そして迎えた試合の日．初回． 表の攻撃でジュクはアドバイスをカリカリに送った． だが邪推したカリカリは「うるさいなあ．」と興奮．三振してしまった． 裏の守り．ノミさんは2アウトを取ったが， 四番打者の神が素振りをするのを見て悪夢が蘇り， 三番打者に死球を与えてしまった．次は神だ．令子はジュクを呼び寄せた． コーチは攻めのリードをしろとジュクにアドバイス． ウィークポイント，つまり得意なコースからボール1球だけ外せというのだ． ところが神にはホームランを打たれた．そして神の二打席目は三塁打． こうして2対0のまま試合は推移し，レッドビッキーズの攻撃を向かえた． センターとシゲが塁に出た．カリカリの打席．ジュクは言った． 「肩の力を抜け．」そして力の抜けたカリカリのヒットで同点に追いついた． 続くノミさんは三振．裏の攻撃．ランナーが出てしまった． 神の打席だ．ベンチに呼ばれたジュクは神との勝負を主張． だが敢えてジュクは神との勝負を主張した． 神の得意なコースを見つけたというのだ．令子はジュクの進言に賭ける事にした． 1球目はストライク．ハンマーズの監督はただならぬ雰囲気を感じ， 神にアドバイス．2球目もストライク．ここでジュクはマウンドに行き， ノミさんに勝負を進言．ノミさんもカリカリは危ないと言ったが， ここで勝負しなければいつまで経ってもノミさんの弱気の虫は治らない， 練習を思い出すんです，とジュクは言った． それを聞いたカリカリもノミさんもジュクの意見に同意した． 無心になったノミさんには神の姿は見えず，ジュクのミットだけが見えた． ミットめがけてノミさんはボールを投げると，見事に神は空振りした． こうして神を三振に切って取ることに成功．結局試合は2対2の引き分け． 審判はキャプテンが来てジャンケンするように言った． 令子は誰をキャプテンにするか迷った．そのとき， ノミさんはジュクをキャプテンに推薦した．ジュクのアドバイスがなければ， 勝負ができなかったからだ．カリカリも， ジュクのアドバイスのお陰で同点打を打てたとノミさんの意見に同意． ジュクは冷静にみんなのことを見ている．メンバーはみんな賛成した． そしてキャプテンのジュクはじゃんけんに勝ち， レッドビッキーズは初戦に勝利した．ジュクは照れながら， 「これから塾がありますから．」と言ってベンチへ走り去るのであった． なお今回からオープニングとエンディングが変わりました．
脚本は小川英と四十物光男．監督は竹林進． 新宿駅西口で女を一人の男滝隆一がしつこく尾行していた．一方， 七曲署ではテキサスの後任の刑事がまだ出勤してこないのを不審に思っていた． その後任の刑事とは滝隆一ことスコッチだった． 滝は前任の城北署管内で郵便局強盗未遂および警備員殺害事件を追っていたのだ． 滝はその犯人が前科のある中岡進と考え， 中岡の恋人を徹底的に追いかけていたのだ． 滝の予想通り，新宿中央公園の前で中岡が姿を現した． が思い迷った女が自分から自動車に飛び込んでしまった． そして女は滝に突き飛ばされたと主張したため，滝は捕まってしまった． 滝は七曲署管内の派出所で完全黙秘．お茶も飲まなかった． 駆けつけたゴリさんに「お茶が好きな日本人ばかりはいないんだ． 紅茶ぐらい置いとけよ．」と言いたい放題．挙句の果てには 「今後勝手な行動は許さんぞ．」と言うボスに対して， 「勤務時間中はこちらの方針に従います．」と言う始末． つまり，勤務時間外は城北署の事件を追うというのだ． なお射撃の腕は百発百中．射撃練習場でゴリさんは滝に言った． 「見事だ．だがな，滝．刑事ってのはな，どんな状況のもとでも， 犯人を殺さずに逮捕しなければならない．」 ゴリさんは滝の表情を見て心の中で呟いた．「確かにうまい．だが， こいつの顔はぞっとするほど冷たい．」
