第二十五回

ネズミ講のからくりを暴き出す.
痛快ダブルハンギング!! さようならありがたや節
(美人アナの恋がネズミ講に食い破られる!!)

脚本:中村勝行 監督:西村潔

ジャッキー,ネズミ講に引っかかる

タイガーキャブでジャッキーはあるクラブの勧誘をしていた. そのクラブに入会して1ヶ月1万円ずつ積み立てると, その金額に応じて好きなものが市価の半額で買えると言う. 例えば50万円のダイヤの指輪が25万円で買えるのだ. オショウは怪しみ,クレイも裏があるのではと言って取り合わない. ジャッキーは自分も会員になったと言い,みんなも一口乗らないかと勧誘した. オショウもクレイも乗り気じゃなかった.
サファリ「入会金取られるんだろう?」
ジャッキー「うーん,それがちょっと高いんだけどさあ.」
サファリ「高いって?」
ジャッキーは指を1本立てた.
クレイ「1万か?」
ジャッキー「馬鹿ねえ.10万よ.」
オショウ「10万!」
ジャッキー「ね,お願い.会員10人集めないとダイヤの指輪が買えないの. ねえ,みんなも一口乗ってよ.お願い,この通り.」
ジャッキーは手を合わせて懇願したが
オショウ「なるほど.そういう仕組になってるのかあ.」
サファリ「うん.こいつはちょっとした数字のマジックだぜ.」
怪訝に思うジャッキーにオショウが説明した. 10人会員を集めると100万円が入会金として会社に転がり込むことになる. で,この10人の会員がまた10人ずつ会員を集めれば会員の数は100人増え, 100人の入会金が手に入る.
オショウ「100人の入会金いくらになる?」
ジャッキーはこの単純な掛け算も出来ないらしく,指折り数えて計算し始めた. 小学校で習う計算もできないジャッキーを見て,オショウは呆れてしまった.
サファリ「1000万だ.」
それを受けてオショウが説明を再開. この計算で行くと莫大な金が会社に転がり込むことになる. 50万円のダイヤの指輪を半値で売っても痛くも痒くもない.
クレイ「はやい話ねえ,ネズミ講と同じからくりさ.」
ジャッキー「でもはやい話,私のお腹が痛むわけじゃないし, 会員さえ集めればダイヤの指輪が半額で買えるわけでしょう. それでいいじゃない.」
そう言ってジャッキーは会員になることを懇願した.
クレイ「な,サファリ,これマルチ商法に引っかかるんじゃないのか?」
サファリ「うーん,しかし,このパンフレットを見ると,表向きはあくまでも, 積立金による物品カット販売システムと言うことになってるからなあ. まあ,法律に触れるか触れないかすれすれの線って,とこだなあ.」
オショウ「ひょっとすると, これは近いうちに警察の手入れがあるかもしれないよ.」
ジャッキー「ねえ,そうなっちゃったら,あたしの入会金どうなっちゃうの?」
オショウ「知りませんよ.」
不安に思ったジャッキーが,その会社隆友ジャーナルへ行ってみると, 大勢の客が集まって騒ぎが起きていた.社長は外出中だという. 社員は客をたたき出してしまった. こうしてジャッキーの虎の子の10万円は騙し取られてしまった.

さて社長の横江は沼田と言う男と喫茶店で会っていた. 当分彼女には会えないだろうと伝えてくれと横江は沼田に伝えた. そして自宅に帰った横江に電話がかかってきた.すぐに会いたいと言うのだ. 横江は車で永池会計事務所へ行き,永池(田口計)に会った. 永池はまずいことになったと言った. ある筋からの情報によると警察が横江に任意出頭をもとめるつもりらしい. 永池は当分姿を隠すよう,横江に指示した. 永池は御殿場にある自分の別荘(登記上は別人名義)があるので, 当分はそこで骨休みしろと言った. 早速御殿場へ向かう横江.だが横江の車の前にジープが立ちはだかった. そして屈強な男達が出てきた.車から降りて横江は逃げたがすぐに追いつかれた.
横江「私をどうするつもりだ?」
答えの代わりに男(山西道広)が鉄砲で横江の頭をぶち抜いた.そして新聞は 「横江社長 姿をくらます」「被害金額 百数十億円!」「金の流れは 依然不明!!」 と報じた.そして隆友ジャーナル社は倒産した.

