第十回

宝石強盗一味の正体を暴く.
ファルコンが宝石強盗の襲撃に加わる!

脚本:中村勝行 監督:西村潔

新宿の地下街を警備員が巡回していた. 同じ頃.その地下街の宝石店に強盗が押し入っていた. 強盗は陳列棚から宝石を取り,金庫を爆破.爆音を聞いて警備員がかけついた. 強盗は警備員を撃ち殺し,逃走した. 瀕死の警備員が非常ベルのスイッチを押したが,後の祭りだった.

さて雅則は朝だというのにゴルフのクラブを手入れしていた. 次の日曜日に得意先のコンペがあるのだ. 蝶子は会社から帰ってからやればいいじゃないかと言ったが, 雅則は涼しい顔でこう言った.
雅則「しかしなんだよね.こういうゴルフクラブにも, エリートと落ちこぼれという階級差が厳然とあるな.」
蝶子「え?」
雅則「こういう安物のゴルフクラブにはね, 所詮それだけの働きしかできないってことだな.」
蝶子「そうかしら.」
蝶子は呆れていた.
雅則「そうとも.頑張れど,頑張れど,我がスコア,100を切らず. じっとクラブを握る.なあんちゃって.」
蝶子は苦笑してこう言った.
蝶子「腕のせいじゃないの?」
雅則「違うねえ.クラブのせいだねえ.部長なんてさあ, 俺より下手くそなくせにドライバーでそうだなあ, 10メーターはオーバードライブするんだぜ. これはもうクラブのせいとしか言い様がないよ.」
蝶子「ねえ.部長さんって,そんなにいいクラブ持ってるの?」
しみじみと雅則は言った.
雅則「うん.ボロンシャフトって言ってねえ,これは距離が出るんだよー. 一度でいいからね,ああいうクラブを持ってみたい.」
蝶子「高いの,そのクラブは?」
雅則「高いねえ.俺みたいな安サラリーマンじゃ,高嶺の花だ. ま,ここでぶちぶち愚痴を言っててもしょうがないから,出かけるとするか.」
雅則は「ボロン,ボロン,ボロンが欲しいなあ.」と言いながら服を着て, 出かけて行った.クラブを片付けながら,クラブの下に敷いてあった新聞を見て, 蝶子は冒頭の事件を知った.
蝶子「妙な気を起こさなければいいけど.」
その頃,雅則はくしゃみをしていた.

調査開始

ゴルフ洋品店の前で蝶子は「ハイオIIボロン」のクラブを見た.値段は168000円. そこへ
マネージャー「ゴルフをお始めになるんですか,奥さん.」
ご丁寧にもマネージャーはゴルフへ出かける格好をしていた. ゴルフバッグを背負い,帽子を被り,サングラスをしている. 不忍池のほとりに場所を移し,パピヨンとマネージャーは話を始めた.
マネージャー「へ,へ,へ,へ,へ.ま,ご主人の仰ることも一理ありますな. 金でスコアが買えるのもクラブだけと言いますからね.へ,へ,へ. あ,ところで奥さんねえ,ちょっと,ちょっと.ね.これを見てくださいよ. これをね.さあ,こんなクラブはいかがですか.」
マネージャーは封筒からゴルフクラブのパンフレット… に見せかけたファイルを出した.貴金属店に強盗が入ると言う記事だった.
マネージャー「近頃巷にはやるもの.大人ゴルフにガキいじめ. 世の中荒んで凶悪強盗と.は,は.いやあ,物騒な世の中になったもんだ. ここ1ヶ月の間に凶悪強盗事件が5件も発生してるんだ. 一味の手口から警察では同一グループによる犯行と見て, 必死の捜査を続けてるんだが,網にかかるのはいずれも雑魚ばかり. しかもその連中はだな,組織から一本釣りされたはぐれ者ばかりだから, ボスの正体どころか組織の実態すら知らんのだよ.」
パピヨン「それじゃあ,警察もお手上げですね.」
マネージャー「うん.敵は次から次へと手駒を補充してくるんでねえ. まるでいたちごっこだ.」
パピヨンとマネージャーは歩き始めた.
マネージャー「それにもう一つ. 一味は現金ではなく貴金属類を専門にしているのが問題なんだよ.」
パピヨン「と言うと?」
マネージャー「うん,つまりだねえ,犯人にとって, 警戒厳重な金融機関を狙うよりも,比較的警備手薄な貴金属店を襲った方が, ま,はるかに成功率が高い.ま,そこが奴らの目の付け所なんだがね. ま,この場合にだ,盗んだ貴金属類をどうして金に変えるか, それがネックになるはずなんだが, 奴ら一貫して貴金属類に狙いを絞ってるところを見ると, この事件の背後には大掛かりな古売屋組織が存在するんじゃないかと, 私はそう睨んでるんだ.」
パピヨン「古売屋組織?」
マネージャー「うん.まあ犯人探しは警察に任しといて, 君達はその線を洗ってみてくれ.」
パピヨン「わかりました.」
突如マネージャーは口調を変えた.
マネージャー「というわけで,は,は,は,は,は. ゴルフに限って言えばですね,弘法も筆を選ぶんですよ,奥さん. ま,この際ね,思い切って,ご主人にボロンを買ってさしあげたらどうですか. ボロン.ね.ボロンですよ.」
そう言って去って行くマネージャーをパピヨンは笑って見送った.

