第五回

離婚慰謝料詐欺一味を吊るす.
慰謝料四千万が離婚屋に狙われる!

脚本:田上雄 監督:児玉進

事件勃発

柏木デザインルームというデザイン事務所を経営する男の妻柏木(竹井みどり)が, 私立探偵(立川光貴)から夫の浮気調査の結果を聞いていた.報告によると, 柏木の予想通り夫は浮気をしていた. ある女(泉じゅん)とホテルで過ごしていたのだ. 探偵が書類と写真を妻に渡したところへ夫が帰ってきた. 夫が探偵の素性を柏木に聞いたので柏木は私立探偵の高村だと答えた. 柏木は例の写真を夫に見せた.高村は帰って行った. 怒った夫は柏木を殴りつけた.

さて蝶子がときわ相互銀行で積立貯金の預け替えをしていた. 利息が0.5%も上がるからだ.蝶子が書類に記入していると
行員「これ,全部解約するんですか?」
老女「ええ.全部現金で頂きたいの.」
行員「しかし,3千万円も.」
思わず蝶子は行員の方を見た.
行員「小切手じゃ,いけませんか?」
老女「速くして.」
行員「かしこまりました.」
蝶子と老女の目があった.老女はこの間, 蝶子の住むアパートに引っ越してきた望月という女性で, 管理人の話だと離婚して引っ越してきたと言う.その晩, 蝶子は雅則とその話をしていた.望月の元夫は産婦人科の医者らしい.
雅則「それじゃあ,貯金があっても不思議はないよ.がっぽりせしめたんだ, 慰謝料.」
蝶子「でも3千万の大金,何に使うのかしらねえ.」
雅則「小商いでも始めるんじゃないの? 喫茶店とかアクセサリーの店とかさ.」
蝶子「だったら小切手でもいいはずよ.何も現金じゃなくても.」
雅則はそんなことを詮索するんじゃないといい, 腹が減ったので飯はないかと言い出した.

その頃,望月は西岡組と言う暴力団の事務所にいた. 組長の西岡(深江章喜)は望月から金を受け取り, 西岡組へ来たことを望月が話していないことを確認した. 望月は帰ろうとしたが,部下に取り押さえられ, 西岡に注射されて眠らされてしまった. そして望月は車の中に閉じ込められ,車にガソリンをかけられ, 火をつけられてしまった.車はみるみる炎上していった.

とりあえず調査開始

次の日.蝶子,いやパピヨンは銀座でマネージャーと待ち合わせをしていた. そこへ
マネージャー「お嬢さん,お茶でも飲みませんか?」
マネージャーはオレンジ色の派手なジャンバーを着ていた. それを見てパピヨンは苦笑してしまい
パピヨン「いやーねえ.少しはお歳年を考えたら.」
なんとマネージャーはサングラスまでしていた. ツッパリのつもりなのだろうか?
マネージャー「でも若いツバメちゃんと浮気の気分になるでしょ.」
マネージャーは強引にパピヨンと腕を組んだ.
パピヨン「とんでもない.一緒にいるだけで気がひけちゃうわ.」
マネージャー「うーん.それにしてもねえ,君の方から誘いをかけるとは, こら,どういう風の吹き回しかな?」
パピヨンは新聞を見せた.望月千鶴子が死んだ事件の記事だ.
マネージャー「うん? 造成地に中年女性の焼死体, 使用された車が望月さん本人の所有であることなどから, 警察ではほぼ自殺に間違いないものとの見方をか.」
近くの喫茶店でパピヨンとマネージャーは話を続けていた.
マネージャー「この事件,何か.どうかしたのか.」
パピヨン「不審な点があるんで,裏を調べてみたいのよ.」
マネージャー「ふーん.つまり,ハングマンの仕事にしたいという意味かね?」
パピヨンはうなずいた.
パピヨン「たまには,あたしの方から持ち込んでも構わないでしょ.」
パピヨンは前回仕事を持ち込んだばかりなのを忘れて(?)こう言った.おそらく, 脚本を書いた時はこうなることを田上雄さんが知らなかったのだろう.
マネージャー「勤労意欲旺盛なのは真に結構.で,何か根拠あるのかね?」
パピヨン「行動が不自然なのよ.自殺する人が貯金を下ろしたりするかしら?」
マネージャー「貯金を? ホントか?」
パピヨン「それも3千万円を現金で.あのお金どうなっちゃったのかしら?」
これを聞いたマネージャーはある事件を思い出した.
マネージャー「おい,ひょっとして,その女性,最近離婚したんじゃないのか?」
パピヨン「え!」

