2002年2月23日

「太陽にほえろ!」第65話「マカロニを殺したやつ」

脚本は長野洋と小川英.監督は山本迪夫.主役は山さん.

マカロニが殉職した日のことをゴリさんは夢で見ていた.マカロニはまた遅刻. マカロニの活躍で犯人があがったことを祝うパーティーの後, マカロニが誰か(水谷邦久)に刺された.ここでゴリさんの目が覚めた. ここは七曲署.ゴリさんは一人で煙草を吸った.
ゴリさん「そういやあ,マカロニを殺したホシは未だあがっていなかったなあ. あいつ,尻叩きに来たのかなあ.」

さて山さんはマカロニの遺体が発見された空地だった工事現場に来ていた. 捜査本部は解散されたが,山さんはこつこつと調べていたのだ.

その頃,ゴリさんはマカロニの夢を見たと皆に話していた. 皆,マカロニの回想で盛り上がった.一人だけ蚊帳の外のジーパンは
ジーパン「マカロニっていう人,みんなに好かれてたんだ.」
そこへ山さんが帰ってきた.久美ちゃんは山さんに「署長室へどうぞ」と言った. 署長室で西山署長とボスは山さんに本庁捜査一課へ栄転が決まった事を伝えた. 正式の辞令が出るにはもう少し時間がかかるが,決まったも同然だと西山は言い, おめでとうと言って山さんと握手した. だが山さんはあまり嬉しそうではなかった.ボスは屋上で山さんと話した.
ボス「なあ,山さん.チャンスってのは,そう滅多に来るもんじゃないぞ.」
山さん「本庁へ行くのがチャンスですかねえ.」
ボス「決まってるじゃないか.あんたほどの人, そういつまでも俺の下で働かせるわけには行かんよ.」
山さん「ボス…」
ここでボスは話題を変えた.
ボス「その後,奥さんの調子はどうだ.」
山さん「は?」
ボス「心臓だよ.」
山さん「お蔭でここんところは発作も…いや,ちょっと待って下さい. 私が本庁へ行くのと家内の話は別ですよ.」
ボス「そうかな.なあ,山さん.立ち入ったこと訊くようだが, あんた奥さんと結婚する時,かなり反対されたんだ. それでもあんた達は結婚した.あんたも苦しいことは多かっただろうが, 奥さんの方がもっと辛かったんじゃないかなあ.」
山さんはボスの方をちらっと見た.
ボス「本庁に行ったからって体が楽になるって訳じゃないが, 少なくとも奥さんには何よりのプレゼントじゃないかな.」
山さん「ボス…」
ボスは山さんの左腕を軽く叩いた.
ボス「行ってくれるな.」
山さん「ありがとうございます.」
そこへゴリさん,シンコ,殿下,長さん,久美ちゃんがやってきた. 皆,山さんの本庁栄転を喜んだ.山さんは未だ正式に決まったわけじゃ, と言ったが,皆,決まったも同然だ,と喜んでいた. ボスは部屋を空っぽにして大丈夫かというと, 久美ちゃんが留守番としてジーパンが残っていると言った. とその時,ジーパンが駆け寄ってきた.
ジーパン「ボス,三光町で恐喝です.」
早速山さんはジーパンと一緒に出て行った. ボス達が部屋に戻ると喧嘩が発生したとの報せが. ジーパンのテーマのスローバージョン(ラッパ版)が流れる中, ゴリさんと殿下が出て行った.長さんとシンコは, コインロッカーに置き去りにされた赤ちゃんの死体を調べに行った. とまあ,事件が続いた.

その帰り道.山さんはジーパンに先へ帰ってくれと言った. 寄るところがあるというのだ.一人で帰ってきた理由を訊かれたジーパンは, そのことをボスに伝えた.
殿下「また例のコースじゃないですか?」
ボス「ああ,そうか.」
ボスは納得したが,ジーパンにはさっぱりわからなかった. 山さんは例の工事現場へ行ったのだ. 近所の店のおばさんとも顔馴染になっていた. 山さんは毎日そこへ行っていたのだ.
山さんの声「マカロニ.お前の死んだ場所がもうすぐなくなってしまうぞ. それになあ,本庁勤務になれば俺ももう毎日は来られん.」
山さんはじっと建築中のビルを見ていた.

