第九回

結婚&保険金詐欺一味を吊るす.
殺してやるからお嫁においで!

脚本:平野靖士 監督:西村潔

今週のリハーサル

スタジオの外で稲川さんは髪をとかされ,首輪をつけられていた.
稲川さん「何すんの?」
助監督「今日のは簡単ですよ.」
稲川さん「だから何それ.」
助監督「犬の首輪を.」
稲川さん「あ,犬.あのワンワンという奴.」
助監督「ワンワンワン.」
稲川さん「あ,じゃあ,楽勝?」
助監督「楽勝,楽勝.」
稲川さん「軽い奴?」
助監督「軽い奴.ちょっとトレーニング,行ってみましょうか.」
稲川さんは助監督と一緒に歩き始めた.首輪には鎖がついており, 鎖の端を助監督が持っていた.そしてハードルの所まで連れて行かれた.
助監督「これ,これ,これ.これ飛んでくだけ.」
稲川さんはハードルを飛んで行ったが,途中で飛ぶのに失敗してしまった. そのとき,稲川さんは西村監督を発見.
稲川さん「あ,お手.おはようございます.」
西村監督「今日のは軽いでしょ.」
稲川さん「こんなもんでいいんすか?」
西村監督「もう楽勝です.」
稲川さん「楽勝.そんな.」
稲川さんは舌をペロペロさせて犬の真似をし,喜ぶのであった. 果たして本当に軽いものなのか.稲川さんの運命や如何に.

事件発生

教会で結婚式が行なわれていた. ちょうど屋台を出していたダブルはラーメンも作らずに見とれてしまい, 客からのブーイングを受け,割り箸を投げつけられる始末.

その夜,ダブルが見とれていた結婚式で結婚した夫婦は, ホテルで乾杯をしていた.夫はタバコを切らしているので買いに行く,と言い, 先にシャワーを浴びたら,とシャワーを勧めた.夫が出て行くやいなや, 暴漢(藤木孝)登場.妻はナイフで刺し殺されてしまった.

新婚夫婦のマンションにも先程の暴漢が登場.妻が殺されてしまった.

仕事開始

さてここはS.S.C. ブライダルサロン小泉からダブルにダイレクトメールが届いていた.
スポット「結婚相談所なんてのは何か俺にはピンと来ないなあ.」
アイリス「哲平ちゃんにはわかんないのよ,まだ若いから.でもねえ, 世の中にはいい人にめぐり合わない人がいっぱいいるのよ.」
ダブル「あ,実感こもってんな.」
スポットはうなずいた.
アイリス「そりゃさみしいもんよ.」
ダブル「そしたら,はい.」
ダブルは自分にきたダイレクトメールをアイリスに渡した. アイリスは自分の相手くらい自分で見つけると言ったが, アンクルもスポットもそう言わずにもらっとけ,と言った. アイリスはもらうことにした.
アンクル「なんだったら,すぐ電話すれば. そうすれば一日悶々としながら小じわの数を数える生活から解放されるかもね.」
ダブルは耳を押さえた.だが無駄だった.
アイリス「何よ,ロリコン.」
アンクル「いや,ジョーク,ジョーク.」
アイリス「何がジョークよ.」
アンクル「ジョーク.」
アイリス「何言ってんのよ.デブコン.変態.馬鹿.」
と叫んでいる最中に運命が鳴り響いた.

ゴッド「ゴッド指令.連続暴行致死事件の謎を探りハンギングせよ.」
高額の保険金を掛けられた花嫁が1週間に二人,暴行殺人の被害者になっていた. 田村麻子は結婚式の夜,吉岡みちこは結婚後1週間で殺されていた. 田村麻子の写真を見たダブルは, 田村麻子が自分が前に見た結婚式で結婚した女であることを思い出した. 結婚相手の田村純一と吉岡宏志はともに青年実業家.ともに会社を経営. ともに結婚相談所ブライダルサロン小泉の紹介で妻と知り合った. 所長は小泉そのこ(中島葵).死んだ花嫁は親も他界し親戚もいないのが共通点.

