第一回

ダブル登場.学校の裏側に隠れた悪事を暴く.
名門高校の校長がヤッちゃん!

脚本:大川俊道 監督:井上梅次

名高さんの後釜は?

新メンバーの座を賭け, 撮影所の中で稲川さんと渡辺徹さんがかけっこをしていた. ゴールはスタジオの中.稲川さんの方が優勢だと思われたが, なぜか渡辺さんがスタジオの入口に先に到着.だが渡辺さんはこけてしまった. その隙に稲川さんは渡辺さんを乗り越えたが,転んでしまった. 起き上がった渡辺さんは稲川さんを踏んづけてセットへ急行. 中ではスタッフが「頑張れ徹」「頑張れ稲川」と囃していた. 「がんばれ 渡辺徹さん フィアンセのために!」 「祈必勝! 稲川淳二さん メンバーか モルモットか 天国と地獄の ちがい!!」 と書かれた紙をスタッフは持って応援.そしてテープを切ったのは渡辺さん.
渡辺さん「やった.やった.俺が主役だー.」
稲川さん「ちぇ.またモルモット小父さんか. 今度は絶対にハングマンになれると思って作ったんだけどなあ.」
稲川さんはS.S.C.のワゴンの前で撮った写真のパネルを持って悔しがった.
渡辺さん「稲川さん,恨みっこなしで.勝負だから,しょうがない.」
稲川さん「ちょっと徹ちゃん,お願いがあるんだけどさあ,あのねえ, 子供にねえ,今度こそハングマンになれるって言って来ちゃったの. だから代わって.モルモットやって.お願いだから.」
渡辺さん「冗談じゃないですよー.俺だって大事な結婚前の体なんですから.」
当時渡辺さんは榊原郁恵さんとの結婚を控えていた. そこへ井上監督がやってきて,稲川さんに囚人服の帽子を被せた.
井上監督「はい,稲川さん,これ着て.」
そして井上監督は大きな足が動いている怪しげな壁の前に, 稲川さんを連れて行った.足の裏には針がついていた.
井上監督「今日はねえ,これ.」
稲川さん「あー.あたしの人生って何なのよ.」

事件発生

男が車を運転していたが下り坂で
男「ブレーキが利かない.」
電柱に激突して死亡.新聞は「四月六日 数学教師 高野光平 交通事故により死亡」と報じた.

ある夜.男が工事現場の脇を歩いていると上から鉄骨が落ちてきた. 鉄骨が直撃して男は死亡.新聞は「五月十五日 英語教師 田崎裕 工事現場,鉄骨落下 事故により死亡」と報じた.

別の日の夜.男が叫びながら運河に落ちていった.新聞は「六月二日 化学教師 山中正弘 泥酔,転落して 死亡」と報じた.

長浜昭太郎登場

そんなある日.○の中に豚と書かれたマークを先頭につけたワゴンを, 一人の巨漢が口笛を吹きながら運転していた. ワゴンの側面には豚珍軒ラーメンと書かれていた. 巨漢は○の中に豚と書かれたマークをつけた白い帽子を被り,白い服を着ていた. コックのような格好だ.そして左腕にはめたブレスレットを見て笑っていた.

ここは中央銀行通用口.二人組の銀行強盗(ゆーとぴあ)が様子を伺っていた. いざ車を降りて突入しようとした瞬間,豚珍軒ラーメンのワゴンが衝突. 巨漢はお詫びにラーメンいかがですかと言った. 銀行強盗は馬鹿野郎と言って追い返そうとしたが
巨漢「豚珍軒のラーメンは究極のラーメン.そんじょそこらのラーメンとは, わけが違う.」
仕方がないので銀行強盗はラーメンを注文した. 一人がそう言えば腹が減ってきたなあ,と言うと,もう一人が, 馬鹿,注文して追っ払ったんだよ,と言った.そして銀行強盗は銀行に突入した.

