遂にビューティースターズと雌雄を決する時が来た. ノミさんがユリカボールを投げてやる特訓のかいもあり, カリカリも太郎もユリカボールが打てるようになった. 令子もコーチもユリカボールに的を絞る事を決意していた. そこへゆりかと美鈴がやってきた.美鈴は宣言した.ゆりかは変身中だと. そして「ニューゆりか」をお目にかけると.
さて練習が終わり,明日の前祝としてパーティーが開かれた.
試合に勝てば全国大会出場だ.ブラザーは夢みたいだと頬をつねった.
そこへ幸一郎から電話がかかってきた.明日は優勝戦だと言う令子に,
幸一郎は日本に着くのが夜になりそうだと言った.
令子「駄目,駄目.試合に間に合わせてよ.お父さんにも見せたいのよ,
レッドビッキーズの優勝を.そりゃあ,もう絶対自信あるのよ.」
幸一郎「ほう,凄い自信だねえ.その心意気はいいけれども…」
令子「いいえ.何が何でも優勝してみせます.確信してるの,あたし.」
幸一郎「令子,レッドビッキーズはレッドビッキーズらしい試合をな.」
令子「OK! OK! じゃ,明日,きっと間に合わせてよ.うん.じゃあね.
ばいばい.」
オーナーが音頭を取り,「♪ビッキー,ビッキー,赤蛙.
か〜ってみせるぞ,赤蛙」と掛け声を掛けた.
試合当日の朝.八幡神社で令子とオーナーが願を掛けていた. オーナーは眠れなかったと言う.そこへコーチもやってきた. コーチも不安で願を掛けていた.
さて試合の会場.恵子が北原と一緒にやってきた.幸一郎は一便早めたが,
間に合うかどうかは微妙だと言う.ペロペロの母もやってきた.
ペロペロは令子の胴上げには自信があると母に言っていたのだ.
親馬鹿な魚八はこれまた親馬鹿なオーナーとまたまた大喧嘩し,よし子が仲裁.
さらに西郷父子もやってきた.そしてプレイボール.ブラザーは,
飛んでくるなよ,と呟いていた.太郎は「西郷隆盛はおいらが兄貴よ.」と,
落ち着いていた.先発投手はノミさん.ノミさんは緊張したのか,
ストレートのフォアボールを出してしまった.次の打者の時,
シゲはお手玉して一塁への送球が遅れ,アウトを取ることはできなかった.
次の打球はショートへ飛んだ.二塁ではアウトにしたが,
ダブルプレーを焦ったスタイルが一塁へ悪送球.一点入ってしまった.
アウトを取ったもののナッツの送球もぎこちなかった.
令子の声「ぎこちないわ.みんな,動きが.」
ゆりかは三塁まで走った.だが三塁への送球が悪送球.
ゆりかもそのまま本塁へ帰り,結局,初回に3点入ってしまった.
CMが開け,裏の攻撃.コーチは「ニューユリカボール」に狙いを絞れ,
と檄を飛ばした.先頭打者のナッツは「ニューユリカボール」に狙いを絞ったが,
ゆりかは一球もユリカボールを投げなかった.そのため,
ナッツは全球見送ってしまい,三球三振.ゆりかの直球はとても速かった.
センターがフォアボールで出塁した.だが令子の采配はどこかおかしかった.
初球はバントのサイン.二球目はセンターに盗塁のサイン.
三球目はスリーバントのサイン.シゲはスリーバントをしようとしたが,
美鈴はそれを見透かしていた.そのため,大きく外され,シゲは三振.
センターもアウトになった.
コーチ「焦ってるぜ.いつもの監督と違うよ.」
令子「そうかしら.」
令子は迷っていた.
令子の声「焦ってるのかしら.」
ゆりかは速球しか投げなかった.コーチの進言で途中から速球に的を絞ったが,
変化球打ちが身に着いたレッドビッキーズナインはゆりかを打ち崩す事ができず,
凡打や三振の山を築くばかり.ここでやっと令子は気がついた.
令子「ニューユリカとは速球派への変身を意味していたのね.」
コーチ「うん.まんまと乗せられたなあ.狙い球変更しよう.速球狙いだ.」
だが変化球打ちが身に着いたレッドビッキーズナインは,
速球に切り切り舞いさせられるばかりだった.5回表.ノミさんもへばってきた.
