第五回

マイト,元同僚を救おうとして窮地に陥る.
死体を喰うマンション

脚本:山田隆之 監督:大熊邦也

マイトは夢で妻子が殺されたときのことを思い出していた.その頃, ドリーム不動産の物件をマイトの元同僚の遠藤(寺田農)の妻とみえ(茅島成美)と, 娘せつこが見に来ていた.せつこがマイトに向かって「日下部のおじちゃん」と, よってきた.マイトはごまかしたが, 車でとみえとせつこをマンションの工事現場まで送った. とみえとせつこは9階の908号室を買っていた.

とみえは工員(星純夫ら)から手抜き工事が行なわれているという話を聞いた. とみえは現場監督を問い詰めたが, 逆に上から娘もろとも突き落とされてしまった. 遠藤の妻が落ちていく様子を見かけたマイトは現場へ急ぎ, 工員を問い詰めたが工員は白を切った.そして現場には遠藤らもやってきた. 遠藤も工員を問い詰めたが,デカ長(高城淳一)の判断により, 肉親が絡んでいるという理由で捜査からはずされた.

遠藤はドリーム不動産に解約を申し出たが, 解約には手付金の倍額が必要と社長(南原宏治)に言われた. とみえは既に300万円も払っていたので, さらに300万円を支払う必要があると言う. 弁護士にも相談したが契約書にもそのことが書かれているため,やはりだめ. 悔しがる遠藤.

社長は現場を訪れ,労をねぎらった.行員がわざと手抜き工事を契約者に示唆し, 驚いた契約者が解約をして解約金を得る.それが彼らの目的だったのだ. マイトは遠藤を見張った.そして車に轢かれそうになった遠藤をマイトは助けた. 遠藤の自宅でマイトはマトイと名乗り, 遠藤にあの事件には裏があるとたきつけた.

マイトはゴッドに遠藤をハングマンに引き入れて立ち直らせたいと頼み込んだ.
ゴッド「断る.昔の同僚を助けようなどという考えは, きっぱりと捨ててもらわなくちゃあならん.ハングマンたるもの私情で動いてもらってはならんのだ. ハングマンの仕事は一つ間違えばとんでもないことになる. 一切の私情を捨てて死人のように冷酷に行動せねばならん.
マイトは俺のやり方でやらせてもらうとゴッドの部屋を出て行った.

パンは妻子の営むパン屋を訪れていた.パンはおまけをもらった. どうやらパンの妻はパンに好意を抱いているようだった.喜ぶパンだったが, 他の客にもあんなことしているのかなあ,と嫉妬してしまい, 買ったパンを放り投げてしまった.

アジトにいるブラックへゴッドから電話が入った.
ゴッド「過去に深入りするのは危険なのだ.遠藤刑事のことに深入りするのはな. マイトはいよいよのめりこんでいる.絶対に止めさせるように.そう,絶対にだ. さもなくばマイトをハングマンから除名し, 今度こそ本当に死んでもらうことになる.」

工事現場を見張るマイト.遠藤もそこに来ていた.社長は遠藤に嫌味を言った. ブラックがやってきて危険だとマイトに警告した.正体がばれたら崩壊だぞ, とブラックはバイクとドラゴンと一緒にマイトを連れて行こうとしたが, 隙を見てマイトは車で逃走した. マイトは白バイ警官も振り切って逃げてしまった.

ついに社長は「のどにささった小骨のような刑事だなあ. ちくちくいてえ小骨は取っちまうことだなあ.」と遠藤の始末を工員に指示した.

一方,遠藤はデカ長に一週間の休暇を申し出ていた. そこへマイトから遠藤に連絡が入った.遠藤はマイトに会うことにした. 遠藤はマイトが飲んでいたグラスを押収した.

遠藤の自宅を社長と工事監督が訪れた. 社長が焼香して遠藤の注意を引き付けている隙に工事監督はガスのゴム管を抜き, ガス漏れの状態にした.そしてしばらく経ち, 遠藤が線香を上げようと蝋燭に火をつけた瞬間, 遠藤の自宅はガス爆発を起こした.

遠藤の自宅にかけつけたマイトを警察が追った. 遠藤の押収していたグラスから指紋を消していることがばれていたのだ. マイトは警官隊を何とか振り切ったが,足に怪我を負ってしまった. そんなマイトをブラックはワゴンに運び込み,アジトへ連れて行った.

アジトでバイクはマイトに遠藤爆死事件を報じた新聞を投げつけた.
バイク「あんたはねえ,俺よりずっと年上なんだよ. 俺より先に死んじまうんだよ.だがなあ, ハングマンの組織がどうなろうとあんたには関係ねえんだよ.だけどなあ, 俺はどうなるんだよ.ハングマンに若い命を賭けて, ぱあと一花咲かせようと思っている俺はよう.」
パンはマイトに葉巻をくわえさせ火をつけた.
パン「感心しねえなあ. あんまり過去に深入りするのは感心しねえよ.
そこへゴッドから電話が.ゴッドがマイトに伝えた.
ゴッド「庶民の夢と命を食い物にする悪徳不動産屋は許せぬ. 死刑台に送るんだ.いいな.」

ハンギング

パンとベニーは夫婦に化けてドリーム不動産社長に接触し, 908号室を一億で買いたいと申し出た. 908号室を案内する社長をベニーとパンは捕まえた. ブラックは刑事に化け,不正取引の容疑,と証してドリーム不動産の金庫を漁り, 契約書を取り出した.バイクとドラゴンとマイトは工員達を捕まえた. マイトは工事監督に鉄拳をふるい,遠藤の妻子殺し, 遠藤殺しのからくりを自白させた.908号室で吊るされている社長に, マイトはダイナマイトに火をつけて爆発する様子を見せつけた. そしてマイトはダイナマイト(の偽物)に火をつけ,脅した. マイトは社長に契約書を投げつけた. びびった社長は大声で犯行を自白するのであった. ちなみに工事現場には大勢の契約者が押しかけていた.

解説

マイトが過去に深入りし, 人間らしい感情を持ってしまったために窮地に陥ります. ハングマンのメンバーが人間らしい感情を持ってしまったために, 窮地に陥る話はこの後も繰り返し繰り返し語られます(#10,#13,#25,#47,#48). なおパンが語った台詞「感心しねえなあ. あんまり過去に深入りするのは感心しねえよ.」は, #10でそのままマイトからパンに返されることになるのです.

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東平 洋史 E-Mail: hangman@basil.freemail.ne.jp