その頃,アンクル,スポット,アイリス達は宗谷丸の前で写真を撮っていた. スポットがレフ板を操作し,水着姿のモデルをアンクルが撮影すると言うわけだ.
アイリス「フラッシュの後釜,どんな奴が来るのかしら.」
アンクル「こればっかりはゴッドに任せるしかないからな.」
アイリス「彼の代わりなんだから,ニヒルな二枚目に決まってるわよね.」
アンクル「そうねえ,頼りになる奴が来るといいねえ.」
スポット「とにかく早いとこ来て欲しいですよ. S.S.C.の方が人手不足なんだから.」

一方,銀行強盗は金を奪って車を発進させた.それを見て
巨漢「ああ,ちょっと.お客さん.」
巨漢は律儀にもラーメンを作っていた.慌てて巨漢は銀行強盗を追いかけた.
巨漢「飛ばしやがるなあ.注文したくせに逃げるなんてひでえなあ.」

さてアンクルの腕時計に通信が入った.SSCに午後1:00集合と言うわけだ.
アンクル「おい,お呼びだ.」
スポット「でも,二人でやれって言うんですか?」
アイリス「あたしだっているのよ.」
あ,そ.スポットは苦笑した.そこへ銀行強盗の車と巨漢のワゴンが登場. 慌ててアンクル達は脇へよけた.レフ板が破けてしまった. 車が行ったのを見てアンクル達はぼやいていた.
アイリス「あんなのハンギングよ.絶対,ハンギング.」

巨漢「ちょっと,ちょっと,ちょっと.ラーメンどうするんですか. 食ってくださいよ.」
銀行強盗「そんなもの要らないよ.帰れ.」
巨漢「キャンセルはないですよ.折角作ってるんだから.」
もうのびているのではないか? 銀行強盗の車は青海の倉庫街でダンボールに突っ込み,のびてしまった.

長浜昭太郎ことダブル加入

S.S.C.でアンクル達が巨漢の運転するワゴンの件をぼやいていた. 撮影用具が壊れてしまったからだ.
スポット「あ,そろそろ1時になりますよ,アンクル.」
アンクル「うん.いよいよ,ニューリーダーのお出ましか.」
アイリス「お化粧直さなくっちゃ.」
そこへ豚珍軒のワゴンが到着.巨漢が岡持ちを持って中に入って来た.
巨漢「あ,毎度あり.さあ,来たぞ.豚珍軒ラーメンね.」
呆気にとられるアンクル,アイリス,スポットの3人.
スポット「豚珍軒?」
アンクル「なんだ,おい.出前なんか頼んだ覚えないぞ.」
そのときアイリスが気がついた.
アイリス「この男,さっきの暴走車の男じゃない?」
スポット「あ,そうだよ.」
巨漢はアイリスとスポットの言葉を無視して言った.
巨漢「(どんぶりを手に持ち)さあ,世界最高のラーメン. 一度食ったらやめられない.」
巨漢は三脚に足を引っ掛けてどんぶりを落としてしまった. すいませんと叫びながら巨漢はどんぶりを拾おうとしたが, そのときに尻がテーブルに当たり,テーブルの上のどんぶりも落ちてしまった. さらに滑って転んで大騒ぎ.
アンクル「お前が動くと騒動の元だから.」
アイリス「乱暴なのは運転だけじゃないんだからあ.」
巨漢「すいません.」
アンクル「そこに座ってろ.」
巨漢「はい.」
アンクル「座ってろー.」
だが座った場所が良くなかった.アイリスが叫び声をあげた.
アイリス「どいて.どいて.どいてー.」
巨漢はソファの上に置いてあった紙袋の上に座ってしまい, 紙袋はぺしゃんこになってしまった.紙袋の中には帽子が入っていた. 帽子もぺしゃんこになってしまったのを見て,アイリスは失神. アンクルとスポットがアイリスを起こした.
アイリス「許せない.許せない.弁償よ.5万.いや, 精神的ショックで10万よ,10万.」
いつの間にか巨漢がいなくなっていた.そのとき,運命が流れた.
アイリス「ゴッドが呼んでるわ.」
スポット「でも,キャップ来てないのにどうします?」
アンクル「しょうがねえ.やるっきゃないだろう.」
そのとき,スポットがアジトの扉が閉まったことに気がついた.
スポット「あ,誰か入った.」
アイリス「さっきの男じゃない?」
アンクル「まさか.」
スポットは一脚を手に持った.

