第十二回

サラ金の借金肩代わり屋の正体を暴く.
サラ金苦につけこむ吸血肩代わり屋

脚本:中村勝行 監督:小西通雄

マリアがヌンチャクを相手に格闘の訓練をしていた. それを見ていたE・Tはナイスアクションと誉めていた. ちなみにチャンプは女子大生の研修ツアーと聞いて目の色を変え, ハワイへ添乗員として出かけていったので留守だった.

さてE・Tがアロハツーリストに戻ると
E・T「ただいま.」
加代子「あ,お帰りなさい.」
E・T「何か変わったことは?」
加代子「いいえ,別に.」
そう言って加代子はE・Tの着るジャケットのほこりをはたいてやった.
加代子「あ,そうそう.小出さんからさっき国際電話が入りました.」
E・T「国際電話?」
加代子「全て順調にいってるから心配いらないって.」
E・T「何が順調なんだか.」
加代子「は?」
E・T「いや,別に.他には.」
加代子「あ,そうそう.4日前に出発したマニラツアーの団体が, 今日の6時30分に予定通り成田に到着します.」
E・T「あ,そう.」
加代子「誰か迎えに行かなくていいんですか?」
E・T「いや,別に.添乗員がついてるから,まあ.」
加代子「何かお手伝いしましょう.」
E・T「いやいや.別に結構です.」
加代子「そうですか.」
E・T「はい.」

その晩,成田空港に一人の男が外国から帰国してきた. その男塚本は運び屋をやらされていたのだ. 塚本は取引相手の男(亀石征一郎)にヤクを渡し, もうこの仕事から足を洗いたいと告げた. 男は塚本に借金を肩代わりして一家心中の 危機から救ってやったことを盾に取り,翻意するよう要求したが, 塚本の決意は変わらなかった.そして塚本は車にはねられて死んでしまった.

翌朝の新聞でE・Tは塚本精一が事故死したことを知った. 軽く考えていたE・Tがアロハツーリストへやってくると
加代子「結城さん,お待ちしてましたわ.」
E・T「ん?」
加代子「たった今,うちのツアー客の奥様からお電話がありまして,あのう…」
E・Tはピンと来て新聞を加代子に見せながら,こう言った.
E・T「ひょっとしたらこの男のことじゃないですか.」
加代子「これです.この事故のことで詳しくお話を伺いたいって.」
E・Tは塚本の家を訪れた.警察ではただの轢き逃げ事件と考えていたが, 塚本の妻は納得していなかった.家にまっすぐ帰らず,しかも何も連絡せずに, 家から遠く離れた事故現場を歩いていたことを不審に思っていたのだ. さらに塚本の妻は家のローンの支払いのために, サラ金から500万円の借金をしていたことも話した. だが二ヶ月前から返済が滞り,毎日脅迫紛いの手紙が来たり, 電話が掛かってきたりしていた. それなのに10万円もかかるツアーに塚本が参加し, 代金を前金で納めていたことがおかしいと塚本の妻は考えていたのだ. そんな塚本の家を緑色の車に乗った男(ガッツ石松)が見張っていた.

今週のギャラ交渉 その1

「上野動物園」でE・Tはこの事件を売り込んだ.
園山「犯罪が絡んでいるという確信はあるのかね.」
E・T「なければ,あなたをこんなところにわざわざ呼び出したりはしませんよ.」
あまり乗り気ではないらしく,園山は話をそらした.
園山「何年ぶりかなあ.」
E・T「え?」
園山「動物園なんかに来たのはさ.そうだ,3年前に一度来たことがある.」
E・T「それより,仕事の話を.」
園山「持ち込みの仕事だけに私としては100%信用するわけには行かない. とりあえず調査費用だけということにしてもらえんかねえ.」
E・T「結構です.」
園山は意外に思ったらしい.
園山「かまわんのかね,それで.」
E・T「我々の報酬は犯罪事実が明らかになってから請求します.」
園山「いやあ,君は金銭に淡白だねえ.小出君と大違いだよ.」
園山は本当にチャンプのことが嫌いらしく,大喜びで話した.
E・T「必要なときは頂きますよ.」

