「がんばれ! レッドビッキーズ」第37話

太郎登場
おれはホームラン太郎

脚本:上原正三 監督:奥中惇夫

今日もレッドビッキーズの練習が行なわれていた.ジュリの背番号は11番. ジュリの投球フォームを見て皆感心.
カリカリ「それに可愛いなあ.」
ナッツは少し嫉妬していた.これは来週の伏線です.閑話休題. ノミさんも相乗効果で気合が入っていた.ジュリは途中で帰った.
ナッツ「監督,なぜ一人だけ帰るんですか?」
令子「用があるのよ,ジュリさん.」
ナッツは不満そうに帰っていくジュリを見ていた. 投手は二本柱が出来た.後はスラッガーを育てることだ. 令子はペロペロに期待していた.ペロペロにその力は十分あったが, 問題はタイミングが全然合わないことだった.
令子「試合では打ったこともあるのにねえ.」
そのとき,シゲがカリカリの自転車をいじっている者がいることに気付いた. 怒ったカリカリはその少年兄弟二人に詰め寄った. だが彼らは自転車を直して上げていただけだった.皆,礼を言った. それに彼らはレッドビッキーズの服を着ていた. 二人ともレッドビッキーズに憧れていた. オーナーは待望の長距離砲にどうだと兄の方に目をつけたが, 二人とも雑用係で十分,と答えた.兄弟の名前は西郷太郎と西郷次郎だった. レッドビッキーズが練習する傍らで二人はスパイクやグローブを摩いていた. そしておにぎりを頬張った.

翌朝.カリカリとシゲは,西郷兄弟が来るかなあ,来るわけないよ, と言い合っていた.そして皆がグランドへ来てみると, 一足先に西郷兄弟が来ていた.二人はグランドの小石を拾い, グランドをピカピカにしていた.さらに西郷兄弟はカリカリの自転車を修理. レッドビッキーズは練習を開始した.令子は太郎に野球をしないかと誘ったが, 太郎は雑用係で十分と言った.ちなみにこの日の練習にジュリは来ていなかった. ナッツはなぜジュリが来ないんだと令子に詰め寄っていた.

令子が家に帰ると窓ガラスがピカピカになったと恵子が喜んでいた. 「レッドビッキーズの雑用係」が摩いてくれたと言う. なお西郷兄弟は令子の下着まで洗濯し,令子にやり過ぎだと言われてしまった. 二人は兎に角令子のために働きたかったのだ.

しばらくしてよし子が令子のところへやって来た. 何と西郷兄弟が長山庵で働いていたのだ. さらに太郎はノミさんが内角を攻める為の手伝いをするのを令子は目にした. 太郎は自分で申し出たのだ.ノミさんは手が滑って太郎に球を当ててしまった. もうやめろという令子に言うので,太郎はブラザーの方を揉んでやった. 練習が再開された.だがペロペロは手の豆を潰してしまい, バットを握ることができなかった.ボールを洗う西郷兄弟を見て, 令子は「不思議な少年だわ」と思うのであった.

練習終了後,令子は西郷兄弟のあとをつけてみた. 西郷兄弟の父親は自転車屋を開いていた.令子は西郷兄弟の父に声を掛けた. 西郷兄弟は父親の勧めでレッドビッキーズの手伝いをしたのだ. と言うのも太郎は野球をやりたがっていたからだ.
父「いやねえ,私はこう考えるんですよ. 野球も人生も同じく己との闘いであると.」
令子「それで雑用係を.」
父「ええ.辛い事に断え得る精神力がなければ, 野球の辛い訓練にはとてもついていけません.そうじゃありませんか?」
令子は肯いた.西郷兄弟の父は太郎が素振りする様子を令子に見せた. そして西郷兄弟の父は太郎をレッドビッキーズに入れてもらえないかと頼んだ.
令子「でも,どうしてレッドビッキーズを?」
父「ええ.レッドビッキーズは悔しさを知っているチームです. 何度も叩きのめされながらどん底から這い上がってきたチームです. 私はそういうチームが好きですたい.」
令子は快諾した.西郷の父は大喜び.次郎は太郎に頑張れよと言って喜んでいた.

そして向かえたテストの日.ノミさんが第1球目を投げたが太郎は空振りした.
父「ボールから目が離れちょる.」
だが太郎は3球続けてノミさんの球をジャストミートしセンターの頭を超えた.
オーナー「おお,まさしく長距離砲だな.」
投手はジュリに交代.太郎はジュリの初球も打ち,トータスの頭を超えた.
2球目は空振り.
父「顎を退け,顎を.」
3球目はジャストミートし,センターの頭を超えた.
カリカリの声「ノミさんもサウスポーも打たれちまった.参ったなあ.」
オーナー「こりゃ凄いけど,ホームランか三振かだなあ.」
コーチ「でもペロペロと違って手首は柔らかい. 粗削りだけどタイミングの取り方は抜群だ.掘り出し物だぞ.」
こうして太郎はレッドビッキーズの一員になった.
父「さ,一緒に監督や皆さんの前でニックネームを. 自分で考えたニックネームを.」
太郎「うん.俺のニックネームは…」
父「おーい,言うんじゃ.はっきり言わんかい.」
太郎「うん.俺のニックネームは…ホームラン太郎だ.」
オーナー「ホームラン太郎.こりゃいいや.」
オーナーは大笑い.太郎がおにぎりを頬張るのを見て
令子「ホームラン太郎よりおにぎり太郎の方がお似合いだわ.」
と言うのであった.

さて次回はナッツがジュリに対抗意識を燃やし,ちょっとした騒動勃発.

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東平 洋史 E-Mail: hangman@basil.freemail.ne.jp