第三回

遺産争いに乗じて一儲けを企む始末屋を吊るす.
ホテル腹上死を演出する始末屋

脚本:中村勝行 監督:帯盛迪彦

ある晩.新宿のクラブから弁護士がホテルの仕事場へ帰ろうとした. ホステスは弁護士に, 店が終わったらホテルの仕事場へ行ってもいいかと尋ねていた. 弁護士は嬉しいよと答えていた.そしてその言葉通りにホステスがやってきた. いきなりホステスは「私,先生が好きなんです.」とキスしてきた. そしてホステスは浴室でシャワーを浴びて全裸で出てきた. 弁護士も浴室に入った.その途端,男(川辺久造)が入ってきた.男は浴室に入り, 浴槽に電極をつけて弁護士を感電死させてしまった. ホステスはいけしゃあしゃあとフロントに電話を入れ, 弁護士の西山が倒れたので救急車を呼んでくれと言うのであった.

今週のギャラ交渉

その翌日.「飯田橋つり掘」にチャンプがやってきた.
チャンプ「1時間500円か.ほな30分やし,250円でええなあ.」
せこいチャンプはここでも値切ろうとしたが
主人「すみません.うちでは時間単位なんで.」
チャンプ「すぐ済むのやけどなあ.これ,まあまあ,ええわ.」
チャンプは500円札を渡した.
主人「あ,お客さん,餌は要らないんで.」
チャンプ「餌いらんけど,領収書,ちゃんとくれよ.」
チャンプが中に入ると園山が先に来ていて釣りをしていた. チャンプは園山の頭を釣りざおで叩いた.
チャンプ「結構な釣り日和だすなあ.」
園山は早速アタッシュケースを開け,封筒を取り出してチャンプに渡した. 資料を見たチャンプは
チャンプ「厄介な仕事やなあ.なんぼでおろすつもりや.」
園山「300.」
チャンプ「は.そらあなあ,安すぎるわ.」
園山「この資料である程度,犯人の目星はつく.だからその分, 調査費を削ったんだ.」
チャンプ「はあ,あ,そう.」
チャンプが園山に葉巻の煙を吹きかけたので,園山は露骨に嫌な顔をした.
園山「君ねえ.」
チャンプ「禁煙の札は出てまへんで.」
園山はチャンプから離れるために立ち上がったが, チャンプはすかさず詰め寄った.
チャンプ「な,園やん.」
園山「君,言葉使いに気をつけたまえ.私はゴッドの代理人なんだ.」
チャンプ「あ,こりゃ,どうも,失礼.園山はん.」
園山「あ?」
チャンプ「こんな子供騙しみたいなことはいかんわ.これは基本的な問題やで. え.犯人の目星がついているなら,わしらにこの仕事回しまへんやろ.」
図星だったらしく,園山はチャンプの方を向いた.
チャンプ「ゴッドのおっさんはそのことをちゃんとお見通しや. この事件は相当底が深いことをね.」
園山「じゃ,いくらなら請け負うんだね.」
チャンプは右手を広げて見せた.
チャンプ「500万.」
園山「450.」
チャンプ「ちょっと待ってえなあ.その金額はどんな根拠から出てきたんや.」
園山「最初に提示した金額の5割増だ.これ以上はびた一文出せんね.」
チャンプ「商売人やねえ.あんたには負けたわ.はい,ほな460.」
チャンプはさらなる値上げを求めて手を伸ばすのであった.

さてE・Tが犬を手当てしているとチャンプから電話がかかってきた.
チャンプ「おい,仕事や.450で手を打った.みんな集めてくれ. え? ああ,パートのおばはんは俺が何とかする.任しとけ.」

