脚本は田波靖男と四十物光男と小川英.監督は山本迪夫.主役はジーパンとボス. 今回シンコは登場しません.
さて羽田空港でジーパンと長さんは麻薬密売の容疑者を追っていた. 玄関で菊池を見つけたジーパンは菊池を追いかけ,逮捕寸前まで行ったが, 後ろから女(浜美枝)に空手チョップを食らい,気絶してしまった. 長さんに起こされた時,ジーパンの手に白いハンカチが巻かれていた. ジーパンは菊池を捕まえようとした時にナイフで怪我を負っていたのだ.
一係室でジーパンと長さんはそのことを報告した. 長さんはジーパンを助け起こすのに夢中でよく覚えていなかったが, 入れ違いに出た車を女が運転していたこと, そして車が外交官ナンバーだったことを覚えていた. さらにジーパンは白いハンカチをボスに見せた. 高級品で香水も高級品だった.
ジーパンは街中で女の運転する外交官ナンバーの車を見かけ, タクシーで追いかけた.だが降りた方が速いと判断し,降りて追いかけた. 女はどうやら巻いたようだと助手席の男(黒部進)に話していたが, ジーパンはトラックを拾ってあとをつけていた. そして車がホテルの前に止まったのを見て,車から降りた男の身元を確認した.
ボスに報告したジーパンは
ジーパン「もう一度見つけて彼女の匂いを嗅ぎます!」
あまり張り切って痴漢に間違えられるなよ,と長さんや殿下にからかわれた.
そこへゴリさんが「あー,腹減った.」と言って帰ってきた.
ゴリさんは麻薬関係者の資料を借りてきたのだ.
ジーパンは男がチャンライ在住の松山栄だということをボスに報告.山さんは,
チャンライに住んでいる男ならチャンライ国領事館に用があってもおかしくない,
と言った.何と松山栄の名前が資料に出ていた.
松山は三年前まで商社に勤めていたが,大麻の密輸で捕まり,
会社を首になっていた.松山をマークすれば青竜会の連中も姿を現すだろう.
ゴリさんとジーパンは松山を追った.
松山は青竜会の中堅幹部土田(宮口二郎)と会っていた.
松山は土田に,こないだ連れて行った領事館の秘書を連れて行くから大丈夫だ,
と言い,さらにサンプルを渡した.
すかさずジーパンとゴリさんが松山と土田にとびかかった.
二人は松山を逮捕することに成功した.またジーパンは怪我を負ってしまい,
たきの手当てを受ける羽目になった.
ジーパン「痛い,痛いよー.もっとそうっとできないの?」
たき「意気地なし.一人前の刑事だろう.お父さんはねえ,
犯人に抵抗されても…」
ジーパン「怪我なんかしなかったって言うんだろう.そんな,わかってるよー.」
翌日,ジーパンは鼻や頬にバンソウコウを貼って出勤すると,
松山が釈放するところに出くわした.山さんは拘置期限が来たと答えた.
ジーパンが詰め寄ると命令で釈放したと山さんは答えた.
一係室でジーパンはバンソウコウのことをからかわれて激昂.
笑ってる場合じゃない,松山は釈放されたんだ,とジーパンは怒った.
今,ボスは会議室にいると知るとジーパンは会議室へ向かった.
ボスは会議室で女に会っていた.
実は女は#4「プールサイドに赤いバラ」にも登場した,
厚生省の麻薬捜査官の村岡房江.
松山は外交官の特権を利用して麻薬の密輸をしていた.
村岡はそれを調べていたのだ.そしてジーパンを倒したのも,
捜査の邪魔をされないため.そこへジーパンが乗り込んできた.
ジーパン「この匂いだ.これですよ,ボス.この人だ.」
ボスはジーパンと村岡を紹介しあった.菊池や松山はトカゲの尻尾のようなもの.
捕まえなければならないのはトカゲの本体だ.
村岡は半年前からチャンライ国領事館に秘書として潜り込み,
やっと松山のことを探り出したのだ.ジーパンは麻薬取引の現場を見た以上,
と言ったが,村岡は一笑にふした.サンプルを渡しただけで,
本格的な取引はずっと先.だが時期はまだわからない.邪魔をされては困るので,
村岡がやってきたのだ.ジーパンは黙って去って行った.
村岡はマカロニのことを思い出した.村岡はジーパンが無茶をしなければいい,
と心配しているとジーパンが戻ってきた.
ジーパン「あのう,御礼言うの忘れました.傷の手当てしてくれて,
ありがとうございました.」
村岡は黒幕の青竜会会長のところに潜り込むことに成功した. 麻薬は今度日本に着く外交官の荷物と一緒に届き, それを村岡が受け取って届ける手筈になっていた. その帰り,松山と土田は車に仕掛けられた時限爆弾で爆殺されてしまった.
一方,ゴリさんとジーパンはグデングデンに酔っ払っていた.
二人は松山が釈放されたことを愚痴っていた.
そしてその足で柴田家へやってきた.
ジーパン「おかあちゃーん.」
と帰ってきた途端,電話が
ジーパン「はい,柴田です.あ,ボス.ええ.ゴリさんも一緒です.え? 殺し!
今代わります.」
と言うわけでジーパンとゴリさんは殺人現場へ直行.
ゴリさんは元気を取り戻して走っていたがジーパンはヘロヘロだ.
