第十九回

偽装殺人に隠された真相を暴く.
未亡人の毒針が替え玉相続人を刺す!

脚本:田上雄 監督:帯盛迪彦

?女はゴッドの命令で成田空港へ,ゴッドの知人の息子, 坂田健一を迎えに行った. 「Welcome Mr. Kenichi Sakata」と書かれた大きな紙を手に持ち, ?女は英語を練習していた.余談だが,?女は変な扮装をしておらず, 着物を着ていた.
?女「ハウ・デゥ・ユウ・デゥー・ミスター・サカタ. アイ・アム・ミツヨ・クリハラ.ア・セクレ…セクレタリー…」
そこへ
健一「神山さんのお使いの方ですね? 坂田健一です.どうぞよろしく.」
メガネをかけた青年が現れた.
?女「ああ,こちらこそ.私,栗原美津代でございます. 日本語がおできになるんですね.」
健一「8歳までこちらにいましたし, 向こうでも日系の人とお付き合いがありましたから.」
?女「ああ,左様でございますか.お車用意してございます.どうぞこちらへ.」
そこへ
場内アナウンス「お呼び出しを申し上げます. 日本航空112便でアメリカからのご到着の坂田健一様,坂田健一様, お出迎えの方がお見えになりましたので, ロビー北口売店の前までお越しください.」
?女は他に誰か出迎えに来る予定があるのかと聞くと, 健一は一応父親の会社に連絡したと答えた. とりあえず,健一は売店へ行くことにした.?女はとりあえず待機.

健一は京成の駅前の売店へ行った.物陰から男(堀田真三)が健一を覗いていた. 男は健一の鞄に「K. SAKATA」と書かれているのを確認すると健一に近づいた.
健一「あなたですか,僕を呼び出したのは?」
男「いえ.私は連れを探しています.」
そう言って男は去って行ったが,去り際に持っていた傘の先で健一の足を突いた.
健一「痛い!」
男「こりゃ,失礼.」

健一は?女のところに戻った.出迎えの人物が現れなかったからだ. 一方,男は京成の駅の前で傘の先を外していた. 中には注射器が仕込まれていたのだ.そして健一は?女の車に乗ろうとしていた. ?女はゴッドが健一に会いたがっていたので, このままゴッドの屋敷へ健一を連れて行きたいと言った. だが健一は死んだ父親の屋敷へ行き,未亡人と会い, 遺産をできるだけたくさん手に入れるための交渉をすると答えた. 遺産を難民救済事業に役立てたかったからだ. 健一は翻訳の仕事の傍らボランティアをしていた. と,ここまで話したところで健一は胸を押さえて苦しみだし,死んでしまった.

調査開始

というわけで,この事件が仕事になった. 健一の死ぬときの症状は心臓麻痺に似ていたが, ゴッドの主治医が解剖して調べた結果, 強力な毒物によるショック死の疑いがあることがわかった. 健一の大腿部に針の先で突いたような後があった. 空港のロビーで呼び出された時に体内に毒が注入されたものと考えられる. 坂田健一の年齢は25歳.17年前,離婚した母親とともにアメリカに渡り, 一度も帰国したことがなかった.健一の父親は1ヶ月前に死んだ津山産業の社長. 津山健太郎は代々の名家の生まれで資産は十数億.生前はゴッドの親友だった.
ジャッキー「要するにゴッドは親友の息子の仇討ちをあたし達にさせようって, 言うのね.」
健一の死体はゴッドが理事長を務める病院に安置してあるが, 死亡の事実は公表されていなかった. これは健一の身代わりを仕立てて津山家に潜入させるための工作だ.
クレイ「で,誰,身代わりにすんだよ?」
クレイ以外の3人はクレイをじっと見た.
クレイ「俺?」
サファリ「年恰好から考えて他にはいないだろう.」
クレイは頭をかき,健一の写真の映されたスクリーンの脇に立った.
クレイ「顔なんて全然似てないじゃない!」
サファリ「殺人者が空港で呼び出しをかけたのはなぜだと思う?」
オショウ「狙う相手の顔を知らなかった.な.」
サファリ「そのとおりだ.おそらく殺人を依頼した者も彼の顔を知らないんだ. 頼んだぜ.」
クレイ「いや.似てます?」
オショウ「メガネかけりゃあ,何とかなるだろう.」
クレイは「似てる?」と繰り返し,繰り返し言った. 怪しいのはまず津山の未亡人けいこ33歳.5年前に津山と再婚. 健一を除けば遺産を独占できる立場にある.もう一人は, 津山産業の副社長で津山とは腹違いの弟に当たる安永かつお(川辺久造). 安永は次期社長の最短距離にいるだけに, 健一の帰国を歓迎しなかった可能性がある.

