スタッフがダーツをしていた.
稲川さん「おはようございます.ああ,見ていられねえなあ.
どうしたらこんなに下手くそに出来るの?」
助監督「難しいですよ.」
稲川さんもダーツをしてみたが,的のはるか下の方に命中.
助監督「はい,じゃあ,稲川さん来たから本番行きますよ.
的持って来て.じゃ,稲川さん,こちらお願いします.」
稲川さんは的を見て「でかいね.」と呑気なことを言っていた.
そして松井監督に挨拶.助監督は稲川さんの顔の真後ろに的を持って来て
助監督「監督,大体これぐらいの大きさでよろしいですか?」
松井監督「おお.ちょうどいいんじゃない.」
松井監督は大きなダーツを手に持っていた.
稲川さん「まさか私,的になるわけじゃないでしょうね.」
松井監督「痛いだろうねえ.ブス.ごめんね.」
稲川さんの運命や如何に.
ある日の深夜.コンピュータを誰かが操作していた.
画面に「マザーコンピューターに侵入」と表示された.
そのころ,屋上からロープでビルを降りる男がいた.
コンピュータの画面には BASIC のプログラムが表示されていた.
コンピュータを操作していた男(花井京之助)は一心不乱にコンピュータを操作.
その男はオカマっぽかった.そして窓から男(児島宏章)が侵入.
男「ルパン三世参上.」
女(河合美佐)「ルパーン.不二子をおいてかないでよー.」
女もロープで侵入.
男「不二子ちゃーん.宝は全部不二子ちゃんにあげちゃうから,許してよ.」
女は笑った.
女「ルパーン.だから好きよ.」
男に女が抱きついた.そこへ別の男がロープで侵入してきた.
別の男「おい,おい.次元さんの前でそんなことしないでもらいたいねえ.
このワルサーが黙っちゃいないぜ.」
三人は笑った.さて初見の際,
この場面を見て僕ちゃんが思ったことはどれでしょう?
翌朝.ダブルが新宿のビル街で屋台を出し,新聞を読んでいた.
そこへアイリス登場.アイリスはまた三面記事を読んでいるのかと馬鹿にすると
ダブル「あのねえ.馬鹿にしないでくれよな.有名な諺知らない?」
アイリス「ん?」
ダブル「常に勉強,いつでも情報,お腹がすいたら豚珍軒っつってな.」
アイリス「女はやっぱり立花愛.」
ダブルはずっこけた.そこへスポット登場.
スポット「おい,ダブル.こないだ貸した金なあ,どうした?」
ダブルは後ろを向き,新聞で顔を隠した.
スポット「ダブル.絶対,倍にしてやるって言ったんだからな.」
ダブルは鼾をかいて狸寝入りをした.だが
スポット「(新聞をもぎ取って)寝たふりなんかしてるんじゃない!」
ダブル「ない.すっぽりない.」
スポット「え?」
ダブル「パッとあきらめろ.な.」
スポット「あきらめろって,何でよ.」
ダブル「いや,これなんだよ,これ.」
ダブルは新聞記事を見せようとしたがアイリスに取られてしまった.
アイリス「これ?」
それは昨晩の事件を報じた記事だった.ガードマンの名前は橋本勝で年齢は28歳.
橋本は「練馬区上石神井八丁目,十六の五」に住んでいるという設定らしい.
事件を調べたのは銀座署.エイズ特効薬のデータが盗まれたのだ.
ダブル「いや,俺さあ,そこの会社の株買ってたのよ.そうしたらさあ,
データ盗まれてさあ,株がベーンと下がっちゃってさあ.」
他の会社にデータが漏れるのが目に見えている,と無責任に言うアイリス.
怒ったスポットはダブルの胸倉を掴んだ.
