第1話の考察

ハングマンシリーズの各作品の第1話には実は共通点があります. 「ザ・ハングマンII」,「ザ・ハングマン4」,「ザ・ハングマンV」, 「ザ・ハングマン6」の4作品の第1話を書いたのが, どれも中村勝行さんだからなのでしょうか? まあ,それも関係あるでしょう. しかし「ザ・ハングマン 燃える事件簿」の第1話は山田隆之さん, 「新ハングマン」の第1話は柏原寛司さん, カウントすべきかどうかは異論があるでしょうが, 「ハングマンGOGO」の第1話は大川俊道さんが担当しているのですが, どれも次のような共通点を持っているのです. ただし,どの話も担当した脚本家の作風が現れていているのが興味深いです.

まず組織結成

当たり前かもしれませんが,これは必ず行なわれる事です. もっとも「ハングマンII」と「ハングマンGOGO」は, 組織が再結成されるという風にとらえた方がいいのかもしれません.

必ず一人は後から組織に加入

「ザ・ハングマン 燃える事件簿」は一人, また一人と加入していったので外れるかもしれませんが, それ以外の作品は組織結成→新メンバー加入という流れを取っています. 「ザ・ハングマンII」ではヨガ,「新ハングマン」ではマリア, 「ザ・ハングマン4」ではジャッキー,「ザ・ハングマンV」ではパピヨン, 「ザ・ハングマン6」ではアイリス, そして「ハングマンGOGO」ではダブルが後から加入しています. 「女ハングマン」でもピンキーが後から加入しましたし, また「ハングマン MISSION 2000」ではヒットがシンプに勧誘され, 組織に加入しています.そしてそのことが次の共通点を生むのです.

最初の事件はメンバーの復讐を兼ねる

「ザ・ハングマンII」,「ハングマンGOGO」,「女ハングマン」は違いますが, 残りの作品は間違いなく復讐と言えるものです. 「ザ・ハングマン 燃える事件簿」はブラックの復讐, 「新ハングマン」はマリアの復讐,「ザ・ハングマン4」はジャッキーの復讐, 「ザ・ハングマンV」はパピヨンとマネージャーの復讐, 「ザ・ハングマン6」はスポットとアンクルの復讐というべきもの, 「ハングマン MISSION 2000」はヒットの復讐と言った具合です. 余談ですが,タミーがハングマンになったのは, 友人が犠牲になった事件の黒幕を捕まえられなかった警察が歯がゆかったから. そしてタミーがはじめて手がけた事件も彼女の復讐というべき事件でした.

メンバーは表舞台では生きていけない人間

これは「ザ・ハングマン6」,「ハングマンGOGO」, 「女ハングマン」では希薄になってしまった要素ですが, 第1話で必ず語られる事項です. 「ザ・ハングマン 燃える事件簿」に出てくるハングマンは, 皆死人になって過去を捨て去りました. 「ザ・ハングマンII」のヨガは微妙な立場ですが, 「新ハングマン」のメンバーは全員何らかの事情で裏街道を歩いてきた人物です. 「ザ・ハングマン4」に登場したクレイはボクシングで対戦相手を殺して以来, 裏街道を歩いてきた人物ですし,ジャッキーも父親の死がきっかけで裏街道入り. 「ザ・ハングマンV」のファルコンとエジソンは微妙ですが, パピヨンとマネージャーは汚職事件のために過去を捨てざるを得ませんでした. バニーは孤児院出身で天涯孤独の身. いずれの作品も表舞台では生きていけない人達が出てきました. そういう人物が一人も出てこなかった「ザ・ハングマン6」, 「ハングマンGOGO」の人気が旧作のファンの間で低いのは当然だと思います. まあ同じ事は「女ハングマン」にも言えるかもしれませんが.

終わりに

というわけで各作品の第1話の共通点を見てきました.もしかしたら皆, 「ザ・ハングマン 燃える事件簿」の第1話を意識して, 書いていたのかもしれません.つまり原点に返る事を, どこかで意識していたのかもしれません. それでも「新ハングマン」の第1話のように組織結成の過程を大胆に省いたり, 「ザ・ハングマン4」ではサファリが事件を調べながらメンバーを勧誘したり, 「ザ・ハングマンV」では組織がある程度できており, マネージャーがパピヨンを裏の世界へと勧誘したりするなど, それぞれの作品で微妙に違うのが面白いです. 第1話を見れば各作品の作風がわかるのかもしれません.

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東平 洋史 E-Mail: hangman@basil.freemail.ne.jp