第二十一回

街の平和を取り戻す為と称し,敵対組織追放を図る暴力団. 双方の組織と闘う.
裸の値段

脚本:山本邦彦 監督:帯盛迪彦

ある夜.裸電球だけがともる暗い地下室へ, 女(女屋美和子)が猿轡をかまされ,大勢の男達に連れられて来た. と同時に照明が用意され8ミリフィルムの撮影が開始された. 女は卑猥な笑みを浮かべる野獣のような男(丹古母鬼馬二)に犯された. やめてと女が叫び,犯される様子を男(江幡高志)が撮影していた. そして女は車で運び出され,雨の中放り出された.
カメラマン「余計な事を喋りやがると,さっきのフィルムが物言うよ. わかったな.」
そして車は走り去った.女は服がボロボロのまま, 雨の中を泣きながら歩いて行った.

それからしばらく経ったある日.チャンピオンへ佐竹がやって来た. チャンピオンには明子しかいなかった.佐竹は大阪出張のお土産を明子に渡し, 有光達の居所を聞いた.有光達は仕事で豊多摩まで行っていた. 一週間前からある女が行方不明だったのだ.佐竹は明子から写真を受け取った. それは冒頭で陵辱された女だった.
佐竹「お.いい女だなあ.(裏を見て)加藤礼子.しかし, 大の男が三人も家出娘の捜索に豊多摩まで?」
明子「う,うん.それだけじゃなさそうよ.わけがありそう.」
佐竹「わけ?」
そのわけとは…

さて矢野は高架橋の建設現場で
矢野「鳥飼! 命はもらったぜ!」
ドスを手に持ち鳥飼という男(上野山功一)に襲い掛かろうとしていた. 鳥飼の部下が矢野に応戦したが,そこへ有光が乱入.なぜか矢野と闘った. 有光は矢野をぶん殴り,退散させてしまった.有光は立ち去ろうとしたが
鳥飼「待ちたまえ.」
有光は立ち止まった.
鳥飼「君はここで働いているのかね? 名前は?」
有光は答えずに去ろうとしたが
鳥飼「おーい.」

河市興産と言う会社の社長室には大沼と社長の河市(佐々木孝丸)がいた. 大沼は首尾よく有光が鳥飼との接触に成功した事を河市に報告. 加藤礼子は鳥飼建設の経理にいた. 礼子は鳥飼建設をぶっ潰すほどの大きな情報を握っていたらしい. その礼子が姿を消したと言う事は誘拐の線が濃い.そういう大沼に河市は感心し, 札束を取り出した.警察に届けても家出人としておざなりの扱いを受けるだろう. しかも所轄は鳥飼には甘かった.
河市「いや,何分,我々のように微力な者が鳥飼を倒すためには, どうしても加藤礼子さんの力を借りなきゃならんのですよ.」
河市は約束の前金30万円を大沼に渡した.そこへ内線電話が. 豊多摩日報の太田が来たと言うのだ.大沼は帰る事にした.
河市「いやあ,何と言っても,我らの鳥飼を倒し, この町から暴力を一掃しようという市民運動には, 地元の新聞社も大いに肩を入れてくれてますので.」
大沼と入れ替わりに太田が姿を現した.

佐竹は太田の事をよく知っていた.同じ釜の飯を食った仲だったのだ.
佐竹「しかしなあ,悪徳業者をぶっ潰すためにあまっこを探すってのはいいけど, 市井の市民浄化運動のお先棒を担ぐってのはちょっとくすぐってえなあ.」
大沼「これだ.これだからインテリはやだってえんだ.いいかい. 鳥飼の奴にいいように牛耳られてる市民がだよ,もう我慢が出来ないって言って, 立ち上がろうとしてるんだよ.その勇気ある運動を, 我々は支援しようって言うんじゃないか.え. 正義にかゆいもくすぐったいもありゃしないんだよ.」
佐竹「てな演説をぶつところをみると,礼金たんまりって線かな?」
図星だった.ちなみに矢野は明子の手当てを受けていた. 佐竹はなおも不審に思ってこう言った.
佐竹「大体市民運動ってのは金がないのが相場だ. こらなんかの裏があるんじゃないかなあ.」
矢野「裏?」
佐竹「ああ.臭うんだよ.ブン屋の勘とでも言おうか.」
佐竹は面白い事になると考え,豊多摩へ向かった.

