第十四回

強請屋ホストクラブを吊るす.
エジソンがラブホテルで殺人者にされる!

脚本:ちゃき克彰 監督:井上梅次

この回はエジソンが警察に捕まってしまうと言う話だが,「新ハングマン」#18「服役者の妻を犯す警察署長」 程の(エジソンを始末しろというような)ハードな展開は見られない. とは言っても,この回は駄作ではないと僕ちゃんは思う.

エジソン逮捕

ある晩のラブホテル街.一人の女がホテルに入って行った. その頃,そのホテルの一室にエジソンがいた.
エジソン「あたし達,全員二十歳でーす.うふん.あーら,これかな. (ドレミファソラシドの節で)♪どーの子ーが来ーるかーなー.」
エジソンはデートクラブのデート嬢を待っていたのだ.すると呼び鈴が鳴った.
エジソン「来た.」
喜びいさんで出てみると
女「あ,すいません.お部屋間違えました.」
冒頭でホテルに入った女が部屋を間違えて鳴らしたのだ. 女はエジソンの部屋の向いの部屋に入って行った. エジソンが自室から覗いてみると
男(杉欣也)「遅かったじゃないか.」
女「ごめんなさい.」
それを見たエジソンは
エジソン「人妻の浮気ってとこか.」
そこへデートクラブオアシスのモモコがやって来た.しかし
エジソン「うっそー.これ(ビラ)と全然違うじゃないのよー. このタイプが来るって電話で言ってたでしょう.」
写真は営業用.実際に来たモモコは「看板とは全然違う」人物だった. モモコは文句を言うエジソンをいなして,早速始めようとした. 逃げ回るエジソン.さて女の部屋では,女が持ってきた金が少なすぎる, と男が文句を言っていた.男は女の夫の所に電話をしようとした. 男が電話を掛けている最中,女はハンドバッグからナイフを出し, 男に背後から襲い掛かった.一方,エジソンは相変わらず逃げ回っていた. 外へ出ると女の部屋から女が出て去って行った. その後,男がゆっくり歩いて出てきて倒れてしまった. 成り行きでエジソンは男を抱きかかえてしまった. 叫び声をあげるエジソン,そしてモモコ.
モモコ「ヒー,ヒトー,人殺しー.」
モモコは逃げ去ってしまい,エジソンがあたふたしているうちに, 叫び声を聞きつけた野次馬が集まってきた.
野次馬「お前がやったんだろう.」
エジソン「馬鹿なこと言わないでよー.」
エジソンは警察のご厄介になる羽目になってしまった.

翌朝.雅則がやけに意気込んでスーツを着込んでいた.
雅則「今日から生まれ変わって仕事一筋に生きる! 遊びは一切やめだ.」
蝶子は熱があるのではないかと心配したが, 雅則は朝食も食べずに「出世するぞー!」と連呼して出てしまった.
蝶子「ホントに大丈夫かしら.」
そこへ電話がかかってきた.
蝶子「はい,英でございます.バニー,うちへは掛けてこない約束でしょう… 何ですって.エジソンが警察に?」

その頃,エジソンは豚箱の中で叫び,看守に注意されていた.
エジソン「何が原因でこうなったんだ?」

とりあえず調査開始

アジトでパピヨンは事件の報告を受けた.被害者は大村三郎というホスト. 年齢は26歳.六本木のKGクラブのナンバー1だった.
ファルコン「ふーん.中年のおばさん連中が引っかかりそうな面してまんなあ.」
エジソンが一緒だった女の子は渋谷のデートクラブオアシスのモモコ. しかしファルコンが事務所へ行った時にはもぬけの殻だった. 関わりあいになるのを恐れて姿を消したに違いない.モモコの証言があれば, エジソンと大村が無関係だとはっきりする筈だが…
パピヨン「ね,ファルコン.何とかしてその子を探し出して頂戴.」
ファルコンは困惑した.
ファルコン「いや,東京中のデートクラブ当たるんですか?」
パピヨンはうなずいた.
ファルコン「何軒あると思ってるんです? 10軒や20軒じゃないんですよ.」
バニー「いいじゃないですか.ファルコン向きの仕事ですよ.」
この言葉を聞いたファルコンは激怒し,バニーを往復ビンタした.
ファルコン「何が俺向きだよ.全く世話焼かせやがってよ.大体ねえ, 金で若い女の子と遊ぼうって言うおじん臭いこと考えるから, こういう羽目になるんだよ.」
バニー「(口を押さえながら小声で)口で言ってるほど, エジソンってもてないんだなあ.」
ファルコン「あったりまえじゃないの.」
パピヨンは大村の身辺を探って真犯人の手がかりを得るために, KGクラブを当たることにした.

