舞台は「横浜」である.今日も浮浪者が中華街などを歩き回っていた.
そして車の中から3人の男が酒盛りをする浮浪者達を監視していた.
男A(大塚吾郎)「どの男ですか?」
男B「右から2番目だ.ほら,今酒飲んだ.」
男C(塚本信夫)「本当にあれがそうなのか? 別人に見えるが.」
男B「あんな馬鹿な暮らしを1年もやってりゃ人相も変わります.
しかし間違いなく本人です.」
男A「わかりました.じゃあ,後は任してもらいましょう.」
男Aに札束が渡された.
その晩.男Aは地元の暴走族に金を渡し,標的の写真を渡した.その頃,
標的となった浮浪者は伊勢佐木町の街頭で絵を売る娘(芦川よしみ)に声をかけた.
浮浪者「さとみちゃん.」
さとみ「ドクター.」
浮浪者「どうかね,商売の方は.」
さとみ「駄目,全然,不景気で.ねえ,後で茶飲まない?」
ドクター「勿論そうするよ.迎えに来るよ.」
さとみ「あ,はい,これサンドイッチ.」
ドクター「いつも悪いねえ.」
さとみ「う,うん.」
ドクター「じゃ,後でね.」
さとみ「後でね.」
その直後,ドクターは橋のたもとで暴走族に襲われ,殺されてしまった.
巻き添えで一人がオートバイにはねられて死亡した.
さとみは事件の現場へ来て,ドクターの死体に抱きついて泣くのであった.
翌日.さとみは加賀町警察署でドクターの遺骨を引き取りたいと申し出た. ドクターは戦争中に軍医の助手をしており, それでさとみが急病のときにドクターに助けてもらったことがあったのだ. さとみだけではなく, 他の浮浪者もドクターに助けられていた.だから引き取り手がいないのなら, 自分で供養しようとさとみは思ったのだ. しかしドクターの遺骨はすでに家族が引き取った後だった. ドクターの正体は尾崎博士. 妻(桜井浩子)はしばらくマスコミには伏せるように刑事に頼んでいた.
さて「馬事公苑」でチャンプは携帯テレビで競馬中継を見ていた.
チャンプ「頼むぞう,頼むぞう,お前,6番.え.
うかうかしとるところにサクラニホンにせきとめさんぞ.頼むぞ,おい.」
そこへ園山がやってきた.
園山「なるほど.せっかく正義を行なって得た大金を
こうして意味もなく浪費してると言うわけか.」
チャンプ「け.なんじゃいな,せっかく人が夢とロマンを追っているというのに.
こういう気持ちは園やんにはわからんやろうなあ.」
園山「わかろうとも思わんがね.早速だが,仕事の話をさせてもらおうか.」
チャンプ「どうぞ.聞かしてもらおうか.」
園山「浮浪者.おい,聞いてるのか.」
チャンプ「え?」
園山「浮浪者だよ.」
チャンプ「浮浪者?」
園山「わかるね.」
チャンプ「わかりますよ.私なんかもね,これですって,
スッテンテンになって帰るときには,まるで浮浪者みたいな心境やからね.」
園山はアタッシュケースからファイルを取り出した.
園山「資料だ.」
資料を見たチャンプは
チャンプ「なるほど.この事件か.で,予算はなんぼほどや.」
園山「500万.」
チャンプ「500.ああ,まあ,そんなもんかもしれんな.」
園山「やってくれるんだね.」
チャンプ「ちょい待ち.」
チャンプは競馬中継に見入った.そして各馬ゴールイン.
チャンプ「ああ,くそう.こらあかん.ちょい.またおけらや.」
チャンプは外れ馬券を放り投げた.そして
チャンプ「園やん,えらいすんませんけどな,
この仕事500万ぽっきりの仕事では引き受けられまへんなあ.」
だが園山はチャンプの言葉を無視して封筒を渡した.
園山「はい,500万.馬の餌にするんじゃないよ.」
園山は去ろうとしたが
チャンプ「あ,園やん,園やん,園やん.それ.8レース,4-5,こうて来て.」
チャンプはギャラの中からお札を何枚か出して園山に渡した.
園山「3-5の方がいいんじゃないの?」
チャンプ「3-5?」
慌ててチャンプは競馬新聞を見た.
