2002年1月23日

「必殺仕業人」第17話「あんたこの掠奪をどう思う」

脚本は横光晃.監督は松野宏軌. ある晩.りつは主水にマッサージされていい気持ちだと言っていた. だが主水は疲れていた.主水は厠へ行ってみると障子越しに千勢の影が見えた. 千勢は寝転んで足を上に伸ばす体操をしていた. 主水が鼻の下を伸ばしているとき,半鐘が鳴った.火事が起こったのだ. 当然火消しが出動した.だが木戸では, 旗本乾敏元に目を掛けられている定火消しの竜神組と, 町火消しのよ組が喧嘩をしていた.木戸を通せ,通さない, と言うのがその理由.竜神組がよ組の邪魔をしていたのだ. 今回はここでタイトル表示.

翌朝.5千石の旗本乾(深江章喜)が竜神組のところを訪れ, 竜神組がよ組を追い返したと聞いて喜んでいた. 一方,町人達は火事で焼けた跡を見て竜神組が悪いと言っていた. 竜神組がよ組を追い返したため,火事がなかなか消えなかったのだ. そこへ竜神組の連中が現れた. 連中は先客がいると言うやいと屋を無理矢理連れ出し, お灸を据えてくれと言った.お歌も竜神組の者に因縁をつけられていた. そこへ剣之介が現れた.だが役人が来たので剣之介はお面を被ってごまかした. 竜神組の連中も去って行った.

さて花火師の仙太(石田信之)が川端でおきよ(志摩みずえ)にプロポーズしていた. そこへ竜神組の連中が登場.おきよは無理矢理連れ出された. 多勢に無勢で仙太は敵わず, おきよは纏持ちの巳之吉(佐々木剛)に無理矢理犯されてしまった. その日は曇っていた.晴れて川の水面が反射して光っていれば, ミラーマンに変身して2号ライダーに勝てたかもしれない…というのは冗談.

先ほど無理矢理連れ出されていたやいと屋は, 竜神組の纏持ち巳之吉の母親おふみ(荒木雅子)に灸を据えていた. そこへおきよの父親の大工松造(柳川清)が巳之吉を出せ,と乗り込んできた. おふみは「娘の一人や二人手篭めにされたってしょうがないんだよ.」と, 言い放っていた.

その晩.主水が例の体操をしているとりつに呼ばれた.夕飯が出来たと言うのだ. せんは頭領の松造が来ていると言い,離れの普請代を請求しに来たのではないか, 主水が着服しているんだろう,と言った.痛いところを突かれた主水は玄関へ. 実は松造は主水に竜神組のことを相談しに来たのだ.だが, 今の主水は定町回りではないので手が出せない. 主水は昔の仲間に相談してみると言った.翌日. 主水は昔の仲間の安田に話を持ちかけたが,竜神組では相手が悪い, と安田は渋った.そこで主水は安田をおだてた.安田が帰った後, 銀次が珍しくおとなしく出て行った.この2,3日飯が半分に減らされ, 娑婆の方が良いですよ,と言った.それを聞いた主水は, 銀次以外の囚人達に明日から昼飯の量を増やしてやるぞ,と言い, 銀次は,せめて昼飯だけでも,と言い出すのであった.

安田は竜神組に乗り込んだ.だが竜神組の者は巳之吉の行方など知らない, と言い張った.家の中では巳之吉がびくついて泣いていた. おふみは自分が何とかすると巳之吉に言った. おふみは早速乾の元を訪れ,南町奉行所に圧力をかけるよう頼み込んだ. 乾はそれを快諾した.

その晩.仙太が花火を打ち上げているところへおきよがやってきた. 仙太は自分が何もできないことを詫び,そして改めてプロポーズした. そして仙太は,今のよりももっといい花火を打ち上げる,とおきよに言った. その頃,おふみは松造のところへやってきて, 責任を取るためにおきよと巳之吉を結婚させる,と頼み込んでいた. さらにおふみは支度金を渡した.それを見た松造は結婚の話を承知してしまった. おふみはついでに一筆書付を書いてくれと頼んだ. だがこれはおふみの策略だった.その書付さえあれば, いつでも巳之吉はおきよとやることができる.巳之吉がおきよに飽きてしまえば, 破ってしまえばいい.