アジトの中にアンクル達が入ると
ゴッド「ゴッド指令.高校教師連続事故死の謎を探れ.」
プリンタから打ち出された紙を巨漢が手に持っていた.
アイリス「ちょっと.」
巨漢「この3ヶ月の間に同じ高校の教師が事故で3人も死亡している.」
アンクル「お前,一体なんだ.」
巨漢はアンクルの言葉を無視.
巨漢「これは偶然にしちゃあ,出来過ぎだなあ.なんかあるぞ.」
スポット「貴様,何者だ.」
スポットが一脚を構えたので
巨漢「お,おい,落ち着いてくれって.なあ.」
巨漢が一本指でコンピュータを操作すると
ゴッド「新メンバーを紹介する.」
アンクル「新メンバー?」
スポット「まさか,フラッシュの後釜?」
アイリス「そんなあ,嘘でしょう.」
巨漢「いやあ,まあ,まあ,まあ,まあ.」
また巨漢がコンピュータを一本指で操作すると, ディスプレイに巨漢の姿が映し出された.
巨漢「は,は.俺だ.俺.は,は.」
ゴッド「コードネームはダブル.」
スポット「ダブル.」
アンクル「ダブルサイズってことか?」
アイリス「つまり,ダルマって言うようなことね.」
スポットが一脚でダブルの腹をつついていた.
ダブル「ええ,長浜昭太郎です.よろしく.あ,詳しいことはですね, この資料をお読みになってください.」
ダブルは紙をコピーしたものを1枚1枚3人に渡した.
アンクル「東京大学工学部電気工学科卒.知能指数200.」
ダブル「200.」
アンクル「スポーツ万能.」
ダブル「万能.」
アンクル「語学堪能.」
ダブル「堪能.」
ダブルがスポットの肩を叩いたのでスポットは嫌そうな顔をした.
アンクル「100種に及ぶ職業を経験.現在はラーメン屋頓珍漢を経営.」
ダブル「いや,豚珍軒.あ,それからですね,皿洗い,運転手,学校の先生, キャメラマンもやったことがあります.腕は抜群.あ,それから, 刑事もやりました.」
刑事時代は七曲署に勤めてラガーと名乗っていたのだろう.
ダブル「もうハングマンには持ってこい.」
笑うダブルを残りの3人は呆気にとられて見ていた.ダブルは椅子に座り
ダブル「おお,これは座りごこち最高.」
アイリス「ちょっと,壊さないでよ.」
ダブル「大丈夫.」
アンクル「しんじられねえなあ.この履歴.」
アイリス「これが後釜じゃ,フラッシュが可哀相よ.」
スポット「ゴッドも陽気のせいで, (自分の頭を指差し)いかれちゃったんじゃないっすかねえ.」
それを聞いたダブルは
ダブル「ゴッドに言うよ.」