スポット「冗談じゃねえぞ,おい.俺のヘソクリはどうしてくれるんだよ.」
アイリス「どうしてあげるの?」
ダブル「甘えるんじゃない!」
アイリス「甘えるんじゃない!」
ダブル「俺だってなあ,結婚資金つぎ込んでるんだ.
(なぜかアイリスうなずく)なあ.文句言うな.」
スポットはダブルをビンタした.
スポット「何威張ってるんだよ.
俺はあれで新しいカメラ買おうと思ってたんだよ.」
ダブル「だから買ったよ.」
スポット「どこに?」
ダブルは尻のポケットから亀のおもちゃを出した.
スポット「なんだい?」
ダブル「カメだ.」
スポットはしばらく呆然としていたが,
はっと我に返るとダブルにヘッドロックをかけた.また僕ちゃん,
スイッチを切りたくなったぞ.そのとき,腕時計がなった.
ゴッド「ゴッド指令.連続企業機密漏洩事件の真相を暴き,
犯人たちをハンギングせよ.」
それは先程新聞に出ていた事件だった.1年前,
島田電機の研究所から開発中の超伝導素材のデータが盗まれた.
放送当時は超伝導が物理の学会でブームだった.
またこの頃の記憶装置はテープが主流.閑話休題.
それから半年後,花菱電機からは新型レーザーの設計図が盗まれた.
そして今回は五友化学の本社からエイズ新薬のデータが盗まれた.
共通点は厳重にプロテクトされた情報を,
いとも簡単にコンピュータから抜き取っていること.
そのとき,五友化学の現場写真を見たダブルは何かに気がついた.
アイリス「相手はコンピュータのプロってわけね.」
アンクル「ビルの屋上からロープづたいに忍び込むなんて,
そうそう普通の泥棒にはできねえ仕事だなあ.」
スポット「コンピュータのプロなんてはいて捨てるほどいるからなあ.
それじゃあ雲を掴むみたいな話だよなあ.」
ダブル「いや.リンゴは掴めるぞ.」
ダブルは現場のコンピュータの隅に表示されていたリンゴを拡大して見せた.
10年位前に10代の天才プログラマーが現れ,
画期的なコンピュータゲームを発表した.
そのとき彼がサインの代わりにコンピュータに表示させていたのが,
あのリンゴだというわけだ.ダブルはそのプログラマーの写真を映した.
アンクル「これがその天才か.」
ダブル「そう.これが現在の彼の姿だ.富井たけし,
コンピュータのプログラマー.しかもエイズ新薬のデータが盗まれた,
五友化学の開発部員と来てる.」
ちなみに年齢は23歳.
アンクル「よーし.リーチだ.」
ダブル「一発ツモで行くぞ.」
早速アンクルとスポットが富井を尾行していた.
ゲームセンターでゲームに興じる富井を見ながら,
スポットはこのゲームセンターの最高得点はほとんど富井のものだと言った.
アンクル「俺,このゲームセンターって大っ嫌い.ここにいると頭が痛くなる.」
スポット「け.古いなあ,アンクルは.」
アンクル「いいの,古くたって.
こんなもの俺の人生にとって必要ないんだから.」
偉そうにそう言ったアンクルは競馬ゲームをやっていた.
アンクル「行け,行け,行け.やった.ほら,見てみ.」
見事に当てチップが大量に出たので
アンクル「これだからやめられないねえ.」
あ,そ.それを万代も見ていた.
富井も万代も尾行がついていることに気づいていた.
そこで万代はトイレに入り,スティービー・ワンダーのような姿に変装.
アンクルとスポットに「ワタシ,オカネガナーイ.」と絡んだ.僕ちゃん,
またスイッチを切りたくなった.閑話休題.
万代はアンクルの尻のポケットから財布を掏り取った.そして
万代「もういいです.あなた達,けちです.さよ,なら.」
スポットは万代を追いかけようとしたが
アンクル「ま,見てな.」
なぜか涼しい顔で止めるのであった.