さて緑美園ではファルコンが植物の芽にスポイトで液体をかけていた.
エジソン「ふーん.これが仕事のギャラ一生懸命つぎ込んだ成果なの.」
ファルコン「ちょ,ちょ,ちょ,ちょ,ちょっと.触るな,触るな. ちょ,ちょ,ちょっと.芽が出たばっかじゃない.」
エジソン「どうせぺんぺん草みたいなもんじゃない.」
ファルコン「ぺんぺん草みたいなもんだけどね,ただしね, 環境汚染に対する抵抗力は抜群.草魂たくましい新種なわけだ.」
それを聞いたエジソンは感心した.
ファルコン「多分ねえ,核戦争が終わった後でも生き延びるんじゃないかな.」
エジソン「凄い研究してるんだねえ.」
ファルコン「そう.」
エジソン「いやあ,凄いわ.」
エジソンはファルコンの隣りに座った.
エジソン「ちょっと,ちょっと.」
ファルコン「何?」
エジソン「金貸してくんない?」
ファルコン「また?」
エジソン「うん.」
ファルコン「こないだのギャラ,どうしたの?」
エジソン「色々物入りだったのよ,僕.」
ファルコンは苦笑した.いつの間にか後ろに来ていたバニーはこう言った.
バニー「へー.ソープランドへ行くこと,物入りって言うんですか?」
エジソンはバニーの頭に頭突きした.
エジソン「本番,行ったことねえだろう.童貞.」
ここでファルコンは意外なことを言った.
ファルコン「違うんだって.」
エジソン「ほんと?」
ファルコンはうなずいた.
エジソン「いつのまに…ねえ,そんなん,どうでもいいよ. 生活費が全然ないのよ.」
ファルコン「俺だって,これで目いっぱいだもん.」
エジソン「こんなもん,注ぎこんだってしょうがないよー.」
そこへパピヨンがやって来た.
パピヨン「ポトスあります.」
バニーが出迎える中
ファルコン「仕事.」
エジソン「これでまた行けそう.」

パピヨンとマネージャーの調べでは離婚した女性が望月を除いて3人も, この2〜3ヶ月の間に同じような死に方をしていた. 一人は3ヶ月前に資産家の夫と協議離婚が成立. 慰謝料6千5百万円を受け取ったが1週間後にマンションの屋上から転落し. もう一人は経営者の妻だったが5千万円の慰謝料をもらって離婚した直後, 轢き逃げ事故で死亡.離婚したときに相当の額の慰謝料をもらったある女は, 原因不明の薬物中毒で死亡.そして最後が望月千鶴子の事件だ. 4人も同じような死に方をしている.同一犯人の可能性がある. パピヨンは慰謝料が目当てだろうと睨んでいた. 4人とも2千万円から3千万円の現金を持ち出していたのだが, 使い道が不明のままだったのだ. その金が誰の手に渡ったのかを調べるのが今回の仕事になる.
パピヨン「手分けして4人の行動を洗いなおすことから始めましょう.」
エジソン「ちょっと待ってよ.その前に.」
「物入り」で金欠のエジソンは封筒を取ったが
エジソン「なんか薄いなあ.もらうもの.」
パピヨン「ああ,そうだったわねえ.とりあえず, 必要経費だけを渡しておくわ.はい.」
エジソン「ギャラ,どうなってるの?」
パピヨン「今回は持ち込みの仕事なんで, ハンギングの目処がつくまでお預けですって.」
エジソンはがっかりした.
エジソン「(小声で)トーンダウンだなあ.」
ファルコン「十一だったら話に乗る.」
エジソン「お願いしようかしら.」

