夜の街で男(信実一徳)が登記書のコピーを受け取っていた. そして男は相手に報酬を支払おうとしたが,相手は,もう嫌だ, 専務に会ったらそう伝えろ,と言って受け取らず,立ち去ろうとした. 相手は荒川という部長だった.男はなおもお金を渡そうとしたが, 荒川は断った.そして荒川は男とその仲間によって殴り倒された.
ちょうどその頃,ファルコンとバニーが配達から戻ろうとしていた.
ファルコン「猫のミーちゃん,どこでデートすると思う?」
と言うやいなや,男が陸橋の上から落ちてきた.
慌ててワゴンを止めるファルコン.バニーは救急車を呼ぼうとしたが,
ファルコンが止めた.ファルコンとバニーが知る由もなかったが,
落ちてきた男は荒川.
荒川「希望…が原」
そう言って荒川は事切れた.
緑美園に戻ったファルコンとバニーはエジソンにその話をした. 警察では飛び込み自殺だと見ていた.ファルコンとバニーは, 荒川が「希望が原」と言い残して死んだことを気にしていた.
その頃,蝶子は家計簿をつけていた.そこへ雅則がご機嫌で戻って来た.
雅則は課長補佐の辞令を受けたのだ.抱き合って喜ぶ雅則と蝶子.
雅則は部長の推挙を受けて課長補佐になれたのだ.
そこで
雅則「お礼を兼ねまして部長を拙宅にご招待いたしました.」
慌てる蝶子.そして雅則が部長(宮尾すすむ)を招き入れた.
部長は蝶子を気に入った様子.雅則は偉そうに
雅則「女房なんてもんはね,私が養ってるんですからね,私はいつも,
顎でこき使ってますよ,顎で.」
と自分の顎を指差しながらほざいていた.部長は蝶子に酌をしてもらい,大喜び.
そして「♪にーげーたーにょーぼーにゃ,未練がなーいーがー」と歌いだした.
だが,あまりにうるさいので隣りの家から文句が来てしまい,
歌を止めざるをえなかった.代わりに蝶子は料理を出してもてなした.
部長「しかし,なんだね,英君.」
雅則「は?」
部長「君も課長補佐に昇格したことだし,」
雅則「は.」
部長「いつまでも,このアパート住まいと言う訳にもいかんだろう.あ?
この辺でもうそろそろ,マイホームプランでも立てたらどうかね.」
雅則は困った顔をしてしまった.
部長「まあ,せめて土地だけでも手に入れておけば,
家の方は私の知り合いの建設会社に頼めば格安で建てられるからな.」
雅則と蝶子はお互いを見合った.
翌朝.雅則は部長の話を気にしていた. 雅則は男は仕事が勝負だと強がりを言って,出て行った.その後, 蝶子は進東土地開発が出している「希望が原ホームタウン」の宣伝広告を見て, 何事か決意していた.
緑美園にパピヨンが現れた.
エジソンは顕微鏡の前で突っ伏して寝ているファルコンに種を蒔いていた.
アジトへ直行するパピヨンを見て
エジソン「仕事?」
ファルコンも起き上がった.
ファルコン「のようだな.」
パピヨンの後ろをファルコン,エジソン,
バニーの順で一列に並んでついて行った.
ファルコン「仕事ですか?」
パピヨン「うーうん.ちょっとね.」
パピヨンは隠し金庫の扉を開けた.
パピヨン「確か今までのギャラの積み立てが1600万.」
パピヨンは通帳を見て確認した.
エジソン「1600も貯めてるの!」
パピヨン「これを頭金にしてマイホームを建てるの.」
エジソン「マイホーム…」
エジソンとファルコンはなぜかバニーの方を見た.
パピヨン「えーとね,いい土地があるの.」
パピヨンは広告を広げた.
パピヨン「都心からたった35分.じゃ,あたし,急ぐから.」
広告を置いて去って行くパピヨン.広告を見たファルコンは
ファルコン「希望が原ホームタウン.」
バニー「そう言えば,夕べ自殺した男もそんなことを.」
ファルコン「うー,朝刊,朝刊,朝刊.」
ファルコンはバニーが持ってきた朝刊で夕べの事件を確認した.
夕べ死んだ荒川は進東土地開発の営業部長だった.
エジソン「このチラシの会社とおんなじじゃない.」
蝶子は希望が原ホームタウン見学のバスの中にいた.
