第十五回

新札偽造団を吊るす.
恋人の体が新札偽造のいけにえにされる!

脚本:柏原寛司 監督:山根成之

フランス料理店「しぇぶいる」で, カップル(丹波義隆と泉じゅん)が舌鼓を打っていた.
女「うーん,おいしい.お給料日,未だでしょう? いいの,こんなレストランで食事して?」
男「ラーメンの方が良かったのか,祐香は?」
祐香「仕送りしてもらってる苦学生としては, ラーメンよりもフランス料理の方が魅力的.」
二人は笑った.
男「ネタをばらせばただなんだ.当たったんだ.ここのディナー招待に.」
男は懐から招待券を出してみせた.
祐香「うわあ.3万円相当のお食事が楽しめます.籤運強いのねえ,けんじさん.」
けんじ「ふふん.強いんだろうな.出さなくても当たっちゃうんだから.」
祐香「え?」
祐香は不思議に思った.
けんじ「多分,研究所の友達が出したんじゃないかと思うんだ,僕の名前で.」
二人はしばらく食事を楽しんでいた. そしてけんじはトイレへ行くと言って出て行ったが,20分経っても戻ってこない. 心配した祐香はレストランのオーナー(信実一徳)に聞いてみた. オーナーの答えは
オーナー「お帰りになりましたよ,5分ほど前に.」
この答えに,祐香は納得しなかった.

調査開始

それから1週間後,この事件が仕事になった.失踪したのは森岡けんじ27歳. 中央化学技術研究所の優秀な研究員だ.誘拐事件かと聞くジャッキーに, サファリはただの誘拐事件ではないと答えた.実はこの頃, 紙幣が今のお札に切り替わっていた.それまでのお札に描かれている肖像は, 1万円札と5千円札が聖徳太子,千円札が伊藤博文だったが, この頃,1万円札が福沢諭吉,5千円札が新渡戸稲造, 千円札が夏目漱石に変わっていた.サファリは新札発行の理由を説明した. まずサファリは大量のお札を出した.
クレイ「なんだい,ボーナスか?」
サファリ「こいつは全て偽札だ!」
突如画面が真っ黒になり, (「ニセサツ」とルビが振られて)「偽札だ!」という字幕が表示された.
ジャッキー「偽札?」
また画面が真っ黒になり, (「ニセサツ」とルビが振られて)「偽札?」という字幕が表示された. オショウもクレイも偽札だとは気がつかなかった. 財務省がこの事実に気がついたのが5年前.それ以来, 極秘に調査が進められてきた.なにしろ専門家でさえ容易に区別がつかないのだ. 公表すれば経済パニックになる.そこで新札を発行したのだ. 財務省が新札を発行するに当たり,専門家を集めて特別プロジェクトを組んだ. 森岡はそのメンバーの一員で,しかも一番重要な印刷部門を担当していた. 森岡の専門は高分子化学.彼の開発した特殊インクが新札に使われたのだ. カラーコピー対策として,コピーすると光が乱反射するようにした特殊インクだ. そのため新札をカラーコピーすると本物とは色合いが変わってしまう. 取っ掛かりはあるのかというオショウにサファリがある事件を説明した. 20日前に京浜運河から沢田ゆきおという男が溺死体で上がった. 沢田は財務省印刷局にいたが,5年前に蒸発していた. 沢田は旧札の密造をさせられたに違いない. だが彼の技術では新札の偽造はできなかった. それで沢田は港湾関係で働いていたようにみせかけられて殺されたと言うわけだ. クレイとジャッキーは失踪するまでの森岡の足取りを洗うことになった. オショウは沢田の事件を調べることになった.

