以前登場した，
レーザー装置が動くのを見て
稲川さん「ああ，このレーザービームでもって，あたしの体を切り裂いちゃうと」
助監督「そうです．」
稲川さん「面白いじゃない．」
助監督「そうでしょう．」
メーターを見ながら
稲川さん「こんな感じで大丈夫ですか?」
助監督「100まで行くとねえ，危ないんです．だけど40ぐらいでねえ…」
稲川さん「40ぐらい．」
助監督「このくらいでねえ，」
レーザーの焦点を定めるとなぜかレーザー光線の当たった場所が爆発した．
稲川さんは驚いて文句を言った．
稲川さん「ちょっと，行ってんじゃない，40で，行ってんじゃない．」
助監督「精度的には狂うんですよ．」
稲川さん「ちょっと，ダメ，そんなのやったら，狂うって．」
そこへ井上監督が登場した．
井上監督「さあ，本番行こう!」
稲川さん「40でもって今，行っちゃったんですよ，調子おかしくなって．」
井上監督「ダメだったらもう一度やり直せばいいじゃないですかあ．」
稲川さん「やり直すって私，体一つしかないんですよ．」
井上監督はみんなに言った．
井上監督「ねえ，稲川さん，喋らせたら切りないから．」
稲川さんはスタッフに押さえられ，的に連れられた．
井上監督「用意!」
稲川さん「待って!」
井上監督「待てない．スタート!」
カチンコが鳴らされた．
稲川さん「うわあ．あ．」
ここは原宿．若者が大勢集っていた．アクセサリーを欲しがる若い女を，
中年の男がジッと見ていた．男は女の後をなおもついて行った．
気持ち悪いので女は走り出し，陰に隠れた．そのとき，後ろから手が伸びた．
まさか．警戒して女が振り返ると
アンクル「待ちきれなくて迎えに来たよ．」
女「なあんだ，先生じゃない．もう，ビックリした，あの男かと思った．」
アンクル「あの男って?」
女「知らないおじさん．話もしないで，じっとあたしのこと見るの．」
アンクル「近頃の中年はアブノーマルだからな．気をつけなよ．」
女は誰もが突っ込むであろうことを突っ込んだ．
女「先生も中年じゃないの．」
アンクル「俺だけはノーマルなロリコンって訳．」
アンクルは女を連れて行ったが，それを物陰からさっきの男が見ていた．
S.S.C.ではフラッシュがスポットをこき使い，撮影の準備をしていた．
スポット「フラッシュ，断っときますけどね，俺，
あんたの助手じゃないんですよ．対等のキャメラマンなんですからねえ．」
フラッシュ「は，は．わかった，わかった．君は素晴らしい芸術家なんだから．」
と言った後で
フラッシュ「コードつないで．」
そこへアンクルが先程の女を連れてやってきた．
アンクル「おい，今日は俺が使う約束だろう．」
フラッシュ「美人コンテストのオフィシャルキャメラマンとして，
香港へ招待されてるそうだなあ．」
アンクル「あれは明日の出発だからさ．」
フラッシュ「先方の都合でさあ，今日になったんだってさ．」
フラッシュはアンクルに航空券を渡した．
フラッシュ「急がないと乗り遅れるぜ．」
アンクル「だって今日はこの子との仕事があるんだもん．」
スポット「(自分を指差して)ここにピンチヒッターがいるでしょ．」
アンクルはなおも不服そうに言った．
アンクル「冗談じゃない．童貞に女が撮れるかい．」
スポット「(アンクルに)また，それを言う．(女に)俺，草間哲平．よろしく．」
女「ゆかりです．なんだかわからないけど，よろしくお願いします．」
アンクルはスポットにせっかく見つけてきたモデルを取られ，
未練がましく文句を言うのであった．
さてここは関東拘置所．護送車が容疑者を裁判所へ護送していた．
被告人「税金の無駄だな．」
警官「どういうことだよ．」
被告人「今にわかるよ．」
護送車は交通事故の処理中のところに出くわした．
だが立ち会っていた警官は偽者．護送車の警官を撃ち殺し，
被告人の峰岸五郎41歳は脱走に成功した．
この事件を報じるテレビをフラッシュは見た．
そして太った女性の客に依頼されていたお見合い写真を渡した．
女性客は前から気に入っていたとお見合い写真をそのままフラッシュに渡し，
一騒動．そのとき，クラシック音楽が鳴った．これ幸い，
とフラッシュは閉店だとごまかし，女性客を帰したが
フラッシュ「いっけねえ．お金もらうの，忘れてた．」
その頃，スポットはオフィス愛で先程の女の子を撮った写真を，