KGクラブで,パピヨンはホストと冗談を言い合って盛り上がった後, 大村の事件のことを聞こうとした.しかし支配人の命令により, 大村の話をしないようにホスト達は口止めされていた. そこでパピヨンが支配人は誰かと聞くと,ホストが指差して教えてくれた. すると支配人に泥酔した女が近づき,支配人に絡んだ.支配人が注意すると
女「お金さえ払えば文句ないでしょう.あの男の香典代わりにくれてやるわよ.」
女はハンドバッグからお札を出し,パーっとまいた.そして笑った後
女「いい気味よ.散々人のこと,こけにしておいて.あんたもグルじゃないの?」
支配人は白を切ったが
女「あの男の餌食になった女は,あたしの他にもいるんだから.警察に訴えて, 徹底的に調べてもらうわよ.」
女は他のホストに連れ出された.それを見たパピヨンも立ち上がった.
ホスト「あ,どちらへ?」
パピヨン「ちょっとお化粧直してくるわ.」
パピヨンはあの女を追いかけようとしたのだ.だが
ホスト「あ,あちらです.」
化粧室の場所は女の連れ出された方向とは反対側だった. 入口で待機していたバニーにパピヨンは無線で連絡した. 早速タクシーで女を尾行するバニー.しかし, バニーが領収証をもらっている隙に,女は轢き殺されてしまった.

この事件の記事を見たファルコンはバニーを叱った.
ファルコン「タクシーの領収証もらってる間に目離しちゃうなんて, どこまで間抜けなんだ,お前は.」
バニー「だって,必ず領収証はもらえって言われてるから. でないと経費として認めないって.」
それを聞いてか(?)パピヨンは頭を抱えていた.
ファルコン「時と場合によんだよー.若いくせに頭固いんだから,ホントにー.」
轢き殺されたのは柴田まさえで年齢は36歳. ファルコンは1ヶ月まえまでは村上まさえという名前だったと報告した. 離婚されたのだ.浮気をネタに強請られ,夫に内緒で相当な額の金を渡していた. 離婚後はホステスをしながらマンションで一人暮らしだった. その浮気相手が殺されたホストの大村三郎らしい. KGクラブの客で大村の餌食になった女は他にもいるらしい. それも一人や二人だけではなく, まさえ同様に浮気をネタに大金を強請りとられた挙句, 自殺してしまった主婦もいるらしい.
バニー「どうして被害届が一件も出ていないんですか?」
呆れたファルコンが答えた.
ファルコン「餌食になった女達の亭主はねえ, みんな一流企業や官庁勤めのエリートばっかりなの. だから世間体や社会的立場を考えて, 事件をうやむやにしちまったんだろうなあ.」
パピヨン「それを始めっから計算の上で, 連中はターゲットを絞っていたのねえ.」
この期に及んでバニーは
バニー「連中って,じゃあ,大村の他にも仲間がいるんですかあ?」
ファルコン「当たり前だ.ホストの大村一人でやれることじゃないだろう. (パピヨンに)おそらく,奴はただの操り人形だったんでしょう.」
パピヨン「大村を操っていた奴がまさえの口を塞いだんだわ.」
バニー「じゃあ,あれはただの轢き逃げじゃなかったんですね.」
呆れかえったファルコンは立ち上がり,バニーをビンタした.
ファルコン「今頃何言ってんだ.わかいくせに鈍いんだから. ね,パピヨン.この事件,ハングマンの仕事として成立するんじゃないですか?」
パピヨン「そうねえ.ある意味では立派な組織犯罪だわね.」
ファルコン「このまま, エジソンのためにただ働きする手はないと思うんですけどね.」
バニー「いいんですかあ.仲間の苦境,だしに使っちゃって.」
ファルコンはバニーの胸倉をつかみ,顔を固めた.
ファルコン「どうしてお前,そう堅いことばっかり言うんだよ.え? しいてはエジソンのためになるんだからいいんだよ.」