調査開始

オショウ「案の定だ.いつかはきっとこんなことになるって思ったけど, 思ったより早かったなあ.」
事務所で新聞を見たオショウはそう言った.
ジャッキー「ねえ,あたしの10万円,どうなるの?」
クレイ「そりゃ,もう,この際諦める他ないでしょう. 相手の会社が倒産しちまったんだからよー.」
ジャッキー「そんなあ.あたしの虎の子なのよ,あの10万円はー. もう,いやだー.」
そこへ電話が.
ジャッキー「私,もう働く気,しなくなっちゃった.クレイ,出てよ.」
仕方なく,クレイが出た.
クレイ「もしもし,タイガーキャブですが.ああ.カメレオンおばさん. 仕事ですかあ? はい.わかりましたあ.」
クレイはゴッドが直接会いたいと言っていたとサファリに伝えた.

ゴッド「みんなは元気にやっとるかね?」
サファリ「はあ.」
ゴッド「ふーん.お陰で世の中だいぶ頭の黒いネズミが減ってきよったんだが, 奴ら次から次へとまた増えてきよるんでねえ,うーん, まだまだ君達には頑張ってもらわんと困るんだが.」
サファリ「はあ.で,じきじきにお会いしての今度の仕事と言うのはどんな?」
ゴッド「いや,まあ,まあ.久しぶりに会ったんだ.な. 食事でもしてからにしようか.」
ゴッドはグラスに酒を入れた.
ゴッド「食前酒はどうかね?」
サファリ「なんですか,それは?」
サファリはグラスの脇に置かれている赤い液体について聞いた.
ゴッド「あ,これはスッポンの血だ.」
ゴッドはグラスにスッポンの血を足した.
ゴッド「これ飲むと元気出るぞ.」
サファリ「いや,私はもう,充分元気ですから. それに今日は車ですからアルコールはちょっと.」
ゴッド「車? なにを言ってるんだ,ん? ちょっと飲んだぐらいで車の運転できんようじゃハングマンと言えんぞ.」
サファリ「その台詞は以前にもお聞きしました.」
ゴッド「そうだったかな?」
サファリはうなずいた.
ゴッド「まあ,悪勧めしても行かんが…そうか.じゃあ, ちょっと舐める程度にするか.よし,じゃあ,食事の方だな.おい,栗原君.」
ゴッドは手を叩いた.で運ばれたのは
ゴッド「今日のメインディッシュはねえ,スッポン料理.」
サファリ「スッポン料理?」
ゴッド「スッポン料理,食べたことあるだろう?」
サファリ「はあ.中近東で変な亀は食べたことはあるんですが.」
ゴッド「うーん.日本のスッポン料理もおいしいよ.」
今日のメインディッシュはスッポン鍋だった.
ゴッド「ま,やりたまえ.ん? スッポンの首に花散る池の春.」
サファリ「蕪村ですか?」
ゴッド「いや,これはわしの句じゃがね.ああ,それ,精がつくぞ.」

食事が終わり,ゴッドは資料を封筒に入れてサファリに渡した.
ゴッド「今度の仕事はこれだ.」
サファリ「隆友ジャーナルの倒産事件ですね?」
ゴッド「この男が雲隠れをした横江社長だ.年は42歳. つい数年前までうだつのあがらんサラリーマンをやっとったんだが, とても信じられんねえ.こんな男が100億もの金を動かしたなんて.」
サファリ「と言うと?」
ゴッド「ずばり言って,この男の背後には黒幕がいる, とまあ私は見てるんだが.私のターゲットは本当はねえ, この男の背後にいる本物を炙り出すことになるんだが, まあ,一応この横江社長の人脈を洗い出してもらえんかな.」
サファリ「わかりました.さっそく調べてみましょう.」
ゴッド「うん.おう,ちょっと待った.せっかくだから,これ, みんなにも食わしてやってもらえんか.」
ゴッドは箱を風呂敷で包んだものをサファリに渡した.
サファリ「はあ.」
中で何かが動く音がした.

アジトに戻って箱を開けてみると,生きたスッポンが4匹も入っていた. ジャッキーはまだ入会金のことをぼやいた.サファリは指令を説明した.

その頃,永池はある老人(内田朝雄)に電話で報告していた.
老人「永池君.わしは君達の仕事には一切関与しておらん. また干渉する気もない.つまらんこと一々わしに報告するな.」
永池は電話を切った.そこへ隆友ジャーナル社の社員がやってきた. 耳に入れておきたいことがあると言うのだ.

止まっている1号車へオショウがやって来た. オショウは収穫なしとサファリに報告. サファリは隆友ジャーナルを調べてみたが,平社員が残務処理をしているだけ. 捜査当局が金の出入りを洗っているようだが, おそらく帳簿なんかは残ってないだろう.永池という顧問会計士がいたらしいが, 警察の調べによると永池は名義を貸しただけで, 経営には一切関わっていなかったそうだ.計画倒産としたら完璧だ. サファリは横江がすでに消されたかもしれないと睨んだ. オショウも同意見だった.

