「がんばれ! レッドビッキーズ」第38話

ピアノの練習を優先するジュリにナッツが反発.
対決? ナッツとジュリ

脚本:鷺山京子 監督:奥中惇夫

レッドビッキーズはバイキングと練習試合をすることになった. 太郎の加入でレギュラー争いが激しくなり,皆闘志を燃やした. だが問題はそれだけではなかった.
ジュリ「監督,帰っていいですか? ピアノのレッスンがあるんです.」
令子は帰るのを許した.それを見て
ナッツ「あんなのないわよ.ピアノだなんて.」
これは大きな騒動の前触れでしかなかった.
カリカリ「一度でいいから,ピアノを見てみたいなあ.」
トータス「うん…とトータスも言っています.」
ナッツは膨れっ面だ.ここでタイトル表示. 挿入された石森先生の絵でもナッツとジュリがお互いにそっぽを向いていた. これが今回のテーマだ.

さてコーチの指導の元,激しい練習が繰り広げられた. 次の練習の日もジュリは遅れてやってきた. ジュリはトンボや箒を持とうとしたが,センターもブラザーもカリカリも, そんなことしなくていいよ,と言った.
ナッツ「そんなの変よ.」
思わず,カリカリ達は振り向いた.
ナッツ「だって同じチームメイトなのに.」
ブラザー「いいんだよ,お前は.ジュリちゃんとは違うの.」
兄の言葉にナッツは納得しなかった.
ナッツ「どうして.」
ブラザー「どうしてって,違うんだよ.なあ.」
カリカリ「違うんだよ.」
ナッツは膨れっ面だ.

ジュリの球をカリカリもブラザーもシゲも打つ事が出来なかった. ノミさんは実力のある方がエースさと静かに闘志を燃やした. その日もジュリは早退しようとした.遂にナッツの怒りが爆発した.
ナッツ「待って.どうして北原さんだけ特別扱いなんですか?」
令子「あら,話さなかったかしら.ジュリさんはピアノを習っていてね, お母様が野球をやるのを許してくださらなかったの.」
ナッツ「でも,みんなと一緒に練習しないなんておかしいわ.」
令子は罰が悪そうにコーチの方を見た.
カリカリ「いいじゃないか,練習しなくたって. あんなに凄いボールを投げられるんだもんなあ.」
ナッツ「じゃあ,上手なら練習しなくてもいいの? みんなが一生懸命練習してるのに.」
コーチ「いや,そうじゃないんだ.北原の場合,ちょっと事情があってなあ.」
ナッツは納得せず,恐い顔をしてジュリを睨んだ.令子は,帰っても良い, とジュリに言ったが,ナッツの目は怒りに燃えていた. 令子もコーチも頭を抱えていた.

遂にナッツは北原家の前までやって来た. ジュリは外へ出てピアノの先生を見送った.ナッツはジュリに声を掛けた.
ナッツ「ピアノと野球とどっちが大切なの?」
ジュリ「いらっしゃいよ.美味しいケーキがあるの.」
だが
ナッツ「レッドビッキーズを辞めるべきだわ.」
これを聞いたジュリは怒ってしまった.
ジュリ「あなたにそんなこと言う資格はないでしょう!」
ナッツ「あなたこそ野球をやる資格はないわ. 少しぐらい上手だからって勝手なことばかりして.」
ジュリ「ちゃんと監督の許可を受けてるわ.余計なお世話よ.」
売り言葉に買い言葉.どちらも正論だ.遂に
ナッツ「最低よ.あなたなんかと一緒にプレーなんかしたくないわ.」
そう言い放ってナッツは帰ってしまった.入れ替わりにブラザーが登場. ブラザーはジュリに謝った.
ジュリ「みんなには悪いと思ってたもん.でもあんな風に言われたら, 頭に来ちゃう.あたしだってピアノより野球の方がやりたいのに.」
ブラザーはナッツに「お前に代わってジュリさんに謝ってやったぞ.」 と言ったが,それはナッツの怒りの火に油を注ぐだけだった.