鳥飼の部下(近藤宏)は有光を疑い,先ほど礼子を犯した男に有光を拷問させた. だが有光は何も吐かなかった.部下はその事を鳥飼に報告した. 鳥飼も有光がただのネズミではないと考えていた. 部下は河市が礼子を探し回っている事も既に知っていた.
鳥飼「河市なんかに何ができる.つまらん心配するより早くあの娘を探し出せ. 一体何をやってるんだ.打つ手が甘いんではないかな?」

佐竹は太田と呑み,太田から鳥飼組の事を聞き出した. 市の土木予算は鳥飼組のためにあるようなものだ.市営住宅,下水工事, 道路の補修全て鳥飼組が請け負っていた.太田はそれを調べ上げてつついたが, 鳥飼の前には蟷螂の斧だった.最も許せないのは, 暴力と非合法すれすれのやり方で市民をいたぶっておきながら,一方では, 市民との相互理解のためと称して市政ニュース映画社を経営している事だ. 佐竹はその程度の情報では満足しなかった.
佐竹「もうちょっと決定的な事,知りてえな.」
太田「決定的?」
佐竹「うん.俺のつかんだ情報だとね,加藤礼子って娘がね…」
太田「早耳だな.」
佐竹「ははあん.地獄耳のたけやん.彼女,鳥飼建設の経理課にいたんだって?」
太田「ああ.つまり,今はやりの企業の内部告発だよ. 鳥飼のあまりにもあくどいやり方に義憤を感じた彼女が, その立場を利用して不正入札,買収,贈賄,あらゆる悪事の実態を調べ上げた.」
佐竹「お前がそそのかしたんだろう?」
図星だったのか,太田はしばらく黙っていたが
太田「いや,彼女の方から河市さんの市政浄化運動に参加したいと言って来て, 俺の社で暴く筈だった.ところが,証拠を渡すと約束したきりぷっつりさ.」

佐竹が市政ニュース映画社へ入ろうとした時,車が駐まった. 慌てて佐竹が物陰に隠れると,車の中から加藤礼子が連れ出されてきた. 早速佐竹はチャンピオンに電話した.

その頃,有光は鳥飼に市政ニュース映画社に呼び出されていた.
鳥飼「ところでわざわざ来てもらったのは,実は君の身元がわかったんだ. 有光.」
有光はじっと鳥飼を睨んだ.

一方,大沼と矢野は佐竹と合流し,市政ニュース映画社の外にいた. 大沼と矢野は有光も連れ込まれたと聞き,驚いた.

鳥飼「有光洋介.元警視庁刑事.同僚殺しで馘になった悪徳デカ.」
鳥飼は不敵に笑った.
鳥飼「どうかね,私の調査は.なかなかよく調べてあるだろう. その悪徳デカの腕を見込んで是非とも始末して欲しい人間がいる.」
鳥飼は冒頭のカメラマンに合図し,カーテンを開けさせた.そこには加藤礼子が. 鳥飼は加藤礼子にこう言った.
鳥飼「ふ,ふ,ふ,ふ.おとなしくしてりゃあ,いいものを, 下手に身を隠したりするから,つまらん連中が騒ぎ出すんだ.ばーか.」
加藤礼子はそっぽを向いた.鳥飼は礼子をビンタ.
有光「鳥飼さん.その娘の始末は私に任してもらいましょう.」
鳥飼「そうだったな.(礼子に)冥土の土産に面白い物を見せてやる.」
その面白い物とは冒頭の強姦劇だった.有光は無言でそれを見た.
礼子「やめて.」
鳥飼「そら,よーく見るんだ.」
礼子「お願い,やめて.」
鳥飼「へ,へ.ほら.」
鳥飼は笑った.
鳥飼「なかなかいい芝居してるじゃないか.」
有光の顔には怒りがこみ上げて来るのであった.