事務所ではジャッキーが未だに「10万円,私の10万円」と, うわ言のように繰り返していた.そしてテレビをつけてみると, TTVのニュースでキャスターの倉野まち子(城戸真亜子)が, 隆友ジャーナル社社長横江滋臣の行方は依然わからないと報じていた. さらに全国各地に被害者同盟が結成されていることも報じた. そして番組では独自の取材班を設けることを言って,この件の報道はおしまい. ジャッキーは,もう終わりなの,と不平を言った.

本番終了後,倉野まち子は彼から連絡があったかどうか沼田に聞いた. 彼とは横江のこと.横江が交際していたのは倉野まち子だったのだ. 沼田はそのことを公言しないほうがいいと忠告し, 午後からスケジュールが入ったことを伝えた. プロデューサの中野が闇金融業者の大物浜崎けんざぶろうとのインタビューの 約束を取り付けたのだ.

さてクレイはタクシー運転手仲間から聞き込みをした. そこでクレイは, 隆友ジャーナルの社長付き運転手だった小西を紹介された. 早速クレイは後で小西と会う約束をした.

さて永池の部下は沼田の素性を洗い出していた. タレントプロダクションのマネージャーだったのだ. 早速永池の部下(山西道広)は沼田を拉致.永池も同席して沼田を拷問した. そして永池達は沼田が横江と話した内容を聞き出した. 女のことを頼まれたのだ.

その頃,まち子は浜崎(内田朝雄)とインタビューしていた. 浜崎は闇金融の大立者だと言うのはマスコミのでっち上げだと言い, さらに隆友ジャーナルの件は良くないといけしゃあしゃあと答えていた.
まち子「私個人の考えとしましては, 横江社長が自分の意思で失踪なさったのかどうか, それが問題だと思うんですけれども.」
浜崎「それはどういうことかな?」
まち子「つまりですねえ,この事件の裏には黒幕がいて, その人をかばうために,あるいはその人の命令によって, 姿を消さざるをえなかったとしたら…」
浜崎「あんたも推理小説のフアンか?」
まち子は無言だ.
浜崎「ニュースキャスターが憶測で物を言っちゃ行かんぞ.」
まち子「憶測ではございません. 質問として浜崎さんにご意見を伺っているんです.」
浜崎「うん.質問の相手としては門外漢のわしでは的違いだな. これは警察の分野だ.さて,もうこの辺でいいかなあ.」

クレイは小西と飲んでいた. そして小西から横江のプライベートのことについて聞こうとした. 小西は酔っ払ってやたらと絡み,クレイは聞き込みに苦労したが
クレイ「いや,意外や意外,お忍びの相手と言うのはさあ, ニュースキャスターの倉野まち子なんだ.」
彼女は大学生などに人気の美人キャスターだった. クレイは事件には関係なさそうだと睨んでいた. ジャッキーは番組で事件を鋭く追及すると言っていたと言い, これをきっかけに10万円が戻ってくれかもしれないと言ったので, クレイに呆れられた.横江は他にプライベートで付き合いがなかったらしい.

永池達はまち子のことを知って呆れていた. だが永池はこれを利用する手を考えついた. 横江とまち子との関係を芸能記者に流すのだ. これはほっといてもスキャンダルになるのでマスコミの矛先もかわせるし, まち子の対応を見れば,まち子がどれだけ事件のことを知っているのかを, 見極めることができる.永池は沼田の始末も指示. 沼田はビルの屋上から落とされた.

日刊スポーツでハングマンは倉野まち子のマネージャーの沼田が 「ビルから転落死」したことを知った. そこでハングマンはまち子の周辺を洗うことにした. 永池の目論見通り,まち子に記者が殺到. それを1号車の中からサファリとオショウが見ていた. サファリは情報が流れるのが早すぎることに不審を抱いた. サファリは情報の出所を探ることにし,クレイにまち子を見張らせることにした.

テレビを見る永池達.
まち子「ですから,時期が来たら,きちっと全部お話します. もう今日のところはとにかくお帰りください.」
レポーター「なぜここでは話せないんですか?」
まち子「警察の捜査に支障を来たしてはいけないからです.」
レポーター「ということは, あなたも隆友ジャーナル事件に関与したっていうことですか?」
まち子「とにかく今はお答えできません.」
永池達はまち子が何か重要な情報を知っていると睨んだ. 横江から永池の名前くらいは聞いていたかもしれない.