さてスコッチは「七曲署に波風を立てる」ために作られたキャラクターだった． 一係のチームワークは絶好調でメンバー同士の対立など考えられなかった． プロデューサーの岡田晋吉さんはそれがマンネリになることを恐れたのだ． そこでスコッチと言う人物をテキサスの後任に送り込み， 波風を立たせることにしたのだのだ．単独捜査に走るわ， 拳銃に頼ってすぐ撃ちまくるわ，とやりたい放題． オープニングでも，それまで一生懸命走っていたマカロニ，ジーパン，テキサス， ボンとは違ってスコッチは走らず，モデルのようにポーズを取るだけ． 同時期のボンはひたすら走り回っていると言うのにだ． さて，私はこの頃のスコッチと「必殺仕置屋稼業」の市松とがだぶってならない． 市松も殺人マシンで表情一つ変えない男だった． 気がつけば，七曲署を去るスコッチも，江戸から去る市松も， 冷酷非道な男ではなく人間らしい暖かい男となって去って行った． また同じく岡田さんの作った「俺たちは天使だ!」の麻生雅人キャップと， 「必殺仕置人」の棺桶の錠もだぶって見える．二人とも熱い男だ． 岡田さんは，スコッチ役を頼んだことで沖さんにプレッシャーを与えてしまった， と自著で悔やんでいたが，実際はどうだったのだろうか． 沖さんがいない今となっては聞く術はない．
閑話休題．そのころ，七曲署管内でも郵便局強盗事件が発生していた． 滝は七曲署署員の目を盗み，その事件の弾丸を持って出て行った． 慌ててボンが滝を追いかけた．城北署で滝はその弾丸を鑑定させていた． その結果，滝が追っていた事件と同一の銃が使われた事が判明した． 続けて滝は，中岡の恋人宮本の入院した病院に乗り込み， 中岡が現れなかったかどうか聞いた．宮本は中岡がラジオを持って来たと証言． だが，滝は「お前も共犯だ．」と決め付けて信じようとしなかった． ボンの調べで，確かに中岡は12時の食事の時にも， 15時の回診の時にも病室にいた事が判明．だが滝は非常階段を指差し， あそこから自由に出入りできる事を指摘． ボンは早速署に戻ってボスに報告をと言ったが，滝は動こうとしなかった．
そして滝とボンは宮本のアパートへやって来た． 拳銃を取り出す滝にボンはそんなものは要らないと言った．そして， ボンは宮本のアパートに乗り込んだ．だが宮本のアパートに乗り込んだボンが， 中岡に後ろから殴られる事件が発生． 中岡は宮本のアパートから出てきたところを 「傷害および公務執行妨害」の現行犯で滝に逮捕された． だが滝は郵便局の強盗事件を調べ始めた．つまり別件逮捕だったのだ． 中岡の恋人宮本ひろ子は，中岡が心臓病だと証言した． ボスは滝に中岡が犯人と思った根拠を聞いた．滝は勘だと答えた． 事件の直前に中岡は拳銃を探していた．そのことを聞いたときの反応を見て， 滝はピンと来たのだ．ボンも滝を弁護したが，ボスは中岡を釈放することにした．
こういう職権乱用や別件逮捕などを重ねる滝のやり方にゴリさんは反感を覚えた． ゴリさんは屋上に滝を呼び出し，滝をなじった．ひとかけらの暖かみもない，と． それに対し，滝は「暖かみ? そんなものが要るんですか，刑事に．」とか 「俺の前任者のテキサスとか言う刑事ねえ， 凶悪犯を一人も殺さないで逮捕する為に，殉職したそうですね． 暖かみのある刑事になるって事はそういうことだ． テキサス刑事を殺したのは誰でもない．あんた方ですよ．」と言い放ち， ゴリさんの鉄拳を浴びた．それでも滝は「俺は未だ死にたくない． やりたいようにやらせて頂きます．」と言って去って行った．
