脚本は小川英と長野洋.監督は竹林進.主役はロッキーと山さん.
前回が実質的にはゴリさん主役と言ってもいい回だったが, 今回はロッキー主役と言うべき回だ.ただ, 暴走するロッキーに山さんが刑事の掟を語るシーンが入るのが今回のポイント.
今回扱われるのは連続殺人事件.
第一の被害者は中光商事営業第二課長の井川啓介.年齢は54歳.
定年間近(当時は55歳が定年だった)で一生をこつこつ働いた挙句に,
自宅の近くで射殺された.不意を突かれて一発で射殺された.
使用された拳銃は昔日本陸軍が使っていた南部14年式.
だが井川に軍隊経験はなかった.しかも人に恨まれるような人物ではない.
現場近くでロッキーは犯人の物と思われる足跡を発見.
ロッキー「石塚さん.この靴跡は特注の登山靴の跡です.」
しかも新品らしい.
ゴリさんは犯人の物だとしたら大手柄だとロッキーを褒めたが
ロッキー「山男に悪い人間はいません!」
と嫌な気持ちになった.
第二の被害者は佐山かんじで56歳.その年の春に定年退職し,
第二の職場としてあるビルの守衛をしていた.犯行現場はそのビルだった.
彼も人に恨まれるような人物ではなかった.この事件で使用されたのも,
南部14年式.皆が去った後,ボスと山さんは登山靴の持ち主がわかったかどうか,
ロッキーに尋ねた.ロッキーは言い憎そうだったが,調査の結果を報告.
最近,靴を注文した人物が二名いた.一人は白だったが,もう一人は行方不明.
ボスはロッキーに名前を尋ねたが,ロッキーは黙っていた.山さんにうながされ,
やっとロッキーは喋った.
ロッキー「森山修(富川よし夫).名古屋のある山岳会の会員です.」
実は視聴者には画面で彼が実行犯である事が示されているのだが,
七曲署の面々には森山が黒である確証は登山靴しか判明していなかった.
ロッキーは名古屋へ行って調べる事にした.
会員への聞き込みで次の事がわかった.森山は三年前に山岳会を辞めていた. 森山がリーダーで行った穂高で雪崩れに遭い,森山一人が生還した. 会員を何人も死なせてしまった事に森山は責任を感じ,そして辞めたのだ. 森山は誠実で心の優しい根っからの山男だったのだ. ロッキーは森山の写真を手にいれた.
長さんが調べた結果, 被害者の井川と佐山は同じ軍隊の大隊の仲間だった事が判明. 動機は軍隊時代にあるのだろうか? ボスはこの線に絞る事にした.
ロッキーが東京駅に着いた時,既に第三の事件が発生していた.
今度は三発も撃ち込まれていた.被害者は柿本興産専務取締役の手塚三郎.
現場の河原には同じ靴跡が残っていた.もはや偶然とはいえない.
被害者三人とも同じ軍隊仲間.しかも拳銃も同じ南部14年式.
ボスはある事に疑問を持った.
ボス「一人目も二人目も一発で倒してる.なぜ三人目だけ三発撃ったんだ?」
そこへ山さんから電話が掛かってきた.
第三の事件の現場近くのガード下で店を出していた男(大村千吉)が,
例の登山靴を履いた男を見かけていたと言うのだ.
顔を見れば思い出すかもしれない.
ボスはロッキーに山さんと合流するように命じた.
男は森山に間違いないと証言した.
ロッキー「何! いい加減な事言うな.」
ロッキーは思わず男の胸倉をつかんでいた.山さんはロッキーをたしなめた.
激昂し,もう警察には協力しないと言って男が去った後
ロッキー「すいません.でも俺には信じられません.
山の好きな人間だったら誰だって信じられないと思います.
この男がこんな殺人鬼だなんて.」
山さんはロッキーのこの甘い考えを喝破した.
山さん「同情したい奴には同情しろ.憎みたい奴は憎め.