アイリスに見せていた．水着写真じゃないので採用されない，と言うアイリスに，
絶対行ける，オフィス愛で売り出してくれ，とスポットは言った．
不安に思ったアイリスは妹の件を持ち出し，スポットは閉口．
スポット「第一，妹さんなんて，本当にいるんですか?」
図星だったのかどうかは知らないが，力を込めてアイリスは答えた．
アイリス「いるわよ．マジで花嫁修業して，
あなたに嫁ぐ日を夢見てるって言うのにさあ．この浮気もん．」
アイリスはスポットから写真を取り上げようとしたが，そのとき，
腕時計が鳴った．
ゴッド「ゴッド指令．犯罪者レスキュー組織の実体を暴き，
中心人物をハンギングせよ．」
峰岸脱走事件と同様の事件がこの1年間に頻繁に発生していた．
元証券会社社員の北島信夫は投資家から預かった多額の金を横領して，
指名手配されたが逮捕寸前に何者かが連れ去った．
他にも同様の手口で完全に行方不明になった犯罪者が大勢いた．
どうやら犯罪者の逃亡を助ける組織があるらしい．
それを探るのが今回の仕事だ．フラッシュは峰岸の行方を当たることにした．
スポットは他の犯罪者の行方を当たることにした．
まず北島がとっかかりになるだろう．
アイリス「あたしは事務所で待機するわ．」
フラッシュは帰ろうとしたアイリスを捕まえた．
フラッシュ「待った．たまにはちゃんと働けよ．」
全くだ．
アイリス「か弱い女に危ない仕事をさせる気?」
ベニー，タミー，マリア，パピヨンなどが聞いたら怒り狂いそうなことを，
アイリスは言った．
フラッシュ「手が足りないんでな．」
アイリス「あたし，苦手なの，アクション．」
マリア，パピヨンなどが聞いたら怒り狂いそうなことをアイリスは言った．
フラッシュ「その分，口は達者だろう．」
フラッシュは飴を与えることにした．
フラッシュ「スポットと組んでくれ．」
アイリス「哲平ちゃんと?」
これを聞いたスポットは嫌そうな顔をした．
スポット「え，俺と?」
アイリス「早く行かないと．哲平ちゃん，何でも言いつけてね．早く行きましょ．
お仕事ですから．」
アイリスは張り切ってスポットと一緒に出て行った．
フラッシュは峰岸の弁護を担当している鬼藤源治(中村孝雄)の事務所を訪ねた． フラッシュはフォトジャーナリストと名乗った．そして脱走の前日， 鬼藤が峰岸と面会したことを持ち出し，脱走の打ち合わせをしたんじゃないか， とカマをかけた．名誉毀損で訴えるという鬼藤に，フラッシュは，ありがたい， 法廷の盗み撮りしたかった，と開き直り，弁護士なら報道の自由を守れ， と付け加えた．帰れ，という鬼藤にフラッシュは，常時カメラで狙う，と言い， さらに，それが嫌なら1時間後に10号埠頭へ来て情報を提供しろ， と言って立ち去った．フラッシュが出て行くのを見届け， 鬼藤はどこかへ電話した．相手は大きな屋敷に住んでいる， やすひこという若い男だった．だがやすひこはコンピュータゲームに夢中． 母親にたしなめられるほど，やすひこはコンピュータを信奉していた． やっとやすひここと堂本やすひこは鬼藤からの電話に出た．
一方，スポットとアイリスは北島の娘が働いているという，
マクドナルドのある支店へやってきた．二人は様子を伺うことにした．
なんと，北島の娘はゆかりだった．ゆかりのところへさっきの男がやってきた．
そして男はゆかりにアクセサリを渡そうとした．逃げるゆかりに
男「私はねえ，君のお父さんの友達なんだよ．」
驚くゆかり．
男「誰よりも親しい仲でねえ，君の様子を見てきてくれと頼まれたんだ．」
ゆかり「それじゃ，パパに会ったんですか?」
男「う，うーん．」
男はうなずいたが，何となく様子が変だった．
ゆかり「教えてください．パパ，今，どこにいるんですか?」
男「それは言えないんだ．」
ゆかり「どうして? パパだったら，あたしに会いたいはずでしょ．
どうして言えないんですか?」
男は無言だった．
ゆかり「嘘なのね．パパの友達だなんて．
今度近づいたら警察に言っちゃうから．」
ゆかりは走って去って行った．男は渡し損ねたアクセサリをじっと見て，
立ち去った．
アイリス「アンクルに負けないロリコンねえ．」
だがスポットは何か勘付いたようだ．
スポット「あの子のお父さんのこと，知ってるみたいだな．」
それを聞き
アイリス「哲平ちゃんって頭いい．あれはただの変態じゃないわよ．」
ふーん．
スポット「あの親父さん，マークしててくれる?