さてずっと待っている矢野はしびれをきらし,乗り込む,と言い出していた. 佐竹がそれをなだめているところへ
佐竹「出てきたぜ.」
有光,礼子,強姦魔,カメラマンの4人が出てきた.4人は車に乗り込み,発進. 早速大沼達も追跡開始.車はダムに着いた.
カメラマン「さあ,早くやんな.」
有光「慌てるなよ.」
カメラマン「何だ,おじけづいたのか?」
有光は無言で車から降りようともしなかった.
カメラマン「ふざけんな.」
カメラマンは有光に拳銃を突きつけた.
有光「せっかちな野郎だ.」
やっと有光は車から降り,礼子の腹に当身をくらわせて気絶させた.
カメラマン「なーんだよ.さっさとやっちまえよ.」
有光「下手に手を汚す事はないんだよ.コンクリートを流し,沈めりゃあ, 二度と浮いちゃこないんだ.」
カメラマンは「なるほど」と肯いた.そして有光は礼子を抱えて歩いて行った. そこへ矢野達が飛び掛った.カメラマンは矢野にやられたが,強姦魔は滅法強く, 矢野と大沼が二人でかかってもかなわなかった.だが車に残っていた佐竹の, 不意打ちドア開け攻撃にやられ,倒れてしまった.佐竹,大沼, 矢野は三人がかりで強姦魔の体を持ち,ダム湖へと強姦魔を放り投げた. ダム湖にはカメラマンも投げ込まれていた.

チャンピオンで祝杯を挙げる4人だったが
大沼「ねえ,有光さん.どうしてこの事を河市さんに報せちゃいけないんです? 折角みんなで命張ったんじゃないですか.それにね, 未だ礼金だって半分以上残っている…」
有光「あの娘を依頼者を引き渡すとな, あの娘が嫌でも不正事件の証人にされちまうんだ. そうなるともっと悲惨な事になる.」
佐竹「悲惨な事? なんだい,そりゃ.」
有光は3人に耳打ちした.
佐竹「何.フイルムまで.」
矢野「畜生.ひでえ事しやがる.」
有光「だから迂闊に渡せないんだ.」
礼子は矢野と明子のところに身を潜めることになった. 礼子と矢野と明子が去って
佐竹「まあ,しかし有光ちゃんも礼子ちゃんも忽然と消えちゃって, 鳥飼の奴,焦ってんだろうな.考えただけでも愉快だよな.」
佐竹と大沼は笑ったが有光は無言だった.

カメラマンと強姦魔は鳥飼の部下に殴られていた.カメラマンと強姦魔は, 有光の仕業ではないと思っていたが,誰がやったのか検討もつかなかった.

どこから情報を仕入れたのか,河市と太田が大沼に声を掛けた. 礼子を引き取りに来たと言うのだ.フィルムの話を聞き, 太田はなぜ自分のところへ来なかったのか,と言った. 礼子は恐かったと答えた.自分が礼子を見る目が変わるとでも言うのか. 太田はそう言った.
河市「全く災難でしたねえ.本当にお気の毒だと思います.しかしね, これは大義の前の小事だと考えて.今は兎に角,鳥飼を倒し,暴力を追放し, 我々の町を東京一明るい町にする.それだけは考えてもらえませんかね. でなきゃ,泣き寝入りになって鳥飼の思う壺じゃないですか. 迷ってる時じゃないんだ.今なら君の貴い犠牲で, 多くの市民を救う事ができるんだ.頼む.証人になってくれたまえ.」
大沼「河市さん,あなたは彼女を生贄にしようと言うんですか.」
河市「生贄?」
大沼「そうじゃありませんか.彼女が傷つくの承知の上で.」
河市「市民のためなんですよ.」
大沼「だからって何も礼子さん一人犠牲になっていいって事はないでしょう.」
河市「市民の平和ばかりじゃない. この人のお父さんの恨みを晴らすという意味もあるんです. この人は未だ幼い頃に,鳥飼から父親が金を借りて建築会社を潰されて, 自殺をしてしまったそうなんです.その心労で母親の方も病で倒れて. 私は鳥飼のために泣きながら死んでいった御両親の気持ちも考えてあげて. 鳥飼を倒すって言う事はつまりは御両親の供養にもなるわけですよ. わかっていただけませんかね. 例え鳥飼の奴らにフイルムをばら撒かれたとしても, そんな事は気にする事はないんだ.君の将来はこの私が責任を持つ.」
礼子は無言だった.
太田「河市さん,諦めましょう.」
河市「しかし,君.」
太田「礼子さん,君がそんなに弱虫だなんて残念だな.」
それでも礼子は無言だった.河市と太田が立ち去ろうとした時
礼子「太田さん,待ってください.」
二人は立ち止まった.
礼子「私,証人に立ちます.」
皆,礼子の方を見た.明子はとりなしたが,礼子の決意は堅かった. そして河市は大喜び.残金を置き,礼子と太田を連れて去って行った.