チャンプ「本命や.」
園山「そうだよ.」
さて加代子はトランプ占いをしていた.
チャンプ「あかん.野川さん,こりゃ悪い星が出てますよ.
こりゃいかんがなあ.」
加代子「なぜですの?」
チャンプ「これ,これ,これ,これ.男と女が重なりおうてまっしゃろ.
こりゃいかんなあ.こりゃ野川さんのご主人,
浮気しとるのとちゃうやろなあ.」
加代子「そーんな.主人は入院中の身ですもの.」
チャンプ「それや.病院には看護婦さんが仰山いてまっしゃろ.これ,
女が重なってますがなあ.はあ,こらいかんなあ.」
これを聞いた加代子はチャンプのはったりを真に受けてしまった.
加代子「まあ,私,私,主人を他の女に取られたら生きていけませんわ.
私が独りぼっちになってしまったら,いろんな男が私に言い寄ってきて,
ああ,あたし,あたくし,どうしましょう.ああ,駄目,駄目.」
加代子が自分の世界に浸り始めた.
チャンプ「ちょっと,ちょっと.アホなことゆうてないで,ほんなら,
もっと詳しくみたいようやったらトランプよりもね,タロットカードやったら
確実に占えますよ.」
加代子「あ,あの,骸骨の絵が描いてある? ちょっと,あたくし,
買って参りますから.ちょっとどいてください.タロットカード.
もう男の人に…」
加代子は去って行った.
チャンプ「何をゆうてんのや,あのおばさん.」
E・T「大丈夫かなあ.」
アジトでチャンプが指令を説明した. 前の年に横浜で中学生達が浮浪者を襲って二人殺す事件が起こった. 10日前にも似たような事件が起こっており,今年に入って3件目. それが今回の仕事だ. だが浮浪者殺害事件は大抵殺された人物の身元がわからないものだが, 10日前の事件では一人だけ身分が判明した. 家族が密かに名乗り出たからだ.男の名前は尾崎こうたろう61歳. 1年前までは東都医科大学の外科部長で心臓外科の第一人者と呼ばれた男だ. 理由はわからないが,ある日突然大学に辞表を出して蒸発した. 家族や関係者がマスコミに伏せるように動いたため, 新聞には身元が載らなかった. ゴッドはこの事件を一連の浮浪者殺害事件に見せかけた, 実は尾崎殺害だけを狙った事件だと睨んでいた.尾崎が蒸発した後, 高原ゆうぞう(塚本信夫)という53歳の教授が東都医大のボスに伸し上がっていた. 尾崎の一番弟子で次期学長候補のナンバーワンと目されているが,人望がなく, 教職員組合や学生から高原の学長就任阻止運動が起こる始末. しかも高原が先月発表した論文は未発表の尾崎論文を盗作したものだ, と言う噂が流れていた. だから高原にしてみれば,尾崎博士に姿を現されては身の破滅と言うわけだ.
E・Tは東都医科大学に毎朝新聞の記者に化けて外科の職員に聞き込んだ. 尾崎が死んだという噂があるといい,さらになぜ尾崎が失踪したのか聞き込んだ. 職員は尾崎の娘が原因ではないかと答えた.先妻との間に一人だけ娘がいて, 生まれつき心臓の病気を持っていた. それで娘の結婚が決まった時に嫁に行っても子供が埋めないんじゃ困る, と言って自分で執刀して娘を手術した. しかし手術は失敗してしまった.娘は死んでしまった. それから二ヵ月後に尾崎は失踪したのだ.その時, 事務局長の浅田が通るのが見えたので職員達は話をやめた.浅田が通り過ぎた後, 職員は話を再開. 浅田は高原の腰巾着になって出世した人物でCIAと呼ばれていた.
さて浅田は高原に札束攻勢で15名の評議員のうち8名を確保したと報告した. その金は大学の裏帳簿から出ていた. 後はタイミングを見て尾崎死亡を発表すれば, 学生や教職員組合の尾崎復帰待望論も自然消滅するだろう. これで高原の学長就任の障害はなくなった.
一方,マリアは尾崎の屋敷を訪れ,線香を上げたいと尾崎の後妻に言った.
