第十一回

強請りを働き口封じに相手同士を殺す売春組織を吊るす.
裸女も貸します殺人バンク!

脚本:中村勝行 監督:帯盛迪彦

今週のリハーサル

ベルトコンベアーの上を手でスタッフが大きな氷を動かしていた. 稲川さんはスタッフにうちわを扇いでもらい,いい気分.そこへ帯盛監督登場. 帯盛監督は稲川さんにかき氷を振舞った.ますます喜ぶ稲川さん.
帯盛監督「おいしい? いけますね.」
そのとき,砕氷機で砕かれた氷がベルトコンベアで運ばれてきた.
助監督「最高の砕け具合です.」
帯盛監督「よし.稲川さん,乗ってもらおう.」
怪訝な顔の稲川さんから帯盛監督はかき氷を取り上げた.
帯盛監督「さ,行こう.」
稲川さんはスタッフの手により,ベルトコンベアの上に載せられてしまった.
帯盛監督「はい,スイッチオン.」
稲川さん「うわあ,やめて,ちょっと.やめてよ.やめて.監督,お願いします, やめてよ.あー.」
稲川さんの運命や如何に.

事件発生

金曜日の夜.ホテル街でダブルは屋台を出していた. そしてカップルがダブルの屋台でラーメンを食べていた.ダブルが, スタミナがつく,と言い,一つや二つじゃすまない,頑張ってよ,と言った為, 女の方が気分を害し,カップルはさっさと去ってしまった. 憤慨するダブルのところへスポットがやってきた.

その頃,ホテルの中で,シャワーを浴びて出てきた男(石浜朗)が, ベッドで寝ていたユミに「そろそろ帰るぞ.」と声を掛けた. だがユミは男のネクタイで首を締められて死んでいた.男は驚き, 服を着て慌てて去って行った.それを別の男(草薙良一)が隠し撮りしていた.

その頃,スポットはラーメンを食べ終えて帰ろうとしていた. そのとき,スポットとダブルはパトカーのサイレン音を聞いた.

仕事開始

この事件は「ラブホテルで 若い女性殺さる」「連れの男, 姿を消す」と報じられた.殺された女の名前は浅川ユミ.
スポット「これですよ.夕べの事件ってのは.」
アンクル「え,被害者は20歳の女子大生…勿体無い話だねえ.」
アイリス「ほらほら,おじさんはすぐそれだから.」
ダブル「おばさんはすぐひがむ.」
アイリス「ん? なんであたしがひがまなきゃなんないの?」
ダブル「だから,冗談なんだから,そうむきになんないの.」
アイリス「最近の女の子はモラルが低下してるわよ. ろくでもない男の誘いに乗って.平気でラブホテル行くから,こういうことに…」
アンクル「じゃあ,あれかい.アイリスはラブホテル行ったことないの?」
アイリス「ないわよ,そんないかがわしいところ.」
アンクルはにやりと笑った.
アンクル「いいわよー.」
アイリス「きたなーい.」
ダブル「つまりあれだ.誘われたことがないっちゅうわけだ.」
アイリス「あんたと違うの!」
そのとき運命が響いた.

ゴッド「ゴッド指令.ラブホテル連続殺人事件の真相を究明せよ.」
前の月の5日,新宿のラブホテルで19歳のOLが殺され, 同じく14日,五反田のラブホテルで21歳のハウスマヌカン,そして, 前の晩に横浜のラブホテル「ギャスビー」で20歳の女子大生が殺された. 警察は被害者と同宿した連れの男の犯行と見て身元を割り出し, 全力をあげているが,現在のところ有力な手がかりをつかんでいない. 資料によると連れの男は背丈,年齢などが全く違っていた. 共通点は犯行の手口.被害者はいずれもネクタイで首を締められて窒息死. とりあえず被害者の交友関係を洗ってみることになった.アンクルがOL, スポットがハウスマヌカン,そしてダブルが女子大生を当たることになった.

ダブル達が被害者の交友関係を当たっている頃, 永田産業と言う会社を訪れる男(成瀬正孝)がいた.男はTM探偵社の所長で, 例の写真を買えと女子大生殺害事件のときの連れの男, すなわち永田産業の社長に迫っていた.所長は5億円を要求した.

