脚本は小川英と四十物光男.監督は竹林進.主役はゴリさん.
礼子という女(梶三和子)が海外旅行から羽田空港に戻ってきた.
女はピンクの服を着て,ピンクの帽子をかぶっていた.
それを車の中から二人組の男が見ていた.
男A「あの女だ.間違いない.」
男達が飛び出そうとしたが
男B(堀礼文)「待て.」
礼子を真一(三景啓司)が出迎え,「いつものレストラン」へ行く為に,
車に載せていった.仕方無く先ほどの二人組は礼子達を追いかけた.
そして矢追一丁目のオフィス街で車が駐まり,
礼子が降りた所を出迎えた.だが礼子は男達に面識がないようだった.
礼子「離して下さい.」
男B「心配するなって.東南アジアからの土産をもらいに来ただけだ.」
男達は強引に礼子の荷物を奪おうとした.真一は礼子を助けようとしたが
男B「まだわからねえのかよ.笠井に頼まれてきたんだよ,笠井に.
笠井,知ってるだろう,え?」
真一は男達から礼子を助けようとしたが逆に殴られ,逃げてしまった.
礼子は真一の名を一生懸命呼んだが,真一は戻っては来なかった.
そこへタクシーが通りかかったので男達は礼子を無理矢理車に載せ,
連れ去ってしまった.
通報を受け,ボスはボンに追跡を命じた.真一が公衆電話を発見した頃, 礼子は男達に難詰されていた.目当ての荷物がなかったからだ. 礼子に覚え等ある筈なかった.そこへボンとゴリさんが追いついた. ゴリさんは礼子を保護.男達をボンが追跡したが,拳銃で威嚇され, ひるんでしまった.後からゴリさんが追いついて追跡を開始したが後の祭り. 逃げられてしまった.その頃,殿下と長さんは真一を発見していた.
ゴリさんとボンは七曲署で礼子から話を聞いていた.
遅れて通報してきた戸田真一が本来の連れ.礼子と真一は同じ会社に勤め,
結婚の約束までするほどの仲だった.礼子が連れ去られた時,
真一はどこかへ逃げてしまった.そのどこかがわからない.
電話だったら「いつものレストラン」の方が近いのに,
真一はそっちとは反対の方角へと走っていったのだ.
ゴリさんとボンは言葉を失ってしまった.意を決してゴリさんが聞いた.
男達は礼子のお土産のバッグを開き,「何もない」とわめいた.
それは確かだった.他には何かわけのわからない事を言っていたが,
礼子は覚えていなかった.そこへ,殿下が入ってきた.
真一を七曲署へ連れて来たと言うのだ.よろしければお連れしますが,
と殿下が言ったが
礼子「いいえ.会いたくありません.」
ゴリさんとボンは何もいえなかった.殿下はハンドバッグをテーブルに置いた.
真一が拾ったというのだ.礼子は殿下にお辞儀したが,
その顔は晴れていなかった.礼子はボンに送られていった.
続けてゴリさんは真一から話を聞いた.
ゴリさん「一発殴られた.それから?」
だが返ってきた応えは
真一「は?」
仕方がないのでゴリさんはまた訊いた.
ゴリさん「それから何があったのかって訊いてるんです.
いいですか,戸田さん.あなたは婚約している女性が酷い目にあっているのに,
それをほったらかしてどっかへ行っちまった.」
真一は何か言いかけたが
ゴリさん「そして最初に彼女の危険を通報してきたのは,
通りがかりのタクシーの運転手であんたじゃないんですよ!
物の一本も走ればレストランの電話もあったし,
レストランには人もいた.だのにあなたが助けを呼んで110番したのは,
二分半も経ってからですよ.二分半.一体,あなた,その間,
どこで何をやったんだ?」
やっと真一が口を開いた.
真一「どうしたらいいのかわからなかったんですよ.」
ゴリさんは憤慨した.
ゴリさん「わからなかった!?」
思わずゴリさんは殿下の方を見た.
真一「はじめは僕もビックリして止めようとしました.でも,彼らは,
まるで彼女の仲間のように見えたんです.」
ゴリさん「仲間?」
真一「ええ.」
礼子の声「離して下さい.」
男Bの声「心配するなって.東南アジアからの土産をもらいに来ただけだ.」
殿下「東南アジアから.確かにそういったんですか?」
真一「彼らは何もかも知ってました.彼女が旅行から帰ってきた事も,
渡航先も.それから,共通の知り合いも.」
男Aの声「まだわからねえのかよ.笠井に頼まれてきたんだよ,笠井に.
