第八回

財産乗っ取り一味の悪事を暴く.
みなしご小学生が大金持ちにさせられる!

脚本:鴨井達比古 監督:永野靖忠

小学生達がサッカーをしていた.そこへ緑美園のワゴンがやってきた.
バニー「お,やってる,やってる.」
バニーはワゴンから降りた.
ファルコン「なんだい,お前よ.こんなとこ,止めさせて.」
バニー「いやあ,僕のね,ガールフレンドなんですよ.ほら, 今ボール蹴った子.」
バニーは女の子(間下このみ)を指差した.
ファルコン「あのなあ,お前,何考えてんだ?」
バニー「いいじゃないっすか.あの子ねえ,みなしごなんですけどね, 全然くらっぽくなくていい子なんですよ.」
すると女の子がバニーに気がついて声をかけてきた.
女の子「清志ー.久しぶりやなあ.」
バニーは女の子と話をした.その様子をファルコンは呆れながら見ていた. 女の子が4時までに帰らないといけないというので, バニーはワゴンで送ってやることにした.

ワゴンの中で,バニーは女の子から,女の子の祖母がみつかったことを聞いた. 女の子の母親はもう亡くなっていたが,祖母はお金持ち.
バニー「じゃ,よかったな.これでのぞみもうんと幸せになれるよ.」
のぞみ「なれるかなあ.」
バニー「なれるさ.きっと優しいおばあちゃんだろ.」
のぞみ「でもさ,人生って,お金があれば幸せって言うもんじゃないもんねえ.」
仏頂面で運転していたファルコンはずっと無言だった. ワゴンが西蓮寺の愛育園という施設に到着した. そこがのぞみの住んでいた孤児院なのだ.

緑美園でその話を聞いたエジソンは
エジソン「ちょっと待って.その話,確か新聞に載ってたぞ.」
エジソンは新聞を持ってきた.新聞により,次のことがわかった. 半年間浅野家の顧問弁護士の久保田けんが調べた結果, 東京世田谷の西蓮寺愛育園に引き取られていた少女のぞみが, 浅野弥生65歳の孫娘と判明した. そしてのぞみは浅野家に引き取られることになった. のぞみは将来浅野家の莫大な財産を引き継ぐことになる. それを聞いたファルコンはピンと来た.
ファルコン「な,おっさんよ.その久保田っていう弁護士, とんでもない食わせ物かもしれねえなあ.」
エジソン「何で?」
ファルコン「いや,3年程前にマルチ商法で捕まった, 桜井商会ってのがあっただろう.」
エジソン「あー,あー.豊田商事みたいな奴. あそこの社長,詐欺で逮捕になって倒産した.」
ファルコン「ああ.で,その桜井の顧問弁護士で, ま,詐欺ぎりぎりのやり方を指導したのが,久保田って奴なんだよ.」
それを聞いたバニーは心配した.
バニー「大丈夫かなあ,あの子. そんなインチキ弁護士がついてるようなうちに.」
エジソン「どう思う,おっさん?」
ファルコン「ん? ひっかかるなあ.その浅野家が財産家だってところがね.」

のぞみは久保田(川辺久造)に連れられて愛育園から去って行った. その様子を緑美園のワゴンの中からファルコンとバニーは覗いていた.
バニー「どうですか?」
ファルコン「間違いねえなあ.久保田って奴だ.」
久保田の車は浅野家についた.早速忍び込むファルコンとバニー.
ファルコン「でっけえうちだなあ.俺も養子になりてえよ.」
医師(今出川西紀)の診察を受けていた弥生(風見章子)のところへ, のぞみが連れてこられた.のぞみは弥生に挨拶した. 弥生は女の人が赤ん坊を抱いている写真を見て,のぞみを見た.
弥生「のぞみ.お前がのぞみなのね.」
のぞみ「そうだよ.のぞみ.」
久保田は,のぞみが弥生の亡くなった娘かずこの娘であることに間違いない, と報告.肘の裏にある痣が証拠なのだ.
弥生「ホントにかずこの幼い頃とどこか面影が似ていること. こっちへ来て.よーく顔を見せておくれ.よーく.戻ってきてくれましたね. ここがお前のうちなんですよ.」
感涙しながらのぞみを抱き寄せる弥生.それを見ながら, 久保田と医者は目配せした.