そのとき尾崎の妻は,
前の日に横浜で似顔絵を描いている娘がやってきて同じ事を言ったと言い,
尾崎が死のうと死ぬまいと尾崎家の問題だと言ってマリアを追い返した.
早速マリアは横浜にいるE・Tとチャンプに無線で連絡した.
E・T「というわけだ.チャンプ,後はそっちの出番だなあ.」
チャンプ「ふん.やれやれ.」
チャンプは浮浪者に扮装していた.E・Tは大笑い.
チャンプ「笑いごっちゃないぞ,お前.え.天下のプレイボーイに
こんな格好させんのやから,今回は特別手当もらうぞ.」
E・T「いや,いや.よく似合ってるよ.さすが名優だ.」
チャンプ「ん? 名優? は.ほな,やるか.」
チャンプは葉巻を吹かしながらそう言った.
E・T「ああ,チャンプ,チャンプ.こりゃ洋服に合わないよ.」
E・Tはチャンプから葉巻を取り上げ,自分が吸い始めた.
その晩.チャンプは浮浪者達に混じって酒盛りを始めた.
チャンプの浮浪者姿は本当によく似合っているぞ.山城新伍さんは名優だ.
さて,いつも蝶ネクタイをしているおかまっぽい男が蝶々のロク,
チャンプと酒を酌み交わしていたのが仏のゲンさん(柳谷寛)と呼ばれていた.
浮き草暮らし20年でこの辺でゲンさんを知らないのは潜りだ,
とゲンさんは言った.
チャンプ「わしゃチャンプ言います.よろしゅうに.」
ゲンさん「チャンプ?」
チャンプ「へい.」
ゲンさん「妙な名前だなあ.大阪から出てきたのか?」
チャンプ「そうだす.」
すると
ロク「いやあ,懐かしいなあ.大阪やて.ねえ,ねえ,ねえ,ねえ.
ちょっと,ちょっと,ちょっと.私,京都え.」
ロクさんはチャンプに後ろから抱きついた.
チャンプ「ちょっと目,当たってまっせ.近頃,大阪,景気わるうてねえ.」
ゲンさんはこの辺りも住みにくくなったという話をし,
ドクターともう一人の浮浪者が殺された話をして涙を流した.
さてチャンプはさとみに声をかけた.一方,
ヌンチャクはバイクに乗ってゲームセンターに現れ,
てつおという男に声をかけた.
そして浮浪者殺しをしたのはてつお達ではないかと問い詰めた.
てめえには関係ねえだろうとてつお達はヌンチャクに殴りかかったが,
ヌンチャクの敵ではなかった.
そこでてつお達はナイフを取り出して再度襲い掛かったが,
ヌンチャクのヌンチャクの敵ではなかった.そしてE・Tが現れ,
ヌンチャクと一緒にてつおを問い詰めた.てつおは縄で腕を縛られて吊るされた.
そして
E・T「二度とバイクに乗れないようにしてやる.」
ヌンチャクはヌンチャクでてつおの右足の足首を挟み込んだ.痛がるてつお.
ついにてつおは依頼主の名前を言った.
その頃,チャンプはさとみの部屋で似顔絵を描いてもらった.
さとみ「はい.できた.はい.」
チャンプ「へい.これがわしの顔か.」
さとみ「似てない? ねえ.」
チャンプ「いや,いや,いや.ようできてる.ようできてる.
さすが美大出の専門家だけある.
しかしこうやって見るとわしの顔はえらいスケベ顔に描かれとるな,おい.」
さとみは笑った.
さとみ「いいじゃない,男なんだもん.」
チャンプ「ああ,そうか.話がわかるな.男は助平のがええか.」
さとみ「うん.」
チャンプ「ええ,なんぼもないけど,これいくらはろうたらええかな.」
さとみ「要らないわ.ドクターの仲間からお金なんてもらえないもん.」
チャンプはさとみからドクター,すなわち尾崎のことを聞き出した.
さとみはあの事件以来,毎晩尾崎の似顔絵を前にしてお酒を飲んでいた.
チャンプはさとみが尾崎の家へ行った件を聞くと,
さとみは初七日にお線香をあげたくなっていったと答えた.
だが尾崎の妻にたたき出されたのだ.