例のレストラン「しぇぶいる」でジャッキーとクレイは食事を食べていた.
ジャッキー「おいしいね.明日も食べに来ようっか?」
クレイは呆れてしまった.
クレイ「あのね.」
ジャッキー「ん?」
クレイ「公私のけじめはつけてくれる?」
ジャッキー「なーによ,こうしって?」
これを聞いたクレイはしばらく凍り付いてしまった. そしてナプキンで口を拭いてから立ち上がり,オーナーにトイレの場所を聞いた. 早速クレイはトイレを調べた.鏡にも便器のわきの壁にも怪しい点はない. 戻ってきたクレイにまたジャッキーが言った.
ジャッキー「おいしかったあ.ねえ,毎日,ここに調べに来ようよ.」
呆れたクレイはジャッキーを手招きした.
クレイ「森岡の奴はトイレに入ったまま消えたって言ってたんだなあ?」
ジャッキー「うん.」
クレイ「何者かに拉致されたとしてもよ, トイレから出口までは一目につくだろう.」
ジャッキー「まあ,そりゃそうねえ.」
クレイ「やっぱ,トイレがおかしいんだよなあ.」
ジャッキー「ねえ,それどういうこと?」
クレイ「今夜調べてみるか.」

と言うわけで深夜,クレイはレストラン「しぇぶいる」に忍び込んだ. そして改めてトイレを調べてみると, なんと壁の一部が回転するようになっていた.
クレイ「忍者屋敷かよ,ここは.なるほどねえ.」
迂闊なことに,クレイは中にいた二人の男と目が合ってしまった. 男達は二人ともジェイソンのようなマスクをしていた.後年,クレイ(嘘)とバニーが英蝶子を拉致する時 に被ったマスクだ.男の一人はクレイに拳銃を向けた.
クレイ「おっと.」
男「動くな.」
クレイ「忍者屋敷じゃなくてお化け屋敷だったのか,ここは.」
男達にこの冗談が通じなかった.
男「こっちへ来い.」
クレイ「行けば命,助けてくれるわけ?」
男「ふん,そいつはお前次第だなあ.」
クレイ「ふーん,じゃ,やめた.」
クレイは一生懸命逃走したが,橋の上で挟み撃ちに遭ってしまった. 絶体絶命のピンチにクレイは橋の欄干の上に立ち,下を見た. 下は川じゃなくてコンクリートの道路.
クレイ「殺されるよりましか.」
クレイは思い切って飛び降りた.だが着地に失敗.苦しむクレイ. しかしそれが幸いし,人がやって来た. クレイはタクシーカードを渡してタイガーキャブへ電話してくれと頼んだ. 男達はマスクを取った.一人はあのレストランのオーナー. もう一人の男(宮内洋)の指示で二人は去って行った.

結局クレイは足を骨折して病院に入院した.サファリ,オショウ, ジャッキーは病院に集結.敵が正体を確かめに来るに違いないので, 手術が終わり次第,サファリはクレイを転院させることにした. さらにサファリはジャッキーに森岡の恋人の警護を命じた. そのときクレイの手術が終わり,クレイが出てきた.
クレイ「もし俺の代わりに仲間いれるんならねえ,俺は外科医推薦するよ. サディストなんてもんじゃねえよ.」

翌日.オショウは沢田の死体の第一発見者である蓮根に会った. オショウが,蓮根が警察に沢田と一,二度仕事したことがあると言った, と尋ねるやいなや,沢田は走って逃げた.だがオショウの調べでは, 沢田は港で働いたことは一度もなかった.蓮根に追いついたオショウに, 蓮根が殴りかかってきた.
オショウ「ちゃんと洗ったかい,トイレで手を.」
蓮根はオショウに殴り倒された.
オショウ「なんか,気のせいか臭うなあ.」
オショウは蓮根を起こした.なおも抵抗した蓮根の左腕をオショウは脱臼させた. これは効いた.蓮根は10万円でそう証言しろと頼まれたと白状した. 蓮根は依頼者の名前を知らなかったが, いい背広をしていい車に乗っていた男だったことを覚えていた. 車は黒のベンツでナンバーの最後は66. 蓮根はその前の日に競輪で大穴(6-6)を取り損なったので, ナンバーを良く覚えていたのだ. オショウは蓮根の肩を脱臼させたまま帰って行った. そしてアジトのコンピュータで問題の車を検索した.初代ゴッドに仕えていた頃とは, 大違いだ.もっとも,入力は一本指.さて該当する車は2台. 1台は「34-66」で「北海道-帯広」に住む「木村栄作」という人物の物. そしてもう1台は「28-66」で「東京都-品川」の「永谷清次郎」という人物 (渥美国泰)の物だった.

