第二十三回

金塊密輸組織を吊るす.
美人レジが金塊密輸の手先にされる!

脚本:中村勝行 監督:帯盛迪彦

ペーパームーンと言う喫茶店で男が待ち合わせをしていた. そこへ電話がかかってきた.電話はその男へのものだった. 電話を取ったレジ係が「今夜10時,ここへ.」と言ってメモを男に渡した. 男は指定された場所へ行った.そしてボス(名和宏)と会い, 金塊取引を行なった.男はボスの黒川に仕事を降りたいと申し出ていた. 黒川は申し出を受け入れる…ふりをして始末を部下(沖田峻一郎)に命じた. 翌日,男は首吊り死体となって発見された.

調査開始

サファリは多摩川の堤防を走っていた.そしてサファリは釣り竿を出し, 川原で釣りをする…ふりをして多摩川の中に沈められていたビクから, ゴッドの指令書を受け取った.

クレイがタイガーキャブに戻ってきた. クレイがジャッキーにサファリの居場所を聞くと, ゴッドからの指令書を取りに言ったとのこと.オショウはというと
ジャッキー「本山で大奉曳があるんだって.」
クレイ「なんだそりゃ?」
ジャッキー「よくわからないけど坊さんが集まってコンパでもするみたいよ.」
そこへサファリが戻ってきた.

アジトでサファリが指令を説明した.殺されたのは松浦ゆうじ46歳. 貨物船の機関士だった.警察はノイローゼによる発作的な自殺と断定したらしい. だがゴッドの資料によると偽装殺人の疑いがある. この1年間に貨物船の船員が4人も自殺もしくは事故死していた. 死んだ男が全て船員だとすれば密輸がらみに違いない.問題は背後関係だ. そこで自殺した松浦の交友関係を洗ってみることになった.

サファリは松浦の後輩と称し,松浦の未亡人と会った. 遺書は全くなく,港からこれから帰るという電話があったのが, 最後の言葉になった.松浦は航海が終わるとまっすぐ家に帰ってきて, 娘の顔を見るのをいつも楽しみにしていた. だが一度だけ喫茶店から電話があったという.

クレイは船員仲間や学生時代の友人など,ありとあらゆる人物を当たったが, あまり収穫なし.だが一つだけ引っかかることが見つかった. 松浦は5年前に家を買ったが,そのローンの返済などで, 経済的には決して楽ではなかった.ところが,この数ヶ月急に金回りがよくなり, 借りた金の半分近くを返済していた.ところが金の出所はつかめなかった. 銀行口座に振り込まれたわけでもないし,郵送された形跡もない. 現金の受け渡しがあったのなら必ず誰かと接触しているはずだが, その気配もつかめなかった.

さて黒川はボス(神田隆)に松浦の後釜が見つかった件を報告していた. 鉱石運搬船の二等航海士で須賀と谷原が交渉中だ. ボスは金で転ぶ連中は信用できないと言ったが, 黒川はその男の決定的な弱みを握っているので大丈夫だと答えた.

須賀達はその二等航海士が覚醒剤の常習者であることをネタにして脅していた. その頃,サファリとジャッキーは問題の喫茶店に来ていた. 午後2時になった.電話がかかってきた.電話はクレイからのもの. クレイは松浦と言う男を呼ぶように言った.レジ係は松浦を呼び出したが, 該当者なし.クレイは電話をすぐに切ってしまった.サファリは, 松浦と言う名前を聞いた途端にレジ係の反応が変わったことを見逃さなかった. それを聞いたクレイは感心した.喫茶店のレジ係だったら, 不特定多数の人間と接触するのでつなぎにはうってつけだ. サファリはレジ係を見張ることにした.

また喫茶店に電話がかかってきた.男は黒川からのもの. 広瀬が松浦の後釜に決まったことと今月分のギャラを振り込んだことを伝えた. そこへマスターがレジ係の良子に声をかけた. 4時だからもう帰っていいと言うのだ.出てきた良子をサファリが追跡. 良子は関東中央病院に入って行った. 良子は集中治療室で治療を受けている男の世話をした. そして出てきた良子にサファリが松浦のいとこイワキと称して声をかけた. サファリは良子が松浦を知っているはずだと聞いたが,良子は白を切った.

タイガーキャブでサファリは良子の弟が入院していることを報告. バイクの事故で重傷を負って1年近くも入院していた. その治療費を稼ぐために組織のつなぎ役になったのだろう. だが弟の容態は芳しくなく,意識を回復する見込みはない. 植物人間のまま死ぬのを待つだけだ.彼女にとってはたった一人の肉親だから, 治療費を稼ぐために頑張りつづけるだろう. クレイは,それなら良子が口を割るわけがないと考えたが,他に手がかりはない. サファリは良子を徹底的にマークすることにした.