令子はジュリに交代させた.5回表終了時点で4対0.そして7回裏.
ブラザーもスタイルも凡退した.二死になった.遂に令子は負けを意識した.
そのとき,令子は幸一郎が来ている事に気がついた.
令子の声「父さん.」
幸一郎の声「試合の経過はお母さんから聞いたよ.」
令子の声「ごめんなさい.優勝するなんて大きなこと言っちゃって.」
幸一郎の声「令子,今迄やってきたね…レッドビッキーズは,
レッドビッキーズらしい試合を.」
令子の声「レッドビッキーズらしい試合.」
幸一郎の声「レッドビッキーズ精神とは…」
令子の声「レッドビッキーズ精神とは柳に跳びつく蛙.つまり,
最後まで諦めずに食らいついて行く.それがレッドビッキーズ精神なんだ.
私は勝つための勝負をしていた.そのために無心の心を忘れていた.」
令子はベンチを見た.トータスとペロペロが遊んでいた.令子はナッツに代え,
トータスを代打に送った.なんとトータスは極端なクラウチングスタイル.
ゆりかはボールを二球続けた.
キャッチャー「ちゃんと立って打ちなさいよ.」
だがトータスには蛙の面に小便.ゆりかはストレートの四球を与えてしまった.
続けて令子はセンターの代打にペロペロを送った.
令子「ペロペロ,エリートスターズとの試合を思い出すのよ.」
ペロペロ「はい.」
ペロペロは死球で出塁.ペロペロの母は「痛くないわよね.痛くないわよね.」
と喜んだ.そしてシゲ,カリカリ,太郎も続いた.
カリカリのヒットでトータス生還.太郎の二塁打でペロペロとシゲが生還.
ここで美鈴はゆりかを呼び寄せた.ストレートの球威が落ちてきたので,
ユリカボールを投げろと言うのだ.それを令子は見抜いていた.
令子はジュリにユリカボールを投げるよう指示.ジュリは見事にヒットを放ち,
つないだ.これでカリカリが生還.同点だ.次はジュクだ.令子のサインは
令子の声「ユリカボールを狙え.」
ジュクは肯いた.ツーストライクノーボール.
ジュクの声「来る.必ず来る.」
そして
ジュクの声「来たあ!」
ジュクはユリカボールをジャストミート.外野からボールが帰ってきた.
だが太郎のヘッドスライディングが一瞬速かった.
太郎「やったあ.」
皆,大喜び.ナインもそして親達も.
レッドビッキーズの面々はここまでの道のりを思い出していた.
初戦で1アウトもとれず,30点も取られてバイキングに負けたこと.
令子がノックを打てなかったので石黒をコーチに迎えたこと.荒川先輩の指導.
案山子作戦.だんだんと勝てるようになったこと.
受験勉強を控えた令子を気遣って監督から外したこと.
ノミさんのコントロール矯正の特訓.浜名湖でのキャンプ.
令子の声「勝った.勝った.レッドビッキーズは勝った.」
令子は涙を流していた.
コーチ「長かったなあ.」
オーナーはこう言った.
オーナー「勝ったねえ.」
令子は泣きながらオーナーの胸に飛び込んだ.
オーナー「よかった.よかったねえ.」
そして令子は言った.
令子「お父さん.お母さん.」
オーナーも感極まって泣いていた.
幸一郎「おめでとう.」
恵子「令ちゃん.」
胴上げされる令子.それを見て幸一郎は拍手し,恵子は涙を流した.
負けたビューティースターズの面々は泣いていた.
ゆりかは美鈴にすがって泣いた.
美鈴は口惜しそうに胴上げされる令子を見ていた.
ナレーター「レッドビッキーズ精神とはどんなに辛くてもこつこつと努力を重ね,
そして目標に進む事である.令子を中心に全選手が手を取り合って,
歩み始める筈である.一歩一歩,こつこつと,全国制覇の遠い道のりを.」
余談ですが, 準備稿の段階ではシゲがサヨナラヒットを打つ事になっていたそうです. そのため,シゲを演じた鈴木雅之さんは当時がっかりしたとの事です.
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