パピヨンは盗まれた貴金属類のサンプル写真を見せた. これを手がかりに盗品の流れを探っていけば, ブラックマーケットの実態がつかめるだろう.
エジソン「ブラックマーケット? なんなの,それ.」
ファルコン「闇の流通機構ってことよ. ちょっと勉強した方がいいんじゃないの.」
エジソン「どこにあんのよ,そんなの.」
パピヨン「それを探り出すのが,あたし達の仕事じゃないの. 例えば無店舗販売の会社を探ってみるとか.」
バニー「無店舗?」
パピヨンはうなずいた.エジソンが偉そうに言った.
エジソン「それは俺,わかってるんだ.無店舗,つまりてんぽがない. お前みたいにとろーい奴のこと言うんだ.」
バニー「俺が無テンポならエジソンはノーテンポじゃないですか.」
ファルコンとパピヨンは失笑してしまった.エジソンはバニーに頭突きした.
パピヨン「無店舗販売ってこのことよ.はい.」
パピヨンはバニーに新聞を差し出したが,エジソンが横取りした. 「宝石貴金属類 高価買入 乞う電話(池袋)」などの広告が見えた. こういうところを片っ端から洗って行くのが今回の仕事の取っ掛かりになる.
エジソン「そのまえに,ほら,頂くもんもらわなきゃ.」
エジソンが手を伸ばした.
パピヨン「今回は経費込みで一人80万.」
ファルコン「まあまあってとこですねえ.」
さっきのお返しで,エジソンが取る前にバニーがギャラを取ってしまったので, エジソンはバニーをジロっと睨んだ.

さて銀行へ行った蝶子は
銀行員「マイホームコースに80万のご入金ですね.」
蝶子「ええ.あ,ちょっとすいません.今回,ちょっと60万にしてください.」
銀行員「はい.お買物ですか?」
蝶子「ええ,ちょっと.」

その頃.一人の男(永井秀明)が黒人の男に話をしていた.出発は来週の水曜日で, それまでに7,8千万相当の品物を揃えておくつもりだと言う. 男は黒人に買い手の方をよろしく頼むと言った.黒人は快諾した.

保険会社の井伏と称し,ファルコンがある業者のところを訪れた. なんと入れ替わりに出て行った男が, 例の盗品の一つであるネックレスを売ろうとしたのだ. その男は喫茶店のウェートレスにそのネックレスをプレゼントした. 24金のネックレスと聞いてウェイトレスは大喜びだった.

