脚本は押川國秋.監督は村山新治.主役は神代. 神代の好きな画家榊原千秋(小山明子)の作品展を神代は見に来ていた. だが趣味の為に見に来たわけではなく,広島で彼女の贋作が発見されたからだ. そして神代が展覧会を見に行った日, 間島と言う評論家が千秋に会いに来たのを, 神代は目撃した.その数分後,一倉金吉と言う男が殺された. 彼の部屋には千秋の絵が置かれていた.一倉は宮崎の美術館の美術主任で, この絵が本物かどうか鑑定してもらいにやって来たのだ. さらに彼は展覧会が開かれているホテルに泊まっていた. 千秋の息子幸一(佐藤仁哉)は道楽息子で家を出ていた. また千秋は離婚しており,別れた夫滝田健一郎の居場所は不明だった.
という導入部で始まる本作は「仕事を第一と考えた母親と息子とのすれ違い」を, テーマにしています.そしてそれを表現しているのは千秋がずっと持ちつづけた, 自分が幸一の為に描いた「ブランコに乗る子供」の絵です. 他の出演者は高杉玄さんなど.
脚本は塙五郎.監督は天野利彦.主役は橘と船村.
三億円事件が起こった10年前のあの日,青木美恵子は8歳だった.
雨の降る中,家の中でおじさんの原島弘(小坂一也)を待っていた.
家に戻ってきた原島は大きな袋を抱え
原島「やった.やったよ.」
と笑っていた.彼女がそのことを覚えていたのは,
その日が大好きなおじさんと別れた日だったからだった.
その日,原島は女を遊園地やレストランなど色々なところへ連れて行った.
そしてその足で日本橋派出所へ行き,誘拐を自首したのだ.
美恵子「いやだ.おじさんがいい.おじさんがいい.」
だが原島は捕まり,美恵子は原島と別れることになったのだ.
一方,警視庁警部補の青木進一郎の死体が発見された. 青木は三億円事件で盗まれた五百円札を所持していた. 特命課は三億円事件について洗いなおすことにした. 三億円事件専従班は定年を控えた老兵(小栗一也)ばかり集められていた. 上は成果が上がることを期待してはいなかったのだ. 橘は娘の美恵子(浅野真弓)から, 進一郎が自殺したんじゃないのかと考えていた,と聞いた. 進一郎は定年を控えていたと言うのに成果が上がらず焦っていたのだ. さらに橘はこの一年間の捜査日誌が見当たらないことに気づいていた. 美恵子の恋人の画家(バトルフランスこと倉地雄平)は橘に捜査の協力を申し出た. 一方,船村は青木が原島の事を調べていたことを調べ上げていた. 青木は原島が三億円事件の犯人ではないかと疑っていたのだ. 橘は美恵子の記憶を辿ることにした. だが美恵子は誘拐ではなく家出だと主張した. 美恵子は青木の義理の娘だった. 美恵子の本当の父親は殺人犯で青木に射殺されていたのだ. そして青木は仕事一筋の人間でいつも家を空けており, 寂しかった美恵子は赤いネクタイをしたおじさん原島弘に着いて行ったのだ. そして事件は意外な展開を見せていく.
三億円事件が時効を迎えた頃,
各局の刑事ドラマでは三億円事件をテーマにした作品が作られていました.
この作品では放送当時の国分寺や小金井の街が映ります.
今私は国分寺に住んでいますが,当時と今とでは町並みが微妙に違っています.
大きなマンションが建っているのを見て
橘「この辺も10年前とは全く違ってしまったんでしょうねえ.」
という台詞は今にも当てはまることです.結局,事件関係者の願いは全て叶わず,
後味の悪い幕切れを迎えます.最後に橘が赤いネクタイを美恵子に渡す時,
橘,美恵子,そして画家は何を思ったのでしょうか.
