第七回

拳銃密売組織のボス脱走事件の裏に隠れた真相を暴く.
凶悪脱走犯が温泉宿に立てこもった!

脚本:中村勝行 監督:帯盛迪彦

事件勃発

横浜の神奈川県西警察署に脇田孝三(佐藤京一)と言う男が捕まっていた. そして刑事が脇田を護送する途中,午後3時頃,山の中でパトカーが襲われた. まずトラックが進路を塞ぎ,脇田を乗せた覆面パトカーを止めた. 降りて来た刑事は迷彩服を着た男達(大島宇三郎ら)に拳銃で撃ち殺され,死亡. 脇田は逃走に成功した.

「護送車襲撃刑事三人射殺」という見出しの記事を見て蝶子は事件を知った. その頃,雅則はゴルフのスイングの練習をしていた. この頃,ボールがスライスすると言うのだ.さらにハムエッグを見て
雅則「いらないよ,これ.」
蝶子「どうして? あなたハムエッグ好きだったでしょう.」
雅則「嫌いじゃないけど,ハムが気に入らないね.ハムが.」
蝶子「何で?」
雅則「スライスハムだ!」
蝶子は呆れてしまった.
雅則「ゴルフというのはメンタルなスポーツだからねえ, 気持ちの持ち方が大事なんだよ.」
蝶子「でもそれとこれとは…」
雅則「一緒ですよ.スライス病が治るまで当分ハムは食わないことにする.」
そう言って雅則は出かけてしまった.
蝶子「かなり重症だわ.」

調査開始

と言ってた蝶子は買物に出かけた時,本屋でゴルフの本を立ち読みしていた.
蝶子「そのホールの規定の打数より1打少なく上がった場合, これをバーディーと呼ぶ.バーディー.そうかあ.今夜鳥にしようかなあ.」
と呟いているところへ笑い声が聞こえてきた.
マネージャー「奥さん,語呂合わせのお献立ですか?」
マネージャーは着物を着て,本を何冊か持っていた. なぜか頭に帽子を被っていた.パピヨンはうなずいた.

パピヨンとマネージャーは喫茶店で話を始めた.
マネージャー「私ね,江戸文学にちょっぴりかじってるもんなんですがね. ま,江戸の昔から食べ物の語呂合わせなんていうのはあったんですな. 例えば魚尽くしの恋文なんてありましてなあ.」
パピヨン「魚尽くし?」
マネージャー「ええ.あ,そのさわりをちょっぴりご紹介しましょうか.」
マネージャーは咳払い.パピヨンはコーヒーを飲んでいた.
マネージャー「たちうおならぬ一筆に,心の愚痴を言わし参らせ候. さてとやお前めばるのお姿をひらめりつきしそのひをくらげのごとくふわふわと, はぜの心があじになる.吸い付くたこやとびうおの飛び立つ思いいかばかり. ねえ.へ,へ,へ,へ.これはね, 江戸時代の狂歌師蜀山人の遊女に宛てた恋文なんですね.」
全くの余談だが, 「怒れ! 求馬」という時代劇でオショウこと植木等さんが蜀山人の役を演じた.
マネージャー「ま,その後がね,ずーっと続くんですが, この続きはこの本に書いてあるんでね,ま,ゆっくり御覧になってください.」
マネージャーが渡した本には冒頭の事件の記事が挟まれていた.
マネージャー「さてそこでだ.資料,そしてお楽しみ.」
マネージャーはファイルと封筒を渡した.
マネージャー「それじゃ,ま,奥さんねえ,よろしく頼みますよ.」
立ち去ろうとするマネージャーをパピヨンは呼び止め,伝票を見せた.
マネージャー「お構いなく.」
マネージャーはさっさと退散.パピヨンはコーヒー代を払わされる羽目になった.