さて柏木は高村秘密探偵社へやってきた.そして高村に離婚が成立した礼を言い, 慰謝料5千万円をもらった上にマンションも自分のものになったと言った.
高村「そりゃ良かった.これで私も気兼ねなく,調査費用を頂戴できる. さあ,どうぞ,お座りください.」
高村は柏木に椅子を勧めた.
柏木「確か15万でしたねえ.」
高村「いや.500万円です.」
それを聞いた柏木は驚いた.
柏木「また,ご冗談ばっかり.」
そこへ
女「いいえ.本気よ.」
事務所に入ってきた女を見て柏木はさらに驚いた.
女「見覚えがあるはずよ.ご主人と一緒に写真に写っていたから.」
柏木「高村さん,いったい,これは.」
高村「いやいや.要するにこれは囮捜査みたいなもんですよ. お宅のご主人,なかなか尻尾をつかませてくれませんでしたからね, この子に頼んで一芝居打ったんです.」
呆気に取られる柏木.
柏木「一芝居?」
高村「ええ.」
女「あるパーティーでね,偶然みたいな振りしてお酒こぼしたの. ご主人,親切にハンカチ貸してくれたわ.それで,次の日電話したら, ホイホイ飛んで来て,そのままホテルでベッドイン.」
柏木はまるで詐欺だと怒ったが,
女「そんな言い方ってないんじゃないの. あたし達はあなたが有利な条件で離婚したいって言うから, 協力してあげただけじゃないの.」
と女は開き直った.さらに高村は
高村「それじゃあ,何もかもご主人に打ち明けますか. せっかく頂いた慰謝料,返さなきゃなりませんよ. 世の中持ちつ持たれつって言うじゃありませんか. あなたはお金と自由を手に入れ,私はそのおすそ分けに預かる. 二人とも口をつぐんでいれば,誰にもわかりゃしませんよ.」

堀産婦人科でパピヨンは望月のことを聞き込んだ. パピヨンは大学で社会学を研究していると称し, 牛乳瓶のようにレンズの分厚いメガネをかけて堀と会っていた. 堀は望月が私立探偵社に素行調査を依頼していたことを話した. お陰で堀ははじめて知り合った女と一緒のところを写真に撮られ, 結局5千万円以上の慰謝料を払わされたのだ.その私立探偵社の名前は
エジソン「高村秘密探偵社って言うんでしょう.」
アジトでエジソンからその言葉を聞いたパピヨンは驚いた.
パピヨン「どうして,それを?」
ファルコン「答えは簡単. 俺達が行った先でも同じ名前を聞かされたからですよ.」
高村秘密探偵社の社長は高村しゅんすけで年齢は45歳.元警視庁丸暴担当刑事. 昭和55年収賄容疑で懲戒免職.

早速バニーが植木を持って高村秘密探偵社に乗り込んだ. 高村は間違いだから帰れと植木も置かせずにバニーを叩き出した. だがバニーは去り際にドアのそばに盗聴機を仕掛けるのに成功した. 早速ワゴンの中で盗聴を開始するエジソンとバニー. 高村のところに電話がかかってきた.
高村「はい.高村探偵…ああ,あなたですか.決心はつきましたか.」
電話は柏木からのものだった.
柏木「ええ.あなたのゆう通りにするわ.」
高村「ああ,結構.それじゃあ,約束の500万,これから頂戴しに来ますよ.」
早速エジソンは別の車で待機していたファルコンに無線で連絡した.
エジソン「ファルコンちゃん,聞いてました? 電話の相手,つきとめて. お仕事,お仕事.」
ファルコンは吉野家の牛丼を食べていたところだった.
ファルコン「聞いてましたよ,エジソンちゃん.」
高村は事務所を出ようとするとき,ドアのそばで鍵を落としてしまった. そのとき,盗聴機の存在に気がついた.

