2002年3月23日

「太陽にほえろ!」第70話「さよならはいわないで」

脚本は柏倉敏之.監督は児玉進.主役は殿下.シンコの登場はなし.

久美ちゃんが花束を持って一係室に入ってきた. 花屋が殿下宛の花束を届けに来たのだ.
殿下「ちぇ.あいつ配達しなくていいと言ったのに…」
皆,殿下を問い詰めた.
殿下「いや,彼女の誕生日なんですよ.」
ジーパン「へえ.そんなのがいたんですか,島さんに.」
殿下「そんなのってことないだろう.」
皆大笑い.
ボス「よーし,特別に無罪放免だ.よし,行って来い.」
殿下が出ようとした.だが電話が鳴った. 大島倉庫の向こうの川岸で女の死体が発見されたと言うのだ. 皆出動した.
ボス「殿下,なに愚図愚図してるんだ.早く彼女の所へ行ってやれ.」
そう言い残してボスも出て行った.だが
殿下「そうは行きませんよ.久美ちゃん,これ頼む.」
殿下は久美ちゃんに花束を渡して現場へ出て行ってしまった.

殿下は彼女の柚木麻江のところへ電話した.
麻江「そう,駄目なの.」
殿下「仕事だからしょうがないんだよ.わかってくれ.」
麻江「いいの.あたしまだ,何にも支度してなかったんだもん.丁度良かった.」
殿下「じゃ.」
麻江「あ,気をつけてね.」
電話は切れてしまった.寂しそうに麻江は部屋に入った. 支度していなかったとは真っ赤な嘘.バースデーケーキや鍋など, テーブルにはたくさんの御馳走が並べられていた. 麻江はテーブルに座って考え込むのであった.

一方,捜査現場では.
山さん「ボス,女は手で首を絞められてますねえ.」
死後15時間と言うところらしい.つまり前の晩の10時前と言うことになる. 草むらに落ちていた革鞄に入っていた名刺から, 被害者は海南商事に勤める北口初代であることがわかった. 年齢は30歳くらい.所持金には手がつけられていなかった. ということはゆきづりの犯行ではないだろう. ボスは殿下に被害者の勤めていた海南商事を当たるように命じた.

早速殿下はジーパンと一緒に海南商事へ行った. 海南商事では会社員(川辺久造)が話を聞いて驚いていた. 北口は仕事は良くできるし後輩の面倒見も良かったと言う. 北口は独身でアパートに一人で住んでいた. ゴリさんと長さんは北口の部屋へ行った. そこで長さんは管理人から, 北口が春に結婚式を挙げる予定だったと言う話を聞き込んだ. ところが管理人は相手の名前を知らなかった. ゴリさんは預金通帳を発見していた.預金通帳によると, 北口は先月と先々月に100万円ずつ下ろしていた. 結婚準備資金にしては多すぎる額だ. さらにゴリさんは8ミリフィルムを発見した.

七曲署の面々はフィルムを再生してみたが結婚相手らしき男は映っていなかった. 山さんはその男がフィルムを撮ったと考えた. 映っていた北口の笑顔が恋の相手の男に対して見せているように見えたからだ. そこへ殿下が入ってきた.解剖の結果, 北口が妊娠5ヶ月だったことが判明したのだ.ゴリさんは, 男が結婚を餌に金を巻き上げたが子供が出来て邪魔になって殺した,と考えた. 山さんもその意見に賛成した.

聞き込みが続けられたが,手掛かりは見つからなかった. 殿下は長さんと一緒に現場に戻ってみた.
殿下「長さん,捜査が行き詰まったら現場に戻るって教えてくれたの, 長さんじゃないですか.」
長さん「だけどねえ,散々探したのに手掛かりなしだからなあ.」
殿下「こうやってる間にも犯人はどこかで笑ってるんですよ.やりましょうよ.」
長さんは乗り気ではなかった.
長さん「よし,じゃあ殿下,あのう,ボスに連絡しとくよ.」
殿下は一人で犯行現場をもう一度調べた. その時,一人の男が見ていたことに気付いた.マカロニのテーマに乗せ, 逃げる男を殿下が追った.男は近くの倉庫に入っていった.殿下も倉庫に入った. だが殿下は後ろから鉄パイプで殴られてしまった. 男の靴の踵には黄色いペンキが着いていた.