アンクルの調査によると,例のOLは月収8万円なのに高級マンションに住み, 毎晩遊んでいた.スポットの調査によると, 例のハウスマヌカンはブランド物を身につけ,半年に一度は海外旅行に行き, とにかく派手な生活だった.
アイリス「何か特別な金蔓でもあるのかしら?」
アンクル「若い娘が大金稼ぐ手段はたった一つ.」
アイリス「売春.」
アンクル「ソープランド,ファッションマッサージ,愛人バンク,ホテトル. (アイリスに)たまにはやってみる?」
アイリスは嫌そうな顔をした.
アンクル「その気になりゃ手段は幾らでもあるさ.」
アンクルの発言は少し矛盾しているようだが, 要するに風俗関係で稼ぐと言うことだ. スポットは組織が絡んでいるのではないかと言った. その意見にアンクルも賛成した.ちなみにダブルはこの場にいなかった. そして連絡も入っていなかった.

その頃,ダブルは野川という女性(斉藤智美)のマンションを訪れていた. ダブルはユミの高校の時の同級生と称し,強引に部屋に乗り込んだ. 野川はユミと仲良くしていたのだ.ダブルは色々とカマを掛けたが, 追い出されてしまった.ダブルはリンゴを2つ置いて出て行った. そして野川が外へ出たのを見届けてから,ダブルは野川の部屋へ侵入. 素手で色々と探し回り, 「愛人バンク‘夢恋人’野川マリ」という名刺がたくさん入った箱を発見. 早速ダブルはアジトへそのことを報せた.愛人バンクの場所は渋谷. アイリスが探ることになった.

だが‘夢恋人’があった場所は空室になっていた.隣室の男の話により, 3ヶ月前に警察の手入れを受けて休業したことと, 経営者の名前が安原であることがわかった.安原は手入れの直前に逃亡. 隣室の男は新宿の「Big Ben」と言う店で安原と会った事があると言った. 隣室の男はアイリスに,よかったら自分のところで働かないか, といったが,ホテトルだったのでアイリスは断るのであった.

アイリスはダブルと合流し,ダブルに首尾を話した.
ダブル「よーし,じゃあ今夜あたり行ってみようか.」
アイリス「顔も知らないのにどうやって行くのよ?」
ダブル「は,任せなさいって.俺は,ほら,IQ200, しかも東大工学部出身の秀才なんだから.」
アイリス「あのう,前からお伺いしようと思ってたんですけどねえ, 全部,それホント?」
ダブル「ああ,ホントだよ.」
アイリス「信じられないねえ,そんだけ太ってて,IQ200だなんて.」
どうでもいい話だが,コンピュータ業界の標準体型はデブだと言われている.
ダブル「あのねえ,太ってるのとIQとは関係ないでしょう.」
アイリス「あのねえ,デブ男,総身に知恵が回りかねって言うでしょ.」
ダブル「それを言うなら,大男.」
アイリス「似たようなもんだよ.」
ダブル「あのねえ,私は,ほれ,知性の塊なの. だから知性太りしちゃってるわけなの.」
アイリス「ああ,ああ,そうかあ.は,は,は.知性太り. そのお腹の中に知性がいっぱい詰まってるの? は,は,は.馬鹿.」
アイリスは去って行った.ダブルはなおも笑っていたが
ダブル「馬鹿.」

さて都営地下鉄新宿線に永田社長が乗り込んでいた. そして永田は竹村の横に座り,どうしても5千万円しか用意できなかった, と言った.竹村は冗談じゃないと言った.竹村は永田の資産を調査済で, 手持ちの不動産屋や株券を処分すれば5億円になる,と納得しない様子. 永田はそんなことをすれば身の破滅だし会社も潰れると言い, 5千万円で手を打って欲しいと要求.さらに
永田「私にも覚悟がある.」
竹村「覚悟?」
永田「例え殺人罪で逮捕されようと,警察へ行って何もかも話す. あんたに脅迫されたことも何もかも.」
沈黙の時間が流れた.電車が西大島に着く直前,永田は席を立った. 交渉は決裂したのだ.竹村はあの時の写真を撮った男に目配せし, 永田を尾行させた.そして永田はナイフで刺し殺され,金を奪われてしまった.

竹村は迂闊だったとぼやいていたが,男は,ここで手を打たなきゃ, 愛人バンクの仲介料よりも割がいい,と答えていた. 竹村は次の獲物をリストアップしてくれと男に頼んだ.

さて「Big Ben」にスポットがいた.そのとき,安原に電話が入った. この電話はダブルからのもの.ダブルは安原が電話に出たのを確認してから, 電話を切った.安原が誰かをスポットが見届けたというわけだ. スポットはダブルと合流.「Big Ben」から出てきて, タクシーに乗った安原を尾行した. そしてタクシーを降りた安原のあとをスポットが追い,安原の部屋を確認. スポットは窓に盗聴機を打ち込んだ.場所は東横線が渋谷を出てすぐのところ.