さてアロハツーリストでは加代子がパンフレットを見て顔を赤くしていた. アジトの中では
E・T「50万.こいつはさしあたっての調査費だ.」
マリア「それにしてもたったの50万なんて随分安く請け負ってきたもんね.」
ヌンチャク「全くE・Tもお人よしなんだから. 相手はゴッドの金庫番なんですよ.しかもあの通りの官僚主義でしょう. 後払いなんてことになったら値切られるに決まってるよな.」
E・Tは苦笑した.
E・T「まあ,そうぶうぶう言うなよ. 仕事にあぶれて暇を持て余してるよりましだろう.」
ヌンチャク「まあ,そうっすねえ.」
マリア「決めてきちゃったんだから今更ぼやいても始まんないわ. 早速仕事に取り掛かりましょう.」
そこでマリアとヌンチャクは塚本の交友関係を, E・Tはサラ金を調べてみることにした.

E・Tは興信所の者と称してサラ金に聞き込んだが,収穫はなし. サラ金を出たE・Tはさえない男(ガッツ石松)に声をかけられた.
男「よう,兄ちゃんよ.よ,二枚目.何を嗅ぎ回ってるんだい?」
E・Tは身構えたが
男「おっとっと.そんなおっかねえ顔すんなよ. は.どうやら俺とご同業らしいなあ.」
E・Tは呆気に取られてしまった.
E・T「同業?」
男「俺は私立探偵の三次忠治ってもんだ.」
男は自分の似顔絵入りの名刺をE・Tに渡した.
男「忠さんと呼んでくれ.」
E・T「俺は私立探偵なんかに用はない.失礼.」
E・Tは立ち去ろうとしたが
忠さん「ちょっと待てよ,二枚目よ.俺なあ,結構いいネタつかんでるんだぞ. なんならさあ,手組んだっていいんだぜ.」
E・T「いいネタ?」
忠さん「なんだよ.立ち話もなんだからよ,俺の事務所よってけえな. ちょっとそこなんだ.うまいもんご馳走するからよう.ついて来な.」
E・Tは三好について行く事にした.

三好の事務所は掃除もしていないらしく,埃は溜まり放題, 蜘蛛の巣は張り放題と凄まじい状態だった.そしてE・Tはおいしいもの, つまりインスタントラーメンをご馳走になった.三好はE・Tに用件を話した. 実は三好も塚本精一の件を調べていた. 三好はこの事件が金になると思っていたので勝手に調べていたのだ. E・Tは三好の話に乗ることにした. 三好は例のサラ金で金を借りた人物のリストを持っていた.
三好「こいつらはさっきのサラ金から金を借りて返済に四苦八苦している連中だ. ところがよ,いつのまにか借金が0になっちまうんだってよ.」
E・T「0に?」
三好「ああ.こりゃ,きれいさっぱり清算したってわけよ. そりゃまあ,借りた金を返済するのは当たり前の話なんだが 先々月までピーピー言ってた連中がだよ,100万からの金を返せるのかよ. どうも俺は腑に落ちねえんだよ.あんただってそう思うだろう.」
E・T「それじゃあ,塚本精一も?」
三好「ああ.十日ほど前に利子と元金耳をそろえて返済してるぜ.」
E・T「いったいどういうことだ?」
三好「これは俺の感なんだが, こいつらの背後では借金の肩代わり屋がいるのかもしれねえなあ.まあ, そいつらの正体を突き止めて揺さぶりかけりゃあ, 二千万や三千万の金にはなると俺はそう睨んでるんだがなあ.」
E・T「しかし,そんなにいい金儲けならなぜ一人でやらないんだ.」
三好「そこんところが問題なんだよ.この山調べるには金と暇がいるんだ. ところが暇の方はたっぷりあるんだがよ,軍資金の方が底をついちゃってなあ.」
E・T「よーし,わかった.一枚乗ろうじゃないか. ただしこっちにも条件がある.」
三好「条件?」
E・T「俺は今まで一匹狼でやって来た. 足手まといになるような相棒ならお断りだなあ.」
三好「俺が信用できねえって言うのかい.」
E・T「まあな.」
三好は右手を出した.
三好「こうして知り合ったのも何かの縁だ.仲良くやろうぜ.」
E・Tが三好と握手した瞬間,E・Tの顔は苦痛にゆがんだ.
三好「これが俺の特技よ.」
E・T「なんだ,この技は?」
三好「関節はずし.昔接骨院で働いていたことがあるんだ. 今風に言えばカイロプラクティックってとこかなあ.」
E・T「あ,わかった.元に戻してくれ.」