チャンピオンの中は重苦しい空気が漂っていた.皆,後味が悪かった. 有光は腕組みして何か考え込んでいた.そして
有光「なあ,あの娘のためにフイルムを取り返してやろう. このままだと俺だって寝覚めが悪い.」
皆,大賛成.そこへ佐竹が入って来た.
佐竹「大変だ.大変だ.大発見.」
矢野「どうした?」
佐竹「河市のやってる暴力追放市民運動ってのは, とんでもないまやかしだったぜ.」
皆,驚いた.
佐竹「奴も暴力団だ. しかも鳥飼が進出する前は豊多摩一帯が縄張りだったんだ.」
大沼「なんて事はねえや.ヤクザ同士の勢力争いだ.」
佐竹「俺達も市民も体良く利用されてたんだ.どうする?」
有光は腕組みして考え込むのであった.

矢野は有光を殴っていた.その後,有光は市政ニュース映画社へ「逃げ込み」, 河市にやられたと言い,鳥飼のところへ連れて行ってくれ,と言った. それに引っかかり,市政ニュース映画社の連中は
佐竹「ひい,ふう,みい,よう.有光ちゃん,やってくれたぜ. 4人片付けてくれたよ.」
有光を連れ,4人も車に載って出て行った. それを車の中から佐竹と矢野が見ていたのだ. 入れ替わりに矢野と佐竹が市政ニュース映画社に乗り込んだ. カメラマンをぶん殴り,例のフィルムを回収.さらに
矢野「鳥飼によく言っとけ.フイルムは確かに河市組が頂戴しましたとな.」
カメラマンを気絶させて出て行った.

さて有光は鳥飼に「河市に襲われた事」を報告.さらに電話が入り, 「河市にフイルムをとられた」との報告が入った.一の子分は激怒.鳥飼も激怒.
鳥飼「ぶっ潰してやる.」
有光達の作戦通りに事は進んだと思われたのだが…

佐竹「まずい事になったぜ.どうやら手打式になりそうだ.」
驚く有光,大沼,矢野.
佐竹「おお.関東城西会の会長が河市と鳥飼の仲介を買って出たんだよ.」
矢野「え.そんな馬鹿な.」
佐竹「折角ここまで爆弾を仕掛けてきたんだが,不発に終わるね.」
大沼「冗談じゃないよ! 奴らに手握られたらもともこもねえよ.第一ねえ, 礼子さんとここの市民が可哀想じゃねえかよ.」
憤る大沼.
佐竹「有光ちゃん.礼子ちゃんを救い出すついでに, 手打式をぶっ壊す手はないかね?」
有光「あの娘の居場所は?」
佐竹「太田の奴,はかねえんだよ.」
矢野は強攻策を主張.有光も同意した.

その頃,関東城西会会長と鳥飼,河市の三者会談が開かれていた. 手打の条件はこうだ.河市は礼子を鳥飼に引き渡す. 鳥飼は縄張りの三分の一を河市に譲る.鳥飼も河市も賛成した. そして手打式の日は翌日と決まった.

太田のところに河市から電話が入った.太田は礼子の件を記事にし, 刷っている最中だった.だが手打と決まったので記事を握り潰す事になったのだ. 太田が電話に夢中になっている最中,佐竹が乗り込んでいた. 佐竹は礼子の事を記事にした事で太田をなじった.没になったという太田.
佐竹「それは俺も聞いたよ.手打になったら礼子さんはどうなるんだ.」
太田「鳥飼んところへ差し出すって事になるんだろうなあ.」
佐竹「貴様,それでも平気なのか?」
太田「背に腹は変えられんからな.どうせ撒いた餌に食いついてきた女だ.」
佐竹「何!」
佐竹は太田の胸倉をつかんだ.
太田「よせよ.俺はなあ,河市と組んで一旗挙げるんだ. 安っぽい正義感だけじゃ,飯は食えねえからなあ.」
佐竹「貴様.礼子さん犠牲にして自分だけ浮かび上がろうって言うのか?」
太田「女なんてのはその程度の利用価値しかねえだろう.」
佐竹の,そして矢野の鉄拳が飛んだ.

