第十六回

証人抹殺組織を吊るす.
緊急指令・本日限リデ解散セヨ!

脚本:中村勝行 監督:松井昇

今週のリハーサル

スタッフがセットを組み立てていた.
稲川さん「ハングマン,今回で終わりだって?」
助監督「ええ.もうこれで最終回ですから.」
稲川さん「レギュラーやっともらったと思ったのになあ…」
助監督「じゃあ,監督.お願いします.」
椅子に座っていた松井監督が立ち上がった.助監督同様,Tシャツを着ている.
松井監督「はい,テスト行こう.」
助監督「箱ん中,入ってください.」
稲川さん「あ,これ?」
助監督「はい.」
稲川さん「これ何?」
箱は人が一人立てるくらいの大きさで,下に燻製用のチップが敷かれていた.
助監督「下から煙で燻しますから.」
稲川さん「燻す?」
助監督「はい.稲川さんの燻製作ろうかなあ…」
助監督は手に鳥の燻製を持っていた.稲川さんが文句を言うと
助監督「大丈夫です.スモーク焚くだけですから.」
扉が閉められ,稲川さんは中に閉じ込められた.
助監督「はい,スモーク.お願いしまーす.」
たちまち中は煙で充満.稲川さんは咳をし,外へ出てしまった.
稲川さん「監督,監督,結構ね,結構これきますよ.」
だが
松井監督「稲川さん,他のシーン,全部撮れてたっけ?」
助監督「ええ.今日でもう終わりです.」
というわけで
松井監督「じゃあ,大丈夫だな.」
そのまま稲川さんは箱の中に戻されてしまった.稲川さんの運命や如何に.

事件発生

夜の街.ある会計事務所で会計士が仕事をしていた. そこへ3人組(力也ら)が乗り込んできた.
会計士「なんだ,君達は?」
会計士はそのまま殴り倒された.そして無理矢理酒を飲まされた. そして酒の入った小瓶を懐に入れられた. 翌朝.会計士の死体が多摩川の川原で発見された.

仕事開始

その頃,ダブルはタキシードの採寸をしていた.スリーサイズはB117,W118, H123.このサイズだと特注になるという.S.S.C.でダブルはその話をした. 金がかかるので披露宴の食事代を切り詰めることにしたという.
アイリス「ご祝儀減らしちゃおう.」
スポット「それ,名案.」
アイリス「半額セールね.」
ダブル「ちょっと,何考えてんの? え.俺さあ,ご祝儀が命なんだから.」
そのとき,運命が響いた.

ゴッド「ゴッド指令.証人抹殺組織の実態を解明し,ハンギングせよ.」
半年前,タクシーの運転手が事故死.この男は婦女暴行事件の目撃者として, 証人台に立つ筈だった.さらにそれから3ヵ月後, 飲食店の経営者が飛び降り自殺.この男もある傷害事件の有力な証人として, 検察から出廷要請を受けていた.そして前の晩, 会計士が酒に酔って多摩川に転落し水死した.この男も贈賄事件の証人として, 近々証人台に立つ予定だった. どうやら事件の背後に証人抹殺組織が暗躍しているらしい. 婦女暴行事件と傷害事件は証人の死によって不起訴になった. 贈賄事件の犯罪事実に関しても証明するのは難しそうなので, 結局証拠不十分で不起訴になるだろう.事件の弁護士はそれぞれ別人. しかもいずれも法曹界では名の通った連中なので, わざわざそんな危険なことをするとは思えない. つまり被告人と証人抹殺組織が直接取引きしていると考えるのが妥当だ. 贈賄事件の被告人は中沢不動産の社長中沢しげる57歳. 国有地の払い下げに絡んで大物政治家に実弾攻勢をかけた疑いが持たれている. そのからくりを知っているのが前の晩に死んだ会計士というわけだ. どうやらそれが証人抹殺組織を暴く突破口になるに違いない. そこで中沢の身辺を徹底的に洗うことになった.