高村が出てきた.
バニー「あ,来た.」
エジソン「ファルコンちゃん,しゅっぱーつ.」
ファルコン「了解.」
追跡を開始するファルコンちゃん. だが尾行に気がついた高村は自動車電話でどこかへ電話. ファルコンは途中で黒塗りのベンツに進路を阻まれてしまった. ベンツの中から黒服を着た恐いお兄さん達が出てきた.
ファルコン「食後の運動させてくれるらしいわ.」
恐いお兄さんがガラスを叩いた.
ファルコン「はい.」
恐いお兄さんはファルコンの肩をつかんだ.
恐いお兄さん「降りろ.」
ファルコン「降りるんすか.」
早速食後の運動を開始するファルコン. だがファルコンは羽交い絞めにあってしまった.
ファルコン「ちょっと,待った.」
ファルコンはぶん殴られてしまった.
ファルコン「ガム飲みそうになったじゃないか.」
ファルコンは反撃開始.退散するお兄さん達.そしてガムに発信機をつけ, 逃走するベンツに向かってパチンコを発射. 発信機はガムによりベンツにくっついた.

その頃,高村秘密探偵社にエジソンとバニーが忍び込んでいた. 次々にロック解除装置でドアや金庫の鍵を開けるエジソンを見て
バニー「エジソンにかかればなんでも開いちゃうんですね.」
エジソン「ギャルのあんよもね,ぐっと開いてくれるとありがたい.」
さりげなく下ネタギャグを飛ばすエジソンは,依頼人のリストを発見した. エジソンはバニーにハンドスキャナーでコピーさせた. そして写真も発見した.どの写真も同じ女性が写っていた. 「浮気の証拠」写真を撮るための囮なのだ.アジトで報告しながら
エジソン「ああ,結構おいしそうだよな.鴨になったおじさん達の気持ち, わかるような気がする.」
エジソンは弁当を食べながら,そう言った.
バニー「鼻の下伸ばしてる場合ですか! これじゃ, まるで美人局と同じじゃないですか.」
エジソン「難しい言葉知ってんな,お前.ほら,若い衆, 米とおかずと変えてやる.」
バニー「いいですよ.だけど,素行調査を依頼した奥さん達は, その事実を知ってるんですかね?」
エジソン「馬鹿だな,お前.知ってりゃ大問題じゃないか,お前.」
と言いながらエジソンはバニーの弁当からおかずを失敬した.
エジソン「この写真が決め手になって莫大な慰謝料せしめたんだから.」
エジソンとバニーはイカのリングフライを取り合いした.
パピヨン「そこんところを確かめてみる必要がありそうね.」

さてファルコンは例のベンツの止まった駐車場へやって来た. 恐いお兄さんの一人と格闘するファルコン. 締め上げて高村のことを聞き出そうとしたが,お兄さん達が大勢登場. 発信機がつけられていたことに気づいていたので,待ち伏せしていたのだ. 多勢に無勢でファルコンは捕まってしまった. お兄さん達は望月から金をふんだくった西岡の部下. 西岡はファルコンを監禁することにした.

柏木のところにパピヨンが高村の妻と称して現れた. パピヨンは明らかな犯罪行為を行なってお金を取るのが許せない,と言った. 柏木は夫が暴力をふるうのに嫌気がさして別れたと答えた. パピヨンは,もっと多額のお金を取られて死ぬかもしれない,と警告した.

さてファルコンは手錠で柱につながれていた.そこへ西岡の部下が現れた. 西岡の部下は鍵を持っていた.
ファルコン「なあ,あんたにさあ,いいもんやろう.」
部下「なんだい.」
ファルコンはお札を渡したが,部下は取り合わなかった.
ファルコン「それじゃあさあ,あんた,タバコ吸うかい?」
部下「ああ.」
ファルコンは懐に手をやった.
ファルコン「じゃあな,このライター,一見安物に見えるだろう? ところがさ,コアラの皮でできてるんだ.」
部下「コアラ?」
ファルコン「マニアに売りゃあ,100万くらいになるぜ.」
部下「100万?」
ファルコン「ふふん.これで逃がしてくんない?」
部下「馬鹿野郎.逃がす気はないが,これはもらっとくぜ.」
部下が火をつけようとした瞬間,ライターから催眠ガスが噴射された. 催眠ガスを吸った部下は眠りこけてしまった.ファルコンは鍵を奪い取り
ファルコン「火遊びは怪我の元.お母さんに言われなかった?」
ファルコンは手錠を外し,金を取り返して脱出することに成功した.