というわけでここはある教会. 尼僧がひざまずいてお祈りしているところへマネージャーがやってきた.
パピヨン「(尼僧姿で)罪深き人よ,祈りなさい.」
なぜかマネージャーは慌ててひざまずき,十字を切ってお祈りを始めた. そして尼僧の方を向くと
パピヨン「どう.あたしの尼僧スタイル,似合う?」
マネージャー「ああ.凝り過ぎ.」
マネージャーは事件の概要を聞いてから,こう言った.
マネージャー「しかし,ハングマンが介入する事件としては, いささか小さすぎるきらいはあるな.」
マネージャーはエジソンが警察に捕まっていることは意にかいしていないようだ. 園山(と言うよりは二代目ゴッド) とは大違いだ.それはともかく,間髪入れずにパピヨンが抗弁した.
パピヨン「でも餌食になった主婦達やその夫から被害届が出ない以上, 警察は動き出さないでしょうし,このままにしておけば, 必ずまた犠牲者が出ると思います.」
マネージャーはうなずいた.
パピヨン「同じ主婦の一人として見過ごすわけには行かないんです. やらせてください.」
マネージャー「よーし,わかった.いいだろう. しかし大村と言うホストを殺したのは,もし死んだ柴田まさえだったとしたら, 死人に口なしだ.ハンギングの取っ掛かりは難しいんじゃないか?」
パピヨン「あのときの様子からして,まさえじゃないと思いますが, 念のためエジソンにまさえの写真を見せて確かめてみます.」

というわけでファルコンとバニーはまさえの家に侵入し, アルバムを漁って写真を手に入れた.そしてファルコンは弁護士に化け, 担当のエジソンと面会.
ファルコン「状況はお宅には非常に不利ですなあ.」
そう言いながら,ファルコンはエジソンに写真を見せた.
エジソン「ふー.」
ファルコン「(小声で)やっぱり,大村殺した女,別人か.」
エジソン「おっさん.」
ファルコン「ん?」
エジソン「こんな見当違いの写真ばっか持って来ないで, ちょっと他の手考えたらどうなのよ.大体, いつまで俺をこんなとこに入れとくの?」
ファルコン「君ねえ,僕は弁護士だよ,弁護士. 弁護士にそういう口のきき方してるとねえ,死刑になっちゃうから.死刑. そんじゃ,僕,帰ろう.」
ファルコンが立ち上がった途端にエジソンの態度が一変した.
エジソン「ちょっと待って.わかった.ちょっと待って.」
看守が入ってきた.
エジソン「いや,なんでもないです.あのー,ちょっと.」
ファルコン「どうも,どうも.ね,どうも.」
看守は出て行った.
エジソン「わかりました.弁護士の先生様.」
ファルコン「ん?」
エジソン「お座りください.」
ファルコンは座りながらこう言った.
ファルコン「先生って呼んでね.」
エジソン「先生.先生,モモコの方はどうなってるんでしょうか?」
ファルコン「ああ,あれねえ.必死に探してはいるんですけどねえ, 目下のところ,ふー,皆目手がかりはなし.」
エジソン「どうせ,そうでしょうよ. どうせただ働きで身が入んないでしょうね.」
ファルコンは卓上の電灯を叩いた.電灯はエジソンの頭に当たった.
ファルコン「それがねえ,ただ働きじゃなくなりそうなんだなあ,これが.」
エジソン「なんでよー.」
ファルコン「聞きたい?」
エジソン「当たり前じゃない.」
ファルコン「あのね.」
だが
ファルコン「ま,やっぱりやめとくか.お宅には関係ないもんなあ. どうせ豚箱の中じゃ手も足も出ないだろうし.」
エジソン「はい,はい,はい,はい,わかりました.どうせ私は豚箱の中です. 帰って.」
ファルコン「ん?」
エジソン「もう頼まない.帰ってよ.」
ファルコン「あ,そう.帰るの?」
エジソン「帰っていいよ.」
ファルコン「帰っちゃっていいの?」
エジソン「いいよ.」
ファルコン「それじゃあ,僕は帰ろうかなあ.」
ファルコンは立ち上がった.そして写真をしまいながら
ファルコン「いいよ.僕はこれから, 娑婆できれいなお姐ちゃんと食事するんだもんね.ふふん.」
とそのとき,
エジソン「これ!」
ファルコン「何?」
エジソン「(写真を手に持ち)これ.この女.間違いなし.」