笠井知ってるだろう.」
ゴリさん「笠井?」
真一「そして僕は殴られました.邪魔者なのは僕の方だ.僕はそう思えたんです.
それで急に僕には,彼女がわからなくなってしまったんです.」
そう言って真一は黙り込んでしまった.
ゴリさん「それが事実だとすれば…事件の真相はがらっと変わって来る.」
真一も驚いてゴリさんの方を見た.
ゴリさん「どっちにしても,あんたは真相を知りたいはずだ.
協力してください.」
ゴリさんは真一と一緒に前科者リストを当たったが,二人組は見つからなかった.
真一が帰った後,ボスは真一の証言が信用できるかどうかをゴリさんに尋ねた.
ゴリさんはそれがわからなかった.
ゴリさん「言ってる事が腑に落ちないんです.
あれほど怯えきっていた中岡礼子に,犯人が仲間のような口を利いたってのも,
結局証言者は彼一人ですし…」
ボンも真一の証言がおかしいと考えていた.
送って行った感じでは礼子の家は中流の家庭で,
礼子が密輸の片棒を担いでいたようには見えなかった.
生憎,事件が起きたのは日曜日.オフィス街なので人手はなく,
目撃者は他にいなかった.二人組の使った車は盗難車.
長さん「いずれにしても問題は彼女のスーツケースだ.
犯人がそれを狙っていた事は被害者二人の証言が一致している.」
ボン「でもそのスーツケースの中には何もなかった…」
ゴリさん「そうだ.彼女の証言を信じれば.」
ボン「え? どっちなんですか,ゴリさん.彼女を疑ってるんですか,
それとも,戸田真一の証言の方を?」
ゴリさん「わからないんだよ,それが.だから困ってるんだ.」
ボン「え?」
長さんがそれを受けて言った.真一の証言を信じれば,一応の推理はつく.
笠井と言う男が中岡礼子に何かの密輸を頼み,礼子はスーツケースに隠して密輸.
ところが笠井の代わりに現れた男達が何も知らない真一の前に突然現れたので,
礼子は何も知らない振りをした.
ボン「たまたまそれを見たタクシーの運転手が通報した為,
彼らは拳銃を発砲して逃げ,彼女は知らぬ振りを押し通す.
なるほど,筋は通りますね.」
山さんもゴリさんも肯いた.だが
ゴリさん「筋の通る話ならもう一つ考えられるぞ.全くの人違いだった線だ.」
ボンは驚いた.ゴリさんが先を続けた.
ゴリさん「犯人が何かでとんでもない思い違いをして,
何の関係もない中岡礼子を襲ったって線が.
これなら戸田の証言とも矛盾しない.」
山さん「いや.もう一つあるな.」
ゴリさん「は?」
山さん「中岡礼子は実際に何かの運び役をやらされていた.
しかし当人は全くそれを知らなかったと言う推理だ.」
ボンがこんがらがってしまった時に殿下が入ってきた.
二人組の撃った拳銃の弾の条痕検査の結果が出たのだ.
12日前に城西署管内で起こった宝石強盗事件でガードマンを射殺した物と,
同じ拳銃だった.時価二億円の宝石がその事件で盗まれていた.犯人は三人組.
礼子を襲った二人組は三人の内の二人と考えられる.
ゴリさん「となると,もう一人は笠井かもしれない.」
その頃,例の二人組は笠井を難詰していた.
あの女が何も持っていなかったからだ.笠井は二人組が間違っていたと主張.
笠井が持っていた紙にはこう書かれていた.
笠井「501便.10時15分羽田着.白いカラーのピンクのツーピース.
ピンクの帽子.ハンドバッグ.靴.グリーンの花模様のスカーフ.」
何とその時の礼子の服装とそっくりそのままだった.
笠井は女に騙されたと主張.二人組がそう考え込んだ隙を突き,
笠井は逃走を開始した.慌てて二人組は笠井を追いかけ,拳銃で狙った.
翌朝.小田急の多摩川鉄橋の下で笠井の死体が発見された.
となると真一の証言は真実だったようだ.笠井の手首には細紐で縛られた痕が.
どこかに監禁され,拷問されていたに違いない.
さらにゴリさんは笠井の服のポケットから,あのメモを発見した.
ゴリさん「501便.10時15分羽田着.白いカラーのピンクのツーピース.
ピンクの帽子.ハンドバッグ.靴.グリーンの花模様のスカーフ.」
あの時の礼子はまさにその格好だった.
ゴリさん「やっぱり彼女はこいつらの仲間だったんだ.」
ゴリさんはそう確信した.
死んだ笠井春男は結婚詐欺の前科があった.死亡推定時刻は午前二時前後.
