第十一回

主婦による通り魔殺人の裏に潜む真相を暴く.
主婦がリモコンで殺人者に仕立てられる!

脚本:日暮裕一 監督:丸久生

事件勃発

買い物篭を持った女が車から降りた. そして買い物篭の中に忍ばせていた拳銃を取り出した. 女はレストランの中で男を撃ち殺し,直後に自分の頭を撃ち抜いて自殺した.

モーニングワイドニュースの庄司アナウンサーも,その事件を報道した. 犯人は主婦の村田京子で年齢は30歳. 家族の証言から村田京子は覚醒剤中毒の治療を受けていることがわかった. 殺されたのは吉原道夫というフリーのルポライターで年齢は35歳. 村田京子と吉原道夫とは何の面識もなかった.そのため, 警察は覚醒剤の幻覚症状の中で発作的に引き起こした通り魔的犯行と見た. このニュースを見た後,雅則は蝶子から旅行鞄を受け取った.
雅則「僕がいない間に浮気をしちゃあ駄目だよ.」
蝶子「当たり前でしょうが.」
雅則「じゃあ,その誓いだよ.」
雅則は蝶子と強引にディープキスをした.
雅則「じゃあ,お父さんは働いてくるよ.」
蝶子「あなた,どうしたの.そんなはしゃいで.」
雅則「ん?」
蝶子「ちょっと.ホントに北海道に出張なの?」
なぜか雅則は慌てた.
雅則「な,何を言ってるんだよ.当たり,当たり前じゃないか.」
雅則は飛行機に乗り遅れるといって出て行った.

調査開始

さて蝶子が自転車を乗り回していると,黒い皮のつなぎを着て, 黒いヘルメットを被り,黒いゴーグルをして, 大型の黒いサイドカーに乗った男が蝶子の後を追いかけてきた. そして強引に蝶子の前に割り込んで停まったため,蝶子は転倒してしまった.
蝶子「危ないわね.気をつけなさいよ.」
男がゴーグルを取ってこう言った.
マネージャー「すまん.は,は,は.いかんねえ. 主婦がこんなもんで夕食すますなんて,え.」
蝶子はお惣菜を買っており,転倒した時にそれがこぼれてしまったのだ.
パピヨン「主人がいないもんですから,つい,つい.それより, どうしたんですか?」
マネージャー「ん? いやあ,青春を取り戻すんだ.風になるんだ,僕は.」
それを聞いたパピヨンは冷ややかにマネージャーを見た.

さてお台場の公園へとパピヨンとマネージャーは場所を移した. マネージャーはくしゃみをし,パピヨンの失笑を買った.
パピヨン「風になる前に風邪をひいちゃったみたいね. 気をつけてくださいね.お年なんですから.」
マネージャー「んな.まだ若い…つもりだ.それより,お仕事だ.」
マネージャーはバイクから新聞と封筒を出した.それは冒頭の事件の記事だった.
パピヨン「確か覚醒剤の幻覚症状だったとか.」
マネージャー「ああ.警察でもそう断定しているが,何しろ, この奥さんには人を殺す動機がない.ま,事件があまりにも異常だからなあ. ま,警察に残った仕事といえば彼女がどこで拳銃を手に入れたかだ. ま,もっとも,こりゃわからんだろうがな.」
パピヨン「何か問題があるんですか?」
マネージャー「ああ.ま,詳しくはこれを見てくれ.」
マネージャーはファイルをパピヨンに渡した.そして
マネージャー「はい,お楽しみ.」

冒頭の事件は前前日に起こっていた. 4ヶ月前にも大物総会屋が主婦によって射殺され, 犯人の主婦が直後に拳銃で自殺する事件が起きていた. この事件も覚醒剤中毒による幻覚症状として処理された. マネージャーはこの2つの事件を通り魔事件を装った殺人だと見ていた. 主婦による殺し屋組織というのは飛躍しすぎだというファルコン達. そうだとしても自殺した動機がわからないからだ. だが2人の主婦には共通点があった. パピヨンは一人の男(御木本伸介)の写真をスクリーンに映した. 古田りょうぞうは,年齢50歳で,医学博士. 3年前に城北医大を退職して女性専門の古田クリニックを開設. そして覚醒剤中毒やその後遺症に悩む女性の治療にあたっていた. 2人の主婦は古田クリニックの患者だったのだ.
バニー「調べてみる価値はありますね.」
パピヨン「はい,今回のギャラは一人100万.」
エジソンとファルコンは喜んだ.ギャラを分けた後,
パピヨン「それから,エジソンは今回特別必要経費として10万円支給します.」
エジソンは大声で叫んだ.
エジソン「何で! どうして! やったね! 何で!」

ここは問題の精神医療センター古田クリニック. エジソンは高井と名乗り,古田と会っていた. 妻は覚醒剤とは縁を切っていたのだが,時々幻覚症状が出るというのだ. 自分が天照大神だと隣近所に言いふらすのは序の口で, 最近では昼間から酒を飲んで暴力をふるうという. 古田は桜井と相川を呼び出した.