雅則は蝶子が切り抜いていたのぞみの記事を見つけ, 自分にもこんなおばあちゃんがいないかねえ,と夢想した.
雅則「ね,ね,これどうしたの?」
蝶子「ん? あー,それ.」
雅則「まさかその年でシンデレラ願望でもないでしょう.」
蝶子はこう言ってごまかした.
蝶子「違うのよ.いざとなったら, こういう身寄りのない子供を養子にもらおうかなあ,と思って.」
雅則は驚いた.と同時にトースターから焼きあがったパンが飛び出した.
雅則「あーん? 養子?」
そして蝶子は雅則が医者へ行かないことをこぼした. 雅則は腰がいたいとか肩が痛いとかこぼしていたのだ.
雅則「原因はわかってるの.ストレスなの.」
蝶子「だってそりゃ仕事は大変だと思うけど, ストレスなんていうとあたしにも責任があるみたいじゃないの.」
雅則「君に? まあね,男と言うものはねえ, 美人の奥さんを持つといろいろとストレスがたまるのは仕方がないけどねえ.」
蝶子「で,それどういう意味?」
雅則「まあね,だからさあ…」
蝶子「それじゃ,まるで私があなたをいじめてるみたいじゃないの. あたしはいつもあなたのことを考えて.」
雅則「いやわかってますよ,そりゃ.君の愛情はありがたいと思ってるよ, その.」
蝶子「嘘.いつだってあたしのこと邪魔にしてるくせに.」
蝶子は雅則の肩をつかんで揺さぶった.
雅則「あ,また肩こってきちゃった.ほら.」

とりあえず調査開始

アジトでパピヨンは浅野家に関する報告を受けていた. 18社のオーナーだった弥生の夫が死んでから弥生が全財産を握っていた. 家族は誰もいない.弥生には娘と息子がいた.息子は10年前に交通事故で死亡. 娘は大学の時はアメリカへ留学するほどの才媛だったが,23歳の時に家出した. 留学の影響でかなり自由奔放な性格になっていた.そして半年前に死亡. 死因は麻薬の打ちすぎによるショック死だった.家出の原因は男女関係だったが, それからいろいろあり,死ぬ間際はコールガールのような生活をしていたらしい. その途中で子供を産んでいた.その子供がのぞみらしいのだ. つまり浅野家の莫大な財産は弥生が死ぬとのぞみが全て相続することになる. 弥生に頼まれた顧問弁護士の久保田が探してきたのがのぞみというわけだ.
バニー「パピヨン,俺,心配で仕方がないんです. なんか,あの子が変に利用されてる気がして.」
パピヨンはコードレスの電話を取り,マネージャーに電話した. ちなみにその頃の電話機はとても大きい.

さて高田馬場駅前をマネージャーが歩いていると
パピヨン「旦那さん,靴汚いよ.」
靴磨きに変装したパピヨンが声をかけてきた.マネージャーは自分の靴を見た.
パピヨン「磨いてかない?」
マネージャー「おお.は,は.そうだね.よいしょ.」
マネージャーは腰をおろした.そして靴磨きの顔を見て, パピヨンであることに気がついた.
マネージャー「君!」
パピヨン「たまにはこういう趣向もいいでしょう.」
マネージャー「お!」
マネージャーは笑った.
マネージャー「張り合って.へ,へ.でも似合うよ.」
パピヨンは苦笑した.
パピヨン「いいから,お願いしたことはどうなんですか?」
マネージャー「浅野家なら知ってるよ. 戦前は関東銀行の頭取を務めた名門だあ.」
パピヨン「財産は凄いんですってねえ.」
マネージャー「ああ.だろうなあ.」
パピヨン「家出した娘が半年前に死んで.」
マネージャー「ああ.君から電話もらってねえ, すぐにその件の資料を手に入れたんだが,いやあ, 警察の調査も中途半端だなあ.」
マネージャーは鞄に手をやった.
マネージャー「ところで司法解剖の鑑定書,その他もろもろね.」
マネージャーはパピヨンに封筒を渡した.
マネージャー「久保田って弁護士は色々問題がある男らしい. ま,弁護士仲間の評判ではねえ,泡銭のあるところに必ず姿を見せる, ハイエナみたいな奴らしい.」
それを聞いたパピヨンは目を光らせた.
パピヨン「いいですか,やっても.」
マネージャー「いいとも!」