さて柴崎と言う男(草薙良一)が駐車場に止まっていた車の中で, ある男(松山照夫)と会っていた. 男は佐伯と言う人物から手に入れた盗品リストを柴崎に見せた. その中に見覚えのないものが混ざっていたのだ.柴崎は怪訝な顔. 誰かが盗品の一部を猫糞していたのだ. それで「見覚えのないもの」が混ざったのだ. 男は柴崎に落とし前をつけるように指示. その晩,小田急の多摩川の鉄橋のそばでファルコンが目をつけた男小山雄治が, 柴崎と男(堀弘一)に殺されてしまった.

新聞でファルコン達もこの事件を知った. パピヨンは小山の交友関係を洗うように命じた. 小山の年齢は26歳.小山は無職で住所は東京都新宿区西5丁目3番地かえで荘. ファルコン達は聞き込みを行ない, あるファーストフードのドーナッツ屋で落ち合った.
エジソン「それうまい?」
ファルコン「まあまあ.」
エジソン「それ買って来い.」
エジソンはバニーにお金を渡した.
バニー「はい.」
エジソン「俺の分だけよ.」
エジソンはファルコンの隣りに座った.エジソンは収穫なし. ファルコンも同様で,小山の付き合いといえばその辺のチンピラどもだけだ. エジソンは行動半径を調べてみた.朝は定食屋で食事をし,昼は映画,麻雀, パチンコ,サウナ,ゲームセンターと完璧なフーテン暮らし. そこへバニーがドーナッツとジュースなどを買って戻ってきた.
バニー「それに行きつけの喫茶店もあります.」
エジソンはトレイを取った.
ファルコン「喫茶店?」
バニー「まだ当たってないんですけど, 駅前のクレールと言う喫茶店によく出入りしていたそうです.」
ファルコン「そっちの喫茶店,俺当たってみるわ.」
エジソン「喫茶店当たったって出るのコーヒーぐらいでしょう.」
ファルコン「出るか出ないか,当たってみないとわかんないでしょう.」
ファルコンは去って行った.エジソンはバニーに言った.
エジソン「またお釣入れたろう,ポケットに!」

ファルコンは例のネックレスをウェイトレスがしているのを発見. そこで小山のことをウェイトレスに聞いた. 小山はクレールの常連客で二,三度食事に行っただけの仲だった. いつも小山はクレールには一人で来ていた. 一緒に食事に行ったときも二人きりだった. そのとき,ウェイトレスはあることを思い出した. タクシーに乗っているとき,
小山「あ,いけねえ.大事なこと忘れてた.」
ウェイトレス「大事なことって?」
小山「仕事の打ち合わせがあったんだ. 途中ちょっと寄ってくとこがあんだけどさ.十分くらい待っててくれ.」
ウェイトレス「うーん,いいよ.」
小山「運転手さん,大橋までいってくれる?」
小山は大橋の首都高速のそばの緑ハイツというマンションへ行き, 柴崎と言う男に会いに行ったのだ.

早速エジソンとバニーが柴崎のマンションへ向かった. 潜望鏡で覗いて見ると,うまい具合に
エジソン「どんな様子だ.」
バニー「留守みたいです.」
エジソン「鉢植えは?」
バニー「ちょっと待ってください. (しばらく覗き見して)シンビジウムにデンマークカクタス, それにコルビリネクリスタルにシダの鉢植えがあります.」
エジソン「おしゃれじゃない.シンビジウム持ってけ.」
早速バニーが盗聴機を仕込んだシンビジウムの鉢植えを持って部屋へ行った. 呼び鈴を押しても出てこないのでバニーはロック解除装置で鍵を開けて中に侵入. シンビジウムの鉢植えを交換した.

さて先程黒人と話していた男(永井秀明)が, 来週公用でマニラへ行くことになったので, ブラックマーケットと接触したことを話した. 話相手は柴崎と,先程柴崎と車の中で話していた男(松山照夫)だ. 今回の取引は闇価格で3500万くらいになるが,額が少なすぎる. そこで品物を集めるように,先程黒人と話していた男が命じた. さらに男は小山の後釜が見つかったかどうか聞いた. 柴崎はなんとか補充できると思うと答えた.