アジトでパピヨンが指令を説明した.逃げたのは脇田孝三45歳で, 以前から拳銃密売組織のボスとして警察にマークされていた. 前々日の夜,拳銃の取引現場で西横浜署の刑事に現行犯逮捕されていた. そして前日の午後,西横浜署から警視庁に護送される途中, 冒頭の事件が起きたのだ.
エジソン「もううんざりだね,その話は.」
パピヨン「え?」
エジソン「だってさあ,昨日からテレビでそればっかりだもん.」
ファルコン「最近さあ,これと言った事件が起きてなかったから, マスコミもはしゃいでるんでしょう.」
エジソン「それにさあ,これは警察のチョンボでしょう. 俺達がしゃしゃりでちゃおかしいんじゃないの?」
パピヨン「警察の威信に関わることだから, 当局も必死になって脇田の行方を探してるわ. でもね,マネージャーの話によると, この事件にはもう一つ裏があるんじゃないかって.」
ファルコン「裏?」
不審な点が二つあった. 一つは脇田の護送ルートは当日まで誰にも知らされなかったこと. なんと担当の刑事も知らなかったのだ.事前に知っていたのは, 署長と北川刑事課長だけだった. もう一つは当日になって護送に当たる刑事の人数が5名から3名に減らされたこと.
エジソン「つまりそれが今度の仕事ってこと?」
パピヨン「そうよ.事件の真相を調べ,脇田の行方を探し出すこと. 今回は一人80万.」
エジソン「経費込みね.」
パピヨン「悪くないでしょ.」
ところが
エジソン「ここんとこさあ,物価高いからもう一声ねえ.」
ファルコン「それにねえ,あと10万くらい.」
バニーが叫んだ.
バニー「ひとーつ,…」
すかさず
ファルコン「ふたつー.」
ファルコンがバニーを往復ビンタしたのでバニーは何も言えなくなった. パピヨンは苦笑した.
パピヨン「ごねたって一銭も出ないわよ.」
諦めたファルコンは北川刑事課長をあたることにした.

北川を尾行するファルコン.バニーはビルに植木…と見せかけた盗聴装置を, 龍神会という暴力団の事務所そばの非常階段に置いた. エジソンの操作により,蔓にみせかけたマイクはどんどん延び, 窓に張り付いた.北川は中華街を歩き,ある喫茶店に入った. 午後1時.なぜか北川が立ち上がった.電話がかかってきたからだ. パチンコで盗聴機を飛ばし,ファルコンは盗聴開始. 北川は娘の亜美を誘拐されており,脇田の部下(堀田真三)に脅されていたのだ. 脇田の部下は段取りがつくまで娘を預かると言い,電話を切った. ファルコンの調べで北川の娘が誘拐されていることをパピヨンも知った.
パピヨン「となると迂闊には動けないわねえ.」
ファルコン「厄介な仕事が一つ増えましたな.」

その晩.倉庫街から脇田達は車に乗って出て行った. もちろん,北川の娘亜美も一緒だ. さてエジソンとバニーは2時間も経つのに何も聞こえないとぼやいていた.
バニー「マイクが故障したんじゃないっすか?」
エジソン「俺のマイクを何だと思ってるんだ.」
バニー「じゃ,こっちですかね.」
バニーはヘッドホンを指す位置が違うのでは言いたかったらしい. エジソンはバニーが伸ばした手をはたいた.
エジソン「俺を本気で怒らせたいの? 故障してるとしたらお前の耳だよ.」
バニーが物音を立ててパンを食べ始めると,エジソンがバニーの頭をはたいた. うるさいからかと思ったら
エジソン「よく聞け.」
龍神会の組長が帰ってきたのだ.
組長「連中どうした?」
部下「2時間ほど前に湯河原へ向かいました.もうそろそろ着く頃だと.」
組長「そうか.奴らがパクられたら一蓮托生だからなあ. 全く厄介な荷物を抱え込んだもんだあ.」
それを聞いたエジソンは
エジソン「おい,今なんつった.」
バニー「厄介な荷物だって.」
エジソン「馬鹿.その前だ.」
バニー「その前?」
エジソン「湯河原へ行くとか何とか言ってたなあ.」
バニー「わかってんなら聞かなくたっていいじゃないっすか.」
バニーはエジソンにまた頭をはたかれた.