俺はあの子のこと接触してみるから．」
あのことしか頭にないアイリスは
アイリス「哲平ちゃん，変なとこ，接触しないでね．」
と念を押した．
スポット「わかってる，わかってる．」
スポットはアイリスの言葉を適当に流した．
さてフラッシュは例の10号埠頭にいた． そこへ怖いお兄さん達(堀田真三)を引き連れ，鬼藤がやってきた． 怖いお兄さん達はフラッシュに撃退されたが， 怖いお兄さんの部下(堀田真三)は手ごわい男で，拳銃でフラッシュを威嚇した． 去って行く鬼藤の車を撮影する振りをして，フラッシュは発信機を取り付けた．
スポットはゆかりの住んでいるアパートへ写真を持って行った．
ゆかりはタレントになるのを諦めていると言った．
理由を尋ねたスポットにゆかりは，
北島信夫が容疑者になっている事件を報じた新聞の切抜きを見せた．
ゆかり「わかったでしょ．私は犯罪者の娘なの．」
スポット「じゃあ，どうしてそんなこと俺に?」
ゆかり「さあ，どうしてかなあ．誰にも秘密にしてたのに．
もしかして草間さんが好きなのかなあ．」
アンクルやチャンプだったら大喜びするに違いない，
思わぬことを聞かされたスポットは慌ててしまった．
スポット「あ，まさか．だって，会ったばかりなのに．」
ゆかり「関係ないわよ．女はね，
優しくって裏表のない人に魅力を感じるものなのよ．」
スポットは「腹減ったなあ．飯でも食おうか．」と言うのであった．
ファミリーレストランで食事をしながら，
ゆかりはスポットに北島のことを話した．
事件を起こした当初は北島をゆかりは憎んだが，今では北島に会いたいと言う．
北島は元は銀行員だったが，学歴がないので課長になれず，証券会社へ転職．
しかし外回りの営業ばかりで家に帰る時はいつも疲れきっていた．
笑顔を見せたのは休日に絵を描いている時だけだったと言う．
北島は本当は絵描きになりたかったというくらい，絵が好きだった．
展覧会で入選したこともあると言う．
北島は逃亡してから連絡して来た事はなかった．
ゆかり「あたしのことなんて，どうでもいいんだわ．」
ふと目を横にやると，小さな女の子が父親と楽しく食事しているのが見えた．
それを見てゆかりは涙を流した．スポットは居たたまれなくなってしまった．
さてアイリスはゆかりにつきまとっていた男を尾行． 男は篠田公一という表札のかかった家に入って行った． アイリスが中を覗いてみると，男がゆかりの油絵を描いているのが見えた． 早速アイリスはその絵を撮影した．
一方，フラッシュは発信機の発信地を確認．
ゴッド「信号の発信地は東京都世田谷区成城，堂本やすひこの私邸である．
堂本やすひこは1958年生まれ．一流大学を卒業後，コンピュータ会社に就職．
父親の死後，代々経営する外科病院の理事長に就任した．
なお堂本は少年時代からのコンピュータマニアで，
ゲームプログラマーの草分け的存在である．」
鬼藤と部下は峰岸を連れ，やすひこに会っていた． 峰岸は手術には同意していたが，盗んだ金の半分を取られるのが不服だった． だがやすひこはあることを盾に取り，却下した．峰岸が単独で逃走した場合， 警察につかまる確率は99.9%．裁判で死刑になる確率は100%． やすひこはデジコンみたいな男だ．それを聞いた峰岸は条件を飲んだ． やすひこは峰岸に，整形後の顔を持つ候補者の写真を見せた．そしてその晩． 写真に写っていた男は拉致された．
さてS.S.C.でアイリスはスポットに例の油絵の写真を見せていた．
アイリス「あたしの腕もまんざらでもないでしょ．」
忘れているかもしれないが，アイリスは元カメラマン．さて写真を拡大すると
スポット「あ，間違いなく彼女だ．これ，ホントにあの男が?」
アイリス「よっぽど彼女に御執心なのねえ．描いてるとこ，見たわ．」
男が篠田公一という売れない絵描きと聞いたスポットは驚いて聞き返した．
翌朝．やすひこの車が峰岸を連れて外へ出た．フラッシュはしっかりと尾行．
車は堂本外科病院の前に停まり，やすひこ達は中に入った．