ダブルはS.S.C.のワゴンにスポットを乗せ,問題の高校へと向かった. 口笛を吹くダブルをスポットは呆れてみていた.とそのとき, ダブルが懐から写真を出し,写真を見ながらにやけていた.
スポット「フィアンセがいるの?」
ダブル「うん.秋になあ,結婚するんだよ.」
スポット「どれ,どれ.」
スポットが覗き込むとダブルは写真を隠した.
ダブル「ダメだよ.彼女が汚れるよ.」
スポット「へん,嘘でえ.フィアンセがいるようにはとても見えねえな.」
ダブル「人を見かけで判断するなよな.」
スポット「え?」
ダブル「ほら,彼女にもらったプラチナのブレスレット.」
ダブルは得意げに左腕をスポットに見せたが
スポット「どこによ?」
慌てたダブルは運転中にも関わらずブレスレットを探し始めた. そのためワゴンはジグザグ運転を開始. リヤカーを引いた農婦を轢きそうになるなど大騒動.
スポット「あぶねえなあ,探すの後だよ.」
ダブル「ブレスレットちゃん.」
スポット「危ないよ.前見て運転してよ.」
そのとき,ダブルは右腕にブレスレットをしていたことに気がついた.
ダブル「ごめんな.物忘れ酷くってなあ.まあ,これも僕の人間的魅力.」
大笑するダブルを見てスポットは呆れて口をあんぐりあけてしまった.
スポット「ちょっと,ダブル.俺たちはねえ,ハングマンなんだよ.」

アジトではアンクルが資料を読んでいた.四月六日に数学教師の高野光平が, 交通事故により死亡.五月十五日に英語教師の田崎裕が, 工事現場の事故により死亡.六月二日に化学教師の山中正弘が泥酔, 転落事故により死亡.教師たちの所属していた黒鳥学園は, 半年前に校長と教頭が揃って代わっていた. この辺に何かがあるのかもしれない.
アイリス「でも大丈夫かしら.あのダルマに任しといて.」
アンクル「ま,お手並み拝見と行こうぜ.」

ダブルとスポットの乗るワゴンは黒鳥学園の近くに差し掛かっていた.
ダブル「お,あった,あった.」
スポット「どこに?」
スポットの目には何も見えなかった.
ダブル「おお,時計台が見えてるよ.12時26分.道理で腹減ったと思ったよ.」
スポット「よく見えるなあ.」
ダブル「あ,俺,視力3.5だ.」
スポット「3.5ねえ.え!」
ワゴンが黒鳥学園についた.
スポット「本当だ.時計塔があるよ.凄い視力だねえ.」
ダブル「超視力も俺の数ある能力のほんの一部だな.」
スポットはダブルにハングガンと発信機を渡した.
スポット「なくさないでよ.なくすのも能力の一つらしいから.」
ダブル「お,俺をだんだん把握してきたねえ.」
グランドではサッカーが行なわれていた. ダブルはサッカーの輪に加わろうとしたが,ボールが頭に当たり,気絶.
スポット「あーあ.サッカーボールで気絶.だめだ,こら.」

ダブルが気がつくと美人の校医さん(中村れい子)がダブルを起こしていた. ダブルは教師の面接に来たと言うと,校医は伊藤ようこと名乗った. ダブルは教師が続々死んでいることを聞こうとしたが,伊藤は口篭もった. そこへ事務長の氷室が現れ,校長室へダブルを連れて行った. 校長の阿久津肇(渥美国泰)は教頭の鮫島を紹介した. ダブルが持ってきた経歴書には,名門帝国高校で教壇に立ったことと, 東都大の教授の推薦であることが書かれていた.即採用が決定した.

様子を身に来たアンクルにスポットがこぼしていた.
アンクル「え,いきなり保健室へ運ばれていったのか.」
スポット「情けないっすよ.あれじゃあ,ただの間抜けだって.」
それを聞いたアンクルはピンと来た.
アンクル「ゴッドの資料によるとなあ,先週死んだ山中先生ってのは, ここの校医の伊藤ようこ先生の恋人だったようだぞ.」
スポット「それじゃあ,校医さんと接触するために?」
アンクル「だとしたら,なかなかやるぜ,あのダボは.」
半信半疑ながらアンクルはダブルの魂胆を見抜いたようだ.
スポット「まっさか.ただの偶然ですって.」
スポットがそう言って信じないのも無理はない.