さて民由党代議士の永谷清次郎は秘書の小沢(宮内洋)に, レストランを探った男の正体を探り出せと命じていた. それを受けて小沢とレストランのオーナーが日比谷公園で話している模様を, 高感度マイクでサファリが聞いていた.室町病院からクレイが退院したことまで, レストランのオーナーは探り出していた.そこへオショウから無線が入った. オショウが永谷の名前を出すと,サファリも永谷のことを知っていた. サファリはレストランのオーナーを見張っているうちに, ここへ辿り着いたからだ.永谷は民由党の大物代議士だ. 数年後に総裁の椅子を取ることを目標に躍起になっている.
オショウ「この男が偽札作りの黒幕だとしたらことだぞ.」
サファリ「敵に不足はないさ.俺に考えがある.」
オショウ「考え?」
サファリ「まあ,見ててくれ.」

サファリは香港マフィアの代理人と称して乗り込み,オーナーに会った. 新札偽造のために森岡けんじを返せと言うのだ. サファリは香港マフィアを相手にする勇気はあるのかとはったりをかまして, 帰って行った.早速オーナーは小沢に連絡を取った. 小沢は森岡に特殊インクの製造を急がせることにした. だが森岡は拷問に屈しなかった.小沢は細長いタバコをくわえて登場した.
小沢「まだ強情を張っているのか.」
森岡「お願いだ.返してくれ.今だったら, あんた達のことは誰にも話さない.」
小沢は森岡にタバコの煙を吹きかけた.
小沢「自分の置かれてる立場を考えて物を喋れ.我々はもう, 新札の判まで作って君を待ってたんだよ. 新札偽造の最大のネックは(一呼吸おいて)使われている特殊インクだよな.」
小沢は森岡をジロっと睨んだ.
小沢「新札プロジェクトで,お前が担当していた分野だよ.」
森岡は無言だ.また小沢はタバコをくわえた.
小沢「素直にインクを作れ.」
だが森岡の答えは
森岡「絶対に偽札作りには手を貸さない.」
小沢「ふーん.」
小沢はタバコを足で踏み消した.
小沢「それじゃあ,殺すだけだ.」
森岡「僕を殺したら,それこそできないぞ.」
小沢「確かにそうだ.だが,お前の大事な人間を殺すことはできる.」
これを聞いた森岡は表情を変えた.
小沢「恋人がいたよな.お前には.」
森岡「よせ.祐香は関係ないんだ.」
森岡は小沢に襲い掛かった. だが森岡は小沢の部下二人に取り押さえられてしまった.
森岡「やめろー.祐香は関係ないんだー.」
小沢「我々にとっちゃあ,関係あるんだよ. お前に仕事をしてもらう切り札だからなあ.」

ジャッキーは祐香の働く喫茶店で働くことになった. その晩,仕事終了後,祐香はレストランのオーナー達に襲われた. ジャッキーは#2で使用した煙幕弾で応戦しようとしたが, 投げつける前にレストランのオーナーに倒されてしまった.