それをフラッシュは見届けた．
やすひこの母親は昨晩拉致した男をベッドに寝かせていた．
そこへ峰岸を連れてやすひこが入って来た．
昨晩拉致した男は身寄りも前科もなく，しかも峰岸と顔の骨格が似ていた．
やすひこはコンピュータに身寄りのない人間のデータを2万人打ち込み，
峰岸と良く似た人物を検索して選び出したのだ．
しかも声帯も手術で変えると言う．さらに拉致した男は
やすひこ「地上から完全に抹殺する．」
同じ顔の男が二人いては困るからだ．
フラッシュは病院に侵入．医者の一人を倒して服を奪い，潜入した． そして特別処置室の様子を盗聴． その様子を10号埠頭で闘った部下に見つかったが，逃走に成功した． フラッシュの逃走を聞いたやすひこは社会復帰した人間の始末を示唆した．
S.S.C.でフラッシュは堂本外科病院で行なわれていたことを報告した．
彼らがやっていたのは実在の人物そっくりに整形し，
一般社会に潜り込ませることだったのだ．それを聞いたスポットは
スポット「それでわかった．あの篠田って男は北島って言う横領犯だったんだ．」
アイリス「つまり，ゆかりちゃんの父親って訳?」
スポット「そうとも知らずに，あの子…」
パンと同じことを篠田，いや北島は思っていたのだ．スポットの様子を見て
アイリス「哲平ちゃん，随分心配そうねえ．
まさか本気で愛したんじゃないでしょうねえ．」
そのことをスポットは否定した．
スポット「何とかしてやりたいなあ，あの親子．このままじゃ，可哀想だよ．」
アイリスは変な顔をした．
「篠田公一」の家にアイリスがやってきた．アイリスは画廊の主人と名乗り，
絵を買いたいと言うのだ．そして例の絵を見て
アイリス「ああ，この顔．」
北島「は?」
アイリス「あたくしの存知よりの娘さんにそっくり．」
北島「ホントですか．」
アイリス「ええ．北島ゆかりさんと仰いましてね，
あたくしの弟のガールフレンドなんですの．」
北島の顔に緊張が走った．
北島「それは偶然ですねえ．これ，あの，空想で描いた物でして．」
アイリス「その方，可哀想な娘さんでしてねえ，お父様が横領犯人でして，
独りでアルバイトしながら暮らしてらっしゃいますのよ．」
それを聞いた北島は絵，そして例のアクセサリーを見た．
そしてしみじみと言った．B.G.M.は「ザ・ハングマンII」で，
ハンギング・パーティーの招待状を被害者が読む時に使用された曲だ．
北島「ひどい父親ですなあ．そのお嬢さん，さぞ，憎んでるでしょうねえ．」
アイリス「とんでもございません．憎んでるどころか，
一目でもお父様に会いたいって仰ってますのよ．」
それを聞いた北島は外を見ながら言った．
北島「まさか．ご冗談でしょう．」
アイリス「いいえ，それが本当ですの．まあ，だからこそ，
あたくしの弟も同情して．」
北島は無言だ．
アイリス「そう，そう．今頃，桜台公園でデートしてるかもしれませんわ．」
迂闊なことに，外に置いてある鉢植えに盗聴機が仕込まれていることに，
アイリスは気づいていなかった．以上の会話をやすひこの部下が聞いていたのだ．
桜台公園でスポットはゆかりに真相を話した．はじめ，ゆかりは信じなかったが，
整形手術をしたことを聞いて納得．だが
ゆかり「でも，草間さんがどうしてそんなことを?」
スポットは口篭もった．
ゆかり「どうして，ねえ，どうして知ってるの?」
スポット「実を言うと俺，週刊誌の記者なんだ．」
ゆかり「週刊誌の?」
スポット「そ．だから，お父さんの事件のこと，色々調べて，
情報を集めてたんだ．」
ゆかり「それじゃあ，あたしに優しくしてくれたのも?」
スポット「ああ．まあね．」
これを聞いたゆかりはショックを受けた．
ゆかり「そう．そうなの．」
スポット「ごめん．騙して悪かった．謝るよ，この通り．」
ゆかり「やめて．もういいの，それは．
あたしが勝手に思い込んでいたんだから．」
スポットは時計を見て言った．
スポット「もう，来る頃だな．俺，ちょっと見てくるわ．」
スポットはゆかりの元を離れた．余談だが，