拳銃は中岡礼子誘拐事件や強盗事件と同じ拳銃だった.
笠井が三人組の一人だった事は間違いない.
ボス「おそらく笠井は一人占めをたくらんだんだろう.」
山さん「そしてたとえ一人占めしたとしても宝石では使い物にならない.
と言っても質に入れても足がつく.そこで目をつけたのが東南アジアだ.」
ゴリさんは言った.東南アジアには,
どんな宝石でも高く買い取る古売屋組織があると聞いた事がある.
ボン「ゴリさん,それじゃあ,中岡礼子は結婚詐欺師の笠井に騙されて,
運び屋を…」
断定は出来無いが,その可能性はある.中岡礼子が旅行に出かけたのは十日前だ.
ボスはゴリさんとボンに中岡礼子の身辺を徹底的に洗うよう,命じた.
長さんは笠井が殺された現場を洗い,
山さんと殿下は笠井を徹底的に洗い直す事になった.
松島製薬株式会社では,礼子が真一にこういっていた.
礼子「戸田さん.あたくし達の事はなかった事にしてください.」
真一「礼子さん…」
礼子は黙って去って行った.そこへゴリさんとボンがやってきて,
礼子に笠井の写真を見せた.だが礼子に心当たりは全くなかった.
そして笠井がその日の朝に死体で見つかったとゴリさんから聞き,
礼子は驚いた.さらにゴリさんは例のメモを礼子に見せた.
そして二人組がそのメモを元に礼子に話しかけた事を,ゴリさんは礼子に話した.
だが
礼子「私にはわかりません.」
ゴリさん「あなたは笠井を知らないとおっしゃった.しかし,
こんな事はありえますか? 全てが一致し過ぎてます.」
礼子は真顔でこう言った.
礼子「わかりませんわ.どうしてこの人がそんな,私の身なりをしっていたのか.
それに飛行機の時間まで.あたくしにはまるでわかりません.」
ゴリさんはツーピースの服を買った場所を訊いた.
礼子はブティックノブであのツーピースもスカーフもバッグも買っていた.
そこまで言って礼子は去って行った.ボンは待ってくださいと言ったが
ゴリさん「無駄だよ.あの様子じゃあ,本当に知らないのか,
知ってても本当に喋らん肚だ.どっちかだ.
普通のお嬢さんってのは始末が悪いなあ.前科者,常習犯と違って,
とっかかりがまるでないんだあ.俺は周辺を探る.お前,
彼女をばっちりマークしてくれ.」
ゴリさんは真一にも笠井の写真を見せたが,真一にも心当たりはなかった.
ゴリさん「あなたの仰った通り,
この笠井と中岡礼子さんは知り合いだったのかもしれない.」
意外な反応が返ってきた.
真一「え? 何かそんな証拠でも?」
ゴリさんは例のメモを笠井が持っていた話をした.
ゴリさんは何かがあるといった.そして婚約者を悪く言うつもりはないと言った.
すると
真一「いえ.もう婚約者じゃありません.」
これを聞いたゴリさんは驚いた.
真一「彼女の方から一方的に解消されました.」
ゴリさんは二の句が告げなくなってしまった.
それでもゴリさんは密輸について訊いてみたが,真一に心当たりはなかった.
例のブティックへ行ったゴリさんは, そのブティックでは同じ服を同じ町では五着しか売らないので, 礼子のツーピースは礼子しか持っていないはずだ,と主人から聞いた. しかも帽子と靴が揃わないといけないので, ますます同じ服を持っている人間は少なくなる.
ゴリさんは歩きながら考えた.
ゴリさんの声「中岡礼子は嘘をついているとは思えない.
しかし偶然にしてはできすぎている.いや,嘘ではない.
するとやはり,彼女は…」
ボンが礼子を徹底的にマークしていた為,同僚はヒソヒソ話をしていた. その頃,殿下は礼子がツアーを申し込んだ旅行店を訪れていた. 礼子がツアーを申し込んだのは出発の丁度二週間前.随分ぎりぎりだが, 旅行代理店の添乗員はこう答えた.OLは旅行には慣れているから不思議ではない. 彼女はガイドとして礼子にずっとついていた.旅行中に何度か話をした感じでは, 海外旅行を楽しむ事よりも気持ちの整理をつけるのが目的だったように思えた, と彼女は答えた.
ゴリさんは橘倉庫に来ていた.一足先に長さんが着いていた. そこには雑誌や古新聞が運び込まれており, その時に作業員が血痕に気づいたらしい.そこは例の鉄橋のそば. 笠井がここに監禁されていた事は間違いなさそうだ. しかも前の晩に話し声が聞こえたと言う.