ゴリさんはボスに詰め寄った．なぜ滝を呼んだのかと． ボスは言った．自分が引き受けなければ免職寸前だったと． 滝は命令違反，人権蹂躙，職権乱用等で免職寸前だった．だが， 滝は元々は「優しすぎるほど優しい，おそらく殿下のような刑事」だった． 一年前のある日，先輩刑事と組んで捜査中，自分が拳銃を撃つのを躊躇したため， 先輩刑事が犯人に射殺される事件が発生．滝は泣きながら先輩刑事の死体を見た． 「あの時，自分がためらうことなく犯人を撃っていたら， 先輩は死なずに済んだ．」以後， 滝はその反動で冷酷非道な男になってしまったのだ． それを聞いたゴリさんは納得した．「あの冷たい顔はそのためだったのか．」 そう．スコッチはジーパン同様，人間を信じる事の大切さを訴えるために， 生まれたキャラクターでもあるのだ．冷酷で非情になってしまった刑事が， 人を信じる心を取り戻すこと．これがスコッチに与えられたテーマでもあるのだ．
閑話休題．翌日，滝は中岡の行く先々に現れた．そして喫茶店で中岡と対峙． 滝は中岡が「持病の心臓病の発作を起こした」時も微動だにせず，表情も変えず， 薬を飲み終わった中岡から残りの薬を奪おうとした． 慌てた中岡は薬を取り戻した．それを滝は見逃さず， 「お前がその芝居で宮本ひろ子から金を巻き上げていたとなると， あの女，共犯じゃないな．」と逆に中岡にプレッシャーをかけた．
その頃，他のメンバーの調べで滝の勘が当たっていたことが判明した． 病院の病人が若い男が非常階段から出て行くのを見ていた．中岡は借金もあり， 拳銃を探していた．そして宮本ひろ子は共犯ではなく， お金をせっせと中岡に貢いでいた． ボスは映画館の前で中岡を見張るボンと滝を呼び出した．ボスからの通信で， 心臓病が仮病だと知ったら，宮本ひろ子が狙われるかもしれない，と聞いた滝は， 血相を変えて中岡のいた映画館を捜索．いないと知るやいなや， ボンを置いてけ堀にして車に乗って去って行った． それを知ったゴリさんは「滝は殺すかもしれん，中岡を．」と考えた． 「俺を狙え，中岡．狙うんなら俺を狙え．」と心の中で呟く滝．そう． 滝は本当は優しい男なのだ．中岡は埋立地に宮本を呼び出して殺そうとしていた． 駆けつけたスコッチは車でそのまま乗り込んだ．車はゴミに突っ込んだ挙句に， 横転してしまい，壊れてしまったのにも関わらず「逃げろー．」と宮本に叫ぶ滝． 車から出て拳銃を撃つ滝．中岡は見事に倒れた．ゴリさんの言葉が響く． 「刑事は，どんな状況のもとでも，犯人を殺さずに逮捕しなければならない．」 滝は拳銃を撃つのを止めた．そこへゴリさん達も駆けつけた． ゴリさんは心の中で呟いた．「滝．殺さずに逮捕するんだ．滝．」 中岡は無事逮捕された．それを見て滝はさっさと歩いてどこかへ行ってしまった． 呆気に取られるゴリさん達．
次の日．欠勤届を出した滝は城北署で残した仕事を追って， どこかへ行ってしまった．怒ったゴリさんは「あのスコッチ野郎!」と叫んだ． 「スコッチ野郎．お前，うまいこと言うなあ．え?」とはボスの弁． こうして滝はスコッチと呼ばれるようになったのであった．
次回，スコッチは殿下と組み，また一騒動起こします．
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