捜査に私情をまじえるなとは俺は言わん.だがな,
証拠や証人を冷静に処理できないのなら,刑事を辞める事だ.」
山さんから報告を受けたボスは森山修を重要参考人として手配する事にした.
それでもロッキーは森山が犯人だとは思いたくはなかった.
森山が山男だからだけではない.
ロッキー「俺も山の仲間に死なれた事があるんです.
俺にはあいつの気持ちがわかるんです.人が死ぬのがどんなに辛い事か,
森山は骨の髄までわかってる筈なんです.そんな奴に人殺しが出来るでしょうか?」
その時,山さんの調べで次の事がわかった.第三の事件の被害者手塚には,
狙われる理由があった.柿本興産は汚職で地検特捜部が内偵中の会社だったのだ.
しかも特捜部では今週中にも手塚を引っ張る予定だったと言うのだ.
手塚は贈賄側の鍵を握る人物だ.
特捜部の人間は手塚の死で振り出しに戻ったと嘆いていた.
となると前の二人は偽装かもしれない.捜査を混乱させるために,
わざと昔の軍隊の拳銃を使ったのだろう.
ボス「手塚専務だけが三発撃ち込まれていたのも,それで説明がつくな.」
つまり,手塚だけは絶対に息の根を止めたかった.あるいはそう命じられていた.
ボンは憤った.ただそれだけのために何の関係もない人間が二人も殺されたのだ.
山さんはボンをなだめた.これは推理だけで未だ確証は何もないのだ.
だが前の二人には殺される理由が何もなかった.ロッキーも憤った.
ボス「山さん.手塚が死んで一番喜ぶのは誰だ?」
柿本興産社長の柿本健蔵(野口元夫)だ.表向きは紳士だ.だが
ボス「この柿本は表向きは麻薬撲滅を叫ぶ福祉団体の役員でいながら,
暴力団とも深いつながりを持っているとも言われている.
人を使って殺しをするくらいは朝飯前かもしれんぞ.」
余談だが,柿本を演じた野口元夫さんは第2話では七曲署署長を演じている.
という訳で捜査の焦点は柿本と森山に絞られた.
山さんの声「柿本.森山.どこかでつながっている.どこかで.」
ゴリさんは食堂でロッキーにこんな事を言った.
ロッキー「なんだよ,ロッキー,え.まだ膨れてるのか…ま,
山男を信じたいお前の気持ちはわかるがな…よく食いやがらあ.
前にジーパンて奴がいてなあ,お前みたいにひょろ長くて,
すぐカッとなりやすいくせに実に情の熱い奴だった.
そのために助けた奴に逆に殺されちまったがね.」
ロッキー「そうですか.」
ゴリさん「おい,もうちょっと速く食えねえか?」
ロッキー「良くかんで食べれば速くスタミナになります.
石塚さんは速過ぎます.」
ゴリさんはさっさと食べ,定時連絡を取った.
すると殿下が有力な証拠を見つけてきた事がわかった.
柿本と森山をつなぐ証拠だ.桜町の柿本が出資している麻薬患者の施設に,
半年前,森山が入院していたのだ.
ロッキー「麻薬患者? 馬鹿な!」
ロッキーとゴリさんはそのアカツキ福祉事務所へ行ってみたが,
退院後の住所はわからなかった.
ロッキー「仲間を死なせた苦しみからあいつは逃げたかった.それで薬を.でも,
治ったんですね,森山修は? 半年前に完全に中毒から立ち直ったんですね?」
事務員「ええ.もう二度と薬は打たない.森山君,出てく時,
明るかったですよ.」
森山は三の輪署の管内から来たと言う.
ロッキーは三の輪署へ行ってみる事にした.
ゴリさんは退院患者を当たる事にした.
柿本はなかなか尻尾を出さなかったが, 長さんは暴力団上がりの宮沢が柿本の会社のビルにいるのを目撃. しかも宮沢は長さんと目が合った途端, 酷くうろたえてエレベータのドアを閉めてしまった. これで柿本達が森山の事で慌てている事が判明した.