アンクルとスポットはワゴンの中に戻った. あの財布には発信機が入っていたのだ. アジトにいるアイリスは「富井の仲間」が六本木方向へ向かっていると報告. アンクルはダブルがどこにいるかと聞いたが, ダブルは連中の仲間になるんだと言って出て行った後だった.
富井と万代が店に入ると不二子がダーツの腕前を次元に見せ,
ボスがビリヤードをやっているところだった.
万代は富井に尾行がついたので遅くなったと言った.
ビリヤードをしようとする富井に
ボス「そんなに余裕でいいのか.尻尾つかまれたかもしれないんだぞ.」
と警告.連中は奥へ場所を移した.
「富井をつけてたおっさん」の財布の中には大した金は入っていなかったが,
色々な肩書きの名刺が中に入っていた.どうやら探偵だろう.
万代「な,富井.お前,変な女に手出したんじゃないのか?」
富井「あたしが女に手出すわけないでしょ.いい男なら別だけど.」
ボスは用心するにこしたことはないと言い,次の仕事では富井を外すことにした.
次の仕事はコンピュータのプロテクトを破る必要がないからだ.
富井「嫌よ.あたしだってスリル味わいたいもん.」
ボスは富井のせいで捕まったらもともこもないと言ったが
万代「危険はあればあるほどいいって言ったのは田宮だったよな.」
不二子「そうよ.
尾行がつけられた富井を敢えて作戦に入れればいいだけじゃない.
そのリスクを打ち破ってこそ,
我々犯罪同好会バトルハッカーズの趣旨に合うんじゃなくって.」
万代「どうする,リーダー.」
ボスは承諾した.そしてこないだのデータの売上を分けた.
その会話を全てアンクル達は盗聴していた.
アンクル「犯罪同好会か.」
アイリス「とんでもないことを考える奴らね.」
スポット「犯罪をこう,まるでゲームかなんかと同じと考えてるんですね.」
アンクル「新人類という奴らの考えにはついていけないね.」
アイリス「ま,うちにも若干一名,新人類がいるけどね.」
アンクル「あれ(ダブル)は新人類じゃなくて珍人類じゃないですか?
珍しい人類と書くね.」
一同,うなずいた.
犯罪同好会は,
全員ニュージーランドに移住しても何年か暮らせる程度の金を貯めていた.
だが一生暮らせるほどではない.不二子はそれでもいいじゃないといい,
ニュージーランドへ移住しようと言っていた.そしてダーツを投げた.
ダブル「お見事.」
そう.珍人類ダブルが登場したのだ.
ダブル「いやあ,鮮やかだ.相当やってるって感じだなあ.
でも(二本持って)こんなことできるのは.」
ダブルは二本一度に投げて真中に命中させた.
不二子「あんた,あたしに喧嘩売ってんの?」
ダブル「喧嘩? 下品だな.勝負を挑んでるって言って欲しいな.
美人を見るとな,勝負を挑みたくなる癖があるんだ.」
富井「この人が誰だか知ってるの?
ダーツの日本チャンピオンにもなったことがあんのよ.
あんたなんかかなうわけないじゃない.」
富井は冷笑したが
不二子「いいわ.勝負してあげる.でも勝負には賭ける物が必要よ.
それはあるの?」
ダブル「俺が負けたら煮るなり焼くなり好きにしてくれ.」
次元「誰がお前なんか欲しがるか.」
ダブル「俺が勝ったら,あんたを自由にするぜ.」
不二子はダブルをしばらく睨んだ後,立て続けに三本投げた.
その間,ダブルはタバコに火をつける振りをして,
ライター型カメラで連中の写真を撮った.
不二子「あなたの番よ.」
ダブルはまず普通に一本投げて真中に命中させた.
次に後ろを向き,そのまま一本投げて真中に命中させた.
驚く不二子.そして最後の一本を富井の方に投げた.
富井は大きな酒樽の脇に立っていた.
