第十九回

ハングマンの名を騙る強請り屋組織を吊るす.
ニセ者ハングマンが現れた!

脚本:田上雄 監督:井上梅次

ここは裁判所の前.判決が出る日とあって,マスコミが大勢詰め掛けていた. 被告の古田かんいちろう(福山象三)は非合法すれすれのやり方で会社を乗っ取る, いわゆる乗っ取り屋.暴力団との付き合いも深かった. 古田の乗っ取り工作に最後まで抵抗した三星興商の金村社長が, 3ヶ月前に暴力団員に刺し殺される事件が起き, この背後で古田が動いていると見られていた. 担当の神田俊夫検事(西沢利明)は有力な証言を集め, 殺人教唆の罪で懲役10年を求刑していた.だが判決は無罪. 古田の運転手である酒井が, 殺人教唆が行なわれたという時間に古田が他の場所にいた,と証言したからだ. このアリバイ工作を切り崩せなかったのが検察の敗因だった.

その晩.この事件の記事を読んで雅則は憤慨していた. 夕食にしようという蝶子に対して
雅則「腹が立って食欲が沸かないよ.ハングマンは何をしてるのかね!」
驚いた蝶子が雅則に言った.
蝶子「え,ハングマン?」
雅則「ほらあ,最近評判になってるだろう. 法律で裁けない悪人を制裁するグループがあるって.」
蝶子「ああ.あれ? 単なる噂話よ.」
雅則「そうかなあ.週刊誌なんかによく出てるけどなあ.」
蝶子「当てになるもんですか.」
蝶子は一生懸命ごまかしていた.

偽者ハングマン登場

古田は無罪になったことを祝ってパーティーを開いていた. 借金を盾にされて偽証した酒井は偽証したことを後悔し, そそくさと立ち去った.その酒井が車の整備をしていた時, 酒井は後ろから襲われ, 麻酔薬入りのハンカチを鼻と口に押さえつけられてしまった.

酒井が気がつくと,酒井は縄で縛られ,車の中に閉じ込められていた. 車の中にはパイプで排気ガスが引き込まれる細工が施されていた. そのとき,4人の男女の姿が見えた.しかし,車の前照灯が酒井に当てられ, 逆光になっていたので顔まではわからなかった.
男の声「その車にはリモコンのエンジン始動装置がセットしてある. つまりボタン一つでガス室になるわけだ.」
女の声「死ぬのがいやなら古田被告の有罪を認めなさい. アリバイ証言は偽証だったと白状するの.」
だが酒井の答えは
酒井「いやだ.こんな脅しに負けないぞ.負けないぞー!」
男の声「その信念がいつまで続くか,試してみようじゃないか.」
リモコンスイッチが入れられ,排気ガスが入れられた.
酒井「やめろー,馬鹿なことはー.いったい,あんた達は何者なんだあ.」
女の声「私達はハングマン.闇の死刑執行人よ.」
酒井「ハングマン!」
ガスが充満していった.

翌朝.酒井は死体となって発見された.現場には神田も駆けつけた. 神田は偽証を覆すつもりだったのに自殺するとは,と悔やんだ. 刑事は神田に,死亡推定時刻付近に4人の男女が付近を走り去ったことを報告. その連中が酒井を殺したのかもしれない.

調査開始

さて蝶子が八百屋の前で買物をしていると車がクラクションを鳴らして止まった. 車を運転していたのはマネージャー.マネージャーは車から降りた.
パピヨン「あら,今日は変装してないんですか?」
マネージャー「そんな場合じゃない.ちょっと,あっち.」
マネージャーは強引にパピヨンを連れ出した.
パピヨン「ちょっと,なんなの,ねえ.」
マネージャー「君,アルバイトをやってるんじゃないだろうねえ.」
パピヨン「アルバイト?」
マネージャー「私に内緒でハンギングをやってるんじゃないかと聞いとるんだ.」
パピヨン「まーさか.そんなことするはずがないでしょう.」
マネージャー「ホントにやってないんだな?」
パピヨン「当たり前でしょう.」
マネージャー「そうか.すると君達の偽者が横行してると考えなきゃならんな.」