その頃,新婚ほやほやの相沢(高峰圭二)のところに電話がかかっていた.
相沢「何も勘付いちゃいないさ.幸せそのものさ.で, 金の方は用意してくれてあるんだろうな.ああ,そうだ.そりゃ助かるよ. で,例の件はいつ実行に?」
妻「あなた,お食事よ.」
相沢「ああ,その件でしたら,今日そちらに伺いまして.じゃ.」
慌てて相沢は電話を切った.相沢は契約してくれない会社があってとごまかした. そして朝食は外で食べると言って出て行った.

アイリスはブライダルサロン小泉へやってきた. アイリスは異様に高い声を出して話した.格好も頭痛がしてくるような物凄さ. アイリスは木元麻子の友人と称し,彼女に紹介されてやってきた,と言った. それを聞いたそのこは怪訝な顔.アイリスは好きなタイプの写真として, アーノルド・シュワルツネッガーなどの写真を見せた. アイリスは正真正銘の独りぼっち,兄弟はいないし,親戚も遠いのしかいない, と言った.

スポットとアンクルは田村純一の会社タムラ物産を外から伺っていた. アンクルは保険の調査員と称し,タムラ物産に乗り込んだ. アンクルは探偵事務所もやっていると称し,事件のことをカマを掛けた. 結婚後すぐに妻が死んで1億5千万円が入った,とアンクルが言うと,田村は興奮. 出て行け,と怒鳴った.図星だったらしい.

さてアイリスが所長室から出てきたところへ, ダブルがブライダルサロン小泉に登場. コンピュータの定期保守点検に来たと言うのだ. そのこはいつもの人と違うと怪しんだが
ダブル「あれ,会社から連絡ありませんでした? あいつねえ,(小指を立てて)これで会社辞めたんですよ.」
この頃,「私は(小指を立てて)これで会社を辞めました.」を落ちに持ってきた, 禁煙パイポの宣伝がテレビで流れていた.閑話休題. それでダブルは代わりにやってきたというのだ.
アイリス「あのう,所長さん,ご紹介いただくんならば, あのこういう肥満型の男性だけはご勘弁くださいね.」
そのこ「あなた,こういうぽっちゃりした方,お嫌いですの?」
アイリス「ええ.もう鳥肌が立ってきちゃうんです.ぞっとしますわ.」
ダブル「鳥肌?」
ダブルは鏡の前でポーズをとった.
アイリス「一生に一度の結婚ですもの.スマートな相手じゃなきゃ, 夢がないでしょう.」
ダブルは苦笑するしかなかった.アイリスはよろしくと言って去って行った. そしてダブルはコンピュータルームに案内された.なんとそのこは
そのこ「アンコ型の男性見ると理性が音を立てて崩れるの.」
ダブルを気に入ってしまったのだ.ダブルは仕事しなくちゃ, とコンピュータに向かったが,そのこに尻をなでられてしまった. そのこが出て行くのを見てから,ダブルは婚約者の写真を出し
ダブル「理性が音を立てて崩れる.」
とキスするのであった.勝手にやってくれ.

吉岡産業をスポットが見張っていた.動きは全くなかった. タムラ物産も動きなし.脅しの効果はなかったのだろうか,とアンクル. さてダブルが部屋から出てくると相沢と廊下でぶつかってしまった. そしてダブルがトイレに入ろうとするとそこは女子トイレ. 騒がれたのでダブルはズボンを脱いだ格好で男子トイレへ行った. 相沢は8千万円を取りにきたのだ.そのこは今日決行すると相沢に言った. そのこは相沢にアリバイを作るように言った. そのこはもう1件鴨を処理してから,手をひくつもりだと言った. その頃,ダブルはコンピュータから田村と吉岡のデータを取り出していた. 操作は1本指.さらにダブルは相沢健次のデータを見つけた. 住所は世田谷区成城9-23だ. そして「被害者リスト」の中から木元麻子と村田迪子のデータを発見. さらに相沢の妻こと小山紀子のデータも発見していた. その頃,相沢の妻紀子を見張る男がいた.

アンクルのところへスポットがやってきた. ダブルからの報せで現在進行している計画があることがわかったからだ. スポットとダブルは相沢の家へ向かった.その頃, ダブルはアイリスのデータも発見.そのとき,そのこが入ってきた. そのこはダブルを誘惑し始めた.慌ててダブルは退散した.