伊藤は校長室の前にやってきて立ち聞きしていた.校長室の中では阿久津,鮫島, 氷室の3人が密談していた.氷室が山中のことを話そうとするやいなや
阿久津「あのビデオテープはまだ見つからんのか?」
氷室は気配に気づいてドアを開けた.すると伊藤が立っているのが見えた.
鮫島「伊藤先生,話を聞きましたね?」

その頃,ダブルはサッカーに興じていた.ダブルは見事なリフティングを披露. 部員がうまいねえ,というとダブルは今日から着任した教師だと名乗った.
ダブル「俺が相撲取りに見えるか?」
部員「見える,見える.」
ダブルは強引に顧問になってしまった.そのとき, 伊藤が体育館に連れ込まれるのが見えた. 氷室は体育館の裏の用具室に伊藤を閉じ込めさせた. そして氷室は伊藤が山中の恋人であることを見抜いていた.

さてダブルはサッカーの試合に興じていたが
部員「先生,どこ蹴ってんだよ.」
ボールは警報機のボタンに命中.警備員がボタンに集まっている隙に, ダブルは姿を消した.
アンクル「騒々しいなあ.」
スポット「また何かやったのかなあ.」

ダブルは体育館の裏の用具倉庫に忍び込んだ. そして伊藤が閉じ込められている部屋を発見.窓から覗き込み
ダブル「ようこさん.」
伊藤「長浜先生.」
ダブル「先生達が続けて死んでいるのは,やはり何かあるんですね.」
これを聞いた伊藤は驚いた.
伊藤「あなた一体…」
ダブルは窓に頭をぶつけてしまった.
ダブル「あなたの味方ですよ.」
その頃,氷室は騒ぎを起こしながらダブルが姿を消したことに不審を抱いていた. そして警備員にダブルを探すように命じていた.一方
ダブル「もう少しの辛抱ですからね.必ず助けに来ます.」
ダブルは立ち去ろうとしたが
伊藤「待って.」
伊藤は首にかけていた鍵をダブルに渡した.
伊藤「ロッカーのキー.そのロッカーの中に, 学園の秘密を暴くためのビデオテープが.」
ダブルは急いで逃げたが,柵をくぐろうとした時に尻がつかえてしまった.
ダブル「あら,抜けねえ.こんなことだったら, きちんとダイエットしとくんだったなあ.」
そのとき,犬がやってきて尻を舐めた.

スポットとアンクルはダブルの発信機の発信する電波を受信. だが発信機は犬の首についていた.犬の動きに合わせて動き, アンクル達は車を行ったり来たりさせる羽目になった. 運転するアンクルは怒りまくっていた.結局
アイリス「つまりこの犬を追いかけてたってわけ.」
スポット「道理で素早いと思ったよ. あんな太っててすばしっこく走れるわけないんだから. どこ行っちゃったんだろうなあ,あいつは.」
スポットは学生服を着ていた.
アンクル「とにかく作戦変更だ.俺達も潜り込むっきゃない.どうだ,おい. 金持ちに見えるか?」
スポット「成金まるだし.僕はどう?」
アイリス「かーわいい.」
そしてアンクルとスポットは校長室に乗り込んだ. スポットの高校生姿は無理がありすぎるぞ,と思ったら, アンクルはちゃんと言い訳を用意していた.勝手に高校を辞め,アメリカに渡り, 4年ぶりに舞い戻り,もう一度高校からやり直したいと言うわけだ. 「多額の寄付」も効き,阿久津は入学を快諾. アンクルは昔家庭教師で世話になっていた「長浜先生」のことを聞いたが, 阿久津と鮫島は授業は明日からなので帰ったと答えた.