八百屋で買物をする女.サイレンを鳴らして走るパトカーを思わず見た.
ファルコン「戸崎律子35歳.だんなは市倉物産の営業課長で, 近々部長昇進が内定しているエリート中のエリート. おまけに住んでる家は時価6千万の高級マンション.」
子供がいないことを除けば恵まれすぎるほど恵まれていた.
ファルコン「この殺された柴田まさえも離婚するまでは同じマンションにいて, 親しくしてたらしいんですよ.律子はまさえの葬式にも出てます.」
パピヨン「葬式に?」
ファルコン「ま,まさえに誘われて, KGクラブへ何度か行った形跡があるんですねえ.」
同じように大村に引っかかったのだろう.相当な金を巻き上げられているはずだ. 今度の事件もそれが原因だろう.
ファルコン「しかし女ってのは,わかんねえなあ. 一体何が不満でホストクラブ通いなんてするのかね.」
バニーは真犯人がわかったからエジソンも無罪放免だと行ったが, ファルコンはまだ早いと言った. 一味の尻尾をつかむまでは律子を泳がせるからだ.
パピヨン「あたし,戸崎律子に会ってみるわ.」

台所で包丁できゅうりをきざんでいた戸崎律子は事件を思い出し, 思わず包丁を投げ捨ててしまった. そこへパピヨンが柴田まさえの妹と称して訪れた. パピヨンは葬式に来てくれた礼を言い,姉のことを聞きたいと言った. パピヨンはKGクラブへ行ったことはあるかと聞くと, 律子はそのことを否定した.
パピヨン「そうですか.先日,相手の男が殺されましてね. あたし,ひょっとして姉が犯人じゃないかって.」
律子「まさえさん?」
パピヨン「容疑者は逮捕されてますけど, 警察では本当の犯人は別にいるって考えてるみたいなんです. それも女性じゃないかって.」
明らかにまさえの表情が変わった.
パピヨン「姉はあの男の人をとても恨んでましたから. もしかすると姉が…」
律子は何か言おうとしたが,そこへ夫の戸崎(石山律雄)が帰ってきた. 律子が出迎える隙にパピヨンは盗聴機を仕掛けた. そしてパピヨンは出て行った.戸崎が客は誰かと聞くと, 律子はまさえの妹だと答えた.まさえの葬式にも行った事も話した.
戸崎「お前,あの女の葬式に出たのか?」
その頃,パピヨンがファルコンの車に戻ると, ファルコンは盗聴機からの音声をうまく受信できずに困っていた.
パピヨン「やっぱりこういうことはエジソンじゃないとダメね.」
ファルコン「すいませんねえ.お役に立てなくて.」
しかし何とか調整することが出来,次の会話を聞くことが出来た.
戸崎の声「どういうつもりで,あの女の葬式になんか出たんだ?」
律子の声「だって.」
戸崎の声「お前,私がどういう立場にいるか,まるでわかっていないようだなあ. お前があんな女と付き合っていたなどと知れてみろ. どんな噂をされるかわかったもんじゃない.」
律子の声「あたしはただ…」
戸崎の声「お前があの女に誘われてホストクラブに出入りしていたことは, うすうす私もわかっていた.」
律子の声「すみません.」
戸崎の声「しかし,お前はあの女と違う. 亭主を裏切って若い男に入れ揚げた挙句, 大金を騙し取られるような馬鹿じゃない.そんな女だったら, 私はお前とは結婚してない.このまま順調に行ったら, お前には黙っていても市倉物産の重役夫人の座が転がり込むんだ. サラリーマンの女房として,これ以上の幸せはないはずだ. とにかく,今後はくれぐれも行動には気をつけなさい.」
律子の声「はい.あのー,お食事は.」
戸崎の声「済ましてきた.明日の会議に提出する書類の整理が残ってるからな. 時間がいくらあっても足りん.」
ファルコンとパピヨンの感想は
ファルコン「なんて野郎だ.てめえの出世のことしか考えていねえのか.」
パピヨン「彼女の心の中には,ずっと隙間風が吹き続けてたんだわ.」
ファルコン「恵まれてるからと言って,必ずしも幸せとは限らないわけだ.」
パピヨン「他人に罪を着せたまま平気でいられる女性じゃないのに, 夫の手前,自首することも出来ないから,独りで苦しんでるのよ.」