さてけいこが「健一」が入院している病院に車でやって来た. 受付で坂田健一が入院しているとけいこは聞くが,受付係は怪訝な顔. すかさず医者に化けたオショウが登場した.
オショウ「私の患者さんです.どうぞ.」
オショウは「健一」の病室へ案内した.
オショウ「あ,申し送れました.私,こういう者です.」
オショウは名刺を渡した.名刺には「厚生大臣諮問機関 国立心臓衛生研究所 研究所長 医学博士 辻村雄三」と書かれていた.
けいこ「国立の研究機関の所長さんがなぜ?」
オショウ「うん.実はここの院長が大学の後輩でねえ. ま,特にと頼まれて,わざわざ出向いたと,まあ,こういうわけですわ.」
オショウは物凄い出任せを言ってごまかした.

その頃,「健一」の病室に入院していた患者を散歩と称して, 看護婦に化けたジャッキーが車椅子に乗せて連れ出した. 入れ替わりにクレイが入り込んだ.そこへオショウとけいこが登場.
クレイ「どうも.」
オショウは白々しく,元気を回復したから明日は退院かなあ,とクレイに言った. けいこは慇懃にクレイに挨拶し,クレイも挨拶した. クレイは津山とけいこが25歳も年が離れていたのに何故結婚したのかと聞いた. けいこは愛していたから結婚したと言った.クレイは遺産の件を持ち出した. けいこは自分自身は構わないと言ったが,親戚にも相談しないと, と言ってごまかした.その頃,ジャッキーはけいこの車に盗聴機を仕掛けた. 病院から帰るけいこは車内電話からどこかへ電話した.
けいこ「もしもし.あたくしよ.今病院から帰るところ. うー,うん.とんでもない.すっかり元気になっちゃって.そう. 死ななかったのよ.明日退院するんですって.当然うちへ来るでしょう. そうね.それじゃ,また連絡するわ.」
以上の会話をしっかりクレイとオショウも盗聴して聞いていた.
クレイ「なかなかやるもんだなあ,あのおっかさん.」
オショウ「それにしても電話の相手は誰かな,これ.」
クレイ「それより,早いとこずらかろうぜ.」
オショウ「おー.人の病室借りてるんだもんな.」
とそこへ女医…に化けた?女が登場した.?女は全身青ずくめの手術服を着て, 青い帽子を被って青いマスクをして登場. 手には手術道具を入れる銀色の丸い道具入れを持っていた. 虚を突かれたオショウとクレイは?女だと言うことに気づかず,大慌て. ?女は道具入れを置き,中から出したはさみを持ってクレイに近づいた.
クレイ「ちょ,ちょ,ちょっと待って.」
オショウ「あれ? あんた,カメレオンおばさん! おい.」
クレイ「すっかり引っかかっちゃった.」
?女は大喜び.
?女「引っかかりました? まあ,そう言っていただきますと, あたくしも苦労のしがいがあるものでして.」
?女は道具入れから包みを出した.ご丁寧にも包みは油紙で包まれており, 二つあった.
?女「皆様のギャラと経費でございます.」
オショウ「今回多いんじゃないか?」
クレイ「あ,今回はちょっと色がついてますねえ.」
?女「それだけゴッド様の期待も大きいということでございます.」
調子に乗った?女は偉そうにクレイにこう言った.
?女「しかし,あたくしの変装ですと皆さん引っかかりますけど, あなた,ちょっと工夫が足りませんわねえ.メガネかけただけじゃ, ございませんか.正体見抜かれないように気をつけて頂戴よ. ご成功を祈っております.」
?女は去って行った.

津山産業本社にはサファリが「月刊レッドタイムズ」の記者と称して乗り込み, 安永に会った.サファリは健一殺人「未遂」が毒によるものであることと, 健一が次期社長候補の対抗馬に成り得ることを指摘. 安永が主犯ではないと言い出した.安永はきっぱりと否定した.