ダブルの投げたダーツがあけた穴から富井のグラスに酒が入った.
ダブル「それは俺のおごりだ.」
不二子「あんた凄いわ.あたし,気に入っちゃった.」
不二子はダブルの腕につかまった.
ダブル「天才はあんたらだけじゃないな.きついの行こうか.」
ダブルは不二子を連れて立ち去ろうとしたが万代が呼び止めた.
彼女はマスコットなので彼女を連れて行くには全員一致の賛成がいると言うのだ.
しばらく検討させてくれというのでダブルは承諾.独りで去って行った.
「怪傑ズバット」で見たような場面だ.
アジトに戻ったダブルは一味の連中の写真を見せて説明した.ボスは田宮ゆきお,
23歳で昨年度のビリヤード学生チャンピオン.次元は瀬川みつる,
23歳で射撃のオリンピック候補選手.不二子は宝じゅり,
22歳でダーツの学生チャンピオン.そして万代けんじ,
23歳は体操の日本代表の候補選手だった.富井も含め,
この5人は全員大学卒業後,一発で一流企業に入社している.
彼らは会社の情報を入手できる立場を利用して犯罪計画を立てていた.ふーん.
新入社員で会社の重要な情報を簡単に入手できるのか.随分安直な話だ.
閑話休題.そのとき盗聴していたスポットが動きがあったと言った.
こないだのデータはまだ売っていなかった.
彼らはそのエイズ新薬開発者の殺害を企てていた.エイズ新薬開発者を殺せば,
そのエイズ新薬を開発できるのはエイズ新薬のデータを持っている者だけになる.
田宮「ターゲットは毎週金曜日に研究所から本社へ向かってこの道を通って行く.
それを白バイに乗った富井と万代が追いかけて,
爆弾が仕掛けられてると言って運転手を追い出し,
ターゲットをその車ごと奪ってしまおうというのが,この計画だ.」
万代「どっかで聞いたことのあるようなシーンだなあ.」
瀬川「三億円事件だろ.」
瀬川はカードを投げた.
宝「そうか.あ,あの犯人ジュリーがやったのよねえ.」
それはテレビの話だという富井.
宝「テレビだってなんだっていいのよ.かっこよくやってよね.
私のイメージ崩さないようにね.」
瀬川は次々とカードをテレビに向かって投げていた.
そのとき,テレビの画面が乱れた.
富井がカードをテレビから離すと画面が元に戻った.
また近づけると画面が乱れた.富井はカードを調べ,あることに気がついた.
さてアジトでは
アンクル「何があたしのイメージだよ.テレビとゲーム一緒にしやがって.」
誘拐させるわけにはいかないが,盗聴テープだけでは捕まえるわけには行かない.
何かいい作戦がないかと考えるダブルに
スポット「わかった.またラーメンだろう.」
前と同じことを言うスポット.
この脚本家,かなり安直だ.閑話休題.
ダブル「今回違うんですよ.」
金曜日になった.五友化学研究所から研究員が出発.
だが途中でアイリスが化けた婦人警官に止められた.
アイリス「すいません.この先事故処理中なので迂回お願いします.」
これに騙されて本物は別の道へ迂回.
アンクルとスポットが研究員の車と入れ替わった.
ちなみに研究員に化けたのはアンクルの方.予想通り,万代と富井が登場.
車を止めた.スポットとアンクルは万代と富井に応戦.
スポット「引っかかりましたね.」
だが
富井「引っかかったのはどちらかしらね.」
スポットとアンクルは顔を見合わせた.
富井「あの時のオジンでしょ.私たちのこと盗み聞きしたりして.
でもぜーんぶお見通しよ.」
瀬川がライフルで狙っていたのだ.
瀬川「こんなことだろうと思ったぜ.」
瀬川はライフルでアンクルとスポットを威嚇.
富井「お前なんか嫌いだよー.」
万代と富井は逃走してしまった.スポットとアンクルはライフルで狙われ,
絶体絶命のピンチ.