桜台公園のロケ地は調布市内にあるNTT東日本の研修センターだと思われる．
僕ちゃんにはある理由で見覚えがある場所だ．どうでもいい話だが，
僕ちゃんはNTT東日本の社員ではない．
ゆかりの元へ急ぐ北島はサイレンサーつきの拳銃で部下に撃ち殺されてしまった．
それを見てスポットは駆けつけ，部下は退散．
スポットは北島が例のアクセサリを握り締めていることに気がついた．
スポットはゆかりのところへ駆け寄った．救急車の音が響くので
ゆかり「何かしら?」
スポット「バイクが接触事故を起こしただけだよ．」
スポットはそう言ってごまかすことしかできなかった．
S.S.C.でスポットは北島父娘を引き合わせようとした事を後悔していた．
フラッシュ「お前のせいじゃない．気にするな．」
アイリス「悪いのはさあ，レスキュー組織の奴らなのよ．」
それでも
スポット「いや，俺が悪いんです．俺が．」
フラッシュ「甘ったれるな．」
フラッシュはスポットを殴った．
スポット「矢吹さん!」
フラッシュ「その目だ．その方がよっぽどお前らしいよ．」
スポット「よし，奴らをハンギングしましょう．今すぐに．」
フラッシュはアンクルが帰ってくるから，もう少し待てと制止した．
待てないと主張するスポットにフラッシュは閉口した．
そこへアンクルが戻って来た．
仕事は「還暦美人コンテスト」と言う奴だったので，
途中でやめて戻ってきたのだ．やりましょう，と意気込むスポットを見て．
アンクル「やるって何やんだい?」
フラッシュ「ハンギング．」
ここで水を差すようなことをアイリスは言い出した．
アイリス「ねえ，今回抜いたらどう? だって今頃帰ってきて，
一人前もらえるなんて，ひどいよ．」
この件に関して私は何も言う気も起きない．フラッシュは同意(する振りを)した．
アンクル「よう，よう，やだよ．そのために，俺帰ってきたんだ．
アンクルなくして事は成就しない．」
アンクルは手を出した．
フラッシュ「よし．Say Cheese!」
フラッシュは手をアンクルの手を叩いた．スポットも手を乗せた．
アイリスは嫌そうに手を乗せた．
手術室からやすひこの母親が出てきた．理事長室でやすひこや鬼藤達と， 手術は成功とほくそ笑んでいた．そこへ患者が運ばれてきた． 患者は起き上がり，どうしたのよ，と言う母親に向かって催眠ガスを噴射． 患者はアンクルの変装．スポットとフラッシュも医者に化けて入り込んでいた． そしてアンクルと一緒に大暴れ．悪党達を全員捕まえた．
早速「寿司元」に電話がかかってきた．
高田「はい，寿司元．あ，愛ちゃん? 何? 仕事? いや，うれしいねえ．いや，
ここんとこさあ，体いじめてないもんだから，食欲なくてさあ．え，で，
何やんの? 教えて．何? あ，そう．あ，そう! なんか，ぞくぞくするねえ，俺．
いや，ギャラのこと言わないから．やる，やる，やる．俺，喜んでやる．」
悪党達は人型の的に縛り付けられていた．
フラッシュ「これから，お前達4人に社会的正義が加えられるわけだが，
その前にお前達同様の悪人を一人，始末することになる．」
と言うやいなやモルモット小父さん登場．
モルモット小父さん「おい．なんなんだよー．おい．何すんだよー．
やめてくれよー．おーい．やめてくれよー．」
それを見て
フラッシュ「なかなかいい芝居してるなあ．」
レーザー光線が発射された．
モルモット小父さん「何だよ．何しようって言うんだよ．」
アンクル「それは手術用のレーザービーム．
おまえの顔を整形してやろうって言うわけだ．」
モルモット小父さん「俺はこれで満足だよ．これ以上，
よくなろうって思っちゃいねえよ．」
アンクル「良くなるか悪くなるか，お前の心がけ次第だ．」
モルモット小父さん「何言ってやがんでえ?」
フラッシュ「お前のやった悪事を残らず吐くんだ．さあ，始めるぞ．」
モルモット小父さんの周りの弾着が次々と爆発．
モルモット小父さんは悲鳴を上げた．
そしてモルモット小父さんの腹についた爆弾が爆発した後，