その日.麻江はテレビで殿下が行方不明になった事件を知り, 食事の用意をする手を止めた.そして七曲署にやってきた. ボスは麻江と話をした.
麻江「あの,何か手掛かりは.」
ボス「いえ.」
不安に思う麻江を気遣ってボスがこう言った.
ボス「大丈夫.滅多にへまをやるような男じゃありませんよ. 島を信じてやってください.」
麻江はエプロンを握り締めた.テーブルの上にはあの花束が置いてあった.

その頃,山さんとジーパンは捜査現場に影山(川辺久造)という男がいるのを発見. 影山は先ほど海南商事で北口のことをジーパンと殿下に話した男だ. 影山は花束を手に持っていた.部下の北口に供えてやろうとしたのだ.
山さん「ここがよくわかりましたなあ.」
影山「はい.近所から聞いてまいりました.刑事さん, 犯人の目当てはまだなんでしょうか.このままじゃ, あまりにも北口君が可哀想です.早く捕まえてやってください.失礼します.」
影山は去って行った.

その頃,長さんとゴリさんは一人の若者(小原秀明)を追いかけていた. 若者は拳銃を手に持って撃っていた.ジーパンのテーマに乗って, 山さんとジーパンが駆けつけた. 若者は殿下の拳銃を持ってスーパーに押し入ったのだ. 山さん達が若者の注意を向けている隙に, ジーパンは背後に回り,若者に飛び掛った. こうして若者は捕まった.だが殿下を殴ったのは若者ではなかった. 若者は倒れていた殿下から拳銃を奪っただけだったのだ. だが若者の供述で殿下の居場所が判った.

その晩.麻江が警察病院に駆けつけた.
山さん「今眠っています.一度目を覚ましたんですが鎮静剤で. 意識を失っただけなんですが脳に異常はないそうですから,心配ないでしょう.」
麻江「ありがとうございました.」
殿下はうわ言を言っていた.
殿下「すいません,ボス.こら,まて.」
麻江は殿下のところに駆け寄り,手を握った.そして泣いた. 山さんは黙って病室を出て七曲署に戻った. 若者は近所のチンピラで魔が刺しただけだったらしい. どうやら振り出しに戻ったようだ.

翌朝.麻江が病室に戻ると殿下の意識が戻っていた.
麻江「目が覚めたのね.良かった.」
殿下「君か.来てくれたのか.」
麻江は肯いた.
殿下「ありがとう.」
麻江「どう,気分は.」
殿下「うん.平気だよ.あの時,俺が見た物は靴…そうだ,踵, 踵に黄色いペンキみたいなものが.」
麻江は殿下をじっと見た.
殿下「ああ,駄目だ.それだけじゃ,どうにもなりゃしない.」
麻江「傷に触るわ,そんなに思いつめると.」
殿下「だけどね,僕さえもっとしっかりしていれば, 犯人に逃げられずに済んだんだよ.しかし, 犯人はどうしてあそこにいたんだろう.」
殿下は起き上がっていった.
殿下「そうか.やっぱり,現場に何か手掛かりがあるんだ. 犯人はそれを恐れたんだ.」
殿下はベッドから出ようとした.
麻江「何するの.」
殿下「現場に行かなくちゃ.」
麻江「無理よ,そんな体で.ね,他の刑事さんに任せて.」
殿下「僕がやらなくちゃ駄目なんだよ.そうでなきゃ,僕は刑事失格だもんな.」
殿下は麻江の制止を振り切って着替え始めた.
麻江「ねえ,傷がひどくなったらどうするの.お願い,おとなしくしてよ.」
殿下「わかってくれよ.どうしても行かなくちゃいけないんだよ.」
麻江「島さん.」
殿下は強引に出て行ってしまった.麻江は心配のあまり泣いてしまった.

そして殿下はまた現場に戻って草むらを探していた.そのとき, 小さな子供が殿下に声をかけた.
子供「お兄ちゃん,何してんの? 兎のおめめみつけたら僕に頂戴ね.」
殿下はなおも草むらを探していた.
子供「赤いガラス玉の事だよ.」
殿下は手を止めた.
子供「一つじゃ足りないんだもん.」
殿下「何,ガラス玉?」
殿下は子供のところに駆け寄って聞いた.
殿下「坊や,拾ったのか?」
子供「うん.」