さて「自宅」に戻ったエジソンは妻の花子ことパピヨンに暴力をふるわれていた. 古田クリニックに入院するのが嫌だという.部屋は散らかり放題. エジソンを本気で引っかくパピヨンを桜井と相川が取り押さえた.

さて古田クリニックで,パピヨンは頭に怪しげな電極を取り付けられ, 怪しげなテストを受けた.テストの結果,
古田「あなたはなかなか優秀ですなあ. ここでは患者さんに応じて条件反射を利用した, 新しい治療法を採用してるんですよ.」
パピヨン「条件反射?」
古田「そう.覚醒剤というのは一度手を切っても再犯するケースが実に多い. そこで深層心理に薬を受け付けないように植え付けるんです. 条件反射を利用してね.」

さてアジトでは顔中ひっかき傷だらけのエジソンが, ファルコンの治療を受けていた.
エジソン「あ,痛い.あ,いてて.これで経費10万円枚じゃ割に合わねえよ, ホントに.」
ファルコン「ふん.見たかったね.そのパピヨンの迫真の演技ってのをさ.」
エジソン「ありゃ演技だけじゃありませんよ.」
ファルコン「ほ?」
エジソン「リアリティーが有り過ぎるんだ.リアリティーが.」
ファルコン「リアリティーが.」
エジソン「うん.日頃の鬱憤がだいぶ溜まっておりますね,ありゃ.」
ファルコン「へ,へ,へ.まさか.」
エジソン「いやわかりませんよ.」
そこへ無線が入った.無線はバニーからのもので, 古田が赤坂の料亭を8時に予約したというのだ.ファルコン達も行く事にした.
ファルコン「はい.エジソンちゃん,お仕事だよ.」
エジソン「はい,いってらっしゃい,気をつけて.」
ファルコン「どうして,どうして?」
エジソン「私はここでお留守番.この顔じゃ赤坂歩けません.」
ファルコン「どんな顔だって一緒だよ.」
エジソンは鏡を見た.
エジソン「ホントだ.」

パピヨンは患者仲間と話していた. 患者の一人(テレサ野田)は夫が浮気をしたので覚醒剤に手を出したという. でもそれではいけないと思って自分からここに入ったという. その患者は治療が嫌だとこぼしていた.終わるとボーっとしてしまい, すごく疲れると言う.その患者石井を桜井(山西道広)が迎えに来た. 早速パピヨンは後をつけた.そして地下室を覗いてみると石井の耳に, 白いものが取り付けられるのが見えた.中ではストロボが点滅していた.
桜井「手をあげて.」
桜井がリモコンスイッチを動かすと石井はぴくりと動いた. さらに桜井がリモコンスイッチを動かすと石井がまたぴくりと動いた.

その晩.古田は料亭で密談していた.警察の捜査は通り魔の線に落ち着いたと, 古田の相手は話した.そこへバニーが板前に扮し,魚の活き作りを持って来た. お頭の中に盗聴機が仕込んであるのだ.早速ファルコンとバニーが盗聴開始. 密談相手は例のルポライターの資料を片付けたかと古田に確認.古田は,はい, と答えた.古田は主婦を殺し屋に仕立てていた. 女なら相手に油断させて接近できるからだ. しかも行きずりの通り魔事件で片がつく. 密談相手は別の女の用意はできているかと古田に確認. 古田に抜かりはなく,後釜を準備していた.今最終段階に入っているというと, 密談相手は急いで物にしろ,と指示していた. 期限付きの依頼が入ったというのだ. ファルコンは潜望鏡から古田の密談相手を撮影した.