弥生はのぞみ,久保田,医者らとともに夕食をとっていた. 久保田はのぞみの転校手続きを済ませ,戸籍も正式に浅野家に入れたと報告.
弥生「ああよかった.これであたしもやっと安心して死ねますわ.」
のぞみ「おばあちゃん,死んじゃうの?」
弥生「おー,大丈夫よ.ほら.徳永先生や看護婦のみよこさんも, ちゃんと着いてて下さるから,まだまだ死なないわ. のぞみがもっと大きくなるまでは,ちゃんと生きてますよ.」
のぞみ「なあんだ.」
のぞみは一安心.弥生は医者の徳永にのぞみの健康診断の結果を聞いていた. 結果は優良.のぞみはスープよりも味噌汁の方がいいと言った. 弥生はわがまま言うんじゃないとたしなめていた.食後, 弥生は徳永が処方した薬を飲んでいた.

パピヨンは記者と称して愛育園へ行った. のぞみは生後10ヶ月の頃, 「名前はのぞみと言います.よろしくお願いします.」というメモと一緒に, 愛育園の門の前に捨てられていた.その後両親からの連絡は一切なし. 久保田は孤児院を何箇所も当たってのぞみを「探し当てた」のだ. 捨てられた時期と肘の痣,そして赤ん坊の頃の写真もあったので, 「弥生の孫」と判明したのだ.

バニーはのぞみに声をかけた.バニーは緑美園のワゴンでのぞみを送った. のぞみは弥生にバニーを紹介した.植木屋と聞いた弥生は, のぞみの頼みもあって植木をバニー注文した. アジトでバニーがそのことを報告した. 浅野家に住んでいるのは弥生とのぞみの他は, 家政婦と徳永病院から派遣された看護婦の中沢みえこ27歳だけ. 徳永病院は浅野家の近くにある個人病院.徳永由美と言う女医が院長だ. 父親の代から浅野家の主治医.近所の人の話だと由美の代になってから, 全然はやらないそうだ.腕が悪いらしい.土地や建物は全部抵当に入っている. さらにエジソンは久保田と徳永が抱き合ってキスしている写真を撮影していた. 久保田と徳永はこの後仲良く新宿のラブホテルへ直行した.
パピヨン「やばいわねえ.主治医がグルじゃ.」
エジソン「やばいなんてもんじゃないよ.ばあさんになんかあったらさあ, 死亡診断書を書くのは女医さんだし,死亡届出すのは弁護士なんだから.」
バニー「のぞみの話だと, 付き添いの看護婦が毎日の薬とか管理して飲ましてるそうです. 女の医者も三日に一度には往診に来るし…」
ファルコン「もしもよ,ばあさんが死んだら,財産はどうなるの?」
パピヨン「孫娘ののぞみちゃんが相続する. ただし子供だから顧問弁護士がのぞみちゃんが成人するまでは財産管理する.」
つまりのぞみが正式に浅野家に入った以上, 弥生はいつ殺されてもおかしくない状態なのだ.
パピヨン「でも仮にも弁護士よ,主治医よ.そこまでやるかしら.」
エジソン「だから善人なの,パピヨンは.動機は充分だよ,二人とも. 医者も弁護士も喉から手が出るほど金が欲しいんだ.」
ファルコン「なんてったって50億ですからね,50億.」
パピヨン「でも今のは全部推測の域を出ない話ね. のぞみちゃんは本当に浅野家の孫かどうかわからないし, 何か確証をつかまないと動くわけには行かないわよ.」
ファルコンは死んだかずこの追跡調査をすることにした.