殿下が血相を変えて七曲署に戻ってきた. ボスはどこへ行ったのかと殿下に聞いた.
ボス「おとなしく寝てろって言ったはずだ.」
殿下「でも収穫がありました.」
殿下はボスに「赤いガラス玉」を見せた. ボスは長さんに鑑識課に「赤いガラス玉」を回すように命じた.
ボス「殿下はすぐ麻江さんのところへ行け.」
殿下「ボス.」
ボス「すぐ行くんだ.女の気持ちを傷つけるような奴は, デカだってつとまりはしないぞ.」
殿下「いや,でも…」
山さんは強引に殿下を外へ連れ出した.
殿下「自分で自分の体ぐらい判りますよ.大丈夫だと思ったから行ったんです. でも,何もあんなに…」
山さん「ボスはなあ,自分の昔の恋人のことを思い出してるんだよ.」
殿下は山さんの方を見た.
山さん「好きあっていながら刑事という職業のためにボスは恋人と別れた. お前達と同じようなケースにぶつかるとなあ,きりきりと痛むんだよ, その古傷がな.」
殿下「判りました.ボスの言う通り,彼女に会って来ます.」
その頃,ボスは窓から外を見ていた.

殿下は喫茶店で麻江と会った.そして自分が心配を掛けたことを謝った.
殿下「でもうまくいった.事件はもうすぐ解決するよ. そうしたら誕生日のお祝いやり直そう.」
だが
麻江「もういいの.」
殿下「どうして?」
麻江「今度の事件が解決しても,すぐまた新しい事件が起こるでしょ. それが済めばまた別の事件.だから大事なのよね,あなたのお仕事. あたしにも良く判ってんの.」
殿下「どうしたんだ.」
麻江「でもあたし駄目.もう疲れた.これ以上, 夜も眠れない思いであなたを待つ生活,耐えられそうもないの.」
殿下は何も言えなかった.
麻江「だからあたし,今日はお別れを言いに来たんです.」
しばらくお店の流しているクラシック音楽だけが流れた.
殿下「やっぱり…」
麻江「やっぱりって?」
殿下「いや,君の言う通りかもしれない.」
麻江は何も言えなかった.
殿下「だけど,僕は刑事なんだ.刑事である以上, どうしたってこういう事はあるんだ.一体,僕にどうしろって言うんだ.」
麻江はうつむいてしまった.
殿下「僕は刑事を辞める気はない.刑事を辞める気はないんだ.」
麻江「さよなら.」
麻江は立ち去ってしまった.そこへコーヒーが二つ運ばれてきた.

喫茶店を出た麻江は呆然としながら歩いていた.その麻江を影山が見ていた.

翌朝.殿下は暗い顔をしていた.ジーパンは前の日のことを聞いた.
殿下「話せば判るさ.だからもう心配しないでくれ.」
ボス「殿下.」
マカロニのテーマの変調曲が流れる中
ボス「本当のこと言ってみろ.」
ジーパンは事情を察し,驚いた顔で殿下を見た.
殿下「もう良いんです.(小声で)別れました.」
ボス「何だって?」
殿下「(大声で)今は捜査の方が大事です. (小声で)そんなことどうだっていいじゃないですか.」
ボス「殿下,こっち向け.」
殿下は立ち上がって言った.
殿下「ボス,どうしてもこの手で犯人を挙げたいんですよ. それを投げ出したら僕には何が残るんですか. それは刑事を辞めろって事じゃないですか.」
ボスと殿下は睨みあった.ジーパンも久美ちゃんも困った顔をした. その時,ゴリさんが入ってきた.
ゴリさん「ボス,(「赤いガラス玉」の)指紋が被害者の物と一致しました.」
殿下「じゃあ,やっぱり犯人の物ですね.」
ゴリさん「ああ,おそらくな.被害者が犯人に抵抗した時…」
殿下は「赤いガラス玉」を持って出て行こうとした.
ボス「おい,殿下.」
殿下「宝石店当たってきます.」
ボス「おい,待て.」
ボスはゴリさんに殿下について行くように指示した.

殿下の運転は荒っぽく, 止まった時に同乗していたゴリさんが頭をぶつけるほどだった. その頃
ジーパン「だけど相手の彼女だってひどいじゃないですか. 島さんのどこが悪いって言うんですか.」
久美ちゃん「あたしには判るような気がするけどな.女としてはやっぱり…」
ジーパン「刑事だってな,何も好きで危険に飛び込んでるんじゃないんだよ.」
久美ちゃん「すいません.」
ジーパン「いや,久美ちゃんに言ってもしょうがないけどさ.」
ボスは黙って窓の外を見ていた.
ジーパン「ボス,俺,やっぱり行って来ます.」
ボスは振り返った.
ジーパン「いや,彼女のとこですよ. このままじゃ島さんが気の毒で見ていられませんからね.俺,行って来ます.」
ジーパンは出て行ってしまった.
ボス「どいつもこいつも鉄砲玉みたいな奴ばっかりだなあ.」