買物から紀子が帰ってきた時,暴漢が相沢邸に侵入した.そして紀子が襲われた. 間一髪,スポットとアンクルが到着.アンクルは怪力でドアをこじ開け, スポットは庭で暴漢と格闘.しかし暴漢は強かった.空手を駆使し, さらにナイフを投げてスポットを怯ませ,その隙に逃走した.

暴漢から邪魔が入ったと言う報せを受け,そのこは決行を止めるよう指示. そのこは相沢の会社へ電話を入れた.その頃,紀子は, 相沢が紀子の命を狙った疑いがある,と聞き,信じられない,と言っていた. スポットとアンクルは自分達の言う通りにしてくれと頼むと
紀子「私,結婚してまだ1週間だけど, なんとなくあの人が本当にあたしのこと愛してくれてるのかどうか, 不安だったの.新婚だって言うのに,妙によそよそしくって, 冷たいところがあって.でも,やっと幸せがつかめると思ったのに. こんなことになるなんて.」
紀子は号泣した.

オフィス愛に電話が掛かってきた.
アイリス「はーい,オフィス愛…ちょっとお待ちください.」
慌ててアイリスは口調を変えた.電話はそのこからの物. 相手が決まったと言うのだ.
アイリス「こんなに速いなんてやっぱり罠かなあ. もしかしたらホントのお見合いだったりして.」
相手は暴漢だった.もう手持ちの弾が全然なかったのだ. 暴漢は相沢の件を懸念していた.

田村,吉岡,相沢は事業に失敗して巨額の借金を抱えていた. 借金を抱え込んでいる男達を抱きこんで, そのこが保険金殺人を仕組んだと言うわけだ. だが暴漢らしい男のデータはコンピュータには全然入っていなかった.
アンクル「データがインプットされてないってことは, まだ見合いの相手が決まってないと言うことだなあ.」
ダブル「そういうことだなあ.」
そこへ
アイリス「哲平ちゃん.助けて.」
アイリスが荷物をたくさん抱えて登場した. お見合いが決まったので衣装を買い込んだと言うのだ.相手の写真が来たが, いいプロフィールなの,と呑気なことを言うアイリス.相手の名は
アンクル「谷英明,34歳.輸入小物の卸業者タニカンパニーの社長.」
なんと見合いは今日の昼だと言う.

ダブル「そんなに化粧しなくても,どうせやらせなんだから.」
呆れるくらい化粧をしてアイリスは見合いへ出かけた. アイリスはフィンガーボールの水を飲もうとするボケを見せた. 両者ともに白々しく素晴らしいという言葉を連発. 盗聴していたダブルとアンクルは
ダブル「よ,名演技.」
アンクル「この調子で男騙せばいいのに.」
その頃,スポットはタニカンパニーの入っていると言うビルへ行った. だがタニカンパニーなどなかった.

谷はアイリスを連れて結婚指輪を買いに行った.余程連中は焦っているらしい. 宝石店でアイリスが採寸するのを見た時,谷はアイリスの胸飾りに, 盗聴機が仕込んであることに気がついた.谷はそのこに電話を入れ, 例の場所へ来るように言った.その頃,アンクルとダブルのところに, スポットから連絡が入った.タニカンパニーと言う会社はなく, 谷は前科5犯の元ヤクザ.空手三段.ナイフの名手であだ名はナイフのヒデ. 小泉そのこと故郷が同じ.おそらく谷が殺人の実行犯だろう. ちょうどその頃,谷はアイリスに胸飾りのことを聞いていた. いい趣味じゃないと言い,胸飾りを外し,踏んづけて壊した. そして車で拉致.ダブルとアンクルはワゴンで追いかけたが, 踏切に引っかかった.アンクルは発信機を谷の車に撃ち込んだ. 踏切を通過するのは長い長い貨物列車.

谷は港の近くの「POLESTAR」にアイリスを連れ込んだ.そこにはそのこもいた. どうでもいいが,隣りには「STAR DUST」もある. アイリスは谷にナイフで服を切られた.そこへダブルとアンクルが登場. アンクルは怪力で谷からナイフをもぎ取り,肩や首を攻撃. ダブルはそのこを倒した.

田村純一はスポットに連れ出された.車の中には相沢,吉岡の姿も.