だが一歩遅かった.中沢は証人抹殺組織の男(名和宏)に電話し, 手数料を朝現金為替で送ったといった.
男「わかりました.これであなたとの取引は完了いたしました. 今後あなたとは一面識もない赤の他人.二度とお目にかかることもないし, 連絡を取り合うこともないし.その点どうぞお含みおき下さい.」
スポットは中沢を尾行させたが, その後中沢が会った人物は全て不動産関係の客や取引相手ばかり. つまり組織と接触した形跡は全くなかった.

その頃.操車場で証人抹殺組織の男がある人物(佐原健二)と会っていた. どうやら真のボスはその男(佐原健二)らしい. ボスは男から金を受け取り,次の仕事を回した.さらに
ボス「大東君.一つだけ忠告しておくが.」
大東「は?」
ボス「我々司法関係者の間で, 最近ハングマンとか言う非合法組織のことが問題になっている.」
大東「ハングマン?」
ボスはうなずいた.
ボス「法で裁けぬ犯罪を闇の世界で裁く得体の知れぬ連中だ. 私も以前から噂は聞いていたが,どうやらその連中が実在するらしい. 我々にとって手ごわい敵が現れるとすれば,それは警察でも検察もない, ハングマンだ.くれぐれも用心してくれたまえ.」
大東「わかりました.」
ボスは車で去って行った. どうやらボスは検事か裁判官などの司法関係の人物らしい.
大東「ハングマン.」

その頃アジトではダブルがそわそわしていた. 3つの条件を満たす事件をゴッドにリストアップさせてもらっており, その返事を待っていたからだ.1つ目は検察側に物的証拠がないこと. 2つ目は目撃者や事件関係者の証言に頼らざるを得ないこと. そして3つ目は事件の当事者が金持ちであること. つまり証人抹殺組織が食いつきそうな餌を探し出そうというわけだ. すると資料がとどいた.前の月の23日午前3時頃, 若い男(和泉史郎)が運転する車がチンピラをひきそうになってしまった. 運転していた若い男は車から降りてチンピラを殴り倒した. その時,打ち所が悪くチンピラは死亡.男は慌てて逃げ去った. 警察は聞き込みにより車のナンバーを突き止め, 所有者の村野ともひこ(和泉史郎)を逮捕した. しかし村野ともひこは容疑を否認.物的証拠もないまま送検された. 検察側は物証がなくても目撃者がいれば裁判を乗り切れると判断. 村野ともひこは貿易会社社長の一人息子. 父親の村野はどら息子を助けようと金に糸目をつけず, 有能な弁護士を4人も雇っていた.
スポット「ダブル,いいところに目をつけたなあ.」
ダブル「なんてったってよ,IQ200だかんな.」
アンクル「体重は?」
ダブル「200だよ.は,は…何言わせんだよ.」

問題の会社ムラノ交易の前にダブルは屋台を出した. ラーメンを食べながら張り込むダブルのところに, スポットとアイリスがやってきた.朝から村野は社長室に閉じこもったまま.
ダブル「ラーメン食うか?」
スポットとアイリス「結構.」

ダブルの読み通り,大東は村野のところに電話を掛け, たった一つだけ村野ともひこを無罪に出来る方法があると言った. そして会って話をしたいと告げた.村野は承諾.待ち合わせ場所を大東は伝えた. 村野の車をダブルのワゴンが尾行.ジョイフル青山の前で村野は降りた. ワゴンからアイリスが降り,村野の入ったレストランに入った. 村野のところにサングラスを掛けた若い女がやってきて何事か耳打ち. 早速アイリスはダブルに無線で連絡.ダブルは女を尾行することにした. その後,村野はトイレに入った.ダブルは女を尾行. しばらく経ったが村野はトイレから出てこない. 不審に思ったアイリスがトイレの扉を開けてみると, 何とそのレストランは外にトイレがある形式の店だった. そして村野は非常口から出た後だった.大東の車の中で
村野「それにしても随分と念の行った事を.」
大東「この商売は常に危険と隣り合わせですからね. 細心の注意を払わなきゃならないんですよ.」
村野「危険? というと警察ですか.」
大東「いや.もっと厄介な連…直接あなたに関係がないんで,どうぞご安心を.」
大東は自分の事務所に村野を連れてきた. 村野に渡した名刺には政治結社東竜連合会と書かれていた. 大東はその会長なのだ. 大東は捜査当局がともひこの容疑事実を裏付ける有力な証人を見つけたといった. どうやらその証人を切り札に検察側は起訴に踏み切るらしい. 慌てる村野に大東は自分達が証人を抹殺する仕事を持ちかけた. 村野はその仕事を依頼することにした.