山さんの声「柿本と暴力団あがりの宮沢.そして森山.」
山さんはクラブエルムへ行った.ママは明らかに動揺していた.
山さんは森山の写真を見せた.ママはさらに動揺し,知らないと答えた.
一方,ロッキーは三の輪署管内の「元」売人を当たっていた.
彼は森山の名前を聞いた途端,過剰に反応.
ロッキーは徹底的に「元」売人を当たり,取引の現場を押さえた.
ついに「元」売人は森山の事を話した.森山は前の日に来たと言う.
森山は彼が以前に薬を売った時よりも重症で真っ青な顔をし,
さらに「無理矢理薬を打たれた」と言ったと言う.だが「元」売人は,
森山に薬を打った人間の事までは知らなかった.だが森山に薬を二袋売っていた.
時間は夕方の五時.場所は矢追町三丁目の交差点の前.
おそらく二袋だけだとまる一日しか持たないだろう.
ロッキーは今の時刻を確認した.午後4時41分.
ロッキーは走り回った.そして交差点の前に陣取った.
ロッキーの声「森山はここへ来る.薬が切れれば必ずここへ薬を買いに来る.」
だが5時30分になっても森山は現れなかった.ロッキーは走り回った.
ロッキーの声「折角立ち直った森山に誰が無理矢理薬を打たせた?
誰だ.誰だ.柿本か?」
そこへ森山が現れた.本当に苦しそうな顔をしていた.
ロッキー「森山! 森山,待てえ.」
ロッキーは森山を追いかけた.禁断症状に苦しみながら森山は逃げた.
ロッキーも走った.ゴリさんもボスからの指令でロッキーの元へと急いだ.
だがロッキーは森山の姿を見失っていた.
ロッキーの声「どこだ,森山.戻って来い.殺されるぞ,森山.」
そこへゴリさんが登場.ロッキーとゴリさんは合流した.
だが麻薬を懇願する森山は宮沢達によって大量の麻薬を打たれ,
ショック死してしまった.
ロッキー「誰かがここにいた.殺したのはそいつです.
一度は必死に這い上がったこいつを,
麻薬の地獄へもう一度突き落としたのもそいつです.
そいつの後ろには柿本がいます.最初からこれが柿本の計画だったんです.」
ゴリさん「奴ならやりそうな事だ.
これで事件を謎のまま終わらせようっていう腹なんだ.」
現場には南部14年式拳銃も転がっていた.
ロッキーの声「打たせたのは柿本.絶対に許せない!」
怒り狂ったロッキーは柿本の会社に乗り込んだ.
入口で長さんの制止を振り切り,社員や警備員もなぎ倒してロッキーは進む.
遂に社長室の前までロッキーがたどり着いた.まさに暴走だ.
その暴走を止めた男がいた.
山さん「待て.」
ロッキー「山さん.」
山さん「馬鹿者!」
山さんの鉄拳がロッキーに飛んだ.
山さん「未だわからんのか,お前には.
お前の考えている事に一体何の証拠があるんだ.」
ロッキー「証拠?」
ロッキーは立ち上がった.社員が山さんとロッキーをなじった.
山さんは謝罪した.そしてロッキーを外へ連れ出した.
車の中で
ロッキー「責任はとるつもりでした.」
山さん「おお.」
ロッキー「例え刑事を辞職してでも,
柿本を逮捕して吐かせるつもりだったんです.」
山さん「吐くかな?」
ロッキー「どんな事をしてでも吐かせます.」
山さん「拷問による自白が証拠になるか?」
ロッキー「吐かせて物証をとります.そのためなら俺,どんどん責める.
あんな奴はそうでもしなけりゃ逮捕できません.」
そんなロッキーを山さんは冷ややかに見た.車はあるビルの前で駐まった.
ロッキー「何ですか? ここで何か?」
山さん「待つんだ.」
山さんの目線の先には宮沢経済事務所の看板があった.
ロッキー「宮沢?」
山さんは頷いた.
