新宿のディスコで若い男が女を誘った.女は男についていき,車に乗った. そして小田急の多摩川の鉄橋の脇に着いた時, 女は男にナイフで殺されてしまった.
E・Tは行きつけのガソリンスタンドに車を運び, ガソリンを満タンにすることとオイルを見ることを店員に頼んだ. 店員がついでに洗車しましょうかと言ったのでE・Tは洗車も頼み, 後で取りに行くと言って去って行った.
さてE・Tがアジトに着くとチャンプが新聞を手にしていた.
チャンプ「おい,E・T.これは銭になるぞ.これで3人目や.」
新聞に多摩川の河原で若い女性,すなわち中原由美が殺された記事が載っていた.
チャンプ「わしなあ,最初の殺しがあったときに,
これは警察も手焼くヤマになるなあ,思うて,
念のために切抜きを取っといたんや.見てみい.」
チャンプはE・Tにファイルを渡した.
チャンプ「一番最初が新宿歌舞伎町のラブホテル.二番目が六号埋立地.
今度が多摩の川原や.
被害者はいずれも新宿のデスコに出入りしているメダカの兄弟娘や.
殺しの手口はみーんなおんなじ.警察も躍起になって捜査しとるけども,
未だに手がかりはつかめず.どや.これだけ条件が揃うと,
そろそろ我々ハングマンの出番が回ってくるっちゅうことにならんか?」
E・T「しかし,警察が手を焼いてるような事件なら,
必ずゴッドから指令が来るはずだ.それを待ってからでいいんじゃないのか.」
チャンプ「甘い,甘い.仕事や女はこっちからアプローチしろや.
なあ,マリア.」
ドサクサに紛れてチャンプはマリアの尻を叩いた.
お返しにマリアはチャンプの手をはたいた.
チャンプ「いーてぃー.」
ヌンチャク「何してるんですか?」
チャンプ「ケツ触ったんや.」
突然,マリアが言った.
マリア「女として許せないわ,こういう手合いは.」
チャンプは慌てた.
チャンプ「ちょっと待ちいな,お前.
わし,そんなつもりでケツ触ったわけじゃないやわいな,マリア.」
ドサクサに紛れて,またチャンプはマリアの尻を触った.
E・T「チャンプ.」
チャンプ「いや,わしは下心があってやったわけじゃない.」
マリアは笑った.
マリア「あたしが言ってるのはこの事件の犯人のこと.」
チャンプ,一安心.
チャンプ「ああ,犯人のことかいな.そんならわかる.
おじさんかて怒ってるんだぞ.若い娘を次々に手に掛けよってからに,
もったいない.許さん.」
E・T「まあ,とにかくいっぺん園山に掛け合ってみるんだな.」
というわけでチャンプは「羽田 東京国際空港」のわきで園山と会った.
チャンプ「なあ,園やん,どないでっしゃろ.このままほっといたら第4,
第5の犠牲者が出まっせ.そうなってからでは一大事や.
あんたかてゴッドの信頼を失うことになる.
わるくしたらチョン(首を切られるポーズ)ということになりまっせ.」
園山はあまりいい顔をしなかった.
園山「んな馬鹿な.くだらん冗談はやめたまえ,君.」
チャンプ「園やん,あんた,ホンマに石頭やなあ.
わいは冗談や洒落で言うとるのとちゃいまんのやで.
本気で事態を憂慮してまんのや.これは銭金の問題やない.
純粋に社会正義の見地から心配してまんのや.」
園山「それなら私に相談する必要はない.勝手にやったらいいだろう.」
チャンプ「勝手に?」
園山「第一,君ねえ,これは警察が捜査中の事件なんだぞ.
まだ結論も出ておらんし,捜査が難航しているという報告も受けてない.
だからハングマンを出動させる理由はどこにもないんだ.」
チャンプ「ああ,はあ,そうでっか.それやったら勝手にやらせてもらいますわ.
わしらかて正直言うてねえ,このう,捜査つきの仕事っていうのは
窮屈でんがなあ.なら,警察を向こうに回して思う存分やらしてもらいますわ.」
この言葉を聞いた園山は態度が変わった.