アジトでサファリ達がクレイに坂田健一に関する知識を叩き込んでいた. 坂田健一の母親の名前は坂田道代で昭和7年3月2日生まれ.
サファリ「じゃ,次.問題217.母親の死亡年月日は?」
クレイ「昭和47年7月…14日!」
コンピュータのブザーが鳴った.
サファリ「24日だ.お前は頭が悪いってさ.」
クレイ「細かいところまで覚えてられるわけねえだろうがよー.」
オショウ「細かいところまでしっかり覚えなきゃ偽者だって,すぐばれちまう!」
ジャッキー「そうよ.すっかり暗記するまでお夜食はお預け.」
クレイ「こんな仕事引き受けるんじゃなかったよ.」
クレイはぼやいた.
サファリ「ま,クレイ,吸えよ.」
クレイはサファリが出したタバコを一本取ろうとした. だがサファリはタバコをしまって,こう言った.
サファリ「健一は健康のためにタバコは吸わないんだよ.だが酒は飲む.好みは?」
クレイ「バーボンだろう.」
サファリ「じゃあ,これは誰だ?」
サファリは一人の老女の写真を映し出した. クレイは自棄になって答えた.
クレイ「雨宮ウメ.津山家に50年前から住み込んでる妖怪…じゃねえや, 婆やだろ.」

特訓が終わり,クレイは津山家に乗り込んだ.
ウメ「坊ちゃま,おかえりなさいまし.」
ウメは大喜びで出迎えた.だが抱き合った途端,ウメは怪訝な顔をした.
クレイ「何?」
ウメ「いえ.昔の面影がまるでございませんので.」
クレイ「それは当たり前だよ.長いこと外国で暮らしてたんだもん.」
ウメ「ああ,そうでございましたね.やっぱりハンバーグだの, ビフテキだのばっかり召し上がってますと, お顔つきが野蛮になるんでございますかね.」
クレイ「そりゃないよ,婆や.」
クレイは苦笑するしかなかった.クレイはウメの案内で中に入った. 白々しくけいこも出迎えた.クレイは2階の自分の部屋に入った. クレイは上品な言葉遣いをしなけらばならないので疲れていた. おあつらえ向けにバーボンが置いてある.クレイは飲もうとしたが, ピンと来て魚の泳ぐ水槽にバーボンを入れてみた. しばらく経つと魚は底に沈んでしまった.
クレイ「なんまいだぶ.」
さらにドアの外に気配を感じたのでクレイはドアを開けてみた. 外にけいこがいた.けいこは客が来たので呼びに来たという. 早速クレイは客である顧問弁護士の森下と居間で会った. 森下は遺産相続の件で来たと言う.森下はクレイと二人きりで会いたいと言い, けいこを部屋の外へ出した.
森下「健一さん.実を言いますと,お父様は遺言状を残されているんです.」
クレイ「遺言状?」
森下「四十九日の法要で関係者が全員集まった席で開封する予定ですが, 全ての財産を奥様に譲ると言う内容です.」
クレイ「全ての財産を? ホントですか?」
森下「あたしが立ち会って作成したんです.間違いありません.」
クレイ「しかし,僕にも遺産相続の権利が.裁判で争えば勝てんのよ.」
森下「いやあ,無理でしょう.あなたのお母様は離婚の際に相当の額の慰謝料と, あなたの養育費をもらってますし.悪いことは言いません. 遺産は諦めてアメリカにお帰りになった方が懸命ですよ.」
上からけいこが立ち聞きしていた.
クレイ「せっかくのご忠告ですが,僕は帰りません. 世界中の飢えや貧困で苦しんでいる人達のために絶対諦めたりはしません.」