翌日.安田が急に持ち場を変えさせられて手をひかされたと主水は聞き, 捨三のところへやって来た.捨三はいつでも調べてやると言ったが, 銭は出ねえぞと主水が言った途端,態度が変わってしまった. 何も知らないおきよは仙太と会っていた.そこへ巳之吉が登場. 仙太は,おきよには指一本触れさせない,と言ったが, 巳之吉は書付を盾にまたおきよを連れ出した.仙太は竜神組の者にぶん殴られ, おきよはあばら家に連れ込まれて,また巳之吉に犯されてしまった. ボロボロになった仙太は松造に書付の事を聞いたが, 松造は聞く耳を持たなかった.竜神組に騙されたと気づいていなかったのだ.

その晩.仙太は竜神組に乗り込んだが, 居合わせた乾に無残にも「無礼討ち」にされてしまった. その様子を捨三が見ていた.

お歌と剣之介があばら家に帰ってみると何とおきよが首をつっていた. おきよが死んだと主水から聞かされた松造は何かの間違いだと言った. そしてやっと松造は騙されたことに気がついた.松造は泣いたが, 後の祭りだ.
松造「旦那,おきよの恨み,晴らしてくれ.」
それを聞いた主水は言葉巧みに仕業人のことを持ち出した. 松造はおふみから受け取った金を投げつけた.
松造「旦那.こんなきたねえ金なんかもういらねえや. これでおきよの恨みを.」
捨三の洗濯屋にやいと屋,剣之介,主水が集まった. 早速今夜,仕業人は乾,おふみ,そして巳之吉をやることにした. やいと屋は占い帖を見て「猫が流れ死ぬ」とあるのを知り, 縁起でもない,と塩を撒いた.そして足袋の履き方に気をつけた.

さあ仕事開始だ.捨三が半鐘を鳴らした.これに騙され, 巳之吉率いる竜神組が出動.家で待つおふみは言葉巧みにやいと屋に騙され, 仕置された.乾は怪しい気配を察して外へ出た. そして物陰からの主水の不意打ちを食らって昇天. さて竜神組が火事場に着いてみるとただのボヤで火が消えていた. 巳之吉はおさまりがつかねえとほざき,竜神組の者に先に帰るように言った. そして巳之吉はお歌に声を掛けた.お歌に夢中になっている隙に, 巳之吉は剣之介に仕置された.

翌朝.また銀次が食い逃げして牢に出戻ってきた. ただで飯が食えると銀次は思っていたが,その考えは甘かった. 囚人の一人が芋を盗み,囚人達は七日間水だけで過ごすことになっていたのだ. それを聞き,銀次は落胆するのであった.

「がんばれ! レッドビッキーズ」第32話「ミジメ鳥兄ちゃん」

脚本は上原正三.監督は広田茂穂. ブラザーは大振りが目立って球を打つことが出来なかった. 練習でも球が前に飛んでこないのでカリカリは気が緩んでしまい, コーチに注意された.その頃,東京大会の抽選会が行なわれた. レッドビッキーズはあのビューティースターズと同じAブロック. そしてレッドビッキーズの第一回戦の対戦相手はパンダーズに決まった.

ブラザーはがんがん打ちまくるぞと言い,コーチに大口叩くな,と怒られた. そこでブラザーは「♪しら〜けど〜り,と〜んでゆ〜く南のそ〜ら〜へ. みじめ.みじめ.」と歌った.どうでもいいが,小松政夫さんが聞いたら, 本当に惨めになっちゃうほど音痴だった.閑話休題.皆失笑.
ナッツ「やめてよ,お兄ちゃーん.惨めなのは妹の方だわ.」
見事に落ちがついた.さて練習終了後,ジュクに可愛い女の子が声を掛けてきた. それを見てブラザーは一目惚れ.彼女はジュクのいとこ小野綾子だった. 小野綾子は今度転校してきた子で6年生で評判の美人だった. ブラザーはジュクに恋の仲介をしてくれ,と頼んだ.ジュクは渋ったが, 結局ブラザーの頼みを聞き入れた. そしてブラザーは綾子とデートする事になった. 鏡に向かいながら,ブラザーはナッツにメガネかけた人は好きかと聞いた.
ナッツ「できればかけない方がいいわ.」
ブラザー「やっぱりそうか.」
ブラザーはめかしこんでいた.
ナッツ「ばーかみたい.」