その現場では菊池が針金で首を絞められて殺されていた.
殺されてから現場に運び込まれたのだ.警察に顔を知られた連中は全て殺された.
ジーパン「そうだ.あの人が危ない.」
ジーパンはボスから青竜会の件に手を出すなと言われた. 麻薬捜査に関係があるからだ.これは殺人事件ですよ, とゴリさんも殿下も言ったが,ボスは命令だといって押さえた. そしてボスはプラネタリウムの中で村岡と会い,部下を押さえていること, そして救援が必要ならいつでも協力すると伝えた.
その晩.波止場の近くのバーでジーパンは飲んでいた. そして薬の密売を持ちかけたが叩きだされてしまった. 波止場へ行ったジーパンは怖いお兄さん達に取り囲まれた. ジーパンは空手でお兄さん達と闘い,ボスのところへ連れて行け,と言った.
村岡は青竜会の会長に松山,土田,菊池を殺した理由を聞いていた. 松山は村岡を引き合わせる用が済んだから殺したと言い, 土田と菊池は警察を介入させるドジを踏んだから殺したと言った. 取引の際にはスポンサーが金を持ってやってくるという. そこへ部下(内田勝正)がやってきて,外国から薬を売りに来た若者がいる, と会長に行った.村岡が去った後,会長は部下に,村岡が来てから, 警察がやたらと動き回っている, もしかしたら村岡や若者は麻薬捜査官かもしれない,と考えた. そして敢えて若者ことジーパンを連れてくるように行った. 二人が麻薬捜査官なら連絡を取り合うに違いない. そしてジーパンが連れて来られた. 焦ったジーパンは会長を前に立ち回りを演じたが, また村岡に倒されてしまった.
家に帰って来ない,とたきが七曲署に電話を掛けてきた. ゴリさんは遊びまわっているだけだと軽く考えたが, 山さんは麻薬捜査に出かけているかもしれないと考えた. 青竜会の縄張りで麻薬を売りに来た若者が大暴れして連れ出された, と厚生省から連絡があったとボスは言い,ジーパンの行方を探すように命じた. ゴリさんは青竜会の事務所に乗り込んで行方を聞いた. 山さんは厚生省の麻薬捜査官と話をし, 誘導尋問で青竜山荘に村岡が潜入していることを聞き出した. 山さんはそれをボスに報告した.
村岡の捜査は,もう少しで黒幕のスポンサーに近づけるところまで進んでいた.
村岡はジーパンを逃がそうとしたが
ジーパン「やっぱり,あなたを置いて逃げるわけにはいきません.
あなたを助けに来たんだから.逃げるなら一緒に逃げます.」
村岡「何を言ってんの.ここまで来て今までの苦労を水の泡にさせる気なの?
もうあと一息で青竜会を牛耳る大ボスを捕まえることができるのよ.
麻薬を仕入れる四億もの現金が出せる大物よ.さ,
早くあたしの言った通りにして.」
仕方なくジーパンは村岡の言う通り,村岡をぶん殴り,逃げようとした.
だが部下に見つかってしまった.山さんと殿下が青竜山荘へ向かっている頃,
ジーパンは尋問されていた.そして会長のナイフがジーパンに投げつけられた時,
仕方なく村岡は麻薬Gメンとしての正体を現した.
一方,山さんは青竜山荘の近くまで来ていたが,
麻薬捜査官に足止めされていた.だが銃声が響いたので車で突入.
立ち回りの末,青竜会の連中は捕まった.
ボス「二人とも無事だったか.」
ジーパン「ええ.この人のお陰です.」
村岡は無言で立ち去った.
ボス「お前のお陰で彼女の捜査は失敗した.一人にしておいてやれ.」
皮肉なことに村岡を助けに来たジーパンは却って村岡の邪魔をしてしまったのだ.
村岡は海岸を一人で歩いていった.海を見つめる村岡にジーパンは謝った.
ジーパン「すいませんでした.ぶち壊してしまって.」
村岡「もういいの.
シャンライの外交官を使った黒幕は捕まえることはできなかったけど,
日本が麻薬で汚されなくて済んだんだから.あたしの使命は成功よ.」
ジーパン「でも,半年を棒に振ったわけでしょう.」
村岡「半年なんてすぐだわ.」
ジーパンは包みを差し出した.
ジーパン「あのう,これ.」
村岡「なあに?」
ジーパン「ハンカチです.あなたにいつかお借りした代わりです.」
村岡「ああ.」
村岡は包みを解いた.
村岡「白いハンカチ.」
村岡は笑った.
ジーパン「どうかしたんですか?」
村岡「あなたからの贈り物にふさわしいわ.」
ジーパンは怪訝な顔だ.
村岡「あら,知らなかったの.白いハンカチはね,
もうこれでお別れってことなの.ありがたく頂いとくわ.さよなら.じゃ.」
村岡はそう言って立ち去った.
事件解決後,ジーパンは元気がなかった.
ボス「おい,ジーパン.盗難車がみつかった.すぐ行ってくれ.」
ジーパンは元気なさそうに出て行った.だが外へ出ると
ジーパン「待てえ!」
力いっぱい走っていくのであった.
さて次回は殿下とボスの主役編.殿下が銀行破りに化けて潜入捜査します. そして事件解決の突破口は犯人の口癖です.
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