レーザー光線はモルモット小父さんの額に命中．これは効き，
モルモット小父さんは頭を垂れてしまった．
アンクル「可哀想に．ビームが脳髄を直撃したらしいなあ．」
これじゃあ，そのうち死んじゃうぞ．悪党達は脂汗を浮かべた．
フラッシュ「さあて，いよいよ，お前達の番だ．」
スポットがレーザーを操作した．
フラッシュ「さあ，誰から始めようかな．」
部下「おー，やめろー．おい．やめてくれえ．」
鬼藤「助けてくれえ．」
部下「俺は死ぬのは嫌だよ．」
やすひこ「ああ，ママ，助けてよー．」
母親「や，やめてえ．やめて．」
フラッシュ「よーし，カメラのスイッチだ．」
スポット「OK．」
カメラが用意された．
鬼藤「命令されてやっただけなんだあ．なあ，滝沢．」
滝沢「そうだい．レスキュー組織は堂本理事長が作らしたんだ．」
やすひこ「うわあ．この二人が計画立てたんだあ．」
母親「そうよ．そそのかしたのはこいつらよ．」
鬼藤「違う．犯人を脱走させるのは堂本のアイデアだあ．」
滝沢「そうだ．俺達はただ，金につられて手助けしただけだあ．」
母親「あたしも命令されたのよ．犯罪人の整形手術は，
みんなこの子のアイデアだわ．」
酷い母親だ．
やすひこ「ママまでそんなことを．僕独りを悪者にして，そんなの酷いよー．」
母親「何が酷いのよ．ママをこんな犯罪に引き込むなんて，
酷いのはあんたよー．」
やすひこ「あー．元々計画したのはママじゃないかあ．」
そして堂本達は警察に引き渡された．新聞は「犯罪者 レスキュー機関 摘発さる!」
「コンピューター狂の 病院理事長を 逮捕」「整形手術を悪用，
女医も共犯」と報じた．この記事をゆかりも読んだ．
そしてゆかりはスポットからもらった写真を手にとり，涙を流すのであった．
額にバンソウコウを貼ったモルモット小父さんはヒーヒー言っていた．
モルモット小父さん「参ったなあ，まともに(額を指差して)来たもんなあ．
脳味噌突き抜けちゃったよ，俺．」
脳味噌をレーザー光線が突き抜けて，良く生きているものだ．凄い生命力だ．
例によって冷たくアイリスが言い放った．
アイリス「電流弱めたから火傷で済んだのよ．」
モルモット小父さん「手違いあったらどうするんだよ．命一つしかないんだよ，
俺．もう，やめた，やめた．やめた，俺，もう．」
アイリス「いいわよ．ギャラがいいからやりたいって人は，
たくさんいるんだから．」
これを聞いたモルモット小父さんは気が変わった．
モルモット小父さん「やるよ，やります．やりますよー．」
札束を数えていたアイリスは
アイリス「元さん，今度のギャラさあ，値切られちゃったのよ．だから，これ，
あたしの手数料あるでしょう．」
アイリスは一万円札を4枚しか渡さなかった．
モルモット小父さん「4万円．たった4万円．生きるって厳しいもんなんだなあ．」
実際はどうだったかと言うと
フラッシュ「アイリス．要求通り，モルモット小父さんのギャラアップ，
考えてあるからな．」
アイリス「喜ぶわ，きっと．」
フラッシュは気になっていることを聞いた．
フラッシュ「ところでさあ，本当にモルモット小父さんに，
ギャラ渡してあるんだろうなあ．」
アイリス「信じる者は救われる．」
フラッシュ「信じられないなあ．」
さらにアイリスはこう言い放った．
アイリス「ねえ，アンクルとあたし，どうして同じギャラなの?
あの人，香港で女の尻，追っかけまわしてたのよ．」
アンクル「文句があるならゴッドに言えば．」
アイリス「ゴッド，ゴッドってコンピュータにどう言えばいいのよー．」
それを聞いたスポットは笑っていたが
スポット「ね，ところでフラッシュ．ゴッドって一体どういう人?」
フラッシュ「さあ．」
そしてアンクルは女の子二人と一緒にローラースケートで遊んだ．
スポットはヨットハーバーで写真を撮った．
フラッシュはジムでトレーニングに励むのであった．
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