そして抽選会が行なわれた.蝶子の整理券の番号は79番.
担当者(信実一徳)が78番が当選したと叫ぶのを聞き,隣りの女性は
女「あら,奥さん.1番違いですのねえ.惜しいなあ.
でも倍率が2倍ぐらいだそうですから,きっと当たりますね.」
結局蝶子は外れたが,その女性は「運良く」当たった.
女「でもこれからが大変ですわー.今日中にね,頭金払わないと,
購入資格,なくなってしまうんですって.」
蝶子「今日中に?」
女「その代わり,登記書の名義変更など,
すぐにやってくれるらしいんですけど.これがその写しなんです.」
女は蝶子に登記書の写しを見せた.
蝶子「随分,また急な話なんですねえ.」
女は銀行へ行くと言って,蝶子と別れた.それを見ながら
蝶子「あーあ.マイホームの夢も消えちゃった.」
と呟くのであった.
だが,この話にはとんでもない続きがあった.これは詐欺事件だったのだ. 被害者が続々と進東土地開発本社に詰め掛け,社長を出せ,と叫んでいた. 営業担当重役の三宅専務(名和宏)が事件について説明することになった. 進東土地開発の調査で明白になったことが二点あった. 一つは,この事件が「進東土地開発の名前を騙った大掛かりな詐欺事件」であり, 「進東土地開発とは一切関係のないこと」であること. 大騒ぎする被害者達を前に,三宅はもう一点明らかになったことがあるといい, 進東土地開発が法的にも道義的にも被害者であると強調した. 蝶子と話していた女,山崎和子,35歳は絶望し, 小田急の踏み切りで飛び込み自殺をしてしまった.
翌朝,山崎和子の自殺を新聞で知った蝶子は裏に何かあると直感した.
雅則は1000万円も騙し取られて自殺する気になるのは不思議じゃない,と言い,
さらに
雅則「その点,うちなんかね,楽でいい.家なし,金なし,苦労なしって.
へ,へ,へ.持たざるもんの強みって奴だ.」
と呑気なことを言っていた.さらに時計を見て急いで出て行こうとした.
理由を聞く蝶子に雅則はこう言った.
雅則「蝶子.とうとう俺にもつきが回ってきたよ.うん.
課長補佐に昇格した途端にね,なんと,1500万の商談がまとまった.」
蝶子「ほんと?」
雅則「今朝一番で先方と煮詰めることになってるんだけどねえ,
この話がまとまれば,今月の営業成績はぐーんとアップ.
課長補佐の面目躍如ってとこだよ.」
そう言って張り切って雅則は出かけて行った.
さて蝶子がお茶を買おうとしていると
マネージャー「そろそろ新茶の季節ですね,奥さん.」
マネージャーが声を掛けてきた.
マネージャー「いろんなお茶がありますねえ.」
マネージャーは一つ手に取った.
マネージャー「こんなのまで,ああ,お茶の羊羹か.」
ここでマネージャーは話題を変えた.
マネージャー「ところでね,奥さん.夢のマイホームなんていかがですか.
希望が原の特選住宅地.」
マネージャーとパピヨンは川べりに場所を移して話を進めた.
マネージャー「警察ではねえ,
不動産業界に精通した地面士の仕業と見ているようだが,
わたしゃ,どうもそれだけじゃないような気がするんだな.」
パピヨン「というと?」
マネージャー「被害にあった連中は現地販売事務所で,
土地の登記書の写しを見せられているんだよ.」
パピヨン「ああ.それなら,あたしも.」
それを聞いたマネージャーは不思議に思った.
マネージャー「え? どうして知ってんの,それ.」
パピヨン「あ,いえいえ.新聞かなんかで読んだことが.」
そう言ってパピヨンはごまかした.
マネージャー「そう.はあ.ま,とにかくだ.そのコピーの原本は,
専門の司法書士に見せても間違いないらしいんだ.ということは,
進東土地開発の社内に一味に通じているものがいるんじゃないかと.」
ここでマネージャーは口調を変えた.
マネージャー「とまあ,こんな推理が成り立つわけなんですがねえ,奥さん.
一度,その辺のところを調べてもらえましょうかな.はい,
詳しくは資料を見て下さい.それから,お楽しみのものを.」
パピヨンがアジトで指令を説明した.
コピーの出所を洗うことが取っ掛かりになる.
