし, 三津田社長がミサというホステスと仲良くしていたことを知った. そして帝都商事の長峰社長がミサと会っているところもしっかりと目撃した. 早速チャンプはヌンチャクにミサを尾行させた.だがヌンチャクの尾行は, 冒頭のシーンで三津田社長が騙された事を知るのを見届けた男によって妨害され, 失敗に終わってしまった.

次の日.E・T達は男が何者か考えていた. チャンプは女が一味のものに間違いないと考えた. そして今度は長峰に毒牙が向けられていると考えた. ヌンチャクはミサの家を洗ってみることにした.その頃, 狩野(船戸順)の事務所では久松とともに狩野が男から, ミサに尾行がついたという報告を受けていた. 狩野は久松に早く手を打つよう指示した. ヌンチャクはミサのマンションへ向かったが,朝早く引っ越した後. そして引越し先でミサは,ヌンチャクの尾行を阻止した男に乱暴された後, 男の手で絞殺されてしまった.

ミサが殺されたことをハングマンは新聞で知った. チャンプはミサが情報収集役であると睨んだ. そしてE・Tはチャンプの考えをさらに進めて, ミサが獲物を引っ掛けるための餌じゃないかと睨んだ. これはと思う客に色仕掛けで接近して会社の丸秘情報を探り出すのが, ミサの役割だと睨んだのだ.他の連中もそれに引っかかったに違いない. チャンプは次の標的が長峰だと睨んでいた.

狩野は久松に長峰の感触を聞いていた.久松は感触十分と報告. マリアは長峰にぶつかった振りをして, 久松の胸ポケットにさしてあるボールペンを盗聴機つきのものと摩り替えた. 早速E・Tとチャンプが盗聴開始. 睨んだ通り,長峰は監査役の三島に資金繰りの目処が立ったと言い, 三島が去った後,久松に電話をかけた.その後, 盗聴機付のボールペンを机に置いてしまった. 仕方が無いのでE・Tは長峰をマリアとヌンチャクに尾行させることにし, 自分達は別行動をとることにした.

長峰の乗る車は晴海通りで男を拾い,銀座方面へ向かった. 長峰が久松達と会っているビルとは通りをはさんだ場所に, チャンプとE・Tは陣取り,長峰と久松達が会っている場面をビデオ撮影した. なんと久松は外人を連れてきていた.A資金の存在を信じ込ませるためだ.
久松「年利は5%,その他に保証金として融資額の4%を全納して頂きたい. ま,今回の融資額は10億ですから保証金は4千万ということになりますな.」
長峰「わかりました.早速保証金の工面をしましょう.」
久松「ただし,現金でお願いしたいんですが.」
長峰は驚いた.
長峰「現金で?」
久松「いや,いや.我々の方にもいろいろと事情がありましてなあ.」
長峰「そうですか.それだけの現金がすぐにそろうかどうか,ま, とにかく努力してみます.」
久松「では,契約書に署名,捺印を.」
久松は書類を取り出した.
久松「保証金が入金され次第,あなたの預金口座に10億円が振り込まれます.」
長峰「いやあ,助かります.」
まんまと騙された長峰は書類に署名,捺印してしまった.
長峰「ホントに助かります.」
久松はほくそえんだ.

アジトでE・Tはマリアに命じていた.
E・T「マリア, 二人の唇の動きをコンピュータで分析して会話を読み取ることはできないか?」
デジコンだったら簡単にやっていたことだ.
マリア「難しい注文だけど,やってみるわ.」
マリアは作業に取り掛かった.
チャンプ「わしゃ,女のはらは読めるけどなあ…」
その頃,ヌンチャクは久松達を尾行していた. そしてマリアによる解析結果が出た.
マリア「ではけいやくしょにしょめいなついんを. ほしょうきんがにゅうきんされしだい, あなたのよきんこうざにじゅうおくえんがふりこまれます.」
チャンプ「案の定や.融資話で釣っといて保証金,せしめようっていう魂胆や.」
マリア「これでA資金の実態がつかめたわねえ.」
チャンプ「ああ.」
E・T「しかし,これだけ大掛かりな金融詐欺を仕組むとなると, どうもあの二人じゃ役不足って感じだなあ.」
マリア「え?」
「力不足」の間違いじゃないのか,E・T.
E・T「奴らの背後にもっと大物が控えてるんじゃないかなあ.」
チャンプ「わしもそんな気がする.」
そこへヌンチャクが戻ってきた.ヌンチャクの調べでは,久松は金融ブローカー. もう一人の男は久松の部下で名前は西尾. チャンプは久松と西尾を締め上げようと言ったが, E・Tはもっと大胆な作戦を発案した.