早速バニーは植木を持ってやってきた. 弥生の部屋に植木を置くのは無理だったが,
バニー「なあ,のぞみ.お前にプレゼントがあるんだ.」
のぞみ「なあに?」
バニー「二人だけの秘密の無線電話さ.ちょっと見てみろ. これがマイクでこっちがスピーカーだ.性能がいいから, 普通この部屋で喋ってることは全て俺の車でキャッチできる. お前がこっちに耳を近づければ俺の声が聞こえるんだ.」
のぞみ「へえ.凄いんだ.じゃ,いつでも清志と話ができるんだね.」
バニー「凄いだろ.ただし,おばあちゃんにも他の人にも内緒だぞ. こんな悪戯してるのがわかってみろ.叱られるし, もう鉢植えなんていらないって言われるからな.」
のぞみ「わかった.言わない.拳万.」
のぞみはバニーと指きり拳万した.早速のぞみとバニーはテストした. そこへ看護婦がのぞみを呼び出しに来た.
エジソン「よーし.うまいもんだ.これなら大丈夫だ.」

ファルコンの調べにより,
岩戸診療所の医者「間違いないですよ. この人の娘さんは急性肺炎で亡くなってます. ここに運び込まれた時にはもう手遅れの状態でねえ. 子供の病気は勝負が早いから.そうだ. あと何日かで3歳の誕生日とか言ってたなあ.」
ファルコン「ということは,もう5年も前の話ですね.」
医者「そうですな.」
ファルコン「しかし,そんな昔のことをよくカルテも見ないで思い出せますね.」
医者「半年余り前に一度古いカルテを出して調べたからね. あんたと同じように,その亡くなった子供のことを聞きに来た人がいてね.」
ファルコン「誰ですか?」
医者「なんとかいう弁護士さんだったなあ.」
ファルコン「弁護士…」
つまりのぞみは久保田によって仕立て上げられた偽者だと言うわけだ. さらにかずこは水野しゅういちという暴力団の幹部だった男に引き渡されていた. 水野は45歳で池袋の暴力団幹部だった.殺人未遂など前科4犯. 仙台刑務所を出所後は組を離れて不動産業を営み, なんとその会社の顧問弁護士も久保田だった. さらに浅野かずこが死んだホテルで, 浅野かずこ死亡事件当日の宿泊者名簿を調べた結果, 水野と久保田,さらに徳永の名前が載っていた. かずこは麻薬の常習者ではなかった. しかしかずこは大量の麻薬を「打って」ショック死した.
エジソン「医者ならモルヒネなんてお手のもんだもんな.」
まだ確証がない.しかし急がないと弥生の命も危ない.

真相を知らないのぞみと弥生はかずこの写真を見て会話をしていた. パピヨンはかずこの友達の吉岡と称して浅野家に乗り込んだ. 外でバニーはワゴンの中で待機.パピヨンはアメリカで知り合ったと称していた. 弥生は体が悪いらしく,車椅子に座っていた.
パピヨン「あたくし,最近日本に戻ってまいりまして, かずこさんがお亡くなりになったと伺ったものですから, せめてお仏壇にお線香でもと思いまして.」
弥生「まあ,まあ,それはご丁寧に.でもねえ,吉岡さん, うちはクリスチャンなんですのよ.」
パピヨンは慌ててごまかした.
パピヨン「ああ.そうでしたわね.」
でも弥生は喜んだ.その頃,バニーは発煙筒を庭で焚いた. 煙に弥生達が気を取られている隙にパピヨンは弥生の常備薬を盗み出した.

発煙筒騒ぎを看護婦から聞いた久保田と徳永は怪しんだ. 看護婦が薬を数えてみると一錠足りないと言う. その頃,のぞみが「秘密の無線電話」で昼間の火事騒ぎを話していた. 間が悪いことにそこへ久保田達がやってきた. のぞみは独り言とごまかそうとしたが,久保田は盗聴機を発見. 頭を抱えるエジソン.バニーは外へ出ようとしたが,エジソンが引きとめた. 久保田達は植木屋(バニー)のことをのぞみに聞いたが, のぞみは話そうとはしなかった.

ファルコンの分析により,弥生の常備薬から少量の砒素が検出された. 砒素は少量でも体内にたまる.飲み続ければいずれは死ぬ.
パピヨン「隠しマイクの一件もあるし,敵は焦り始めるかもね. のんびりできないわよ,こっちも.」