園山「思う存分?」
チャンプはうなずいた.
チャンプ「ゴッドによろしう.」
チャンプは立ち去ろうとしたが
園山「ああ,君,君.わかった.わかった.じゃあ,
改めて私の方から指令を出そう.とりあえず調査費として100万.」
金をもらえると聞いたチャンプはこの額に満足しなかった.
チャンプ「おおっと,園山はん.これは受け取りの仕事と違いまっせ.
わしの企画や.経費と報酬占めて500万もらわんことには話になりまへんな.」
園山「500? これは銭金の問題じゃない,
社会的正義の見地からだと言ったのは誰だったかな.」
園山の嫌味にも負けずにチャンプは言い返した.
チャンプ「園やん.本音と建前を使い分けるのが商売のこつでんがな.」
園山「君は道を誤ったようだな.セールスマンにでもなってれば,
今頃はきっと大成してただろう.」
チャンプ「そらおおきに.あんたかて銀行の貸し付け係になっとったら大出世や.
は.ごちゃごちゃ言うとらんと,ほら,出しい.500万.」
園山「ただし,この仕事が不成功に終わったら,
この500万はそっくり返してもらうよ.」
チャンプ「ちょっと待った.そっくりって,そりゃないで,園山はん.
わしらの報酬はともかくとして調査費の100万の方は別勘定にしてもらわんと.」
園山「これはねえ,君の持込の仕事なんだよ.
それぐらいのリスクはしょってもらわないと.それが嫌ならいいんだよ.」
園山の方が一枚上だった.
チャンプ「ああ,わかった.わかりました.ほんまにあんた,食えん男やなあ.」
園山「おおきに.」
チャンプ「どういたしまして.」
さてE・Tの車にワックスをかけていたガソリンスタンドの店員の健次のところへ, デカ長(深江章喜)がやってきた.調査に協力しろというのだ. 健次は協力を断ったがデカ長は健次の恋人のひろこに聞くという. 健次は自分もひろこもフーテン仲間から足を洗っているから無駄だと答えたが, デカ長はそのことをネタに情報係になれと強請った. デカ長は悪態をついて帰っていった.デカ長と入れ替わりにE・Tがやってきて, 車を受け取った.そしてワイキキ風レストランでチャンプと会った. 報酬は得られたが取っ掛かりがつかめなくて困っている, とチャンプはE・Tに話した.E・Tは囮作戦を提案した. 早速E・Tはエアロビクスをしているマリアに電話した. アジトにハングマンは集結し, 歌舞伎町のディスコでマリアを囮に犯人をおびき寄せることにした. その頃,健次は恋人のひろ子に会い,7時に新宿で会おうと約束していた.
その頃,北郷観光開発の社長(藤岡重慶)のところへチャンプが目をつけた
殺人事件の犯人,すなわち社長の息子の英彦がやってきて小遣いをせびった.
そしてその晩,
英彦は公衆トイレで身支度を整えて新宿歌舞伎町へ出かけて行った.一方,
マリアがディスコで踊り,同じディスコでヌンチャクがマリアを見張っていた.
チャンプとE・Tは外の車の中で待機していた.
だがなかなか犯人はかからなかった.
E・T「そう簡単にはかからんだろう.」
チャンプ「こりゃ持久戦になりそうやなあ.」
E・T「まあ.」
チャンプ「なあ,E・T.」
E・T「ん?」
チャンプ「盛り場のど真ん中で大の男が二人,
車の中でしけこんでいるってのは気色悪いね.ホモと間違えられるか,
ええ年こいてナンパはってるみたいやがなあ.
これは交代で見張るようにせんか?」
E・T「いいだろう.」
チャンプ「よし.まずわしからその辺で一杯やってくるわ.」
とチャンプが出て行こうとしたとき,チャンプは一人の男を見つけた.
チャンプ「おい,あの男.」
それは健次を強請ったデカ長だった.
E・T「チャンプ,知ってんのか.」
チャンプ「あいつは確か緑橋署の…そや,間違いない.