その頃,ダブルは体育用具倉庫を伺っていた. 氷室達は伊藤にダブルが来たんじゃないかと詰め寄っていた.伊藤は氷室に, ダブルに山中が撮影したビデオを隠してあるロッカーのキーを渡した,と答えた. そこへダブルが登場.
ダブル「ようこさん,後は僕に任せて.」
グランドを走り回るダブルをスポットが発見. ダブルの後を警備員達が追いかけていた. 警備員を巻いたダブルはスポットとアンクルに会った. そして伊藤を助けるように伝え,自分は逃げ回った. アンクルとスポットは伊藤を救出.そのとき,アンクルは隠し扉に気がついた. 開けてみると,そこは賭博場だった.
アンクル「どういうこと?」
阿久津達はここで賭博をしていたのだ.

一方,ダブルはなおも逃げ回っていた.警備員がジープを繰り出したので, ダブルはスクーターを「借りて」逃走.見事巻いたかに見えたが, 目をそらしている隙にポリバケツに激突.また追いかけられる羽目になった. ぶっそうなことに警備員達は拳銃まで持っていた.

アンクルとスポットは伊藤の指示できょうえい銀行へ向かっていた. そこに例のビデオテープを預けてあるのだ.
スポット「それじゃあ,ダブルに預けたキーは?」
伊藤「ダブル?」
スポット「あ,いやあ,長浜先生に預けたキーは?」
伊藤「偽物です.」
つまりダブルは囮だというわけだ.

ダブルはトイレに駆け込んだが,周りを警備員に囲まれ,絶体絶命のピンチ.
ダブル「ああ.最初の仕事で死ぬのかよー. ハングマンになんかなるんじゃなかったよー. (写真を出して)ああ,君とももうお別れだよー.」
警備員が近づいてきた.
ダブル「こんなことなら,夕べ君とデートしとくんだったあ.」
胸に手をやったダブルはあることに気がついた.
ダブル「へ,へ,へ,へ,へ.忘れてた,ハングガン.」
ダブルはハングガンを駆使して警備員達を倒した. フラッシュが使ったものとは違い,小型のものだ.

アジトでアンクル達は例のビデオを見た.賭博だけではなく, 覚醒剤や拳銃の取引まで行なわれていた.
スポット「くっそう.何が教育者だ.ヤクザ校長にやくざ教頭め. 隠れ蓑にするために半年前に学園を乗っ取ったのか.」
アイリス「それに勘付いた善良な教師達を次々と殺していったのね.」
ダブルは憤っていた.
ダブル「ちきしょう.一生懸命逃げたのに囮だなんて.」
アイリス「ねえ,ダブル,囮だってこと,勘付いてたんでしょ?」
ダブル「全然.」
アイリス「あ,そう.それでハングマン勤まるの?」
あんたにいわれたくはない.
アンクル「これで奴らが学園を舞台に悪事を働いているのは確かだ.」
スポット「そして先生3人を殺した.」
アイリス「どうします,ニューキャップ.」
ダブル「もちろん,ハンギングだ.」
突然,ダブルは笑い出した.
ダブル「初陣だ,初陣だ.ハンギングと.」
ダブルはガッツポーズをとったが
スポット「(サムアップして)こうすんの.」
ダブル「あ,そう.はい.」

ハンギング

阿久津はダブルにきりきり舞いさせられたことを聞き,怒り狂っていた. そこへ電話が
ダブル「あのねえ,買って欲しいビデオがあるんすよ. 5千万くらいでいかがですか?」
阿久津「長浜君.君はそれでも教育者かね.」
思わずダブルは笑ってしまった.
ダブル「よくまあ,そんなことが言えますねえ.」
阿久津は取引に応じることにした.電話を切ったダブルは
ダブル「商談成功.5千万あったら,結婚式も豪華にできるし, 新婚旅行だって熱海からハワイへ格上げだあ.」
大笑いするダブルをアンクル達は冷ややかな目で見ていた.
ダブル「なんか,おかしい?」
アイリス「ダ・ブ・ル.あなた本気で取引するつもりじゃないんでしょうね.」
アイリスがこう言う資格はないと思うぞ.
スポット「俺たちゃハングマンなんだぜ.」
アンクル「自覚が足りねえんじゃねえか.」
アイリス「危ないダルマ.」
ダブル「あ,冗談ですよ,冗談.は,は.レッツゴー,ゴー,ゴー. 楽しいハンギング,愉快なハンギング,ハンギング,ハンギング.は!」

