脚本は石松愛弘.監督は斎藤光正.主役はジーパンと長さん. 長さんと同年輩のサラリーマン(小山田宗徳)の危機を救う話です. 今回もシンコの登場はなし.
ある日の夕方.新宿西口をジーパンと長さんが警邏していた.
一杯飲もうかと言う長さんだったが,
ある横断歩道で一人のサラリーマン風の男とすれ違った.
何か気になる長さんはその男の方をじっと見てしまい,
ジーパンに,早く行きましょうよ,と促される始末.
赤信号なのに飛び出したからだ.
ジーパンと長さんが自動販売機でジュースを買って飲んでいると,
さっきのサラリーマンがやってきた.何かおかしい感じだと長さんは思った.
長さんが気になって歩道橋から見ていると,サラリーマンは道路に飛び出した.
だが車には轢かれなかった.気になった長さんは,何でもないでしょう,
というジーパンと別れ,彼のあとを追うことにした.
何と彼はビルの屋上の柵を飛び越えて飛び降りようとした.
必死に止める長さん.だがメガネが落ちていくのを見て気が変わったのか,
飛び降りるのをやめた.
男「なんだい.余計なことしやがって.」
そう言って男は去って行った.男は何かを落としていった.
慌てて長さんが追いかけた.いつまで追いかけるんだ,という男.
何か心配事でもあったら,という長さんに
男「あんなのは冗談だよ.」
だが帰りの電車の中で長さんは男が落とした物を見て驚いた.
それは遺書だった.
男の声「私の不始末の為,会社に迷惑をかけ,信用を傷つけてしまいました.
すべて私の責任です.まったくお詫びのしようもなく死を選んだしだいです.
そうかお許し下さい.」
男の名前は井村太一.
翌日.長さんはボスに井村をマークさせてください,と頼んだ.
ボスは快諾し,ジーパンに長さんと一緒に調べろと命じた.
ジーパン「ええ! 俺もですか? 事件じゃないんでしょう.」
嫌そうに言うジーパンに
ボス「人生勉強の訓練だと思え.若いだけが取得じゃないんだぞ.」
長さんとジーパンは中光商事の人事課長を尋ね,井村太一の身元がわかった.
井村太一は中光商事輸入部第三係長で52歳.52歳で係長と言うことは叩き上げだ.
社宅に住んでいた.
長さんとジーパンは社宅へ行ったが,長さんは気まずそうだった.
ジーパンはさっさと井村の家へ乗り込んでいった.
ジーパン「あのう,砂糖ありますか?」
井村の妻「え?」
ジーパン「あ,人生勉強が足りないもんですからね.甘い物を…」
この部分は松田優作さんのアドリブかもしれない.閑話休題.
井村は会社を休んで家にいた.どうしても気分が悪いからだと言うのだ.
ジーパンは井村の息子みのると意気投合.
井村は夕べのことは誤解だと言い張った.
戻ってきたジーパンに長さんは無神経だなと呆れていた.
その晩.井村は出かけようとした.みのるはついていくと言った.
井村は勉強を頑張るように言った.井村は夜間大学出身で苦労していた.
だからみのるには一流大学を出て欲しかったのだ.
みのるを振り切って外へ出た井村を長さんは飲み屋へ誘った.
井村「あんたは幸せな人だ.」
井村は何の将来もないと悲観していた.
だが他人の長さんが自分の生死を心配してくれることには,
感動しているようだった.長さんがお手洗いへ行っている隙に井村は出て行った.
慌てて外へ出て井村を探す長さん.そのとき,小田急の踏切が鳴る音が.
長さんは踏切のそばで井村を見つけた.だが井村は踏切の方へ向かって突進.
長さんは走る電車に向かって「井村さーん.」と叫んだ.
だが井村は飛び込んでいなかった.自殺の覚悟が萎え,脇で縮こまっていたのだ.
翌日.井村が自殺しかけた話を聞いてジーパンは怒った. 息子を置き去りにして自殺するのが許せなかったのだ. ボスは本庁の二課が中光商事を内偵している節があると長さんに言った. 久美は「二課と言えば汚職に経済班.そうでしょう, ボス.」と首を突っ込みたがり,ボスにたしなめられた. 井村は第三輸入部係長.危ないポストだ.