太田から礼子の居場所を聞き出し,有光,大沼, 矢野が河市興産のあるボーリング場に乗り込んだ. 大沼と矢野が喧嘩騒ぎを起こして子分達(新堀和男ら)の目をそらしている最中に, 有光は中に乗り込んだ.有光はボーリングのピンを放り投げて見張りを誘い出し, ボコボコにした.そして有光は礼子を連れて外へと逃げた.矢野は子分達と格闘. その隙に有光は礼子を車に乗せた.大沼の運転で車は逃げる.
有光「来たな.」
大沼「かかってきましたか,雑魚が.」
有光「ああ.」
大沼は鳥飼建設の駐車場に車を入れた. 仕方無く河市の子分は引き返してしまった.
大沼「へ,へ,へ.これで河市の方はよし.有光さん, これ(太田の刷っていた新聞)で鳥飼の奴.をうまくたきつけて下さいよ.」
有光「任しとけ.」
大沼「じゃ,あっしはこれで行きますからね.こんなとこ,長居は無用ですよ.」
だが例の強姦魔が車を見つけてしまった.有光は強姦魔と格闘. 大沼は退散した.強姦魔は野獣のような雄たけびを挙げ,有光と対決. 有光の石油缶攻撃で強姦魔を何とか倒した.

有光は太田が刷っていた豊多摩日報を鳥飼に渡した.
有光「やっぱり信用できる相手じゃなかったですねえ.」
鳥飼の一の子分は激怒.鳥飼は
鳥飼「よし.売られた喧嘩は買おう.手打は中止だ!」

河市も部下からの報告を受けていた.「鳥飼の手の者」が礼子をさらったのだ.
河市「鳥飼め,縄張りをわけるのが惜しくなったんだな.ふ,ふ. そっちがそう出るなら,こっちは力ずくで取り戻すまでだ.」
とその時,殴りこみの報せが.鳥飼組と河市組の全面戦争となった.
大沼「へ,へ,へ.やってる.やってる.」
佐竹「血で血を洗う豊多摩八月戦争の実録.いや,ネット裏観戦記かな.」
矢野は佐竹と大沼と合流.鳥飼組対河市組の戦争を見ていた. 有光は鳥飼と鳥飼の一の子分の車にいたが,隙を見て外へ出た. 鳥飼が河市の部下に殺され,河市も鳥飼の部下達(池田力也ら)に殺された. そして有光も大沼達と合流.パトカーと入れ替わりに立ち去った.

そして飯屋で
矢野「ああ.一仕事終わった後の飯は最高にうまいねえ.」
大沼「なーにが一仕事だよ.飯代にガソリン代,かかりが多すぎる.でね, あれっぽっちの仕事じゃ収入にならないの! ふん.道楽ですよ,こら.道楽.」
そこへ佐竹が登場.電話するための十円玉を要求した. 因みにこの頃は携帯電話もテレホンカードも存在していなかった. 大沼はまた金が減るとぼやいた.佐竹は有光の行方を尋ねた.
大沼「どっかでまた無駄使いしてるんですよ.」
佐竹「そうかねえ.」
大沼「ちょっと.電話が切れるでしょ,電話が!」

有光は両親の墓参りをする礼子の元を訪れていた.礼子は有光に礼を言った.
有光「いやあ.これで僕達,東京へ帰れます.」
礼子「私もこの町を出て行く事にしました.その事を父や母に報せたいと思って. あたし,もう一度全てを忘れてやり直します.」
有光「寂しくなったらいつでも我々のスナックへ遊びに来てください. 歓迎します.」
礼子は肯いた.礼子の明日を祈りながら,今有光の胸に去来する物は, 杏子の事であった.杏子もまた一人で力強く生きているのであろうか. 不幸が去り,やがて幸せが訪れるように, 失われた愛もいつかは帰ってくるのであろうか.だが,所詮,有光は, 愛とは無縁の孤独な男でしかなかった.

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東平 洋史 E-Mail: touhei@zc4.so-net.ne.jp