第二十四回

レッドビッキーズと記憶喪失の少年との交流
まぼろしのテスト生

脚本:伊上勝 監督:田中秀夫

レッドビッキーズの練習を毎日熱心に見ていた少年がいた. 少年の名前は今井清.清の母親が迎えに来たが, 清は「今の僕はあなたをお母さんとは呼べません.」とおかしな事を言った. 練習終了後,令子は清の球を受けてみた.清の投げる球はとても重く, レッドビッキーズの誰よりも速かった. 令子は清をレッドビッキーズに入らないかと誘ったが, 清は「あの人や先生が何と言うか…」清は病院に通う身だったのだ. それを聞いた令子は清の母親に清のことを聞いてみた. 清は一ヶ月前に交通事故に遭い,頭をうって記憶喪失になっていたのだ. そのため,母親の顔も父親の顔も何もかも思い出せない状態で, ただ一つ野球をしたことだけを覚えていた.そのとき, ある一つのことがきっかけで記憶を取り戻せるかもしれない, と医者が言っていたことを清の母親が思い出した. そこで令子は清を助けるために清をテスト生として迎えることにした. 清の球を受けたジュクはあまりの速さを驚いた.コーチも絶賛. 清の球をシゲは空振り. かろうじてスタイルがインハイの球を打っただけだった. それを見たノミさんは自信を失ってしまった. 公園でジュクとカリカリに「エースは誰なんだ.」と聞くノミさん. ジュクとカリカリは言葉を失ってしまい,コーチに聞いてくれと言葉を濁したが, ノミさんは落胆して帰ってしまった.一方, 長山庵では令子が清を投げさせようと言っていた. そこへシゲがノミさんから預かったと言って,風呂敷包みを持ってきた. あけてみると中にはユニフォームと退団届が. 他のメンバーも「エースはノミさんだ.」と団結し, 清をやめさせようと令子に詰め寄ってきた. みんなの意見を聞いた令子は清が記憶喪失であることをみんなに告げた. それを聞いたノミさんは腐った自分を恥じ, 実力でエースの座を死守すると言った.そして清を快く受け入れようと言った. そして試合の日.ノミさんは一生懸命投げたが途中で肩を痛めてしまった. 早速令子とコーチは清をリリーフに起用.マウンドに他のメンバーも駆け寄り, 清を励ました.それを陰から見守る清の母.清は好投し,接戦だ. そしてレッドビッキーズの攻撃.先頭打者は清だ.塁に出た清は, ヒットで本塁にヘッドスライディング.そのとき, 清は車にぶつかった時のことを思い出し,記憶を取り戻した. 「清!」と叫んで駆け寄る清の母.「お母さん.」と言って駆け寄る清. 親子は抱き合って喜んだ.それを見て令子は涙をこぼした. レッドビッキーズのメンバーは清を胴上げ. それを見て「よかった.」と令子は思うのであった.


東平 洋史 E-Mail: hangman@basil.freemail.ne.jp