脚本は中西隆三.前回同様,オープニングは思い曲.相変わらず外は猛吹雪. それでもパトラッシュは外でネロを探し回っていた.パトラッシュには, なぜネロが自分の側から姿を消したのかわからなかった. だが何か大変な事が起こりつつある事は鋭く肌で感じとっていた. コゼツ家の暖かい暖炉もおいしそうなスープの臭いも, パトラッシュを引き止める事はできなかった.ただネロを探す事だけが, 疲れ果て年取ったパトラッシュの頭の中でいっぱいだったのだ.
ちょうどその頃,ヌレットおばさんは馬車でネロの家へ向かっていた. 途中,ヌレットおばさんの乗る馬車がパトラッシュとすれ違ったが, ヌレットおばさんは気のせいだと思って見過ごしてしまった. パトラッシュはネロといつも一緒にいるはずだからだ. 村を訪れるのは久しぶりだったのでヌレットおばさんは何も知らなかったのだ.
さてノエルはコゼツの家へ来る前に風車小屋に行って火事の検証をしていた.
風車小屋に火をつけたのはネロではない.
ハンスやコゼツが油もささずに風車を使い続けたからだったのだ.
そしてノエルはコゼツの家でハンスを問いただした.
ノエル「それをネロが火をつけたと言いふらしたのは一体誰なんだ?」
コゼツとハンスはネロに謝るため,ネロの家へ行く事にした.
さてヌレットおばさんはネロの家に着いたが,
おじいさんやネロの姿が見えなかった.しかも家財道具が全て片付けてあった.
そこへネロを迎えに来たミッシェルがやって来た.
ミッシェルはヌレットおばさんにおじいさんが亡くなった事を告げた.
それを聞いたヌレットおばさんはとても悲しんだ.そして,
ミッシェルとヌレットおばさんは姿の見えないネロを探しまわった.
そこへアロア,エリーナ,コゼツ,ハンスがやって来た.
そして一同はネロの置き手紙を見つけた.
ネロの声「ハンスさん,とうとう家賃の残りが払えなくてごめんなさい.
足りないかもしれないけど,残った品物を代わりに受け取って下さい.
もう僕にできることはそれしかないんです.エリーナおばさん,
長い間親切にしてくださってありがとう.パトラッシュを頼みます.
アロア,さようなら」
呆然とする一同.そこへジョルジュとポールがやってきた.
そしてヘンドリック・レイという画家がネロの絵を持って訪れた.
ヘンドリックはコンクールの審査員をした画家で,ネロの絵を1等に推していた.
残念ながら他の審査員の意見に押され,ネロの絵は1等にはならなかったが,
ヘンドリックはネロの才能を認めていた.
アントワープが世界に誇るルーベンスの後継ぎとなりうる素質があるから,
ネロを引き取って絵の勉強をさせたいとヘンドリックは考えて,
ここへやってきたのだ.しかし肝心のネロは家を出た後だった.
コゼツ「わしが,わしが悪かったんだ.わしは,
絵ばかり描いている貧しい子供が娘と親しくなるのが気に入らなかった.
ただそれだけの事でこの村から追い出そうとさえ考えた.それに引き換え,
ネロはわしが落とした全財産にも相当する大金を拾って届けてくれたのだ.
ネロ,許してくれ.」
もう遅いよ.コゼツは,ネロを家に迎えて,
アロアと同じように,どんな勉強でもさせてやるとさえ言うのだった.
コゼツはハンスに懇願した.ネロを探してくれと.
そして村人全員で猛吹雪の中,ネロの捜索が始まった.
ジョルジュとポールは教会の鐘を鳴らした.
ハンスは村の家一軒一軒を訪ねてネロがいないかを確認した.
アロアはネロがコンクールに出したおじいさんの絵に向かって言った.
アロア「ネロ,あなたが描いた絵は誰にも負けはしなかったのよ.
それなのにどうして行ってしまったの,ネロ.お願い,帰って来て.」
しかしノエル,ヌレットおばさん,ミッシェルや村人の捜索にも関わらず,
ネロとパトラッシュの居所は全くわからなかった.
ハンス「ネロ,俺が悪かった.俺が悪かった.もう意地の悪い事は,
もう金輪際しないよー.アンドレと一緒に遊んでくれよ.」
もう遅いよ.一番の悪党はお前だ!
ハンスと一緒にアンドレは泣きながらネロの名を呼んだ.
エリーナは「私達が悪かったのよ.」と言いながら,ネロを探した.
エリーナに罪はないと私は思うぞ.コゼツは雪の中で転びながら,
ネロの名を呼んだ.そして「わしを許すと言ってくれえ.」と呼びかけた.