エジソンはかずこのヒモに扮装.
エジソン「ねえ,似合う?」
ファルコン「うーん,代官山ジゴロ.」
エジソン「何着てもきまっちゃうだから.困るなあ.」
早速浅野家に乗り込んだ.エジソンはのぞみの父親と称していた.
エジソン「(大声で)おばあちゃんですか.はじめまして. 星野と申し…」
弥生「聞こえます.」
エジソンは弥生のことをかずこから聞いていたと言い, かずこがいつかは詫びを入れて家に戻りたいと言っていたと付け加えた. そのときは一人娘だから自分が婿養子になることになっていたと, エジソンは言い,さらにのぞみに会わせてくれと言い出した. そこへのぞみがやってきた.白々しくお父さんだと言うエジソン.
のぞみ「おじさん,誰なの?」
エジソン「パパやがな.もう安心やで.パパは絶対そばを離れへんからな. 絶対にな.」
のぞみ「パパ?」
エジソン「そう.」
のぞみ「嘘だーい.」
エジソン「嘘やない.パパやないか.悪かったなあ.寂しかったんやなあ. のぞみー.」
弥生はそれを冷ややかに見ていた.早速久保田と徳永がやってきた. 久保田は水野と恐いお兄さんを連れてきていた. 徳永はエジソンから採血して血液型を調べることにした. 久保田は金ほしさにこういう手合いが現れるんだと言い, エジソンを連れ出した.久保田はエジソンを閉じ込め, 水野達に拷問させることにした.

久保田は新しい遺言状を弥生に見せた.
弥生「要するにあたしが死んだら浅野の財産は全てのぞみが受け継ぐ, のぞみが成人するまではあなたが後見人として, その財産を管理運営するってことね.」
昔のままの遺言状だと全部福祉施設に寄付されることになっていた. その頃,エジソンのところにのぞみがやって来た. エジソンは清志から頼まれたと言い, 清志がのぞみと弥生のことを心配していると付け加えた. はじめはのぞみは信用しなかったが, エジソンが「鉢植えの連絡装置」を作ったのは自分だと言ったので, 信用した.
エジソン「のぞみちゃんはね,あのおばあちゃんの孫じゃないの.」
のぞみ「嘘!」
エジソン「嘘じゃないよ.清志の友達の俺が嘘言ったってしょうがないだろう. いいか.悪いのはね,弁護士のおっちゃんと医者のおばちゃん. あいつらはね,おばあちゃんの財産狙って,で, のぞみちゃん利用してとんでもないこと企んでるんだぞ. いいか.あいつらはなあ,おばあちゃんを殺そうとしてるんだぞ.」
それを聞いたのぞみは驚いた.
のぞみ「おばあちゃんを?」

蝶の舞うCGが流れた.衣裳部屋からパピヨンが登場.
パピヨン「Let's go!」
ファルコン「Hanging!」
バニー「Hanging!」
エジソン「Hanging!」
3人は手を叩きあった.そしてハングマンは出動した.

ハンギング

エジソンとファルコンは恐いお兄さん達を倒した. そして今まさに弥生が遺言状にサインをしようとする瞬間, 部屋の明かりが消え,バニーとパピヨンが登場. 指輪で徳永と久保田は眠らされてしまった.