ゴリさんは会社にいる真一に電話した.そしてこう言った.
笠井は電話も何もないところで二晩監禁されていた事がわかった.
つまり,礼子がどんな身なりで飛行機に乗ったか,
それを知る機会は笠井には全くなかった事になる.
事前に礼子がそれを伝えていれば別だが.
ゴリさんは何か思い出した事があるかどうかを尋ねた.
ゴリさん「もう遠慮は要りません.九分通り,彼女も密輸の仲間だった,
そう言えるんです.」
真一「刑事さん!」
ゴリさん「思い出したら電話をください.じゃあ.」
ゴリさんは電話を切った.真一は何事か考え込んでいた.
その頃,山さんは笠井のアパートを家捜ししていた.
ゴリさんが七曲署に戻って来ると,来客が来ていた.
いつ戻るかわからないとアッコが言うと,その客は屋上で待っていると答えた,
と言う.客は真一だった.そこでゴリさんは屋上へ行った.
真一は驚くべき事を話し始めた.
真一「あれは,嘘なんです.」
ゴリさん「嘘? 何のことです?」
真一「彼女,連中の仲間だと思った話です.あれは全部嘘なんです!」
ゴリさん「何ですって!?」
真一「彼らがそんな風な事言ったのは事実です.
でも彼女が僕に助けを求めた声には何の嘘もなかった!
彼女は本当に密輸の話なんか何も知らなかったんです.」
ゴリさんは呆気にとられていた.真一は思い出していた.礼子が助けを呼ぶ声を.
ゴリさん「ではあなたが逃げたんで?」
真一「怖かったんです.あのう,殺されそうな気がして,
夢中で逃げてしまったんです.彼女,放り出して.」
ゴリさんは何も言えなかった.
真一「本当です.」
ゴリさん「取調室であなたが言った事は?」
真一「彼女は仲間だと思ったのは,その後で考えた卑怯な言い訳です.
自分でも無理矢理そう思い込みたかったんです.彼女は潔白です.
彼女はそんな女じゃないって事,誰よりも僕が一番良く知っています.
彼女を疑うのはやめてください.石塚さん.僕のついた嘘が,
もうこれ以上彼女を傷つける事だけは,それだけはやめてください.
嘘なんです.僕の言った事はみんな嘘なんです.
婚約者を放り出して逃げてしまった人間の屑です.
僕は命をかけて守らなければいけなかったんだ.でも現実には怖かった.
ただ怖い.それだけで逃げてしまったんです.」
ゴリさんは肯いた.
ゴリさん「戸田さん.暴力は誰だって怖いですよ.」
ゴリさんは真一の肩を叩いた.
ゴリさん「僕だって怖い.」
真一はゴリさんの方を見た.
ゴリさん「しかし,怖い物を怖いって言うのも一つの勇気です.
あなたは臆病かもしれない.だが決して卑怯な人間じゃない.」
真一「石塚さん.」
ゴリさん「しかし,これと彼女への疑惑は別だ.
確かに彼女への疑惑のきっかけはあなたの証言だ.だが今は違う.
彼女の服装を殺された笠井が知っていた以上,彼女と笠井との間には,
何かつながりがあったに違いない.例え彼女が何も知らなくて,
密輸に利用されたとしてもだ.」
真一「そんな.信じられません.それはきっと何かの偶然です.」
ゴリさん「白いカラーのピンクのツーピース.ピンクの帽子.
ピンクの靴にハンドバッグ.グリーンの花模様のスカーフ.
東京にたった一人のその身なりの彼女は10時15分,501便から降りてくるのを,
監禁状態の男が全く偶然にそれを言い当てたのか?
そんな偶然は100万分の一の確率もない.違いますか?」
その頃,山さんは笠井のアパートの天井裏から出てきた. そこへ電話が掛かってきた.山さんが電話に出てみるとそれは女からの者だった. 山さんは咄嗟に笠井は留守だと言い,笠井に伝えると答えた. 女は緒方と名のり,切ってしまった.早速,山さんはこの事を七曲署に電話した. 山さんは緒方幸恵が殿下の聞き込みに言った先のガイド嬢だという事を見抜き, 緒方と笠井が付き合っていたと考えていた.早速殿下は出て行った. ボスは山さんに,旅行会社へ直行するように命じた.
ゴリさんは真一と一緒に車に乗っていた.真一は偶然もありうると主張した.
100万分の一の確率でも0ではない.それを証明するのを自分も手伝うと.