瀬川「遊びはここまでよ.今度は頭吹き飛ばしてやるぜ.」
瀬川はアンクルの頭を狙ったが,突如目玉がスコープに現れ,ビックリ仰天.
ダブル「よ.」
ダブルがスコープを反対側から覗いていたのだ.
ダブルはアイリスの乗ったミニパトが近づいていることを教えた.
逃げる瀬川をダブルは車に乗せてやった.ダブルはミニパトを巻いた.
ダブル「物言うな.喋ると舌噛むぞ.こう見えてもなあ,
俺は昔F1に乗ってたんだよ.」
瀬川「うわあ.何で降りたんだよ.」
ダブル「ちょっと太っちゃってな.コックピットからはみ出しちまいやがんの.
は,は,は.」
瀬川も笑った.
ダブル「何も喋んなって言ってんだろう,お前.舌噛んじゃったよ.」
田宮は瀬川がダブルを連れてきたことに文句を言った.
すかさずダブルは仲間に入りたいし,宝と仲良くしたいと言った.
宝はなぜ自分達のしていることがわかったのかと聞いた.
ダブルは蛇の道は蛇だと言い,さらに自分を売り込んだ.
ダブル「こう見えても俺は東大主席卒業.IQ200.A級ライセンスの腕前.
元F1学生チャンピオン.でもわけがあってライセンスは剥奪されてるけどな.」
瀬川は車の腕前を保証.宝はダブルを仲間に入れることに賛成.
ダブルは宝を抱きかかえて別室へ消えた.
田宮は富井にデータバンクのコンピュータへ侵入させることにした.
実は電話線には細工がされていた.
アイリス「はい.これがダブルの偽資料.」
早速スポットが富井からの電話を横取りし
スポット「これぞ必殺ハッカー返し.」
そうとも知らずに
富井「成功したわ.」
見事に田宮達は騙されてしまった.
その頃,宝は悪い男にひかれるのと言っていた.
そして自分達の作戦を教えた.五友化学の研究所に乗り込むのだ.
これが終わったらニュージーランドへ行くのだ.
宝「あんたも行くでしょ?」
ダブル「君のためだったら,トンガ王国へだって行くよ.」
宝「これ,あなたにあげる.」
宝は自分がしていた耳飾を外し,ダブルの耳につけた.
宝「あたしの気持ち.」
ダブルは腰に手榴弾をつけ,首からマシンガンの弾をぶら下げ,顔に化粧し,
マシンガンを持っていた.そして田宮が作戦を説明した.
田宮「作戦を説明する.研究所は軍事機密を扱ってる関係上,
要塞のように頑丈に出来ている.正面から長浜が突入,敵を陽動する.
その隙にサイドから乗り込んだ俺達がターゲットを始末するんだ.
わかったな?」
OKという万代,瀬川,富井,宝の面々.なぜかダブルは笑い出した.
ダブル「昔からこういうアクションもの…やってみたかったんだよな.」
なぜかダブルは泣き出した.
ダブルは軍事機密を狙った過激派を装うのが目的でああいう格好をしたのだ.
決行は翌朝の6時.それまで各自休むよう,田宮は命じた.
どうでもいいけれど,この人達,会社員の筈.
なんで昼間からぶらぶらしていられるのだろうか? 僕ちゃん,
とてもとても不思議だ.この脚本家,会社員の生活をご存知なのだろうか?
閑話休題.ダブルはトイレへ行くと称して中座.
そして腕時計で通信を送り,アジトへ計画を報せた.
だがダブルの宝からもらったイヤリングは盗聴機だった.
瀬川「こんなことだろうと思ったぜ.」
翌朝の6時.呑気なダブルはイヤリングをしたまま出動.
連中は五友化学のそばで車を降りた.ダブルは独りで車に乗った.
その車には富井の手により爆弾が仕掛けられた.