ネロはおじいさんに別れを告げた後,夢遊病者のように猛吹雪の中を歩き続けた.
途中,何度も倒れ,倒れては起き上がり,起き上がっては倒れた.
気がつくとネロは手袋も靴もどこかに落とし,
裸足でアントワープの町に来ていた.
その時ネロは大聖堂のマリア様の絵を思い出し,大聖堂に向かって歩きはじめた.
パトラッシュもネロの落とした靴をみつけ,
ネロの足跡を追って大聖堂に向かった.大聖堂に入ったネロは,
いつもカーテンのかかっているルーベンスの二枚の絵が,
公開されている事に気付いた.とうとうネロは夢にまで見た,
ルーベンスの2枚の絵を見る事ができたのだ.
ネロ「とうとう僕は見たんだ.素晴らしい絵だ.ああマリア様,
ありがとうございます.これだけで僕はもう何もいりません.」
ネロは喜びのあまりその場に倒れ込んでしまった.
そこへパトラッシュがやって来てネロのもとに座った.
パトラッシュが自分のもとに来た事を知ったネロは気がついていった.
ネロ「パトラッシュ,お前,僕を探してきてくれたんだね.わかったよ,
お前はいつまでも僕と一緒だって.そう言ってくれてるんだね.ありがとう.
パトラッシュ,僕は見たんだよ.一番見たかったルーベンスの二枚の絵を.
だから僕はすごく幸せなんだよ.」
そう言ってネロとパトラッシュはルーベンスの絵を見上げた.
ネロはルーベンスの絵が見れた事で幸せいっぱいだった.
ネロ「パトラッシュ,疲れたろう.僕も疲れたんだ.
何だかとても眠いんだ.パトラッシュ…」
ネロはそのまま倒れ込み再び目を開ける事はなかった.
ちょうどそのとき,ネロの異変を感じ取ったアロアは吹雪の中を駆け出し,
泣きながらネロの名前を絶叫していた.
やがて大聖堂の天井からほのかな光がさし込み,
天使達がネロとパトラッシュを取り囲んだ.
天使達はネロとパトラッシュを連れて空高く舞い上がって行った.
そしてパトラッシュがネロの乗った荷車を引き,
お母さんやおじいさんのいる遠いお国へ旅立って行った.
ナレーションがこう締めくくる.「ネロとパトラッシュは,
お母さんやおじいさんのいる遠いお国へ旅立って行きました.
もうこれからは寒い事や悲しい事やお腹のすく事もなく,
みんな一緒にいつまでも楽しく暮らす事でしょう.」
こうして「フランダースの犬」は幕を閉じた.本放送当時, 私は幼稚園に通っていた,もしくは小学校に入ったばかりだった. 私はずっとコゼツが悪い奴だと思っていたが,大人になってから見直してみて, コゼツはそんなに悪い人物ではないことに気がついた. コゼツは悪い事は悪いと言う人物だったし,自分に非があると感じた時は, 素直に謝っているからだ.それに引き換え,ハンスは許す事が出来ない. 目上の者にはへいこらし,目下の人には威張り散らす.ハンスのような人は, 世の中によくいるのだが,私は嫌いだ.ハンスの告げ口がなければ, コゼツの誤解ももう少し早く解けたのではないかと私は思う. 最も風車小屋の火事の日にネロがアロアに人形を届けに行ったことで, 風車小屋の火事がネロの仕業だと誤解するのは原作通りだし, その誤解が解けるのも二千フランの金貨を届けてくれたからというのも, 原作通りではあるのだけれども.
最終回を前にしてフジテレビには「ネロを死なせないで.」という投書が, たくさん届いたと言う.原作の日本語訳はかなり前から日本で出版されていた. 私が持っている新潮文庫のあとがきの日付は1954年4月となっている.つまり, 私よりも上の世代の人達には「フランダースの犬」の物語はお馴染みだったのだ. 原作はフランダース地方のあるベルギーで書かれた物ではなく, イギリスで書かれた.だからアントワープの人達は, 日本人がやって来て「フランダースの犬」の話をするのを, 不思議に思っていたそうだ.ちなみにヌレットおばさん, ジョルジュとポールは原作に出てこない. また原作ではハンスの登場シーンはほとんどない. 原作とアニメとの違いは多々あるのだが,それは読んで確認してください.
脚本は土筆勉,監督は広田茂穂. ドロリンゴが偽スカイライダーに化け,悪行三昧を尽くす話. そしてスカイライダーの信用を失墜させるのが目的なのだが, 声が沢りつおさんなので間抜けな感じ.マフラーは黄色. ちなみにその悪行とは次の通り.
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