その頃,ダブルは女を追いかけて渋谷の宮下公園までやってきた. 突如,女が振り返り,サングラスを外してダブルに挨拶. 尾行に勘付いていたのだ.ごまかすためにダブルは挨拶した. すると冒頭で会計士を殺した連中が現れた. ダブルは振り返って逃げようとしたが,別の男達に遮られた. そこでダブルは格闘開始.B.G.M.は昔懐かしい 「ザ・ハングマン」でマイトやドラゴンが暴れる時にかかっていた曲だ. ダブルは男達を次々と倒し,最後にリーダー格(力也)一人が残った. ダブルはリーダーとタイマン勝負. しかしダブルのパンチやチョップは一切通じなかった. ダブルはリーダーにヘッドロックを掛けたが, 連中の一人に拳銃を突きつけられた.
ダブル「どうも失礼.」
ダブルはリーダーに張り倒されてしまった.

捕まったダブルは拷問を受けていた. 女はハングマンを誘き寄せるための囮だったのだ. リーダーは仲間はどこだと聞いた.ダブルはただのラーメン屋だと言い, さらに
ダブル「愉快なラーメン.楽しいラーメン.ラーメン.ラーメン.はっと. はが名前じゃないぞ.豚珍軒って.へ,知ってるか?」
リーダー「ふざけるな,こら.」
ダブルはリーダーにぶん殴られた.さらに連中に蹴られた. リーダーはダブルを蹴った男吉岡に命じ,ガスバーナーを持ってこさせた.
リーダー「おめえの面,チャーシューにしたろうか?」
ダブル「いや,俺,あのう,脂肪ばっかりだから. チャーシューにしたっておいしくないよ.」
リーダーは無言でうなずき,薄ら笑いを浮かべ,ガスバーナーに火をつけた. 勢い良く燃える火を見てダブルは叫び声を上げた.
ダブル「喋る.喋るよ.喋るったら.喋る.喋る.喋る.喋る.」
何回「喋る」と言ったのか数え切れないくらい, 情けない声を出してダブルは「喋る」と連呼. リーダーはガスバーナーの火を消した.
リーダー「やっとその気になったようだな.」
ダブル「だからな,俺は好きでハングマンになったわけじゃねえんだよ.」
リーダー「何?」
ダブル「金が目的なんだよ.」
リーダー「金?」
ダブル「ああ.金さえくれりゃあなあ, 別にハングマンじゃなくたっていいんだよ. あんたの仲間になったっていいんだぜ.」
リーダー「おお.そりゃあ,殊勝な心がけだよ.」
ダブル「どうだい.いいトレード話じゃないかい.」
ブラックもマイトもサファリもパピヨンもフラッシュも, こういう状況に陥ったことがあるが,そんなことは一言も言わなかった. タミーもヨガも秘密を守って死んでいった. ドラゴンもヌンチャクもマリアもクレイもジャッキーもファルコンも, 何も言わなかった.もし本心で言っていたとしたら,ダブルはリーダー失格だ. それを知ってか知らずか
リーダー「それが本心かどうか,まずテストしてからだな.」
ダブル「テスト?」
リーダー「ハングマンのアジトに案内してもらおうか.」
ダブルは無言だ.
リーダー「どうなんだ?」
ダブル「よっしゃ,やろう.その代わりなあ,ギャラたけえよ.」