アジトでその話を聞いたファルコン達は驚いた. 現在収賄容疑で起訴されている大物政治家の秘書が, 1ヶ月前に郊外の山林で「首を吊って自殺」しているのが見つかった. それから数日後,ハングマンと名乗る女性が政治家に電話をかけ, 有罪の証拠となるテープを5千万で買い取れと強請ってきた. 外為法違反で問題になっている大手商社の部長は半月ほど前に行方不明になった. その直後,その商社の社長宛にハングマンと署名された手紙が届き, 裁判で不利な証拠となるテープを6千万で強請ると言ってきた.
エジソン「お前か?」
ファルコン「馬鹿な.5千万も6千万も頂いていれば, こんなとこいるわけないじゃないの.」
同じような台詞を同じような状況でチャンプが言っていた. そして酒井運転手の事件が起こった. 酒井が告白したテープをネタにやがて偽ハングマンが強請りに来るに違いない.
パピヨン「ハンギングと称して死ぬまで拷問したに違いないわ.」
ファルコン「くっそー.いったい,どこのどいつだよ.」
エジソン「ようやってくれるよ,ホントに.」
バニー「(例によって大声で)俺達の名前を騙って強請りをやるなんて, 許せません!」
思わずエジソンはのけぞった.
パピヨン「それを突き止めるのが今回の仕事.ギャラは一人150万.」
バニー「え! 150万!」
パピヨン「相手が相手だけにマネージャーも弾んでくれたわ.」
ギャラを分配するパピヨン.
エジソン「(小声で)偽者が5,6千万で本物150万じゃ,これは割に合わねえな.」
パピヨン「じゃ,やめる?」
エジソン「(力を込めて)いえ,やめません. 私達はお金のために動いてるんじゃないんです.」
嘘をつけ.

エジソンは古田産業ビルの受付で「週刊サタデー 政治部 記者 星野仙吉」 と書かれた名刺を出した.名刺を読み上げる受付嬢の声を聞き, 椅子に座っていた女(亜子)がジロっとエジソンの方を見た. エジソンは古田にインタビューしたいと言ったが
受付嬢「でも週刊サタデーの記者さんなら,先程から.」
なんと女も週刊サタデーの記者と名乗っていた.
エジソン「うわ.なんだよ.君も来たのか.俺も行けって言うんだよ. しょうがないね.経費がもったいない.よし,わかった.二人でやろう.ね.」
なぜか女はエジソンをとがめなかった.結局二人で古田と会うことになった.

古田は酒井とは個人的付き合いがなかったと言ってその場をごまかそうとした.
エジソン「死因についてはどうお考えでしょうか?」
古田「随分借金があったようだから,それを苦に自殺したんじゃないのかなあ.」
そのとき
女「違います! 酒井さんは殺されたんです.」
古田「滅多なこと言っちゃ行かんよ.何か証拠でもあんのかね?」
女「あたし,昨日の午後,彼と電話で話したんです.」
思わずエジソンは女の方を見た.
女「彼,裁判で偽証したことで酷く気が咎めてるようでした.」
秘書「嘘をつくんじゃないよ.酒井は偽証などしていない!」
女「もしかして,あなたが殺したんじゃないですか? 生かしておけば後々の為にならないと思って.」
エジソンは女を見てから,古田の方を見た.
古田「いい加減にしろ.黙って聞いていれば勝手な言いがかりを. インタビューはこれで終わりだ!」
秘書「さあ,出なさい.」
エジソン「まだお茶も飲んでいないのに…」
秘書「いいから,出なさい.」
だがエジソンはしっかり盗聴機を仕掛けていた.