一方,ジーパンは皆から例のコースに関する話を聞いていた.そこへ電話が. 電話は情報屋からゴリさんへのものだった. 情報屋はチンピラが刑事を刺したことがあるとポロっと言ったというのだ. 山さんが七曲署に入ろうとする時,ちょうどゴリさん達が車で出ようとしていた. ゴリさんは山さんに声を掛け,山さんを車に乗せた. 車には殿下とジーパンも乗っていた.そして情報屋から山さん達は話を聞き, 例のチンピラを捕まえに行った.ゴリさんはスナックで大暴れ.
山さん「もたもたするな!」
その剣幕に押され,ジーパンは逃げたチンピラを追いかけた. チンピラは逃げる途中で子供を突き飛ばした.ジーパンは子供を保護し, チンピラを殿下が追跡.殿下は拳銃を構えた.
殿下「止まれ,止まらんと撃つぞ!」
チンピラはなおも逃げたが,通行人がいるにも関わらず, 殿下が威嚇射撃したのにびびりまくり,結局捕まってしまった. 新聞は「刑事殺しの 有力容疑者 逮捕さる」と報じた.だが…

ゴリさんと山さんが取り調べたが,チンピラは犯行を否認した. 刑事を殺したのは「口からでまかせ」だと言うのだ. はったりをかましたかったんだとチンピラ糸山は主張.山さんは糸山に, あの時逃げた理由を訊いた.糸山はアリバイを主張した.その供述通り, マカロニが刺された頃は糸山が九州の博多にいたことが判った. 糸山は地方から出て間もなかったので,東京の人間になめられたくないと思い, はったりをかましたかったのだろう.糸山が持っていたナイフは, 町の運動具屋で売られているありふれた登山ナイフだった.糸山は鼻歌を歌い, さらに自分を撃とうとしたデカに「お礼が言いたい」とか, これからどうやって生活するつもりだと言う山さんに, 最近の警察は職業斡旋もしてくれるのか,組に紹介しろ,と言いたい放題だった. ゴリさんは激昂して糸山の胸倉をつかんだが,山さんが止めた.

釈放された糸山を弟分が出迎えていた. 取調室でゴリさんも山さんも虚しい気持ちで呆然としていた.その時
山さん「あんな奴かもしれんな.」
ゴリさん「は?」
山さん「マカロニをやった奴だ.後先を考えずに衝動的に突っ走る. そんな奴が多すぎる.」
ゴリさん「今の若い連中はみんなそうですよ.」
山さん「それだけが若さか.」
山さんは鉛筆を真っ二つに折った.新聞は「刑事殺しの 容疑者はシロ!!」 「逮捕に際して 行き過ぎ!?」と報じた.

殿下の拳銃使用やゴリさんが暴れまわったことがが問題になり, 西山は殿下とゴリさんを叱った.ボスは二人をかばい,西山は去った.
ゴリさん「は,は,は.終わった,終わった.」
殿下「ボス,ありがとうございました.」
ボス「馬鹿者! にたついてる場合か.お前達,糸山を逮捕に行った時, マカロニのことが頭になかったか.」
殿下とゴリさんはうなだれた.思わず皆がボスの方を見た.
ボス「あったろう.あって当たり前だ.誰だってマカロニを殺した奴が憎い. そいつが目の前にいたら,俺だってぶち殺したいと思うかもしれん. だがな,その感情を抑えることができなかったら, 俺達はただの暴力団と一緒だ.」
殿下とゴリさんは頭を上げた.
ボス「いいか.俺達はデカだ.そのことを絶対に忘れんな!」
二人とも肯いた.その時
ジーパン「何か,マカロニって人がうらやましくなったな.」
シンコ「どうして?」
ジーパン「いや,どうしてって,そのう,みんな,彼のために, あんなに一生懸命やってるでしょう.で,もし俺が死んだら…」
それを聞き,長さんが怒鳴った.
長さん「馬鹿野郎! ジーパン,お前, 仲間をなくした人間の気持ちがわかってるのか.」
ジーパン「仲間?」
長さん「俺はなあ,長いデカ暮らしの中で何人かの仲間を失ったよ. マカロニのように殺された奴もいれば,無理がたたってぽっくり死んだ奴もいる. そのたびに残された奴がどんなに辛い思いをしたか.俺はもうごめんだ. これ以上仲間を失うのは真っ平だ.」
ジーパン「長さん…」
長さん「デカは危険な商売だ.だからこそお互いに助け合って.死んじゃ行かん. 絶対に死んじゃ行かんのだ.」
ジーパンのテーマのスローバージョン(ラッパ版)が流れる中, ジーパンはうなだれてしまった.シンコも長さんの言葉に肯いた. 殿下はジーパンの肩を叩き,ゴリさんはジーパンの頭をなでてやった. ボスは無言でジーパンの方を見た.ジーパンは外へ出て走った. そして新宿西口のビル街の欄干に座って考え込んだ後,また走った. そしてジーパンはあの工事現場にいる山さんに声を掛けた.