「関東管区検察局」の加倉井貞夫の所へ大東から電話が掛かってきた. 証人抹殺組織のボスは加倉井だったのだ.大東はハングマンが網にかかったこと, そしてハングマンのアジトへ部下が向かっていることを報告した. その頃,リーダーの車の中に両手を縛られたダブルが乗せられていた. 一方,アンクル達はダブルのことを心配していた. ダブルは隙を見て腕時計を操作.緊急信号を送った. それをアジトにいたスポットが受信.
スポット「こっちに向かってんぞ.」
そして車はS.S.C.の前についた.ダブルは連中3人全員を中に案内した. ダブルはアジトの扉を開けるために縄を解くように要求. そしてダブルはスイッチと腕時計を操作し,扉を開けようとしたが
ダブル「あれ? 壊れちゃったみてえだなあ.」
扉は少ししか開かなかった.ダブルは力任せに開けようとした. それを見て連中はダブルをどかし,自分達で力任せに開けた. するとスポットとアンクルが立ちはだかっているのが見えた. あっという間に連中はスポットとダブルに倒された. だがリーダーはアンクルのパンチも効かない. 「不良番長」シリーズ以来の格闘か? アンクルはリーダーを羽交い絞めにし, 何とか倒した.拍手するダブルとスポット.
アイリス「終わった? うーん,片付いたようね.」
アンクル「おい,ダブル.えらい土産持って来てくれたなあ.」
ダブル「あ,あ,は.こうするより他に手がなかったんだよ.」
そうか?
アイリス「でもさあ,あたし達の存在がばれてるなんて思いもしなかった.」
ハングマンの存在がばれてるなんてアイリスはどうやって知ったのだ?
スポット「万一ってことがあるから, しばらくスタジオ閉めた方がいいかもしれないなあ.」
こうしてS.S.C.は閉店した.

縄で縛られて椅子に座らされている連中のところへダブル達がやってきた. なぜかマネキンも立っていた.
ダブル「いやあ,お待たせ.随分痛かったよ.今度はなあ, 俺達からあんたらに頼みがあるんだ.」
リーダー「頼み?」
ダブル「うん.あんたらのボスにな,伝言をお願いしたいんだ.」
リーダー「俺が引き受けるとでも思ってるのか?」
アンクル「嫌とは言わせねえよ.」
ダブルは笑った.アンクルはスポットに命じ,マネキンにベルトをさせた.
ダブル「あのマネキン,よーく見とけよ.このリモコンを押すとな, ま,楽しいことが起きるぜ.」
ダブルは左の耳を左手の指で栓をした.そしてリモコンスイッチを押すと, ベルトによりマネキンが切られてしまった.
ダブル「あーあ.可哀相に.」
スポット「はい.あれと同じ物をあんたにもつけてもらうぜ.」
アンクル「俺達に逆らうとどうなるかわかるね?」

大東のところにリーダーの柴崎がやってきた.
大東「どうした? お前,顔色が悪いぞ.」
柴崎「いや,別に.」
柴崎は大東にハングマンを一人残らず射殺したといい, 証拠の写真を持ってきた.
大東「そうか.これで安心して仕事ができる.あのお方も喜ばれるだろう.」
盗聴していたスポットとダブルは
スポット「あのお方?」
ダブル「黒幕は別にいるようだな.」
用済みになった柴崎はスポットに催眠スプレーを吹きかけられ,眠らされた.
ダブル「さあ,黒幕を迎えに行くか.」

室内プールでくつろぐ加倉井のところに大東は証拠写真を持って来て, ハングマンを全員始末したと報告.
加倉井「そうか.これでいい.これこそ本当の正義って言うもんだ.大東君. 昔から言うだろう.水清ければ魚住まず.」
大東「はあ.」
加倉井「きれいごとだけじゃ,人間生きていけぬ.必要悪って言う物がある. それを潰そうとするハングマンこそ,正に社会の秩序を乱す犯罪者集団だ.」
外へ出て加倉井と大東はほくそえんだ.
加倉井「まあこれで一安心だな.」
大東「何しろハングマンはこの世から消えましたからな. 水の流れは変わりませんよ.」
加倉井「変わられては困るんだよ. 少なくとも私が検事局長の椅子に座るまではな.」
そこへ
ダブル「なるほど,そういうことだったのか.」
大東「誰だ.」
ダブルを見て.
大東「貴様.」
ダブル「ハングマンだよ.」
加倉井「なんだって!」
大東をジロッと加倉井が見た瞬間
アンクル「検事さんが一枚噛んでたとは恐れ入ったねえ. これで検察の情報が筒抜けだったってわけか.」
大東は拳銃を出したがスポットの投げた一脚によって弾かれた. そして連中は全員倒された.