喫茶店でエジソンは女と話した.女はエジソンに, 週刊サタデーの記者に化けた理由を聞いた.
エジソン「俺ねえ,実は酒井運転手の弟なのよ.」
それを聞いた女の手が一瞬止まった.
女「え?」
エジソン「見えない?」
女「だって,顔も似てないし,性格もまるで似てないじゃない.」
女は何か確証があってそう言っているらしい.だがエジソンはそれに気づかず, こう言った.
エジソン「あ.兄貴が親父でねえ,俺はお袋似なの. 記者に化けたのも兄貴の仇を討つため.」
女「それじゃあ,あなたも酒井さんが殺されたと.」
エジソン「ああ.でもやったのは古田じゃない.別の奴だ.」
女「誰?」
エジソン「そのうちはっきりすると思うけど.」
女「そのときは私に教えてくれる?」
エジソン「なーんで,そこまでサービスしなくちゃなんないのよ?」
女「一緒に取材させてあげたじゃない.男なら借りは返してよ.」
エジソン「そらそうだな.借りた物は返さなきゃいけない. 利息もちゃんとつけますよ.」
女「あたしねえ,島田香織って言うの.これ,自宅の電話番号.」
香織はメモ帳に電話番号を書き,エジソンに渡した.
香織「あなたのもここに書いて.」
エジソンは電話番号を書いた.
香織「出鱈目書いちゃダメよ.」
エジソン「わかってるよ.」
エジソンと別れた後,香織は電話をかけてみた.
ホステスの声「はい.こちらソープランドはるのでございます.」
電話を切った後
香織「やっぱり出鱈目じゃない.」
慌てて外を見てみると,エジソンが緑美園のワゴンに入るのが見えた.

ちょうど古田に電話がかかってきたところだった. 早速盗聴を開始するエジソンとバニー.電話は偽ハングマンからのものだった. 偽ハングマンの女(三浦真弓)は酒井の供述テープを3千万で買えと強請った. そんな脅しには乗らないと強がりを言っていた古田だったが, 検察庁へ届けるという言葉に屈し,テープを聞きたいと言って来た. 偽ハングマンは1時間後に3号線バイパス予定地に来いと指示した. 古田は代理人として秘書の金成をよこすと答えた.
エジソン「ファルコン,聞いたか?」
ファルコン「ああ,聞いたよ.替え玉作戦で行こうか.」
エジソン「了解.」
早速3号線バイパス予定地へ向かう緑美園のワゴン. そのワゴンを香織もタクシーで追いかけた. ファルコンは金成を殴り倒し,金成に化けて3号線バイパス予定地へ向かった. 一足先に緑美園のワゴンが到着.だが
エジソン「ダメだ.ギャラリーが着いて来たよ.」
バニー「ギャラリー?」
エジソン「週刊誌の記者だよ.何とかしなきゃな.」
香織は緑美園のワゴンを探った. だがエジソンが後ろに回っていることには気づかず, バニーに眠らされてしまった.そして車がやってきた.偽者ハングマンだ. 潜望鏡で覗くエジソンとバニー.
バニー「なかなか格好いいですね.」
エジソン「良すぎよ.ああいうのは悪に決まっとる.」
そこへファルコンがやってきた. ファルコンはテープを聞かせて欲しいと言ったが,
女「テープなんかあるわけないじゃない.」
ファルコン「何?」
部下「酒井運転手はな,最後まで口を割らなかったんだよ.」
部下「全く見上げた忠誠心だぜ.」
ファルコン「それじゃあ,なぜ私をここに?」
女「酒井運転手の代わりに古田の弱みを喋ってもらうためよ. さあ,一緒にいらっしゃい.たっぷりかわいがってあげるわ.」
部下達がファルコンに襲い掛かったがファルコンの反撃を受けた. その際,ファルコンの付け髭が取れてしまった.
部下「貴様,古田の秘書じゃないな.」
部下「誰だ.」
ファルコン「それよりお前らの正体が知りたいんだよ.」
というわけで格闘再開.エジソンとバニーも駆けつけた. エジソンは偽者ハングマンの車に発信機を取り付けた. 戦いは本物優勢のうちに進んだ.女にファルコンが迫った. しかし,ファルコンはライフルで腕を撃たれてしまった. その隙に偽者は逃走.ライフルで威嚇されたため, 追いかけることはできなかった.
エジソン「でもねえ,奴らにお土産渡しといたから.」
ファルコン「さすがー.」
感心するファルコン.誇らしげにうなずくエジソン. だが一人だけ鈍感な男がいた.
バニー「え,お土産ってなんです?」
ファルコンもエジソンも呆れてしまった.
エジソン「あいつらの車に,発信機つけといたのよ.」
バニー「あ,そう.じゃあ,奴らのアジトはばっちりつかめますね.」
エジソン「おちょくってんのか,お前?」

