「がんばれ! レッドビッキーズ」第47話

エリートスターズの連中に馬鹿にされ,ペロペロ奮起
成るか?! 決勝進出へ

脚本:安藤豊弘 監督:田中秀夫

トータスは愛玩していた亀をエリートスターズの連中にとられ, いじめられていた.それを見かけたペロペロが助けに入ったが
小森「へん.青蛙さ.」
栗山「青蛙?」
小森「赤蛙の補欠だから青蛙じゃないか.」
大笑いするエリートスターズの連中.ペロペロは怒ってつかみかかった. だが小森に突き飛ばされてしまった.
小森「お前らがな,いくら張り切ったって, エリートスターズにはかなわないのさ.この亀と同じよ.手も足も出ない.」
エリートスターズの連中は大笑い.小森は亀を放り投げて帰った.
ペロペロ「畜生.」

次の練習の時,トータスは上の空だった.一方, エリートスターズのピッチャー栗山の調子は良かった. バッティング練習の時,ペロペロは大振りし過ぎで調子が出なかった.

ペロペロ「トータス,俺,やっぱり青蛙かなあ.」
と落ち込むペロペロ.トータスはペロペロを慰めた. そこへエリートスターズの連中がやってきた.栗山も一緒だ.
小森「おい,青蛙.」
怒ったペロペロは栗山につかみかかった.栗山は大袈裟に痛がった.
小森「ようよう.うちのエースを下敷きにして, 試合に勝つつもりか.」
ペロペロ「違う.そんな.」
小森「どうしてくれるんだよ.おい.」
小森はペロペロをこづいた.トータスが庇って謝ったが
小森「よし,おい,青蛙.栗山に謝れ.土下座して謝れよ.」
ペロペロは無言だ.
小森「お前ができなければ監督呼び出して謝らせるぞ.」
仕方なく,ペロペロは土下座した.
小森「よし,許してやらあ.」
栗山「じゃあ,試合を楽しみにしてやるぞ.」
小森「そんなに口惜しがることないだろう.」
エリートスターズの連中「そんなに口惜しきゃ,栗山の球を打つんだな.」
栗山「無理無理.きりきりまいして三振するのが落ちだ.こんな青蛙. お前のような駄目な奴がいて, よくレッドビッキーズがここまで来れたもんだなあ.」
そう言い放ってエリートスターズの連中は去った.
ペロペロ「畜生.打ってやる.あいつのボールを打ってやる.」

次の練習の時.遂にペロペロは来なかった.令子はトータスに理由を尋ねたが, トータスは「知らない.」と答えた.だが令子は見た. ペロペロの特訓をトータスが手伝っているのを. ペロペロは秘密にしてくれとトータスに頼み込んでいたのだ. 令子はペロペロに理由を尋ねた.
ペロペロ「俺,チームが馬鹿にされたことがたまらなかったんだ. それにチームの重荷になりたくなかった.」
栗山の声「へ.お前のような駄目な奴がいて, よくレッドビッキーズがここまで来れたもんだなあ.さあ,行こうぜ.」
ペロペロ「俺,口惜しくて.だから試合に出るまでに, 秘密特訓しておこうと思って.」
令子「そう.でも言われた事を気にすることはないのよ. ペロペロがどんなにチームのために尽くしたか.自信持って.頑張るのよ.」
ペロペロ「でも駄目なんだ.焦れば焦るほど打てない.俺,駄目だ.」
令子「弱音をはいちゃ駄目よ.まず相手に勝つより先に,自分に勝つ事ね.」
ペロペロ「自分に勝つ事?」
令子「そう.」
ペロペロ「自分に勝つ事か.」

ペロペロの話を令子から聞いたオーナーはナインに檄を飛ばした. ペロペロが馬鹿にされた事はチームが馬鹿にされた事と同じだと. ナインもそれに応え,練習終了後も自主トレーニングに励んだ.なお, シゲの特訓中,オーナーはよし子に怒鳴られてしまった. 令子は張り切りすぎてペースを乱す事を心配していた. それを令子から聞いた恵子は,大丈夫よ,そんなに頑張ってるなら, 試合に勝ってね,と言っていた.ちなみにその日の夕食をトンカツ. 「敵に勝つように」と縁起をかついだ,と令子は見ていた.

そして対決の日がやってきた.CMが明け,プレイボール.先発投手はジュリだ. だがジュリはコントロールを乱し, 先頭打者にストレートのフォアボールを与えてしまった. 二番打者は初球を送りバント.打席には栗山が入った.
ペロペロ「ジュリ,頼む.三振奪ってくれ.打たせるな.」
だが栗山は初球をジャストミート.一点入った.小森も続き,二点目が入った. エリートスターズの監督はジュリが緊張していると見た. 令子はノミさんをウォーミングアップさせた.