その頃,サファリは香港マフィアとはったりをかましたことを タイガーキャブでオショウに話していた.またオショウは永谷の件を報告. 永谷は財界の受けが悪かった.だから金集めに苦労する筈だ. だが永谷は億単位の金を出すと言っていた. 永田町では金の出所はミステリーだと持ちきりだった. そのとき,サファリはジャッキーから連絡がないことに気がついた. サファリは一生懸命無線で連絡を入れたが…

ジャッキーと祐香は縄で縛られ,地下室に閉じ込められていた. そこへ小沢に連れられて森岡がやってきた.
オーナー「よし.今から面白いショーを見せてやる.」
オーナーは上着を脱いだ.
オーナー「もちろん,ただでなあ.」
オーナーは祐香を殴った.動揺する森岡.
森岡「やめろー.」
オーナーは祐香の上着を脱がせた.
森岡「やめてくれえ.」
小沢「おとなしくしろ.まだショーは始まったばかりだよ.」
オーナーがシャツを脱がせようとした.祐香の背中の地肌があらわになった.
ジャッキー「やめなさいよー.無抵抗な女性殴って何が面白いのよ. このサディスト!」
ジャッキーはオーナーを蹴飛ばした.だがジャッキーは蹴り返されてしまった.

サファリは例のレストランへ行き,「しばらく休業にします」という看板を見た. オショウは祐香の働いている喫茶店の近くでジャッキーの落とした煙幕弾を発見. その頃,地下室では
祐香「やめてえ.」
オーナーは祐香のシャツをはさみで切っていた.
森岡「やめてくれえ.彼女は関係ないんだ.」
それを聞いた小沢は高笑い.ああ,元子供達の夢は完全に砕け散った.
小沢「心配するな.服ならいくらでも買ってやるよ.」
ついに祐香の上半身はブラジャーだけになってしまった. ジャッキーはオーナーの足に噛み付いたが,またオーナーに蹴られた.
オーナー「へ.お前も切って欲しいのか?」
オーナーはジャッキーのシャツを少しだけ脱がせた. このとき,ジャッキーのブラジャーが少しだけ見えた. オーナーはジャッキーを突き飛ばし,祐香のブラジャーを切ろうとした.
森岡「わかった.やるよ.あんた達の言う通りにするよ. だからやめてくれ.」
小沢は森岡の頬に拳銃を突きつけていった.
小沢「本当だな?」
森岡はうなずいた.小沢は合図してショーをやめさせた.
小沢「はじめからそう言えばよかったんだ.お前の仕事が終わるまで, 彼女預かっとくぞ.」

オショウはまずい展開だと頭を抱えていた.
オショウ「ジャッキーの奴,何とかするかなあ?」
サファリ「ジャッキーもハングマンの一員だ.何とかするはずだ.」
オショウ「するか,あの日本晴れがもう.」
そこへ獅子舞が登場した.
オショウ「あのう,今たてこんでるんでねえ,お引取り願えませんかねえ.」
サファリは何かピンと来たようだ.
サファリ「オショウ,オショウ.」
オショウ「あ?」
サファリ「いくらか出さないとだめだろう.」
オショウ「しょうがねえなあ.」
オショウはお札を出した.
オショウ「はい,はい,はい.どうもご苦労さん.はい,はい,はい.」
オショウは獅子に千円札(新札)をくわえさせた.
オショウ「ちょっと,あんた,偽札かどうか調べてんの?」
サファリ「は,は.参ったねえ.」
獅子舞は包みを出してオショウに渡した.
オショウ「ええ? あ,やっぱりあんたか.」
サファリとオショウの睨んだ通り,獅子舞は?女の扮装だった.
?女「皆様のギャラと経費,そしてゴッド様からのお土産でございます.」
サファリ「御苦労様.」
?女「なかなかのものでございましょう.あたくしの獅子舞も.」
サファリ「プロかと思いましたよ.」
サファリのお世辞に?女は上機嫌.
?女「先生について習いましたのよ,この日のために.ふ,ふ,ふ,ふーん. では,ごめんあそばせ.」
オショウ「ああ,どうも.」
?女は去って行った.
オショウ「松も取れたって言うのに,やるねえ,あの人も.」