翌朝.古田クリニックの屋上に患者が集められた.古田は石井に声を掛け, 治療の具合が思わしくないので今日からペースをあげると宣言した. 連れて行かれる石井を見るパピヨンは相川に呼び止められた. パピヨンは二次段階に入っているという. その後パピヨン達はヘッドホンをさせられ, ストロボの点滅する部屋に座らされ,「治療」を受けていた. 「治療」が終わった後,パピヨンは頭がボーっとすると相川に言った. そこへ「夫」のエジソン登場. エジソンは紙袋の中に毛糸の下着を入れて持ってきた.早速相川が検査.
相川「変なものを持ち込むと患者のために良くありませんからね.」
エジソン「女房は冷え性なんですよ.」
エジソンはパピヨンにびんたされた.
エジソン「赤ちゃん時からずっと冷え性なんですよ.」
そして屋上でエジソンからパピヨンは報告を受けた. 古田と赤坂の料亭で会っていたのは大山政経研究所の大山いくじろう. 政界と財界のパイプ役でいわゆるフィクサーだ.この男が黒幕なのだ. エジソンは大山が急ぎの仕事を取ってきたことも報告した. パピヨンはエジソンに条件反射について調べるように指示した.

ファルコンは,大山の依頼主が大山に金を渡しているところを撮影. そのまま依頼主を尾行した.その晩.パピヨンが気がつくと石井の姿がなかった. 早速地下室へパピヨンが行ってみた.ドアに耳を近づけると銃声が. それを聞いたパピヨンは立ち去った.

翌日.エジソンは本を一生懸命読んで条件反射について勉強していた. そこへファルコン登場.
ファルコン「大山ちゃんがねえ,とんでもないお人と会ってましたよ.」
依頼主は民友党代議士の原沢しんじ.原沢は現場訴訟で裁判中.
ファルコン「けしからん臭いがするだろう?」
エジソン「プンプンプンプン.」
ファルコン「プーンプンプンプン.」
そこへ無線が入った. ロビーからコンパクト型無線機でパピヨンが連絡してきたのだ.
パピヨン「あたしよ.エジソンお願いするわ.」
エジソン「なーによ,宿題まだ終わってませーん.」
パピヨン「そうじゃないの.大至急万能キーを持ってきて.頼んだわよ.」
だが
相川「何をしてるんだ.」
パピヨン「あの,お化粧を.」
相川「ここじゃ,そんなもの必要ないだろう.」
相川はコンパクトを取り上げようとしたが
パピヨン「あーら,どんなときでも身だしなみは必要ですわ.女性ですから. 女が自分の顔,気にしなくなったら終わりです. ここは女性専用のクリニックなのに.」
相川「わかった.わかった.早く部屋に戻るんだな.」
パピヨンは何とか危機を脱するのに成功した.

だが安心するのは早かった.石井あきこが「無断で外出」したのだ. やってきたエジソンをパピヨンは捕まえた.
パピヨン「遅い.遅いわよ.」
エジソン「あ,ごめん.ICの予備が無くてさ.」
パピヨン「連中も動き出してんのよ.」
エジソン「そりゃいけねえや.」
パピヨン「ねえ,早く来て.」
パピヨンとエジソンは地下室に侵入した. エジソンが部屋にあった機器のスイッチを操作すると,人が動いた. 慌てて隠れるパピヨンとエジソン.だがそれは射撃練習用の的だった. エジソンは的に貼ってあった写真をはがした.
エジソン「なんだ,こりゃ.」
パピヨン「この女性がターゲットよ.」

ターゲットが女と無線で聞いたファルコンは驚いた.年齢は25,6歳くらい.
エジソン「ちょっとしたエキゾチックな美人だぞ,これ.」
エジソンは写真を電送した.パピヨンの指示で, ファルコンが資料を漁って原沢の身辺を調べてみると
ファルコン「あった,あった.これだ,これだ.お待たせ. 原沢代議士の彼女で神谷智子. 3日後の裁判に検察側の証人として出廷することになっている. 彼女の証言で原沢は窮地に立たされることになるらしいなあ.」
エジソン「おお.蜂になっちゃったって訳か.」
ちなみにこの頃ロッキード事件で榎本美恵子さんが証言し, 「蜂の一刺し」として話題となった.パピヨンは神谷の警護を指示. パピヨンは石井あき子が殺し屋にされていることも付け加えた.