ジャッキーがペーパームーンにやって来て金を払った. その合間に盗聴機を仕掛けた.早速1号車で盗聴開始.3時になった.
広瀬「広瀬だけど,連絡なかったかい?」
良子「ありました.今夜9時,ここへ.ありがとうございました.」
サファリはジャッキーに出てきた男,すなわち広瀬を尾行させた. ジャッキーは道を聞く振りをして発信機を広瀬のポケットに入れた.

さてサファリは保険の調査員と称し,良子の弟の事故の現場を調べた. その後,サファリは良子に会い,事故の目撃者がいたことを話した. 彼の話によると弟をはねたトラックは意図的に弟をはねようとしたらしい. つまり,良子を組織の連絡係にするために狙い撃ちにされた可能性がある. 良子は,電話の相手が誰かは知らないが密輸をしていることは確からしい, と話した.松浦は運び屋で広瀬は後釜. 広瀬は今夜9時に買い付けのための資金を受け取ることになっている. それをアジトで聞いたクレイは,そこで捕まえようと言ったが, サファリはどうせ雑魚ばかりだから無駄だと答えた. それより一味の黒幕を探るのが先決だ.金の密輸には莫大な資金がかかる. 一味の背後にはかなりの大物がいるはずだ. そいつの正体を見極めないことには迂闊に手が出せない.

9時になった.広瀬は須賀達から1億5千万を渡そうとした. そこへサファリが登場.1億5千万を奪って逃げた. 拳銃を向ける谷原にはトマトケチャップ入りの弾をお見舞いした. 早速黒幕に黒川から電話が入った.黒川は良子が怪しいと考えた. 翌日.病院から出てきた良子は弟が死んだことをサファリに告げた. サファリは一味が良子を狙っていることを伝え, 一味をおびき寄せるためにとりあえず店に戻れと言った. サファリを見つけた須賀と谷原が襲い掛かってきた. サファリはわざと金を奪わせた. 金の入ったアタッシュケースには発信機が仕込んである. これにより,サファリとクレイは一味が銀竜会のものであることをつかんだ. 黒川は金を取り返し,ボスに報告.ボスは直接持ってこられては困ると答えた. そして黒川は須賀達に良子の始末を命じた.

サファリは銀竜会を見張ることを命じ,1号車に戻った. すると,いつのまにかウェディングドレスを着た?女が乗っていた.
サファリ「ちょ,ちょっと,そんなところで何やってるんですか?」
?女「はやく,はやく車を出してください.」
サファリ「え?」
?女「あたし,結婚式場から逃げ出してきたんです.」
サファリ「何ですって!」
?女「嫌なんです.親が決めた相手なんて.運転手さん, 遠いところへ連れて行ってください.」
サファリ「し,しかし.」
?女「お願いです.見つからないうちに早く.」
サファリ「そんなこと言われても…はい.」
サファリは車を発進させた.
サファリ「お客さん,行き先だけでも決めてくださいよ.」
?女「あのう,運転手さん,お一人なんですか?」
サファリ「は?」
?女「奥さんいらっしゃるんでしょうね,きっと.」
サファリ「い,いえ.まだ独身です.」
?女「そう.あたし,運転手さんみたいな人好みのタイプなんです.」
サファリ「え?」
サファリは振り返った.
?女「あたしと結婚してください.」
サファリ「ま,まさか.」
やっと気がついたサファリは車を止めた.?女はベールを取った.
サファリ「やっぱり.なんですか,その格好は!」
?女「あたし,一度こういう格好がしたかったんですの.」
?女はスーツケースの中から風呂敷包みを出した.
?女「これが皆様の行動費とギャラ,それにゴッド様からのお土産です.」
事務所に帰って風呂敷包みを開けてみると仙台名産の笹蒲鉾も入っていた.
ジャッキー「ふーん,食べ物なんだ,これ.」
ジャッキー,物を知らなさ過ぎるぞ.そこへクレイから連絡が入った. なんと宅急便で1億5千万円を送ることになったのだ. 早速クレイが宅急便のトラックを追跡.保科栄次郎の屋敷についた. 保科は大手不動産会社の社主で常に政界との癒着を噂される政商だ. おそらく金の密輸に手を出したのも裏金作りが目的だったに違いない. 標的は決まったと言うクレイ.
サファリ「いや,その前にまだやることがある.」

その晩.良子が一人で歩いていると須賀達に襲われた. そこへサファリが登場.須賀と谷原を倒してしまった.
サファリ「緊急指令トラトラトラ.」
タイガーキャブの車は産業ロボットの操作により, 緑ナンバーから白ナンバーに変えられ,ボンネットから虎のシールがはがされ, 虎のエンブレムが屋根からはずされ,色も塗り替えられた. そしてハングマンは出動した.