まち子を見張るクレイ.まち子は沼田の妹に会い,線香を上げた. 沼田の妹けいこは警察から殺人の可能性も出てきたという電話があったこと, 沼田がこのままではまち子の身に何か起こるかもしれないと言ったことを, まち子に言った.まち子は心当たりがあるが,ニュースキャスターと言う立場上, 証拠もなしに迂闊なことは言えないと答えた.だが警察へ行って何もかも話す, と言って沼田の家を出て行った.そこへ横江を襲ったジープが登場. まち子ははねられてしまった.クレイはまち子を介抱しようとしたが, 即死だった.そこでジープを追いかけた. だがクレイは待ち構えていたジープの男達に襲われた. そして拳銃で永池の部下から襲われたので,逃げられてしまった. クレイはそのことを無線でサファリに報告. サファリの方はトップ屋崩れの森口と言う男が浮かび上がったと言った. サファリとクレイは森口を捕まえに行くことにした.

その後,サファリが国立競技場の近くを走っていると, 野球のキャッチャーの格好をした?女が飛び出して,車を強引に止めた.
サファリ「ちょっと,危ないじゃないですか!」
?女の背番号は18番で背中にはOKUDAと言う名前が書かれている. そしてプロテクターとマスクをつけ,左手にはミットまでしていた. ?女は強引に乗り込んだ.
?女「間一髪セーフ.」
サファリ「あ,あのう,これ回送車なんですけど.」
?女「乗っちゃえば,こっちのもんよ.」
?女はミットを叩いた.
サファリ「参ったなあ.で,どちらまで?」
?女「神宮球場.国立競技場と間違えちゃった. ママさん野球の大会があるの.」
サファリ「ふーん.お客さん,キャッチャーですか?」
?女「あらあ.あたしはただの主婦よ.」
サファリ「え?」
?女「キャッチャーってレジで働く人でしょう.」
サファリ「あれはキャッシャー.」
?女は野球の事を知らないらしい.サファリは呆れて答えた.
?女「あー.そうだったわねえ.」
サファリ「お客さん,本当に野球やってるんですか?」
?女「失礼ね.こう見えても野球歴は10年になるのよ.」
サファリ「そうですか.」
そこでサファリは?女をからかうことにした.
サファリ「じゃあ,ハンディはシングルでしょうね?」
?女「え? ええ.」
サファリ「ハーフは40台で回るんでしょ?」
?女「そう.そうね.」
サファリ「ドライバーは250ぐらい飛ぶんでしょ?」
?女「ま,240ってとこかしらねえ.」
サファリ「話が合いますね,カメレオンおばさん.」
?女はマスクとメガネを外しながら言った.
?女「あらあ,おわかりになりましたの?」
サファリ「わかりますよ.今のはね,ゴルフの話なんです.」
?女「意地が悪いのね,結城さんって.はい, それでは皆様の経費とギャラでございます.どうぞ.」
サファリ「はい.」
?女「ま,ゴルフもせいぜい勉強しておきますから,後はよろしく.」
そう言って?女は去って行った.

車に乗って帰ってきた森口(山西道広)に1号車の中からクレイが声をかけた.
森口「貴様.」
クレイ「さっきはどうもお世話様でした.」
森口は拳銃を出したがハングガンをくらい,クレイとサファリに倒された.

サファリがゴッドに報告する.
ゴッド「結局横江と言う男はダミーに使われとったんだなあ.」
サファリ「ええ.すでに殺されていましたよ.トップ屋崩れの森口という男, この男が殺人の実行犯です.それに横江社長の腹心の部下で平瀬と言う男, それからもう一人,日本橋で会計事務所を経営している永池です.」
ゴッド「永池? あー,あー,あー.あの男か.」
サファリ「ご存知なんですか?」
ゴッド「ああ.2年程前にもなあ, マルチ商法紛いの手口でレジャークラブの会員集めをして, 警察の厄介になったことがあるんだ.」
ゴッドはファイルを見ながらそう言った.サファリは懸念していることを述べた.
サファリ「どうもこの3人の背後にはとてつもない大物がいるようなんですが, 確証がつかめません.」
だがゴッドはゴーサインを出した.
ゴッド「よし.その3人,ハンギングだ.」

サファリ「こちら1号車.緊急トラトラトラ.」
タイガーキャブの車は産業ロボットの操作により, 緑ナンバーから白ナンバーに変えられ,ボンネットから虎のシールがはがされ, 虎のエンブレムが屋根からはずされ,色も塗り替えられた. そしてハングマンは出動した.