ああは言ったものの麻江も職場の保育園でボーっとしていた. 園児に「どうしたの?」と言われる始末だった.そして園児は客が来たと言った. 客とはジーパンのことだ.麻江はジーパンに,島さんにまた何かあったんですか, と言った.ジーパンは何と言っていいのか困ってしまった.悩んだ挙句に
ジーパン「いや,島さんのことなんですが, もう一度考え直してもらえないかなっと思って.」
だが
麻江「そのお話なら,あたしもう…」
ジーパン「そうですか…あ,あ,誤解しないで下さい.別に俺は, いや,僕は島さんに頼まれてきたわけじゃありません.俺,一人で勝手に. 刑事ですから.」
麻江はジーパンの方を見たが何も言わなかった,いや,言えなかった. そこへ園児がやってきた.
ジーパン「僕,いい子だな.お兄ちゃんと遊ぼうか.」
園児「何しに来たあ!」
ジーパンは困ってしまった.
園児「僕の麻江先生いじめたら承知しないぞ.お前なんか,帰れ!」
麻江は園児を連れて去ってしまった.ジーパンは置いてけ堀で困った顔だ.

さて殿下とゴリさんは美容院に乗り込んでいた. あの「赤いガラス玉」を小沢宝石店で買った美容師がいたからだ. 激しい調子の殿下を警戒し,美容師は完全黙秘を決め込んだ. ゴリさんは美容師を連れ出して自分が聞くことにした.

一方,麻江は園児を父兄の所へ送り出していた. 最後に残った園児(さっきジーパンに怒った男の子)は座り込んでしまった.
園児「僕帰りたくないなあ.」
麻江「あら,どうして?」
園児「ママがいないんだもん,お仕事で.」
麻江「そう.じゃあ,先生がひろちゃんと遊んであげようか.」
園児「本当!」
こうして麻江とひろちゃんは鬼ごっこして遊ぶことにした. そこへ影山がやってきた.影山は転んだひろちゃんを抱き起こしてやった. それをきっかけに影山は麻江と話をした.
影山「あなたのお子さんですか?」
麻江「ああ,いえ,あたしは…」
影山「あ,これは失礼.お嬢さんでしたか. いや近頃は結婚するのも恐いですからね.」
麻江は影山の方を見た.
影山「あ,そうそう.そう言えばこないだOLが結婚詐欺で殺された事件, あれどうなったんでしょう? 警察は何かをつかんだんでしょうかねえ. 犯人の手掛かりになるような.」
そのとき,ひろちゃんが麻江を呼んだ.そして
ひろちゃん「あ,おじさんの靴にペンキが着いてるよ.」
影山の靴の踵には黄色いペンキが着いていた.それに麻江は気がついた.
殿下の声「踵.そうだ,踵に黄色いペンキみたいな物が…」
麻江は思わず影山をじっと見てしまった.影山もそれにきづいたようだったので, 麻江は慌ててひろちゃんを送り出して行った.影山は麻江のあとをつけた. ひろちゃんの家の前で
麻江「先生ねえ,急に用ができたの.だからおとなしくお留守番してるのよ.」

その頃,七曲署にはボスと長さんがいた.そこへ殿下とゴリさんが戻ってきた.
ゴリさん「ボス,犯人がわかりました.」
ゴリさんはあの美容師を連れていた.
ボス「何?」
ゴリさん「カフスボタンは影山にプレゼントしたものだそうです.」
美容師「あたしが馬鹿だったんです.結婚してくれるって言うから. あたし信じて,そんな人だとは知らなかったんです.」