エジソンから湯河原へ行っているらしいと聞いたパピヨンは, 犯罪者が潜伏するような場所があったかしらと不思議な顔. ファルコンは宿泊客としてホテルにどうどうと泊まっているんじゃないか, と言った.
ファルコン「木は森に隠せって言うでしょ. 下手に隠れるよりはかえって安全なんじゃないっすかねえ.」
エジソン「ねえねえ.今なんか言った? もう一回言って.」
ファルコン「何を?」
エジソン「今,木が…」
ファルコン「ああ.木は森に隠せって言うの?」
エジソン「頭いいね,お前.餅は餅に隠せって同じ?」
パピヨン「エジソン! 馬鹿言ってないで早速湯河原へ飛んで頂戴.」
エジソン「え? 俺が行くの?」
パピヨン「バニーも一緒よ.私達は引き続き龍神会をマークするから.」
張り切るバニー.ファルコンはエジソンに何か合図したが,エジソンは無視して
エジソン「ちぇ.子供と一緒に温泉かい.」
エジソンは出て行こうとしたが,
エジソン「あ,そうだ.」
引き返してきた.
エジソン「芸者の飯代って経費で落ちます?」
パピヨンの答えは
パピヨン「エジソン,物見遊山で行くんじゃないのよ.」
仕方なくエジソンは去って行った.

エジソンとバニーは湯河原に着いた. 手分けしてホテルと旅館を当たるエジソンとバニー. その頃,龍神会の組長は
組長「ああ,龍神会の飯岡だ.ああ.ちょっと頼みたいことがあるんだ. ええ.3人ほど面倒見てもらえんか? ええ.うちの者じゃねえんだ. うん.いや海の向こうならどこでもいい.とにかく急いでるんだ. 大至急段取りつけてくれねえか.」
これをファルコンが盗聴していた.一方, エジソンは大伊豆ホテルに例の3人が泊まっている事を突き止め, アジトに電話して報告していた.そこへファルコンが戻ってきた. 龍神会が脇田を外国へ高飛びさせようとしていたのだ. 龍神会は東南アジアにも支部を持っているので秘密ルートはいくらでもある.

夕方.蝶子が旅行の支度をしていると雅則が帰ってきた. 雅則は蝶子が旅行の支度をしているのを見て
雅則「何してるんだよ.」
蝶子「ああん.それが,そ,そのねえ,あの, 急にクラス会の呼びかけがあってね,日光に旅行することになったの.」
雅則「日光に?」
蝶子「うーん.急な話だったから断ったんだけどね, どうしてもって言うもんだから.ごめんなさいね.勝手なこと言って.」
雅則「いやあ,僕だってゴルフでしょっちゅう家,空けてるからね. 君だってたまには羽伸ばしたいだろうし.」
蝶子「すいません.」
雅則「君,日光はじめてかい?」
蝶子「うん.」
雅則「だったら一度は行ってみる価値はあるねえ. 日光見ずして結構語るなって言うくらいだからねえ.」
蝶子「誰の言葉,それ?」
雅則「あれは徳川家康だったかなあ.」
雅則はいい加減なことを言った.
蝶子「家康?」
雅則「いや,いや.松尾芭蕉かもしれんなあ.」
蝶子は苦笑した.
蝶子「ほんと?」
雅則「滝沢馬琴…いや,十辺舎一九だったかなあ. ちょっと待て.百科事典調べてみよう.」
蝶子「あなた,夕飯の支度出来てますから.」
蝶子は出て行ってしまった.
雅則「それとも山東京伝かな? 森鴎外? 夏目漱石か? 与謝野晶子かな?」
雅則はなおも百科事典をめくっていた.
雅則「ゲーテ.」