その日の夕食で令子に父の幸一郎が言った.
幸一郎「快調な仕上がりらしいな.」
令子「ん?」
幸一郎「レッドビッキーズの戦力だよ.」
令子「うん.まず第一戦は頂くつもり.」
恵子「はーん,レッドビッキーズの監督にあるまじき,大変な自信じゃない.」
令子「籤運が良くってパンダーズと当たったの. ピッチャーは大したことないらしいのよね. コントロールでかわしてくるタイプ.」
だが幸一郎の見方は違っていた.
幸一郎「それは不気味だな.コントロールが良くって, コーナーに投げ分けられたら,打てそうで打てないもんだ.」
令子「そうかしら?」
幸一郎「高校野球でもそういうタイプの投手が優勝投手になっている. しめてかからないと痛い目に遭うぞ,令子.」

コーチ「お父さんの言う通りだ. コントロールのいいピッチャーが一番打ちづらいからなあ.」
パンダーズの練習を見に行く途中でコーチは令子にそう言っていた.

さてブラザーはおめかししてデートに出かけた. ブラザーはメガネを外していたため,別の女の子に声を掛けてしまった. そう.ブラザーは近眼だったのだ.これは伏線なので覚えておきましょう. 閑話休題.ブラザーは何とか綾子と合流し,一緒に喫茶店へ. 綾子との話は盛り上がった.ブラザーは外野の大事さを力説した. 第一にバッティングが優秀でなければならない. 第二に足が速くなければボールの落下点へ速く行くことができない. さらにブラザーは勢い余って「ジャイアンツはもう古い. 僕の夢はヤンキースタジアムでホームランを打つことです. ベーブルースのように.」と言い出した.綾子は感心してしまい, 今度の試合を見に行くと言い出した.その言葉に慌てたのか, それとも近眼のためか,ブラザーはフルーツパフェを顔にくっつけ, 綾子の失笑を買ってしまった.

さて練習ではブラザーはバントの練習ばかりで不満を漏らした. そこへ綾子が現れた.張り切ったブラザーだったが,バントに失敗し, 顔に自打球が当たってしまった.ブラザーは手を痛めたと大騒ぎ. 綾子が去った後,カリカリはかっこうつけるからだとからかった. 怒ったブラザーはカリカリをぶん殴った.だが痛そうな様子ではない. 怪我した方の手でぶん殴っていたからだ.そう.手を痛めたというのは嘘. 俺は補欠なんかじゃねえ,バントばかりやってられるか,というブラザーに, 令子はバント練習500本を命じた.みんなが帰った後, ブラザーは居残りで練習だ.ブラザーは根をあげそうになり, 倒れこんでしまった.そんなブラザーに令子はいった.
令子「野球はねえ,9人でやるものなのよ.9人の力が一つになった時, 勝利が生まれるわ.監督のあたしにとっては, ホームランや二塁打と同じように大事.必要なのよ.重大なのよ. バントが成功するかしないかは.わかって頂戴.」
それを聞き,ブラザーは立ち上がって言った.
ブラザー「お願いします.」