柴崎がマンションに戻ってきた.早速盗聴を開始するエジソンとバニー. 柴崎は如雨露に水を入れた.その直後
エジソン「あれ?」
バニー「なんですか,この音は.」
エジソン「故障するはずねえんだけどなあ.」
盗聴機から甲高い音が聞こえてきた. バニーが覗き見すると柴崎は如雨露でシンビジウムに水を掛けていた(笑).
エジソン「おい,どうしたって?」
バニー「水ですよ,水.如雨露で水やってるんです.」
エジソン「馬鹿だよ.参ったなあ,あのマイク, 防水してねえぞ.
ついに故障したらしく,ハウリングしたときの高音が響いた.
エジソン「あ! ダメだ.完全にいかれちゃった.あいたあ.」

アジトでそのことをファルコンは無線で聞いた.
ファルコン「何! マイクが壊れた?」
エジソン「そう.わざわざ鉢植えにお水まいて下さったの.」
ファルコン「ドジだねえ.防水マイクぐらい使いなさいよ. 経費ケチったんじゃないの?」
エジソン「ほっといてくださる.経費どう使おうと俺の勝手でしょうが.」
アジトにはパピヨンもいた.ファルコンはパピヨンの方を見てから言った.
ファルコン「ま,とにかくさあ,もうしばらくそこで張り込んでてくれよ. その間にこっちは別の手考えるから.」
エジソン「はい,了解.」
頭を抱えるパピヨンに
ファルコン「こちらから仕掛けてみますか.」

柴崎のところに田島(堀弘一)から電話がかかってきた. 次の店を見つけたと言うのだ.その晩. ファルコンはプラスチック爆弾でドアを開け, ひょっとこのお面を被って泥棒に入った. ファルコンはナイフを突き出し,柴崎に金を要求. だがファルコンは柴崎に蹴り倒され,ひょっとこのお面を取られてしまった. 怒る柴崎だったが,ふと思いついて即決裁判をすることにした. リボルバーに一発だけ弾丸を入れ,ぐるぐる回した. そしてファルコンの頭に拳銃を突きつけた.
柴崎「弾は一発だけ入ってる.その一発が貴様の運命を変えるってわけだ. つまり,ロシアンルーレットって奴だよ.3つ数えたら引き金を引く. その間に逃げたけりゃ逃げてもいいんだぜ.」
柴崎は3つ数えて拳銃を撃ったが,ファルコンは平然として座ったまま.
柴崎「いい根性してやがる.」
ファルコン「あと4回は助かるわけだ.」
柴崎「何?」
ファルコン「その残りの一発とやらがどこにあるか見てみなよ.」
柴崎は弾丸の場所を確認してにやりと笑った.
柴崎「お前さん,度胸もいいけど, (自分の頭を指差して)ここも切れそうじゃねえか.それに火薬も扱えるし. 気に入ったぜ.どうだい.俺達と手を組まねえか.」
ファルコン「手を組む?」

その頃,緑美園のワゴンの中では.
エジソン「うまくやってるんだろうなあ.」
バニー「この後どうなるんですか?」
エジソン「そんなこと知りましぇん.」
バニー「そんなあ.」
エジソン「文句があるんだったらファルコンに聞きなさいよ. あいつが今度の作戦立ててるんだから.」

田島が柴崎のマンションにやって来た. 柴崎はファルコンに今夜の仕事を手伝えと言った. 早速ファルコンはライター型の盗聴機のスイッチを入れた. エジソンとバニーが盗聴開始.ファルコンは井伏と名乗った. 柴崎は田島を紹介した.早速仕事開始. 今夜御徒町のど真ん中にある三栄ダイヤモンドに忍び込むと言う. 警備員が二人,24時間体制で詰めていると言う.
エジソン「今夜やる気だって.」
バニー「まずいっすよ.警察に通報しましょうか.」
短絡的なことを言うバニーに
エジソン「アーホ.何を考えとるのや.」
だがエジソンはふと思いなおした.
エジソン「それはいけますねえ.」
バニー「は?」