早速ファルコンとバニーが警護開始.神谷智子は新宿中央公園までやってきた. そこでファルコンは桜井と相川が,リモコンを操作していることに気がついた. 乳母車を押す石井あき子が神谷智子の座っているベンチの前を通り過ぎ, そして立ち止まった.その瞬間,桜井がリモコンを操作. 石井がしているイヤリングがアップになった. 石井はぴくりと反応し,振り返った.手には拳銃を持っていた. 咄嗟にファルコンはバニーを殴ってバニーを石井にぶつけ, 拳銃を叩き落した.拳銃が落ちたことに気がつかないのか, 石井は右手で引き金を引く動作をした.
バニー「なにするんですか!」
鈍感なバニーは本気で怒った.ファルコンはバニーを抱きかかえて倒れこんだ. そしてファルコンは拳銃を拾った.驚く桜井と相川.
ファルコン「わりい,わりい.おー.いやあ,勘違い,勘違い.ごめんな.」
石井はまだ「拳銃を操作」していた.そして気絶してしまった.
ファルコン「あれー,どうしたのかなあ.」
慌てて桜井と相川が去って行った.それをファルコンがしっかり見ていた. まだバニーは怪訝な顔だ.

パピヨンは病室のベッドで眠っている石井あき子の耳からイヤリングを取った. 調べた結果
パピヨン「つまりね,彼女は自分の意志じゃなく操られてたの.」
ファルコン「催眠状態にあったって訳ですか.」
パピヨンはうなずいた.
パピヨン「ええ.光と音を使ってね.あたしも試されたけど, 優秀なんですってよ.」
エジソン「ふーん.暗示にかかりやすいタイプ.」
バニー「でもそんなことが可能なんですか?」
エジソン「可能だよ.マインドコントロールって言ってな, つまり彼女を催眠状態にしておいて,その深層心理に暗示を掛ける. あるものに条件反射するように.」
エジソンは神谷智子の写真を手に持った.
エジソン「それがこれだ.」
すでにエジソンはイヤリングの構造を調べあげていた.
エジソン「このイヤリングからね,特殊な音波が発信されるようになっていて, その音が出ると,彼女の中に眠っていた暗示が蘇るって訳.」
ファルコン「ふん.この顔に条件反射.つまり拳銃を撃つって訳だ.」
ファルコンはバニーの頬をつついた.
エジソン「そういうこと.」
バニー「(大声で)許せない! 人の心を操るなんて.」
冷ややかにエジソンが言った.
エジソン「お前がそうやってすぐ(胸を張って)『許せない』って言うのも, 条件反射の一つ.」
原沢の裁判は3日後だ.古田達も焦ってる筈だ.よって必ずまたやる筈だ. フィクサーとしての大山の信用問題にも関わって来る.
パピヨン「あたしが囮になるわ.」
ファルコン「いやあ,それは…」
ファルコンは危険だと警告しようとしたが
パピヨン「言ったでしょう.あたしは古田にとって優秀な患者らしいの.」
バニー「でも,ホントにかかったらどうするんですか?」
パピヨン「エジソン,作ってほしいものがあるの.」
エジソン「あいよ.なんでっか?」

大山は古田を問い詰めていた.その頃,エジソンはイヤリングを作っていた. 覗き込むバニーに
エジソン「邪魔だ,この野郎.」
古田は桜井と相川に3日以内に後釜を探せと指示.そしてパピヨンの思惑通り, 古田は高井花子すなわちパピヨンに目をつけた. ちょうどその頃にエジソンの偽イヤリングが完成. ご丁寧にも本物のイヤリングと同じ周波数で電流が流れるようになっている.
パピヨン「電流?」
エジソン「わずかなもんだから.ピリッと来るぐらい.」
パピヨン「ふーん.」
エジソン「後はパピヨンの演技次第,な.ま,そっちの方は大丈夫だろうけど.」
さらにエジソンはコンタクトレンズをパピヨンに渡した.
エジソン「かなりの光線を遮断するようになってるけどね. パピヨンの話だとライトで視覚を遮っといて催眠状態にするみたいだから. 念のために.」
パピヨン「ありがと.」

「ホームシックにかかって」「逃げ出した」パピヨンを, エジソンが古田クリニックに連れ帰った.早速治療が開始された.
古田「このイヤリングは私が発明したものでしてね. ある種の超音波で脳細胞を刺激して覚醒剤の幻覚症状に効果を表すんですよ. どうぞ.」
古田は主婦達にイヤリングを渡した.パピヨンだけは偽イヤリングを着用. そしてストロボが点滅.
古田「右手を上げろ.」
主婦の一人は気絶.もう一人は右手を上げかけたが止めてしまった. パピヨンだけが右手を上げた.古田は念のため,もう1回繰り返してみたが
桜井「やっぱりあの女だけが残りましたね.」
古田「この分だと物になるかもしれんなあ.」
パピヨンの芝居とも気づかずに古田達はほくそえんだ.