その夜.廃車置場に阿久津達がやってきた.そこへダブルが登場. なぜかダブルはタンパンに上だけジャージの姿で登場. 氷室は五千万円の代わりにライフルを取り出した.
ダブル「俺も武器だそう.」
ダブルが出したのはサッカーボール.サッカーボールは鮫島に命中. 氷室のライフルはスポットの一脚で弾かれた. ダブルは氷室を狙ってボールを蹴ったが,ボールはスポットの頭に命中.
ダブル「あ,失敗.」
ダブルはボールを蹴り直し,今度は氷室に命中.阿久津はアンクルが倒した.

早速「寿司元」に電話がかかってきた.
高田「はい,寿司元.ああ,愛さん.うん.ええ,また仕事? ああ, 毎日鰻食ってさあ,体力つけてさあ,うん,ふ,ふ,ふ,待ってたの. え,喜んで行かせてもらいます.はい.」
元さんは電話を切った.

モニターに映る阿久津達を見て
ダブル「あ,は,は,は.怖がってる,怖がってる.」
アンクルはマイクを押さえ,咳払い.
アンクル「はやいとこ行こうか.」
スポット「行こう.」
ダブル「あ.」
ダブルは咳払いした.
ダブル「これからハンギングを始める.まずはショータイム!」
阿久津「あのスイカは何だ?」
と言うやいなや,モルモット小父さんとハンギングの装置にライトが当たった. ハンギングの装置は, 巨大な靴の裏に小さな槍のようなものがたくさんついているものが, 上下すると言う代物だった.
モルモット小父さん「あー,やな予感がするなあ.」
スイカを押さえていたフックが外れ,装置に向かって走って行った. そしてスイカは槍で切られてバラバラになった.それを見て悪党達,そして
モルモット小父さん「ああ.」
ビビリまくった.ダブルは口を押さえて笑っていた. ダブルに呆れてしまったのかアンクルとスポットは無表情.
ダブル「この通り,サッカーシューズで蹴飛ばされるってわけだ. 今度は人間だ.」
モルモット小父さん「あー.あー.今度は俺の番か.あー.」
モルモット小父さんがスイカのあった場所に移動させられた.
モルモット小父さん「よせー.よしてくれよー.これで離されたら, 絶対最後だぜー.えー.あー.」
ダブル「ではお前の悪事を白状するんだ.女子高生を次から次へと送って, 散々楽しんで,悪い事しただろう,お前は.」
モルモット小父さん「知らねえや,そんなこと.」
ダブル「おう,そうか.白状しない気だな.」
フックが外れ,モルモット小父さんが蹴られた.叫び声をあげ, 顔面に傷を受けたモルモット小父さんを見て悪党達はびびった.
アンクル「ああ,ちょっとやり過ぎだよ.」
だがダブルの表情がおかしい.
スポット「おい,ちょっと興奮すんなよ.もういい,もういい.」
だがダブルはキーを押した.モルモット小父さんは悲鳴を上げた.
モルモット小父さん「もう1回やんの.ああ.勘弁して.」
またフックが外れ,モルモット小父さんは蹴られた.また悪党達はびびったが
モルモット小父さん「まだやるの?」
もうモルモット小父さんは涙声だ.
ダブル「反応が弱い.もういっぺん行くぞ.」
スポット「もういいって.モルモット,死んじゃうって.」
アンクルは悟りの境地に入ったようだ.
アンクル「ああ,もう1回ぐらいしょうがないだろう.ギャラ払ってるんだから.」
またモルモット小父さんは蹴られ,動かなくなってしまった.
ダブル「は,は,は.最高だ,ハンギングって.」
アンクルの冷たい視線を感じ
ダブル「次はお前らの番だ.今みたくなりたくなかったらなあ, 悪事を全て白状しろ.」
氷室「言う.何もかも言う.」
鮫島「私も言う.」
阿久津は口をパクパクさせるだけ.
氷室「学園で賭博や覚醒剤やピストルを取引してたのは事実だ.」
鮫島「わしは関係ない.みんな校長の計画だあ.」
阿久津「何を言う.こいつら,教師を3人も殺したぞ.」
氷室「命令だあ.教頭の鮫島がやれと言ったんだ.」
鮫島「何もかも校長だ.学校なら警察も踏み込めないから, 安全だって言ったんだ.」
阿久津「嘘だ.こいつらは本当は銀竜会の幹部なんだ.」
鮫島「何を言う.学園を乗っ取ったのは校長だ.」
阿久津「その計画は誰が立てたんだ.」
鮫島「手伝えと言ったのは校長じゃないか.」
そして阿久津達は警察に引き渡された.新聞は「学園を隠れミノに 賭博,覚醒剤,拳銃密売」「首謀者は 校長と 元暴力団の 教頭・事務長」 「秘密を 知った教師を 次々と殺害!」と報じた.