けいこは森下を車に乗せて出て行った.クレイはリンゴを持って言った.
クレイ「あーあ.真面目先生の芝居も楽じゃねえな.」
クレイは皮もむかずにリンゴをかじろうとして
クレイ「まさかこれにも毒?」
だがクレイは皮もむかずに丸かじりしてしまった.
クレイ「うん.いけんじゃん.」
それをウメが見た.庭へ出て行くクレイをウメは疑いの目で見た. クレイはバーボンに毒が入っていたことと, 森下弁護士の事務所の金庫に遺言状があることを無線でサファリに連絡. そこへウメが猟銃を持ってクレイに近づいた.
クレイ「脅かすなよ,婆や.」
ウメ「婆やなどと気安く呼んでくださいますな. あなたは坊ちゃまの偽者でしょう.」
クレイ「僕が偽者なんて,どうしてそんなことを.」
ウメ「リ,リンゴを召し上がるのを見て,はたと気がついたんです. 坊ちゃまは決して皮ごと召し上がりませんでした.」
まずい.ピンチだ.
クレイ「あ,でも,アメーリカでは,ああやって食べるのがおいしいんだよ. そりゃ,下品かもしれないけどさあ.」
ウメは納得しなかった.
ウメ「下品だの,上品だのと言う話ではございません. 坊ちゃまはリンゴの皮がお嫌いだったんです.」
クレイ「だけど,僕は正真正銘の健一だよ.偽もんなんかじゃないよ.」
ウメ「そんなに仰るなら証拠をお見せください.」
クレイ「証拠?」
ウメ「本物のお坊ちゃまならば左の腕に赤い痣があるはずです.」
クレイ「ああ.あの痣ね.」
ウメ「さあ,見せてください.さもないと…」
クレイは左腕のシャツをめくって痣を見せた.ウメは猟銃を捨て, 土下座して謝った.
ウメ「ああ.なんとご無礼なことを.お許しください.坊ちゃま. ウメが愚かでした.許してください.」
こうしてクレイは最大のピンチを脱することができたのであった.

その頃,森下法律事務所から出る森下をオショウが尾行した. ジャッキーは森下法律事務所に電話し,渡したいものがあると言って, 事務員を呼び出した.入れ替わりにサファリが事務所に潜入し,金庫を調べた. なんと森下は安永と会っていた. 安永は「健一」がバーボンを飲まなかったことを知っていた. 森下は例のこうもり傘の男にもう一度やらせてはどうかと言ったが, 安永は,その男はアリバイ工作のために香港へ行っていると言い, 自分達でけりをつけなくてはならないと付け加えた. 最初の計画通りにやるのだ.ただし,多少の変更は必要だ.

アジトでサファリ,オショウ,ジャッキーは報告しあった. サファリの調べでは遺言状などなかった. だが津山名義の別荘や土地の権利書の預り証が見つかった. ちなみに森下弁護士の名前は森下省吾で, 事務所の住所は「東京都港区愛宕2の2の1」だった. また津山の屋敷の住所は「東京都世田谷区岡本町4の3の5」だ. 1年前から半年前にかけて金融機関から出されていた. つまり森下は預かっていた権利書を担保にして勝手に金を借りまくっていたのだ. オショウは主犯は安永と森下で未亡人のけいこは関係なさそうだと睨んだ. おい,あの電話をオショウも盗聴しただろう. それはともかく,サファリはオショウの意見に異議を唱えた.

クレイは夕食を取る際,わざとナイフやフォークを落とした. そしてけいこが取替えに出た隙に自分の飲み物をけいこの飲み物と交換した. 毒が入っているといけないからだ.だがそれは杞憂だった. そこへけいこに電話がかかってきた.そしてけいこは出かけて行った. クレイはウメから,この半年余り, 週に一度か二度は夜にけいこが出かけることを聞き出した. そして津山の死因を聞いた.1ヶ月前の日曜日にけいこが出かけた後で客が来た. ゴルフ場に向いた土地があるという用で来たのだが, 翌日会社で話すと言って帰っていったという.その後,胸を押さえて, 救急車で運ばれた.健一の時と同様, 「ちょうど季節の変わり目だったんで心臓麻痺を起こした」と医者は診断. クレイは客の人相を聞いた.背が高くて痩せていて, おかしなことに天気が良かったのにこうもり傘を持っていた.