車の中で,小沢は永谷に森岡がやる気になったことを報告. そして永谷は香港にいる知人から香港マフィアが動いていないことを聞いた, と小沢に伝え,あんな与太話を信じるとはどうかしてると小沢を叱った. そして事務所に着くと,サファリが香港マフィアの格好をして待っていた. 交渉相手のオーナーが行方不明になったので直接黒幕の元に乗り込んだ, とサファリははったりをかまし,永谷が紙幣密造団のボスだとばれたら大騒ぎだ, となおもはったりをかました.永谷はサファリを仲間にしてやると言った. サファリが去った後
永谷「あの男のあとをつけろ.あとはわかってるな.」
小沢は出て行った.サファリは小沢の尾行がついたまま青山通りを歩き, わざとクレイのいる東都病院へ向かった. 早速小沢は公衆電話でオーナーへ電話し,クレイの始末を指示した. オーナーは自衛隊を首になった男だったのだ. 電話を切った後,オーナーは森岡に早く仕事を始めろと言った. 森岡は薬品が足りないと言い, 自分の代理だと言えば分けてもらえるだろうと言って, オーナーの部下にメモを渡して取りにやらせた. さてジャッキーは祐香を慰めていた. 祐香は自分のせいで森岡が新札の偽造をさせられていることを, 悔やんでいたのだ.さてジャッキーはトイレへ行きたいと騒ぎ, トイレへ連れ出してもらった.そして縄を解くように要求. 手足の縄を解かせることに成功した.そして男の急所を蹴り上げ, さらに当身をくらわせて男を気絶させた.そして隙を見て, もう一人の部下の急所を不意打ち.
ジャッキー「ほーんと,ここ叩くとよく効くのねえ.」
こうしてジャッキーは森岡と祐香の救出に成功した. ジャッキーはタイガーキャブへ電話した.
オショウ「場所はどこなんだ,印刷所の.」
ジャッキー「東町3丁目の汚いビル.」
オショウ「わかった.」
ジャッキー「偉いでしょう.梓ちゃん.」
オショウは呆れて言った.
オショウ「ああ.偉いよ.偉いよ.」
オショウは電話を切り,サファリに無線で連絡した.
オショウ「ジャッキーが印刷所の場所をつかんだ.男達も全部片付けたそうだ.」
サファリ「了解.緊急指令トラトラトラ.」
タイガーキャブの車は産業ロボットの操作により, 緑ナンバーから白ナンバーに変えられ,ボンネットから虎のシールがはがされ, 虎のエンブレムが屋根からはずされ,色も塗り替えられた. そしてハングマンは出動した.

ハンギング

泣く祐香を森岡は慰めた.森岡が祐香にキスしようとするところへ
ジャッキー「お取り込み中,失礼ですけど,これ.んじゃ.」
手紙を渡して去って行った.
ジャッキーの声「あなた達を誘拐,拉致し,偽札造りを強要した 悪人達に裁きが下されます.次の日時,場所へ是非おいで下さい.」
日時は翌日の午前10時から.場所は日比谷富国生命ビル日比谷シティー….

クレイの病室へ小沢とオーナーがジェイソンのマスクをかぶって現れた. クレイはベッドで寝入っているようだ. オーナーがピストルをクレイの頬に突きつけた.
オーナー「起きろ.起きろ.」
仕方がないのでクレイは起きた.小沢は仲間の居所を吐けと言った.
クレイ「一人だけだったら知ってるんですけどね.」
オーナー「誰だ,そいつは.」
クレイ「サファリって奴でさあ.」
小沢「どこにいるんだ.」
クレイ「ああ,あんたの後ろにいるよ.」
小沢達が振り返ると同時にサファリが登場. 明かりがつくと同時にサンダーブロウが小沢に命中. 小沢のマスクは取れてしまい,小沢は口の中から玉を吐き出して倒れてしまった. サファリは弾じゃなくて玉を装填した.
オーナー「銃を捨てろ.」
だがサファリは意に介さず,オーナーにサンダーブロウの狙いを定めた.
クレイ「ちょっと.」
オーナーがクレイを撃つと同時にサファリのサンダーブロウがオーナーに命中. オーナーも口から玉を吐いて倒れてしまった. ちなみにクレイは鉄の皿を入れておいたので無事だった.