E・Tは三好のことと三好から聞いた話を報告. 逆にマリア達の方は何も収穫がなかった.
マリア「ねえ,E・T.実際にその借金の肩代わり屋がいるとしたら, その連中の目的ってなんなのかしら.」
E・T「それを暴き出すためにもあの男を利用した方が得なんだ. この件に関しては俺達より情報が豊かだからなあ.」
やはりE・Tは三好よりも一枚上だった.

その頃,サカベ貿易では社長(亀石征一郎)に男が塚本の後釜を探した方がいい, と言っていた.社長は石田安雄という男に目をつけていると答えていた.次の日, E・Tは三好と渋谷駅東口で待ち合わせた. この頃は都営バスが2001年現在の塗色に塗り替えを始めたばかりで, 白地に青帯の都営バスや,黄色地に赤帯の都営バスや, 白地に緑帯の都営バスの姿も見える. また営団地下鉄銀座線も黄色い旧型電車が走っていた.
三好「よ,二枚目.待ったかい.」
E・T「どうでもいいけどその二枚目ってのはやめてくれよ. 俺にはちゃんと結城五郎って名前があるんだからなあ.」
三好「は,は,は.照れることはねえだろう.」
E・T「で,どうだった.」
三好は手帳を取り出してE・Tに渡した.
三好「これ,奴らが食いつきそうな鴨が見つかったぞ.」
三好も石田安雄に目をつけていた.タクシーの運転手だが, ギャンブルに狂ってしまい,例のサラ金から200万程借金しているのだ. もちろん返済の目処は立っていない. そこでE・Tは三好を囮に使う作戦を発案した.
三好「おい,二枚目.その石田って野郎はな,所帯持ちなんだぞ. 俺チョンガーじゃねえか.身元調べたらすぐばれちゃうじゃねえかよ.」
E・T「あんたの女房役は俺が探しとくよ. 石田夫婦とそっくり入れ替わればわかりゃしないよ.」
三好「大胆な発想だな.」

今週のギャラ交渉 その2

「浜離宮」で園山は出歯亀をしていた. 新聞を四角に切り抜いて目だけ出るようにしていたのだ.そのとき, 園山の目を誰かの手が遮った.園山は口で手を吹いた.だがまた手で遮られた. 仕方がないので園山が新聞をどけると
園山「あ,君か.」
E・T「何か珍しいもんでも見つけましたか.」
虚を突かれた園山は大慌て.
園山「いや,いや.ちょっと新聞の切抜きをね.」
園山は出歯亀するために切り抜いた部分をE・Tに渡した.
E・T「新聞の切抜きねえ.」
逃げる園山をE・Tが追いかけた.
E・T「園山さん.園山さん.園山さん.」
E・Tは園山を捕まえた.
E・T「早速ですが,現金をいただきましょうか.」
園山「あ,そうだったな.」
園山は懐から封筒を出した.
園山「300万でいいな.」
E・Tは封筒を懐に入れた.
園山「必要経費なら仕方がないが, そのサラ金から領収書をもらっといてくれよ.」
E・T「大切な切抜きですよ.」
E・Tは園山に切抜きを返した.園山は切抜きを口にくわえるのであった.