久保田達が気がつくと,3人箱の中に閉じ込められていた.
ファルコン「観客の皆さんがお待ちかねだ.さあ始めようか. 君達が入ってる箱は肉屋の倉庫などの冷凍庫だと思ってもらえればいい. 温度はマイナス50度まで下がることになっている. 君達のような悪党は冷凍して永久保存しようっていうわけだ.」
それを聞いた悪党達は右往左往し始めた. ちなみにこの仕掛けの原型はこれ
ファルコン「さあ,スイッチ入れるよ.」
冷気が入れられた.箱の中には金魚鉢や花も入っていた.
ファルコン「どうだい.涼しくていい気持ちだろう.」
久保田「一体,私達は,な,な,何をしたっていうんだ.」
ファルコン「お前達がいったいどうやって浅野家の財産を乗っ取ろうとしたのか, そのためにどうやって浅野かずこを殺したのか,そいつを聞きたくてね.」
久保田「知らん.何を馬鹿なことを言うんだ.」
悪党達は霜で真っ白になり始めていた.
ファルコン「そうか.忘れたなら,思い出すまで待ってやるぜ.」
水野「やめてくれえ.頼む.やめてくれえ.」
ビール瓶も薔薇の花も金魚鉢も凍っていった.
久保田「うー,死んじゃう,死んじゃうよー.」
水野「やめてくれえ.」
久保田「頼むー.」
パピヨン「スタンバイ.」
エジソン「了解.」
エジソンがスイッチを入れ,アンテナが準備された.
ファルコン「そろそろ温度は零下35度だ.さあ,どうなるかなあ.」
悪党達は真っ白になり,ぶるぶる震えていた. 薔薇の花が音を立てて下へ崩れ落ちた.金魚鉢も凍りつき,下へ倒れて割れた. 中の水は氷になっていた.ビール瓶も下へ落ちた.中のビールも凍っていた.
ファルコン「スタンバイ,OK.」
パピヨンは秒読み開始.
パピヨン「5,4,3,2,1.キュー.」
エジソンがスイッチを押すと同時に「ON AIR」開始. 「東京・調布 美前交通の皆さん」のテレビなどに,悪党達の姿が映し出された.
水野「金もらって頼まれただけだ.久保田だ.こいつが命令したんだ.」
久保田「知らん.俺は知らんぞ.」
徳永「嘘.みんなあなたが計画したんじゃないの. こうすれば浅野家の財産が全部手にできるって.」
これを弥生,のぞみ,家政婦もテレビで見た.
水野「人間の一人や二人殺してもどうってことないって,久保田, お前が言ったんじゃないか.」
久保田「いや俺じゃない.俺じゃない.ひ,砒素を使えば, ゆっくり殺せるって言ったのは,い,医者のお前だ.お前達だ.お前達だ. わしゃ知らん.」
水野「やめろ.」
ファルコン「ご苦労さん.ゲームは終わりだ.」
箱の壁は倒されたが,悪党達は震えが止まらない.そして部屋が暗くなった.

また急に明るくなり,薔薇の花を持ったパピヨンが登場. 悪党達はまだ震えていた.
久保田「だ,だ,誰だ,お前は.」
パピヨン「闇に舞う蝶,パピヨン.安らかに眠っていただきます.」
薔薇の花から催眠ガスが噴射され,悪党達は再び眠りに入った. そして蝶の描かれたダンボールにつめられて警察署へ送られた.

事件解決して…

浅野家では.
のぞみ「おばあちゃん.」
弥生「ん?」
のぞみ「私,愛育園に帰るんでしょう.」
弥生「どうして?」
のぞみ「だって.」
弥生「そんなことありませんよ.誰がなんと言ってもお前は私の孫だもの. ずーっとここにいて頂戴.」
のぞみは大喜び.
のぞみ「本当?」
弥生「本当ですとも. それともお前はおばあちゃんを独りぼっちにしとくつもりなの?」
のぞみは飛び上がって喜んだ.さらに喜ばしいことに, 弥生は愛育園の孤児を全員呼び,のぞみの誕生パーティーを開いてくれた.
のぞみ「おばあちゃん,みんな呼んでくれて,どうもありがとう.」
弥生「いえいえ.だって今日はお前の誕生日だもの. 他にも私の孫になりたい人がいたら大いに歓迎しますよ.」
愛育園の子供達は大喜び. のぞみはバースデーケーキのロウソクの火を吹き消した.

偶然にも,今日は蝶子の誕生日でもあった.
雅則「どうしたの,ケーキなんて.」
蝶子「また忘れてる.あたしの誕生日なのに.」
雅則は頭をかいた.蝶子はべそをかいた.
蝶子「うーん,酷い.」
雅則「それにしてもなんだね.ロウソクの数が足りないんじゃないの?」
蝶子「嫌な性格.いいでしょう.ロウソクの数なんて.変な勘定しないで頂戴. 第一,あたしの誕生日を忘れるなんて,愛情が冷めた証拠ね.」
なんと雅則は涼しい顔.
蝶子「私はあなたの誕生日を忘れたことなんて1回もないわよ.」
なぜか雅則は笑い出した.蝶子は雅則の顔を軽くはたいた. そっぽを向く蝶子.雅則はまた笑い,懐から包みを出した.
雅則「おめでとう.」
雅則はプレゼントを用意していたのだが, 蝶子を驚かせるためにわざと忘れていた振りをしていたのだ. 大喜びする蝶子.プレゼントは蝶の形をしたアクセサリー. 蝶子はキスのつもりで口をとがらせるのであった.

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東平 洋史 E-Mail: hangman@basil.freemail.ne.jp