調査開始

さてアロハツーリストでは, 加代子がアロハシャツのようなガラのワンピースを着て, 花を頭に着けて仕事に励んでいた.そこへチャンプが帰ってきた.
加代子「あ,お帰りなさい.」
チャンプ「ただいま.あら,奥さんだけ.みんなは?」
加代子「多分,外回りでしょ.」
チャンプ「あ,そやね.旅行代理店ちうのは営業活動が主体やからねえ. ああ,ええ匂いやなあ.なんやろなあ,ええ匂いやなあ.」
加代子「え?」
チャンプ「奥さんや.」
加代子は恥ずかしがった.
チャンプ「ええ匂いや,奥さん.まあ,もう奥さんのうなぎ,いやうなじ, 色っぽいなあ.」
チャンプはわざと加代子の両肩を触った. すると加代子は「ああ.」と叫んで立ち上がった.
加代子「いけません.」
チャンプ「ああ,脂が乗り切っててむんむんするわ.いけない,こりゃ,奥さん, たまらんわ.」
チャンプは背後から加代子に抱きついた.
加代子「いけません.私は人妻でございます.」
チャンプ「わかってますがな,奥さん.待って,奥さん. 奥さんのご主人は長の患い.奥さん,正直な人や.口では嫌や,嫌や, ゆうても体はこんな風に燃えておりますがな.」
加代子「いけません,そんな.」
チャンプ「奥さん,幸い,誰もいませんし,いっぺんだけ,ね.」
加代子「いえ.一度が二度,二度が…それが恐いんです.」
チャンプ「嘘つかしまへん.いっぺんだけ,ね.」
加代子「お願い.お願い.許して.」
チャンプ「奥さん,ちょっと,奥さん.奥さん.」
加代子「ああ.」
散々チャンプは加代子を相手に遊んだ後,
チャンプ「あ,ころっと忘れてた.仕事,仕事.ちょっと,起きて. 航空社寄ってね,パック旅行のパンフレットもらってきてくれます.ね.」
加代子「はい.」
加代子はアロハツーリストを出て行った.
加代子「人妻って辛いわ.」
チャンプの作戦成功. E・T,マリア,ヌンチャクは加代子と入れ替わりに店に入った.
チャンプ「おい.遅かったやないか.クローズ,クローズ.」

アジトでチャンプが指令を説明した.
チャンプ「西山雅弘54歳.経済界じゃ,ちょっと名の通った弁護士や.」
E・T「そういえば,今朝の死亡告知欄に.」
チャンプ「そう.表向きは心臓発作ちうことになっとるが,実は腹上死や.」
マリア「腹上死?」
チャンプ「そう.腹上死.ホテルのフロントが電話受けてすっ飛んで行ったら, 若い女が素っ裸で呆然として立ってたそうやから間違いないやろ.」
ヌンチャクが憤慨した.
ヌンチャク「いい年をして不名誉な死に方だ.」
チャンプ「は.わしはそうは思わんなあ. 若い女の肉体の上で極楽往生ができたら, わしゃ最高に名誉のある死に方やと思う.は.ええこっちゃ.ふふふ.」
ヌンチャク「あんたのような大人がいるから,世の中乱れるんだよ.」
チャンプ「ほう.ほな,わしが世の中乱しとんのかよ.」
E・T「まあ,それはともかく,仕事が先決だ.続けてくれ.」
それでもチャンプはヌンチャクに文句を言った.
チャンプ「何言うたんや,お前.」
そしてチャンプは説明を再開.
チャンプ「まず問題は二つある.一つは死んだ西山弁護士やが, あれは大手外食産業の顧問弁護士をしていた. これや.この男が社長の大須賀善三だ.3ヶ月前に肝臓癌で亡くなった. いや二つ目の問題いうのは彼が残した数十億もの財産の行方や.」
マリア「つまり,遺産相続を巡っていざこざがあったってこと?」
チャンプ「そう.大須賀の女房というのは5年前に病死している. しかも子供もおらんかった. となると相続権は弟の直治(幸田宗丸)と妹の夏代(姫ゆり子), それに甥の俊彦(信実一徳)の3人が受け継ぐことになる. これはわしの推論やがねえ, この3人の間で遺産相続を巡ってかなり激しい確執があったと思うのや. その調停をしとったのが西山弁護士や.」
E・T「なるほど.とすると3人のいずれかが西山を腹上死と見せかけて殺した.」
ヌンチャク「まさか,そいつを俺達に洗い出せって言うんじゃないでしょうね.」
指令はそんな単純なものではなかった.
チャンプ「話は最後まで聞けよ,お前.それやったら,警察に任せたらええがな. わしらハングマンがしゃしゃり出ることあらへん.話の核心はこれや.ちょっと, これを見てくれ.これ.」
チャンプは資料を取り出した.
マリア「会社重役,マンションのベランダから転落死.女経営者, トラックにはねられ死亡.宝石店店主,首吊り自殺.」
チャンプ「エトセトラ,エトセトラ.死んだ連中はいずれも資産家の係累や. しかも一様に遺産相続の争いに絡んどる.」
マリア「いったいどういうことなの?」
チャンプ「ひょっとすると事件の背後に, プロの始末屋が暗躍しとるかもしれんなあ.」
マリア「始末屋?」
チャンプ「そ.特定の相続人に有利にことが運ぶように裏工作. 金がかたきの世の中や.そんなんがちょろちょろしとっても不思議はないやろ.」
E・T「まるで死臭を嗅ぎつけて群がるハイエナだなあ.」
チャンプ「そうそうそうそう.今度はそのハイエナ退治や.」
E・T「西山弁護士を抹殺することによって誰が一番利益を得るのか. まずそいつを探ってみよう.」