わしが署長時代に殺しの捜査協力を依頼に行きおった時におうたことがあるわ.
一癖も二癖もある胡散臭い奴やった.」
E・T「そういえば,俺も見たことがあるなあ.」
チャンプ「あ?」
E・T「あのガソリンスタンドだ.あの男,刑事だったのか.」
水島ひろ子は健次が来るのが遅いので待ち合わせ場所を出て, ゲームセンターへ行ってしまった.遅れて健次がやって来たが後の祭り. ひろこに英彦が声をかけた.ひろこは誘いに乗って英彦の車に乗ってしまった. そこへ健次を強請ったデカ長が目をつけた. そして英彦の車のナンバーを見届けた.
さて9時頃に戻ってきたチャンプは酔っ払っていた.
チャンプは車の中で寝てしまった.
E・T「その代わり,眠った時間だけギャラから差っぴかせてもらうぞ.」
それを聞いたチャンプは跳ね起きた.
チャンプ「今の一言で完全に目が覚めた.」
E・T「単純だなあ.」
チャンプ「やったるで.」
水島ひろ子は男に乱暴され,殺されてしまった.
そのことをE・T達は新聞で知った.4人はアロハツーリストで話し合った.
チャンプ「完全にはぐらかされたなあ.」
E・T「ああ.」
マリア「きっと危険を感じてハントする場所を変えたのね.」
チャンプ「こりゃ,ただの変質者やないぞ.わしらはともかく,
警察の目をかすめてこれだけ大胆な犯行を重ねられるっちゅうのは,
相当に悪知恵の働くやっちゃ.」
ヌンチャク「くっそう,腹が立ってきたなあ.
そんな奴はとっ捕まえて八つ裂きにしてやりゃいいんだ.」
チャンプ「E・T.うちにもそういうサディストがおるぞ.」
ヌンチャク「なんと言われようと許せないものは断じて許せないんです!」
ヌンチャクが机を叩いたのでチャンプは驚いて立ち上がった.そこへ
加代子「おはようございます.」
加代子がやってきた.
チャンプ「おはよう.」
加代子「皆さんも今朝の新聞,ご覧になっていらっしゃるんですか.
物騒な世の中ですわねえ.私なんて主人が療養中で一人でございましょう.
もう恐くて恐くてねえ.」
チャンプ「いえ,いえ,あのう.」
加代子「恐い,もう.」
チャンプ「野川さん.野川さん.」
加代子「え?」
チャンプ「そりゃ心配いりまへんわ.この犯人はねえ,あのう,
若い娘しか狙いませんの.」
これを聞いた加代子は気分を害してしまった.
加代子「今朝はお茶,いりませんわね.どいてください.」
加代子は外へ出て行ってしまった.
チャンプ「わしが入れるから.どいてください.」
加代子の真似をするチャンプをE・Tは呆れてみていた.
北郷観光開発の社長北郷宗一郎をデカ長が訪れた. デカ長は英彦が連続殺人事件の重要参考人であると言った. 驚いた北郷が英彦を問い詰めると英彦は犯行を認めた. それを聞いた北郷は開き直った. だがデカ長の笹島は英彦を捕まえるのが目的ではなかった. 北郷は白紙の小切手を出し,好きなだけの金額を書けと言った. 笹島は5千万円を要求し,北郷は笹島の要求を飲んだ. 笹島はダミーの犯人をでっちあげることにした. ダミーとして選ばれたのは健次だった. 笹島は健次がひろことデートする約束になっていたこと, そして健次の工具箱から血糊のついたナイフがみつかったことを証拠にあげ, 健次を捕まえようとした.必死に逃げる健次. 追いかける笹島.そして健次がマンホールから出てきたところを偶然E・Tが通りかかった.健次はE・Tに, 自分は笹島にはめられたと言った.健次は傷害で捕まった前科があった. 笹島はそれをネタに健次を強請っていたのだ. さらに笹島は新宿のピンクサロンからビニ本業者から賄賂を取ったり, 女を抱かされたりするなどの悪徳刑事だったのだ. そこでE・Tは健次をホテルに匿うことにした.