署長室で西山はボスに山さんを捜査から外せと言った. ゴリさん達の暴走を抑えなかったことが本庁行きに響くかもしれなかったからだ. また何かあったら,本庁行きが流れるかもしれない.残務整理もあるし, その方が山さんのためになる.

そうとも知らず,山さんは着いて来たジーパンに妙な奴だといっていた. これは道楽でやってるんだと言う山さんに,ジーパンも道楽で着いて来た, と言った.その時,山さんは川をどぶさらいしているショベルカーに気がついた. ショベルカーにはアイロンらしきものが引っ掛かっていた. 見るとそれはアイロンに服を結びつけたものだった.

殿下を除く一同が皆,捜査一係室にいた.そこへ殿下がやって来た. シャツから血液反応が出た上に,血液型がマカロニのものと一致したのだ. ズボンの長さから推定すると犯人は身長が160cmくらいの小柄な男だと判明.
ボス「これで手掛かりが三つになった. 殺されたマカロニが握っていた一本の髪の毛.160cm程度の小柄な男. そしてその男の足取りだ.事件当時,我々は一つの仮説を立てた. つまり,ホシは殺人現場から,そう遠くないところに住んでいると推定した. その理由はマカロニの状態から見て, ホシはかなりの返り血を浴びていると思ったんだ.いくら真夜中とはいえ, そんな状態で長時間うろつけば必ず誰かの目に止まる.その推定は当たった. 今日昼に発見されたどぶ川と殺人現場.直線にして500m離れていなかった. にも関わらず,ホシは影さえ浮かんでこなかった.なぜだ.」
ジーパン「それは一体…」
山さん「女だ.」
殿下が理由を尋ねた.
山さん「アイロンだよ. 男の中にもアイロンを持っていない奴はいないとは限らんが, あのアイロンは握りのところを毛糸の皮でくるんである. 男がそんなことまですると思うかね.」
ゴリさんはあの近辺でボーイフレンドがいそうな女を徹底的に洗ったはずだ, と言った.
山さん「確かにな.だがどこかで落ちこぼれがあった. どこかで見落とした事があったはずだ.」
ボス「よーし,もう一度聞き込みからやり直しだ. ゴリと殿下はどぶ川中心に回ってくれ.」
ゴリさんと殿下は出て行った.ジーパンも一緒に当たるように行った. 長さんとシンコはアイロンと服を当たることにした.山さんも出ようとしたが, ボスがひきとめた.
ボス「山さん,あんた,もうすぐ転任だ. それに今までの残務整理もあるだろうし…」
だが
山さん「署長命令ですか.署長に伝えてください. 私にとってはマカロニのホシをあげることが何よりも重要な残務整理だと.」
ボスはうなずいた.
ボス「よーし,行ってくれ.」
山さんは一礼して出て行った.