ハンギング

クレイは平瀬に声をかけた.平瀬は拳銃を出して逃走したが転んでしまい, 結局クレイに倒された.ハングマンに脅された平瀬に永池は呼び出された. そして事務所から出てきた永池はサファリのサンダーブロウに脅され, 連れ去られた.

沼田けいこのところへ手紙が届けられた.
サファリの声「あなたのお兄さんを殺した犯人に社会的制裁が加えられます. 次の日時,場所へ是非おいでください.」
日時は明日の午後1時から.場所は「歌舞伎座そば 銀座公園」だ. 晴海通りの万年橋のそばにある公園だ.

3人は最初からさらされていた.椅子に鎖で縛り付けられており, 各人の前にはマネキンが二体ずつ,レールの上の台車に載せられていた.
平瀬「俺達をどうしようって言うんだ?」
森口「鎖をはずせ.」
平瀬「お前らなにもんだ?」
森口「くっそう.」
その様子を沼田けいこも見た.レールの先にはドリルがついていた. スピーカーからサファリの声が響く.
サファリ「さて,これからハンギング・パーティーを開始する. 貴様達の悪事を洗いざらい告白するんだ.さもないと, 脳天に電気ドリルが風穴を開けることになるぞ.」
まず前に置いてあったマネキンがドリルの方へ動き,穴があいた. なぜかマネキンの頭部が爆発.
平瀬「先生!」
永池「うろたえるな! これはただの脅しだ.いいか,喋るんじゃないぞ.」
だがもう一体のマネキンと一緒に悪党達の椅子も, ドリルの方へ向かって動き始めた.
森口「奴ら,本気だぜ.」
平瀬「止めろ.止めてくれえ.」
永池「黙れ.黙らんかあ.」
ついにマネキンにドリルが刺さった.そして
森口「しゃ,喋る.喋るからドリル止めろー.」
平瀬「今度の倒産事件を仕組んだのは,この,この永池だ. 横江社長を殺させたのもこの永池だあ.」
マネキンに穴が開けられる最中,
永池「知らん,知らん.嘘だ.俺は何も知らん.」
平瀬「助けてくれえ.俺達は永池の指図で動いてただけなんだあ.」
森口「そうなんだあ.沼田と言う男を殺したのも,倉野まち子を車ではねたのも, みんな永池の指図だったんだあ.ああ.」
ついにドリルの先がマネキンを突き通して悪人達にも迫ってきた.
平瀬「はやく止めてくれえ.」
森口「頼むから止めてくれえ.」
サファリ「よーし.お前達のドリルは止めてやる.」
平瀬と森口のドリルは止まった.それでも平瀬と森口は激しく息をしていた.
サファリ「永池.最後に一つだけ聞こう. 会員から集めた百数十億の金はどこに流れたんだ.」
永池「喋る.喋るから止めてくれ.止めてくれ.」
ドリルが止まった.
永池「スイス銀行の浜崎先生の口座に振り込んだあ.」
オショウはみんなに言った.
オショウ「ギルティーだな.」
ジャッキー「もちろん,ギルティー.」
サファリがスイッチを入れると悪党達に赤い液体が噴射された. パトカーと救急車が来るのを見てオショウとクレイは去って行った.
ジャッキー「ちょっと待って.一つだけ聞いていい?」
サファリ「ああ.」
ジャッキー「あたしの10万円どうなっちゃうの?」
サファリ「え?」
ジャッキー「だってあれ,あたしの虎の子の10万円なんだもん.」
サファリ「スイス銀行まで取りに行くか?」
ジャッキー「そんな,やだー.」
ジャッキーは駄々をこねた.
サファリ「わかった.じゃあ,俺が立て替えといてやるよ.」
ジャッキーは大喜び.
ジャッキー「やった.だからサファリって男なのよねえ.」
抱きついたジャッキーに
サファリ「虎の子にはかなわないよ.さあ,乗った,乗った.」

そして…

「民由党河村代議士激励会々場」の受付の前でゴッドは浜崎とすれ違った. 浜崎はゴッドを睨みつけた.しばらく二人は睨みあった. そしてゴッドは外へ,浜崎は中へ入って行った.

後半へ続く. 「ザ・ハングマン4」へ 「全話のあらすじ」へ 「全話のキャスト」へ 「緊急指令トラトラトラ」へ 「私の好きなテレビ番組」へ 「touheiのホームページ」へ戻る.


東平 洋史 E-Mail: hangman@basil.freemail.ne.jp