翌日.それを聞かされたエジソンは鰻丼弁当を食べながら,冗談じゃないよ, と文句を言っていた.
ファルコン「あのね.食べながら喋るのやめてくれる.汚いじゃないの.」
エジソン「汚いのはそっちじゃないの.あの女が犯人だとわかっていながら, いつまでも俺をここにおいとくって言うの?」
ファルコン「まあ,そういうことになるかなあ.」
エジソンは,冗談じゃない,と文句を言うと,またご飯が飛んだ. 汚いと叫ぶファルコン.拘置所送りになると怒るエジソン. 規則正しい生活が送れるし,体にいいこと間違いなし,と答えるファルコン. エジソンはファルコンに飛び掛ったが,あっさりかわされた.
ファルコン「終わりました.」
ファルコンは面会室のドアを開け,看守に言った.
ファルコン「それじゃ,ごゆっくり.」
エジソン「もう来んな.」
ファルコン「ふーん.」
ファルコンは出て行った.
エジソン「ホントに,全く,もう.」
手錠を掛けられ,看守に連れ出されようとしたエジソンだったが
エジソン「あ,そうだ.ね,鰻残ってるんです.」

律子のところにKGクラブの男から電話がかかってきた. 大村殺しを黙って欲しければ,1時間後に渋谷のフランセに来いと言うのだ. 早速律子を尾行するバニー.パピヨンとファルコンもバニーに合流した. その頃,KGクラブの支配人達は3千万円を要求していた. ファルコンとバニーはKGクラブの男達を追い,パピヨンは律子に声を掛けた.
パピヨン「あの男達に強請られたのね.」
律子「どうして,それを.」
パピヨン「あたしはあなたを信じているわ. 犯した罪の償いはちゃんとできる人だって.」
それを聞いた律子は驚いた.
律子「あなた,いったい誰なんですか?」
パピヨン「少なくともあなたの味方だということは確かよ.」
パピヨンは去って行った.

額が額だけに律子は市倉物産に電話を入れた. そのとき戸崎は専務と話している最中.戸崎は出た途端に切ってしまった. ファルコンの予想通り,男達はKGクラブに入って行った. 一味のボスは支配人だった.律子が警察に駆け込まないかと心配する男達. 支配人は,戸崎がそんなことはさせない,と確信していた.