皆の必死の捜査が続いた.報告会議は夜中の12時まで続いた. 翌日も捜査が続いた.そして山さんはいつもの店でおばさんと話をしていた. そこへ女の人がやってきた.空き巣に入られたと言うのだ. その女の人はジーパンが刑事だと知るやいなや, 自分のアパートへジーパンを無理矢理連れ出して行った. 山さんはその女の人が住んでいる場所がどこかおばさんに訊いた.
おばさん「そこの松金荘の人ですよ. あそこのアパートはよーく空き巣に狙われるねえ.」
それを聞いた山さんはピンと来た.
山さん「前にもあったんですか?」
おばさん「そうそう.あんたがうちへはじめて見えた頃ですよ. どっかの喫茶店に勤めている若い娘さんでしたがねえ. 男の人と夜中中遊び歩いて明方帰ってきたら,あなた, 部屋の中に泥の靴の跡がついていたんですって.」
山さん「で,取られたものは.」
おばさん「それがあなた,何をとられたんだかわからないんですって.」
山さん「わからない?」
早速山さんは松金荘へ行って話を聞いた. 山さんがピンと来た空き巣の被害者の名前は木村. だが前の月に引っ越した後だった.だが,木村がアイロンが見当たらない, と後で騒いでいたことを聞き込んだ. さらに山さんは木村奈津子の勤め先へ行ったが,既に彼女は辞めていた. 木村の郷里は愛知県.

長さんは新幹線で愛知県へ行った.木村は郷里へは帰っていなかったが, 金を無心した手紙を出していた.そのお蔭で木村の現住所がわかった. 神奈川県川崎市多摩区だ.早速,山さんとジーパンが小田急の鉄橋の側にある, 木村のアパートへ行った.木村は男と一緒に住んでいた. 山さんが木村を外へ連れ出して話を聞いた.これにより, 盗まれたものがアイロンとジーパンだったことが判った. ジーパンを二本持っていたのだが,一本しか見つからなかったと言う. もしかしたらストライプのTシャツもなくしたのではないかもしれないと言った. 山さんは空き巣が殺人犯かもしれないと言い, 木村の知り合いじゃないかと言った.それを聞いた木村は冗談じゃないと怒った. だが山さんには確信があった.
山さん「いいか.犯人が通りすがりにあんたの部屋に忍び込んだとしようか. そこが女の部屋だと知ったら,そいつはどうする. せいぜい金目の物をかっさらって逃げるのが落ちだ.だが犯人はそこで着替えた. つまりその男は,自分があんたの服を切られると言うことを知っていたんだ.」
木村「どうしよう.」
山さん「話してくれ.前に付き合っていた男で誰か心当たりはないかね.」
木村「もしかしたら,よっちゃんかも.」
山さん「よっちゃん?」
木村「今の彼と会う前に付き合ってたの. よっちゃんならあたしの服でも着られるわ.」
山さん「その男の本名は?」
木村「井沢義男.」
山さん「仕事は.どこに住んでいる.」

山さんとジーパンは井沢(水谷邦久)の勤めている工場を張り込んだ.
山さん「井沢は事件の翌日,工場で大きなミスを二度もやっています. それまでには考えられなかったミスだそうです.」
ゴリさん「マスターの記憶がはっきりしてないんですが, 7月の中ごろから姿を見せなくなったのは確かです.」
長さん「井沢は気が小さい割にはかあっとなる性質のようで, 酒を呑んで二,三度喧嘩したことがあるそうです.」
ボスにゴリさんが詰め寄った.
ゴリさん「ボス,これでも井沢を逮捕しちゃ行かんのですか.」
ボス「焦るなよ.まだ肝心な決め手がつかめてないんだ.」
ゴリさんは引っ張ろうと主張したが
ボス「いや,自白だけでは裁判になった時にひっくり返される恐れがある.」
ゴリさんはなおも詰め寄ったが
ボス「待つんだよ.奴の血液型さえ判れば全てが解決する. そのためにマカロニが犯人の髪の毛を残してくれたんじゃないか.」

山さんとジーパンは張り込みを続けていた.
山さん「奴はどうしてマカロニをやったんだろうか?」
ジーパンはしばらく無言だったが
ジーパン「それより,いつまで待つんですか?」
山さんは答えなかった.
ジーパン「山さん.」
山さん「いいから待つんだ.」
昼休みになった.井沢が煙草を吸い,吸殻を投げ捨てた. その吸殻を山さんが拾った.