脚本は押川國秋.監督は野田幸男.主役は紅林. 婦人警官古川雅子(泉晶子)狙撃事件の三日前に, 特命課は岡山県在住の男村井清射殺事件を調べていた. そして古川雅子の事件も特命課の担当になった.鑑識の結果, 二つの事件で使われた弾丸は同一の銃で撃たれたものと判明した. 古川には狙われる覚えがないと言っていた.古川は横浜の出身で, 村井との関係がさっぱりわからなかった. 特命課は村井の所持品から当たることにした. そして捜査範囲を古川がミニパトカーの巡回範囲に絞ることにした. 事件が起こったのは古川がミニパトカーで巡回する範囲内だったのだ. 村井の死体が発見された工事現場も,古川が撃たれた場所も. ある女(早瀬久美)の写真を村井が持っていた.その頃, 新聞配達のアルバイトをしながら夜間学校に通う苦学生和男は, 自動車販売店で働く西岡知子,つまり写真の女からお弁当をもらい良い気分. 和男は古川雅子と知り合いだった. 一方,古川雅子が摘発した男杉尾(中田博久)が岡山市内の出身だとわかった. さらに杉尾の情婦が営むスナック叶江で和男の母親が働いていた. 杉尾の家から拳銃が見つかったことで,杉尾が犯人かと思われた.だが, 杉尾の拳銃は犯行で使われたものとは別物だった.さらに, スナック叶江の車が村井の死体を運び出すのに使われていた事が, 判明したことがきっかけで,真犯人として意外な人物が浮かび上がるのだった…
神代「お前は殺人の罪にはならん.いずれも過失か未遂だ.
これから生きてゆく道はいくらでもある.言うことを聞け.」
最後,真犯人に神代が言った言葉です.これで事件が無事解決しました.
異常とも言える愛情がこの話のテーマですが,
この一言で一筋の光明が見えた気がします.
脚本は長坂秀佳.監督は佐藤肇.主役は津上. 神田川にかかる聖橋の下で男が射殺された.お昼のサイレンを録る音を録音しに, 聖橋の上に来ていた高校生達は銃声を聞いた.高校生達は, はじめは車の音だと思っていた.だが川の音を録りに行った高校生達は, 浅野健二(内田喜郎)がトランペットを吹くのを見, そして浅野のすぐそばで村島守(林ゆたか)の死体を発見した. 高校生達はサイレンが鳴る寸前にトランペットの音が途切れ, 銃声が終わった後にトランペットが鳴り始めたことを聞いていた. さらにその5日前に浅野と村島が口論するのを高校生達が見ていた. このことから浅野が逮捕された.吉野は浅野を取り調べたが,浅野は犯行を否認. そこで船村が一息つけさせた.そのとき, 津上は浅野が犯人ではないのではないか,と言った. 殺人をした後に,平静な気持ちでトランペットを吹けるだろうか. 学生時代にバンドでドラムを叩いていた津上は,そう思ったのだ. 神代は事件を洗い直すことにした.
何と浅野のアリバイを証言する者が次々と現れた. いずれもバンドマンを嫌っている人物で浅野をかばう理由など見当たらなかった. 女子高生美香(竹井みどり)は12時20分に村島の車を磨いているのを見た. 11時52分に靴磨きのいくよは浅野が村島の部屋を掃除するのを目撃した. サンタクロースの格好をしたサンドイッチマンの太吉は, 11時40分に浅野が村島のために酒を買って戻ってきたのを目撃. おでん屋の義一は12時10分に浅野が村島の車を洗車するのを目撃. ホステス(渡辺やよい)は正午に浅野が村島の服を洗濯しているのを見た. 時間を順に追ってみるとこうなる.
と言うわけで津上が事件の真相を独りでこつこつと探って行きます.
途中,紅林が残りは俺がやる,というのを振り払い,
最後まで独りでやると津上は言います.その結果,意外な事実が判明するのです.
この話のテーマは予告編でも語られている通り「人情」と「真実」でしょう.
だからこそ特命課の中で一番優しい津上が主人公に選ばれたのでしょう.
最後に津上のドラムが見られます.ちなみに津上を演じた荒木しげるさんは,
フォーセイツと言うバンドでドラムを担当していました.
なお,この話には元ネタがあるのですが,書くのはやめておきましょう.
その代わりに最後に神代が津上に言った台詞を書いておきましょう.
神代「犯人は速やかに逮捕するのが我々の鉄則だ.
ただし,手続きは多少遅れることはある.特に年末ではな.それに津上,
12月24日,クリスマスパーティーの会場に浅野健二の証言を取りに行くこと.
もちろん,この4人も一緒だ.命令だぞ.」
ここまでパクってしまうとは.アガサ・クリスティも脱帽するでしょう.
脚本は大野武雄.監督は村山三男.主役は吉野.
12月27日午後8時.
津上「課長.現れました.」
たくさんの罪を重ねた花屋の店員松本惇(クローバーキングこと風戸祐介)が,
スイミングクラブに現れたのだ.
