第七回

強盗団一味を吊るす.
罠におちて 原宿宝石店襲撃!

脚本:柏原寛司 監督:井上梅次

今週のリハーサル

槍衾が横から動いてきた.
稲川さん「これが,こう動いてくる.それに追われてこの板を渡ると, こういうわけだ.」
助監督「そうです.これ持って下さい.」
稲川さん「はい.」
助監督「持ってないと,板外れちゃいますから.」
稲川さんは両端に鉄アレイを吊るした棒を持たされた.
板の下はプールみたいになっていた.稲川さんは,運動神経抜群だから簡単だ, と涼しい顔.助監督は,ここから先は細いから気をつけて下さい,と言ったが
稲川さん「監督,これじゃあ,モルモットにならないよ.」
井上監督「稲川さん,これ(プールにたまっている液体),水じゃないです.」
稲川さん「え? なんです?」
井上監督「何だと思う?」
稲川さん「ビックリじゃないですか.いやだなあ.」
井上監督「落ちて御覧なさい,試しに.」
稲川さん「怖いなあ.」
井上監督「骨だけになっちゃうから.」
それを聞いた稲川さんは動揺したのか,突如バランスを崩してしまった. 稲川さんの運命や如何に.

仕事開始

カラオケバーでダブルは「瀬戸の花嫁」を歌っていた. なんと2時間半もダブルはマイクを握って離していなかった. 他の客からのブーイングも気にせず,結婚の歌ばかり18曲も歌うダブルに, アンクルもスポットもアイリスもげんなりしていた. 「瀬戸の花嫁」を歌い終わったと同時にダブルは, 加山雄三の「お嫁においで」を歌い始めた.そのとき,腕時計が鳴った. これ幸いとアンクルとスポットはダブルをマイクから離そうとしたが, それでもダブルはマイクを離そうとしなかった.その結果…

ゴッド「君達はハングマンとしての自覚が足りない! 呼び出しがあったら, もっと早く(アンクル,ダブルの腹を叩く),S.S.C.に戻りたまえ.以後, 気をつけろ.」
一同「申し訳ありません.」
怒ったアンクルはダブルの頭を叩いた.
ゴッド「ゴッド指令.連続強奪犯罪組織を暴きハンギングせよ.」
アンクルはダブルの額を叩き,自分がキーボードを叩いた.
アンクル「1年間に3件の現金や貴金属の強奪事件が起きている.場所は東京, 札幌,福岡とばらばらだ.犯行の手口からして,同一チームの仕業らしいなあ.」
アンクルはダブルに指令書を渡した.
ダブル「つまり,山を踏むときだけメンバーは集まり,あー,犯行後, また解散しちゃうわけだ.」
スポット「覚えてるなあ.被害総額4億8千万.ホシの手がかりはまるでなし.」
アンクル「ガードマンも殺されてる.」
アイリス「どこにいるかわからないのに,どうやってハンギングするの?」
ダブル「ゴッドの情報では既に一人割れてる.鳴海こういち38歳(宮内洋). 呉服の卸をしていて日本中を回ってる男だ.」
アンクル「なるほど.こいつが必ず犯行の前に下見をするってわけか.」
ダブル「うん.高知に住んでいらっしゃるんだけど, 明後日東京にいらっしゃるそうだねえ.」
アイリス「こっちで山を踏むってこと?」
アンクル「さて,どうするんですか.酒とカラオケにボケてる旦那?」
アンクルはダブルの胸を叩いた.
ダブル「ふん.任せなさい.こう見えてもね,知能指数200だから.ハ,ハ,ハ, ハ,ハ.」

個人旅館手花を営む老夫婦のところにダブルとアイリスが登場. 80歳以上でご健康な人を選んで旅行社で沖縄旅行が当たったと言うのだ. この手はパンが使った手だ. ちなみに夫は耳が遠かった.宿泊客が一人いるので断ろうと妻が言うと, ダブルとアイリスはそれはこちらで引き受けると言うのであった.