さてタクシー会社でE・Tは本物の石田安雄(吉田良全)に声をかけ, 借金の清算と夫婦で旅行へでかける費用を出すことを持ちかけた. 石田は信用しなかったがE・Tが札束を見せた途端に信用した. さらにE・Tはエステクラブでエアロビクスをしていたマリアに電話し, 石田の妻に化ける作戦の目処が立ったことを伝えた. そしてE・Tは三好を石田のアパートへ連れて行った.
三好「二枚目の彼女ならきっといい女なんだろうな.」
そして石田のアパートに着いた.
E・T「名探偵,あの1階の2号室だ.」
三好「Ok!」
三好は部屋へ入っていった.待っていたのは変装したマリア. もじゃもじゃ頭に牛乳瓶の底のように分厚いレンズのメガネをかけ, 大きなほくろまである.さえない服を着ており, 本当にさえない中年のおばさんという感じだ.三好はがっかりしたらしい.
三好「二枚目の(小指を立てて)これ?」
マリア「それが何か?」
三好「いや.もうちょっと,いい女かなあと思ったんだけどよう.」
マリア「ブスで悪かったわねえ.」
三好「まあ,いいや.休みなんだけどよ.」
三好はタバコを吸い,卓袱台で一服.さらに
三好「ねえちゃん,今日から俺が仮の亭主だからよう, ビールでも飲ましてもらおうかなあ.」
マリア「お生憎様.見りゃわかるわよ.」
冷蔵庫の中身は空っぽに近かった.
三好「何にも入ってねえじゃないかよ.」
マリア「200万もの借金抱えてるんだから ビールなんて飲めるわけないじゃないのよ.」
三好はテレビをつけようとしたが,
マリア「あ,それ,映んない,映んない.」
三好「は?」
マリア「壊れてるみたい.」
三好「壊れてるテレビ置くなよ!」
仕方がないので
三好「寝るだけか.」
三好は卑猥な笑い声をあげた.だが押入れを開けてみると
三好「布団もねえじゃねえかよ.」
三好は憮然として押入れの上の段に座った.
マリア「あ,そうそう.いざというときのためにこの時計.高性能の盗聴機よ.」

早速敵がやって来た. サラ金被害者の救済センターの者と称する男がやってきたのだ. 男はサラ金の肩代わりを持ちかけた.ただし条件があるという. 一つはパスポートを用意すること.二つ目はマニラへの航空券を用意すること. できればパックツアーのものがいい. 細かい話は旅行の用意が出来たら話すといい,男は帰って行った. 早速ヌンチャクがバイクで男を尾行した. 男はサカベ貿易に入っていった.代表は坂部哲三.資本金は2500万円. 年商1億5千万円.輸入雑貨を扱っている個人経営の会社だ. E・Tは事件のからくりをこう推理した. サラ金の借金に困っている人を釣り上げて旅行客を装わせてマニラに飛ばせる. そして密輸をさせる.問題は何を扱っているかだ. E・Tは自分のパスポートを元に「石田安雄」のパスポートを偽造した. そして三好をアロハツーリストへ呼び寄せた.
三好「あのう,俺,石田ってもんだけど.」
加代子「はい.結城さんから伺っております. マニラ行きのパスポートと航空券でございますね.ご出発は15日の午後3時. 集合時間は午後1時.成田空港の出発ロビーにお越しくださいませ. オリエントツアーの添乗員がお待ち申し上げております.」
三好は加代子に見とれてしまったようだ.しばらくボーっとしてたが, 我に返ってこう答えた.
三好「あ,あ,こりゃご親切にどうも,どうも.」
三好はパスポートと航空券を受け取った後も, 加代子に見とれて口を開けてしまう始末.加代子は赤くなってしまった.
三好「きれいだねえ.う,は,は,は,は.」
三好が加代子の左胸に手を伸ばしたので加代子は三好の手をはたいた.
加代子「何するんです?」
三好「いや,違う,違う,違う.おねえさんのおっぱい,これはれてるからねえ, もんでやろうかなあと思って.」
加代子「とんでもない.」
三好「どこぶつけたんですか? おねえさん,僕とデートしないですか?」
加代子は椅子に座った.
三好「あのね,僕の車でね,デートしましょう.」