そしてパンダーズとの試合の日.オーナーは太鼓を叩いて大騒ぎ. 妻のよし子もやって来て大騒ぎ.
幸一郎「相手ピッチャーなかなかいいぞ.」
そしてブラザーの打席.練習の成果が現れ,ブラザーはバントヒットを決めた. しかし後続のスタイルが続かず凡退.以後,両軍とも点が入らなかった. 焦るレッドビッキーズの打者は大振りが目立っていた. 幸一郎の懸念が的中したのだ.
恵子「点が入らないわねえ.」
幸一郎「素晴らしい投手戦だ.」
そして最終回.パンダーズの先頭打者は三塁前へバントヒットを決めた. そのときシゲがお手玉したことを付け加えておく. ピッチャー前の送りバントでランナーが二塁へ. そして次の打者が二塁のスタイルの真横を抜き,パンダーズに一点が入った.
オーナー「まーたっくダメだなあ.」
だが続く打者をノミさんは6-4-3のダブルプレーに打ち取った. 裏の攻撃.カリカリはキャッチャーフライ, ノミさんもセカンドゴロと連続して凡退し,あっと言う間にツーアウト.
恵子「あなたあ.」
幸一郎「細川君のペースにはまり込んでしまってる.」
オーナー「だめだあ.」
よし子「店閉めるんじゃなかった.」
令子はジュクの代打にペロペロを起用した. なぜかピッチャー細川のコントロールが狂い,ペロペロはデッドボールで出塁. ツーアウトでランナー1塁という美味しい場面で, ブラザーが打席に入ることになった. パンダーズの監督はバントヒットに気をつけろとバッテリーに忠告. それを横目で見ながら
令子「相手はバントだと思ってる. おもいっきりひっぱたいて前進守備の内野を抜くの.」
ブラザー「打っていいの?」
令子「思いっきりね.」
綾子が見守る中,ブラザーは初球を叩いた. 打球は左中間を抜く大飛球.あのペロペロが楽々生還. ブラザーは三塁にヘッドスライディングしてしまい, メガネを落としてしまった.三塁手が落球したので, 三塁コーチはホームへ走るように指示.だがブラザーはメガネがないので, ホームベースが良く見えない.千鳥足でブラザーは本塁へ向かった. ブラザーはヘッドスライディングしたが,ホームベースに手は触れていなかった. そうするうちに外野が球を返球した.危ない.アウトか? キャッチャーが球を捕った.だが間一髪, ブラザーの手がホームベースに触れていた.球審はセーフの判定. サヨナラ勝ちだ.ジュクがブラザーにメガネを渡し, 令子がブラザーに帽子を被せてやった. こうしてブラザーは泥だらけになりながらも, 綾子の前で活躍することができ,レッドビッキーズも一回戦を勝ち進んだ.

次回は乱暴者集団のブラックマンモスが相手. 尻込みするナインのために令子が取った作戦は何か?

「太陽にほえろ!」第223話「あせり」

脚本は杉村のぼると小川英.監督は竹林進.主役はボン.

ここ3日間事件らしい事件がないという名目でボンはパトロールへ出かけた. 殿下も着いて行く事にした.そのとき長さんが, ボンが七曲署へ来て一年以上経つ事に気がついた. 外では殿下に皆声を掛けてきたが,ボンに声をかける人はいなかった. 落ち込むボン.その時,ボンに女の人(村地弘美)が声を掛けてきた. 仕事が終わったら店へ来て話を聞いて欲しいと言う. 彼女はあるパン屋の前でチンピラ同士の喧嘩が起きた時,ボンと知り合ったのだ. そわそわするボン.チンピラグループの喧嘩が起きたという通報が. 早速ボンは出動した.一足に先に駆けつけたゴリさんとスコッチが駆けつけた. ボンと殿下も奮戦.だがチンピラの二人に逃げられてしまった. 追いかけるボンだったが,二人ともゴリさんや殿下に捕まえられてしまった.

その夜7時半.さて店ではあの娘が待ちきれずに外へ出た.そこへ男が.
男「決心はついただろうな.おう.今更仲間に戻らないと言わせねえぜ.」
娘は無言だ.
男「もう逃げられねえんだよ.下手に動くとどうなるかわかってるんだろうな.」

その頃,ボンは屋台で殿下と一緒に呑んでいた.ボンは焦っていた. 七曲署に来てもう一年になると言うのに,今日も役に立つことは出来なかった. 殿下はボンを慰め,さらにこう言った.
殿下「いいか,これだけは言っておく.絶対に無茶をするなよ.」
8時になった.さあ帰ろうと言う殿下は, ボンが娘と会う約束していたことを思い出した.慌てて電話したボンだったが, 彼女は帰った後だった.翌朝.店へ行ったボンは娘が辞めたことを知った. そして同僚が店の前で娘がやくざ風の男と話していたのを見たことを知った. 慌ててボンは彼女の住むと言うアパートへ行ってみたが, 前の晩に慌てて引っ越したと大家が言った.家財道具は置き忘れたままでだ.