ハンギング

寿司元では高田が暑そうな顔をしてうちわで扇いでいた.
高田「はい,寿司元.あ,また,愛さんか.え,仕事? もう夏でぐったり. 仕事やだよ.え,仕事しなきゃ,結婚しちゃう? 冗談じゃないよ,ダメだよ, 許さないよ.あの,行く,行く.すぐ行く.あのね,結婚やめてくれたら, 何でもやる.」

ダブル「さあて,お立会い.ビシッと行くぞ.」
そのこ「何すんのよー.」
相沢「何だこれは.」
谷「どういうことなんだ.」
田村「誰かいないか.」
そのこ「離してよー.」
ダブル「うるさいんだ,お前ら.いいな,これからハンギング始めるぞ. その前にだ.お前らと同様,許せない男の登場だ.」
モルモット小父さん登場.モルモット小父さんは首輪をさせられ, ベルトコンベアーの上に正座していた.手前には槍衾が置かれていた..
モルモット小父さん「な,なんだ,こらよ.どうしようってんだよー.」
槍衾が迫ってきた.
モルモット小父さん「おい.」
ダブル「さあ,犬の散歩をしてもらおうか.」
モルモット小父さん「犬の散歩? なんだい,そりゃよ.」
ベルトコンベアーが動き,モルモット小父さんは槍衾の方へ動かされた. モルモット小父さんは這いつくばって逆行し始めた. ベルトコンベアーの上には箱が置かれていた.はじめは小さかった箱も, 段々大きくなっていった.
ダブル「白状するか? だったら許してやってもいいぞ.」
モルモット小父さん「冗談じゃねえぞ.そんなこと喋ってたまるかい.」
なんと目の前に槍衾がモルモット小父さんは「やめろー」と叫び, 這うのを停止.ベルトコンベアーから落ちて槍衾の餌食に.
ダブル「お待たせしたなあ.次はお前らの番だ.」
吉岡「ちょっと,待ってくれえ.俺は何にもやってない. 小泉達にそそのかされただけなんだよー.」
田村「私もそうだ.借金を肩代わりする代わりに, 女を騙せって言われただけなんだあ.」
よくそんなことを言えるものだ.
吉岡「計画を立てたのは小泉で殺しをやったのは谷だ.」
相沢もうなずいた.
吉岡「俺達は何にもやっていない.」
谷「うるせえ.黙れ.俺はこの女の命令でやっただけだ.」
そのこ「おだまり.」
谷「やったことじゃねえか.てめえが仕掛けたんじゃねえか.」
そのこ「おだまりなさいったら.」
谷は舌打ちした.
田村「助けてくれえ.悪いのはこの女だあ.」
そのこ「殺したのは谷よ.私はたださえない女に夢を満たしただけ. 経営能力のない連中を助けただけなのよー.」
谷「冗談じゃねえや.」
そしてそのこ達は警察に引き渡された. 新聞は「結婚相談― 裏では保険金殺人」 「孤独な女性を 次々に罠にかけ 餌食に!」 「恐るべき毒婦・小泉, 共犯の谷と三人の 青年実業家を逮捕.」と報じた.

事件解決して

怪我を負ったモルモット小父さんはヒーヒー言っていた. アイリスが溜息をついたのを見て
モルモット小父さん「どうしたの,愛さん.」
アイリス「なんだか虚しくってさあ.」
モルモット小父さん「え?」
アイリス「どうしてあたしにはいい男がみつかんないんだろう.」
モルモット小父さん「目の前にいるけどさあ.あのねえ,あのう, 愛ちゃんにいい男がみつかんないのは,これはあの,美しすぎるせいなのよ, ね.」
アイリス「やっぱりそうなのよ.」
モルモット小父さんは複雑な顔になるのであった.

ギャラが分配された.アイリスは元気がなかった.皆, 相手がみつからなかったから,と思っていたが
アイリス「違うの.自分の美しさを呪ってるの.」
ダブル「は?」
アイリス「美しすぎるって罪よねえ.だから結婚できないんだわ.」
ダブル「(電話の受話器を取り)もしもし,救急車一台.」

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東平 洋史 E-Mail: hangman@basil.freemail.ne.jp