三好はパスポートと航空券が用意できたことをサカベ貿易に連絡した. 坂部は部下に三好を例の場所へ連れて行くよう指示. 三好が乗せられた車をE・T,ヌンチャク,マリアの乗った車が尾行した. 車が山中湖の脇の別荘についた.それをE・T達も見届けた. 三好は出発までの3日間をこの別荘で過ごすことになった. そして坂部の部下は三好に仕事の内容を説明した. まずアタッシュケースに入った現金をマニラへ持っていく. そしてこの現金と引き換えにヤクを買い付けて日本へ持ってくるのだ. 坂部の部下は三好にパスポートと航空券を出すように言った.そのとき, 三好の胸ポケットからあの顔入りの名刺がこぼれ落ちてしまった. まさに迷探偵だ.これで三好の正体がばれてしまった. 異変を察知したE・T,ヌンチャク,マリアは外から別荘の様子を伺った. 三好は坂部の部下達にぼこぼこにされ, ネタを探って強請るつもりだったことを吐いてしまった. 坂部の部下の一人は坂部に相談するため東京へ戻った. しかし三好はE・T達の正体は話さなかった. 三好は関節はずしを応用して縄抜け.そして別荘から脱出した.
三好「おーい,二枚目,助けてくれ.」
E・T「よーし,行くぞ.」
E・T,ヌンチャク,マリアは坂部の部下を撃退し,三好を救出した. ヌンチャクとマリアを見た三好は
三好「おい.こいつらは誰だ.」
E・T「俺の助手だ.」
三好はマリアを見て
三好「あんた,どっかで見た顔だなあ.」
マリア「そう?」
E・T「それより,忠さん.この際,金儲けの話は忘れた方が良さそうだぜ. 奴らを引っ掛けて警察に引き渡した方がスカッとするぜ.」
三好「いやあ.こいつらに散々痛めつけられたからなあ.このままじゃ, 腹の虫がおさまらねえぜ.もうちょい痛めつけてやるぜ,俺が.」
E・T「忠さん,もう伸びてるんだよ.」
三好「ホントだ.」

坂部は戻ってきた部下の島村に三好を利用することを指示した. そこへ電話がかかってきた.電話は三好の仲間と称したE・Tからのもの. 別荘に隠してあった10Kgのヘロインを5千万で買えと言うのだ. 取引場所は築地東町の工事現場.

石田の借金はハングマンが負担することになったが
ヌンチャク「でもいつもより報酬がよさそうだね.」
E・T「勿論.経費を差っぴいて一人120万だ.さあ探偵が待ってるから急ごう.」
なんとなく計算が合わないような気がするが, とにかく,アロハツーリストは閉店した.

ハンギング

坂部は旭星会の矢島と一緒に取引現場へ向かった.そして坂部,島村, 矢島の3人がヘロインの入ったトランクの乗った板の上に乗り, 中身を確かめた途端,板はクレーンで吊り上げられた.
坂部「降ろせよ.やめろ.」
矢島「降ろせ.」
島村「降ろしてくれよ,おい.降ろしてくれえ.」
だが板はどんどん上げられた.そして野次馬が集まる中 「大公開! 麻薬密輸および塚本精一殺害一味」という垂れ幕も板から下ろされた. その様子を塚本の妻も見た.三好も笑みを浮かべた. パトカーのサイレンが響く中,ハングマンと三好は去って行った.

三好「は,は.胸がスカッとしたぜ.」
E・T「儲けがふいになったけどなあ.」
三好「ま,いいさ.また俺がいいネタつかんでくるよ. それにさっきからどうも気になるんだけどなあ.」
E・T「何が?」
三好はマリアを見て
三好「あんた,どっかで見たことある気がするんだけどなあ.」
マリア「他人の空似じゃないんですか?」
三好「なあ,どうもなあ.」
E・T「じゃ,俺達はここで失礼する.縁があったらまた会おうぜ.」
三好「はは.また俺の事務所によってくれや.」
E・T「ああ.」
三好は利用されたとも知らずに去って行った.
マリア「あの人意外に鈍いわねえ.」
E・T「よくあれで探偵がつとまるよ.」
E・Tとマリアは大笑い.その頃,三好はくしゃみをしていた.
三好「ちきしょう,あいつら俺の噂してやがるな.」
そして三好は気がついた.
三好「わかった.あの女,トルコのさとみにそっくりだ.ははは. また指名しよう.」
しつこいようだが,この頃はソープランドのことをトルコと呼んでいた. それはともかく,マリアもくしゃみを二回もするのであった.

「新ハングマン」へ 「ほぼ全話のあらすじ」へ 「ほぼ全話のキャスト」へ 「緊急指令トラトラトラ」へ 「私の好きなテレビ番組」へ 「touheiのホームページ」へ戻る.


東平 洋史 E-Mail: hangman@basil.freemail.ne.jp