ハンギング

寿司元では
高田「あ,愛ちゃん? わかってるよ.どうせ仕事だろう.え, それ以外に用はないって? そんな,あのね,そんな冷たい言い方は…え, あったかくしてくれる? 本当? わかった.行くよ.行きますよ. すぐ飛んできますよ.うん.」
モルモット小父さんは電話を切って出て行った.

加倉井,大東,柴崎の順でスポットライトが当てられた. 足はおがくずなのかチップなのか,とにかく木屑のようなもので埋められていた.
ダブル「これからお前達に制裁が加えられる.その前にな, お前達同様,悪辣非道の限りを尽くした男を処刑する.よーく見ておくんだな.」
箱の中に閉じ込められたモルモット小父さんが登場した.
モルモット小父さん「あ.おい.なんだよ.なんだ,ここはよ. こらお前,おが屑じゃないか.おら,カブトムシじゃねえぞ.」
床にはおが屑が敷き詰められていた.
ダブル「えー,随分元気がいいなあ.けどお前,どこまでもつかな?」
箱の下のガスバーナーが点火された.たちまち箱の中に煙が充満.
モルモット小父さん「何だよ.何しようって言うんだよ.」
ダブル「お宅を丸ごと燻製にしようっていうわけだ. 自分のやった悪事をよーく噛み締めて迷わず成仏してくれよ.」
煙にむせるモルモット小父さん.やめてくれよーと叫んだが,火は止まらない. やがてモルモット小父さんが煙で見えなくなった.
ダブル「どうやらできあがったようだなあ.ちょっと引き揚げてみようか.」
モルモット小父さんを引き揚げてみると, モルモット小父さんは首から下が骨だけの状態になっていた.
ダブル「あらあ,ちょっと火力が強すぎたかな.ま,いいか.」
モルモット小父さんはにやりと笑った後,頭を垂れ,闇の中に消えた.
ダブル「今度はお宅らの番だ.3人まとめて燻製にしてやる.」
おが屑から煙が出てきた.
大東「やめろ.馬鹿な真似は止めろ.」
ダブル「煙を止めてもらいたかったらなあ,お前達の悪事,全て白状するんだ.」
柴崎「わかった.喋るから助けてくれ.」
大東「やめろ,柴崎.」
カメラが用意された.
柴崎「喋るからよ.」
加倉井「喋るんじゃない.」
柴崎「証人を殺したのは俺だ.大東さんの命令でやった.」
大東「違う.俺は加倉井さんに頼まれてやったんだ.」
加倉井「知らん.私は知らん.私は大東君に情報を提供しただけだ. 証人を殺したのは私は知らないんだ. 今度のことは全て大東君が仕組んだことだ.」
大東「加倉井さん,今更とぼけんのやめましょうよ.」
加倉井「うるさい.」
そして加倉井達は警察に引き渡された.新聞は「証人抹殺組織 摘発される」 「検察側証人を 次々に殺害!」「黒幕は検事と政治結社会長」 「殺人依頼の会社社長ら逮捕」と報じた.

