ブラザーは大振りが目立って球を打つことが出来なかった. 練習でも球が前に飛んでこないのでカリカリは気が緩んでしまい, コーチに注意された.その頃,東京大会の抽選会が行なわれた. レッドビッキーズはあのビューティースターズと同じAブロック. そしてレッドビッキーズの第一回戦の対戦相手はパンダーズに決まった.
ブラザーはがんがん打ちまくるぞと言い,コーチに大口叩くな,と怒られた.
そこでブラザーは「♪しら〜けど〜り,と〜んでゆ〜く南のそ〜ら〜へ.
みじめ.みじめ.」と歌った.どうでもいいが,小松政夫さんが聞いたら,
本当に惨めになっちゃうほど音痴だった.閑話休題.皆失笑.
ナッツ「やめてよ,お兄ちゃーん.惨めなのは妹の方だわ.」
見事に落ちがついた.さて練習終了後,ジュクに可愛い女の子が声を掛けてきた.
それを見てブラザーは一目惚れ.彼女はジュクのいとこ小野綾子だった.
小野綾子は今度転校してきた子で6年生で評判の美人だった.
ブラザーはジュクに恋の仲介をしてくれ,と頼んだ.ジュクは渋ったが,
結局ブラザーの頼みを聞き入れた.
そしてブラザーは綾子とデートする事になった.
鏡に向かいながら,ブラザーはナッツにメガネかけた人は好きかと聞いた.
ナッツ「できればかけない方がいいわ.」
ブラザー「やっぱりそうか.」
ブラザーはめかしこんでいた.
ナッツ「ばーかみたい.」
その日の夕食で令子に父の幸一郎が言った.
幸一郎「快調な仕上がりらしいな.」
令子「ん?」
幸一郎「レッドビッキーズの戦力だよ.」
令子「うん.まず第一戦は頂くつもり.」
恵子「はーん,レッドビッキーズの監督にあるまじき,大変な自信じゃない.」
令子「籤運が良くってパンダーズと当たったの.
ピッチャーは大したことないらしいのよね.
コントロールでかわしてくるタイプ.」
だが幸一郎の見方は違っていた.
幸一郎「それは不気味だな.コントロールが良くって,
コーナーに投げ分けられたら,打てそうで打てないもんだ.」
令子「そうかしら?」
幸一郎「高校野球でもそういうタイプの投手が優勝投手になっている.
しめてかからないと痛い目に遭うぞ,令子.」
コーチ「お父さんの言う通りだ.
コントロールのいいピッチャーが一番打ちづらいからなあ.」
パンダーズの練習を見に行く途中でコーチは令子にそう言っていた.
さてブラザーはおめかししてデートに出かけた. ブラザーはメガネを外していたため,別の女の子に声を掛けてしまった. そう.ブラザーは近眼だったのだ.これは伏線なので覚えておきましょう. 閑話休題.ブラザーは何とか綾子と合流し,一緒に喫茶店へ. 綾子との話は盛り上がった.ブラザーは外野の大事さを力説した. 第一にバッティングが優秀でなければならない. 第二に足が速くなければボールの落下点へ速く行くことができない. さらにブラザーは勢い余って「ジャイアンツはもう古い. 僕の夢はヤンキースタジアムでホームランを打つことです. ベーブルースのように.」と言い出した.綾子は感心してしまい, 今度の試合を見に行くと言い出した.その言葉に慌てたのか, それとも近眼のためか,ブラザーはフルーツパフェを顔にくっつけ, 綾子の失笑を買ってしまった.
さて練習ではブラザーはバントの練習ばかりで不満を漏らした.
そこへ綾子が現れた.張り切ったブラザーだったが,バントに失敗し,
顔に自打球が当たってしまった.ブラザーは手を痛めたと大騒ぎ.
綾子が去った後,カリカリはかっこうつけるからだとからかった.