ゴリさん「手伝う? 本気で言ってるのか.99%徒労に終わるに違いないって,
こんな仕事をあんた.」
真一「ええやります.それなら僕にもできるんです.」
山さんは旅行代理店の前で殿下が出てくるところにでくわした. 生憎緒方は出かけていた.だが電話での笠井からの言付けで, その日に矢追図書館で待ち合わせをしていた事を殿下は聞き込んでいた. 山さんはボスに無線でこの事を連絡した.
笠井が閉じ込められていた倉庫にゴリさんと真一は来ていた. ゴリさんはこの倉庫に新聞や雑誌が山積みになっていた事を思い出した. 真一はファッション雑誌で全く同じ装いのモデルの女を見た事を思い出した. 真一は新聞か雑誌でその写真を笠井が見て, 出まかせで服装の事を言ったと考えた.ゴリさんはまだ信じていなかったが, 真一は新聞や雑誌の行く先をゴリさんに訊いた. 新聞や雑誌は再生紙工場に運び込まれていた.真一は探すと強硬に主張. ゴリさんは真一の根性に負け,自分も行く事にした.そこへボスから無線が. ボスは矢追図書館に緒方が向かった事をゴリさんに伝えた.
七曲署の刑事達が矢追図書館へ向かっている頃, 真一は古新聞や古雑誌の山の中から写真を探し出そうとしていた. 古新聞や古雑誌は部屋いっぱいに積み上げられていたが, 真一の決意に変わりはなかった.
矢追図書館の前に緒方幸恵がいた.そこへあの二人組もやってきた.
二人組は笠井の代理で緒方から荷物を受け取った.
ゴリさん達は二人組を追いかけ,山さんは緒方から話を訊いた.
山さんは知った.緒方が笠井から「佃煮の樽」を言付かっただけ.
つまり,緒方は笠井に利用されていた事を.だが礼子の疑いが晴れた訳ではない.
その頃,男Bこと江口が一億円の小切手を手に入れて喜んでいたが,
ゴリさん達に追いつかれ,逮捕された.
ゴリさん「今すぐ答えろ.笠井はなぜ中岡礼子の服装を知ってた?」
江口「しらねえよ,そんな事.」
ゴリさんは執拗に理由を尋ねたが,江口には全く心当たりがなかった.
執拗に食い下がるゴリさんに,長さんは事件はもう解決したんだよと言ったが
ゴリさん「解決しちゃいませんよ.
緒方幸恵が何も知らないで運び屋の役をやらされていたように,
中岡礼子も何かの役をやらされていた可能性があります.
少なくてもそうでなかったという証拠はまだ何もないんです.」
ゴリさんが再生紙工場へ行ってみると真一は寝ていた.
ゴリさんが真一を呼ぶと
真一「石塚さん,あった.あったんですよ.」
真一が手に持つ雑誌に例の服を着たモデルの写真が載っていた.
写真には足跡がついていた.
真一「この足跡,この足跡がその男達の物だとしたら,
100万分の一の確率が100分の一ぐらいには減るんじゃないでしょうか?」
ゴリさんは思わず駆け寄り,真一と一緒に喜んだ.
ゴリさん「ああ,減るとも.それなら偶然性なんか問題じゃない.
彼女の潔白は完全に証明されるぞ.」
二人は喜んだ.だが…
七曲署から出てきた礼子は,
真一が礼子の潔白の証拠を探し出した事をゴリさんから聞かされた.
ゴリさん「刑事の私でもやらなかった事を彼はやり遂げたんです.あなたもだ.
あなたを放り出して逃げ出した彼を許せない気持ちはわかります.しかし,
あなたの汚名を晴らすために彼のやった事は,
暴力に堂々と対抗する人間の勇気に充分するもんだと,私は思います.」
礼子はゴリさんの方を見た.
ゴリさん「臆病と卑怯とは違います.絶対に違う.わかってくれますね.
中岡さん.」
礼子「わかります.」
だが
礼子「でも…」
ゴリさん「でも?」
礼子「一度壊れた物はそんな簡単に元には戻らないんです.」
ゴリさん「しかし,しかしですね…」
礼子「失礼します.」
ゴリさんは呆気にとられて見送った.礼子の目には涙が光っていた.
ゴリさんも泣きそうになった.そこへ
ボス「これでいいんだよ.これから先,二人が元に戻るかどうか,
彼ら自身の問題だ.ゴリ,それより大きな事はなあ,
戸田真一がもう一度男としての自信を取り戻した事じゃないのか?
それからもう一つだ.この事件には石塚誠刑事も,
危ないところで偶然性の罠にはまりかけた.」
ゴリさんは頭をかくのであった.
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