さてマネージャーは隅田川の川辺で絵描きに扮装して油絵を描いていた. ベレー帽を被っており,パイプもくわえている.
パピヨン「驚いたわ.あなたにこんな才能があるなんて.」
マネージャーは上機嫌.
マネージャー「能ある鷹は爪を隠すのよ.は,は,は. これでも年季が入ってるんだからねえ.」
パピヨン「でも身なりがねえ.そう言えば, 昔こんな格好をした強姦魔がいたわねえ.」
マネージャー「おい,おい.そんなことより, 暴力団の西岡組が一枚噛んでるって言うのは確かなのかね?」
パピヨン「間違いないわ.念のために調べてみたら, 以前刑事だった高村に賄賂を贈ったのも西岡組だったの.」
マネージャー「ほう.あっちの腐れ縁も年季が入ってるわけだ. は,は.デザイナーの柏木が妻に払った慰謝料はまだたくさん残ってるはずだ. 連中はそれをどうやって手に入れるのかな?」
パピヨン「さあ,そこまではまだ.でもいずれはハンギングに値する, 悪辣な手段を取るはずよ.」
マネージャーは決断した.
マネージャー「よーし.その言葉を信用しよう.」
マネージャーは封筒を渡した.
マネージャー「はい,ギャラ.」
パピヨン「どうも.」
パピヨンは礼を言った後,
パピヨン「どうでもいいけど,ここんとこ,デッサン狂ってるわよ. 船もいないし雲もないわよ.」
と言って去って行った.
マネージャー「なに,さっきあったんだ.」

柏木のマンションに高村がやってきた. なんと囮につかった女は西岡の情婦で, 高村は西岡組の連中に追われているというのだ. 早速西岡から柏木のところに電話がかかってきた. 西岡は柏木に4千万円を要求した.断ったら「その筋にちくるまでだ」と脅した. 西岡は足が着くので小切手は駄目だと言い,現金で4千万円持ってくるよう要求. 柏木は警察へ言って何もかも話そうと言ったが,高村は無駄だと言い, 自分が取った500万円を返すので連中の言うことを聞いた方がいいと 「忠告」していた.その様子を外からバニーが外からビデオで撮っていた. 早速エジソンが解析開始.デジコンマリアも披露した読唇術により
パピヨン「これで連中のやり方がよくわかったわ.」
ファルコン「高村の奴,泣き落としの芝居がうまいじゃないですか.」
バニーが大声で叫んだ.
バニー「人の弱みにつけこんで,骨までしゃぶり尽くす奴らです. 許せませんよ.」
うるさいのでエジソンとファルコンは頭を右往左往させた.
ファルコン「それにしても,コンピュータに読唇術を教え込むとはねえ.」
エジソン「うん.金使ってるもん.何喋ったかわかるから, 気をつけなきゃ,駄目よ.お金,スッポンポン,もう.」
それを聞いてパピヨンがギャラのことを思い出した.
パピヨン「それで思い出した.ギャラが出てんの.」
エジソン「お!」
パピヨン「今回は一人100万円.」
エジソン「お!」
パピヨン「はい.」
エジソン「あー,助かった.これで生き延びられる.おっとっと.」
エジソンは新しい武器を手に持った.紐のないハンドバッグに見える.
エジソン「お返しにこれ使って.」
パピヨン「あら,かわいいじゃない.」
エジソン「そうやってさあ.」
エジソンが武器を投げ,バニーが受け取ると自動的に鞄が開いて爆音を上げた. バニーもファルコンもパピヨンも思わずのけぞった.
エジソン「今のはね,メリケン粉.本番,時は催涙ガス使う.」
バニー「いいかげんにしてくださいよ.」
パピヨン「じゃ,ハンギングと行きましょう.」
蝶の舞うCGが流れた.衣裳部屋からパピヨンが登場.
パピヨン「Let's go!」
ファルコン「Hanging!」
ファルコンはバニーの手を叩いた.バニーとエジソンはファルコンの手を叩き, ファルコンはバニーの頭を叩いた.そしてハングマンは出動した.