神代「松本惇だな.」
吉野はこの男のことは一生忘れないだろうと思っていた.
それはなぜかと言うと…
話は12月27日午後0時10分までさかのぼる.松本は車で配達に出かけた.
出かける直前,松本は花屋の主人に早退させてくれ,と申し出た.
配達は順調に進んだ.だが団地のゴミ捨て場で自転車を見かけ,
まだ使えると拾ったのがケチのつきはじめだった.配達先で,
松本は「駐車違反」で警官(スペクトルマンこと成川哲夫)から注意された.
さらに警官は自転車に目をつけ,交番まで松本を連行することにした.
ちょうどそのとき,玉井婦警と吉野はパトロールに出かけていた.
途中で吉野と玉井は迷子を発見.
玉井婦警は近くの交番へ迷子を届けることにした.
玉井は交番の中で迷子の話を聞く事にし,吉野は車の中で待機.
その交番,城南署中山町派出所へ偶然にも松本が連行されてきた.
なんと城南署管内では自転車泥棒が多発していた.そのため,
警官は松本が自転車を盗んだと思い,「窃盗」の容疑をかけたのだ.
団地のゴミ捨て場で拾ったんだと松本は主張したが,
警官はそれを証明しろと言い,
それが証明できなければ「占有離脱物横領」の罪になると警官は主張.
捨てた人を探そうと言い出した.団地のゴミ捨て場では誰が捨てたか判らない,
と松本は主張し,さらに歳末は配達で忙しいからと言った.
すると警官は「だから俺達も忙しい時間を割いて協力してやるんだ.」と反論.
それと前後して,警官は,明日必ず来るので返して欲しい,
という松本の懇願も「お前は窃盗の容疑者なんだぞ.」と跳ね除けていた.
正直で一本気な性格の松本は激昂し,じゃあ元の場所へ返してくる,と言って,
外へ出ようとした.その途端,警官は松本の片腕に手錠をかけた.
怒った松本は警官を殴って「公務執行妨害」を働き,
警官達と揉み合う内に鋏で刺してしまって「傷害」,
そして拳銃が暴発して「殺人未遂」の罪を働いた.
たちまち騒ぎが大きくなってしまった.駆けつけた吉野の目や野次馬には,
犯人が逃げようとして警官を相手に暴れているようにしか見えなかった.
パトカーのサイレンを聞いて逆上してしまった松本は,
玉井と子供のいる部屋に立てこもり「不法監禁」の罪を働いてしまった.
吉野「こうして松本惇は傷害,殺人未遂,不法監禁の罪を重ねた.」
午後2時15分.神代が中山町派出所へ駆けつけた. 吉野は松本の免許証に挟まっていたメモを発見.メモには 「十二月二十七日夜七時半集合 絶対に壁を破ること」と書かれていた. 何かの犯罪を意味しているのかもしれない,と吉野は考えた. 例えば金庫破りなど.複数が集まって何かやる気なのかもしれない. 誤解が誤解を生むと言う悪循環に陥ってしまったのだ.
12月27日午後3時15分.吉野と津上は松本の部屋を調べることにした. 一方,玉井は,子供の両親が心中するつもりであることを見抜き, 外へ出て神代にそのことを報告した.松本もそのことを見抜き, 両親を探してやれと言っていたと言う.だから玉井が外へ出られたのだ. また,松本はしきりと時間を気にしていた.紅林は自転車から魚の鱗を発見. 吉野と津上は松本の部屋で写真を発見.一人はガードマンと判明. 吉野と津上は残る人物の身元を調べることにした.
橘は所轄署の署長榊を責めた. 警官達にも松本を追い込んだ責任があるのではないかと.榊は激昂した. 神代は榊をなだめた.そして特命課の調べで, 松本の言うことが正しいことがわかった. 紅林は魚屋が自転車を捨てていたことを調べ上げていた. 子供の両親は多摩川の川原で死のうとしていたところを保護された. 特命課は松本に謝罪した.そして車を用意し,松本を外へ出すことにした. だが面子に拘る榊署長は土壇場でとんでもない作戦を強行し, 却って事態を悪化させてしまうのであった.