事件解決して

顔面に傷を負い, 首にギブスをはめたモルモット小父さんは愛の事務所でヒーヒー言っていた.
モルモット小父さん「いてててて.」
アイリス「大変だったわねえ,元さん.」
モルモット小父さん「なんだよー.1回の約束なのにさあ, 3回もやるんだもんよ.ホントのムチウチになっちゃったよー.」
アイリス「ギャラだけじゃ申し訳ないから,夕食付き合うわ.」
それを聞いたモルモット小父さんは元気を取り戻した.
モルモット小父さん「本当! あいたー.あいたー.」
だが アイリス「元さんとこのお寿司が食べたいな.」
モルモット小父さん「え?」
アイリス「おごってえ.」
モルモット小父さん「あー.わが身には食い気ばかり. ひとかけらの愛情もないんだなあ.首も痛むけど,心も痛むなあ.」

ギャラが振り込まれ,ダブル達はアジトでギャラを分配した.
ダブル「おい,ギャラが出たぞ,ギャラが.」
ダブルは3人に封筒を渡した. そして小さな茶封筒が余計にあることに気がついた.
ダブル「あれ,一つ…あ,そうかあ.ゴッドが俺の結婚祝に.」
アイリスはダブルから茶封筒をもぎ取った.
アイリス「(大声で)これはモルモット小父さんの分なの!」
あ,そ.
アンクル「おい,ダブル.お前さんの歓迎会かねてなあ,パーっと行こうか. グルメだからなあ,いい店知ってるんだ.」
ダブル「いや,あのう,今日は僕におごらせてください.知ってるんですよ. 世界最高の店!」
アイリス「どこ?」
ダブル「豚珍軒.」
それを聞いたアンクルはずっこけた.

というわけでアンクル,アイリス, スポットは豚珍軒のラーメンを食わされる羽目になった.
ダブル「はい,お待ち.さあ,できたよ,できたよ,豚珍軒.世界一の大きさ, 究極のラーメン.一度食ったらやめられない.お味はいかが?」
アンクル「究極にしては麺がのびてるじゃないか.」
スポット「うーん,味もなんか頓珍漢だなあ.」
アイリスに至っては
アイリス「あらあ,こんなもんよ,ニューキャップの腕はね.インスタントに毛が生えたようなものなの.
ダブル「かあ.この味音痴どもが.(写真を取り出し)もう,わかってくれるのは, 君だけ?」
スポットが覗き込むとダブルは写真を隠してしまった.

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東平 洋史 E-Mail: hangman@basil.freemail.ne.jp