羽田空港に問題の鳴海が到着.それをアンクルが確認した. それをダブルに報告し,準備はいいのか,と言うと
ダブル「あと1時間.」
アンクル「速くしろよ.行っちゃうぞ,鳴海が.」
ダブル「結構大変なのよ,だんどるのにさあ.」
ダブルは番頭,アイリスは女将に化けていた.
アンクル「タクシーに乗るぞ.とにかく速くしろ.」
スポットは室内電話に細工している最中だった. タクシーに乗っている鳴海をアンクルが追跡.鳴海は手花の前で降りた.
ダブルとアイリス「いらっしゃいませ.」
鳴海「じいさん,ばあさん,どうしたんだ.」
ダブルは親戚に不幸があった,とごまかした.間一髪準備が終わり, 外でアンクルとスポットが盗聴開始. 早速鳴海は小宮(内田勝正)のところへ電話した. ダブルとアイリスもその電話を盗聴.小宮は須藤が鳴海を狙っていると警告. 何の意味があるのか,鳴海はサングラスを気障っぽく外した.
鳴海「須藤が?」

鳴海は外へ出て行った.早速アンクルとスポットが車で尾行. ダブルとアイリスは鳴海のアタッシュケースの中を見てみた. 反物が2反と生地の切れ端の見本が出てきたので
アイリス「これあたしに似合うと思わない?」
ダブル「欲しけりゃギャラで買いなさい.」
収穫なしと思われたが,アタッシュケースは二重底になっていた.
アイリス「結構お高いわねえ.」
と呑気なことをアイリスが言う最中にダブルは次の襲撃現場である, 田島宝石店の見取り図と店内写真を発見していた.
ダブル「あんた,一体何しに来たの?」

鳴海は田島宝石店に入っていた.それを店の外から見る女(鈴鹿景子)がいた. アンクルとスポットは鳴海が田島宝石店を襲うのかと睨み, さらに女が鳴海を尾行しているらしい,と睨んだ. 女はなおも鳴海を尾行したが,階段を下ったところで鳴海が曲がった. 慌てて追いかける女.
鳴海「俺を狙うなら今がチャンスだぞ,あきこ. よっぽど忘れられられんらしいな,小池が.」
あきこ「殺したのよ,あなたが.」
あきこは拳銃を鳴海に向けた.
あきこ「死んでもらうわよ.」
それを見て
アンクル「突っ込むぞ.鳴海はお前に任せるから.」
一方
鳴海「待て.話し合おう.」
あきこ「その手には乗らないわ.」
そこへアンクルの車が突っ込んだ.あきこが避けた隙に鳴海は走り去った.
アンクル「物騒なもの持ってるなあ.心配するなよ.俺はデカじゃない. 乗れよ.」
あきこは怪訝な顔.スポットは鳴海の尾行を続行していた.

その話をスポットから電話で聞いたダブルは面白そうだなあといい, さらに女が美人かどうか聞いた.呆れたスポットは電話を切ってしまった. さて鳴海は田島宝石店の向かいの喫茶店に入っていた.時刻は5時5分前. 大王警備保障という警備会社の車が中央銀行という銀行に入るのが見えた. 現金輸送のためだ.

その頃,アンクルはあきこから話を聞いていた. 鳴海はあきこの恋人小池を殺したのだ. 小池は2ヶ月前まであるグループに入っていた. あきこもそのグループの一員だった.事件は札幌での仕事の時起こった. 小池が警官に足を撃たれたのだ.あきこは小池を助けようとしたが, 鳴海は口封じのために小池を撃ち殺したのだ. アンクルは復讐の手伝いを申し出ていた.

手花で田島宝石店の見取り図を見ながら, ダブルとスポットが作戦を練っていると
アイリス「鳴海をハンギングするのはいいけどさあ,ねえ, あいつの持っている呉服の見本を取り上げてよ.あたし気にいってんの.」
柏原寛司さんはアイリスのダメダメさを強調するのが好きらしい.
ダブル「愛さん.」
アイリス「はい.」
ダブル「あたしゃねえ,リーダーとして言わさせていただきますけれど…」
アイリス「はい,はい.」
ダブル「こんな時にそんな発言してる場合じゃないでしょ.」
そのとき鳴海のところに電話がかかってきた.早速盗聴開始する3人. 電話は小宮からのもの.鳴海は下見をしたが何とかいけそうだと報告. 小宮は時間を掛けて準備をしろと命じ,東京へ行く前の日に電話することと, その前に須藤あきこを始末することを命じた.
ダブル「あきこってのは例の女か?」
スポットはうなずいた.
アイリス「ねえ,着物どこにあるか言わないわねえ.」
あ,そ.ダブルはアイリスをジロッと睨んだ.小宮はまた連絡すると言って, 電話を切った.鳴海はアタッシュケースを開けた.手袋をし,二重底を開け, 見取り図と写真を見た.そのとき,見取り図に汚れがついていることに気づいた. 薬品を塗ると指紋らしきものが浮き出た.そこで電話に盗聴機発見機を作動させ, 盗聴機を発見.鳴海はわざと盗聴機をそのままにした. さらに鳴海は盗聴機発見機を作動させ, 机の下にも盗聴機がついているのを発見した.