パピヨンとファルコンも湯河原に着いた. そしてハングマンも大伊豆ホテルに泊まった. 脇田達がいるのは5階の胡蝶の間.夕方に風呂に行ったきり, 後は部屋から一歩も外へ出ようとしなかった. 胡蝶の間は角部屋になっており,中から見通しは利くし, ベランダもないので侵入は難しそうだ.天井も調べてみたが,ダメだった.
ファルコン「それじゃあさあ,部屋から誘き出してそこでぱくっちゃうって, どう?」
パピヨン「ダメよ,そんな乱暴な手は. 万一失敗して他のお客さん巻き込んだりしちゃったら, それこそ大変なことになるわ.それに人質の安全考えなきゃならないし…」
一緒に湯河原に連れてこられたらしいが, 人質の亜美が胡蝶の間に一緒にいる気配はなかった. エジソンはホテル中を調べてみることにした. バニーは一味の動きを見張ることになった. そしてエジソンは変電設備の部屋から出てきたところを, 従業員に立ち入り禁止だと注意された. バニーは胡蝶を探ろうとしたが, 隣りの部屋にいたボディーガード二人に見つかってしまった. 脇田の部下も出てきて絶体絶命のピンチ. バニーは女子大生が泊まっていると聞いたと出任せを言い, 何とか退散することに成功した. これを聞いたパピヨンは他の部屋にも龍神会の手の者がいるのではと考えた. とにかく油断は出来ない.そこへファルコンとエジソンが戻ってきた. ホテルを一通り探ってみたが,亜美が閉じ込められている気配はなさそうだ.
エジソン「と言うことは,人質はあの部屋かなあ. こうなったら,直接あいつらから情報とるか.」
パピヨン「直接?」

ファルコンは電話線交換室に侵入し,交換機に細工して, 胡蝶の間に通じる電話を盗聴できるようにした.
エジソン「これでよしっと.これで後は電話がかかってくるのを待てばいい.」
パピヨン「じゃ,今夜はお開きにしましょう.」
エジソン「そうしましょう.」
エジソンはそのままベッドに寝そべってしまった.
パピヨン「ちょっと,エジソン.」
エジソン「え?」
パピヨン「あなた寝るんなら自分の部屋に行ってよ.」
エジソン「ん? ここパピヨンの部屋か.」
バニー「とぼけないでくださいよ.」
エジソン「僕さあ,一辺人妻と寝てみたかったんだよね.」
エジソンはパピヨンに軽く頬を叩かれた.
エジソン「おやすみ.」
仕方なくエジソンは出て行った.それを見てパピヨンは失笑した.

その頃,雅則はビールを飲んでいた.
雅則「蝶子がいないと寂しいなあ.」
そこへ電話がかかってきた.
雅則「へ,へ,へ,へ,へ,へ.こら,蝶子.」
だが相手は
雅則「ああ.は,は.部長でしたか.」
雅則は一生懸命ごまかした.部長は急用で行けなくなったので, 翌日の接待ゴルフに雅則が行ってくれと頼むため,電話してきたのだ.

翌日.朝風呂に浸かりながら
エジソン「いやあ,やっぱ朝風呂は気持ちええわ.」
ファルコン「これでさあ,仕事がなきゃ最高なんだけどねえ.」
エジソン「仕事ねえ.ファルコンさんよ.」
ファルコン「はい.」
エジソン「仕事早めに切り上げて,今夜パーっと行こう.」
ファルコン「パーっと行こうか.パーっと.」
バニー「ひとーつ…」
怒ったエジソンはバニーにお湯をぶっ掛け, 同じく怒ったファルコンはバニーをお湯の中に沈めた. すると盗聴機が作動した.
エジソン「来た,来た.」
エジソンが口笛を吹くと受信機内臓の子亀が泳いできた.
エジソン「はい,はい,いらっしゃい.努力はしてんだけど, いまいちスピードに乗らないね.はい,ご苦労さん,ありがとう. はい,はい.何,何.」
早速イヤホンを耳に当てるエジソン.電話は龍神会の組長からのもの. 高飛びの段取りがついたというのだ.一両日中に香港から高飛び屋がくる. 名前は李麗華.華僑の女だ.組長は女の面を確かめようとしたが, 日本に来るまで素性を一切明かせないというので確認できなかった. 成田へ来たら脇田のところへ直行すると言う.
組長「いいかい.白いミンクのロングコートを着て, 胸にカメオのブローチをかけた女を見かけたら, あんたの方から接触してみてくれ.」
李麗華は日本語を喋れると言う.逃亡ルートは沖縄から台湾. 偽造パスポートと航空券を李麗華が用意してくると言う.
エジソン「切れた.」
ファルコン「誰からよ?」
エジソン「くっそ.長話しやがって.俺もう駄目.後頼むわ.」
エジソンはのぼせてしまったのだ.
ファルコン「はいはいはい.」

香港から高飛び屋が来ると聞いたパピヨンは, 香港からは飛行機で3時間で日本に着くので, 早ければ今日の午後には湯河原に着くと言った. そこでパピヨンは自分が李麗華に成りすまして, 脇田達をおびき寄せる作戦を発案した.エジソンは危険だと警告したが, パピヨンは高飛び屋の素性を脇田達が知らないので何とかなると言い, さらに他にいい手もないので作戦を決行することになった. パピヨンはアジトに戻ってマネージャーに小道具を用意してもらい, ファルコン達は引き続き脇田達を見張ることにした.