その頃,けいこは森下と情事に浸っていた. 森下は「健一」を伊豆の別荘に呼び出すことをけいこに指示. そしてけいこは伊豆へクレイを連れ出した. 車からけいことクレイが降りた隙に何者かが車のブレーキに細工. 下り坂でブレーキが利かなくなってしまった. クレイは何とか飛び降りて難を逃れたが,けいこは崖に激突して重傷を負った.
けいこ「あの人達,あたしも殺そうとしたんだわ.」
クレイ「あの人達って,安永と森下か?」
けいこはうなずいた.
けいこ「あたしが馬鹿だった.利用されてることも知らないで…」
そのままけいこは事切れた.それを森下が遠くから目撃.安永に報告した. すかさずサファリが乱入.健一がとっくに死んでいることと, 健一と名乗ってやってきたのは強請り屋グループの一員であること, そして健一のパスポートを見せ,100万円で情報を買えと言ってきた. その頃,森下のところにこうもり傘の男が現れた. 森下は偽者の健一の始末を依頼した.それをサファリとジャッキーが目撃.
ジャッキー「あの男が殺し屋ね.」
サファリ「これで役者が揃ったようだな.緊急指令トラトラトラ.」
タイガーキャブの車は産業ロボットの操作により, 緑ナンバーから白ナンバーに変えられ,ボンネットから虎のシールがはがされ, 虎のエンブレムが屋根からはずされ,色も塗り替えられた. そしてハングマンは出動した.

ハンギング

クレイは荷物をまとめ,出て行った.そしてウメに真相を話した. 痣はドーランを塗ってつけたもの.本物の健一が亡くなった事と, 死体の安置されている病院の場所を教えた. 呆然とし,泣き崩れるウメを置いてクレイは出た. そしてクレイは襲い掛かってきたこうもり傘の男と対決し,殴り倒した. 森下はジャッキーとオショウによって眠らされ, 安永はサファリのハングガンに狙われた.

ウメは健一の死体と対面し,涙を流した. そして健一の死体の上にあった手紙を読んだ.
クレイの声「津山健太郎さんとその御子息, 健一君を死に至らしめた犯人たちのハンギング・パーティーを行います. 是非御来場ください.」
日時はその日の午後3時.場所は津山産業ビル前.

さて悪党達は棺桶に入れられていた.ただし,寝かされていたわけではなく, 立ち上がった棺桶に鎖で縛り付けられて立たされていた.
サファリ「諸君.正面を見たまえ.」
棺桶の蓋が見えた.蓋には何かとがった物がついている.
サファリ「これは諸君が入っている棺桶の蓋だ.」
悪党達は蓋を見た.
サファリ「ご覧のとおり,この蓋には多数の注射器がつけてある. 注射器の中は諸君が津山社長と健一君を殺した時に使用したのと, 同じ毒薬が入っている.その効果は諸君がよーく御存知のはずだ. 只今から恐怖の棺桶ゲームを開始する.スタート.」
棺桶の蓋が近づいてきた.
サファリ「止めて欲しければお前達がやったことを残らず吐くんだなあ.」
近づく蓋,いや,注射器.悪党達は恐怖におののいた.そして
森下「喋る.喋るから止めてくれー.」
安永「喋るな.しゃ,喋るんじゃない.」
だが注射器が近づく.
安永「ああ.」
森下「喋るから止めてくれー.」
すれすれのところで注射器は止まった.
森下「わ,私は何にもやっちゃいない.津山社長を殺したのも, 健一君を殺したのも,みんなここにいる安永副社長の責任だー.」
安永「嘘を言え,嘘を.貴様, 津山社長から預かった別荘や不動産権利書を担保にして, 何千万もの金を手に入れた.それが社長にばれるのが恐ろしくって, 殺してしまおうって言ったじゃないか!」
森下「違う,違う.あんたが言い出したんだ!」
安永「私じゃない.お前達だ.殺したのは矢沢だ!」
怒ったこうもり傘の男,すなわち矢沢はこう言った.
矢沢「この嘘つき! 冗談じゃねえや.命令出したのは貴様じゃないか!」
互いにののしりあう悪党達はさらし者になった.それをウメも見た.
クレイ「どうする?」
サファリ「当然.」
棺桶の蓋が閉まり,注射器が悪党に刺さった.
ジャッキー「あ,痛そう.」
クレイ「中身はただのビタミン剤だよ.」
サファリ「痛みより死の恐怖の方が耐えられんだろう.」
パトカーと救急車のサイレンが響く中,オショウが車に乗って去った. サファリ,ジャッキー,クレイも一緒に車で去って行った.

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東平 洋史 E-Mail: hangman@basil.freemail.ne.jp