怒ったブラザーはカリカリをぶん殴った.だが痛そうな様子ではない.
怪我した方の手でぶん殴っていたからだ.そう.手を痛めたというのは嘘.
俺は補欠なんかじゃねえ,バントばかりやってられるか,というブラザーに,
令子はバント練習500本を命じた.みんなが帰った後,
ブラザーは居残りで練習だ.ブラザーは根をあげそうになり,
倒れこんでしまった.そんなブラザーに令子はいった.
令子「野球はねえ,9人でやるものなのよ.9人の力が一つになった時,
勝利が生まれるわ.監督のあたしにとっては,
ホームランや二塁打と同じように大事.必要なのよ.重大なのよ.
バントが成功するかしないかは.わかって頂戴.」
それを聞き,ブラザーは立ち上がって言った.
ブラザー「お願いします.」
そしてパンダーズとの試合の日.オーナーは太鼓を叩いて大騒ぎ.
妻のよし子もやって来て大騒ぎ.
幸一郎「相手ピッチャーなかなかいいぞ.」
そしてブラザーの打席.練習の成果が現れ,ブラザーはバントヒットを決めた.
しかし後続のスタイルが続かず凡退.以後,両軍とも点が入らなかった.
焦るレッドビッキーズの打者は大振りが目立っていた.
幸一郎の懸念が的中したのだ.
恵子「点が入らないわねえ.」
幸一郎「素晴らしい投手戦だ.」
そして最終回.パンダーズの先頭打者は三塁前へバントヒットを決めた.
そのときシゲがお手玉したことを付け加えておく.
ピッチャー前の送りバントでランナーが二塁へ.
そして次の打者が二塁のスタイルの真横を抜き,パンダーズに一点が入った.
オーナー「まーたっくダメだなあ.」
だが続く打者をノミさんは6-4-3のダブルプレーに打ち取った.
裏の攻撃.カリカリはキャッチャーフライ,
ノミさんもセカンドゴロと連続して凡退し,あっと言う間にツーアウト.
恵子「あなたあ.」
幸一郎「細川君のペースにはまり込んでしまってる.」
オーナー「だめだあ.」
よし子「店閉めるんじゃなかった.」
令子はジュクの代打にペロペロを起用した.
なぜかピッチャー細川のコントロールが狂い,ペロペロはデッドボールで出塁.
ツーアウトでランナー1塁という美味しい場面で,
ブラザーが打席に入ることになった.
パンダーズの監督はバントヒットに気をつけろとバッテリーに忠告.
それを横目で見ながら
令子「相手はバントだと思ってる.
おもいっきりひっぱたいて前進守備の内野を抜くの.」
ブラザー「打っていいの?」
令子「思いっきりね.」
綾子が見守る中,ブラザーは初球を叩いた.
打球は左中間を抜く大飛球.あのペロペロが楽々生還.
ブラザーは三塁にヘッドスライディングしてしまい,
メガネを落としてしまった.三塁手が落球したので,
三塁コーチはホームへ走るように指示.だがブラザーはメガネがないので,
ホームベースが良く見えない.千鳥足でブラザーは本塁へ向かった.
ブラザーはヘッドスライディングしたが,ホームベースに手は触れていなかった.
そうするうちに外野が球を返球した.危ない.アウトか?
キャッチャーが球を捕った.だが間一髪,
ブラザーの手がホームベースに触れていた.球審はセーフの判定.
サヨナラ勝ちだ.ジュクがブラザーにメガネを渡し,
令子がブラザーに帽子を被せてやった.
こうしてブラザーは泥だらけになりながらも,
綾子の前で活躍することができ,レッドビッキーズも一回戦を勝ち進んだ.
次回は乱暴者集団のブラックマンモスが相手. 尻込みするナインのために令子が取った作戦は何か?
「がんばれ! レッドビッキーズ」へ 「私の好きなテレビ番組」へ 「touheiのホームページ」へ戻る.