アジトでE・Tはそのことを報告した.
チャンプ「なるほど.ダミーをでっちあげたか.あの男のやりそうなこっちゃ.」
チャンプは笹島の魂胆を見抜いたようだ.
E・T「しかし,健次のような小者を罠にはめたって何のメリットもないはずだ.」
チャンプ「いやいや.E・T,こりゃわしの感やけどなあ,
あの男は本星をつかんどるぞ.」
記事を見ていたヌンチャクがチャンプの方を向いた.
E・T「本星を?」
チャンプ「とにかく,あの男の首にいっぺん,鈴をつけたろか.」
チャンプは盗聴機を取り出した.
チャンプ「わしは顔を知られとるさかいになあ,
誰ぞがこいつをセットしてくれればなあ.」
E・T「マリアか.」
チャンプ「あかん.あかん.何せ相手は現職の刑事部長や.
若い女が接近したらかえって怪しみよる.
というておまはんやヌンチャクではなおやばいし.」
マリア「じゃあ,いったい誰が…まさか.」
マリアが考えたとおり,チャンプは驚くべき作戦を発案していた.
チャンプ「そう.そのまさかのおばはんや.」
加代子はアロハシャツのガラのワンピースを着て,
首にネックレスをかけ,ハイビスカスを頭にさしたという,
物凄く派手なかっこうで新宿駅東口にマリアと一緒にやってきた.
マリアはサングラスをかけて顔があまりわからないようにしていた.
加代子「中年の男性なら誰でもいいんですか?」
マリア「いえ.一応私が目星をつけますから.」
加代子「ねえ,礼子さん,あの男性どうかしら.」
笹島とは別の男だった.その男は中年で頭髪が薄かった.
加代子「うわあ,主人にそっくり.あたくしアンケートを取ってまいります.」
加代子が駆け寄ろうとしたのでマリアが止めた.
マリア「ちょっと,ちょっと待ってください.あの人選はあたしがしますから.」
加代子「そうですか.」
加代子は残念そうだった.そこへ笹島が現れた.
後ろにはヌンチャクがついていた.
ヌンチャク「マリア,聞こえるか? 奴はそっちへ向かってるぜ.」
ヌンチャクは無線で知らせた.イヤホンでヌンチャクの報告をマリアは聞いた.
ヌンチャク「今,交差点に差し掛かる.」
そこでマリアは加代子に命じた.
マリア「加代子さん.」
加代子「はい.」
マリア「今,あの横断歩道を渡ってくる男性,あの紺のストライプの,
あの人がいいわ.」
加代子「恐そう.」
マリア「大丈夫ですよ.よろしくお願いします.」
加代子「はい.」
加代子は笹島にアンケートを取るため,声をかけた.
加代子「あのう,アロハツーリストという旅行会社の者ですけれど,
アンケートを取らしていただきたいんですけれど.」
笹島「いやあ,今忙しいんだ.他の人に聞いてくれ.」
加代子「そんなことおっしゃらずに.お手間は取らせませんから.」
笹島「またにしてくれ.」
加代子「お願いします.お願いします.」
加代子が金切り声を上げて叫んだので仕方なく
笹島「困るなあ,そんな大きい声出されたんじゃあ.」
加代子「お願いします.」
笹島「手短にしてくれよ.」
笹島はアンケートに答えることにした.
加代子「はい.あのう,海外旅行の御経験はおありですか?」
笹島「ない.」
加代子「海外旅行はどこへいらっしゃりたいですか?」
笹島「ハワイとでもしとこうか.」
加代子「ハワイですね.ありがとうございました.」
笹島「これでいいの?」
加代子「はい.つまらないものですけれど,どうぞ.」
加代子は景品としてペンを渡した.実はこれが盗聴機なのだ.
加代子「お持ちくださいませ.どうも,ありがとうございました.」
笹島はペンを持って立ち去った.それをマリアは見届け,ほくそえんだ.
笹島が北郷観光開発に入るのをE・Tが見届けた.早速E・Tは盗聴を開始した.