鳴海は旅館の外へ出て電話することにした. そのことをスポットは公衆電話からアンクルに電話して話していた. どうやら勘付いたらしい.アンクルはあきこに鳴海の始末を引き受けていた. 鳴海は小宮に電話し,盗聴機の件を報告.小宮は翌日東京へ行くことにした.

呑気なダブルは盗聴しながら
ダブル「演歌が趣味か.」
だが鳴海は部屋にはいなかった.
ダブル「次は結婚の歌やってくんねえかなあ.」
と呑気なことを言っていると鳴海がダブルの頭に拳銃を突きつけた.
鳴海「何をしてるんだ.」
ダブル「あ,は.趣味なもんで.」
鳴海はダブルの耳からイヤホンを外した.
鳴海「男の部屋を盗聴するのが趣味か?」
ダブル「は,はい.」
アイリスは遠くでそれを見ていた.
アイリス「ドジ.」
ダブルは旅館の親父から常連の中でやばいことをしている奴がいると聞いていた, それで先に襲って一儲けしちゃおうかなあ,と出任せを言った.鳴海は警戒した. そのとき,ダブルのズボンの尻がやぶけた.
鳴海「動くな.何かを持ってるな.」
仕方なくダブルはハングガンを懐から出した.
ダブル「あ,何で持ってる?」
鳴海はダブルのハングガンを見た.
ダブル「あ,おもちゃだな.」
ダブルはハングガンを捨てた.そのとき
アンクル「お前こそ動くな.」
アンクルがあきこと一緒に登場.
あきこ「撃って.鳴海を殺して.」
アンクルとダブルは目配せ.突然,ダブルはアンクルに襲い掛かり, 鳴海を(わざと)逃がした.
ダブル「礼ぐらい言ったらどうなのよ.助けてやったんだからねえ. ズボン一本ダメにしてまで.」
鳴海は舌打ち.
ダブル「仲間入れてよ.」

翌日.ダブルは鳴海と一緒に田島宝石店の向かいの店に入っていた. 時間は5時5分前.そのとき,別席で新聞を読んでいた男が鳴海に目配せした.
鳴海「おい,店員の動き見張ってろ.」
鳴海はトイレで新聞を読んでいた男,すなわち小宮と会った. 小宮はA計画を捨て,明日B計画を実行することを命じ, あきこは自分が始末すると言った. 小宮がトイレから出るのをスポットも見ていた. 鳴海は明日やるとダブルに言った.ダブルは興奮するとトイレが近くなる, と言い,トイレでスポットに鳴海から聞いた話を伝えた.
ダブル「やるときはやるだろ.」
得意になって去って行ったダブルを見て
スポット「やらないときは全然やらないけど.」

バーであきこはアンクルに文句を言っていた. アンクルは鳴海以外に誰がいるのか尋ねた.リーダーは小宮. 他に鳴海と宮崎.
アンクル「3人か.」
あきこ「4人.宮崎ってのは兄弟なの.二人とも頭剃りあげてるわよ.」
アンクル「坊主頭が兄弟.」
トイレであきこは小宮に襲われた.あきこは小宮に絞殺されてしまった.

S.S.C.にダブルを除く3人が集まった.
アンクル「俺もおちょくられたよ.だがこのままでは済まさん. 明日中にけりをつけてやる.」

別のホテルでダブルはいらいらしていた.外にはスポットがいた. ダブルは外へ出てスポットと接触しようとした.それを見て鳴海は別室へ. 別室には小宮と宮崎兄弟(二家本辰巳ら)がいた.これで全員集合だ. 宮崎兄弟はフィリピンから日本に戻ってきていた. ダブルはスポットに夕方の5時と答えた.