さとみは尾崎の家の近所の人に聞いて尾崎が医大の教授だったことも聞き出した.
でもさとみは,自分が好きだったのは浮浪者のドクターだと言った.
尾崎は人間の世界が嫌になって,
浮浪者になって,やっと心が平和になったとさとみ達に言っていたのだ.
さて高原と浅田は銀龍会本部に顔を出していた. 銀龍会のやくざ(大塚吾郎)は新規に開店した 「ローションマッサージ セリーヌ」に高原を案内した. 胸の大きな子が入ったばかりだと言う.高原が待っていると現れたのはマリア. このシーン,#5でも見たような気がするぞ. 高原はマリアを相手に鼻の下を伸ばしてしまった.このシーンも#5でも見たような気がするぞ.マリアは 本当は銀行員だといい,こういうのはじめてなんですと言った.高原は大喜び. マリアをホテルに連れ出した.その頃,やくざは浅田に,高原は好きだねえ, とこぼしていた.さらに,自分の恩師を殺すなんてと嫌な顔をしていた.
尾崎の妻に電話がかかってきた.尾崎の妻はすぐにでかけると答えた. さてホテルで高原はマリアを相手に情事に現を抜かしていた. すると呼び鈴が鳴り,尾崎の妻が登場.尾崎の妻は高原に呼び出されたといい, それなのになぜマリアにうつつを抜かしているのかと怒り狂った. それを見たマリアは外へ出てしまった.高原はマリアを追い, そして高原を追って尾崎の妻も部屋の外へ出た.そこへE・Tが登場. 高原がパンツ一丁になって尾崎の妻と一緒にいるところを写真に撮った. 慌てた高原と尾崎の妻はホテルの部屋へ逃げ帰った. 尾崎の妻は高原を問い詰めたが,高原に心当たりはなかった. そのとき,尾崎の妻はマリアのことを思い出した.
しばらく経って,高原のところにあの写真が送りつけられてきた.
すると尾崎の妻から電話がかかってきた.
尾崎の妻にも写真が送りつけられてきたのだ.
さらにヌンチャクが週刊誌の記者と称し,尾崎の件で会いたいと現れた.
ヌンチャクは尾崎が殺された事件の話をした.
ヌンチャクは横浜の似顔絵描きの女から聞いたと答え,帰ってしまった.
その晩,さとみが浮浪者達とドクターの仇を討とうと言っているところへ,
銀龍会の連中が登場した.さとみを連れ去ろうとしたのだ.そこへE・T,
ヌンチャク,マリアが登場し,銀龍会の連中を捕まえた.
そして銀龍会のやくざ白井を逆さまにつるし,てつおの自白テープを聞かせた.
てつおの声「お,俺はよう,銀龍会の白井さんに100万もらって,
あの浮浪者をやれって言われたんだ.」
白井は白を切った.そこでヌンチャクはガスバーナーに火をつけた.
E・T「なあに,喋りたくなかったらそれでもいいさ.
モロッコの外人部隊のやり方を久しぶりにやってみるか.」
これは効いた.白井は脂汗を浮かべ
白井「待ってくれよ.何でも話す.」
さて評議会の場で高原を次期学長推挙の議案が可決された.高原は涙を流し,
白々しく本来は尾崎がなるはずだったといい,
さらに高原は尾崎の妻きみえを評議会に出し,尾崎の死を発表した.
この事実にマスコミは大騒ぎ.アジトでテレビのニュースを見て
チャンプ「ふ.てめえらで殺しといて,ようぬけぬけとぬかしよるわ.」
E・T「似顔絵描きの彼女,大丈夫なんだろうな.」
チャンプ「大丈夫.ちゃんと安全なところにかくもうたる.」
ヌンチャク「ぼちぼち仕上げにかかりますか.」
マリア「高原に500万円で殺しを頼まれたと言う白井の告白テープがあれば,
後は警察でも.」
だがE・Tは異議を唱えた.
E・T「駄目だな.我々は裁判の証人台に立つわけにも行かないし,
あんなテープくらい,どうにでも否定できる.」
チャンプ「そう.E・Tの言う通りだ.
それに高原の奴は大学の帳簿をごまかして,せっせと大物政治家に献金しとる.