柴崎と田島とファルコンが三栄ダイヤモンドへ向かっていた頃, 刑事に化けたエジソンとバニーが先回りして警備員に会っていた. 今晩,強盗が入ると言う. さてエジソンとバニーの覆面パトカーを見た田島と柴崎は大慌て. 引き返そうと柴崎が言い出すと,
ファルコン「このままずらかる手はないでしょう.」
柴崎「何?」
ファルコン「俺,やりますよ.」
田島「そんな,無茶な.」
ファルコン「あんたらが囮になってサツを誘き寄せている間に, 俺がやりますよ.」
柴崎はファルコンの作戦に乗ることにした. 田島の運転する車を適当に追いかけるエジソンとバニーの覆面パトカー. しばらく追いかけた後,
エジソン「おい.もうそろそろやめにしましょうか.」
バニー「そうしましょう.」
覆面パトカーは巻かれた振りをして引き返した. 柴崎と田島はまんまと騙されてしまった. 一方ファルコンはアジトでパピヨンから宝石の偽造品を受け取っていた. 鞄に発信機がついていたのだ.出ようとするファルコンに
パピヨン「ちょっと待って.メーキャップしてあげるわ.」
警備員と格闘したから傷をつけようというわけだ.

ファルコンは偽造品を持って柴崎の部屋に戻ってきた. 傷痕を見て柴崎は心配し,さらに大量の偽造品を見て驚いていた. 本物の宝石と信じて疑っていなかったのだ.去ろうとするファルコンに
柴崎「おい,ちょと待て.傷痛むんじゃないのか? おい,救急箱あったろう.」
田島「はい.」
ファルコンは田島を制止.大丈夫と答えた. 柴崎は翌日の2時頃に越中島の操車場へ来てくれと言った. ギャラを払うと言うのだ.去って行くファルコンを見て
田島「それにしても大した野郎だぜ.」
偽造品とも気づかずに田島はネックレスを首に掛けていた.
柴崎「俺の目には狂いはねえぜ.」

翌日.発信機を頼りにパピヨンは尾行した. そして一味の黒幕の顔を確認した. 黒幕は対外交易省アジア局局長の佐伯みつお.佐伯なら税関はフリーパスだし, 外国のブラックマーケットとコネをつけるのも難しいことではないだろう. 盗品を佐伯が外国でさばいていたというわけだ. 警察が血眼になって捜しても見つかるはずがない.これでターゲットは決まった.
パピヨン「佐伯はあたしがやるわ.あなた達は柴崎一味を.」
エジソンが声を掛けた.あの指輪を使えと言うのだ. パピヨンがテストすると眠り薬がバニーの目にかかった. そして蝶の舞うCGが流れた.一同横一列に並んだ.
パピヨン「Let's go!」
ファルコン「Hanging!」
一同,パピヨンの手を叩いた.ハングマンは出動した. この出動の仕方は#3と同じ. 監督はこの回同様西村潔さん.

ハンギング

越中島の操車場でファルコンは柴崎と田島にボスの高岡(松山照夫)を紹介された. ファルコンは高岡からギャラを見せられたが,受け取ろうとしなかった. 不思議に思う高岡にファルコンはこう答えた.
ファルコン「いや,ねえ,こんなもんよりさあ, あんたらの雁首が欲しいんだよ.」
それを聞いた3人は驚いた.
ファルコン「はじめようか.」
と同時にエジソンとバニーも登場.格闘が開始された. エジソンは一番弱そうな高岡を倒した.怒った柴崎が拳銃を出した. が,バニーが縄を使って柴崎の動きを封じ, エジソンが拳銃を奪い取り,ファルコンが柴崎を殴り倒した.

パピヨンはアジア婦人協会の花森と称して佐伯と会った. 握手した瞬間,佐伯は眠らされてしまった.