久松けんじの営む共栄金融にE・Tが本庁の刑事田中, チャンプが小山という刑事と名乗って登場した. そして久松と西尾を詐欺および殺人容疑で「逮捕」し, 背広で顔を隠して車で連れ出した. そしてマリアの用意した2つの空き部屋で2人を別々に尋問した. 西尾をチャンプが尋問しているところへE・Tが登場. 久松がミサ殺しを「自供した」と大声で報告した. しかも殺しには自分は全く関知しておらず, 全て西尾が勝手にやったことだと「自供した」と報告した.
西尾「何だって? 冗談じゃねえよ.久松の命令であの女を殺したんだ.」
この作戦に西尾は見事に引っかかってしまった.一方, 別室ではヌンチャクが怪力で金属製の灰皿を叩き潰し,久松を尋問していた. そこへE・Tが登場し,西尾が何もかも話したことを久松に話した.
久松「西尾の奴.いや,俺じゃない.俺が命令したんじゃない.」
E・T「この期に及んで悪あがきはよせ.」
久松「ホントだ,信じてくれ.俺はただ…」
E・T「ただ? ただどうした.」
久松「狩野先生に言われたとおり…」
E・T「狩野先生?」
久松「民友党の狩野洋三だ.」
E・T「狩野代議士.A資金の金融詐欺を仕組んだのも狩野代議士なんだなあ.」
久松はうなずいた.
久松「政治資金を捻出するために全ては狩野先生が.俺達はただ, 言われた通りにやっただけだ.」
以上の会話は全てビデオ撮影されていた. 久松と西尾は眠り薬入りのお茶を飲まされてしまった. 狩野は金権選挙で名を馳せた男だった.その晩. クラブから去る狩野.エレベータの中にはE・Tとチャンプがいて, 狩野を拉致した.

アジトでチャンプ達は金を精算した.
チャンプ「少ないなあ.」
そしてアロハツーリストは閉店した.

ハンギング

三津田の娘晃子のところへ手紙が届いた.
E・Tの声「本日 午後2時 新宿二丁目のバッティングセンターに, おいでください.あなたのお父さんを, 自殺に追いやった金融詐欺グループの正体が暴かれるとともに,その罪状に対し, 社会的制裁が加えられます.」

狩野,久松,西尾は両手を縄で縛られ,フォークリフトで吊るされた. 傍らには軟式野球のボールがたくさん置かれていた.E・Tがボールを1個取った.
E・T「さて,これから面白いゲームを始めよう.」
チャンプ「ええゲームだ.お前達が仕組んだマネーゲームよりも, ずーっと,ずっと,面白いゲームだ.」
E・T「このボールの中に爆薬が仕込んである.」
狩野「爆薬?」
E・T「と言っても,これはテスト用だから,ホンの少量しか入っていないが, それでもちょっとした衝撃があると.見てろ.」
E・Tがボールを投げて木箱にぶつけるとボールが爆発した.
E・T「これだけの爆発効果がある.」
チャンプ「さて,本題に入ろう.この籠の中に入ってるボールの中に, たった一つだけ爆弾が仕込んだボールが入ってる. 今実験した爆弾ボールの10倍の威力がある奴だ.」
久松「貴様ら,いったい何を企んでるんだ.」
チャンプ「は,は,は,は.それは後のお楽しみだ.これかな.あ,違った.」

そしてバッティングセンターでは. 久松と西尾が自白している様子を撮影したビデオが流された. 狩野と久松と西尾は縄で繋がれていた.ビデオを見た狩野は
狩野「久松,これはいったいどういうことだ.」
久松「いやあ,それは.」
車の中からE・Tが無線で指示を出した.
E・T「狩野さん,素直に今の証言を認めたらどうかね.」
狩野「知らん.わしゃ知らん.これは罠だ.でっちあげだ.」
E・T「あくまでもとぼけようというのなら仕方が無い. 諸君,まあ,隣の人形を見るんだなあ.」
隣の人形にピッチングマシンから投げられた球がぶつけられ,人形は爆発した.
E・T「今,ご覧になった通りだ. いよいよ,諸君の目の前のピッチングマシンが動き出す.」
ピッチングマシンからボールが投げられた.
E・T「ピッチングマシンの中には例の爆弾ボールが1個だけ詰められているんだ. そいつがいつ飛び出すか,保証の限りじゃない.」
球はどんどん投げられ, その度に三人は球を避けるために叫び声をあげながらよけまくった. 自白テープが再生される中,その様子を野次馬が, そして晃子も見た.
狩野「やめてくれえ.何もかも,何もかも喋るから,ボールを止めてくれ. 止めてくれえ.」
久松は喘ぎ声を上げた.
西尾「許してください.許してください.」
狩野「A資金の金融詐欺を仕組んだのはわしだ. ミサを,ミサを殺させたのもわしだ.」
E・T「創進工業の三津田社長を騙して自殺に追い込んだのも 貴様達の仕業なんだな.」
晃子はじっと悪党を睨んだ.
狩野「そうだ.頼むから,頼むからボールを止めてくれえ.あ,止めてくれえ. ああ.」
ついに悪党達は座り込んでしまった.パトカーが駆けつけ, 入れ替わりにハングマンは去って行った. そしてチャンプにE・Tが声をかけた.
E・T「飯でも食いに行こうか?」
チャンプ「いやあ,わしもボール遊びしてくるわ.」
E・T「ボール遊び?」
チャンプ「そう.トルコでタマタマ遊び.なんちゃって.」
チャンプはそう言って去って行った.くどいようだが, この頃はソープランドのことをトルコと呼んでいた.
E・T「だめだ,こりゃ.」

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東平 洋史 E-Mail: hangman@basil.freemail.ne.jp