最後は冒頭に登場したシーンがまた登場し,その続きが描かれます. なお,このシーンの直前に「絶対に壁を破ること」の意味が判明. それでも面子に拘る榊は松本の手錠を外した神代を責めますが, 結局特命課の意見が通り,松本「達」は「壁を破ること」に成功します. なお松本が犯してしまった罪は上記のものの他に, 「信号無視」も加わってしまうのです. 結局「午後9時05分 松本惇逮捕」となってしまうのですが… ちなみに他の出演者はスイミングクラブコーチ役の大関優子こと佳奈晃子.
脚本は有馬泉.監督は村山新治.主役は久しぶりに登場の高杉. 昭和53年12月31日に子供の兄妹が特急いなほから上野駅に降り立った. 兄妹は東北出身らしく,東北訛があった. 同じ頃,スーパーに強盗事件が発生し,特命課が捜査に当たることになった. その頃,兄妹は父親の伊藤まさひろ(三木敏彦)に会いに飯場へやってきたが, 愛人の佳代(北林早苗)と一緒に出て行ったことを知った. 仕方なく兄妹は外へ出て行ったが,警官の職務質問に遭ってしまった
さて特命課は正月返上で捜査に当たっていた. 犯人は三人組で一人は東北訛があった. そして途中で車を乗り捨てタンクローリーに乗って逃げたらしい. そこへ先程の兄妹が運ばれてきた.兄妹は完全黙秘. そこへ高杉と船村がやってきた.高杉は「おくに」の言葉で兄妹に聞いた. 兄妹は津軽の岩木出身.そして兄妹の父伊藤まさひろはタンクローリーの運転手. 高杉は兄妹を自分の家へ連れ帰った.
ここまでで大体察しがついてきたと思いますが, 伊藤兄妹の父に強盗事件の容疑がかかります.だが伊藤は無実.その為, 高杉が兄妹の為に頑張ります.でも実を言うと主役回だと言うのに, 高杉の出番が異常に少ないんですよ.真犯人を捕まえるのは警官だし, 真犯人に殺されそうになった伊藤を救い出すのも津上や橘だし. きっと「西遊記」とスケジュールがかち合ったからでしょうね. さらに強盗に入られたスーパーに客を獲られ, 苦しむ商店街の商店主苦しみも描かれます.他の出演者は奥村公延. 最後は急行で津軽へ帰る伊藤親子を高杉夫妻が, 今は亡き上野駅18番線で送るシーンでおしまい. 余談ですけど,映っている電車は直流式の物で, 津軽まで行かず栃木県の黒磯までしか行けない物なんです. 乗り継いでいくのかな,きっと.あ,野暮な突込みでしたね.
いやあ,笑ってしまいました.「ビートたけしのTVタックル」の拡大版. 色々な超常現象がトリックであることを全て明かし, 最後はノストラダムスの大予言について肯定派と否定派(野坂昭如,大槻義彦, 松尾貴史)が「大激論」を闘わすと言う構成でした. 何と肯定派はノストラダムスがビン・ラディンのテロを予言していた, 日本の金融恐慌を予言していたと言うのだ.しかし全て後付けの理屈. 否定派が「来年のことを予想してみろ!」と言うと,肯定派は皆口をつぐんだ. クライマックスは長い間懸案になっていた「宇宙人の住民票」だ. 韮沢さんは懐から住民票をちらつかせると,早速大槻さんが見せろと詰め寄った. だが韮沢さんは「本籍ないから.」と,口を濁した. 「火星とか金星とか書けないでしょう.」と言う韮沢さん. 実は韮沢さんが持ってきたのは自分の住民票.これに野坂さんは激怒. 「この番組を宣伝に使ってあんたんとこの本を売ろうと思ってんだろう.」とか, 「電波泥棒だよ.」とか言う趣旨のことを,アラブ人のような格好をして, 野坂さんは言って韮沢さんを黙らせた.結局結論は「出ず」, たけしが「来年もやりましょう.」と言い, 「今からスケジュール押さえとこう.」と言って終了した. なお野坂さんは阿川佐和子さんが出ていないのでがっかり,と思ったら, 叶姉妹が出ていたので大喜びしていた.いやあ,笑わせていただきました. ちなみに「今頃,小林幸子さんが(紅白歌合戦で)歌っているから, もう少し引っ張ろう.」と本の透視トリック解明の時に, たけしが言っていたのには笑いました.また, 「これは明かせません.」とナポレオンズが言い, さらに「でも明かしても,この本売れるかもしれません.」と言ったら, たけしがすかさず「○○もつけて1万9800円」と言ったのも笑ってしまいました. 「○○」が何だったかは忘れてしまいました(_O_)
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