その頃,アジトでは
バニー「ホントに大丈夫なんでしょうねえ.」
エジソン「と思うけどねえ.」
古田クリニックではパピヨンが射撃訓練を受けていた.

3日後の朝. 緑美園のワゴンの中でファルコン達が古田クリニックを見張っていると, 大山がやってくるのが見えた.
エジソン「いよいよだな.」
大山に古田は「完璧です.」と報告.
古田「3日間ぶっ通しで仕込みましたが,これほど完璧なのははじめてですよ.」
実演させると確かにパピヨンは古田の指示通りに拳銃をぶっ放した. これを見て大山は満足した.神谷智子は10時半に裁判所に入る. 大山は決行を指示した.

桜井と相川がパピヨンを連れて古田クリニックを出て行った.
エジソン「ほら来た.」
ファルコン「ほい来た.」
後を追うファルコン達. 裁判所の前で桜井と相川はパピヨンを神谷智子に差し向けた. パピヨンと神谷智子がすれ違った.すかさず桜井がスイッチを操作.だが
パピヨン「頑張って下さいね.」
パピヨンは手を振って智子に挨拶.桜井と相川はファルコンとバニーに倒された. 蝶の舞うCGが流れた.そしてハングマンは出動した.

ハンギング

連絡がないので大山はいらいらしていた.古田は必ず成功するとなだめた. そこへラジコンのパトカーがサイレンを鳴らして登場.
エジソンの声「お前達を逮捕する.」
呆気に取られた大山と古田がパトカーに近づくと,パトカーが爆発. 大山と古田は催眠ガスの餌食になった.
エジソンとバニー「ご苦労さん.」
二人とも防毒マスクをつけて登場した.

石井あきこが起きてテレビに近づくと手紙が置いてあった. BGMは「ザ・ハングマンII」で使われていたもの.
パピヨンの声「本日午後3時,テレビをご覧ください. あなたを罠に掛けた女性の敵に社会的制裁が加えられます.」

悪党達は縄で縛られて椅子に座らされていた. 悪党達の後ろの壁には人型の射撃用の的が描かれていた.
ファルコン「おはよう,皆さん.お目覚めのところ早速で申し訳ないんだが, ちょっとゲームに付き合ってもらおうか.」
ファルコンがスイッチを操作すると, 悪党達の目の前に神谷智子の写真が出てきて,左右に動いた.
ファルコン「まず自分たちの目の前に来た写真を見てくれ.よく知った顔だろう. それでは次にゲームの主役を紹介させていただきましょうか.」
目の前にパピヨンが登場した.パピヨンは椅子に腰掛けていた. そして拳銃を握り,ご丁寧にもイヤリングをしていた.
ファルコン「ご存知の通り, この奥さんはあんたらの前にある写真と信号音で反応することになっている. その信号音を出すリモコンだが,ライトが青,気,赤と着く. その赤になった時,奥さんの正面に写真の来た方が当たりという訳だ. まず人形でテストする.」
人形が登場.明かりが青になった.
古田「子供だましはやめろ!」
明かりが黄色になった.人形が写真の後ろに止まり,明かりが赤になった. パピヨンが拳銃を発射.人形の頭に弾が当たり,なぜか頭が爆発して吹っ飛んだ.
相川「やめろ.やめてくれえ.」
ファルコン「やめてほしければ,お前らのやった悪事を全て吐くことだ. では本番.今度は信号音は無差別で行く.それじゃあ.」
大山「そういうことか.笑わすな.わしは満州で弾の下をくぐってきたんだ. こんなことぐらいで…」
大山に向かって拳銃がぶっ放された.幸い大山の横に弾が当たったが, 大山はさっきの威勢の良さはどこへやら.肝を冷やして倒れこんだ. 写真にあわせて動くパピヨンの手を見て悪党達はびびりまくった.
ファルコン「その様子じゃあ,花の下を逃げ回ってたんじゃないのか? それじゃあ,もうちょっとスピードアップしようか.」
桜井と大山の間に弾が当たった.古田の横にも弾が当たった.
ファルコン「早く喋った方が身のためだと思うけどなあ.スタンバイ.」
今回は調整室にはエジソン一人.
エジソン「はい,わかりましたあ.スタンバイ.」
アンテナが準備された.
エジソン「全く,一人で忙しいなあ,もう.」
ファルコン「ぼやくなって.」
エジソン「聞こえた?」
なおもパピヨンは拳銃で狙いをつけていた.また大山と桜井の間に弾が炸裂. 何発も何発も弾が撃たれた後,
相川「喋る.喋るからやめてくれえ.」
大山「黙れ.馬鹿者.」
エジソンは一人で秒読み開始.
エジソン「よーし.そろそろ行ってみようかあ.5,4,3,2,1.キュー.」
エジソンがスイッチを押すと同時に「ON AIR」開始. 「東京・新宿 上原米店」のテレビなどに,悪党達の姿が映し出された.
相川「通り魔に仕立てたのは古田だあ.俺はただの助手なんだあ.」
桜井「俺だって,俺だって,そうだ.はー.ホントに, ホントに俺達は助手なんだあ.」
古田「違う.わしだって,わしだって大山さんに命令されただけだ. 悪いのは大山さんだ.」
石井あきこもテレビを見た.
大山「黙れ.わしは何も知らん.」
古田「クリニックの開設資金を出してもらったんで,断りきれなかったんだ.」
大山「知らん,知らん.わしは知らん.そんなことはみなお前らの幻覚だあ.」
古田「とぼけるな! お前は鬼だ.」
大山「何!」
桜井「俺は何も知らん.俺は手助けしただけだ.助けてくれえ.」
相川「そうだ,そうだ.この大山が全部悪いんだ.」
桜井「そうだ.大山が.俺を助けてくれえ.」
それでも大山はこうほざいた.
大山「天地神明に誓ってわしは潔白だあ.」
大山の前で写真がとまった.パピヨンが拳銃を向け,明かりが赤になると
大山「み,み,認める.わしが黒幕でした.その通りです.」
大山は頭を下げた.パピヨンは手を下げた.
パピヨン「ご苦労様.」
部屋が真っ暗になった.