ファルコンからKGクラブの支配人が一味のボスだと言う報告をパピヨンは受けた. もし律子がKGクラブとの取引に応じたとしたら, もちろんハンギングの対象になる. だがパピヨンはそんな筈はないと確信していた.
パピヨン「あたしは彼女を信じるわ.」

家に帰った戸崎は専務との打ち合わせを邪魔されたことを持ち出し, 律子を詰問していた.仕方なく,律子は事件のことを話した. 驚く戸崎.そのことをパピヨン達も盗聴して聞いていた. 泣きながら律子は何もかも告白した.
律子「まさえさんに誘われて,二,三度,六本木のホストクラブへ行きました. そこの大村三郎という若いホストと一緒に御酒飲みました. ひどく酔ってしまって気がついたらホテルに連れ込まれて,無理矢理. 寂しかったんです.あたし,死にたいくらい寂しかったんです. 大村がまさえさんと関係を持って大金を強請り取ってるって知ったのは, その後でした.大村は私も強請り始めました.あの晩,渋谷のホテルで, お金が作れなければ,あなたに何もかも話すといわれて,私,ナイフで, あの男を…」
戸崎「なんてこった.」
愕然とする戸崎.
律子「そのことで大村の仲間の男達に脅迫されています.3千万用意しなければ, 警察に通報するって.」
戸崎「3千万!」
律子「心配しないで下さい. あなたにそのお金を出してもらおうとは思っておりません. 自分でしたことは自分で始末をつけます.」
戸崎「どう始末つけるつもりなんだ.」
そこへ電話がかかってきた.律子は電話に出た. 電話はKGクラブの山岡からのもの.律子は自首すると言うと, 戸崎は電話をもぎ取り,取引に応じた.自分の保身のためだ. やめてくれという律子を突き飛ばし
戸崎「お前のせいで一生を台無しにされてたまるか!」
戸崎は銀行が開き次第用意すると告げ,受け渡しの場所を聞いた.

京王の高架の下で戸崎は車の中でKGクラブの者を待っていた. 緑美園のワゴンの中で
ファルコン「結局,亭主には逆らえなかったわけだ.」
そのとき,パピヨンは車が来たことに気がついた.車を運転していたのは山岡. 山岡は金を受け取り,律子はどうしたと聞いた.その頃, 律子は書置きを残して外へ出て行った.自首するためだ. 一方,山岡はそのことを予想していた.そして戸崎に警告した.
戸崎「あいつに自首されたら,私はおしまいだあ.頼む.何とかしてくれ, なあ.」
山岡「手は打ってあります.奥さんの命は保証できませんがねえ. それでも,いいですか.」
戸崎はうなずいた.バニーは律子を見張り,尾行していた. そのことを無線で報告.
パピヨン「きっと自首するつもりなんだわ.」
バニー「これでエジソンも無罪放免ですね.」
と呑気なことを言っていると,後ろから車がやってきた. 咄嗟にバニーはよけたが,律子は車に跳ねられてしまった.

点滴を受ける律子を見たパピヨンの目は怒りに燃えていた. 必死にファルコンはモモコを探し,ついにモモコを探し当てた. 無罪放免になり,緑美園で伸びをするエジソン.
エジソン「ああ,やっぱし娑婆はいいわ.弁護士さん.」
パピヨン「エジソン.のんびりするのはハンギングが終わってから.」
エジソン「ああ,そうだった.」
パピヨン「はい,今回のギャラ.」
エジソン「はい,いただきましょう.」
ファルコンとバニーにギャラが渡された.
エジソン「はい,いただきましょう.」
パピヨン「これは私.あなたは今回ノーギャラ.」
エジソン「どういうことよ,それ.」
ファルコン「誰のお陰で娑婆出てこれたと思ってるの.え?」
エジソン「え?」
ファルコン「ギャラなんか要求できる立場なんかじゃないでしょう. お前さんは当分お礼奉公,ね.」
パピヨン「じゃあ,かかりましょう.」
去って行く3人を見て
エジソン「何が原因でこうなったんだ?」
蝶の舞うCGが流れた.衣裳部屋からパピヨンが登場.
パピヨン「Let's go!」
ファルコン「Hanging!」
バニー「Hanging!」
ファルコンとバニーは手を叩き合った.
エジソン「Hanging!」
エジソンは無視されてしまった.
エジソン「(頭をかきながら)寂しい.」
そしてハングマンは出動した.

