第二十七回
ジュクがキャプテンに
キャプテンは誰れに
脚本:上原正三
監督:奥中惇夫
少年野球大会の抽選会が開かれた.
レッドビッキーズは1番を引き当て,ハンマーズと当たることになった.
ちなみにモンキーズはホワイトシャークと当たることになり,
レッドビッキーズが5番を引けばバイキングと当たることになっていた.
ハンマーズは10試合で勝率10割.中心打者の神雷太の打率7割5分5厘,
ホームランが8本でその中には2打席連続ホームランも含まれていた.
しかも神は小学校6年生で柔道初段.どうてもいい話だが,
ハンマーズ監督の森田役はスペクトルマンこと成川哲夫さん.
その数字をオーナーから聞いてメンバーの元気がなくなってしまった.
まるで蛇の前の蛙だ.令子の家で悩む令子とコーチに,
お母さんは「シマウマになったら.」とアドバイス.
お父さんの行っているアフリカでは,
シマウマでさえもライオンに勝つことがあるというのだ.
つまり群れを作って団結すればライオンにも勝てるかもしれない.
それを聞いた令子とコーチはキャプテンを決めることにした.
ところがエースのノミさん派(ジュク,ナッツ,トータス,ペロペロ)と,
4番打者のカリカリ派(センター,スタイル,シゲ,ブラザー)に二分.
仕方なく令子は次のハンマーズ戦の活躍の具合を見て決めることにした.
ジュクとノミさんはハンマーズの偵察へ行った.
神の写真を撮ってフォームを分析しようとするジュク.
だが見つかってしまい,ノミさんは逆に勝負を挑まれ,打ち込まれてしまった.
「もっと速いボールないの?」と言う神雷太.
うなだれるノミさんをジュクは励ましたが,焼け石に水.
そこでジュクは勉強の合間に写真を見て作戦を練ることにした.
ジュクの呟き「どうしたら神雷太を抑える事ができるんだ.」
神雷太の声「もっと速いボールないの?」
ジュクは手を抜かずに一生懸命真剣に練習する神雷太を神社で見かけた.
一方,ノミさんは弟を相手に遊んでばかり.打たれると諦めていたのだ.
そんなノミさんにジュクはハッパをかけた.
ジュク「神雷太は人に隠れて特訓しています.あの天才といわれる男がですよ.」
ノミさん「今更やったって…」
ジュク「神君に失礼ではありませんか!」
ノミさん「失礼?」
ジュク「神君は僕らを馬鹿にしていない.だから真剣に練習してるんです.
それなのに僕達と来たら…」
うなだれるノミさん.
ジュク「やりましょう.最大の努力をして,
それで真っ向から勝負してみるんです.」
それを聞いたノミさんはジュクと一緒に練習を開始.
そして迎えた試合の日.初回.
表の攻撃でジュクはアドバイスをカリカリに送った.
だが邪推したカリカリは「うるさいなあ.」と興奮.三振してしまった.
裏の守り.ノミさんは2アウトを取ったが,
四番打者の神が素振りをするのを見て悪夢が蘇り,
三番打者に死球を与えてしまった.次は神だ.令子はジュクを呼び寄せた.
コーチは攻めのリードをしろとジュクにアドバイス.
ウィークポイント,つまり得意なコースからボール1球だけ外せというのだ.
ところが神にはホームランを打たれた.そして神の二打席目は三塁打.
こうして2対0のまま試合は推移し,レッドビッキーズの攻撃を向かえた.
センターとシゲが塁に出た.カリカリの打席.ジュクは言った.
「肩の力を抜け.」そして力の抜けたカリカリのヒットで同点に追いついた.
続くノミさんは三振.裏の攻撃.ランナーが出てしまった.
神の打席だ.ベンチに呼ばれたジュクは神との勝負を主張.
だが敢えてジュクは神との勝負を主張した.
神の得意なコースを見つけたというのだ.令子はジュクの進言に賭ける事にした.
1球目はストライク.ハンマーズの監督はただならぬ雰囲気を感じ,
神にアドバイス.2球目もストライク.ここでジュクはマウンドに行き,
ノミさんに勝負を進言.ノミさんもカリカリは危ないと言ったが,
ここで勝負しなければいつまで経ってもノミさんの弱気の虫は治らない,
練習を思い出すんです,とジュクは言った.
それを聞いたカリカリもノミさんもジュクの意見に同意した.
無心になったノミさんには神の姿は見えず,ジュクのミットだけが見えた.
ミットめがけてノミさんはボールを投げると,見事に神は空振りした.
こうして神を三振に切って取ることに成功.結局試合は2対2の引き分け.
審判はキャプテンが来てジャンケンするように言った.
令子は誰をキャプテンにするか迷った.そのとき,
ノミさんはジュクをキャプテンに推薦した.ジュクのアドバイスがなければ,
勝負ができなかったからだ.カリカリも,
ジュクのアドバイスのお陰で同点打を打てたとノミさんの意見に同意.
ジュクは冷静にみんなのことを見ている.メンバーはみんな賛成した.
そしてキャプテンのジュクはじゃんけんに勝ち,
レッドビッキーズは初戦に勝利した.ジュクは照れながら,
「これから塾がありますから.」と言ってベンチへ走り去るのであった.
なお今回からオープニングとエンディングが変わりました.
東平 洋史
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