遂にナッツは令子に辞めると宣言した.ナッツは臍を曲げ, 自分が辞めれば下手糞なブラザーがショートになれる,とまで言い出した. 令子はバイキングとの試合まで待ってくれと言ったが
ナッツ「あの人のバックアップをするのは嫌です.」
令子「いいわ.その代わり,じゃあこの試合が終わったら, 3人でよーく話し合って,この問題を解決しましょう.いいわね.」
ナッツは元気のない声で「はーい.」と言い,去って行った. 恵子に令子がこぼした.
令子「もしジュリさんがサウスポーでなかったら,普通の女の子だったら, あたしもナッツの言う通り,ピアノか野球か, どっちか一つを選ばしていたかもしれないわ.」
恵子「ねえ,ジュリさんって可愛いんでしょう.」
令子「うん.まさにピンクのサウスポーって感じよ.」
本放送当時,ピンクレディーの絶頂期だった.
恵子「でしょう.だからなのよ.」
令子「ナッツが焼餅嫉いてるって言うの? まさか.」

CMが開けて向かえたバイキングとの試合.先発はジュリ.太郎がレフトに入り, ナッツがベンチに下げられ,ブラザーがショートに回った. ライトはトータスではなく,ペロペロだ.トータスは悔しさを現にした. ちなみにオーナーが「サードがシゲだよな.」と言った時, ジュク達の顰蹙を買った事を付け加えておく. 初回は一点取ったが,太郎は三振でスリーアウト.
オーナー「やっぱりあいつは三振かホームランだな.」
悪乗りしたスタッフはピンクレディーの「サウスポー」を流し, ジュリの投球を映した.ジュリの投球は冱え,三振や凡打の山を築いていった. そして向かえた3回の表.カリカリが二塁打を放った.続く太郎は初球を空振り. 二球目は見送り.そして三球目は外野の頭を超え,ツーランホームランとなった. 3回裏二死.ノミさんがナッツを相手に投球練習を開始.その直後, ペロペロの前にフライが落ち,二塁打となった. こうしてペロペロはベンチに下げられた.その後,ブラザーがトンネル.
コーチ「おい,ナッツ.」
だが
ナッツ「私,今日は出ません.」
続く打者はブラザー強襲のヒットを打った. ブラザーはメガネを落としてしまい,三塁打になってしまった. ブラザーはわざとメガネを割り,メガネが壊れたとアピール. 令子はブラザーをベンチに下げ,ナッツをショートに入れた. だがナッツは令子の指示を聞かず,わざと深めに守った. それを見るジュリ.そっぽを向くナッツ.同じくそっぽを向くジュリ.
ブラザー「すいません.俺が悪いんです.あいつ怒らせちゃって.」
令子「そんなに意地を張らなくたって良いのに.」
ジュリは二球続けてボールを投げてしまった. ジュリの動揺を見て取ったジュクはタイムを取り, わざとど真ん中に投げるように指示をした.ジュリは無茶だと言ったが
ジュク「無茶でも良いんです.バックを信頼してど真ん中.」
ジュクの堅い決意にジュリは負けた.
ジュリ「わかったわ.」
ジュリの打球を打者はジャストミート.三遊間を抜くヒットになるかと思われた. だがジュリはジャンプしてライナーを捕った.
ジュリ「捕ったわ.」
皆,ナッツのところに集まった.
ジュリ「ありがとう.」
こうして二人は和解した.
コーチ「判らん,判らん.女の子ってのは難しいなあ.」
令子「野球には男も女もないわ.心はみんな一つなのよ.」
ナッツとジュリは仲良くならんでベンチへ引き揚げていった.

次回,カリカリのペンフレンドがいるチームと対戦しに, レッドビッキーズは山中湖畔へ遠征に出かけます.ですが…

ジュリと太郎の加入に伴ってオープニングとエンディングが少し変更されました.

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東平 洋史 E-Mail: hangman@basil.freemail.ne.jp