ボンはボスにそのことを報告し,出て行った.出て行ったボンを見て
殿下「ボス.」
心配そうに殿下は言ったが
ボス「ほっとけ.子供じゃないんだ.」
ボンのテーマが流れる中,ボンは聞き込みを開始した. そしてボンはその娘ひろみがひろみの知人の店で働いていることを知った. 早速ボンはひろみに辞めた理由や男のことを聞いたが, ひろみは本当のことを言わなかった.ただ一言
ひろみ「刑事さん,また来てくださいね.」

その晩.先頭の前でひろみはあの男に出会った.その日, ひろみは銭湯へ友人と一緒に出かけていたのだが,友人は置いてけ堀. ひろみは男に連れ出され,自分達の仲間になるように強要された. 嫌がるひろみは逃げようとしたが,男に拳銃で威嚇され, 足を滑らせて石段の下へ落ちてしまった.その通報を受け, ボンと殿下は車を走らせた.
ボン「どこまで間抜けなんだ,俺は.」
殿下「落ち着け,ボン.」
ボン「やっぱり彼女には相談したいことがあったんです.それなのに僕は, やっと見つけ出したのに.どこまで間抜けなんだ.」
救急車で運ばれる池田ひろみのあとをボンは追いかけた. ゴリさん,山さん,スコッチ,長さん達は調査を続けた. 弾は石段にめり込んでいた.店の前に現れた男が現れたことが, 聞き込みによって判明した.

ボンはひろみの病室にいた.ひろみの家族は叔父がいるだけ. そこへ殿下がやってきた.
ボン「意識が戻らないかも.危険な状態が続くそうです.」
そして言った.
ボン「この娘が頼れるのは僕だけだ.僕だけなんです.」
それを聞いた殿下はボンをじろっと見た.

他の事件でその拳銃が使われたことはなかった.ひろみは幼い頃に両親を亡くし, 北海道にいる叔父夫婦に育てられた. そこへ長さんがモンタージュ写真を持ってやって来た.
ボン「必ず見つけ出します!」
ボンはモンタージュ写真を持って出て行った.殿下はボンをついて行く事にした. 聞き込みを続ける七曲署の面々.有力な証言はなかなか得られなかったが, 彼女の友人が「ひろみはスリルが大好き」と言いかけたところで口を濁した. ボンがなおも聞くとひろみがデパートで万引きをしたことがある事を話した. そして聞き込みの結果,半年くらい前, ひろみが集団でアクセサリーを万引きしていたことがわかった. 捕まったのは5人.初めてなので許してくれと泣いて頼んでいた. 長さんは,本当は初めてではなく,何度もやっていたに違いない,と考えた. デパート側もそう思ったが,将来のことも考え,叱っただけで返したと言う. ボンと殿下はそれをボス達に報告した.ボンは,ひろみはそれで目が覚め, 立ち直ろうとして足を洗い,あのパン屋に勤めた,と考えた. そして,あの男が再び万引きをやらせようと脅した,と考えた. だが長さんはその意見に異議を唱えた. 男が万引きグループを操っていた証拠は何一つない. さらに山さんが,そうだとしても拳銃で殺しにかかっているのはおかしいので, もう少し調べた方がいいと忠告した.殿下は非行少女グループを調べよう, と言った.そして非行少女仲間に聞き込んだ結果,男の名前が安原ということ, そして安原がみすず町辺りを根城にしているらしいことがわかった. 焦ったボンは即座に乗り込もうとした.だがみすず町は城西署の管轄だ. だから城西署へ行こうと殿下はボンをなだめた.

城西署の刑事(中井啓輔)は安原の住所不定のチンピラで, 銀竜会の事務所を見張っていれば現れるかも知れない,と言った. さらに刑事は銀竜会の幹部黒田(内田勝正)の写真を見せ, 黒田が安原をかわいがっていたことを話した. しかも,刑事は池田ひろみの顔には見覚えがあった. 半年前に銀竜会の権力抗争のために幹部が殺された事件があった. 犯人は十中八九,黒田に間違いがなかった.だが黒田にはアリバイがあった. 池田ひろみが黒田のアリバイを証言していたのだ. 血気にはやったボンは外へ出て行った.城西署の刑事は, うちの事件だから勝手にやられては困る,と殿下に言った. 下手すると高飛びされるかもしれないからだ. 殿下は,これはうちの事件でもあるから合同捜査にしてほしい, 責任は自分が取る,と言った.城西署の刑事は, 黒田を見つけ次第捕まえる方針で全員出て行った. それを殿下は無線でボスに報告した.ボスは合同捜査の申請を出すことにした. だが一歩遅かった.ボンは銀竜会の事務所に乗り込み,黒田はどこだ, と大暴れ.城西署の刑事,そして殿下が駆けつけた時は銀竜会の組員を追いかけ, ボンが出て行った後だった.