翌朝.ベランダへ出た安原は盗聴機に気がついた.そして盗聴機を噛んで壊した. だが
ダブル「は,は,は.盗聴機に見せかけて実は発信機.は,は. まんまと引っかかりやがって.」
しっかりと安原の動きを捕捉.安原は発信機を男の所に持ち込んで, 「盗聴機が仕掛けられた」ことを報せに行ったのだ.男はアルバムを見ながら, 野川マリを使い,不動産会社の社長をはめることを命じた. ‘夢恋人’廃業後も社長とマリは続いていたのだ. さらに男は安原を連れ,竹村のところへ向かった.
スポット「あいつが黒幕か.」
ダブル「はー,悪そうな顔してるもんなあ.スポット.」
スポットは男のマンションに忍び込んだ.男の名前は岩津. ‘夢恋人’の会員名簿を発見し,写真撮影していった.

‘夢恋人’の会員名簿から, ユミの相手が会社社長永田省三であることがわかった. アンクルはその名前に聞き覚えがあった.前の日の朝刊に, 目黒区祐天寺二丁目の路上で永田が殺されたという記事が載っていたからだ. そして会員名簿を調べた結果,新宿で殺されたOL吉田の相手がわかった. 沢木孝夫と言う開業医で中野区本町6-11に住んでいた(と言う設定). 年収は3600万円.五反田で殺されたハウスマヌカン広田智子の相手は, 高野義彦と言うスーパー経営者.もしかしたら彼らも何かあるのかもしれない.

沢木は事件直後に病院を手放して転居していた. 高野は事件直後に1ヶ月ほど前にスーパーを手放して転居していた. 愛人バンクで知り合った男と女.女はラブホテルで殺され, 男は莫大な財産を手放して東京から姿を消した. 問題はなぜ莫大な金が要るのか,そしてその金はどこへ消えたかだ. ダブルは恐喝だと考えた.浮気だけではなく,殺人事件もからんでいるからだ. それを聞いたアンクルもうなずいた.ダブルは罠だったんじゃないかと睨んだ.

さてマリは社長と会っていた.社長はホテルOZを予約していたのだ. その頃,ダブル達は次の獲物が誰かを探るため,名簿を見ていた. 倉本竹雄という不動産会社社長の欄を見た時, アンクルは●印がついているのに気がついた.次の標的かもしれない. 相手は野川マリ.つまり,ダブルが会いに行った,浅川ユミの友人だ.

ダブルは岡持ちを持って野川マリの部屋を訪れた. そして倉本のことを聞いた.ダブルは下手をすると殺されると警告.

その直後,ホテルOZにマリが入るのを安原と岩津が見届けた. 安原が先にホテルOZに乗り込んだ.そして705号室に安原が合鍵で侵入. ベッドにマリらしき女が寝ていた.安原がネクタイを取った. そしてベッドに近づいたが
アイリス「お待ちしてたわよ.」
何とベッドに寝ていたのはアイリスだった.アイリスは安原を投げ飛ばし, さらに安原はダブルに蹴り倒された.

エレベータのそばで岩津は隠し撮りをしようと見張っていた.
スポット「こんなところで隠し撮りかよ.」
岩津は驚いた.
スポット「ちょっと趣味が悪いな.」
岩津「なんなんだよ.お前は.」
スポット「俺は真っ当なカメラマン.」
岩津はスポットに襲い掛かったが,逆にスポットに倒されてしまった. その直後,別室で待機していたマリと倉本にアイリスが片がついたと報せた.

竹村は何も連絡が入らないのでいらいらしていた.そこへアンクル登場.
アンクル「突然お邪魔してすみません.私ねえ, 本庄探偵事務所の所長で本庄剣次郎と言います.」
竹村「何か用事でも?」
アンクル「実はねえ,ネタ,買ってもらいたいんですよ,同業のよしみで. とてつもないネタを.」
アンクルはポラロイド写真を取り出した. それは岩津と安原が縛られている写真だった.
竹村「これは!」
アンクル「10億円で買っていただけませんか?」
竹村「きっさま!」
竹村はゴルフクラブなどで襲い掛かったが, アンクルにメタメタにされてしまった. ちなみにゴルフクラブはアンクルの腹にぶち当てた時に曲がってしまった.