その頃,オショウが永谷の事務所に現れた.
永谷「誰だ,君は?」
オショウ「待ってるんでしょ.秘書からの連絡を. 待ってても連絡は入りません.来ませんよ.あ,おつけしましょう.」
永谷は眠らされてしまった.

さて,奥から小沢,永谷,オーナーの順に板に鎖で括り付けられ, 寝かされていた.スピーカーからサファリの声が響いた.
サファリ「お目覚めのようだなあ.今日集まっていただいたのは他でもない. 君達の悪事を話してもらうためだ.」
永谷「何を言うんだ,貴様は.鎖をほどけ.」
サファリは永谷の言葉を無視して言った.
サファリ「紙幣を印刷するには,まず紙を裁断しなくてはならない. それから始めよう.」
良く見るとギロチンの刃が見えた. 永谷達の載せられている板はコロで転がるようになっており, ギロチンの刃で切られるようになっていた.板が動き始めた. 永谷達の首が刃に迫る.刃が降りて板が裁断された.
サファリ「偽札造り,印刷局の沢田の殺害, 研究所の森岡の拉致などを自白しない限り,スイッチは止めない.いいな.」
オーナーは恐怖で顔がひきつり,口をパクパクさせていた.また板が動き, 裁断された.思わず小沢が顔を伏せた.にも関わらず
永谷「馬鹿なことをするな.わしを誰だと思ってるんだ.」
また板が動いて裁断された.オーナーがうめき声を挙げた.
サファリ「このまま移動したらどうなると思う? 喋った方が利口じゃないのか?」
また板が動いて裁断された.またまた板が動いて裁断された.さらに板が動いた.
小沢「言う.言うからやめてくれ.」
永谷「小沢!」
小沢「偽札造りを考えたのは永谷先生だ.政治資金を作ろうとしたんだよ!」
永谷「小沢!」
板が裁断された.
小沢「印刷局の沢田を殺したのはレストランの村川で私は関係ない!」
この叫びは外にもスピーカーで流された.
小沢「秘書と言う立場上,先生に逆らえなかっただけだあ!」
これを森岡と祐香も聞いた.
村川「何を言うんだ.殺しや森岡の誘拐を命令したのは,あんただろう!」
永谷「貴様らだって散々いい目を見たくせに,なんと言う言い草だ!」
すると板がまた動いて裁断された.
オショウ「そろそろいいんじゃないかなあ.」
サファリ「では,偽札の印刷に取り掛かろう.」
サファリがスイッチを押すと壁が倒され,永谷達がさらされた. 野次馬が群がる中,松葉杖をつくクレイが言った.
クレイ「ラスト行こうか.」
オショウもジャッキーもギルティーのポーズを取った. サファリがスイッチを押すと悪党達に缶から灰色の液体が掛けられ, 板が上に押し付けられた.そして板が上がると, 板には一万円札(肖像は永谷),五千円札(肖像は小沢),千円札(肖像は村川)が 刷られていた.パトカーと救急車が駆けつけた.
森岡「なんか食いに行くか?」
祐香「ラーメン.」
二人は笑って去って行った.森岡の腕に祐香が捕まった. 松葉杖で去ろうとするクレイに
ジャッキー「肩貸してあげる.」
クレイ「お前さんの胸がねえ,もうちょっと大人になったら肩お借りします.」
ジャッキー「ちょっと,どこがちいちゃいのよ.」
クレイ「どこが大きいのよ.」
それを見たサファリは失笑した.

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東平 洋史 E-Mail: hangman@basil.freemail.ne.jp