吸殻のフィルターを調べた結果
鑑識課員「間違いありません. 早見さんがつかんでいた毛髪と血液型がぴったり一致します.」
ボス「シンコ,逮捕状の請求.」
シンコは逮捕状の請求に出て行った.ボスは山さんに言った.
ボス「あとは若い連中に.休んでてくれ.」
だが
山さん「いえ.この始末だけは私につけさせてください.」
ボス「山さん…」

さてあるスナックで井沢が酒を呑んでいた. ジーパンとゴリさんは外でイライラしていた. ボスは山さんに井沢の逮捕状を渡した.
山さん「行って来ます.」
ボス「頼むぞ.」
その頃,あのスナックに糸山達も来ていた.糸山は井沢に席を譲れと言った. だが井沢は承知しなかった.
井沢「あっちに空いてる席があんだろうが.」
糸山「何!」
車の中では
殿下「山さんと仕事するのもこれが最後ですね.」
山さん「うん.そうだな.」
スナックでは
糸山「どけ!」
糸山が井沢を突き飛ばした.糸山は井沢に唾を吐いた. かっとなった糸山はアイスピックを持って襲い掛かった.そして喧嘩が始まった. 騒ぎに気付いたゴリさんとジーパンがスナックに乗り込んだ. その直後,山さん達が到着した.
殿下「ゴリさん達,どこにいるんですかね.」
そこへジーパンがやってきた.
ジーパン「山さん…」
ジーパンはそれ以上,何も言えなかった. 山さんと殿下はスナックの中に駆け込んだ. 山さんと殿下が中に入った時,ゴリさんが呆然とした顔で山さん達を見た. そこには井沢の物言わぬ死体が横たわっていた. ナイフで心臓を刺されて死んだのだ.傍らでは糸山が震えていた.
山さん「お前か.」
糸山は震えるだけだった.
山さん「お前がやったんだな.」
糸山は震えながら声を振り絞った.
糸山「俺が悪いんじゃないんだよ.俺がやったんじゃないんだよ.」
山さんは無表情で糸山を見た.
糸山「こいつが悪いんだよ.こいつが先に.ほら,そこに氷割があるだろう. そいつで俺に向かってきたんだよ.だから,俺,だからよ,俺,夢中でよ. 殺す気なんてなかったんだよ.こいつがかかってこなかったらよ. 俺じゃない.俺が悪いんじゃないんだよ.」
山さんの怒りが爆発した.
山さん「馬鹿もん!」
山さんは糸山を殴り倒した.そして糸山の腕をつかんでいった.
山さん「貴様らはいつもそうだ.好き勝手なことを好き勝手にやっておいて, いつでも自分が悪いんじゃない,自分のせいじゃない. 自分の後始末ぐらい自分でつけたらどうなんだ.甘ったれるな,若造.」

しばらく経ったある日.山さんは七曲署の屋上から外を見ていた. そこへボスがやって来た.
ボス「署長に会ってきた.本庁行きの話は御破算になったよ.」
山さん「首にならなかっただけでもましですよ.ご迷惑をおかけしました.」
山さんは頭を下げた.
ボス「いや,いいさ.しかし,山さんも出世ができない人だな.」
山さん「全く.何しろ,上司が上司なもんで.」
それを聞いてボスは笑った.
山さん「幸せもんですよ,私は.」
ボスは山さんの方を見た.
山さん「署長や世間が何と言おうと,私にはわかってくれるボスがいる. 仲間がいる.いや,こんなこと言うとマカロニに笑われますかな.」
二人は笑いながら外を見た.そして疾走するマカロニのことを思い出していた.
山さん「ボス.」
ボスは山さんの方をチラッと見た後,走るジーパンの姿を見ていた.

次回は足の捜査が身上の七曲署捜査一係の面々と, 科学捜査を決め手とする女鑑識課課長が対決.

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東平 洋史 E-Mail: hangman@basil.freemail.ne.jp