パピヨンはアジトに戻った.
マネージャー「奥さん.お待ちしてましたよ.」
マネージャーは女物のミンクのロングコートを羽織っていた.
マネージャー「はい.これはご注文の偽造パスポート.航空券. そしてカメオのブローチだ.」
パピヨン「ありがと.」
マネージャーは自分が羽織っていたミンクのコートを脱ぎ,パピヨンに着せた.
マネージャー「はい.それでは,お気をつけて.グッドラック.」
マネージャーはアジトから立ち去った.

チャイナドレスを着て李麗華に化け, 湯河原の大伊豆ホテルへ戻ったパピヨンは意外な人物に出くわした.
雅則「あ,どうも.すいません.お待たせしました.」
雅則の接待ゴルフの行き先は湯河原だったのだ. 雅則を遠くで見て驚いたパピヨンは,慌ててサングラスをかけた.
雅則「いやあ,今日は結構なゴルフ日和ですなあ.」
雅則はパピヨンに気がついた.
雅則「蝶子.」
パピヨンは立ち止まった.覗き見ていたファルコンとエジソンも大慌て.
雅則「蝶子.お前,蝶子じゃないか.何やってんだ,こんなとこで. なんだ,この格好は.」
パピヨン「ニイハオ.」
雅則「は? 俺だよ.俺,俺.」
パピヨン「ボクタオチン.」
雅則「あ,あー,中国の方ですか.(なぜか英語訛りで)おー,おー,おー, 人間違いですー.あ,ごめんなさーい.」
パピヨンは立ち去った.
雅則「いやあ,びっくりしたなあ,もう,あれ.」

チェックインする時に龍神会の者が「李麗華」をフロントで見かけていたので, 脇田の部下がパピヨンに声をかけてきた. パピヨンは胡蝶の間へと案内された. パピヨンは偽造パスポートと航空券を渡した. そして翌朝8時に車で熱海へ出て,新幹線で大阪へ出て,飛行機で沖縄へ行き, 国際線で台湾へ行くと伝えた.そこへ電話がかかってきた. なんと本物の李麗華がたった今成田に着いたと電話してきたというのだ. パピヨンは拳銃を突きつけられ,絶体絶命のピンチ.
脇田「いったいどういうことなんだ.説明してもらおうか.」
パピヨン「答えは簡単です.この時間に香港から成田に到着する飛行機, 一本もありません.」
実はこの電話は脇田が李麗華を試すために龍神会の者が隣りの部屋からかけた物. 脇田はパピヨンを信用した.ホッと一安心のパピヨンは自室で通信開始した.

翌朝8時半.なんと本物の李麗華が到着した. 焦るエジソン.だが運良くパピヨンの乗ったエレベータは 李麗華の乗ったエレベータとは別のものだったので, 運良く難を逃れた.脇田達を車に乗せ,エジソンとパピヨンは出て行った. そして龍神会の手の者は亜美を連れて屋上へ出た.
ファルコン「なんだ,ここにいたのか.探しちゃったよ.」
バニーも登場した.ファルコンとバニーの活躍により,亜美は救出された.
ファルコン「こいつをね,親父さんに渡してくれないか.」
ファルコンは手紙を渡した.
バニー「ファルコン.早く.」

その頃,エジソンは脇田達を乗せて山道を走っていた. 蝶の舞うCGが流れた.追いかけるファルコンとバニー. 突然,車が山の中で止まった.
脇田「どうしたんだ?」
エジソンが適当な言葉を喋った.
パピヨン「故障らしいです.私,ちょっと見てきます.」
パピヨンとエジソンは車を降りた. そしてボンネットを開けてエンジンを見る振り. 催眠ガスが発射され,車内に充満.悪党達は眠りこけてしまった.