井村を見る課長(佐原健二)の目は厳しかった.そして部長が井村を呼び出した. 部長は井村に,会社が井村の家族を一生面倒見る,と言った. そこへ課長がやってきた.本庁の二課の刑事が令状を持って調べに来たのだ. 輸入雑貨を扱うのは井村の担当.井村は本庁の刑事に連行されていった. それを来合わせたジーパンが目撃した.
中光商事の使い込みの件が新聞に載っていた.その額は十数億円. その話で七曲署捜査第一係室が持ちきりだった. そこへボスが入ってきて井村が本庁で黙秘を通していることを告げた. 井村はあくまでも参考人だった.二課もてこずるかもしれない. そしてボスはジーパンがいないことに気がついた. ジーパンはみのるを慰めに行っていたのだ.
ジーパンと長さんが井村のいる本庁を見張っていると,
部長と課長の迎えの車がやってきた.部長と課長は井村に,いずれ逮捕される,
とほのめかし,当分出社しなくて良いと言った.そして井村は社宅へ送られた.
長さんの制止を振り切り,ジーパンは井村のあとをつけた.井村は家に帰った.
そこで井村はみのるになじられていた.怒った井村はみのるを殴り,
みのるは出て行った.見かねたジーパンが家に乗り込み,井村に言った.
ジーパン「息子にとって親父とはどういう存在だと思ってるんですか.え!
どうなんすか.息子さん,あのままにしといていいんですか.」
井村「他人様には関係のないことでしょう.」
ジーパン「他人とか何とか言ってるんじゃない.
親父と息子のことを言ってるんです.大体ねえ,
親父ってのは強くなくちゃいけないんですよ.
息子にとって親父ってのは何物でもない.
その息子の期待を裏切るのはやめて下さいよ.俺はね,おこがましいようだが,
みのる君の気持ちになって言ってるんですよ.」
おそらくジーパンはみのるに昔の自分の姿を重ねていたのだろう.
井村はしばらく考え込んだ後,公衆電話から部長の倉持のところに電話を掛け,
死ぬのは嫌だ,会社の犠牲になることは嫌だ,と言い,会社を辞める,と言った.
そして,退職金として例の中光グリーンタウン分譲住宅三千坪分を要求.
妻名義の権利書も出来ているので,
それを午後4時までに倉持一人で新宿中央公園まで持ってこいと詰め寄った.
井村はタクシーを拾った.その様子を見てジーパンは何か変だと思った.
そして新宿中央公園でチンピラ達が女性達に絡み,
ジーパンと長さんの目がそらされた隙に,
井村は倉持の手の者に連れ去られてしまった.勿論,チンピラ達もぐるだ.
慌てて長さんとジーパンが追いかけた.倉持の手の者たちは約束通り,
井村に「自殺」を迫った.車が渋滞に巻き込まれた.
マカロニのテーマが流れる中,ジーパンは車を降り,
走って井村を連れ出した車まで行き,屋根に飛び乗った.
そしてジーパンを屋根の上に載せたまま,車は造成地まで走った.
一生懸命追いかける長さん.倉持の手下はジーパンを振り落とそうとしたが,
ジーパンの敵ではなかった.結局車はエンコしてしまい,
それを利用してジーパンは車に乗り込んだ.走り始めた時は後の祭.
車は止められ,ジーパンのテーマが流れる中,
倉持の手下達とジーパン,そして長さんとの格闘が始まった.
こうしてジーパンと長さんは井村を救出することに成功した.
井村「お世話になりました.」
ジーパン「あんたみたいな親父でも死んだらみのる君が可哀想だ.
でも井村さん,一体どういうことなのか聞かなければなりません.
一緒に署まで来てくれますか.」
一係室で殿下とゴリさんは井村が死ぬ気で会社に反旗を翻したことに驚いていた.
長さん「しかしなあ,俺だったら彼の立場だったら,
おとなしく殺されるのを待っちゃいない.彼はやっぱり生きようとしたんだよ,
女房,子供のために.自分の身を犠牲にしてねえ.
彼は立派な父親だ.誰よりも家庭の行く末を思い,家族を愛してたんだ.」
ジーパンはみのるのところへ向かった.
山さん「あいつは井村の息子に昔の面影を見たんだよ.」
ボスは後始末に井村の鬱憤を晴らしてやろうと言い,
警視庁捜査二課に電話を掛けるのであった.
さて次回もジーパン主役編.文学座仲間の桃井かおりさんとの共演が見物です.
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