北郷「逃げた?」
笹島「ええ.これをご覧下さい.」
笹島は新聞を出した.新聞は重要容疑者の北山健次が逃走し,
全国指名手配になったことを報じていた.
北郷「全国指名手配ですか?」
笹島「これで奴の容疑も確定的です.
間違っても御子息に疑いのかかるようなことはありません.」
北郷「笹島さん.恩に着ます.これで倅の首もつながった.いやあ,
5千万なんて安いもんですわ.は,は,は.ありがとう.は,は,は,は,は.」
アジトでE・Tは盗聴テープを全員に聞かせた.
E・T「とまあ,こういうわけだ.」
チャンプ「なにもんや,こいつ.」
E・T「北郷宗一郎.関東一円の観光地で十数件のリゾートホテルを経営している,
北郷観光開発の社長だ.一介の土建業から身を起こし,
地元の政治家を札束攻勢で抱きこんで現在の財を築いたそうだ.
とにかく業界筋でも評判の悪い男だよ.」
チャンプ「この親にしてこの子ありか.は.」
マリア「それにしても金の力で息子の罪をもみ消そうだなんて,
しかも無実の人間に罪を着せて平気でいられるなんて,
どういう性格しているのかしら.」
ヌンチャク「この親子もそうだけど,
もっと許せないのは銭でツラをはられたデカですよ.」
E・T「よーし,今度のターゲットは北里親子と笹島の3人だ.」
チャンプ「よし,特別きついハンギングしたろ.その前に銭の精算や.」
精算結果は
マリア「今回はいろいろと仕掛けにお金が掛かったから一人96万2500円.」
E・T「よし.」
マリア「はい,明細.」
チャンプは金庫から札束を取り出した.
チャンプ「はい,100万.はい.おい,4万ずつ引け.」
マリア「どうして?」
チャンプ「いや,残りはあのう,寄付や.」
それはともかく,アロハツーリストは閉店した.
まずE・Tとマリアが緑橋署の刑事と称して北郷英彦を拉致した.
そしてチャンプが週刊誌の記者と称して公衆電話から北郷に電話した.
チャンプ「実はお宅の息子さんが突然うちを訪ねて来ましてねえ,
わけのわからんこと,口走ってるんですよ.
俺は連続殺人事件の犯人だとか,警察に自首するとか.」
北郷「なんだって?」
チャンプ「まあ,これはにわかに信じ難い話なんですが,
もし事実だとしますと,当方としても大変なスクープですからねえ.」
北郷「ちょっと待ってくれえ.それあ,なんかの間違いだ.
いやあ,倅はなあ,ノイローゼ君なんでえ,きっと錯乱しとるんだろう.
ん? うーん,わかった.すぐ引き取りに行く.で,倅,どこにいるんだ.
何? 新宿3丁目のすかいマンション?」
チャンプ「はい.そこがあたしのオフイスになっとるんです.はい.
じゃあ,そこでお待ちしております.はい.」
チャンプはこう言って電話を切った.北郷はすぐに笹島に電話した.
北郷と笹島はチャンプの出迎えを受けた.
そして英彦を見つけた途端,催眠スプレーで眠らされてしまった.
チャンプ「これで材料が揃うたなあ.あとはどう料理するかや.」
催眠スプレーを吸い込んだチャンプは倒れてしまい,ヌンチャクに支えられた.
マリア「チャンプ.」
チャンプ「なんじゃこれ.」
ここはスクラップ場.クレーンで吊られた車の中に笹島,北郷,
そして英彦がいた.そして三人がきがついたとき
E・T「お目覚めかね.じゃあ,殺人ゲームを始めようか.」
北郷「殺人ゲーム?」
車はクレーンに吊られたまま運ばれていった.
E・T「まずリハーサルだ.
カープレスの中に人形の乗った赤い車が見えるだろう.」
3人は赤い車を見た.
E・T「俺の手元にリモコンスイッチがある.このスイッチを入れると…」
カープレスによって赤い車がペチャンコに潰された.
E・T「北郷さん,面白いゲームだろう.貴様の息子は若い女を次々に殺した.