城西署の刑事はそのことを問題にした.そこへ長さんとゴリさんが登場. 長さんは合同捜査をすることになったと城西署の刑事に報告. ゴリさんは床下から銃器を発見.それを盾に黒田の行方を聞いた. その頃,黒田が潜んでいた小田急の多摩川の鉄橋の近くの小屋に, ボンは一人で乗り込み,逃げた黒田達を追いかけた. 拳銃が乱射されると言うのにボンは一目散に標的めがけて走って近づいた.
殿下「ボン,やめろ.」
ゴリさん「ボン,やめろ.」
それでもボンは走った.そして右肩を撃ち抜かれて倒れてしまった. 思わず立ち止まる殿下,ゴリさん,山さん,スコッチ. だが突然ジーパンのテーマが流れると同時に復活した(?)ボンは立ち上がり, 連中に襲い掛かった.殿下達も駆けつけ,全員逮捕された. 黒田は城西署の刑事に引き渡され,スコッチは安原を連れて立ち去った.
ボン「島さん,捕まえました.やっと捕まえました.」
それを聞き,殿下はいきなりボンを殴った.驚くボン.
殿下「何度も言ったはずだ.無茶はするなと言ったはずだ. どうして一人で踏み込んだりしたんだ.」
ボンは驚いて殿下を見た.
殿下「そんなに命を粗末にしたいのか.」
ボン「すいません.でも僕はどうしてもこの手で犯人を.ですから…」
殿下「うぬぼれるな.お前一人が刑事じゃないんだ.」
ボン「何を言うんですか,島さん.そんな,うぬぼれてなんかいません. 僕はただ先輩達に追いつきたくて.それでつい焦って…」
殿下「その焦りがうぬぼれに通じるんだ.同じことなんだ.」
ボンは無言だ.
殿下「二度とこんな真似はするな.いいな.」
そう言って殿下は立ち去ろうとした.追いかけるボンを山さんが止めた.
山さん「まだわからないのか,ボン.殿下が一番心配していたのはな, お前がちょうど一年目だからだ.」
ボンは驚いて山さんを見た.
ゴリさん「マカロニ知ってるか.ジーパン知ってるか.奴ら, 一年目にどうなった? テキサスだって,一年目にどういう目に遭った?」
ボンはうなだれた.
ゴリさん「口には出さなくても俺達はみんな片時も忘れた時はない.」
ボンは顔を挙げた.
山さんの声「お前がちょうど一年目だからだ.」
ゴリさんの声「口には出さなくても俺達はみんな片時も忘れた時はない.」
山さん「彼らがそうなったのにはそれぞれの理由がある. だがな,殿下は,いや殿下だけではない,ボスも,長さんも,ゴリさんもみんな, お前が一年目だから,お前の焦りを恐れたんだ.わかるな,ボン.」
ボン「山さん.僕…」
ボンは泣いた.山さん,ゴリさん,長さんがうなずいた.
ゴリさん「焦ることなんかない.お前はとっくに一人前の刑事なんだからな.」
それを遠くから見てやっと殿下が微笑んだ.

ボンが花束を持ってひろみの病室へ行くとボスも殿下も来ていた. ひろみはすっかり元気を取り戻していた.ひろみは話さなかった事を詫び, いつかは話すつもりだった,と言った.それをボンは信じることにした. そしてボンはボスから,ひろみが未成年なので実刑を食らわないことを聞かされ, 安心するのであった.

次回はボスが保証人になった若者が犯罪の容疑者になりボスが危機に陥ります. 久しぶりのボス主役編です.

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東平 洋史 E-Mail: hangman@basil.freemail.ne.jp