そしてダブルは発進.五友化学の正門へ向かった.それを見届けてから
宝「あいつを利用して研究所ごとぶっ飛ばすってのは,
いいアイデアだったでしょ.」
富井「やっぱり女って怖いわねえ.」
その頃,ダブルは気分が盛り上がってきたと大笑い.
万代「だけど,あいつら一体何者だったんだろう.」
宝「そんなことどうだっていいじゃない.これで全員御陀仏なんだから.」
と言った途端
アンクル「そうは世の中甘くねえんだよ,お姐ちゃん.」
スポットとアイリスも登場した.
アイリス「コンピュータ犯罪だけなら可愛げあるけど,
人を殺すような新人類は許せないわ.」
スポット「全員まとめてハンギングだな.」
田宮達は笑った.
田宮「正義の味方ぶりやがって笑わせるぜ.
あんたのお仲間のお惚け野郎がもうすぐ研究所を吹っ飛ばす.
そしたら,あんたらが研究所爆破事件の共・犯・者ってわけだ.」
スポット「何?」
宝「あんたらの作戦は(耳飾を外して)お見通しなのよ.」
その頃ダブルは五友化学研究所の前まで来ていた.田宮は秒読み開始.
だが爆発音は田宮達の真後ろから響いた.なんとダブルが田宮達の真後ろにいて,
拡声器で爆発音を出したのだ.
ダブル「は,は,は.驚いた? 驚いた.は.」
このとき,アンクル達も耳を押さえていた.
ダブル「随分,効いたみたいだなあ.は,は,は.車になあ,
物騒なもんあったからな,(爆弾を手に持ち)届けに来たよ.」
ダブルは爆弾を富井に向けて投げた.
ダブル「若気の至りって奴にもな,許されねえもんってあるんだよ.君達.」
というわけで格闘開始.アンクルが万代を倒した.
宝の投げたダーツはスポットの一脚に全て弾かれ,
最終的に宝はアイリスに倒された.
爆弾と拡声器を持って泣いていた富井はスポットに殴り倒された.
瀬川はダブルに倒された.田宮は車で逃げようとしたが
ダブル「スポット.」
ダブルはスポットから一脚を受け取り,ビリヤードの要領で手榴弾を飛ばし,
田宮の頭に当てた.田宮は伸びてしまった.
ダブル「な,俺もなかなかのもんだなあ.
ハングマンやめたらハスラーになろうかな.」
スポット「レスラーじゃないの?」
ダブル「なんだ,馬鹿野郎.」
いやあ,ここまでの時間,本当に長かった.
寿司元では
高田「的当ては好きかって? 好きに決まってんじゃないのよ.
愛ちゃんの恋の的になるのが僕ちゃんの夢だもーん.え,その的を狙いたいって?
狙って,狙って.どんどん狙って頂戴.え,うん.
キューピットの矢だったらさあ,いくら当たったって痛くないと思うよ.うん.」
ダブル「散々遊んでくれてどうもありがとう.最後の遊びをさせてあげるよ.
だけどその前にな,お前らと同じ小悪党がいるから,そいつで遊んでみせよう.」
モルモット小父さんが登場した.モルモット小父さんは顔自体が的になっていた.
つまり顔のところが中心になっていて大きな被り物をしていたのだ.
モルモット小父さん「なんだ.なんだよ.」
ダブル「いいか.自分の罪を認めるまでお前には的になってもらう.」
ボーガンが登場.
モルモット小父さん「おい.何すんだよ.おら何にもしてないよ.無実だよ.」
ダブル「なかなか頑固だなあ.しかし,いつまでもつかな?」
ボーガンからダーツがドンドン発射された.
一発目は肩のところにダーツが当たり,二発目は顔の横に当たった.
ダブル「嘘つきは嫌いだ.」
ダブルはキーボードを乱打.スポットはとめたが時既に遅く,
ダーツが乱射された.そのうち一発は額に命中.