希望が原ホームタウンは第一営業部担当だったので,出所はそこじゃないか,
とパピヨンが言うと
ファルコン「なるほど,それで見えてきた.」
パピヨン「え?」
ファルコンは第一営業部の荒川部長が3日前の晩に自殺したことを話した.
偽装殺人の疑いもあるので洗ってみようとファルコンが言うと
エジソン「ちょっと待って.そう簡単に安請け合いするもんじゃねえや.」
ファルコン「何,気張ってるんだ.」
エジソン「わたしゃ,プロなんだから,まずギャラと相談しなきゃ.」
というわけで
パピヨン「今回のギャラは一人90万.」
ファルコン「経費込みですか?」
パピヨン「もちろんよ.」
エジソン「きりのいいところで100にしてもらえませんか?」
すかさずバニーが叫んだ.
バニー「ひとーつ.ギャラの不平不満は慎むべし!」
ファルコン「行こうか.」
白けたファルコンはバニーを無視し,エジソンと一緒に出て行った.
パピヨン「はい,じゃあ,お願いします.」
エジソンはテレビのリポーターと称し, 進東土地開発第一営業部のOLに聞き込もうとした.しかし, 緘口令が敷かれているらしく,OLは話そうとせず,新しい部長に聞け,と言った. ファルコンは東都日報の伊吹と称して進東土地開発の社員に聞き込もうとしたが, 警察に任せてあるし話せない,という答えしか返って来なかった.
さて雅則の商談は
雅則「全くついてないよ.課長補佐に昇格して喜び勇んだ途端に,
1500万もの不渡りつかまされるなんて…」
絶望する雅則.蝶子は雅則を慰めたが,雅則は狼狽するばかり.
雅則は夜逃げすることにし,荷物を纏め始めた.
そこで蝶子は
蝶子「あなた,これを使ってください.」
住宅資金にする予定だったギャラを出した.
雅則「これはなんだ.」
蝶子「私,あなたと結婚する前にお店を経営してたでしょ.
これはそのとき貯めたお金なの.マイホームの頭金にと思って,
下ろして置いたんだけど,ちょうど良かったわ.不渡りの決済に当てて.」
雅則は泣いて礼を言うのであった.
バニーは進東土地開発に潜り込み,新部長の村田(中田博久)を社内で尾行した. 村田は三宅に泉台パークタウンの登記書のコピーを持ってきた. 見返りに三宅は札束を渡した.三宅は役員人事選挙運動のために金が必要だった. 村田はマスコミの人間と称して探っている人間がいることを三宅に報告し, 警告した.
ファルコン達はパピヨンに進東土地開発の内部事情を調べた結果を報告した. 現社長の岩佐と三宅は会社の経営権を巡って長年対立関係にあった.最近, 三宅は「実弾攻勢」で役員人事の多数派工作を進めているという噂があった. 数億の金をばら撒いたという噂もある.よって,その金を捻出するために, 三宅達が地面士と組んで今回の詐欺事件を起こした可能性がある. 荒川は三宅達の秘密を知り過ぎてしまった為に殺されたのだろう. 後任の村田は元々三宅の後輩で今回,庶務課長から異例の抜擢を受けていた. もしかすると三宅は村田と組んで第二の詐欺事件を企んでいる可能性がある.
三宅の車をパピヨンが尾行した.三宅はホテルのロビーで男と会った. その男は希望が原ホームタウンにいた男だった.三宅は男に何事か指示. なおもパピヨンは三宅を尾行したが, 地下駐車場でパピヨンは男達に捕まってしまった.
実はこれは囮作戦だった. ファルコンはパピヨンの指輪から発信された信号を頼りに追跡開始. そのことをファルコンは無線でエジソンに報告した. パピヨンはアジトで拷問を受けていた.ガスバーナーに火がつけられた. パピヨンの顔の前に火が迫る.
さてアジトでは,何も連絡がないのでバニーが焦っていた.
エジソンはPENTHOUSEを見ていた.そこへ
バニー「あれ!」
エジソン「何?」
モニターカメラに雅則の姿が映っていた.
バニー「パピヨンの旦那さん.」
エジソン「旦那? なんだ,おい.」
仕方がないのでエジソンが応対することにした.
雅則は蝶子が来ているかどうか聞いたが,エジソンはとぼけた.
