ウルフズとの試合.最後のバッターのセンターは空振り三振.5対4で惜敗した. センターはこの打席で26打席連続凡退,つまりスランプに陥っていた. 練習でもいまいちで試合になるとダメなのだ.その晩, センターは食欲が無く,夕御飯を食べずに部屋に入ってしまった.余談だが, センターの家はかなり裕福な家庭らしく,食事はナイフとフォークを使って食べ, 部屋もかなり立派でお母様のお言葉もお上品だ.それは兎に角, 次の試合でもセンターはノーヒット.29打席連続凡退だ. 必死に練習するセンターだったが,スランプを脱出できそうに無い. 遂にコーチは打線を組替えてセンターを9番に下げたらどうか,と言ったが, 令子はセンターが自信を無くすと反対した.センターは悩んでいた. 「いつになったら,どうやったら荒川さんのように打てるのだろうか?」 と悩むセンターのところへジュクとノミさんがやってきた. 生きた球を打ってスランプから抜け出して欲しかったのだ. その様子を令子は陰で見ていた.そこへおばさんがやってきた. ボールを拾って代わりに打たせてくれと頼んだ. 何と女の人ははじめてバットで球を打つという.握り方もいいかげんだったが, 足でリズムを取ってノミさんが軽く投げた球をジャストミート. 二球目もその要領で打ってしまった. 思い切って令子はおばさんにバッティングのコツを教えてくれと頼んだ. おばさんは日本舞踊のお師匠さんだった.だからおばさんは野球は素人だと答え, バッティングを教えることはできないと答えた. 自宅でその話をした令子にお母さんは 「一芸に秀でた人は何でもできるのかもしれないわね.」と言った. そこで令子はお師匠さんのところへ行って,どうやって打ったのか聞いてみた. 「間が合ったのかもしれないわね.」 それを聞いた令子はタイミングの問題だと気が付いた. そこで令子はお師匠さんに頼み込み,センターに日本舞踊を教えこませた. コーチからそのことを聞いたオーナーは怪訝な顔.そりゃそうだろう. お師匠さんの舞を見ていたセンターは野球のことを考えていた.すると 「ここで一呼吸,間を取るのです.」というお師匠さんの声が聞こえてきた. 遂にセンターもタイミングのことに気がついた.しばらく経って, タフガイズとの試合の日がやってきた.令子はセンターを二番に据えてみた. 初回も,6回裏の一死二塁のときもセンターは内野ゴロで凡退. コーチはペロペロに用意するように命じた.そして7回裏二死満塁. 令子はセンターに「思い切っていくのよ.」と命じた. センターは初球を見送った.二球目は大ファール.その後ボールが続き, カウント2-3.センターはお師匠さんの舞を脳裏に浮かべていた. 「ここで一呼吸,間を取るのです.」センターはリズムを取った. そしてセンターはジャストミート.走者一掃のランニングホームランを打ち, 7対5でレッドビッキーズのサヨナラ勝ち. こうしてセンターは踊りから打撃を学び取り,スランプから脱出したのであった.