偽者ハングマンの一人は鈍感な男で,ファルコン達の正体に気づかず, 古田の部下だと思っていた.しかし女は切れる人物で, 本物のハングマンではないかと睨んでいた. 偽者の車は3号線バイパス予定地へ向かうパトカーとすれ違った. 警官は3号線バイパス予定地でエジソンと取材をした女が眠っているのを発見. 女は城南警察病院に収容された.病室に神田がやってきた. 神田は催眠ガスをかがせた連中の素性を尋ねた.
香織「死んだ酒井運転手の弟だって.」
神田「酒井運転手の弟? そら妙だなあ.」
香織「妙って?」
神田「いや,酒井には妹はいるが弟はいない筈だ. ひょっとするとハングマンの一員かもしれんなあ.」
香織「ハングマン?」
神田「闇の死刑執行人と呼ばれてるグループだ. 酒井運転手の殺害も彼らの犯行らしい.」
香織は驚いた.
神田「検事が嘘を言うと思うのかい.証拠はないが十中八九間違いない.」
神田はしつこくハングマンの居所を尋ねたが,香織は知らないと答えた. 諦めた神田は名刺を渡して去って行った.

ロビーで刑事が神田に報告した. 香織が持っていた名刺には週刊サタデーの記者と書かれていたのだが, 週刊サタデーにはそんな記者はいなかったのだ. 神田は香織の病室へ戻ったが,もぬけの殻だった.
神田「いったい,何もんだ,あの女.」

偽者ハングマンのアジトは桑原レディースカルチャーセンターだった. 早速パピヨンが潜入した. 所長室をパピヨンが盗聴すると電話がかかってきたところだった.
部下「マネージャー,ボスから電話です.」
女「はい,あたしです.はい? はい.はい,わかりました. 充分気をつけて進めます.」
女は電話を切った.
女「本物のハングマンが動いてる気配がするってボスから言ってきたわ.」
部下「やっぱりだな.」
女「だから当分古田とは接触しないようにって.」
部下「で,では強請りは諦めろと.」
女「いいえ.本物のハングマンの正体を暴くことが先って事.」
部下「どうするんです?」
女「あたし達の身代わりを立てるの.わざわざハングマンを名乗ったの, そのためだったでしょう.」
そのとき,パピヨンがインストラクターに咎められる声が聞こえてきた. パピヨンはトイレを探しているうちに迷ってしまってとごまかした. 鈍感な部下達は,ちょっといい女だねえ,と鼻の下を伸ばした. 女はハングマンのリーダーも女だそうだから逃がしちゃダメ,と尾行を指示した.

自転車に乗る蝶子を部下達は車で追いかけた. しかし,車の入れない路地へと入り込まれ,車を降りて追いかける羽目になった. 一生懸命走り回るパピヨンと部下達.しかしパピヨンの方が体力が上. 同じ所をぐるぐる回らされた挙句に部下達は息が上がってしまい, 足がフラフラ.道路に寝そべってしまった.寝そべる部下をパピヨンは見て, 去って行った.

パピヨンが盗聴したテープをアジトで聞き,
バニー「(例によって大声で)偽者の分際で本物に罪をなすりつけようだなんて…」
ファルコンとエジソン「許せませーん.」
パピヨン「しかし,ボスってのは何者なのかしら?」
エジソン「国際的犯罪シンジケートのボス.」
バニー「マフィアかもしれませんね.」
ファルコン「いやいや.案外社会的地位がある人間かもしれん.」
エジソン「ま,どっちにしてもさ…」
ファルコン「かなりの悪党.」
パピヨン「そしてかなりの切れ者.」
そこへ香織が緑美園にやってくるのがモニターから見えた. 誰だと聞くパピヨンにエジソンは例の週刊サタデーの記者だと答えた. ファルコンが応対してごまかすことにした.
パピヨン「見たことがあるなあ.」
ファルコンは香織を応対した.ファルコンは店員は自分一人だと言ったが, 香織はワゴンを指差し,他に二人店員がいるはずだと食い下がった. ファルコンは車泥棒だとごまかした.三日前に盗難に遭い, ついさっきみつかったと言う.警察にも盗難届も出してある, とファルコンが言ったので,香織は帰っていった.ファルコンがアジトに戻ると, パピヨンが事件の関係者の写真をエジソンに映させている所だった. そしてついに香織の素性が判明した.