雅則は,以前,蝶子が緑美園でパートをしていた,と聞いたので,
やってきたと言った.雅則が隠し扉の前にやってきたので,
エジソンは慌てて立ちはだかり,そんな人はおりません,とごまかそうとした.
雅則「もしかしたら,こちらに連絡が入るかもしれませんので,
しばらく,待たして頂きます.」
雅則は座り込んでしまった.
エジソン「参ったな,おい.」
雅則「なんか都合の悪いことでも?」
エジソン「いや,いや,いや.どうぞ,ごゆっくり,お待ちください.」
その頃,敵のアジトに三宅と村田が姿を現した.それをファルコンも目撃した.
パピヨンは信号を送った.信号を受信したファルコンはアジトに無線を入れた.
ファルコン「こちら,ファルコン.」
バニー「はい,どうぞ.」
ファルコン「出動準備頼む.」
バニー「了解.」
緑美園には未だ雅則がいた.エジソンは雅則を追い返そうと四苦八苦していた.
だが隠し扉が大開きに
エジソン「馬鹿!」
バニー「ファルコンから連絡…」
エジソンはバニーをビンタ.
雅則「ん!」
雅則はしっかり見てしまった.
バニー「まだいたんですか?」
おい,バニー.モニターくらいチェックしろ.
初見の際,私はそう思った.これはバニーが犯したチョンボの中でも一番酷い,
最大のチョンボだ.
雅則「こんなとこに隠し部屋が.」
エジソン「ええ,これ,倉庫になってるんです.」
雅則はエジソンの言い訳を信じなかった.
雅則「そうか,この奥に蝶子を匿ってるんだな.」
仕方なくエジソンは雅則を眠らせた.そして雅則を英宅へと運んだ.
バニーが布団を敷き,エジソンは
エジソン「♪坊やは良い子だ,寝んねしーな.」
と歌いながら,雅則にパジャマを着せた.そして雅則を布団に寝かせた.
夢だとごまかそうとしたのだ.初見の際,私は思わず笑ってしまった.
敵のアジトでは三宅が希望が原ホームタウンにいた男,唐沢に処分を任せて,
去って行った.ファルコンはパチンコで三宅の車に発信機をつけた.
ファルコン「エジソンちゃん.」
エジソン「はい,エジソンちゃんよ,どうぞ.」
エジソンは機械室にいた.ワゴンの運転はバニーがやっているらしい.
ファルコン「奴らの車に発信機つけといた.尾行頼む.」
エジソン「了解.」
唐沢は拳銃でパピヨンを脅した.そこへファルコンが乱入. パピヨン救出に成功した.
蝶の舞うCGが流れた.衣裳部屋からパピヨンが登場.
パピヨン「Let's go!」
ファルコン「Hanging!」
ファルコンはバニーの手を叩いた.
バニー「Hanging!」
ファルコンはエジソンの手を叩いた.
エジソン「Hanging!」
そしてハングマンは出動.バニーはワゴンの中でバンダナを巻いた.
村田の部屋の明かりが点滅した.村田は外へ出た.
村田「おーい,誰かいないのか?」
そこへ赤鬼(バニー)と青鬼(エジソン)が登場.村田を倒してしまった.
エジソン「この歳で恥ずかしいわ.」
三宅はクラブでパピヨンの姿を見て驚いた.三宅はパピヨンの後をつけた. 女性用トイレに入るパピヨンを見て三宅は戻ろうとしたが, 男性用トイレから出てきたファルコンに三宅は殴り倒された.
野原の真中に立てられた4本の柱に悪党達は立たされていた.
ファルコン「いいか.
貴様達が抱いているダイナマイトには時限装置がついていて,
ゲーム開始後3分で爆発する仕掛けになっている.時限装置を止めたかったら,
前方の柱にセットしてあるリモコンスイッチを切るんだな.断っておくが,
これはただの脅しじゃないぜ.あのダミー(マネキンのこと)を見ろよ.
あのダミーは目的地に辿り着けなかった.とするとだな.」
マネキンが爆発した.三宅は顔をそむけ,村田は悲鳴を上げ,
唐沢は口を開けてビビリ,もう一人の部下も悲鳴をあげた.
ファルコン「見事に吹っ飛んだ.木っ端微塵になりたくなかったら,
早くリモコンスイッチを切るんだな.ただし,
そう簡単に君達にリモコンスイッチを切られたんじゃ面白くないからな,
途中にちょっとした障害物を埋め込んで置いたんだ.