一方,麻江は公衆電話のボックスに駆け込んでいた.物陰から影山が見ていた. 七曲署ではボスが影山の逮捕状を取ってくるように長さんに命じていた. そこへ電話がかかってきた.
女の事務員「島刑事に柚木さんと言う女の人からです.」
ボス「殿下,彼女から電話だ.」
殿下は呆気にとられた.
ボス「とにかく出ろ.」
殿下は受話器を取った.
殿下「もしもし,島です…もしもし.」
ボスも異状を察知した.
ボス「切れたのか?」
殿下「いや,切れてないけど変なんです.もしもし.もしもし.」
それもそのはず.麻江は影山にひろちゃんを盾に取られ,脅されていたのだ.
影山「電話を切りなさい.」
麻江は無言だ.
影山「子供が可愛かったら早く切るんだ.」
仕方なく麻江は受話器を置いた.だが切れないように細工をしていた. 七曲署では
ジーパン「ボス.」
ボス「静かにしろ.逆探知だ.」
一方
麻江「電話は切ったわ.だから子供を返して.」
影山「よし.しかしこのまんまじゃ安心出来ないからな.さあ, 一緒に来なさい.」
麻江「待ってください.あなた,あなた,一体誰なんですか. どうしてあたし達にこんなことを.」
影山「あんた,刑事のガールフレンドだろう.隠したって駄目だ. 私には判ってるんだ.そのあんたがこのあたしの靴のペンキを見て, 顔色を変えた事もな.さ,来るんだ.私の言う通りにするんだ.」
七曲署に筒抜けとも知らずに影山は麻江に命じた.
殿下「影山の声です.」
ボス「何?」
山さんも無言だ.
殿下「もう聞こえません.だけどどうして影山が…」
そこへ
ジーパン「ボス,矢追の公衆電話です.」
ボス「よし,行こう.」
皆出動した.だが公衆電話ボックスには誰もいなかった.
ボス「よし,探せ.」
ジーパンのテーマに乗って皆走る.ジーパン,ゴリさん,山さん, 長さんが聞き込みを続けた.ボスは公衆電話のそばで待機していた. 遂に殿下が白いハンカチを見つけた. そしてしばらく歩いたところで鏡をみつけた.山さんが殿下を呼び止めた.
山さん「彼女のか?」
殿下「そうなんです.いつか僕がプレゼントした.」
山さん「麻江さんが報せようとしたんだ.」
麻江とひろちゃんは工事現場のプレハブ小屋に閉じ込められていた. 影山は麻江とひろちゃんを縛ろうとしたがひろちゃんが泣き出した.
麻江「泣いちゃ駄目.男の子でしょう.ひろちゃんには先生が着いてるから.」
そのとき,車の音が.殿下,ゴリさん,ジーパン,山さん,長さん, そしてボスが駆けつけたのだ.影山は二人を盾に近づくなと脅した. 心配する殿下.
ボス「影山,馬鹿な真似はやめろ.二人を離すんだ.」
影山「うるさい.助けたかったら,早く帰れ.」
ボス「どうせ逃げられやしない.おとなしくしろ.」
影山「は,は,は.このナイフが見えないのか.」
皆,焦っていた.
殿下「ボス.」
ボス「ジーパン,影山の注意をひきつけるんだ.走れ.」
ジーパンは目立つように走った.影山の目がジーパンに向けられている隙を突き, 殿下が影山の背後に回りこんだ.そして影山の手から麻江とひろちゃんを逃がし, 影山を逮捕する事に成功した.影山は殿下にボコボコにされそうになった. ゴリさんに「殿下,よせ.」と言われるほど,殿下の怒りは激しかった. 影山が逮捕されるのを麻江は見ていた.ボスが殿下に言った.
ボス「ご苦労さん.(麻江の方を見て)さすが刑事の彼女だな.」
殿下は麻江の方を見た.
ボス「なあ殿下.俺が昔好きだった女性も同じ理由で俺から去ってった. しかしそのことで俺は未だに傷ついてるんだ. なぜその時に強引に引き留めて結婚しなかったか. その彼女は心の底からそう思ってた.」
ボスは殿下の肩を叩いて去って行った.殿下は麻江の方へ歩いていった. 麻江はずっと立ったままだった.そして殿下と麻江は見つめあった.
麻江「あたしに出来るかしら?」
殿下は黙ってあのハンカチと鏡を麻江に返した.
殿下「君ならできるさ.」
麻江は泣きながら殿下に抱きついた.そして殿下は麻江を抱きしめ, それを見届けてボスは去って行った.

また久美ちゃんが花束を持って入ってきた.殿下に届けられたという. もう隠すことなんかないだろうと言う一同.だが殿下は怪訝な顔だった. 花を注文した覚えなどなかったからだ.かつごうとするつもりだろうと言う殿下. その時,ボスが咳払いした.
ボス「誕生日のお祝い未だなんだろう.花ぐらい持ってかなくちゃ.」
殿下「じゃ,ボスが.」
ボス「いやいや,みんなで出し合った.」
殿下に山さんが言った.
山さん「さ,殿下,早く行ってやれよ.」
殿下「すいません.」
ジーパン「また別れるなんて言ったらもう勘弁しませんよ.」
殿下「こいつ.」
殿下は出て行った.それをボスも嬉しそうに見送るのであった.

次回は動機のない殺人未遂事件の裏に潜む真相に山さん達が挑みます.

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東平 洋史 E-Mail: hangman@basil.freemail.ne.jp