裏の攻撃では皆大振りが目立ち,三振ばかり.四回表にも1点入り, 四回裏の攻撃.四番のカリカリはピッチャーゴロに倒れたが, 太郎が二塁打を放った.ペロペロが素振りを開始した.が
令子「ジュク,軽くミートするのよ.」
ジュク「判ってます.」
と言いながらもジュクは大振りして三振.ペロペロの素振りを見て
コーチ「監督,珍しくペロペロに気合が入ってるぞ.ペロペロ使ったら?」
令子はタイムを掛けた.だが
令子「北原ジュリに代わってピンチヒッター片瀬.」
これを聞いたペロペロはがっかりして素振りをやめ,ベンチに下がってしまった.
令子「ノミさん,大振りは駄目よ.」
ノミさん「判ってます!」
令子「その力みがいけないのよ.」
ノミさん「はい.」
ノミさんは打席に入った.令子は心配そうにノミさんを見た.
ノミさんの声「くっそう. ペロペロとトータスを馬鹿にした奴の球を打ってやる.」
が,その心とは裏腹にノミさんは凡打を打ってしまい,攻撃は終わった.
令子の声「心配した通り,みんな張り切りすぎて自分のペースを乱してるわ. 何とかしなければ,このままでは負けてしまう.」

遂に七回表.エリートスターズ三点リードのまま,二死満塁のピンチを迎えた.
ノミさんの声「もう一点もやらないぞ!」
ノミさんは力みすぎてボールを連発. すかさずエリートスターズの連中は「♪ビッキー,ビッキー,青蛙. は〜ねる力も持たないか!」と囃し始めた.それを見たジュクはタイムを掛け, ノミさんに言った.
ジュク「ノミさん,僕達,少し力みすぎてはいませんか?」
ノミさん「え?」
ジュク「少し力を抜きましょう.」
二人とも肯いた.
令子の声「やっと判ってくれたのね.」
こうしてノミさんは三振を奪った.

令子は檄を飛ばした.
令子「さあ,最終回よ.みんな,今までの事を思い出して. レッドビッキーズは今迄一人の力ではなく, みんなの力を集結してここまでやってきたわ.勝とうと思わないで. 力を合わせて.いいわね.」
皆,おう,と応えた.
ブラザーの声「みんなの力を集結してか.よーし.」
ブラザーはヒットで出塁.ナッツも続き,二,三塁のチャンス. 続くセンターはフォアボールで出塁.無死満塁のチャンスでシゲに巡って来た.
オーナー「シゲ,ナイスだ.チャンスだあ.男になるんだぞ.」
だがシゲはポップフライを打ち上げてしまった.
オーナー「おかしいなあ.腰は入ってたんだがなあ,入れ過ぎかなあ.」
次は四番のカリカリだ.だがここで令子はカリカリにお願いした.
令子「ペロペロに代わってお願い.」
カリカリは難色を示した.コーチも難色を示したが,構わず, 令子はペロペロをカリカリの代打に出した.
令子「ペロペロ,特訓を思い出すのよ.」
ペロペロ「はい.」
ペロペロはトータスにキャンディーを渡し,打席に入った.
栗山の声「へ,青蛙か.」
ペロペロは思い出していた.
栗山の声「へ.お前のような駄目な奴がいて, よくレッドビッキーズがここまで来れたもんだなあ.」
ペロペロの声「くっそう.」
だがペロペロは気合が空回りし,二球連続空振り.
オーナー「あーあ.これじゃあ,絶好のチャンスもふいだなあ.」
令子はタイムを掛け,ペロペロに言った.
令子「ペロペロ.焦っては駄目.怒っても駄目.自分に勝つのよ. 相手はペロペロと同じように足も手も目も口も鼻も同じように持ってるわ. ペロペロと同じ人間が投げていると思えばいいのよ.」
ペロペロ「同じ人間?」
令子「そう.頑張って.」
ペロペロ「はい.」
令子「(ペロペロキャンディーを手に持ち)舐める?」
ペロペロは喜んでペロペロキャンディーを舐めた. ペロペロは打席に入った.
ペロペロ「おや?」
ペロペロは気がついた.
令子の声「相手はペロペロと同じように, 足も手も口も耳も目も鼻も同じように持ってるわ.」
思わずペロペロは笑ってしまった.それを見て栗山は怒った.
栗山「何がおかしい.くっそう,この一球で片付けてやる!」
平常心を失った栗山の球は真中に入り, リラックスしたペロペロにジャストミートされてしまった. サヨナラホームランだ.次々とホームに帰る走者達,そしてペロペロ.
ペロペロ「監督,俺,打ったあ.」
令子は拍手した.
令子「ペロペロ,見事よ.」
ペロペロの目から涙がこぼれた.そしてペロペロは胴上げされるのであった.
ナレーター「長い間ベンチを暖めたペロペロにも, はじめてレッドビッキーズの一員であると言う自覚が胸の中にこみ上げてきた. チームワークを守りつづけた令子に,また一人,心強い戦士が誕生した. そしていよいよ.全国少年野球大会への出場を賭けて, 宿敵ビューティースターズを迎える事となった.」

次回は感動の最終回.宿敵ビューティースターズとの対戦です.

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東平 洋史 E-Mail: hangman@basil.freemail.ne.jp