翌日.夕方の5時頃.アンクルとスポットは田島宝石店を見張っていた. ダブルと鳴海が現れた.4時55分に他の連中が裏口からもぐりこむ, その時刻に踏み込んでシャッターを閉めろ,と言って,ダブルと別れた.だが
スポット「裏には仲間らしい連中が集まってません.」
アンクル「おかしいな.」
ダブル「おい,ホントかよ.ちゃんと見てくれよなあ.」
スポット「いないんだって.本当に.」
4時53分になった.スポットは車で小宮らしい男が通り過ぎるのを目撃. ついに4時55分になった.
ダブル「時間だ.ああ,しゃあねえなあ,全くもう.」
その時,大王警備保障の車が中央銀行へ向かって行った. アンクルもそれを見た時
スポット「気になる男見ました.」
アンクル「裏口か?」
スポット「いいえ.鳴海の仲間かと思われますが,通り過ぎていったんです.」
アンクル「通り過ぎた?」
大王警備保障の車が曲がって中央銀行へ向かう頃
ダブル「よし,行くぞ.」
ダブルは田島宝石店の中に入り,ジェイソンのマスクを被った.,鳴海が被った(嘘)マスクだ. 振り返ったダブルは拳銃を構え
ダブル「動くな.お,おい.シャッター閉めろ.早く閉めろ.」
店員は田島宝石店のシャッターを閉めた.
ダブル「いいか.俺は笑わせに来たんじゃねえぞ.一口に言って強盗だかんな.」
ダブルはなおも拳銃で店員を威嚇.そこへ
アンクル「ダブル,ダブル.」
ダブル「どうした,奴ら,来たか?」
アンクル「はめられたんだ.」
ダブル「は?」
アンクル「お前はダミーに使われたんだ.奴らのホントの狙いは別なとこだ.」
ダブル「別なところって,おい,今更遅いよ.何とかしてよ.頼むよー.」
アンクル「いいから,すぐ逃げろ.」
ダブル「逃げろって…」
ダブルは途方に暮れてしまった.突然,ダブルは拍手.
ダブル「いや,皆さん.いや,本当にお見事でした.」
ダブルはお面を上げた.
ダブル「ただいまを持ちまして,警視庁主催,強盗訓練を終わります. 御苦労様でしたあ.」
そして踊りながら裏口まで行進を始めた.
ダブル「♪ドンドン,ズドン,ド,ドン.は.楽しい訓練,愉快な訓練,訓練, 訓練.ドンドン,ズドン,ド,ドン.失礼致しましたあ.」
そして裏口から出て行った.店員は呆気に取られていたが
店員「非常ベル押して.」

ダブルはコープオリンピアの前からスポットの車に乗った.
ダブル「いったい,どうなってるんだ,ホントにー.」
スポット「敵が見抜いたってことさ.ダブルの下手な芝居を.」
ダブル「役者になんなくて良かった.」
凄いシュールな台詞だ.

小宮達の狙いは中央銀行を出発する大王警備保障の現金輸送車だった. 鳴海達が警備員を倒したところへダブル,スポット,アンクルが登場. 連中を一網打尽にした.元ヒーローだけあって(嘘),鳴海は強く, スポットを軽くあしらった.
ダブル「おもちゃじゃなかったみたい.」
鳴海「ふざけるな.」
ハングガンを打ち込まれた鳴海はやたらと大袈裟な動きをして倒れた.

ハンギング

「寿司元」に電話がかかってきた.
高田「はい,寿司元.あ,愛ちゃん.最高の気分よ.競馬大穴取ったしさあ. え,パチンコはフィーバー.まあ,まつはしがねえ,細工し通しでさあ, 一人ぶつけられてじんたいし.おまけにさあ,愛ちゃんから,ラブコールって, 俺,死んだっていいよ.今すぐにでも死ぬ.殺してえ.」