その政治家は暴力団筋にも警察関係にも顔が利く.」
ヌンチャク「やな国だな.日本ってところは.」
チャンプ「ふ.同感やねえ.しかし,
そやからわしらの商売が成り立っとるわけや.E・T,そろそろやろうやないか.」
E・Tはうなずいた.そして分配されたギャラを全員受け取り,
アロハツーリストは閉店した.
深夜にきみえのところに電話が掛けられた. なんときみえは高原と同じベッドで寝ていた. 電話はヌンチャクに脅かされた白井からのもので, 尾崎のことで会いたいというのだ.迎えの車をやったので すぐ来て欲しいと言うのだ.迎えの車には浅田も縛られて載せられており, きみえと高原は催眠スプレーで眠らされてしまった.
さて翌朝.さとみの隠れ場所で
さとみ「チャンプ,おはよう.」
チャンプ「あ,おはよう.よく眠れたかな.」
さとみ「うん.」
チャンプ「じゃあ,行こう.」
チャンプは「ベットハウス朝日」からさとみを連れ出した.
チャンプ「さとみちゃん,場所,わかるな.」
さとみ「うん.」
チャンプ「じゃ,急いで,行った.」
さとみは振り返って聞いた.
さとみ「チャンプ,あなたいったい誰なの?」
チャンプ「この際,んなことはどうでもええがな.さ,はよう,行った,
行った.」
さとみはうなずいて出て行った.
気がつくと山下公園で高原ときみえは手錠につながれてベンチに座らされていた.
周りを浮浪者が取り囲み,近寄ってきた.
チャンプ「おい,みんな,この二人やど,ドクターを殺したのわ.」
二人は逃げようとしたが浮浪者達に囲まれてしまった.
E・Tがリモコンスイッチを入れるとスピーカーからテープが再生された.
白井の声「浮浪者の中のどの男が尾崎教授か俺に写真で教えたのは高原先生だ.
高原は尾崎を殺せと言った.確実に殺せと.
一緒に浮浪者を4,5人殺せば尾崎を狙ったとはわからないからだ.」
高原「やめろ.そうじゃないんだ.誤解だあ.」
きみえ「やめて.やめてよ.」
野次馬も大勢集まってきた.浅田と白井は柵に縛り付けられていた.
浅田の声「尾崎教授が生きてる限り,高原教授は学長になれないんじゃないかと.
尾崎教授が浮浪者をやめて大学に戻ってきたら,この一年間に
自分のやってきたことが全てばれてしまうから殺しを頼んだんだ.」
高原「黙れ.貴様,俺が事務局長に取り立ててやったのを忘れたのか.」
浅田「あの論文だって,尾崎先生の未発表の論文を奥さんに500万払って
買い取ったんじゃないですかあ.」
高原「黙らんか.」
白井「やめろ,先生.もう何もかもおしまいなんだよ.」
高原「うるさい.この裏切り者.」
白井「黙れ.じたばたするんじゃねえ.」
きみえ「あたしは関係ないわよ.あなたがやったんじゃないの.」
高原「お前も裏切るのか.そうはいかんぞ.
元々,尾崎を殺せば何もかもうまく行くと言ったのはお前じゃないか.」
きみえ「嘘よ.嘘よ.」
高原「何が嘘だ.」
悪党どもの醜態を見て,ついにゲンさんの怒りが爆発した.
ゲンさん「先生よう,あんた方はうめえものを食って,きれいな着物を着てる.
俺達はこんななりをしているがよう,おめえ達みてえに
(大声で)魂は腐っちゃいねえんだ.」
高原はそっぽを向いた.
ゲンさん「馬鹿野郎.」
チャンプ「そうだ.馬鹿野郎だ.」
パトカーのサイレンが響く中,悪党達に浮浪者が残飯を投げつけた.
それをさとみも見た.そして悪党達はパトカーで連行された.
E・T「チャンプ,どうだった.浮浪者暮らしは.」
チャンプ「ああ,意外と悪くなかったなあ.
考えて見りゃ,見栄張る必要もないし,明日の生活費の心配することもないし,
へ,尾崎の気持ちがわかるような気がするなあ.」
マリア「いっそ,このまま続けたら.」
チャンプ「ほなそうしようか.ほっとけ.」
ハングマンは大笑いして去っていくのであった.
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