さあ,次はお前達3人の番だ.」
北郷「馬鹿なことを言うな.貴様,誰だ.
いったい何の根拠があってこんな下らんことをするんだ.」
笹島「おい.どういうつもりだ.俺は緑橋署の刑事部長だぞ.
こんなことして,ただで済むと思っとるのか!」
だがE・Tはそれには応えなかった.
E・T「さて,本番と行こうか.」
クレーンを操作しているのはヌンチャク.
ヌンチャクの操作により,笹島達3人の車がカープレスに置かれた.
そしてカープレスが作動開始.
英彦「父さん! 止めてくれえ.頼む,止めてくれえ.」
E・T「貴様達の悪行を洗いざらいぶちまけたら止めてやる.」
笹島「こんな脅しには乗らんぞう.」
北郷「こいつは本気だ.わしを殺そうとしとる.」
ついに車の天井がめり込み始めた.
北郷「おい,止めてくれ.何もかも話すから止めてくれえ.」
カープレスは止まった.天井がめり込んでいたので笹島は頭を傾けていた.
笹島「北郷さん.」
北郷「連続殺人事件の犯人はわしの倅だ.わしの倅が殺したあ.」
英彦「父さーん!」
北郷「それをもみ消そうとして笹島刑事部長を買収したんだあ.」
笹島「知らん.俺は知らん.知らんぞう.変な言いがかりはやめてくれ.」
それを聞いてE・Tは立ち去った.
車はそのまま新宿の街にさらされた.自白テープが大音量で流され,
野次馬が群がった.そこへ健次もやってきた.
健次「デカ長さんよ.そういうことだったのかい.」
笹島「お前は.」
健次「この馬鹿息子をかばうために
俺を犯人にでっちあげようとしたってわけか.」
笹島は無言で健次を睨みつけた.
健次「みんな聞いただろう.このデカはなあ,殺人犯とグルだったんだよ.」
それを聞いた野次馬達は驚き,笹島をののしった.
チャンプ「おーい,どうや.こいつらにションベンかけたろか.」
そこへパトカーのサイレンが聞こえてきた.
チャンプ「パトカーや.軽犯罪法でぱくられたらやべ行きや.散ろう,散ろう,
散ろう.」
さて事件解決後,あのワイキキ風のレストランにチャンプがいた.
そこへE・Tが声をかけた.
E・T「よう,チャンプ.誰かと待ち合わせか?」
チャンプは小指を立てて答えた.
チャンプ「これ,これ,これ.しかもパリパリの19歳の女子大生やど.」
E・T「じゃあ,邪魔しちゃ悪いなあ.」
E・Tは去ろうとしたが,チャンプはとめた.
チャンプ「ええ.かまへん.かまへん.別嬪やからな.
顔だけでも拝ましてやるわ.」
E・T「ほう.」
そこへ女子大生のひとみちゃんがやってきた.
チャンプ「おう,ひとみちゃん,ここ,ここ.」
ひとみ「小出さん,待った?」
チャンプ「いやあ,ガバ.」
チャンプはひとみちゃんの胸をわしづかみ.
チャンプ「うらやましいだろ.」
チャンプはE・Tに自慢した.
チャンプ「さ,お座り.」
チャンプはひとみちゃんを隣りに座らせた.
チャンプ「な,紹介しとこ.こいつ,わしの後輩で結城っちゅう男や.」
E・T「どうも.」
ひとみ「はじめまして.」
チャンプ「いや,かわいいやろ.」
チャンプは大喜び.
ひとみ「ねえ,話は違うけど,連続殺人事件の犯人,捕まったんですってねえ.」
チャンプ「なんや,急に.今朝の新聞で見たなあ.」
ひとみ「ホントにあたし,ひょっとしたらあの犯人,小出さんじゃないかと.」
チャンプ「ちょっと待て,おい.ほんなら,わしは変態か.え.」
チャンプは苦笑するしかなかった.とどめをひとみが刺した.
ひとみ「だって,異常にスケベなんだもん.」
チャンプ「違いないわ.」
チャンプはひとみの胸を触り,E・Tは大笑いしていた.
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