モルモット小父さん「ああ.いてえ.話す,話すってんだよ.死んじまうよ.
勘弁してくれよ.何でも言うからよ,何でも言うから許してくれよ.
轢き逃げした女をよ,身包みはいだ上にその死体使って保険金を頂いたのは,
あたしですー.悪いと思ってます.許してくださーい.」
ダブル「よーし,よく喋ったなあ.いいことだ.あれ? おい,とまんねえぞ,
おい.なんだ,壊れたのか? 使いすぎはあかんなあ.」
太い太いダーツが用意された.
モルモット小父さん「冗談じゃねえよ.全部喋ったじゃないかよ.勘弁してよ.
やめろよ,おい.あぶねえじゃねえか.」
だがダーツが撃たれ,口に命中.太いダーツを口にくわえ,
モルモット小父さんの動きが止まった.そして闇の中に消えた.
アンクル「さ,次はお宅達の番よ.例え新人類でも命は一つ…だよね.」
田宮達の後ろにも的が用意された.
ダブル「彼みたいになりたくなかったらなあ,
素直に自分達がやったことを白状するんだなあ.おい,愚図愚図してるとなあ,
また機械とまんなくなるぞ.」
ボーガンが向けられた瞬間,富井が泣き出した.
宝「言うわ.何でも言うから,命だけは助けてえ.」
富井「あ,あ,あたしも言うわー.」
田宮「こら,何も話すんじゃない.黙ってろ.」
ダブル「スポット.」
カメラが用意された.
宝「犯罪計画を立てたの田宮なの.あたし達は言われるままに動いただけよ.」
田宮「嘘つけ.お前がニュージーランドに移住したいって言うから,
俺が計画を立ててやったんじゃないか.」
万代「俺は殺しはやっちゃいねえ.殺しは全部瀬川がやったんだよ.」
富井「そうよ.あたしはコンピュータいじってただけなの.」
瀬川「出鱈目言うな.爆弾作ったのお前らじゃないか.」
そして田宮達は警察に引き渡された.新聞は「新人類犯罪集団 逮捕!」
「殺しも楽しむ エリート集団!」と報じた.
モルモット小父さんは注射器を手に持ち,じっと見ていた.
アイリス「あのダーツの矢,引っ込む仕掛けになってたのにねえ.」
モルモット小父さん「もうちょっとでさあ,
脳味噌まで突き抜けるところだったよ.」
アイリス「でもさあ,元さんの頭って硬いんでビックリしちゃった.
国宝級なんじゃない.」
モルモット小父さんは上機嫌.
モルモット小父さん「そうやってさあ,愛ちゃんに誉められると,
なんだか治っちゃったような気がするねえ.」
アイリス「やっぱりねえ,男は硬くなくちゃ.」
モルモット小父さん「そう,やっぱり男は硬くなくっちゃいけないね.」
アイリス「そう.硬くなくっちゃ.」
モルモット小父さん「そう,硬くなくっちゃ.」
なぜか変なことを想像し
アイリス「エッチ!」
アイリスはモルモット小父さんの頭を叩いた.
するとモルモット小父さんの頭に注射器が刺さってしまった.
ギャラが分配された.
スポット「もう絶対にダブルに金なんか貸さねえかんな.」
アイリスはダブルに聞いた.
アイリス「ねえ,ダブル.あの宝って女に盗聴されてたの,
どうやってわかったの?」
ダブルは怪訝な顔.
ダブル「え? 誰が盗聴されてたの.」
アンクル「あの女がお前にイヤリングの盗聴機つけてたって言ってたぞ.」
真顔でダブルは聞いた.
ダブル「あ,これ? じゃ,これさあ,
せっかくだからフィアンセにあげようと…これ盗聴機なの?」
アイリス「嘘! 知らなかったの?」
ダブル「あ,(オカマっぽい口調で)やだー.」
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