一つだけサンプルをお見せしよう.」
大砲らしき物からボールが打ち出された.そして地雷に触れて爆発.
ファルコン「そう.地雷を埋め込んでおいたんだ.」
三宅「地雷…」
ファルコン「いくつ埋め込んだか,俺達も忘れちまったけど.
とにかく,地雷を踏まずに3分間であの柱に辿り着き,
リモコンスイッチを切れば命は助かる.それじゃ,ゲームスタート.」
時計が動き始めた.しばらく悪党達は立ったままだった.
ファルコン「時限装置を止めてもらいたかったら,
お前達の悪事を洗いざらい吐くんだな.」
三宅「誰が喋るもんか.」
村田は無言.
唐沢「こうなったら,何が何でも,あのリモコンスイッチ,切ってやる.
おい,平岡,お前,先に行け.」
平岡「俺が?」
唐沢「平岡,何ぐずぐずしてるんだよ.速くいけよ,ほら.」
平岡,唐沢,村田,三宅の順にゆっくり歩き始めた.
ファルコン「1分経過だ.」
唐沢「速くしろ.」
平岡「冗談じゃねえよ.そう速くせかせるのなら,てめえが先にいけよ.」
村田「速くしろ.」
また玉が撃たれ,地雷が爆発.地雷が絶え間なく爆発するので
唐沢「平岡,お前がもたもたしてるからだ.早く行けよ,ほら.」
平岡「うるせえ.」
内輪揉めを始める唐沢と平岡.
村田「おい,時間がないんだ.早く行け.速くしろ,ほら.」
また地雷が爆発.悪党達は右往左往するばかり.ついに
平岡「た,た,助けてくれえ.」
唐沢「助けてくれえ.」
村田「何もかも話すから,勘弁してくれえ.」
三宅「馬鹿者! 余計なこというんじゃない.」
また地雷が爆発.パピヨンは秒読み開始.
パピヨン「5,4,3,2,1.キュー.」
悪党達の姿は「東京・渋谷 増田屋」という蕎麦屋のテレビなどに,
映し出されていた.
平岡「希望がホームタウンの詐欺事件は,
三宅専務と地面士の唐沢がつるんでやったことなんだ.」
唐沢「き,貴様ー.裏切るのかー.」
三宅「わしゃ,知らん.みんな唐沢が一人でやったことなんだあ.」
唐沢「嘘だー.」
三宅「わしゃ,関与しとらん.」
平岡「嘘だー.荒川部長を殺させたのも,三宅専務の差し金だったんだあ.」
ファルコン「あと3秒.」
平岡「おい,何もかも喋ったんだあ.助けてくれえ.」
悪党達は思わずリモコンスイッチに駆け寄った.
ファルコン「2,1,0.」
ダイナマイトが派手に爆発した.
気がつくと,悪党達は4人,一くくりに縛られ,暗い部屋に閉じ込められていた.
薔薇の花を持ったパピヨンが登場.
三宅「お前は?」
パピヨン「闇に舞う蝶,パピヨン.安らかに眠っていただきます.」
薔薇の花から催眠ガスが噴射され,悪党達は眠りに入った.
そして悪党達は蝶の描かれたダンボール箱に詰められ,
警視庁大高警察署へ届けられた.
ここは#1でパピヨンが詰め込まれた場所だ.
マネージャー「辞める?」
パピヨン「辛くなってきたんです.これ以上,主人を騙しつづけるのが.」
マネージャー「まあ,君の気持ちもわからんでもないが,
組織を維持して行くには,君の存在が不可欠だ.」
部下3人もやって来た.
マネージャー「それでも敢えてやめるというのなら,
組織を解散するしかないなあ.で,君達はどうする?」
エジソンはファルコン達を見てから答えた.
エジソン「いいっすよ,俺は.」
ファルコン「そうだな.俺もオーストラリアへ行って,
のんびりと牧場でも視察してくるか.」
バニー「僕も異議ありません.」
そりゃ,そうだろう.
マネージャー「そうか.」
マネージャーは決断した.
マネージャー「ま,結論は出たようだな.ま,
スポンサーには私から説明しておこう.」
続けてマネージャーは笑いながらこう言った.
マネージャー「長い間,御苦労様でした,奥さん.」
マネージャーはパピヨンと握手した.