公園でパピヨンとエジソンが香織に声をかけた. 香織は兄を殺したのがエジソン達だと信じ込み, エジソンに向かってハンドバッグを振り回した.
パピヨン「違うのよ,ねえ.あなたの名前は酒井香織さん. 酒井運転手の妹さんでしょう.」
香織は酒井を殺した犯人を突き止めて復讐をするため, 週刊誌の記者と名乗っていたのだ.酒井は香織が一番頼れる人物だった. 子供の頃父親が死に,香織は病気がちの母親と二人で暮らしていたのだ. 偽証したのも母親の入院費用のため.
パピヨン「そうだったの.でもねえ,香織さん,あたし達は犯人じゃないのよ. あなたの犯人を殺したのは他の人達なの.」
香織「うっそ.あなた達,あたしを騙そうとしてるんだわ.」
エジソン「嘘じゃないっていうの. だったらこんなとこのこのこ現れないでしょうが. 知らん顔してりゃあ,いいんだから.」
香織「でも検事さんはあなたが犯人だって.」
エジソン「検事?」
パピヨン「だーれ?」
香織「神田さん.兄が殺された事件について調べてる人よ.」
パピヨンはボスの正体を見抜いたようだ.
エジソン「なあんで検事が証拠もなしに犯人だって断定できんだよ.」
香織「だって検事さんでしょ.真犯人を探してる人よ.」
エジソン「あのねえ,検察側はねえ, 迂闊にそう言うこと喋っちゃいけないことになってるの.」

例のクラブにボスが来ていた.やはりボスの正体は神田だった. 神田は偽者が追いかけた女がハングマンだと睨んだ. 神田は香織の正体も調べ上げていた. その様子を本物のハングマンと香織はビデオで見,盗聴していた. 神田は香織を適当な罪名をつけて刑務所に送ってやる,とほざいていた.
パピヨン「なんて悪い奴らなの!」
エジソン「まったく,とんでもない検事もいたもんだ.」
パピヨン「裁判で負けたのも強請りでお金を稼ぐためだったのね.」
神田「こっちの正体はばれっこないさ.」
正体がばれているとも知らずに神田はそうほざいていた. 思わず香織は駆け出した.パピヨンは香織を呼び止めた. 香織は警察に駆け込むつもりだったのだ.
パピヨン「無駄よ.証拠がない限り,手も足も出ないわ. まして相手は検事ですもの.」
香織「それじゃ,どうすれば.」
パピヨン「きっと,きっと,誰かが裁いてくれるわ.」
香織「誰かがって?」
パピヨン「あたし達はテレビを見ていればいいのよ.」
香織「ハングマンが?」
パピヨン「そう.本物のね.あんな悪い奴を裁くのはハングマンしかいない. そう信じて任せましょう.」
蝶の舞うCGが流れた.衣裳部屋からパピヨンが登場.
パピヨン「Let's go!」
3人は集結した.
バニー「偽者なんて許せませんよ.ねえ.」
ここでアングルが変わり,下から3人を映し出した.
エジソン「はい.僕ら150…」
バニー「また金のこと言う.」
ファルコンとエジソンはバニーに息を吹きかけた.
ファルコン「Hanging!」
3人は手を叩き合い,出動した.

ハンギング

筋力トレーニングをしていた部下達はバニーとファルコンに倒された. 神田と女のところにはパピヨンが登場. 気配を感じた神田はライフルを取り出したが, パピヨンの電磁鞭の敵ではなかった. そして女は後から登場したエジソンによって眠らされた.