ロッキー「宮沢って.」
その時,無線が入った.
ボス「彼女についてあらゆる情報を集めたが,
どうも逮捕状をとれるほどのネタはない.」
ロッキー「彼女?」
ボス「ただし目下彼女は賭け麻雀の真っ最中だ.」
山さん「ボス.」
ボス「やるか?」
山さん「ええ.」
ロッキーは怪訝な顔だ.
ボス「よーし,ゴリ,踏み込め.」
ゴリさんとボンはクラブエルムに乗り込み,ママを賭け麻雀の現行犯で逮捕した.
山さん「ロッキー.柿本健蔵のような自分の手を汚さない悪党を捕まえるには,
犯人とそいつのつながりを証明するしか手がない.だから俺は,
元バーテンの森山が柿本と何らかのつながりのある店で働いている,
と言う想定から始めた.一軒一軒森山の写真を見せて回ったんだ.案の定,
クラブエルムのママが顔色を変えた.」
ロッキーは驚いた.
山さん「森山は多分その店で働いていたんだなあ.
そしてその森山を連れ出したのは十中八九宮沢だ.
しかし宮沢とママをつなぐ線は何もない.」
ロッキー「それじゃあ,店を突き止めても何にもならないじゃないですか.」
山さん「だから女を別件逮捕したんだ.女が吐けば,
宮沢は殺人罪から逃れようがない.女が逮捕されたことを知れば,
宮沢は必ず動き出す.」
やっとロッキーに山さんの狙いがわかった.案の定,宮沢達が外へ出てきた.
山さんとロッキーが車から降り,長さんと殿下も合流した.
宮沢「なんだい.俺達が何をしたって?」
山さん「宮沢.クラブエルムのママの逮捕がそんなに怖いか?」
宮沢たちは逃走しようとしたがあえなく御用となった.
山さん「さあ吐くんだ.お前に森山を利用しろといったのは誰なんだ.
人殺しを命じたのは誰なんだ.吐け.お前が主犯になりたいのか,宮沢.
言うんだ,宮沢.」
それをロッキーは黙ってみていた.
山さんはロッキーとボンを連れて柿本のところに乗り込んだ.秘書は,
今日ロッキーが乗り込んだ件で弁護士を連れて告訴に行くところだ,と言ったが
山さん「結構ですな.ひっくるめて法廷で白黒をつけますか.柿本健蔵.
殺人教唆罪で逮捕する.」
山さんは柿本に逮捕状を見せつけた.
柿本「何!」
山さん「宮沢が吐きましたよ.」
ボンがロッキーの肩を叩いた.ロッキーは柿本に手錠を掛けた.
ロッキーはボスに始末書を三枚提出した.命令無視.不法侵入.器物破損.
ロッキーは沈痛な面持ちで座った.ゴリさんはロッキーに,
当直明けで休みがたまっているから休みをとって山へでも行って来い,
と言ったが
ロッキー「俺,休みません.刑事一年生ですから.」
殿下「みんながそういってるんだからさあ.」
山さん「まあ,そう堅くならずにだな.」
ロッキー「休みません!」
その頑固さに皆,半分呆れるのであった.
次回は山さん主役編.山さんの胸に青春の光と陰が去来します.
私事ですが,今,私は腰椎椎間板ヘルニアを患い,外出を禁じられています. 前から右の腰が痛かったのですが,日曜日から右足の痛みが酷くなりました. 歩いたり寝転んだりすると右足が痛くて痛くて仕方がないのです. 階段をあがるのも一苦労ですし,長い時間立っていられません. また右足で踏ん張る事ができないので立小便も出来ません. あぐらをかいていても時々右足が痛みます.幸い未だ経過を診ている段階なので, 入院せずに自宅療養の段階なのですが,暇で暇で仕方がありません. 来週,入院する羽目になるのだろうか? そんな事を時々思う今日この頃です.
「2002年9月」へ 「テレビ鑑賞記」へ 「私の好きなテレビ番組」へ 「touheiのホームページ」へ戻る.