その頃,東京PR社で働く女性社員が西山の死を知って驚いていた. 同僚社員にも顔色が良くないと言われるほど驚いていた. その同僚社員は女性社員を夕食に誘っていた.一方, 西山を殺した男こと始末屋は, 西山の事務所を探って認知請求書を見つけたことを, 大須賀の遺族3人に報告していた.始末屋の依頼者は遺族全員だったのだ. もし認知請求書が裁判所に提出されていたら, 大須賀の遺産は全てこの娘水沢順子に渡るところだったのだ. 始末屋は水沢順子の素性も調べ上げていた. 順子はある広告会社の専属デザイナー. 母親のはつえは前の年に亡くなっていた. 西山の甥の俊彦は始末屋の森口に礼を言っていた. だが森口はまだ安心はできないと言った.順子は大須賀の遺産の第1相続人. しかも順子に認知請求の意思があれば, 大須賀の死後3年は認知請求が認められるからだ. そこで森口は順子の始末を示唆した. さらに森口は成功報酬として2億円を要求した.

その頃,E・Tは西山の事務所に忍び込んでいた.西山の机はちらかっていた.
E・T「物色した後だ.」
そこへ電話がかかってきた.
E・T「もしもし.」
女「西山先生の事務所ですか.」
E・T「ええ.」
女「今朝の新聞で先生がお亡くなりになったことを知ったんですが.」
E・Tは思わず絶句してしまった.
女「もしもし.」
E・T「あ,はい.」
女「は.私,水沢と申します.あの,失礼ですが,どなたでしょうか.」
E・T「あ,あのう,西山先生のアシスタントです.」
順子「そう.じゃあ,例の件,おわかりになりません?」
E・T「例の件?」
順子「はい.大須賀善三に対する認知請求の件なんです.」
E・T「大須賀善三.それじゃ,あなた,もしよろしかったら, 一度,どこかでお会いできませんかね.」
E・Tは順子と会うことにした.
順子「あたし,ついこないだまで, 母が大須賀さんの二号だったなんて全然知らなかったんです. はじめてそれを知ったのは3ヶ月前でした. 突然,あたしのアパートに西山弁護士が訪ねてきて…」
順子は西山と会ったときの様子を話した.

順子「私の父親が?」
西山「大須賀善三さんと仰って, あるチェーンレストランの社長をなさっていた方です.」
順子は驚いた.
順子「まさか,そんな.」
西山「病床で大須賀さんはひどくあなたのことを気になさっていましてね, 私生児のままでは不憫だから,是非認知したいと.ところが, それから3日後に容態が悪化してお亡くなりになったんです. しかし認知請求は父親が亡くなっても可能ですから, 私としては大須賀さんの意思を継いで, 裁判所に手続きを取りたいと思うのですが.」

順子「あまりにも突然のことだったので,私,なんて返事をしていいのか.」
E・T「で,認知請求をしようと決意したのは?」
順子「いえ,自分なりにいろいろ考えてみたんです.仕事のこと,結婚のこと, 将来のこと.でも,あれこれ考えてるうちにそんな打算なんて消えてしまって, なぜか急に父親が恋しくなってきたんです. 母の手一つで育てられてきた私に実は父親がいたんだと思うと, 無性に懐かしいような恋しいような, そんな気がしてきて.でも西山先生が急にお亡くなりになってしまったので, あたし一体どうしたらいいのか.それで事務所の方にお電話を.」
E・T「なるほど,そういう事情があったんですか. あなたはどこかに身を隠した方がいいなあ.」
順子は驚いた.
順子「身を隠す?」
E・T「これは単にあなた個人の認知問題だけじゃない. 何十億という遺産問題が絡んでいます. 西山弁護士が急死したのもただの偶然とは…」
順子「だってそんな筈は.今朝の新聞の死亡告知欄にはただの心臓発作だと.」
E・T「もしそれが巧妙な偽装殺人だったとしたら? 奴らが次に狙うターゲットはあなただ.」