悪党達は首に縄をかけられていた.以前と同様, 悪党達は氷の上に立たされており,氷の前にはヒーターが置かれていた. ファルコンが裁判開始.
ファルコン「これより神田俊夫を主犯とする被告4人に対し絞首刑を執行する.」
女「死刑.」
部下「馬鹿な真似はよせー.」
神田「ふざけるな.奴らのやり口はわかってる. 口を割らせるのが目的で本当に殺す気なんかない.」
ファルコン「確かに直接殺す気はないよ.だけどねえ, お前さん達の出方によっちゃあ,刑は自動的に執行されるんだなあ.」
ヒーターにスイッチが入れられ,氷に近づいていった.どんどん氷が溶けて行く.
神田「脅しには乗らんぞ.」
部下「氷が溶けるじゃないか.」
ファルコン「そんなこと当たり前じゃないかあ.ほらほら.穴が開いちゃうよ.」
びびる部下達.
ファルコン「始めましょうか.」
エジソン「始めましょ.」
アンテナが準備された.
悪党達はやめろーと叫んでいた.それでも神田だけが無言.
ファルコン「穴がどんどん広がって氷が崩れちゃうぞ. それまで後ー3分ぐらいかなあ.ねえ.」
バニーはうなずいた.ついに
女「やめてえ.もうこんなのいやあ.何もかも話すから,ガス,ガス止めてえ.」
神田「何を言う.喋るな.脅しに乗って喋るな.脅しに乗るな.」
部下「ダメだあ.喋る.喋るから助けてくれえ.」
神田「喋るなって言うのに.脅しだあ.」
部下「俺も喋る.」
パピヨンは秒読み開始.
パピヨン「5,4,3,2,1.キュー.」
エジソンがスイッチを押した.以前と同様に, 悪党達が喋る様子がテレビ中継された.
女「話すわー.」
部下「止めろよー.」
神田「行かん.喋るな.」
部下「助けてくれえ.」
この姿が「東京・調布市 ニューカネミツガソリンスタンド」 のテレビなどにも映し出された.
部下「酒井運転手殺したの俺達だあ.ここにいる神田検事の命令で, 俺たちが殺したんだあ.」
神田「何を言う.いーまのは嘘だ.嘘だあ.」
女「嘘じゃないわ,本当よ.酒井運転手だけじゃないのよ.」
部下「他に二人殺してるんだ.みんな,神田検事が計画してるんだあ.」
これを香織も見た.
神田「知らん.私は知らん.私は無関係だあ.」
女「今更何言ってんのよー.強請りで大金を手に入れて, ハングマンに罪着せようって言ったの,あんたじゃないのよー. 一人だけいい子にならないでよー.卑怯者ー.」
神田「馬鹿.何を言う.お前だって片棒担いだじゃないかー.」
女「何言ってんのよー.」
これを見て香織は涙を流した.ついに氷は崩れ落ち, 悪党達は縄をぶら下げた枠ごと倒れてしまった. そこへ薔薇の花を持ったパピヨンが登場.
部下「あ,お前は?」
部下「いつかの自転車の女だよ.」
女「あなた.」
パピヨン「闇に舞う蝶,パピヨン.安らかに眠っていただきます.」
薔薇の花から催眠ガスが噴射され,悪党達は眠りに入った. 翌日.蝶の描かれたダンボールにつめられ,警察署へ届けられた. 今回の扱いは無茶苦茶乱暴.ワゴンから箱が放り投げられ, その上箱も散々転がされた.警官に神田がこう言った.
神田「署長を呼べ.いや,いや,呼ぶな.呼ぶな.」

事件解決して…

偽者ハングマンの事件の記事を見て雅則は喝采を挙げた. 古田も再逮捕されたという.
雅則「ところでさあ,蝶子.噂で聞いたんだけどねえ, ハングマンのリーダーってのは女なんだってさあ.」
蝶子「ええ,そうなの.」
雅則「一体どんな女だろうね.一度顔を見てみたいなあ.」
蝶子「そんなに見てみたい?」
雅則「ああ.見てみたいねえ.」
蝶子「そう.じゃあ,どうぞ.」
蝶子は自分の顔を見せた.大胆な人だ.
雅則「あ?」
蝶子「これが,その顔よ.ホントのこと言うとね, あたしがハングマンのリーダーなの.」
それを聞いた雅則の反応は
雅則「は,は,は,は,は.君が,ハングマンのリーダーだって. は,は,は,は,は.これはおかしい.ああ.傑作の冗談だよ.冗談でしょ.」
雅則は笑って信じなかった.蝶子も笑った.
蝶子「勿論,冗談よ.」
二人は笑った.雅則はさっさと布団に入り,寝てしまった.
蝶子「もう許さない.ハンギングしちゃう!」

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東平 洋史 E-Mail: hangman@basil.freemail.ne.jp