事件解決して

モルモット小父さんは新聞を見ていた.
モルモット小父さん「あれれ.この新聞に載ってる奴, どっかで見たことあんなあ.」
どうやらモルモット小父さんは, 自分がさせられていた仕事の真の内容を知らなかったらしい. アイリスは話題を変えた.
アイリス「そんなことより,どう気分は?」
モルモット小父さん「ああ,だるい.」
アイリス「咳も治った様ね.」
途端にモルモット小父さんはわざとらしく咳払い.
アイリス「下手な芝居するんじゃないの.」
モルモット小父さんはアイリスに札束で頭を叩かれた.
アイリス「役者になれないわよ.」
モルモット小父さん「だけど愛ちゃんさあ,煙で燻されてさあ, 俺だって燻製になったってかねえ,体が一回りちっちゃくなっちゃってさあ…」
アイリス「元さんの燻製?」
モルモット小父さん「そうよ.」
アイリス「まーずそう.」
モルモット小父さん「なに言ってんのよ.男盛りよ.脂が乗り切ってんのよ. 最高においしいんだから.愛ちゃんだったらねえ,胸までしゃぶられたい. ねえ,食べて.食べて.」
ここぞとばかりアイリスにモルモット小父さんは迫るのであった.

緊急指令・本日限リデ解散セヨ!

ギャラが分配された.今回は一人頭250万円.喜ぶ一同.そのとき, 運命が鳴り響いた.
ゴッド「ゴッド指令.今回の事件解決.諸君の努力に感謝する. しかしハングマンに関する情報は加倉井検事により警察当局に流出した. よって今後組織を維持することは困難になった. 本日限りでハングマンは解散する.(ダブル, 封筒を落とす)コンピュータのメインコードを切断し, 速やかにアジトから撤退せよ.長い間.御苦労.」
一同,しばらく無言だったが
アイリス「つまり,これでゴッドとお別れってことね.」
ダブル「残念ながら,そのようだな.」
アンクル「そうか.しょうがねえな.よし. 俺はまたビニ本のキャメラマンに戻るか.」
アイリス「哲平ちゃん,あたしとプロダクションやらない? 2人のこのギャラを合わせると500万になるから,事務所大きくして.」
だが
スポット「いや.俺は自分のスタジオを持つのが夢だったから, この際,思い切って独立してみるよ.」
アイリス「あ,そ.じゃ,あたしも独りで頑張るか.」
アンクル「自分だか妹だか知らんけど,結局結婚話はまとまらず.」
アイリス「アンクル.結婚相手なんてね,私にはわんさかいるのよ.」
アンクル「知りませんでした.」
ダブルは大笑い.
ダブル「よーし.これで決まりだな.ま,俺もよ,安心して新婚生活送れるしさ. は,は,は,は.」
ダブルは空笑いした.やはり寂しかったのだ.
ダブル「よし.それじゃあ,四人ではさみ入れるか.」
そしてメインコードに特別大きな鋏を入れながら,記念写真を撮った.

メンバー達のあ・れ・か・ら

本庄剣次郎はビニ本キャメラマンに戻った.
本庄「もう最高.ぴちぴちしたギャルのヌード. 哲平にはわかんねえだろうなあ.あの童貞.」

その時撮った写真がラボで草間のところに紛れ込んでいた.
草間「あれえ,これは俺が撮った写真じゃないなあ.」
店員「そうですか? じゃあ,こちらでお預かりしときます.」
そのとき,草間はひらめいた.
草間「ああ,ちょっと待って.そうか,これアンクルが撮った奴だ.」
草間は苦笑し
草間「記念にもなるし,これもらっとくわ.」

オフィス愛で愛は電話で借金を返すよう督促をしていた. そこへ元さんがやってきた.
元さん「はい,お待ちー.」
元さんの持ってきた寿司をつまんで
愛「何これ?」
元さん「あのさあ,ちょっとやったろうと思ってね.寿司をさあ, 燻製にしてみたの.」
愛「お寿司の燻製なんておいしいわけないじゃないのよ!」

長浜は仮縫いしている最中に食事をしていた. 食事の時間がなかったのだ.だがまた太ってしまい, ズボンの前が破けてしまった.
長浜「やっぱり,運動して痩せよう.」
そして長浜は道路を走っていた.
フィアンセ「昭太郎さーん.」
フィアンセが歩道橋の上から手を振って長浜に声を掛けた. 逆光になっているので顔まではわからない.榊原郁恵さんとは別人だ. 長浜も手を振り,歩道橋を駆け上がるのであった.

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東平 洋史 E-Mail: hangman@basil.freemail.ne.jp