ハンギング

気がつくと悪党達は崖の上にいた.崖には対岸に向かってロープが張られ, 悪党達はおのおのロープに乗せられた滑車に吊るされていた. 悪党達の他,マネキンが一体同じように滑車に吊るされていた. スピーカーからファルコンの声が響く.
ファルコン「諸君,おはよう.よいお目覚めかな.今回のゲームを説明しよう. 御覧の通りの崖っぷちだ.一歩でも足を踏み外したら, お前らの体は滑車に吊るされて一気にロープを滑降し, 岸壁に激突して木っ端微塵になる.名づけて人間ゴンドラゲームだ.」
脇田「畜生.ふざけた真似しやがって.」
ファルコン「まずはリハーサルと行こうか.」
マネキンが対岸に激突.なぜか爆発して炎上した.
ファルコン「さあ,今度はお前らの番だ.ウィンチを止めたかったら, 逃亡計画の一部始終を白状するんだなあ.」
脇田「冗談じゃねえ.誰がこんな脅しに乗るもんかあ.」
ファルコン「ああ,そう思われますか.」
スイッチが入れられ,スキンヘッドの部下B(大島宇三郎)が引きづられた.
部下A(堀田真三)「奴ら,本気ですぜ.」
ファルコン「これで冗談じゃねえことがわかったろう. さあ,お前らの悪事を洗いざらい白状してもらおうか.」
脇田「喋るんじゃねえ.」
だが他の二人のウィンチも動き始め
部下A「止めてくれえ.何もかも喋るから,止めてくれえ.」
ワゴンからアンテナが伸びた.
エジソン「スタンバイ,OK.」
パピヨンは秒読み開始.
パピヨン「5,4,3,2,1.キュー.」
エジソンがスイッチを押すと同時に「ON AIR」開始. 「神奈川・湯河原 一福堂さん宅」というお土産屋さんのテレビなどに, 悪党達の姿が映し出された.
部下A「何もかもボスの命令でやったことなんだあ.」
脇田「やめろー.」
悪党達はののしりあった.これがテレビに映し出された.
脇田「いいか.そうだろうが.これはお前らが勝手にやったんじゃないか. 違うか,このやろう.」
パピヨンとエジソンも呆れていた.
脇田「俺じゃねえ.俺じゃねえ.」
脇田は崖っぷちに立っていた.崖は崩れ落ちようとしていた. 心臓に悪い状況だ.
部下A「龍神会と組んでやったのは,このボスなんだよ. 俺は何にも知らないんだから.」
脇田「違う.違う.3人だ.3人.3人ともグルなんだよー.」
部下B「俺は頼まれてやっただけなんだ.俺はただ…」
部下A「調子のいいこと言うな,こら.」
部下B「ホントだー.」
悪党達の足元がどんどん崩れ落ちた.そして気がつくと

暗闇の中で悪党達が縛られていた. また急に明るくなり,薔薇の花を持ったパピヨンが登場. 今回は蝶の形をしたマスクを着用している.
脇田「なんだ,てめえは?」
パピヨン「闇に舞う蝶,パピヨン.安らかに眠っていただきます.」
薔薇の花から催涙ガスが噴射され,悪党達は再び眠りに入った. そして山の上の木に縛られているのを神奈川県警の警官が発見. 北川と亜美もそれを見た.

事件解決して…

蝶子が帰ってくると雅則がビールを飲んでいた.
雅則「ああ,蝶子,蝶子,わかったよ. 日光見ずして結構語るなって言うのはねえ,どうも黙阿弥らしいんだよね. うーん,宇都宮峠って芝居のね, 第三幕目に出てくる台詞らしいんだけどねえ, わざわざ文部省に電話したら教えてくれたよ.日光どうだった?」
白々しく日光は素晴らしかったと言う蝶子に雅則はこう言った.
雅則「あ,蝶子.お前,チャイナ服着たら似合うだろうねえ.」
蝶子は慌ててしまった.
蝶子「なんで急にそんなこと言うの?」
雅則「いえ.なんとなくね.そう思っただけだよ.」
二人は笑うのであった.

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東平 洋史 E-Mail: hangman@basil.freemail.ne.jp