パピヨン「お世話になりました.」
元部下達はパピヨンと握手しながら言った.
エジソン「楽しかった.」
ファルコン「ホントに,なんて言うか.」
バニー「ありがとうございました!」
最後までバニーは大声で叫んでいた.
緑美園は「永い間御愛顧有難うございました 都合により店仕舞いさせて頂きます 店主」という看板を掲げて閉店した. なお,ロケ先のグリーンホビーは現在も営業中です.
新宿西口の通りでエジソンは自作の車を走らせていた.
その車には翼がついていた.車を止め,エジソンはぼやいた.
エジソン「うーん,おかしいなあ.航空力学的には,
これ飛ぶはずなんだけどなあ.」
エジソンはゼロ戦のパイロットのような格好をしていた.
しばらく考えてエジソンは気がついた.
エジソン「いけね.俺の乗る分,計算してなかった.」
そこへオープンカーがクラクションを鳴らせて走ってきた.
そしてエジソンのそばで車は止まった.
運転していたのはバニー.よく見ると車が走っている時と,
止まってからのカットが違う.
バニー「よー,エジソン.」
バニーは帽子を被り,サングラスをつけていた.野次馬が群がる中
エジソン「なんだ,お前.」
バニー「何やってんの?」
エジソン「見りゃわかんだろう.空陸両用車だよ.」
バニー「これで飛ぶの?」
エジソン「だから飛ぶようになってるんだけど,ちょっと忘れ物したんだよ.
それより,お前,なんだ,これ.盗んだのか?」
バニー「ハングマンのギャラで買ったの.それじゃ.」
バニーは車を走らせて去って行った.
エジソン「格好いい.しっかりしてるわ.」
さらにファルコンが大型トラクターに乗ってやってきた.
ファルコン「よう,エジソン.」
エジソン「なんだ,お前.小林旭か?」
この頃,トラクターのCMに小林旭さんが出ていた.
エジソン「どこ行くんだ?」
ファルコンはカウボーイのような格好をしていた.
ファルコン「ああ.オーストラリアさ行こうと思うんだけどよ,
その前に腕さ磨こうと思って.」
エジソン「オーストラリア行っちゃうの?」
ファルコン「そう.また何か縁があったらねえ.」
ファルコンは去って行ったが,そのとき,
エジソンの空陸両用車の翼を壊してしまった.
エジソン「あ.何すんだ.俺の小鳥になる夢を,一から出直し!」
なんとファルコンは新宿駅西口をトラクターで走った.
ファルコン「♪ねこのミーコが言いました〜私のデートは屋根の上.」
そして呟いた.
ファルコン「俺の性格,こんなに軽かったかなあ.」
自分の家で雅則は目覚めた.蝶子は既に起きていて,朝食の支度をしていた.
雅則「蝶子.」
蝶子「まあ,あなた.お目覚めになったの?」
雅則はうちの中を見回して言った.
雅則「ここは俺のうちだなあ.いや待てよ.いや,
やっぱりここは俺のうちだよな.」
蝶子「何ぶつぶつ言ってんの?」
雅則「いやあ,それがさあ.」
雅則はなおも怪訝な顔だった.
蝶子「ああ,さっきからだいぶうなされてたけど,悪い夢でも見てたんじゃない?」
雅則「うなされてた.とすると,あれは夢かなあ.いや,おかしいなあ,蝶子,
君,夕べ,家空けなかったか?」
蝶子「まさか.ちゃんと帰ってきましたよ.ちょっと遅くなったけどねえ.」
雅則「そうか.じゃ,やっぱり,あれは夢だな.」
蝶子「さあ,食事の用意ができました.召し上がってください.」
雅則はしみじみといった.
雅則「なんだかんだ言っても,俺は君に惚れとるね.
君に逃げられちまってさあ,必死になって探し回る夢見たよ.」
雅則は笑った.
蝶子「私はねえ,逃げたりはしませんよ.
どんなことがあっても,あなたのそばを離れませんから.」
雅則「ほんと?」
蝶子「ほんと!」
雅則「ということは,君も僕に惚れとるんだ.」
雅則は大笑い.
蝶子「そういうところに惚れてるんだわ,きっと.」
雅則は聞いた.
雅則「そう言うとこって?」
蝶子「いえ.」
こうしてパピヨンは元の蝶子に戻ったのであった.
この番組にふさわしい最後ではないだろうか.
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