ハンギング

クレイは銀竜会の黒川組に乗り込み,組員を殴り倒し,黒川も倒した. そして保科はクラブからハイヤーで出て行ったが,突然,車が止まった.
保科「どうしたんだ?」
答えの代わりにサファリが催眠ガスを噴きかけた.

悪党達4人が縄で縛られて座らせられていた.
サファリ「あんた達,フランス映画で恐怖の報酬って知ってるかな?」
クレイ「主役はイブ・モンタンで, 確かリメイクのときの監督はウィリアム・フリドンキンだったかなあ.」
黒川「そんなもん,知るか! 映画の解説なんてどうでもいいんだ. 用件,早く言え!」
ジャッキー「随分せっかちな人ね.」
サファリ「じゃ,ま,かいつまんで説明しましょう. その映画ってのはトラックでニトログリセリンを運ぶ話なんだ.」
サファリはニトロの入った瓶を手に持った. マイトが持っていたものよりもかなり大きい瓶だ.
クレイ「ここにもあるけどさ,ニトロの威力ってのは凄いんだぜ. ま,少し良く見ててもらおうかなあ.」
クレイは瓶からスポイトでニトロを吸い上げ,小瓶に移した. そしてクレイは小瓶の蓋を閉め,紙縒りを小瓶に結びつけ, 天井から吊るされたフックに吊るし,小瓶を揺らせた.
サファリ「これを使って, あんた達に恐怖の報酬の主役を演じてもらおうってわけさ.」
保科「なんだって!」
サファリ「ジャッキー,水だ.」
ジャッキー「はい.」
ジャッキーはニトロの小瓶の上から水をたらした. そしてサファリ達は外へ出てしまった. 紙縒りは破れ,ニトロの小瓶は床に落ちて爆発した.

翌朝.良子のところへ手紙が届いた.
サファリの声「あなたの弟さんを殺害した, 犯人共のハンギング・パーティを開きます.是非ご出席下さい.」
日時は10月27日土曜日午後3時から.場所は新宿区新宿 中央公園.

新宿中央公園で,悪党達はシーソーに載せられていた. そして悪党達は小瓶のぶら下がった柱に掴まっていた. 野次馬達が集まってきたが,
クレイ「ニトロが爆発するかもしれません.危険です.下がってください. 只今,爆発物処理班がこちらに向かっております.」
サファリの声がスピーカーから響く.
サファリ「これから君達に恐怖の報酬の実体験をしてもらおう. 諸君の頭上にぶら下がっている小瓶は言うまでもなくニトロである. その小瓶を結んでいる紐は紙の紙縒りだ. さらに諸君の頭の上に散水用のホースがセットしてある. このホースから水が撒かれると,当然紙の紙縒りは切れ易くなる. いつ切れるか保証の限りではないが, これによってニトロの小瓶が落下したら結果は明白. 諸君の体は木っ端微塵に吹っ飛ぶことになる.」
黒川「動くなー.」
保科「静かにしろ.落ち着くんだあ.」
サファリ「さて,命が惜しかったらホースから水が出る前に, 貴様らの悪行を洗いざらい喋るんだなあ.」
谷原が喋ろうとしたので黒川が口を押さえた. 須賀も喋ろうとしたので保科が口を押さえた.
サファリ「よーし.水をぶっ掛けるぞ.」
散水開始.やめてくれと叫ぶ悪党達.ついに
須賀「俺達は保科社長に頼まれて金の密輸をしてたんだ.」
それを良子も聞いた.
保科「黙らんか,須賀!」
谷原「船乗りに金を出させて金の運び屋に仕立てていたんだあ.」
サファリ「良子さんの弟をトラックではねようとしたのも, 貴様らの仕業なんだな?」
須賀「組長の命令でやったんだあ.女を組織に引き入れるためになあ.」
黒川「お,俺は何にも知らんぞ.知らんぞ.」
須賀「やめろー.水止めろー.」
保科「やめろ.やめてくれー.」
谷原「話聞いてくれー.」
黒川「助けてくれ.やめてくれー.」
ついに小瓶の一つが落ちた.だが
ジャッキー「ばーか.それただの水だもんねー.」
保科「騙したな.ちきしょう.」
保科は小瓶をたたきつけた.
クレイ「さーて,判決は?」
ジャッキー「当然.」
サファリ「ギルティー.」
シーソーの軸が爆発.悪党達は地面に叩き付けられてしまった. 救急車とパトカーがかけつけ,悪党達を連れ去るのを見て, 野次馬と入れ替わりにハングマンは去って行った.

「ザ・ハングマン4」へ 「全話のあらすじ」へ 「全話のキャスト」へ 「緊急指令トラトラトラ」へ 「私の好きなテレビ番組」へ 「touheiのホームページ」へ戻る.


東平 洋史 E-Mail: hangman@basil.freemail.ne.jp