ハンギング

戸崎律子が死んでいないと知った山岡はホストを叱った. 律子の意識はまだ戻っていなかったが,山岡は意識が戻ったときのことを心配. 支配人はホスト達に病院へ行って手を打てと指示した. ホスト達と入れ替わりに別のホストがやってきた. パピヨンが支配人と付き合いたいといっているというのだ. パピヨンの誘いに支配人は乗った.

さてホスト達が車に乗り込むと,バニーが窓を叩いた.
ホスト「何だ?」
バニー「君をハンギングする.」
偉そうなことを言ってバニーはホストを殴ったが,全然効かなかった.
ホスト「なんだあ,てめえ.こら.」
バニーはホストに殴られてしまった.これは効き,バニーは口を押さえた. 今回は本当にかっこ悪いぞ,バニー.その間にファルコンが現れ, ホスト達を殴り倒した.
ファルコン「坊やねえ,あのー,こっちはハンギングする方なの. される方じゃないんだよ.ね.」
バニー「すいません.」

ホテルについた支配人はパピヨンがネグリジェ姿で出迎えたので大喜び. ベッドに入るパピヨン.山岡は後ろを向いて上着を脱いだ. そしてパピヨンを抱こうとすると,パピヨンと思ったら, 実は女装したエジソンだった.
山岡「誰だ,お前は.」
エジソン「ここで問題です.私はこの格好が気に入ってるでしょうか?」
山岡「ふざけやがって.」
山岡は催眠ガスの餌食になった.
エジソン「休むとかわいいわ,この子.」
パピヨンはベッドの脇に隠れていた.

意識を回復した律子は点滴のところに手紙が貼ってあるのに気がついた. B.G.M.は「ザ・ハングマンII」で使われていた時の曲.
パピヨンの声「本日午後4時,テレビを御覧下さい. あなたを苦しめてきた男たちに制裁が下されます.」