ハンギング

寿司元に電話が掛かってきた.
高田「はい,寿司元.あ,愛ちゃん.ああ,待ってたのよー.ああ. なんたってさあ,店暇なもんだからねえ,考えることって言ったらさあ, 愛ちゃんのことばっかりでさあ.俺,ホントに惚れてるみたい.え, 冗談はよせ? じゃ,よします.どうせ仕事の話なんでしょ.うん. 押し寿司を作る? ああ,そんならさあ,俺の本職だから,ああ,行きます, 行きますよ.ああ,すぐ飛んでく.」
モルモット小父さんは電話を切った.

ダブル「よし.これからお前らに制裁を加える.」
巨大な機械が画面に映っていた.機械にはベルトコンベアーがついていた.
ダブル「その前にな, お前らと同じように処刑しなければならない人間が一人いる.よーく見とけ. まずはテストだ.」
モルモット小父さん登場. モルモット小父さんはベルトコンベア―の横に置かれた台に縛り付けられていた. そしてベルトコンベア―の上をボーリングの球が機械の方へ動いていき, 機械を出るとペシャンコに潰れていた.続けて青,黄,赤の石油缶も潰された.
モルモット小父さん「おい.おい.何しようってんだ,これよー.なんだい, こりゃよー.」
ダブル「御覧の通りだ.さあ,覚悟はいいか.」
なんとモルモット小父さんがベルトコンベア―の上に載せられた. 散々わめいてモルモット小父さんは機械の中に消え, 機械から,囚人服と顔写真の状態になって登場した.
ダブル「さあ,今度はお前らの番だ.覚悟はいいか?」
安原「やめろー.やめてくれえ.」
岩津「喋るよー.喋るからやめてくれよー.」
ダブル「スタンバイ.」
カメラが用意された.どうでもいいが,今回も喋れば許す,とは誰も言っていない.
岩津「愛人バンクの女を殺して客を強請ろうって言ったのは, 竹村所長なんだよー.」
竹村「馬鹿な事を言うな.その仕事を持ち込んだのは,お,お前じゃないか.」
岩津「違う.それは違うよ.俺は浮気をネタに強請ろうと思ってたんだあ. それじゃあ大した金にならないから, 女を殺して男の財産をまるっきり奪ってしまおうって言ったのは, この竹村だあ.この竹村だよー.」
竹村「知らんぞ.知らん.俺は何も知らんぞ.」
岩津「女を殺したのは安原だ.俺は証拠の写真を撮っただけだい. 人殺しなんかしてねえよ.」
安原「冗談じゃねえ.俺は言われた通り,やっただけだ. 張本人はこの二人なんだよー.」
そして竹村達は警察に引き渡された.新聞は「探偵所所長ら 逮捕」 「ラブホテルで 女性を殺害」「連れの男を恐喝 数億円を取る」と報じた.

事件解決して

モルモット小父さんは腕をコの字にしてヒーヒー言っていた. まるで鎖骨のところに棒が入っているかのようだ.案山子みたいだ.
モルモット小父さん「いてててててててて.酷いよ.押し寿司作るって言うから, 飛んでいったらさあ,なんだい,俺が押し寿司じゃないかよ.」
アイリスは胸や頭を打診した.
モルモット小父さん「俺さあ,平になっちゃったよー.」
アイリス「スリムな元さんって素敵よ.グッ.」
モルモット小父さんが文句を言っていると
アイリス「畑行ったら?」
モルモット小父さん「何で?」
アイリス「烏と友達になれる.」
どうでもいい話ですが,田んぼの案山子は雀を追い払うためのものです.
モルモット小父さん「案山子かなんかと俺,友達じゃないよ.」
モルモット小父さんは治してくれと文句を言うと, アイリスが出来ないことはないと言った.治してくれよ, とモルモット小父さんが言うと, アイリスはモルモット小父さんの口に管を加えさせた. 管の片方は足踏みポンプにつながっており, アイリスはポンプを踏んで空気を入れるのであった.

ギャラが分配された.今回は一人80万円.これで結婚費用が貯まると喜ぶダブル. アンクルは何十人呼ぶのかと聞いた.
ダブル「何十人どころじゃないよ.これで百人ぐらいかな.」
それを聞いてアイリスは驚いた.絶対出席してと言うダブル.
アンクル「勿論だよ.」
アイリス「ねえ,ご祝儀っていくらはずむの?」
ダブル「うーん,そうね.大体5万も包んでくれたら.」
アイリス「ああ…やめた.」
アンクル「考える!」
スポット「まだ先の話だしな.」
全員帰ってしまった.
ダブル「おい,おい.ちょっと待って,待って.もう,みんなけちなんだから. みんなのご祝儀でハワイへ行こうと思ってたのに.」
あ,そ.

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東平 洋史 E-Mail: hangman@basil.freemail.ne.jp