また急に明るくなり,薔薇の花を持ったパピヨンが登場.
大山「何者なんだ,お前は.」
パピヨン「闇に舞う蝶,パピヨン.安らかに眠っていただきます.」
薔薇の花から催眠ガスが噴射され,悪党達は再び眠りに入った. そして蝶の描かれたダンボールにつめられて警視庁大高警察署へ送られた.

事件解決して…

蝶子が夕食の用意をしていると部長から電話が入った. 部長は雅則がいるかと聞いたが,雅則はまだ出張から帰っていなかった. 出張は前日まで.怒った蝶子は二人で写っている写真の入った写真立てにパンチ.
蝶子「痛い.」
そこへ雅則が帰って来た.ご機嫌斜めの蝶子に,雅則は, 出張は疲れるねえと言っていた.ホテルは落ち着かないという雅則に
蝶子「隣に誰か寝てたから落ち着かなかったんじゃないですか?」
雅則「そういえば,営業の小池君と同室だったんだ. いやあ,彼は鼾が凄くてね.全然眠れなかったよ.」
蝶子「ふーん.眠れないほど色っぽい小池さんだったんですねえ,きっと.」
雅則「あ,そうだ.はい,これ.お土産.」
だが蝶子の機嫌はますます悪くなっていった.
蝶子「最近じゃあ,東京駅で売ってるそうですねえ.全国のお土産が.」
雅則「蝶子.お前,なんか勘違いしてるんじゃないのか?」
蝶子「アリバイ工作はもっとうまくやることです.」
雅則「は?」
蝶子「さっき部長さんから電話がありました.どこの誰なんです,お相手は.」
雅則はどぎまぎしてしまった.
蝶子「仰ってください.」
雅則は土下座した.
雅則「信じてくれえ.実はねえ,年休とってねえ, 出張で一緒だった連中と徹夜で麻雀やってたんだよー.」
冷たい視線を感じた雅則は
雅則「ホントなんだよー.信じてくれよー.そうだ.」
雅則は証拠物件のお札を持ってきた.
雅則「へ,へ,へ,へ,へ.僕のね,一人勝ち.」
おい,賭け麻雀はいけないぞ.蝶子はお札を証拠物件として預かることにした. しゅんとする雅則.これで蝶子の機嫌が直った.
蝶子「冗談.信じてましたよ.あなたに浮気が出来ないってことは, 私が一番よく知ってます.」
雅則「蝶子,すまん.」
蝶子「ふふ.それに,そんなにおもてになる方じゃないってこともね.」
雅則「まあ,そうだけどねえ.それじゃ,これはさあ…」
雅則と蝶子はお札を取り合いするのであった.

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東平 洋史 E-Mail: hangman@basil.freemail.ne.jp