E・Tはマリアのところに順子を預けることにした. エアロビクスをしているマリアにE・Tはそのことを連絡するとマリアは快諾した. その頃,アロハツーリストでは若い女性の3人組が海外旅行を物色していた. だが,どこも「予約でいっぱい」なので,どこなら空いてるのと聞いてきた.
チャンプ「あ,お姉ちゃん,熱海ならあいとるよ.」
女「ええ! 熱海だってさあ.」
女「ばっかみたい.」
女「イモねえ,イモねえ.行こう.」
女達は去って行った.
チャンプ「なんやイモや.己がイモや.」
そこへE・Tが戻ってきた.ヌンチャク,E・T, そしてチャンプはアジトに入り込んだ.E・Tは順子のことを報告した. 大須賀一族にとってはトンビに油揚げをさらわれるようなものだ. そこで西山を殺し,大須賀の隠し子の正体を突き止めようとしたと考えられる.
ヌンチャク「とすれば,この3人が張本人だ.」
チャンプ「アホ,結論を急ぐな.この3人は依頼人や.わしらのターゲットは, この連中から上前をピンハネしようとしたハイエナ野郎や.」
そこでチャンプは西山が腹上死したとき部屋にいた女から手繰りだすことにした. だがチャンプがその女,中西リエのマンションに着いた時, リエは死んだ後だった.
チャンプ「くそう.手回しの良いこっちゃ.」

E・Tはマリアを隠し子に仕立てておびき寄せることにした. マリアは順子にブローチをつけ,決して部屋から出ないように, と言い残して出て行った.マリアは順子の顔の特徴を分析して順子に変装した. マリアが新百合丘の駅を降りた所を森口の部下が発見. 森口の部下は偽者とも気がつかずマリアを連れ去ろうとした. 車の中でチャンプとE・Tは様子を伺っていた.
チャンプ「やばいかなあ.」
E・T「いや,ここではやらんだろう.」
チャンプ「もうちょっと様子を見てみよう.」
だが
ヌンチャク「こりゃあ.」
ヌンチャクは森口の部下に飛び掛った.
チャンプ「あのボケ.手が早すぎるやろ.」
E・T「いきがりやがって.」
チャンプ「そうや.」
こうしてマリアの救出には成功したが,囮作戦は完全に失敗した.
マリア「ヌンチャク,なんにもわかってないんだから.」
ヌンチャク「は?」
ヌンチャクはマリアの言葉の意味もわかっていなかった.

その頃,順子は同僚社員との食事の約束を思い出し,マリアの注意にも関わらず, 外へ出てしまった.森口は同僚社員の今村も見張っていた. さてヌンチャクを連れて帰ってきたマリアは順子がいないことに気がついた. マリアはブローチに着いた発信機を元に順子の現在位置を突き止めた.一方, 今村はマリア達を怪しみ,今夜は自分のアパートに泊まれと言った. だがレストランを出たところで森口の部下に捕まってしまった. E・Tとマリアもそれに気がつき,森口の部下の乗った車を追跡した. そして森口は今村と順子を縄で縛り,周りにガソリンをまいて火をつけた. 森口が去るのを見届けてE・Tが今村と順子を救出. マリアは森口の車を追跡し,始末屋の正体を見届けた. 森口は俊彦に連絡を取り,成功報酬を府中の飛行場で受け取ることにした.