ハンギング

柏木から4千万を西岡は受け取っていた.そして柏木に注射が打たれた. 西岡は柏木を運び出させようとした.だが三下はファルコンとバニーに倒された. ファルコンは柏木を救出した.

情婦と乾杯する西岡のところに
エジソン「よく味わいなさいよ.それが飲み収めなんだから.」
エジソンが登場.西岡は日本刀を振り回した. かっこいいことを言った割にはエジソンは逃げ回ってばかり. そこへファルコンが登場.
エジソン「遅いよ.」
西岡はファルコンに殴り倒された.エジソンは逃げようとする情婦を捕まえ,
エジソン「待った,待った.あんた,パン食べる?」
エジソンは催眠ガスを「パン」から噴射したが
エジソン「いけね,俺もかかっちゃった.」
エジソンも眠りこけてしまった.
ファルコン「終わったぞ. (眠りこけたエジソンを見て)趣味でやってるとしか思えねえなあ.」
そういえば,チャンプオショウも同じ「失敗」をしていた.

その頃,パピヨンは夫の素行調査を依頼しに高村のところに現れた.
パピヨン「美人局はいけませんわよ.」
高村「え?」
パピヨン「それと暴力団と組んだ強請りもお断り.勿論,殺しも絶対に駄目.」
高村「キッサマ.」
高村はパピヨンに襲い掛かったが,あっさりかわされた.
パピヨン「お金は出しますから.」
パピヨンは例のバッグを投げ渡した.ボンと爆発し,高村は眠りこけてしまった.
パピヨン「お金に執着するのも考え物ね.」

マンションのソファに寝かされていた柏木は, テーブルの上に手紙がおかれているのに気がついた. B.G.M. は「ザ・ハングマンII」で使われていた曲だ.
パピヨンの声「明日午後2時,テレビを御覧下さい.あなたを欺き, 殺そうとした人たちに社会的制裁が下されます.追伸.女は弱くて強い生き物. 過去は忘れてしっかりと未来を見つめてください.」