怪しげな色をした液体からぶくぶくと泡が立っていた.
ダブル「やあ,皆さん.ごきげんよう.」
小宮「何の真似だ.」
ダブル「ま,ま,ま,まあ,まあ,まあ.落ち着いて. これからお宅らに悪事に見あった面白いゲームやってもらおう.」
鳴海「ふざけたこと言うな.」
ダブル「その前に一人,先に片付けておく人間がいるから, よーく見学しててくれ.」
というわけでモルモット小父さん登場.
モルモット小父さん「馬鹿野郎,この.俺様をこんな目にあわしてみろ. ただじゃ済まさねえからなあ.」
アンクル「粋がるなって.」
後ろには槍衾.前には怪しげな液体の上に渡された板.
モルモット小父さん「どうしようって言うんだ.」
ダブル「ルールは簡単だ.槍が迫ってくる. どうしても橋の方へ逃げなきゃいけないわけだなあ. ところが天秤棒持たないとルール違反で橋は落っこちるってわけだ.」
アンクルはうなずいた.
槍衾が動き始めたのでモルモット小父さんは天秤棒を持った.
ダブル「お前がやった悪事を喋ればゲームはストップしてやる. そんでも,無事に橋を渡れば助かるけどな.途中から細くなってて, ちょっと難しいぞう.あ,それから言い忘れたけど,水槽に入ってんの, 硫酸だから.」
モルモット小父さん「硫酸? 嘘付け.そんな脅しに乗るか.馬鹿野郎.」
ダブル「ホントだって.実験してみようか.ほれ.」
上から降ろされたお魚さんは解けてなくなってしまった.
ダブル「さあ,速くしないと槍が迫ってくるぞ.串刺しか硫酸漬けか. どっち選ぶ.」
モルモット小父さんはしばらく歩いていた.よく見ると, 橋は向こう岸まで渡っていない.
アンクル「なあ,元ちゃん,しっかりやれよ.」
ダブル「さあ,橋揺らすぞ.」
これでバランスを崩したモルモット小父さん.
アンクル「しゃべりゃあいいんだよ.お前のやったこと.」
モルモット小父さんは天秤棒を落としてしまった. モルモット小父さんは土下座した.
モルモット小父さん「言います.言います.女房に保険金掛けて, 浜に連れてって鮫に食わせたの,俺ですー.鮫に食われれば事故死になると, 思ったからです.」
その時,モルモット小父さんの尻に槍が刺さったので, モルモット小父さんは叫び声をあげた.
モルモット小父さん「もう駄目.」
モルモット小父さんは水槽に落ちて,水中に没した. 扇風機が回ると骨が浮かんだ.
ダブル「え,へ,へ,へ,へ.君らの番ですよ. 悪事を喋れば助けてやるけどなあ.」
宮崎兄「言います.何でも言います.」
宮崎弟「言う.俺も言う.やめてくれえ.」
鳴海「こ,小宮が計画したんだ.今回の襲撃も,その前の宝石強盗や, 現金輸送車を襲ったのもそうなんだ.」
小宮「何を言う.人のせいにするな.」
宮崎弟「小宮がボスだ.こいつがみんな悪いんだ.」
宮崎兄「そうだ.俺は,俺は手伝っただけなんだよー.」
小宮「嘘だ.こいつらにそそのかされたんだ. あきこの前の男を射殺したのも鳴海だ.」
鳴海「何を言う.あきこを絞め殺したのはお前じゃないか. みんなお前が悪いんだ.」
そして小宮達は警察に引き渡された. 新聞は「日本を股にかけた 強盗団 全員逮捕!」 「元共犯の女 仲間に 絞殺される」 「リーダーは 元商社マン 海外でプランを 練る」と報じた.

事件解決して

今回は無傷だったモルモット小父さんは
モルモット小父さん「楽勝よ,今回はさあ.え.はじめてじゃないかなあ. 無傷で済んだってのはさあ.」
アイリス「あたしが言ってあげたの.元さんはあんまり可哀相だって.」
モルモット小父さん「本当.優しいんだねえ,愛さんはねえ.」
アイリス「だから,元さん.ギャラ.ギャラ,まけて.」
モルモット小父さん「ああ,いいよ. ちょっと水槽の水飲んだぐらいで済んだんだもん.」
アイリスは喜んでうなずいた.
モルモット小父さん「まける.まけちゃいます.」
そういうのは早かった.モルモット小父さんは腹を押さえた.
アイリス「どうしたの?」
モルモット小父さん「あ,た,た.腹の具合悪くなってきた.」
アイリス「ああ.水槽に随分絵の具入れたからねえ.」
モルモット小父さん「絵の具?」
アイリス「気をつけてよ.赤痢かチフス.」
絵の具では赤痢やチフスにはならないだろう.
モルモット小父さん「赤痢かチフス? あ,いた,たー.」
モルモット小父さんはトイレへ駆け込むのであった.
モルモット小父さん「まけない.ギャラ,もらう.絶対だからねえ.」
アイリス「遅い.もう約束したもーん.」

ギャラが分配された.着物より宝石がいいというアイリスを見て
アンクル「あ,そうだ.こん次からモルモット小父さんの口座に直接振り込めば?」
ダブル「ああ.それ名案な.」
アイリス「わかった,わかった.宝石買わなきゃいいんでしょう.その代わり, リーダー,キャプテン,お願いがあるの.強盗して.」
ダブル「は?」
アイリス「あの宝石店から.1回やったんだから, 2回やってもおんなじでしょう.」
ダブル「冗談じゃないよ.俺,もう二度とあんな,強盗なんか行かないから. ねえ,ゴードー.」
彼は「ゴッド」と「強盗」を掛けたのだ.

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東平 洋史 E-Mail: hangman@basil.freemail.ne.jp