マリアは始末屋の正体を報告した.始末屋のボスは森口いさお. 元々はある総会屋のグループのボスだったが, 商法の改正で総会屋が締め出しを食ってから資金源に困り, 遺産相続の始末屋を始めたというわけだ.
E・T「ターゲットは決まったなあ.」
チャンプ「そう.ハイエナ野郎と3人の依頼人や.」
ヌンチャク「作戦は?」
マリア「今日, 飛行場で森口と依頼人の間で成功報酬の受け渡しをするって言ってたわ.」
E・T「よーし,そこを叩いてやるか.」
チャンプ「ザッツ・ライト.よし,その前に銭の精算や.」
チャンプは金庫からギャラを取り出した.
チャンプ「ええとねえ.今回は調査にかかった交通費,飲食代, それにガソリン代,それから公園の使用料として7万円つこうとるよ.」
マリア「公園の使用料?」
チャンプ「そう.ちょっと,ええアイデアがあるのよ. ええ,今回はねえ,一人頭しめて96万3238円.端数は例によって…」
ヌンチャク「また赤十字?」
チャンプ「アホウ.日本は福祉国家や.なあ.」
チャンプはギャラをみんなに渡した.そして
チャンプ「赤十字の分.」
そしてアロハツーリストは閉店.ハングマンは出動した.

ハンギング

府中の飛行場で大須賀の遺族と森口が会っていた.
森口「お待ちしてました.」
俊彦「約束の2億円です.」
俊彦がアタッシュケースを開け,森口が現金を確認. そこへハングマンが登場した.ハングマンは森口達悪党を四方から取り囲んだ.
森口「な,なんだ,貴様ら.」
チャンプ「愚問だなあ,そいつは.」
森口「何?」
チャンプ「聞かれて名乗れるもんなら当の昔に警察呼んどるわい. 早いとこけりつけたろかい.」
悪党達は全員捕まってしまった.

気がつくと悪党は縄で縛られ,正座させられていた. 悪党は腰のところまで水に浸かっていた.
チャンプの声「諸君.プールの中を良く見たまえ.」
悪党は周囲を見回した. 悪党は大きな碍子のついた金属製の柱に縛り付けられていた.
チャンプの声「ええか,わしの手元にリモコンスイッチがある. それを押すとどうなるか,言わんでもわかるやろう.は,は,は,は. 西山弁護士を殺したのと同じ仕掛けや.さて,ぼちぼち死刑執行の時間や. 電気プールのスイッチを押したろか.」
森口「ま,待ってくれ.貴様の要求はなんなんだ.」
チャンプの声「お前らの悪行を洗いざらいぶちまけるこっちゃ.」
俊彦「も,森口さん.」
直治「こんな脅しに乗っちゃいかん.何も喋っちゃいかんぞ.」
チャンプ「そうか.ほなら,スイッチを押させてもらうわ.」
森口「え.わ,わかった.喋る.何もかも喋るから助けてくれえ.」
夏代「森口さん.」
森口「俺は頼まれただけだ. この3人にけしかけられて遺産相続人の水沢順子を殺したんだ.」
直治「なんてことを言うんだ.」
森口「うるさい.黙れ.」
その瞬間,屋根と壁が取り外された. 森口達4人は新宿中央公園の滝のある池につけられていただけだったのだ. そして森口の自白が大音量で再生された. 野次馬が集まってきて4人はさらし者になった. その様子を水沢順子と今村も見た.順子を見た森口は驚いた.
順子「この人です.あたし達を殺そうとしたのはこの人です.」
森口「知らん.俺はこの連中に頼まれただけだ.」
俊彦「嘘だ.」
夏代「嘘つき.」
俊彦「最初に話を持ちかけたのは,こいつなんだ.」
直治「そうだ.お前じゃないか.」
森口「違う.お前達が勝手にやったことだ.私は何にも知らん.」
さらに野次馬が群がり,パトカーもやってきた. 警官と入れ替わりに,ヌンチャク,E・T,マリアが去って行った.

チャンプ「例の大須賀善三の落としだねやけどなあ, 結局裁判所で認知請求が認められてなあ, チェーンレストランの社長におさまったそうや.」
E・T「あの子が社長に? で,恋人の今村との仲はどうなった?」
チャンプ「別れたそうや.」
E・T「別れた?」
チャンプ「うん.ま,無理ないやろ. 何十億って財産が転がり込んできたら男なんて目やないで.」
E・T「そんなもんかなあ.」
チャンプとE・Tはハンバーガーを手にしながら話していた.
チャンプ「それにしてもわしらの成功報酬とは偉い違いやなあ.」
E・T「全くだ.」
チャンプとE・Tはハンバーガーをかじりながら新宿の町を歩いていた.

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東平 洋史 E-Mail: hangman@basil.freemail.ne.jp