さて一角が明るくなると男女のマネキンが立って回っていた. その周りに悪党達が女のマネキンを抱かされて真中のマネキンにつながれていた.
ファルコン「お目覚めかな,諸君.」
ホスト「な,何の真似だ,こりゃ.」
ホスト「ここはどこだあ.」
山岡「誰か,出て来い.」
ファルコン「これから諸君にホストクラブゲームを楽しんでもらう.」
山岡「ホストクラブゲーム?」
ファルコン「極めて簡単なゲームだ.そのマネキンとダンスをしてくれれば, それでいい.」
山岡「何? ダンス?」
ホスト「馬鹿にすんなよ.」
ファルコン「ただし, そのマネキンのボディには高性能爆薬がセットされていて…」
支配人「高性能爆薬!」
ファルコン「一度ダンスを始めたら,決してやめるわけにはいかなくなる. というわけを今お見せしよう. ちょっと踊ってるマネキンから離れた方がいいよ.」
踊っているマネキンが止まると,女性のマネキンの頭が爆発して吹っ飛んだ.
ファルコン「御覧のとおり, ダンスを止めた途端に諸君は粉々になると言うわけだ. さ,ゲームを始めようか.音楽スタート.」
音楽が流れ始めた.
ファルコン「さあ,爆薬のスイッチを入れるよ.ほら, 踊らないと粉々になるよ.スイッチオン.止まればドカンだよ.」
悪党達は踊り始めた.本当に間抜けな光景だ.
ファルコン「さあ,曲が変わるよ.」
テンポが速くなった.男のマネキンも爆発. 悪乗りしたファルコンはもっとテンポの速い曲に変えた.やめろーと叫ぶ悪党達.
ファルコン「みっともない声を出すな.やめてほしければ, お前達がした事を全部喋るんだ.柴田まさえを殺し, 戸崎律子をホスト殺しに追い込んだ経緯を全部な. 喋ればスイッチを切ってやる.さあ,どうなるかな.」
だめ押しとして無茶苦茶テンポの速い曲に変わった.
パピヨン「行くわよ.スタンバイ.」
アンテナが準備された.パピヨンは秒読み開始.
パピヨン「5,4,3,2,1.キュー.」
エジソンがスイッチを押すと同時に「ON AIR」開始.
ホストA「俺達は,この山岡に頼まれて柴田まさえを殺したんだあ.」
山岡「な,な,何を言うかあ.」
この醜態は「山梨県・都留市 スナック葵」のテレビなどに, 映し出されていた.
ホストB「大村を使って大勢の主婦から,浮気をネタに金を毟り取ってたんだあ.」
ホストA「戸崎律子もその中の一人だったあ. 大村を殺したあの女から,3千万強請り取ろうとしたのもこの山岡だあ.」
山岡「た,確かに脅迫した.あの女の亭主の方から, 金を出すと言って来たんだあ.みんな,あの亭主が悪いんだあ.」
これを戸崎と専務も会社のテレビで見ていた. 勤務時間中にテレビを見ていたことを突っ込むと話が成立しないので, 触れないほうがいい.
山岡「あの亭主は自分の首がかわいいから.」
ホストB「その証拠に,女房の自首を止めさせてくれと泣きついてきやがった. 殺しても構わないから,自首を止めさせてくれってなあ.」
これを見て
専務「ホントかね,君.」
戸崎「出鱈目です.」
しかしこの言い訳は通用せず,無言で専務は席を立ってしまった.
戸崎「専務,こんな話はみんな嘘です.出鱈目だ.出鱈目だ.」
ホストB「あの亭主は自分の出世ばかり考えてやがるひでえ野郎だ.」
これを律子もテレビで見た.
ホストB「俺よりもひでえ,大悪党だあ.」
ホストA「約束が違うぞー.スイッチをー,スイッチを切ってくれー.」
ファルコン「OK.ゲームは終了だ.最期に一言. そのマネキンには爆薬はセットされていない. 無駄使いはしない主義なんでねえ.」
悪党達は息絶え絶えになって動きを止め,くっそーと叫んだ.
山岡「ペテンにかけやがって.」
部屋が暗くなった.そのとき,蝶の形をした明かりが壁に映った. 薔薇の花を持ったパピヨンが登場.
山岡「あ,お前.」
パピヨン「闇に舞う蝶,パピヨン.安らかに眠っていただきます.」
薔薇の花から催眠ガスが噴射され,悪党達は眠りに入った.

翌日.蝶の描かれたダンボールにつめられた. 悪党達は転がされて警察署へ運ばれた.箱から出た時,悪党達は目を回していた. そして戸崎律子も自首するために警察に電話を掛けていた.

事件解決して…

雅則が疲れきって帰ってきた.雅則は寝そべってしまった.
蝶子「あなた.あたしはねえ,あなたが出世してくれなくても, 例え一生平社員のままでも充分幸せよ.」
雅則「本当かい?」
蝶子「あなたがねえ,元気でいてさえくれれば,それでいいの. だからね,もうあんまり無理しないで下さい.」
蝶子はお酒を出しながらこう言った. きっと頭の中には哀れな戸崎律子の姿も浮かんでいたことだろう.
雅則「そうか.お前がそう言うんなら,そうするかな.」
蝶子「ええ.楽しく暮らせばいいの.ねえ.」
これがいけなかった.雅則は元気を取り戻し
雅則「よし.そうと決まればちょっと出かけてくる.」
雅則は麻雀をしに行くことにしたのだ.
雅則「ここんとこしばらくやってなかったからねえ, 指がむんず,むんず,むんず,むんず,してるんだよ.いっちょやってくる.」
蝶子「あなた!」
雅則「リーチ! ツモ! 一発! 裏ドラ! ババーン! 先に寝ててね.」
雅則はさっきとは別人のように元気を取り戻し,出て行ってしまった. 怒った蝶子は酒を飲んだが,むせてしまうのであった.

「ザ・ハングマンV」へ 「全話のあらすじ」へ 「全話のキャスト」へ 「緊急指令トラトラトラ」へ 「私の好きなテレビ番組」へ 「touheiのホームページ」へ戻る.


東平 洋史 E-Mail: hangman@basil.freemail.ne.jp