悪党達は手錠と縄で空気入れにつながれており, 頭に風船をつけた格好で立たされていた. 悪党達は丸い銀色の蛇腹上の筒の前に立たされており, 筒の上には円盤が着いていた.
ファルコン「さて,これから始めるのはパーティーゲームだ. まず諸君らの上を見てくれ.」
円盤には注射器がついていた.
ファルコン「その注射針の中には諸君らの大好きな薬が入ってる. それも相当強力な奴がね.もし,ちくりとでも体に刺されば, その場でショック死は間違いないだろう. そして諸君らの背中にある蛇腹の中には現在空気が満杯に詰まってる. その圧力で天井を押し上げてるわけだ.もし,その蛇腹の空気を抜いたら, 当然,天井はその重さで下がってくる.後はわかるね?」
西岡「馬鹿な真似はやめろ.」
高村「何のためにこんなことを?」
ファルコン「何のため? それがわかるまで, 諸君らにはしばらく遊んでてもらおうか.」
ファルコンはリモコンを押した.蛇腹の空気が抜かれ,天井が落ちてきた. 当然,注射器も悪党達に迫る.
情婦「いや,やめて.」
高村も叫び声をあげた.西岡の部下も上を見上げた.
ファルコン「後は注射針が刺さるのを待つだけだが, そう,一つだけ諸君らが助かる方法を教えとこう. 諸君らが手にしてる空気入れは各自蛇腹につながっている. 一人,二人じゃ無理だが,五人で頑張れば, 何とか天井を押し上げることができると思うよ.」
パピヨン「スタンバイ.」
アンテナが準備された.その頃,悪党達は空気入れを押し始めた.
西岡「やめろ.こんなふざけた遊びにつき合うんじゃない!」
ファルコン「ほう,ただの遊びにしては危険すぎると思わないか?」
ファルコンはスイッチを押した.天井が落ちるスピードが上がった. 注射器が悪党達の風船を割り,悪党達は粉やケチャップだらけになった.
西岡「慌てるな.騒ぐんじゃない.馬鹿もん.」
西岡の風船が割れ,西岡の顔は真っ白になった.
ファルコン「ケチャップや小麦粉のうちはいいけどね, あんたらの体の一部にぐっと行ったら,はいそれまでよ.」
注射器が迫る.ついに西岡も空気入れを押し始めた. 天井が上がってきた.
ファルコン「やっとゲームを始める気になったかい. だけど,いつまで体力が持つかゆっくり見物させてもらうよ.」
疲労で悪党達の手が止まったが,注射器が迫ったのでまた手を動かし始めた.
西岡「やめろー.こんなゲームはもうたくさんだ.」
ファルコン「もうびびったのか.それじゃあ, 諸君らの犯罪を洗いざらい白状するんだなあ.」
西岡「くっそー.狙いはそこだったんか.喋るんじゃないぞ. 喋った奴は俺がぶち殺す.」
だが天井がかなり下がり,悪党達は中腰の状態.
部下A「喋る.何でも話す.だからゲームはやめてくれえ.」
パピヨンは秒読み開始.
パピヨン「5,4,3,2,1.キュー.」
エジソンがスイッチを押すと同時に「ON AIR」開始. 「川崎市・多摩区 渡辺 均さん宅」のテレビなどに,悪党達の姿が映し出された.
部下A「殺しをやれといったのは組長だ.命令に,命令に従っただけなんだよー. やめろー.」
部下B「やらなきゃ俺達が殺されるんだあ.だから,組長の命令でやったんだあ.」
西岡「黙れー.知らんぞー.俺は知らん.殺しも強請りも, ここにいる高村と真由美が勝手にやったんだあ.」
高村「嘘だあ.」
西岡「俺は関係ない.」
真由美「嘘よ,あんた.あたしはあんたと高村に誘われて. 組長のくせに一人だけいい子になろうなんて.」
西岡「黙れ.お前と高村がぐるになってやったことだ.俺は一切関係ない.」
これを柏木も見た.
真由美「嘘つき.責任とれ.組長のくせに.」
西岡「ぶち殺してやるぞ.」
真由美「嘘つきー.」
高村「その通りだ.金の分け前だって一番多いくせに.恥を知れ,恥を.」
西岡「やめるんだ.」
高村「何! くっそー.責任をとれ.」
西岡「お前ら,みんな,ぶち殺してやる.」
天井が止まって暗くなった.

また急に明るくなり,薔薇の花を持ったパピヨンが登場.
高村「あんたはいったい誰なんだ.」
パピヨン「闇に舞う蝶,パピヨン.安らかに眠っていただきます.」
薔薇の花から催涙ガスが噴射され,悪党達は再び眠りに入った. そして蝶の描かれたダンボールにつめられてビルの裏に置かれているのを, 警官が発見した.

事件解決して…

その晩. 例の事件の記事を毎朝新聞で読んで雅則はビールを飲みながら憤慨していた. 亭主が罠にはまったのを承知の上で妻が慰謝料を取ったのが, 不道徳だと憤慨していたのだ.蝶子は日頃冷たくされると仕返しもしたくなると, 妻達を弁護した.きっと柏木のことも思い出していたのだろう.
雅則「僕は君に冷たくなんかしたことなんてないもん.」
蝶子「冷たくしないのは確かだけど,あんまり熱くもならないわねえ.」
雅則「え?」
蝶子「ねえ,あなた.あたし達まだ結婚して6年目よ. もう少し,熱く愛し合う時間があってもいいんじゃないのかしら?」
だが雅則の答えは
雅則「そ,それどういう意味だい? 僕にはさっぱりわからんなあ.」
蝶子「うん.わかってるくせに.ねえ.」
雅則「いや,ホントにわからないんだよ.疲れてるからか, 頭の回転が悪くてさあ.そろそろ寝ないと明日仕事にならないなあ. おやすみ.もう.戸締りよろしく頼むよ.」
雅則は布団に入って寝てしまった. 蝶子は雅則が残したビールを飲んで憂さを晴らすのであった.

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東平 洋史 E-Mail: hangman@basil.freemail.ne.jp