悪党4人が気がつくと,悪党達は縄で柱につながれていた. 周りには風船や白菜などが並べられていた.
ファルコン「お目覚めのようだなあ.さ,これから面白いゲームを始めよう. 諸君,頭上を見てくれ.」
天井を見ると,玉が込められているのが見えた.
ファルコン「これはただのテニスボールだが,中にいくつか鉄の玉が混ざってる. 例えばこれだ.」
玉の一つが白菜に落ちると,白菜が砕け散った.
ファルコン「この鉄の玉の重さは約10キロ.諸君の頭を直撃したら, まず命はない.」
また白菜が砕けた.
ファルコン「これらは全てコンピュータ制御されている. ゲーム開始と同時に豆電球が一斉に点滅し始め,それが消えた瞬間, 落下される玉が選択されると言う訳だ.さ,そろそろ始めるか. ゲームスタート.」
ファルコンは楽しそうに言った.どんどん玉が落ちてきた. 悪党達は生きた心地がしなかった.絶え間なく玉が落ち, マネキンや白菜が潰れていったからだ. 悪党達にもテニスボールが当たった.痛がる悪党達.
柴崎「うわー,奴ら,本気だ,本気だよー.おい.モーダメー. 耐えられない.おい,やめろ.やめろ.やめてくれー. 何でも喋るからさー.やめてください.うわー.お願いします.」
高岡「柴崎,そんな子供だまし,びくつくんじゃねえや.」
柴崎は手を合わせたまま.どんどん風船が割れて行く. マネキンも壊れて行く.
田島「や,や,や.俺も喋るー.やめてくれー.」
エジソン「スタンバイ,OK.」
アンテナが準備された.パピヨンは秒読み開始.
パピヨン「5,4,3,2,1.キュー.」
エジソンがスイッチを押すと同時に「ON AIR」開始. 「東京・渋谷 本多新聞販売店」のテレビなどに,悪党達の姿が映し出された.
柴崎「連続強盗事件は俺達の仕業だよ. 盗んだ物は高岡と佐伯局長が外国でさばいていたんだよ.」
佐伯「知らん.知らん,知らん.わしは何も知らん. あのことは高岡とこの連中がやったことなんだ. 私は何も関知してないんだ.」
高岡「佐伯局長,今更言い訳するなんて汚えぜ.おら,いて,いてて, おら,政治資金稼ぎに手伝っただけじゃないか.いて.悪いのはあんた.」
悪党達は右往左往した.
柴崎「お願いします.もうこれ以上落とさないで.お願いします.」
なおも玉は落としつづけられたが,突然,止まった. そして風船がパンと割れると同時に悪党達は腰を抜かしてしまった.

また急に明るくなり,薔薇の花を持ったパピヨンが登場.
佐伯「あんた,なにもんだ.」
パピヨン「闇に舞う蝶,パピヨン.安らかに眠っていただきます.」
薔薇の花から催眠ガスが噴射され,悪党達は再び眠りに入った. そして蝶の描かれたダンボールにつめられて警察署へ送られた.

事件解決して…

帰って来た雅則に蝶子がプレゼントを渡した.
雅則「うわあ,ボロンじゃないか.どうしたんだ.こんな高いもの.」
蝶子「あたしのヘソクリで買ったの.」
雅則「蝶子.」
雅則は蝶子に抱きついた.
雅則「ありがとう.ありがとう.そんなに君が僕のこと思っててくれるなんて.」
蝶子「いいのよ.また少しずつ貯めればいいんだから.ね.」
雅則「でもなんとなく納得いかないなあ.」
突然,雅則は怪訝な顔をした.
蝶子「へ?」
雅則「近頃ちょくちょく家を空けてるようだし,もしかして,君.」
まさか雅則は蝶子の裏稼業に気づいたのか?
雅則「これ(スリのポーズ)やってんじゃないか?」
蝶子「まあ,あなた.」
蝶子は一安心.雅則は大笑い.
雅則「冗談,冗談.」
雅則はボロンのクラブで素振りをするのであった.

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東平 洋史 E-Mail: hangman@basil.freemail.ne.jp